説明

コネクタアッセンブリ

【課題】高さや横幅の増大を招くことなく電極数を増やすことのでき、且つ、プラグをリセプタクルに円滑に挿入できるコネクタアッセンブリを提供する。
【解決手段】プラグ2には、表面に複数の導電パッド21が形成される、ケーブル8と接続するための基板20が設けられる。また、リセプタクル6は、プラグ2の基板20が、接続対象となる回路基板9の表面に沿った方向に挿入可能なハウジング70を有する。また、リセプタクル6は、プラグ2の基板20の挿入過程においては、基板20が、ハウジング70内に形成された複数のコンタクトから基板20の厚さ方向に離れて位置するように基板20を支持する下ガイド部73を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板上に配置されるリセプタクルと、リセプタクルに嵌合可能なプラグとを有するコネクタアッセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回路基板上に配置されるリセプタクルと、ケーブルの端部に取り付けられ、回路基板と平行な方向でリセプタクルに対して挿抜可能なプラグとを有するコネクタアッセンブリが利用されている。リセプタクルとプラグはそれぞれ複数のピン状の端子を有している。これらの端子は、多くの場合、2列或いは3列で横方向に並んでいる。また、リセプタクルの端子とプラグの端子のいずれか一方は弾性を有する板バネ状に形成されている。プラグの挿入過程では、プラグの端子は、弾性力によってリセプタクルの端子に接触した状態で、リセプタクルの端子に対してスライドする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−313130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のコネクタアッセンブリにおいて電極数を増やそうとした場合、端子が並ぶ列の数を増やすか、或いは、1つの列に配置される端子の数を増やすことになるため、リセプタクルとプラグの高さ或いは横幅が増大する。
【0005】
また、従来のプラグは、プラグの端子がリセプタクルの端子に接触した状態で、リセプタクルに押し込まれるため、端子間の摩擦によってプラグの挿入に大きな力を要する。特に、電極数を増やすと、すなわち端子数を増やすと、プラグの挿入に要する力がさらに大きくなり、プラグを円滑に挿入できなくなる。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、高さや横幅の増大を招くことなく電極数を増やすことのでき、且つ、プラグをリセプタクルに円滑に挿入できるコネクタアッセンブリを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係るコネクタアッセンブリは、ケーブルの端部に取り付けるためのプラグと、接続対象となる回路基板上に配置するためのリセプタクルと、を備える。前記プラグは、表面に複数の導電パッドが形成される、前記ケーブルと接続するための基板を有している。前記リセプタクルは、ハウジングと、複数のコンタクトと、ガイド部とを有している。前記ハウジングは、前記プラグの前記基板が前記回路基板の表面に沿った方向に挿入可能となっている。前記複数のコンタクトは、前記ハウジング内に形成され、前記接続対象となる回路基板の表面に形成された複数の導電パッド上に配置される。前記ガイド部は、前記プラグの前記基板の挿入過程においては、前記基板が前記複数のコンタクトから前記基板の厚さ方向に離れて位置するように前記基板を支持する。また、前記ガイド部は、前記基板の前記複数の導電パッドが前記複数のコンタクトに正対した状態においては、前記基板の前記複数のコンタクト側への移動を許容するよう形成されている。
【0008】
本発明によれば、プラグの基板に形成された複数の導電パッドを格子状に配置することができる。その結果、プラグとリセプタクルの高さや横幅の増大を抑えながら、導電パッドの数を増やすことができる。また、プラグの挿入過程では、プラグの基板は、リセプタクルのガイド部によって支持され、複数のコンタクトから離れている。そのため、プラグの基板をリセプタクルに円滑に挿入できる。
【0009】
また、本発明の一態様では、前記リセプタクルは、当該リセプタクルに挿入された前記基板を、前記複数のコンタクトに向けて押圧するためのバネを有してもよい。この態様によれば、プラグの基板に形成された複数の導電パッドと複数のコンタクトとの接触安定性を向上できる。
【0010】
また、さらにこの態様では、前記リセプタクルは前記バネによる前記基板の押圧を解除するための操作部材を有してもよい。こうすることによって、作業者がプラグの基板をリセプタクルから抜き易くなる。
【0011】
また、さらにこの態様では、前記基板上には、前記バネが当る、前記基板とは別体の被押圧部が配置されてもよい。こうすることによって、プラグの基板に直接的に負荷が掛ることを抑えることができる。
【0012】
また、本発明の他の態様では、前記プラグは前記基板の前記表面とは反対側の面に取り付けられた板状の装着部材をさらに含み、前記装着部材は前記ガイド部上をスライドする被ガイド部を有してもよい。この態様によれば、プラグの基板に直接的に負荷が掛ることを抑えることができる。
【0013】
また、本発明の他の態様では、前記プラグは、前記挿入部に形成された前記複数の導電パッドを覆う閉位置と、前記複数の導電パッドを露出させる開位置との間で移動可能なカバーを有してもよい。この態様によれば、プラグの基板に形成された複数の導電パッドを保護できる。
【0014】
さらにこの態様では、前記カバーは前記閉位置から前記開位置まで前記プラグの挿入方向とは反対方向に移動可能となってもよい。こうすることによって、プラグの基板をリセプタクルに挿入する際、容易にカバーを開位置まで移動させることができる。
【0015】
また、本発明の他の態様では、前記リセプタクルは前記ハウジング内に配置されるシート状のコネクタを含み、前記複数のコンタクトは前記コネクタに形成されてもよい。この態様によれば、複数のコンタクトを容易にリセプタクルに設けることができる。
