説明

コネクタユニット

【課題】コネクタ同士が嵌合方向を中心とした回転方向に位置ずれしていても、コネクタ同士を確実に嵌合することができるコネクタユニットを提供する。
【解決手段】コネクタユニット1は、シート側ユニット40とヘッドレスト側ユニット41とを備えている。シート側ユニット40は第1コネクタ4を備えている。ヘッドレスト側ユニット41は第2コネクタ43を備えている。第1コネクタ4には該第1コネクタ4の外面から凸に形成されたリブ60が設けられている。第2コネクタ43には該第2コネクタ43の内面から凹に形成されたリブ収容部64が設けられている。そして、第1コネクタ4と第2コネクタ43とが嵌合する際に、リブ60がリブ収容部64内に侵入して、コネクタ4,43同士を軸芯回り方向の調芯をすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線の接続等に使用されるコネクタを備えたコネクタユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
移動体としての自動車のヘッドレストには、モニタや衝突時のむち打ちを防止するむち打ち防止装置などの各種の電子機器が取り付けられることがある。この種のヘッドレストに取り付けられる電子機器に所望の電力や信号を供給するために、従来から種々のコネクタユニット(例えば、特許文献1参照)が用いられてきた。
【0003】
特許文献1に例示されたコネクタユニットは、第1の物品としてのシートなどに取り付けられた第1のコネクタと、第2の物品としてのヘッドレストに取り付けられて前記第1のコネクタと嵌合する第2のコネクタと、を備えている。第1のコネクタは、四角柱状に形成され、かつ第2のコネクタ寄りの先端部の全周に該第1のコネクタを先細に形成するテーパ面が設けられている。第2のコネクタは、四角筒状に形成され、かつ第1のコネクタ寄りの先端部の内面の全周に該第2のコネクタの開口を徐々に広げるテーパ面が設けられている。
【0004】
前述した特許文献1に示されたコネクタユニットは、テーパ面同士が接触することで、嵌合方向(嵌合する際にコネクタ同士が近づく方向)に対して直交しかつ互いに直交する二方向のコネクタ同士の位置決めを行って、これらのコネクタ同士を嵌合しやすくしている。
【特許文献1】特開2000−40556号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したコネクタユニットは、コネクタ同士を前述した嵌合方向に対して直交する二方 向に位置決めするので、一方のコネクタが嵌合方向を中心とした回転方向に位置ずれし ていると、該コネクタ同士を嵌合することが困難であった。
【0006】
したがって、本発明の目的は、コネクタ同士が嵌合方向を中心とした回転方向に位置ずれしていても、コネクタ同士を確実に嵌合することができるコネクタユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明のコネクタユニットは、第1コネクタと、前記第1コネクタを収容して当該第1コネクタを保持するホルダと、前記ホルダを収容して当該ホルダを保持する収容部材と、前記第1コネクタを保持する前記ホルダに挿入されて該第1コネクタと嵌合する第2コネクタと、を備えたコネクタユニットにおいて、前記第1コネクタと前記第2コネクタとのうちの一方が軸芯回りに回転自在に設けられ、かつ、前記第1コネクタと前記ホルダとのうちの一方と、前記第2コネクタと、のうちの一方にリブが設けられ、他方に該リブが侵入するリブ収容部が設けられており、前記リブ収容部が、前記第1コネクタと前記第2コネクタとが互いに近づく方向に向かうにしたがって徐々に幅が広くなるように形成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の本発明のコネクタユニットは、請求項1に記載のコネクタユニットにおいて、前記第1コネクタと前記第2コネクタとのうちの一方に前記リブが設けられ、他方に前記リブ収容部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の本発明のコネクタユニットは、請求項2に記載のコネクタユニットにおいて、前記第1コネクタと前記第2コネクタとのうちの前記他方は、前記一方が挿入される筒部を備えるとともに、該筒部に前記リブ収容部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の本発明のコネクタユニットは、請求項3に記載のコネクタユニットにおいて、前記リブが、前記第1コネクタと前記第2コネクタとのうちの一方から互いに逆方向に突出して一対設けられ、かつ前記リブ収容部が、前記筒部に一対設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の本発明のコネクタユニットは、請求項4に記載のコネクタユニットにおいて、前記リブが、該リブの内側に前記端子金具を収容する端子収容室を備えていることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の本発明のコネクタユニットは、請求項1に記載のコネクタユニットにおいて、前記ホルダと前記第2コネクタとのうちの一方に前記リブが設けられ、他方に前記リブ収容部が設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の本発明のコネクタユニットは、請求項1乃至請求項6のうちいずれか一項に記載のコネクタユニットにおいて、前記リブ収容部が、前記第1コネクタと前記第2コネクタとが互いに近づく方向に向かうにしたがって徐々に幅が広くなるように形成されるとともに、前記リブが当接して該リブが収容されるテーパ面を備えていることを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の本発明のコネクタユニットは、請求項1乃至請求項7のうちいずれか一項に記載のコネクタユニットにおいて、前記リブが、前記第1コネクタと前記第2コネクタとが互いに近づく方向に向かうにしたがって徐々に幅が狭くなるように形成されるテーパ面を備えていることを特徴とする。
【0015】
請求項1に記載された本発明のコネクタユニットによれば、第1コネクタと第2コネクタとのうちの一方が軸芯回りに回転自在に設けられるとともに、第1コネクタとホルダとのうちの一方と、第2コネクタと、のうちの一方にリブが設けられて、他方に第1コネクタと第2コネクタとが互いに近づく方向に向かうにしたがって徐々に幅が広くなるように形成されたリブ収容部が設けられている。このため、コネクタ同士を近づけるとリブがリブ収容部に侵入することによって、第1コネクタと第2コネクタとのうちの一方が軸芯回りに回転して、第1コネクタと第2コネクタとの嵌合の際に、コネクタ同士を軸芯回り方向に調芯することができる。
【0016】
請求項2に記載された本発明のコネクタユニットによれば、第1コネクタと第2コネクタとのうちの一方にリブが設けられて、他方にリブ収容部が設けられているので、コネクタ同士を近づけるとリブがリブ収容部に侵入するため、コネクタ同士を軸芯回り方向に調芯することができる。
【0017】
請求項3に記載された本発明のコネクタユニットによれば、第1コネクタと第2コネクタとのうちの一方が挿入される筒部を他方に備え、かつ該筒部にリブ収容部が設けられている。このため、第1コネクタと第2コネクタとのうちの他方の筒部に一方が挿入されることで、リブがリブ収容部に侵入するため、コネクタ同士を軸芯回り方向に調芯することができる。
【0018】
請求項4に記載された本発明のコネクタユニットによれば、第1コネクタと第2コネクタとのうちの一方から互いに逆方向に突出して一対のリブが設けられるとともに、筒部に一対のリブ収容部が設けられている。このため、コネクタ同士が嵌合方向を中心に回転方向に位置ずれしていても、一対のリブを一対のリブ収容部に侵入させることによって、コネクタ同士を軸芯回り方向に確実に調芯することができる。
【0019】
請求項5に記載された本発明のコネクタユニットによれば、リブの内側には、端子金具を収容する端子収容室が設けられている。このため、コネクタに端子収容室を設けることによってリブを設けることができ、コネクタの大型化を抑制することができる。
【0020】
請求項6に記載された本発明のコネクタユニットによれば、リブがホルダと第2コネクタとのうちの一方に設けられて、他方にリブ収容部が設けられている。このため、第2コネクタが、ホルダに挿入される際に該ホルダと軸芯回り方向に調芯することができ、かつホルダに収容されて保持された第1コネクタと軸芯回り方向に調芯することができる。
【0021】
請求項7に記載された本発明のコネクタユニットによれば、第1コネクタと第2コネクタとが互いに近づく方向に向かうにしたがって徐々に幅が広くなるように形成され、かつリブが当接して収容されるテーパ面をリブ収容部が備えている。このため、リブ収容部にリブをスムーズに収容することができ、コネクタ同士の軸芯回り方向の調芯をスムーズにすることができる。
【0022】
請求項8に記載された本発明のコネクタユニットによれば、第1コネクタと第2コネクタとが互いに近づく方向に向かうにしたがって徐々に幅が狭くなるように形成されるテーパ面をリブが備えている。このため、リブをリブ収容部にスムーズに収容することができ、コネクタ同士の軸芯回り方向の調芯をスムーズにすることができる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように請求項1に記載の本発明は、コネクタ同士を近づけるとリブがリブ収容部に侵入することによって、第1コネクタと第2コネクタとのうちの一方が軸芯回りに回転して、第1コネクタと第2コネクタとの嵌合の際に、コネクタ同士を軸芯回り方向に調芯することができる。したがって、コネクタ同士が嵌合方向を中心に回転方向に位置ずれしている場合でも、コネクタ同士を近づけることで該コネクタ同士を確実に嵌合することができる。
【0024】
請求項2に記載の本発明は、コネクタ同士を近づけるとリブがリブ収容部に侵入することによって、コネクタ同士を軸芯回り方向に調芯することができる。したがって、コネクタ同士を近づけることで該コネクタ同士を確実に嵌合することができる。
【0025】
請求項3に記載の本発明は、第1コネクタと第2コネクタとのうちの他方の筒部に一方が挿入されることで、リブがリブ収容部に侵入するため、コネクタ同士を軸芯回り方向に調芯することができ、該コネクタ同士を確実に嵌合することができる。
【0026】
請求項4に記載の本発明は、コネクタ同士が嵌合方向を中心に回転方向に位置ずれしていても、一対のリブを一対のリブ収容部に侵入させることによって、コネクタ同士を軸芯回り方向に確実に調芯することができ、該コネクタ同士を確実に嵌合することができる。
【0027】
請求項5に記載の本発明は、コネクタに端子収容室を設けることによってリブを設けることができ、コネクタの大型化を抑制することができる。したがって、コネクタ同士を軸芯回り方向に調芯するための構造を設けることでコネクタが大型化することを抑制することができる。
【0028】
請求項6に記載の本発明は、第2コネクタが、ホルダに挿入される際に該ホルダと軸芯回り方向に調芯することができ、かつホルダに収容されて保持された第1コネクタと軸芯回り方向に調芯することができる。したがって、コネクタ同士が嵌合方向を中心に回転方向に位置ずれしている場合でも、コネクタ同士を近づけることで該コネクタ同士を確実に嵌合することができる。
【0029】
請求項7に記載の本発明は、リブ収容部にリブをスムーズに収容することができ、コネクタ同士の軸芯回り方向の調芯をスムーズにすることができ、コネクタ同士を確実に嵌合することができる。
【0030】
請求項8に記載の本発明は、リブをリブ収容部にスムーズに収容することができ、コネクタ同士の軸芯回り方向の調芯をスムーズにすることができ、コネクタ同士を確実に嵌合することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明の一実施形態にかかるコネクタユニットを、図1乃至図26を参照して説明する。図1などに示すコネクタユニット1は、自動車などのヘッドレストに取り付けられるモニタやむち打ち防止装置などの各種の電子機器に所望の電力や信号を伝送するために用いられる。
【0032】
コネクタユニット1は、図1及び図2に示すように、シート側ユニット40と、ヘッドレスト側ユニット41と、クリップ5と、該シート側ユニット40に設けられたリブ60と、該ヘッドレスト側ユニット41に設けられたリブ収容部64(図8に示す)とを備えている。
【0033】
シート側ユニット40は、図1及び図2に示すように、ブラケット2と、ホルダ3と、第1コネクタ4と、固定部材としてのプレート6(図2に示す)と、ボルト7(図2に示す)とを備えている。
【0034】
ブラケット2は、絶縁性の合成樹脂で構成され、第1の物品としての自動車のシートに取り付けられる。ブラケット2は、板状の本体部8と、一対の収容部9とを備えている。本体部8は、一対の収容部9同士を連結している。一対の収容部9は、互いに間隔をあけて平行に配置されている。収容部9は、収容部本体(収容部材に相当する)10と、フランジ部11とを備えている。収容部本体10は、図11及び図12に示すように、円環状の底板12と、該底板12の外縁から立設した円筒状の円筒部13とを一体に備えて、有底筒状に形成されている。
【0035】
円筒部13には、直線孔14が貫通している。直線孔14は、円筒部13即ち収容部9の収容部本体10の軸芯に対して直交する方向に沿って、直線状に延在している。直線孔14は、ホルダ3に設けられた後述する直線状切欠き20及び後述するステー42に設けられた直線孔47との双方と連通する。収容部本体10は、内側にホルダ3を収容して、当該ホルダ3を保持する。
【0036】