【0016】
さらにこの態様では、前記複数のコンタクトは前記基板の厚さ方向に弾性変形可能に形成されてもよい。こうすることによって、プラグの基板の導電パッドとコンタクトとの接触安定性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係るコネクタアッセンブリの斜視図である。
【図2】上記コネクタアッセンブリを構成するプラグを斜め下方から臨む斜視図である。
【図3】上記プラグの分解斜視図である。
【図4】上記プラグが有するプラグ基板と装着プレートの分解斜視図である。
【図5】上記プラグ基板及びそれに接続されたケーブルの斜視図である。
【図6】上記コネクタアッセンブリを構成するリセプタクルの分解斜視図である。
【図7】上記リセプタクルのカバーを取り外した状態の斜視図である。
【図8】上記プラグ基板と装着プレートとがリセプタクルに挿入された状態を示す平面図である。この図においては、リセプタクルを構成するカバー及び上プレートは取り外されている。
【図9】図8に示すIX−IX線の断面図である。
【図10】上記プラグがリセプタクルに挿入される過程を示す断面図である。図10(a)はプラグが挿入される前のリセプタクルを示している。図10(b)はプラグが有するスライドカバーの前端がリセプタクルを収容する筐体の縁に当った状態を示している。図10(c)はプラグの装着プレートがリセプタクルに形成された下ガイド部上をスライドする様子を示している。
【図11】上記リセプタクルの内側に配置されるシート状コネクタの平面図である。
【図12】図11に示す破線XIIで囲んだ部分の拡大平面図である。
【図13】図12に示すXIII−XIII線での断面図である。
【図14】上記コネクタの底面図である。
【図15】上記プラグ基板が押し付けられた上記コネクタを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の実施形態の例であるコネクタアッセンブリ1の斜視図である。図2はコネクタアッセンブリ1を構成するプラグ2を斜め下方から臨む斜視図である。図3はプラグ2の分解斜視図である。図4はプラグ2が有するプラグ基板20と装着プレート30の分解斜視図である。図5はプラグ基板20及びそれに接続されたケーブル8の斜視図である。図6はコネクタアッセンブリ1を構成するリセプタクル6の分解斜視図である。図7はリセプタクル6のカバー79を取り外した状態の斜視図である。図8はプラグ基板20と装着プレート30とがリセプタクル6に挿入された状態を示す平面図であり、同図においてはカバー79と上プレート80は取り外されている。図9は図8に示すIX−IX線の断面図である。図10はプラグ2がリセプタクル6に挿入される過程を示す断面図であり、図10(a)はプラグ2が挿入される前のリセプタクル6を示し、図10(b)はプラグ2が有するスライドカバー40の前端がリセプタクル6を収容する筐体91の縁に当った状態を示し、図10(c)はプラグ2の装着プレート30がリセプタクル6に形成された下ガイド部73上をスライドする様子を示している。
【0019】
なお、以下の説明においては、プラグ2の挿入方向(図においてY2の示す方向)を前方とし、以上の図においてY1−Y2の示す方向を前後方向とする。また、X1−X2の示す方向を左右方向とする。
【0020】
図1に示すように、コネクタアッセンブリ1はケーブル8の端部に取り付けるためのプラグ2と、接続対象である回路基板9上に配置するためのリセプタクル6とを有している。リセプタクル6はパーソナルコンピュータなど各種電子機器に搭載され、リセプタクル6とプラグ2は電子機器とケーブル8との接続に利用される。
【0021】
図3又は図4に示すように、プラグ2は、ガラスエポキシ基板や紙フェノール基板、紙エポキシ基板などの回路基板であるプラグ基板20と、プラグ基板20に装着される装着プレート30とを有している。リセプタクル6は、後において詳説するハウジング70を有している。ハウジング70はプラグ基板20と装着プレート30とが回路基板9の表面に沿った方向(後述するシート状コネクタ60に沿った方向)で挿入可能となるように形成されている。この例では、リセプタクル6はさらにカバー79を備え、ハウジング70とカバー79とが組み合わされ、全体として回路基板9と平行な方向に向かって開く開口6aを有する箱状となっている。ハウジング70とカバー79には開口6aからプラグ基板20と装着プレート30とが挿入される。
【0022】
図4に示すように、プラグ基板20は、その下面に、格子状に配置される複数の導電パッド21を有している。この例では、プラグ基板20は挿入方向に細長い基板である。プラグ基板20は、その最前部に、リセプタクル6に挿入するための(リセプタクル6内に配置するための)四角い挿入板部20aを有している。挿入板部20aの下面に導電パッド21が形成されている。図5に示すように、プラグ基板20の最後部にはケーブル8が接続されている。ケーブル8は複数の電線(不図示)を含んでいる。各電線はプラグ基板20に形成された配線パターン(不図示)を介して導電パッド21に繋がっている。なお、プラグ基板20では、挿入板部20aより後の部分(以下、後板部20b)は、挿入板部20aよりも小さな幅を有している。こうすることによって、導電パッド21が形成される領域の面積を拡大しつつ、後板部20bを収容する、後述するハウジング50の横幅を小さくできている。
【0023】
図5に示すように、プラグ基板20の上面には、プラグ基板20の前縁から後縁まで伸びる細長いプレート29が取り付けられている。この例のプレート29は金属製であり、これによりプラグ基板20が補強されている。
【0024】
図4に示すように、装着プレート30は前後方向に長い板状に形成され、プラグ基板20の上面(導電パッド21が形成された面とは反対側の面)を覆っている。装着プレート30は、例えば接着剤によってプラグ基板20の上面に固定される。また、この例の装着プレート30は樹脂によって形成されている。なお、装着プレート30は接着剤に替えてネジやボルトによってプラグ基板20に固定されてもよい。