フランジ部11は、板状に形成されているとともに、収容部本体10の円筒部13の底板12から離れた側の外縁から該収容部本体10の円筒部13の外周方向に延在している。フランジ部11は、収容部本体10の円筒部13の底板12から離れた側の外縁の約半周分に設けられている。フランジ部11には、該フランジ部11の外周に向かうにしたがって段階的に該フランジ部11を厚くする段差15が設けられている。さらに、フランジ部11の本体部8寄りの端部には、ボルト通し孔16が設けられているとともに、該ボルト通し孔16とねじ孔が連通したナットが埋設されている。
【0037】
ホルダ3は、絶縁性の合成樹脂で構成されており、全体として円筒状に形成されている。ホルダ3は、図2に示すように、円筒状のホルダ本体17と、フランジ部18とを一体に備えている。ホルダ本体17は、複数の切欠きや孔が設けられて全体として円筒状に形成されている。ホルダ本体17は、収容部本体10内に収容される。このため、ホルダ3は、収容部本体10即ちブラケット2を介して、第1の物品としてのシートに取り付けられる。
【0038】
ホルダ本体17には、図2に示すように、複数の弾性変形アーム19と、直線状切欠き20と、保持用係合部としてのホルダロックアーム21とが設けられている。弾性変形アーム19は、弾性変形可能な棒状に形成されており、その一端部がホルダ本体17に連なっている。弾性変形アーム19は、他端部がホルダ本体17に接離する方向に弾性変形自在となっている。弾性変形アーム19は、ホルダ本体17が収容部本体10内に収容されると、他端部が収容部本体10の円筒部13の内面と接触する。弾性変形アーム19は、他端部が収容部本体10の円筒部13の内面と接触して弾性変形することで、ホルダ本体17を収容部本体10内で移動自在に支持するとともに、常に収容部本体10の中央に向かって付勢している。
【0039】
さらに、弾性変形アーム19は、他端部が収容部本体10の円筒部13の内面から凸のリブに当接することで、収容部本体10に対してホルダ3を軸芯を中心として回転自在とするとともに、該ホルダ3の収容部本体10に対する軸芯を中心とした回転方向の向きを、予め定められた向きに位置決めしている。なお、図示例では、弾性変形アーム19の他端部と前述したリブとの間に間隔が設けられて、弾性変形アーム19の弾性変形を伴うことなく、この間隔に応じた角度(範囲)内でホルダ3が収容部本体10に対して回転自在となっている。ホルダ3が収容部本体10に対して軸芯回りに回転自在となることで、収容部本体10に対して第1コネクタ4が軸芯回りに回転自在となっている、即ち、第1コネクタ4と第2コネクタ43とのうち第1コネクタ4が軸芯回りに回転自在となっている。
【0040】
直線状切欠き20は、ホルダ本体17の内外を連通した孔であり、ホルダ3のホルダ本体17の軸芯に対して直交する方向に沿って延在している。直線状切欠き20は、ホルダ3のホルダ本体17が収容部9の収容部本体10内に収容されると、直線孔14と重なって、当該直線孔14と連通する。
【0041】
ホルダロックアーム21は、図示例では、一対設けられている。これら一対のホルダロックアーム21は、ホルダ本体17の中心を挟んで互いに相対する位置に配置されている。ホルダロックアーム21は、図2に示すように、それぞれ、棒状のアーム本体22と凸部としてのロック突起23とを備えている。アーム本体22は、その長手方向がホルダ本体17の軸芯に沿って配置されている。アーム本体22は、長手方向の両端部がホルダ本体17と一体に形成されて、両端部以外の箇所がホルダ本体17と間隔をあけて配置されて、所謂両持ち状に形成されている。ロック突起23は、アーム本体22の長手方向の中央部に配置され、アーム本体22から一対のホルダロックアーム21同士が近づく方向に凸に形成されている。
【0042】
また、ホルダ本体17のヘッドレスト側ユニット41寄りの縁部には、該ホルダ本体17の内周面の全周に亘ってテーパ面33が形成されている。テーパ面33は、ヘッドレスト側ユニット41に近づくのにしたがって、ホルダ本体17の内径を徐々に広げる方向に傾斜している。テーパ面33は、コネクタ4,43同士が嵌合する際に、第2コネクタ43と接触することで、後述する嵌合方向Kに対し直交しかつ互いに直交する二方向にコネクタ4,43同士を位置決めする。
【0043】
フランジ部18は、板状に形成され、かつホルダ本体17が収容部本体10内に収容された際にホルダ本体17のフランジ部11寄りに位置付けられる一方の端部からホルダ本体17の外周方向に延在している。フランジ部18は、ホルダ本体17の前述した一方の端部の約半周分に設けられている。
【0044】
前述したホルダ3は、フランジ部18が収容部9のフランジ部11に重ねられて、ホルダ本体17が収容部9の収容部本体10内に収容される。なお、ホルダ3のフランジ部18は、収容部9の段差15の内側に位置付けられる。そして、ホルダ3は、ホルダ本体17内に第1コネクタ4を収容し、かつホルダロックアーム21に第1コネクタ4の後述するロックアーム27が係合することにより、当該第1コネクタ4を保持する。
【0045】
第1コネクタ4は、図2乃至図5に示すように、端子金具36(図13などに示す)と、コネクタハウジング24とを備えている。端子金具36は、導電性の板金で構成されている。端子金具36は、電線25の端末が取り付けられて、該電線25の芯線と電気的に接続される。
【0046】
コネクタハウジング24は、絶縁性の合成樹脂で構成され、箱状のハウジング本体26と、第1の係合部としてのロックアーム27とを備えている。ハウジング本体26には、複数の端子収容室28が設けられている。端子収容室28は、それぞれ、直線状に延在している。複数の端子収容室28は、互いに平行に配置されている。端子収容室28は、両端がハウジング本体26の外表面に開口した孔(空間)である。
【0047】
ロックアーム27は、コネクタハウジング24に二つ設けられている。ロックアーム27は、互いの間にハウジング本体26を位置付けている。ロックアーム27は、それぞれ、一対のアーム部材37と、該アーム部材37同士を連結したロックビーク38とを備えている。
【0048】
アーム部材37は、それぞれ直線状に延在した棒状に形成されており、互いに間隔をあけて平行に配置されている。アーム部材37は、その一端部がハウジング本体26のヘッドレスト側ユニット41から離れた側の端部に連なっている。アーム部材37は、前述した一端部からヘッドレスト側ユニット41に向かって延在している。アーム部材37は、端子収容室28と平行に配置されている。ロックビーク38は、一対のアーム部材37の他端部同士を連結している。
【0049】
ロックアーム27は、一対のアーム部材37とロックビーク38との間にロック突起23を位置付けて、他端部にホルダロックアーム21が係合する。このように、ロックアーム27は、第1コネクタ4に嵌合する後述する第2コネクタ43から離れた側の一端部がハウジング本体26に連なった片持ち状に形成されている。前述した構成のロックアーム27は、ホルダロックアーム21と係合可能でかつ該ホルダロックアーム21と係合することで、ホルダ3内に第1コネクタ4を保持する。
【0050】
前述した第1コネクタ4は、ホルダ3のホルダ本体17内にフランジ部11から離れた側から挿入されて、該ホルダ本体17内に収容される。第1コネクタ4は、ロックアーム27の他端部にロック突起23が係合して、ホルダ3のホルダ本体17内に保持される。なお、第1コネクタ4は、端子収容室28の長手方向及びホルダ3のホルダ本体17の軸芯と平行な矢印Sに沿って、ホルダ3のホルダ本体17内に挿入される。なお、矢印Sは、ホルダ3のホルダ本体17への第1コネクタ4の挿入方向をなしている。
【0051】
プレート6は、厚手の板金で構成されて、平板状に形成されている。プレート6は、一端部に収容部9のフランジ部11に係止する係止部が設けられ、かつ他端部にボルト7を通すボルト通し孔32が設けられている。プレート6は、係止部が収容部9のフランジ部11に係止した状態で、該フランジ部11に重ねられる。そして、プレート6は、ボルト通し孔32が収容部9のフランジ部11に設けられたボルト通し孔16と連通する。
【0052】
プレート6は、収容部9のフランジ部11との間にホルダ3のフランジ部18を挟む。そして、ボルト通し孔32,16内を通ってナットにボルト7が螺合することで、プレート6は、収容部9のフランジ部11に取り付けられる。プレート6は、収容部9のフランジ部11との間にホルダ3のフランジ部18を挟んで、ホルダ3を収容部9に固定する。
【0053】
前述した構成のシート側ユニット40は、以下のように組み立てられる。まず、図1又は図2に示すように、ホルダ本体17が収容部本体10内に挿入され、かつフランジ部18がフランジ部11に重ねられて、ホルダ3が収容部9に保持される。そして、プレート6がホルダ3のフランジ部18に重ねられて、ボルト7によって収容部9のフランジ部11に固定される。
【0054】
次に、図11に示すように、第1コネクタ4を底板12に設けられた開口部と間隔をあけて相対させる。そして、ホルダ3のホルダ本体17内に第1コネクタ4が挿入されて、図12などに示すように、該第1コネクタ4がホルダ本体17内に保持される。こうして、前述した構成のシート側ユニット40が組み立てられる。
【0055】
ヘッドレスト側ユニット41は、図6に示すように、第2のホルダとしてのステー42と、第2コネクタ43とを備えている。ステー42は、第2の物品としてのヘッドレストに取り付けられる。ステー42は、金属で構成されて、全体として円管状に形成されている。ステー42は、図6及び図7に示すように、その先端部に、一対の切欠き44と、一対の侵入用孔45と、被押圧部46と、直線孔47を設けている。
【0056】
一対の切欠き44は、ステー42の軸芯を挟んで互いに相対する位置に配置されている。切欠き44は、ステー42の先端からヘッドレストに向かって該ステー42の母材を切り欠いて形成されている。
【0057】
一対の侵入用孔45は、ステー42の軸芯を挟んで互いに相対する位置に配置されている。侵入用孔45は、切欠き44とステー42の軸芯に沿って並べられているとともに、該切欠き44と間隔をあけて配置されている。侵入用孔45は、ステー42の母材を貫通して形成されている。侵入用孔45内には、コネクタ4,43同士が完全に嵌合して、ステー42が底板12に押し付けられると、ホルダロックアーム21のロック突起23が侵入する。このように、侵入用孔45は、コネクタ4,43同士が嵌合して、ホルダ3に対してコネクタ4,43が移動した後に、第1のコネクタ4への係合が解除されたホルダロックアーム21のロック突起23が侵入することを許容している。なお、侵入用孔45は、特許請求の範囲に記載された被侵入部をなしている。
【0058】
被押圧部46は、ステー42の軸芯に沿って並ぶ切欠き44と侵入用孔45との間の部分である。被押圧部46は、勿論、ステー42の外壁の一部である。被押圧部46は、コネクタ4,43同士が嵌合した後に、ホルダ3に対してコネクタ4,43が移動する際に、第1コネクタ4への係合が解除されたホルダロックアーム21のロック突起23が当接して、該ホルダロックアーム21のアーム本体22の弾性復元力によって、ロック突起23から押圧される。
【0059】
直線孔47は、ステー42の軸芯に対して直交する方向に沿って直線状に延在している。直線孔47は、勿論、ステー42を貫通している。直線孔47は、コネクタ4,43同士が嵌合して、ステー42がホルダ3の底板12に向かって押し付けられると、前述した直線孔47及び直線状切欠き44と連通する。
【0060】
第2コネクタ43は、図8乃至図10及び図13などに示すように、端子金具48と、コネクタハウジング49とを備えている。端子金具48は、導電性の板金で構成されている。端子金具48は、前述したモニタやむち打ち防止装置などの各種の電子機器と接続した電線50の端末に取り付けられて、該電線50の芯線と接続している。
【0061】
コネクタハウジング49は、絶縁性の合成樹脂で構成され、筒状のハウジング本体51と、該ハウジング本体51の第1コネクタ側に連接された筒部58と、第2の係合部としてのロック突起52と、押圧用突起53とを備えている。ハウジング本体51には、複数の端子収容室57が設けられている。端子収容室57は、それぞれ、直線状に延在している。複数の端子収容室57は、互いに平行に配置されている。端子収容室47は、ハウジング本体51内に設けられた孔(空間)である。ハウジング本体51は、ステー42の先端部内に収容される。ハウジング本体51がステー42内に収容されることで、第2コネクタ43は、ステー42内に収容されて、該ステー42を介して第2の物品としてのヘッドレストに取り付けられる。
【0062】
筒部58は、コネクタハウジング49の第1コネクタ4側の端部に設けられている。筒部58は、ハウジング本体51に連接されているとともに、該ハウジング本体51の外径より大きく形成されている。筒部58は、第1コネクタ4と嵌合する際に、該第1コネクタ4の嵌合方向の先端側の端部が挿入される。
【0063】
ロック突起52は、コネクタハウジング49に二つ設けられている。ロック突起52は、互いの間にハウジング本体51を位置付けている。ロック突起52は、ハウジング本体51のシート側ユニット40寄りの先端から凸に形成されている。ロック突起52には、テーパ面54が設けられている。テーパ面54は、シート側ユニット40に近づくのにしたがって、徐々にハウジング本体51に近づくように即ちロック突起52のハウジング本体51からの突出量が徐々に少なくなるように、傾斜している。ロック突起52は、ロックアーム27の一対のアーム部材37とロックビーク38との間に位置付けられて、該ロックアーム27と係合する。ロック突起52は、ロックアーム27と係合可能でかつ該ロックアーム27と係合することでコネクタ4,43同士を嵌合させる。
【0064】
また、ロック突起52は、シート側ユニット40とヘッドレスト側ユニット41とを互いに近づけて、第2コネクタ43をホルダ3内に挿入していくと、ホルダロックアーム21のロック突起23と当接して、該ロック突起23が第1コネクタ4のハウジング本体26から離れる方向にアーム本体22を弾性変形させる。ロック突起23は、後述する係合解除部55を構成している。