【0025】
図4に示すように、装着プレート30は、その最前部に、リセプタクル6に挿入するための(リセプタクル6内に配置するための)四角い挿入板部30aを有している。また、装着プレート30は、プラグ基板20の縁を取り囲む壁部32,33を有している。壁部32,33は挿入板部30aの縁に形成されている。前側の壁部32はプラグ基板20の挿入板部20aの前縁に沿って配置され、左右の側壁部33は挿入板部20aの左右の縁に沿って配置されている。プラグ基板20に装着プレート30が取り付けられた状態では、導電パッド21が形成されたプラグ基板20の下面は壁部32,33の下面よりも低い位置に位置する(図10(c)参照)。なお、装着プレート30では、プラグ基板20と同様に、挿入板部30aより後の部分(以下、後板部30b)は挿入板部30aよりも小さな幅を有している。
【0026】
図3に示すように、挿入板部30aの上面には凸部30dが形成されている。凸部30dは挿入板部30aの上面の他の部分より僅かに高くなっている。凸部30dには複数(ここでは3つ)の被押圧部29aが位置している。この例の被押圧部29aは、図5に示すように、プレート29の表面から上方に突出する突起であり、また、プレート29の最前部の表面に固定されている。一方、挿入板部30aの凸部30dには複数の貫通孔30cが形成されている。被押圧部29aは孔30cを通って挿入板部30aの上面から突出している。後述するように、プラグ基板20及び装着プレート30がリセプタクル6に挿入された時には、被押圧部29aがリセプタクル6に設けられた板バネ81に当る(図9参照)。なお、この例の被押圧部29aの表面は球状に形成されており、これによりプラグ基板20の挿入時の負荷が低減されている。
【0027】
被押圧部29aはプラグ基板20とは別体に構成されている。この例では被押圧部29aは金属によって形成されている。また、プレート29の最後部はケーブル8が含むグランド用の電線に接続されている(図5参照)。プラグ基板20がリセプタクル6に嵌められた時、プレート29は被押圧部29aを介して、後述するリセプタクル6の金属部材(具体的には、操作レバー78と板バネ81)に接続する。これにより、プレート29をグランド用の導体として機能させることができるようになる。
【0028】
図3に示すように、プラグ2はスライドカバー40を有している。スライドカバー40は、その前部に、挿入板部20a,30aと概ね等しい幅を有する板状のカバー部41を有している。カバー部41は挿入板部20a,30aの下方に配置され、プラグ基板20の導電パッド21を覆っている。スライドカバー40は、導電パッド21を覆う閉位置(図10(a)で示されるスライドカバー40の位置)と、導電パッド21を露出させる開位置(図9で示されるスライドカバー40の位置)との間で、プラグ基板20や装着プレート30に対して相対移動可能となっている。スライドカバー40は、閉位置からプラグ2の挿入方向とは反対方向(Y1の示す方向(後方))に移動することで開位置に配置される。
【0029】
上述したようにリセプタクル6には開口6aが形成されている。また、リセプタクル6を収容する電子機器の筐体91にも、プラグ基板20と装着プレート30を受け入れる開口が形成されている(図10(a)参照)。カバー部41は、開口6aや筐体91の開口よりも低い位置に位置している。そのため、プラグ基板20と装着プレート30をリセプタクル6に挿入する際、カバー部41の最前部が筐体91の開口の縁に当たり、スライドカバー40はプラグ基板20と装着プレート30とに対して相対的に後方に移動する。その結果、スライドカバー40は開位置に配置され、導電パッド21が露出する。
【0030】
図3に示すように、スライドカバー40は、その後部に、前方に開いた箱状の収容部42を有している。収容部42はプラグ基板20の後板部20bと装着プレート30の後板部30bとを収容している。収容部42の左右の側壁部42bの内面には、スライドカバー40の移動方向(前後方向)に長い凸部42aが形成されている。一方、装着プレート30の後板部30bの左右の側面には、前後方向に長いガイド溝34が形成されている(図4参照)。凸部42aはガイド溝34に嵌っており、スライドカバー40はガイド溝34に沿って前後方向に移動する。
【0031】
図3に示すように、プラグ2はスライドカバー40を閉位置に向けて押す左右のバネ49を有している。各バネ49の前端は収容部42内で保持されている。また、プラグ2は収容部42を収容する箱状のハウジング50を有している。バネ49の後端はハウジング50で保持されている。バネ49は収容部42とハウジング50とによって挟まれ、スライドカバー40を前方に押している。
【0032】
なお、スライドカバー40は、装着プレート30によって閉位置を越えた前方への移動が規制されている。すなわち、装着プレート30の挿入板部30aの右側部分と左側部分は、収容部42に収容されている後板部30bの縁よりも右方向と左方向に張り出している。この挿入板部30aの右側部分と左側部分が側壁部42bの前面に当たり、スライドカバー40の前方への移動を規制している。
【0033】
図1又は図2に示すように、ハウジング50の後部はホルダ51によって保持されている。ホルダ51の後部51aはケーブル8の端部の外周面を保持している。これによりハウジング50はホルダ51を介してケーブル8の端部に結合している。
【0034】
図6に示すように、リセプタクル6は、ハウジング70の内側に形成され回路基板9の表面に形成された複数の導電パッド9c上にそれぞれ配置される複数のコンタクト60cを有している。この例では、ハウジング70の内側にはシート状のコネクタ60が配置されており、複数のコンタクト60cはこのコネクタ60に形成されている。コネクタ60は絶縁性の材料(例えば、ポリイミドフィルムやポリエステルフィルム)によって形成されたシート61を有し、コンタクト60cはシート61の両面を導通するよう形成されている。プラグ基板20と装着プレート30はコネクタ60と平行に配置された状態で、リセプタクル6に挿入される。コネクタ60は回路基板9上に配置されており、プラグ基板20の挿入板部20a等が挿入された時、コネクタ60は挿入板部20aと回路基板9との間に位置し、コンタクト60cによってそれらを電気的に繋ぐ。