【0065】
押圧用突起53は、コネクタハウジング49に二つ設けられている。押圧用突起53は、互いの間にハウジング本体51を位置付けている。押圧用突起53は、ハウジング本体51のシート側ユニット40寄りの先端部から凸に形成されており、ロック突起52よりもシート側ユニット40から離れた側に配置されている。押圧用突起53は、ロック突起52と間隔をあけて配置され、かつ該ロック突起52とステー42の軸芯に沿って並べられている。押圧用突起53は、第2コネクタ43がステー42内に収容されると、ロック突起52とともに前述した切欠き44内に位置付けられる。押圧用突起53は、ロックアーム27とロック突起52とが互いに係合すると、ロックアーム27のロックビーク38と当接する。
【0066】
前述した第2コネクタ43は、ステー42の先端部内に収容される。第2コネクタ43は、ロック突起52即ち後述する係合解除部55がホルダロックアーム21とロックアーム27との係合を解除した後、ロック突起52がロックアーム27の他端部に係合して、第1コネクタ4と嵌合する。そして、第2コネクタ43は、第1コネクタ4とともにホルダ3の底板12に向かって押し付けられる。
【0067】
前述した構成のヘッドレスト側ユニット41は、以下のように組み立てられる。まず、図6に示すように、第2コネクタ43とステー42とを、該ステー42の軸芯に沿って、間隔をあけて配置する。そして、ステー42内に第2コネクタ43が収容されて、前述した構成のヘッドレスト側ユニット41が組み立てられる。
【0068】
クリップ5は、金属で構成されており、図1及び図2に示すように、直線状の棒状に形成された直線部29と、該直線部29と並行に配置されかつ波形の棒状に形成された波形部30と、直線部29と波形部30との一端同士を連結して円弧状に延在した棒状の円弧部31とを一体に備えて、略U字状に形成されている。クリップ5は、直線部29と波形部30とが互いに接離する方向に弾性変形自在となっている。クリップ5は、直線部29が直線孔14と直線状切欠き20と直線孔47内に侵入し、かつ波形部30と直線部29との間に収容部本体10及び該収容部本体10内のホルダ3を挟み込んで、収容部本体10に取り付けられる。クリップ5は、直線部29が直線孔14と直線状切欠き20と直線孔47内に侵入することで、収容部本体10とホルダ3とステー42即ちコネクタ4,43を相対的に位置決めする。
【0069】
そして、直線部29が直線孔14と直線状切欠き20と直線孔47に挿入されて、直線部29と波形部30との間に収容部本体10を挟み込んで、クリップ5が収容部9即ち互いに接続したシート側ユニット40とヘッドレスト側ユニット41に取り付けられる。
【0070】
リブ60は、図3乃至図5に示すように、第1コネクタ4のコネクタハウジング24のハウジング本体26の外面から凸に形成されている。リブ60は、一対設けられている。これら一対のリブ60は、第1コネクタ4のコネクタハウジング24のハウジング本体26の軸芯を挟んで互いに裏側に位置する外面に設けられている。リブ60は、コネクタ4,43同士の嵌合方向K(コネクタ4,43同士が嵌合する際に、互いに近づく方向)に沿って、直線状に延在している。リブ60は、コネクタハウジング24のハウジング本体26の第2コネクタ43寄りの端から前述した嵌合方向Kに沿って直線状に延在している。そして、リブ60の内側には、前述した端子金具36を収容する端子収容室28が設けられている。
【0071】
リブ60は、図3乃至図5に示すように、本体部61と、テーパ面62と、平面63とが設けられている。本体部61は、その断面形状が一定に形成されている。テーパ面62は、第2コネクタ43に近づくのにしたがってリブ60の幅とハウジング本体26からの突出量が徐々に減少するように、即ち第2コネクタ43に近づくのにしたがってリブ60を徐々に細く形成されている。平面63は、リブ60の第2コネクタ43寄りの先端部に設けられて該第2コネクタ43と相対している。平面63は、コネクタ4,43同士が嵌合した際に第2コネクタ43と当接する。
【0072】
リブ収容部64は、図8乃至図10などに示すように、第2コネクタ43のコネクタハウジング49の筒部58の内面から凹に形成されて、第2コネクタ43のコネクタハウジング49の筒部58の互いに相対する内面に一対設けられている。リブ収容部64は、コネクタ4,43同士の嵌合方向Kに沿って、直線状に延在している。リブ収容部64は、コネクタハウジング49の筒部58の第1コネクタ4寄りの端から前述した嵌合方向Kに沿って直線状に延在している。
【0073】
リブ収容部64は、図8乃至図10に示すように、本体部65と、テーパ面66と、平面67とを備えている。本体部65は、その断面形状が一定に形成されている。本体部65は、リブ収容部64の第1コネクタ4から離れた側に設けられている。テーパ面66は、リブ収容部64の第1コネクタ4寄りの端部に設けられている。テーパ面66は、第1コネクタ4に近づくのにしたがってリブ収容部64の幅とハウジング本体51の内面からの深さが徐々に増加するように、即ち第1コネクタ4に近づくのにしたがってリブ収容部64を徐々に広く形成している。リブ収容部64には、コネクタ4,43同士が嵌合する際にリブが侵入する。そして、リブ収容部64は、コネクタ4,43同士の軸芯回り方向の調芯を可能にする。平面67は、リブ収容部64の内面に設けられて第2コネクタ43と相対している。平面67は、コネクタ4,43同士が軸芯回りの方向に調芯された後、該コネクタ4,43同士が嵌合する際に第1コネクタ4の平面63と当接する。
【0074】
また、前述したコネクタユニット1は、係合解除部55を備えている。係合解除部55は、前述したロック突起52と、第1コネクタ4のロックアーム27のロックビーク38に設けられたテーパ面56と、を備えている。テーパ面56は、ロックビーク38のヘッドレスト側ユニット41から離れた側でかつ第1コネクタ4のコネクタハウジング24の外側に位置する縁部に設けられている。テーパ面56は、ヘッドレスト側ユニット41から離れるのにしたがって第1コネクタ4のコネクタハウジング24のハウジング本体26に徐々に近づく方向に傾斜している。
【0075】
前述した構成の係合解除部55は、ロック突起52とロックアーム27とが係合すると、ホルダロックアーム21のロック突起23を外側に向かって押圧して、ロック突起23がロックアーム27との係合を解除する方向に、アーム本体22を弾性変形させる。そして、ヘッドレスト側ユニット41が、シート側ユニット40により近づけられることで、テーパ面56上にホルダロックアーム21のロック突起23を乗り上げさせて、該ホルダロックアーム21とロックアーム27との係合を完全に解除する。このように、係合解除部55は、ロックアーム27とロック突起52とが互いに係合して、コネクタ4,43同士が嵌合すると、ホルダロックアーム21とロックアーム27との係合を解除して、ホルダ3に対して互いに嵌合したコネクタ4,43を移動自在とする。