【0035】
図11乃至図15はコネクタ60の一例を示す図である。図11はコネクタ60の平面図である。図12は図11に示す破線XIIで囲んだ部分の拡大平面図である。図13は図12に示すXIII−XIII線での断面図である。図14はコネクタ60の底面図である。図15はプラグ基板20が押し付けられたコネクタ60を示す断面図である。図12及び図13に示すように、コンタクト60cは、シート61の表側(上側)に形成された複数の第1導電部62と、シート61の裏側(下側)に形成された複数の第2導電部67と、それらを繋ぐ導体路68とを有している。図6に示すように、回路基板9の表面に形成された導電パッド9cはコネクタ60の第2導電部67に対応して位置し、第2導電部67に接触している。また、プラグ基板20の導電パッド21は第1導電部62に対応して位置し、当該第1導電部62に接触している。これによって、導電パッド21と導電パッド9cとがコンタクト60cを介して電気的に繋がる。コネクタ60の詳細な構造については、後において説明する。
【0036】
図6に示すように、リセプタクル6は、上述したハウジング70やコネクタ60に加えて、ハウジング70上に配置される上プレート80と、ハウジング70及び上プレート80を上方から覆うカバー79とを有している。ハウジング70と上プレート80とカバー79とコネクタ60の左右には、孔70a,80a,79a,60aが形成されている。また、回路基板9にも孔9aが形成されている。これらの孔70a,80a,79a,60a,9aに上方からネジなどの締結具11が差し込まれる(図1参照)。それにより、ハウジング70と上プレート80とカバー79とコネクタ60は互いに組み付けられ、回路基板9に固定される。
【0037】
ハウジング70はコネクタ60の外周を取り囲む壁を構成している。具体的には、リセプタクル6は、コネクタ60の左右に位置するガイド壁部71と、リセプタクル6の開口6aの奥部に位置し、左右のガイド壁部71に掛け渡される奥壁部72とを有している。上述したように、ハウジング70とカバー79は全体として挿入方向とは反対方向に向かって(Y1の示す方向に向かって)開いた箱状となっている。ハウジング70とカバー79は、例えば樹脂によって形成される。
【0038】
コネクタ60は、その右側部分及び左側部分がガイド壁部71と回路基板9との間に挟まれるようにして回路基板9上に配置される(図9参照)。図6に示すように、コネクタ60の右側部分及び左側部分には孔60bが形成されている。また、回路基板9には導電パッド9cの左右に位置する孔9bが形成されている。一方、ガイド壁部71の下面には突起(不図示)が形成され、各突起は孔60b,9bに嵌められ、コネクタ60の位置を規定している。
【0039】
図6又は図10に示すように、リセプタクル6の開口6aには、左右方向に細長いシャッター77が配置されている。シャッター77の両端部はガイド壁部71の最前部によって回転可能に支持され、シャッター77は開口6aを閉じる位置(図10(a)に示すシャッター77の位置)と、開口6aを開ける位置(図9に示すシャッター77の位置)との間で移動可能となっている。シャッター77は閉位置から挿入方向に倒れることで閉位置に至る。なお、シャッター77は、バネ(不図示)によって開口6aを閉じる位置に付勢されている。図10(a)及び図10(b)に示すように、プラグ2の挿入時には、シャッター77は装着プレート30の前壁部32に押されて挿入方向に倒れる。
【0040】
図8に示すように、左右のガイド壁部71の間隔(ガイド壁部71の内側の面の距離)は、装着プレート30の挿入板部30aの横幅に対応している。すなわち、ガイド壁部71の間隔は挿入板部30aの幅と概ね等しくなっている。そのため、挿入板部30a,20aの挿入過程において、それらの移動方向はガイド壁部71によって案内され、左右方向における挿入板部30a等の位置はガイド壁部71によって規定されている。
【0041】
奥壁部72は挿入板部30a,20aの前後方向の位置を規定している。すなわち、図9に示すように、挿入板部30aの最前部が奥壁部72に当った時に、プラグ基板20に形成された導電パッド21が、それに対応する第1導電部62と正対する(すなわち、第1導電部62の直上に位置する)。
【0042】
また、図8及び図9に示すように、リセプタクル6は左右のガイド壁部71の内側に下ガイド部73を有している。この例では、ハウジング70は各ガイド壁部71に沿って形成される左右の下ガイド部73を有している。下ガイド部73はハウジング70の前部から挿入方向に伸びている。下ガイド部73はガイド壁部71の下縁に沿って形成され、回路基板9上に配置されている。
【0043】
図10(c)に示すように、挿入板部20a,30aの挿入過程において、下ガイド部73は、プラグ基板20がコネクタ60のコンタクト60cから当該プラグ基板20の厚さ方向(この説明では上方)に離れて位置するようにプラグ基板20を支持する。この例では、プラグ基板20には装着プレート30が取り付けられている。そして、下ガイド部73は装着プレート30を支持することによって、導電パッド21が第1導電部62(詳細には、後述する接触突起部66)に接触する接触位置(図9に示すプラグ基板20の位置)よりも高い位置にプラグ基板20は支持される。ここでは、下ガイド部73の上面は、装着プレート30の挿入板部30aの左右の縁を支持する。より詳細には、下ガイド部73は、挿入板部30aの側壁部33の下面の前部(以下において、被ガイド面)33aを支持する。挿入過程において、被ガイド面33aは下ガイド部73上をスライドする。
【0044】
このように、挿入板部20a,30aの挿入過程におけるそれらの高さは、回路基板9上に配置される下ガイド部73によって規定され、挿入板部20a,30aの左右の位置は、左右のガイド壁部71の内側の面によって規定されている。これによって、挿入板部20a,30aをリセプタクル6に容易に嵌めることができる。つまり、装着プレート30の側面と左右のガイド壁部71とに、互いに嵌り合う溝や凸部を形成し、それによって挿入板部20a,30aの位置を規定する構造では、挿入板部20a,30aの挿入する際に、まず凸部を溝の位置に合わせる必要が生じる。本実施形態では、そのような作業が不要となるので、挿入作業を容易化できる。
【0045】
図9に示すように、挿入板部30aの最前部が奥壁部72に当ったとき、すなわち、プラグ基板20の導電パッド21がコネクタ60の第1導電部62に正対したとき、被ガイド面33aの全体が下ガイド部73よりも挿入方向における前方に位置し、下ガイド部73による被ガイド面33aの支持は解消される。挿入板部30aの左右の縁(側壁部33の下面)には、被ガイド面33aの後方に位置する逃げ溝33bが形成されている(図4参照)。挿入板部30aの最前部が奥壁部72に当ったとき、下ガイド部73は逃げ溝33bに嵌り、プラグ基板20及び装着プレート30がコネクタ60に向かって下方に動く。このように、下ガイド部73は、導電パッド21が第1導電部62に正対した状態では、プラグ基板20のコネクタ60側への移動を許容するよう形成されている。
【0046】
また、図9に示すように、下ガイド部73はストッパ面73aを有している。ストッパ面73aは、導電パッド21がコネクタ60上に位置するようプラグ基板20及び装着プレート30が配置された時に、装着プレート30の挿入板部30aに引っ掛かり、装着プレート30及びプラグ基板20の抜けを阻止する。この例では、装着プレート30の側壁部33では、挿入板部30aのガイド面33aと逃げ溝33bとの間に、挿入方向と反対方向に向いた面(以下、当接面)が形成されている。下ガイド部73の前方に向いた端面は、当接面と挿入方向で向き合っており、ストッパ面73aとして機能している。
【0047】
図6又は図7に示すように、リセプタクル6には、当該リセプタクル6に挿入された挿入板部20a,30aをコネクタ60のコンタクト60cに向けて押し下げる板バネ81が設けられている。プラグ基板20の導電パッド21は板バネ81の弾性力によってコネクタ60の第1導電部62に押し付けられる。これにより、第1導電部62と導電パッド21との間に良好な接触安定性が得られる。この例では、上述したように、リセプタクル6は金属製の上プレート80を有している。上プレート80は、挿入板部20a,30aの上方に位置する開口が形成された四角い枠部82を有している。板バネ81は枠部82から開口の内方に向かって伸びるよう形成されている。
【0048】
この例の板バネ81は左右方向に細長い板バネであり、一方のガイド壁部71上に位置する部分から反対側のガイド壁部71上に位置する部分に向かって伸びるよう配置されている。また、この例の挿入板部20a,30aやリセプタクル6も左右方向に長い矩形である。そのため、板バネ81を左右方向に配置することによって、板バネ81の長さを確保できている。
【0049】
図6又は図7に示すように、リセプタクル6には板バネ81による挿入板部20aの押圧を解除するための操作レバー78が設けられている。この例の操作レバー78は板状の部材であり、板バネ81と装着プレート30との間に配置される(図9参照)。そのため、板バネ81の弾性力は操作レバー78を介してプラグ基板20と装着プレート30とに作用する。上述したように、この例では、プラグ基板20上にはプレート29が取り付けられ、プレート29の最前部には挿入板部30aから上方に突出した複数の被押圧部29aが設けられている。板バネ81は被押圧部29aに当たり、当該被押圧部29aを押し下げる。この時、プレート29と上プレート80とが操作レバー78と被押圧部29aを介して電気的に繋がる。
【0050】
被押圧部29aはプレート29と同様に金属製である。そのため、板バネ81の弾性力は金属製部材(ここでは操作レバー78、被押圧部29a,プレート29)のみを介してプラグ基板20に作用する。その結果、金属よりも剛性の低い樹脂製の装着プレート30等を介して板バネ81の弾性力がプラグ基板20に作用する場合に比して、弾性力の損失が抑えられる。
【0051】
図3又は図10(c)に示すように、装着プレート30の凸部30dの上面は、その前部に、前方に向かって下方に傾斜した傾斜面30eを有している。傾斜面30eには孔30cが形成され、この孔30cから被押圧部29aが僅かに突出している。傾斜面30eに位置する被押圧部29aは、それより後の被押圧部29aよりも僅かに低い位置に位置している。そのため、挿入板部30a,20aをリセプタクル6に挿入する際には、段階的に挿入力が増す。なお、被押圧部29aは孔30cから突出する突起でなくてもよい。例えば、凸部30dが操作レバー78から板バネ81の弾性力を受ける被押圧部として機能してもよい。
【0052】
図6又は図7に示すように、操作レバー78は細長い板状であり、その一方の端部がハウジング70の奥壁部72上で支持されている。具体的には、奥壁部72の上面の中央部には突起72aが形成されている。操作レバー78の端部は突起72aによって回動可能に支持されている。操作レバー78は突起72aを中心にして回路基板9と平行な平面上で動くことができる。すなわち、操作レバー78は、板バネ81と被押圧部29aとの間の位置である押圧位置(図8において実線で示される操作レバー78の位置)と、押圧位置から退避した解除位置(図8において二点鎖線で示された操作レバー78の位置)との間で移動可能となっている。操作レバー78が解除位置に配置されたとき、板バネ81による挿入板部20a,30aの押し下げは解除される。その結果、挿入板部20a,30aをリセプタクル6から抜くことができるようになる。
【0053】