【0076】
前述した構成のシート側ユニット40とヘッドレスト側ユニット41とは、以下のように、接続される。ブラケット2がシートに取り付けられ、ステー42がヘッドレストに取り付けられて、これらのシートとヘッドレストとが互いに近づけられる。まず、図12に示すように、ホルダ3と第2コネクタ43とを互いに相対させて、図13に示すように、シート側ユニット40とヘッドレスト側ユニット41とを互いに近づける。このとき、勿論、ホルダロックアーム21とロックアーム27とが互いに係合して、ホルダ3内に第1コネクタ4が保持されている。
【0077】
そして、図14に示すように、テーパ面33によって案内された第2コネクタ43がホルダ3内に侵入して、図15及び図16に示すように、リブ収容部64にリブ60が侵入する。そして、コネクタ4,43同士の軸芯を中心とした向きが、予め定められた向きと異なる場合には、リブ収容部64のテーパ面66とリブ60のテーパ面62などが干渉して、ホルダ3内の第1コネクタ4が予め定められた向きになるまで回転する。こうして、コネクタ4,43同士が調芯される。その後、図16に示すように、第2コネクタ43のコネクタハウジング49内に第1コネクタ4のコネクタハウジング24のハウジング本体26が侵入する。すると、図17に示すように、第2コネクタ43のロック突起52が、第1コネクタ4のロックアーム27のロックビーク38に接触する。そして、ロックビーク38がロック突起52のテーパ面54により押圧されて、ロックビーク38がハウジング本体26から離れる方向に、ロックアーム27が弾性変形する。
【0078】
さらに、ヘッドレスト側ユニット41の第2コネクタ43をホルダ3内に挿入すると、図18に示すように、ロック突起52のテーパ面54上にホルダロックアーム21のロック突起23が乗り上げて、図18、図19及び図20に示すように、ロックビーク38とともにホルダロックアーム21のロック突起23が、第2コネクタ43のロック突起52上に乗り上げて、ロック突起23がハウジング本体26から離れる方向に、ホルダロックアーム21が弾性変形する。
【0079】
そして、ヘッドレスト側ユニット41の第2コネクタ43をホルダ3内に挿入すると、図20に示すように、ロックビーク38が第2コネクタ43のロック突起52を乗り越える。そして、該ロックビーク38がハウジング本体26に近づく方向に、ロックアーム27が中立状態に復帰しようとする。そして、図21に示すように、ロックアーム27が中立状態に復帰して、ロックアーム27とロック突起52とが互いに係合する(即ち、コネクタ4,43同士が嵌合する)とともに、第2コネクタ43のロック突起52上にホルダロックアーム21のロック突起23が乗り上げて、該ホルダロックアーム21のロックアーム27との係合が解除される。
【0080】
さらに、ヘッドレスト側ユニット41の第2コネクタ43をホルダ3内に挿入すると押圧用突起53がロックビーク38を押圧して、図22に示すように、ロックビーク38に設けられたテーパ面56上をホルダロックアーム21のロック突起23が摺動して、該ロック突起23がロックアーム27のロックビーク38上に乗り上げる。こうして、ホルダロックアーム21のロックアーム27への係合が完全に解除されて、互いに嵌合したコネクタ4,43がホルダ3内で移動自在となる。その後、図23に示すように、ホルダロックアーム21のロック突起23が、ロックアーム27のロックビーク38上を摺動して、図24に示すように、ホルダロックアーム21のロック突起23が、ロックアーム27のロックビーク38を完全に乗り越える。
【0081】
そして、図24に示すように、ホルダロックアーム21のロック突起23がステー42の被押圧部46に当接して、アーム本体22の弾性復元力によってホルダロックアーム21のロック突起23が被押圧部46をホルダ3即ちステー42の内側に向かって押圧する。さらに、ヘッドレスト側ユニット41の第2コネクタ43をホルダ3内に挿入すると、図25に示すように、ホルダロックアーム21のロック突起23が被押圧部46上を摺動して、図26に示すように、ホルダロックアーム21のロック突起23が、被押圧部46を乗り越えて、侵入用孔45内に侵入する。ロック突起23が侵入用孔45内に侵入すると、図26に示すように、アーム本体22即ちホルダロックアーム21が、弾性変形していない中立状態に復帰する。また、図26に示すように、第1コネクタ4のコネクタハウジング24のヘッドレスト側ユニット41から離れた側の端部が、ホルダ3外に突出する。
【0082】
すると、直線孔14,47及び直線状切欠き44が互いに連通する。これら互いに連通した直線孔14,47及び直線状切欠き44内にクリップ5の直線部29が挿入されて、該クリップ5が前述したユニット40,41に取り付けられる。クリップ5が、収容部本体10と、ホルダ3と、ステー42とを互いに位置決めして、ホルダ3に対して互いに嵌合したコネクタ4,43を位置決めする。こうして、コネクタユニット1は、前述した構成のユニット40,41が互いに接続され即ちコネクタ4,43同士が嵌合されるとともにステー42からの荷重をクリップ5で支える。コネクタ4,43同士が嵌合すると、勿論、端子金具36,48同士が接続する。こうして、コネクタユニット1は、自動車の車体側の電子機器と、ヘッドレストに取り付けられた電子機器とを互いに接続して、ヘッドレストに取り付けられた電子機器に所望の電力や信号を供給する。
【0083】
本実施形態によれば、第1コネクタ4にリブ60が設けられ第2コネクタ43に該リブ60が侵入するリブ収容部64が設けられているので、コネクタ4,43同士を近づけるとリブ60がリブ収容部64に侵入することで、コネクタ4,43同士を軸芯回りの方向に調芯することができる。したがって、コネクタ4,43同士が嵌合方向Kを中心とした回転方向に位置ずれしていても、コネクタ4,43同士を近づけるだけで、該コネクタ4,43同士を確実に嵌合することができる。
【0084】
リブ収容部64の内面にテーパ面66が設けられているので、コネクタ4,43同士が嵌合方向Kを中心とした回転方向に位置ずれしていても、リブ60がリブ収容部64に侵入した際にテーパ面66と当接することで、リブ60をリブ収容部64にスムーズに挿入することができ、コネクタ4,43同士を軸芯回りの方向にスムーズに調芯することができる。
【0085】
リブ60の先端部にテーパ面66が設けられているので、コネクタ4,43同士が嵌合方向を中心とした回転方向に位置ずれしていても、リブ収容部64内にリブ60がスムーズに侵入することができ、コネクタ4,43同士を軸芯回りの方向にスムーズに調芯することができる。
【0086】
また、リブ60の内側に端子収容室28が設けられているので、第1コネクタ4に端子収容室を設けることによってリブ60を設けることができ、第1コネクタ4の大型化を抑制することができる。
【0087】