図6又は図7に示すように、操作レバー78は押圧板部78aを有している。押圧板部78aは、突起72aに支持された端部から挿入方向と反対方向に直線的に伸びている。操作レバー78が押圧位置に配置されているときに、押圧板部78aは板バネ81の弾性力を受けて被押圧部29aを押し下げる。この時、押圧板部78aは挿入板部30aの幅方向における中央の上方に位置している。そのため、板バネ81が左右方向に配置される一方で、その弾性力は押圧板部78aを介して挿入板部30aの右側部分と左側部分とに均等に作用する。操作レバー78が解除位置に配置された時、押圧板部78aは被押圧部29aと板バネ81との間の位置から退く。その結果、被押圧部29aと板バネ81との間に隙間が形成される。これにより、ハウジング70のストッパ面73aによる装着プレート30の係止を解除することができ、プラグ基板20及び装着プレート30の抜き方向の移動が許容される。
【0054】
操作レバー78が押圧位置に配置された状態では、図8及び図9に示すように、下ガイド部73の前端(上述したストッパ面73a)は押圧板部78aの端部78eよりも前方に位置している。すなわち、前後方向における位置に関して、下ガイド部73と押圧板部78aは部分的に重なっている。そのため、挿入板部30a,20aの挿入過程においても、板バネ81の弾性力が挿入板部30a,20aに作用する。すなわち、挿入板部20a,30aの挿入過程で(挿入板部20a,30aが奥壁部72に当る前に)、挿入板部20a,30aには板バネ81の弾性力を受けて下ガイド部73の水平な上面に押し付けられる。その結果、挿入板部20a,30aの挿入過程で、挿入板部20a,30aが傾くことが抑えられる。
【0055】
図8に示すように、操作レバー78はさらに操作板部78bを有している。操作板部78bは、挿入方向の反対方向、且つ、一方のガイド壁部71に向かって、押圧板部78aから斜めに伸びている。操作板部78bは、その端部に、リセプタクル6の開口6aの外側に位置する操作部78dを有している。作業者は操作部78dを左右方向に動かすことによって、操作レバー78を押圧位置と解除位置との間で移動させることができる。操作部78dは一方のガイド壁部71に寄せて配置されている。そのため、操作レバー78の、突起72aを中心とした可動範囲を広くすることができている。
【0056】
ここで、図11乃至図15を参照しながら、コネクタ60について詳細に説明する。
【0057】
上述したように、コネクタ60はシート61と、その両面を導通する複数のコンタクト60cとを有している。各コンタクト60cはシート61の一方の面側(この例では、上面側)に形成された第1導電部62と、他方の面側(下面側)に形成されるとともに第1導電部62に電気的に接続された第2導電部67とを有している。
【0058】
シート61は絶縁性及び柔軟性を有する材料(例えば、上述したポリイミドフィルムや、ポリエステルフィルム)によって形成されている。この例のシート61は左右方向(X1−X2に示す方向)に長い矩形である。
【0059】
図11に示すように、複数の第1導電部62は格子状に配置されている。具体的には、第1導電部62は、左右方向及び前後方向(Y1−Y2方向)で並んでいる。この例では、後において詳説するように、左右方向で隣接する2つの第1導電部62は、その向きが互いに反対になるように形成されている。
【0060】
コンタクト60cはシート61の厚さ方向(すなわちプラグ基板20の厚さ方向、ここでは上下方向)の弾性を有するように形成されている(図15参照)。具体的には、図13に示すように、コンタクト60cの第1導電部62は、端部64aが厚さ方向に動くよう弾性変形可能な板バネ状のバネ部63を有している。また、第1導電部62は、端部64a上に形成され、シート61の厚さ方向(ここでは上方)に突出する接触突起部66を有している。コネクタ60上にプラグ基板20が配置された時には、接触突起部66は押し下げられるとともに、バネ部63の弾性力によってプラグ基板20の導電パッド21に押し付けられる(図15参照)。
【0061】
図12又は図13に示すように、バネ部63は、固定板部65と、固定板部65から端部64aに向かって直線的に伸びるとともに接触突起部66が押し下げられたときに弾性的に傾斜するアーム部64とを有している。固定板部65とアーム部64は同一平面上に位置している。
【0062】
アーム部64は細長い板状に形成されている。また、アーム部64の幅は固定板部65に向かって徐々に大きくなっている。接触突起部66が押し下げられたとき、バネ部63は固定板部65が固定された片持ち梁状となってアーム部64が撓み、その結果、アーム部64は傾斜する。
【0063】
固定板部65はアーム部64の基部に位置するメイン板部65aを有している。また、固定板部65は左右のサイド板部65bを有している。サイド板部65bは、メイン板部65aの右側部分と左側部分から、アーム部64と同じ方向に伸び、アーム部64の左右に位置している。その結果、アーム部64が傾斜した時に、バネ部63に作用する負荷が固定板部65の広い範囲に分散する。これにより、バネ部63の耐久性を向上できる。
【0064】
バネ部63はシート61の表面上に形成されている。すなわち、固定板部65とアーム部64の双方がシート61上に位置している。この例では、図12又は図13に示すように、シート61は、アーム部64が形成された細長い可動片61aを有している。固定板部65はシート61の残部に形成されている。具体的には、固定板部65は可動片61aの基部に形成されている。バネ部63は接着剤によってシート61に貼り付けられている。
【0065】
可動片61aの外周はシート61を貫通する溝61bに囲まれ、可動片61aはその一方の端部を介してシート61の残部と繋がっている。そのため、可動片61aはアーム部64とともに傾斜することができる。アーム部64に外力が作用していない状態では、可動片61aはシート61の残部と同一平面上に位置している。
【0066】
左右方向で隣接する2つの第1導電部62は互いに反対方向に向いている。具体的には、図12に示すように、隣接する2つの第1導電部62のアーム部64は、それらの固定板部65から互いに反対方向に伸びている。接触突起部66が押し下げられ、アーム部64が傾くときには、固定板部65には、その後部を浮き上がらせようとする力が作用する。ところが、コネクタ60では、隣接する2つのアーム部64の向きが互いに反対であるため、固定板部65の後部を浮き上がらせようとする力を、隣のアーム部64の端部64aを押し下げる力によって打ち消すことができる。
【0067】
また、互いに隣り合う2つの第1導電部62は、それらの一部が左右方向における位置に関して、重なるように配置されている。すなわち、図12に示すように、互いに隣り合う2つの第1導電部62のサイド板部65bは、前後方向で向き合っている。その結果、第1導電部62の配置密度を向上できている。
【0068】
上述したように、アーム部64の端部64a上には接触突起部66が形成されている。接触突起部66は上方に突出するように形成されており、その高さはバネ部63の厚さよりも大きくなっている。接触突起部66は接触突起部66の高さに相当する厚さを有する金属板からエッチング処理によって形成されている。そのため、複数の導電部62の間での接触突起部66の高さに不均一が生じることは抑えられている。
【0069】
図13に示すように、接触突起部66はその上部(端部64aから遠い部分)よりも下部(端部64aに近い部分)が太くなるように形成されている。そのため、接触突起部66を高くした場合でも、接触突起部66がプラグ基板20によって押し下げられたときに損傷し難くなっている。この例では、接触突起部66はアーム部64の端部64aの形状に合わせて断面円形を有し、略円錐台形に形成されている。そのため、接触突起部66の断面は端部64aに向かって徐々に大きくなっている。なお、接触突起部66は太さが均一な柱状でもよい。
【0070】
図15に示すように、接触突起部66が押し下げられたとき、アーム部64は概ねその基部を中心にして動く。そのため、接触突起部66の位置は、プラグ基板20の導電パッド21に対して僅かに前後方向に動く。その結果、プラグ基板20の導電パッド21の表面に形成された酸化膜が接触突起部66によって除去され、良好な電気的接続が得られる。
【0071】
上述したように、シート61を挟んで第1導電部62の反対側には第2導電部67が形成されている。この例の第2導電部67は、図13又は図14に示すように、シート61を挟んでメイン板部65aの反対側に位置している。第2導電部67はシート61の下面に位置する基台部67aと、基台部67aから接触突起部66と反対方向(この例では、下方)に突出する取付突起部67bとを有している。コネクタ60が回路基板9上に配置されたとき、この取付突起部67bが回路基板9に形成された導電パッド9cに半田等によって固定される。
【0072】
取付突起部67bは、その上部(基台部67aに近い部分)が下部(基台部67aから遠い部分)よりも太くなるように形成されている。これにより、取付突起部67bが損傷し難くなっている。この例では、取付突起部67bは、接触突起部66と同様に、略円錐台形に形成されており、その太さ(断面)は基台部67aに向かって徐々に大きくなっている。なお、取付突起部67bは太さが均一な柱状に形成されてもよい。
【0073】
基台部67aは、図14に示すように、コネクタ60の底面視において、取付突起部67bの基部よりも大きくなるよう形成されている。この例では、基台部67aは矩形の板状に形成され、取付突起部67bは基台部67aよりも小さな円形の断面形状を有している。
【0074】
図13に示すように、コンタクト60cは第2導電部67と第1導電部62とを電気的に繋ぐ導体路68を含んでいる。導体路68はシート61を貫通してメイン板部65aと第2導電部67の基台部67aとを接続している。この例では、導体路68としてブラインドビアがメイン板部65aに形成されている。すなわち、メイン板部65aとシート61の双方を貫通する孔の内面及び孔の縁に形成され金属が導体路68として機能している。
【0075】
また、シート61を挟んでバネ部63の固定板部65と反対側には台座69が形成されている。この例では、台座69はサイド板部65bの反対側に形成され、第2導電部67から離れて位置している。台座69は、シート61の下面に固定されるとともに、第2導電部67の高さに相応した高さを有している。そのため、コネクタ60が回路基板9上に配置されたとき、台座69の下面は回路基板9上に位置し、台座69はサイド板部65bを支持する。すなわち、アーム部64が傾斜するときに、台座69はサイド板部65bがアーム部64にとともに傾斜するのを阻止する。第2導電部67と台座69とによって、第1導電部62の固定板部65の全体が支持される。
【0076】
台座69はサイド板部65bの延伸方向に細長い略直方体状に形成されている。また、この例では、各台座69は、隣接する2つの第1導電部62のサイド板部65bを支持している。詳細には、左右方向で隣接する2つの第1導電部62のサイド板部65bは前後方向に並んでいる(図2参照)。各台座69は、それら前後方向に並んだ2つのサイド板部65bの双方を支持している。
【0077】
台座69は金属によって形成されており、第1導電部62の支持がより安定している。この例では、台座69は第2導電部67と同じ材料(例えば、銅)によって形成されている。そのため、台座69は第2導電部67と同じ工程で形成することができる。なお、台座69はサイド板部65bと電気的に接続されていない。
【0078】
以上説明したように、コネクタアッセンブリ1では、プラグ2は、表面に複数の導電パッド21が形成される、ケーブル8と接続するためのプラグ基板20を有している。また、リセプタクル6は、ハウジング70と、複数のコンタクト60cと、下ガイド部73とを有している。ハウジング70は、プラグ基板20が回路基板9の表面に沿った方向に挿入可能となっている。複数のコンタクト60cは、ハウジング70内に形成され、回路基板9の表面に形成された複数の導電パッド9c上に配置される。下ガイド部73は、プラグ基板20の挿入過程においては、プラグ基板20が複数のコンタクト60cからプラグ基板20の厚さ方向に離れて位置するようにプラグ基板20を支持する。また、下ガイド部73は、プラグ基板20の複数の導電パッド21が複数のコンタクト60cに正対した状態においては、プラグ基板20の複数のコンタクト60c側への移動を許容するよう形成されている。