前述した実施形態では、第1の物品としてのシートと、第2の物品としてのヘッドレストとを示して、該ヘッドレストに取り付けられる電子機器に所望の信号などを供給するコネクタユニット1を示している。しかしながら、本発明では、これに限定することなく、第1の物品としてのシート以外の物品(自動車以外の物品でも良い)と、第2の物品としてのヘッドレスト以外の物品(自動車以外の物品でも良い)とを用いて、該第2の物品に取り付けられる電子機器に所望の信号などを供給しても良い。
【0088】
また、本実施形態では、リブ60が一つ又は三つ以上設けられてもよく、リブ収容部64が一つ又は三つ以上設けられても良い。本実施形態では、リブ収容部64のテーパ面66とリブ60のテーパ面62との双方を設けなくても良く、即ち、これらのうちの少なくとも一方を設けても良く、設けなくても良い。
【0089】
前述した実施形態では、第1コネクタ4のコネクタハウジング24のハウジング本体26の外面に一対のリブ60を設け、第2コネクタ43のコネクタハウジング49の筒部58の内面に一対のリブ収容部64を設けて、リブ60がリブ収容部64に侵入してコネクタ4、43同士の軸芯回り方向の調芯を可能にしていた。しかしながら、本発明では、図27乃至図30に示すように、第2コネクタ43のコネクタハウジング49のハウジング本体51にリブ70を設け、ホルダ3のホルダ本体17の内面にリブ収容部72を設けて、コネクタ4、43同士の軸芯回り方向の調芯を可能にしても良い。なお、図27乃至図30において、前述した実施形態と同一の構成部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0090】
図27乃至図30に示すように、リブ70は、第2コネクタ43のコネクタハウジング49のハウジング本体51の外面から凸に形成されており、押圧用突起53よりも第1コネクタ4から離れた側に配置されている。リブ70には、テーパ面71が第1コネクタ4側に設けられている。テーパ面71は、第1コネクタ4に近づくのにしたがって徐々にハウジング本体51に近づくように即ちリブ70のハウジング本体51からの突出量が徐々に少なくなるように傾斜している。また、リブ70は、第2コネクタ43がステー42内に収容された際に、ステー42に設けられた係止孔59と係止する該ステー42への取り付けのためのロック突起としての役割も果たしている。
【0091】
リブ収容部72は、図27又は図30に示すように、ホルダ3のホルダ本体17の内面から凹に形成されている。リブ収容部72は、コネクタ4,34同士の嵌合方向Kに沿って、直線状に延在している。リブ収容部72は、ホルダ3の第2コネクタ43が挿入される側の端部から前述した嵌合方向Kに沿って直線状に延在している。リブ収容部72には、テーパ面73が設けられている。
【0092】
テーパ面73は、リブ収容部72のホルダ3に第2コネクタ43が挿入される側の端部に設けられている。テーパ面73は、ホルダ3のホルダ本体17の円周方向に相対して一対設けられている。テーパ面73は、第2コネクタ43に近づくのにしたがってリブ収容部72の幅が徐々に広くなるように傾斜している。リブ収容部72には、第2コネクタ43がホルダ3のホルダ本体17に挿入される際にリブ70が侵入する。そして、リブ収容部72は、第2コネクタ43とホルダ3とを軸芯回りに調芯することによって、ホルダ3のホルダ本体17内に収容されて該ホルダ3に保持された第1コネクタ4と第2コネクタ43とを軸芯回り方向に調芯する。
【0093】
図27乃至図30に示すように、第2コネクタ43にリブ70が設けられて、第1コネクタ43を収容して保持するホルダ3のホルダ本体17の内面に該リブ70が侵入するリブ収容部72が設けられているので、第2コネクタ43をホルダ3のホルダ本体17に挿入することで、第2コネクタ43とホルダ3とを軸芯回り方向に調芯するとともに、コネクタ4,43同士を軸芯回り方向に調芯することができる。したがって、コネクタ4,43同士が嵌合方向Kを中心とした回転方向に位置ずれしていても、第2コネクタ43をホルダ3のホルダ本体17に挿入することで、該コネクタ4,43同士を確実に嵌合することができる。
【0094】
また、リブ収容部72のホルダ3に第2コネクタ43が挿入される側の端部にテーパ面73が設けられているので、第2コネクタ43とホルダ3とが嵌合方向Kを中心とした回転方向に位置ずれしていても、リブ70がリブ収容部72に侵入した際にテーパ面73と当接することで、リブ70をリブ収容部72にスムーズに挿入することができ、第2コネクタ43とホルダ3とを軸芯回り方向に調芯するとともに、コネクタ4,43同士を軸芯回り方向に調芯することができる。
【0095】
さらに、リブ70の第1コネクタ4側にテーパ面71が設けられているので、第2コネクタ43とホルダ3とが嵌合方向Kを中心とした回転方向に位置ずれしていても、リブ収容部72内にリブ70がスムーズに侵入することができ、第2コネクタ43とホルダ3とを軸芯回り方向に調芯するとともに、コネクタ4,43同士を軸芯回り方向に調芯することができる。
【0096】
また、本実施形態では、リブ70が二つ以上設けられてもよく、リブ収容部72が二つ以上設けられても良い。本実施形態では、リブ70のテーパ面71とリブ収容部72のテーパ面73との双方を設けなくても良く、即ち、これらのうちの少なくとも一方を設けても良く、設けなくても良い。
【0097】
本実施形態では、ホルダ3が収容部本体10に対して回転自在となっていることで、第1コネクタ4が収容部本体10に対して軸芯回りに回転自在となっている。しかしながら、本発明では、ホルダ3に対して第1コネクタ4が回転自在でも良く、ステー42に対して第2コネクタ43が回転自在でも良く、第1コネクタ4と第2コネクタ43のうちの一方が軸芯回りに回転自在に設けられていれば良い。
【0098】
本実施形態では、第1コネクタ4にリブ60が設けられ、第2コネクタ43にリブ収容部64が設けられている場合と、第2コネクタ43にリブ70が設けられ、ホルダ3にリブ収容部72が設けられている。しかしながら、本発明では、第1コネクタ4とホルダ3とのうちの一方と、第2コネクタ43とのうちの一方にリブを設けて、他方にリブ収容部を設けていれば良く、リブを第1コネクタ4とホルダ3と第2コネクタ43のうちのいずれに設けても良く、リブ収容部を第1コネクタ4とホルダ3と第2コネクタ43のうちのいずれに設けても良い。
【0099】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の一実施形態にかかるコネクタユニットの斜視図である。
【図2】図1に示されたコネクタユニットのシート側ユニットを分解して示す斜視図である。
【図3】図2に示されたシート側ユニットの第1コネクタの斜視図である。
【図4】図3に示された第1コネクタの正面図である。
【図5】図4中のV−V線に沿う断面図である。
【図6】図1に示されたコネクタユニットのヘッドレスト側ユニットを分解して示す斜視図である。