【0079】
このようなコネクタアッセンブリ1によれば、プラグ基板20に形成された複数の導電パッド21を格子状に配置することができる。その結果、プラグ2とリセプタクル6の高さや横幅の増大を抑えながら、導電パッド21の数を増やすことができる。また、プラグの挿入過程では、プラグ基板20は、リセプタクル6の下ガイド部73によって支持され、複数のコンタクト60cから離れている。そのため、プラグ基板20をリセプタクル6に円滑に挿入できる。
【0080】
なお、本発明は以上説明したコネクタアッセンブリ1に限られず、種々の変更が可能である。
【0081】
例えば、以上の説明では、コネクタ60はその表側に第1導電部62を有し、その裏側に第2導電部67を有していた。しかしながら、コネクタ60の構造はこれに限られず、例えば、異方性導電シートでもよい。
【0082】
また、以上の説明では、装着プレート30を支持する下ガイド部73はハウジング70のガイド壁部71の下縁に形成されていた。しかしながら、装着プレート30を支持するガイド部の位置はこれに限られない。例えば、ガイド壁部71の内側の面に溝が形成され、この溝がガイド部として機能してもよい。この場合、装着プレート30にはこの溝に沿ってスライドする凸部が形成される。
【符号の説明】
【0083】
1 コネクタアッセンブリ、2 プラグ、6 リセプタクル、8 ケーブル、9 回路基板、20 プラグ基板、20a 挿入板部、21 導電パッド、29 プレート、29a 被押圧部、30 装着プレート、30a 挿入板部、30d 凸部、32 前壁部、33 側壁部、33a 被ガイド面、33b 逃げ溝、34 ガイド溝、40 スライドカバー、41 カバー部、42 収容部、50 ハウジング、51 ホルダ、60 コネクタ、60c コンタクト、61 シート、62 第1導電部、67 第2導電部、68 導体路、69 台座、70 ハウジング、71 ガイド壁部、72 奥壁部、73 下ガイド部、73a ストッパ面、77 シャッター、78 操作レバー、78a 押圧板部、78b 操作板部、78d 操作部、79 カバー、80 上プレート、81 板バネ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルの端部に取り付けるためのプラグと、接続対象となる回路基板上に配置するためのリセプタクルと、を備えるコネクタアッセンブリであって、
前記プラグは、表面に複数の導電パッドが形成される、前記ケーブルと接続するための基板を有し、
前記リセプタクルは、
前記プラグの前記基板が前記回路基板の表面に沿った方向に挿入可能なハウジングと、
前記ハウジング内に形成される、前記接続対象となる回路基板の表面に形成された複数の導電パッド上に配置するための複数のコンタクトと、
前記プラグの前記基板の挿入過程においては、前記基板が前記複数のコンタクトから前記基板の厚さ方向に離れて位置するように前記基板を支持し、前記基板の前記複数の導電パッドが前記複数のコンタクトに正対した状態においては、前記基板の前記複数のコンタクト側への移動を許容するよう形成されたガイド部と、を有する、
ことを特徴とするコネクタアッセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタアッセンブリにおいて、
前記リセプタクルは、当該リセプタクルに挿入された前記基板を、前記複数のコンタクトに向けて押圧するためのバネを有する、
ことを特徴とするコネクタアッセンブリ。
【請求項3】
請求項2に記載のコネクタアッセンブリにおいて、
前記リセプタクルは、前記バネによる前記基板の押圧を解除するための操作部材を有している、
ことを特徴とするコネクタアッセンブリ。
【請求項4】
請求項2に記載のコネクタアッセンブリにおいて、
前記基板上には、前記バネが当る、前記基板とは別体の被押圧部が配置されている、
ことを特徴とするコネクタアッセンブリ。
【請求項5】
請求項1に記載のコネクタアッセンブリにおいて、
前記プラグは前記基板の前記表面とは反対側の面に取り付けられた板状の装着部材をさらに含み、
前記装着部材は前記ガイド部上をスライドする被ガイド部を有している、
ことを特徴とするコネクタアッセンブリ。
【請求項6】
請求項1乃至5に記載のコネクタアッセンブリにおいて、
前記プラグは、前記基板に形成された前記複数の導電パッドを覆う閉位置と、前記複数の導電パッドを露出させる開位置との間で移動可能なカバーを有する、
ことを特徴とするコネクタアッセンブリ。
【請求項7】
請求項6に記載のコネクタアッセンブリにおいて、
前記カバーは前記閉位置から前記開位置まで前記プラグの挿入方向とは反対方向に移動可能となっている、
ことを特徴とするコネクタアッセンブリ。
【請求項8】
請求項1乃至7に記載のコネクタアッセンブリにおいて、
前記リセプタクルは前記ハウジング内に配置されるシート状のコネクタを含み、
前記複数のコンタクトは前記コネクタに形成されている、
ことを特徴とするコネクタアッセンブリ。
【請求項9】
請求項1乃至8に記載のコネクタアッセンブリにおいて、
前記複数のコンタクトは前記基板の厚さ方向に弾性変形可能に形成されている、
ことを特徴とするコネクタアッセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−38527(P2012−38527A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176717(P2010−176717)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(591043064)モレックス インコーポレイテド (441)
【氏名又は名称原語表記】MOLEX INCORPORATED
【Fターム(参考)】