【図7】図6中のVI−VI線に沿う断面図である。
【図8】図6に示されたヘッドレスト側ユニットの第2コネクタの斜視図である。
【図9】図8に示された第2コネクタの正面図である。
【図10】図9中のVII−VII線に沿う断面図である。
【図11】図1に示されたコネクタユニットのシート側ユニットの収容部と第1コネクタなどを示す正面図である。
【図12】図11に示された第1コネクタが収容部内に保持された状態を示す正面図である。
【図13】図12に示されたシート側ユニットとヘッドレスト側ユニットとが互いに近づけられた状態を示す断面図である。
【図14】図13に示されたシート側ユニットのホルダ内にヘッドレスト側ユニットの弟2コネクタが侵入した状態を示す断面図である。
【図15】図14に示されたシート側ユニットのホルダの更に奥にヘッドレスト側ユニットの弟2コネクタが侵入した状態を示す断面図である。
【図16】図15に示されたシート側ユニットの第1コネクタのハウジング本体がヘッドレスト側ユニットの弟2コネクタ内に侵入した状態を示す断面図である。
【図17】図16に示されたシート側ユニットの第1コネクタのロックビークにヘッドレスト側ユニットの弟2コネクタのロック突起が当接した状態を示す断面図である。
【図18】図17に示されたシート側ユニットの第1コネクタのロックビークがヘッドレスト側ユニットの弟2コネクタのロック突起上に乗り上げた状態を示す断面図である。
【図19】図18に示されたシート側ユニットのホルダのロック突起がヘッドレスト側ユニットの弟2コネクタのロック突起上に乗り上げた状態を示す断面図である。
【図20】図19に示されたシート側ユニットの第1コネクタのロックビークがヘッドレスト側ユニットの弟2コネクタのロック突起を乗り越えた状態を示す断面図である。
【図21】図20に示されたシート側ユニットの第1コネクタとヘッドレスト側ユニットの弟2コネクタとが嵌合した状態を示す断面図である。
【図22】図21に示されたシート側ユニットのホルダのホルダロックアームの第1コネクタのロックアームに対する係合が完全に解除された状態を示す断面図である。
【図23】図22に示されたシート側ユニットのホルダのホルダロックアームのロック突起が第1コネクタのロックビーク上に乗り上げた状態を示す断面図である。
【図24】図23に示されたシート側ユニットのホルダのホルダロックアームのロック突起がヘッドレスト側ユニットのステーの被押圧部上に乗り上げた状態を示す断面図である。
【図25】図24に示されたシート側ユニットのホルダの更に奥にヘッドレスト側ユニットの弟2コネクタが侵入した状態を示す断面図である。
【図26】図25に示されたシート側ユニットのホルダのホルダロックアームのロック突起がヘッドレスト側ユニットのステーの被侵入部内に侵入した状態を示す断面図である。
【図27】本発明の他の実施形態にかかるコネクタユニットのシート側ユニットを分解して示す斜視図である。
【図28】本発明の他の実施形態にかかるコネクタユニットのヘッドレスト側ユニットを分解して示す斜視図である。
【図29】図28に示されたヘッドレスト側ユニットの第2コネクタの斜視図である。
【図30】図27に示されたコネクタユニットのシート側ユニットのホルダ内にヘッドレスト側ユニットの弟2コネクタが侵入した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0101】
1 コネクタユニット
3 ホルダ
4 第1コネクタ
6 プレート(固定部材)
10 収容部本体(収容部材)
28 端子収容室
36 端子金具
43 第2コネクタ
58 筒部
60,70 リブ
62,66,71,73 テーパ面
63,67 平面
64,72 リブ収容部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1コネクタと、
前記第1コネクタを収容して当該第1コネクタを保持するホルダと、
前記ホルダを収容して当該ホルダを保持する収容部材と、
前記第1コネクタを保持する前記ホルダに挿入されて該第1コネクタと嵌合する第2コネクタと、を備えたコネクタユニットにおいて、
前記第1コネクタと前記第2コネクタとのうちの一方が軸芯回りに回転自在に設けられ、かつ、前記第1コネクタと前記ホルダとのうちの一方と、前記第2コネクタと、のうちの一方にリブが設けられ、他方に該リブが侵入するリブ収容部が設けられており、
前記リブ収容部が、前記第1コネクタと前記第2コネクタとが互いに近づく方向に向かうにしたがって徐々に幅が広くなるように形成されていることを特徴とするコネクタユニット。
【請求項2】
前記第1コネクタと前記第2コネクタとのうちの一方に前記リブが設けられ、他方に前記リブ収容部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタユニット。
【請求項3】
前記第1コネクタと前記第2コネクタとのうちの前記他方は、前記一方が挿入される筒部を備えるとともに、該筒部に前記リブ収容部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のコネクタユニット。
【請求項4】
前記リブが、前記第1コネクタと前記第2コネクタとのうちの一方から互いに逆方向に突出して一対設けられ、かつ前記リブ収容部が、前記筒部に一対設けられていることを特徴とする請求項3に記載のコネクタユニット。
【請求項5】
前記リブが、該リブの内側に端子金具を収容する端子収容室を備えていることを特徴とする請求項4に記載のコネクタユニット。
【請求項6】
前記ホルダと前記第2コネクタとのうちの一方に前記リブが設けられ、他方に前記リブ収容部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタユニット。
【請求項7】
前記リブ収容部が、前記第1コネクタと前記第2コネクタとが互いに近づく方向に向かうにしたがって徐々に幅が広くなるように形成されるとともに、前記リブが当接して該リブが収容されるテーパ面を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のうちいずれかに記載のコネクタユニット。
【請求項8】
前記リブが、前記第1コネクタと前記第2コネクタとが互いに近づく方向に向かうにしたがって徐々に幅が狭くなるように形成されるテーパ面を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のうちいずれか一項に記載のコネクタユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2008−52982(P2008−52982A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−226587(P2006−226587)
【出願日】平成18年8月23日(2006.8.23)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】