説明

コネクタ一体型デバイス

【課題】 損傷に対する信頼性を向上させたコネクタ一体型デバイスを提供することを課題とする。
【解決手段】 コネクタ一体型デバイス10は、コネクタ12に固定されたリード14にリードレスセラミックパッケージ16を導電性ペースト18で接合させたデバイスであり、リードレスセラミックパッケージ16には金バンプ22が形成され、金バンプ22がリード14に導電性ペースト18で接合されている。導電性ペースト18は、半田に比べて変形し易く、リードレスセラミックパッケージ16とリード14との熱膨張差が大きくてもクラック等の損傷が生じ難い。その上、リードレスセラミックパッケージ16に形成された金バンプ22によって、導電性ペースト18の膜厚を大幅に増大させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタから延び出すリードに電子部品を電気接続させてなるコネクタ一体型デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品(リードレスセラミックパッケージなど)がコネクタのリードやコネクタ一体型のインシュレータに接続されたコネクタ一体型デバイスが多用されている。従来、この接続では、半田付けによって、機械的接続、電気的接続が行われている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
しかし、電子部品とリードとの線膨張係数の違いが比較的大きい。このため、温度変化(サイクル状の温度変化など)が生じると、主として半田にクラック等の損傷が生じることがある。このため、損傷に対する信頼性を更に向上させたいという要望が出されていた。
【特許文献1】特開2004−144601号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事実を考慮して、損傷に対する信頼性を向上させたコネクタ一体型デバイスを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、電子部品とリードとの線膨張係数の違いが比較的大きく、このため、温度変化によって半田に損傷が生じることに着目した。そして、半田に損傷が生じないような接合形態を鋭意検討した。そして、リードに電子部品を接合する際、半田付け以外の形態で接合すること考え付き、更に検討を重ね、本発明を完成するに至った。
【0006】
請求項1に記載の発明は、コネクタに固定されたリードに電子部品を電気接続させたコネクタ一体型デバイスであって、前記電子部品にバンプが形成され、前記バンプが前記リードに導電性ペーストで接合されていることを特徴とする。
【0007】
導電性ペーストは、半田に比べて変形し易く、電子部品とリードとの熱膨張差が大きくてもクラック等の損傷が生じ難い。その上、電子部品に形成されたバンプによって、上記の導電性ペーストの膜厚を大幅に増大させることができる。従って、請求項1に記載の発明により、損傷に対する信頼性を大幅に向上させたコネクタ一体型デバイスとすることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記バンプが金バンプであることを特徴とする。これにより、めっき法やワイヤボンディングでバンプの形成が可能であり、生産性が向上する。また、スタッドバンプなどバンプ形状を制御することにより、導電性ペーストの膜厚も制御できる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記導電性ペーストを防湿する防湿手段が設けられていることを特徴とする。
【0010】
これにより、ガルバニック腐食などによって導電性ペーストとコネクタリートとの接合部不良が生じることを防止できる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記防湿手段として、ホットメルトで前記電子部品を被覆した被覆部が形成されていることを特徴とする。
【0012】
ホットメルトは成形温度が比較的低くて取扱いが容易である。従って、請求項4に記載の発明により、高い生産効率でコネクタ一体型デバイスを製造することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は上記構成としたので、以下の効果を奏することができる。
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、損傷に対する信頼性を大幅に向上させたコネクタ一体型デバイスとすることができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、生産性が向上する。また、導電性ペーストの膜厚も制御できる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、導電性ペーストとコネクタリートとの接合部不良が生じることを防止できる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、高い生産効率でコネクタ一体型デバイスを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、実施形態を挙げ、本発明の実施の形態について説明する。図1に示すように、本実施形態に係るコネクタ一体型デバイス(例えばバックルスイッチ)10は、コネクタ12と、コネクタ12に固定されてコネクタ端子を構成している2本のリード14A、14B(図4、図5も参照)と、リード14A、14Bに接合されたリードレスセラミックパッケージ(例えばCLCC)16と、リードレスセラミックパッケージ16を覆う被覆部20と、を備えている。リードレスセラミックパッケージ16は導電性ペースト18でリード14に接合されている。導電性ペースト18としては、例えば銀−エポキシ系のペーストである。
【0019】
コネクタ一体型デバイス10を製造するには、図2に示すように、まず、リードレスセラミックパッケージ16を製造しておく。このリードレスセラミックパッケージ16は、凹状部材15に半導体素子17を実装したものを製造し、凹状部材15にLID(蓋部材)19を接合することによって製造される。
【0020】
更に、図3に示すように、リードレスセラミックパッケージ16の背面側に金バンプ22を形成する。本実施形態では、凹状部材15の背面側が正方形状又は長方形状であり、金バンプ22を凹状部材15の四隅の近くの四箇所に形成する。金バンプ22を形成するには、めっき法やワイヤボンディング法などで行う。なお、金バンプ22及び導電性ペースト18を配置する位置をそれぞれ2箇所に減らすことも可能である。この場合、金バンプ22の配置位置を、凹状部材15の背面側の対角上の位置としてもよい。
【0021】
一方、リード14A、14Bには、図4に示すように、それぞれ、導電性ペースト18を塗布しておく。導電性ペースト18の塗布位置については、リードレスセラミックパッケージ16をリード14に接合する際に金バンプ22が導電性ペースト18に当接する位置とする。なお、リード14A、14Bがばらけることを防止するために、リード14A、14Bの先端部にばらけ防止部材26(図1、図4、図5参照)を固定してもよい。
【0022】
そして、図5に示すように、金バンプ22が形成されたリードレスセラミックパッケージ16をリード14の所定位置に載置することにより金バンプ22を導電性ペースト18に当接させ、この当接状態を維持しつつ、オーブン等を用いて適度な温度に加温することにより、導電性ペースト18を固化させる。
【0023】
その後、図1に示したように、ホットメルトで被覆部20を形成することによって、コネクタ一体型デバイス10が製造される。
【0024】
以上説明したように、本実施形態では、リードレスセラミックパッケージ16をリード14に導電性ペースト18で直接に接合している。導電性ペースト18は、半田に比べて弾性率が低いので変形し易く、リードレスセラミックパッケージ16とリード14との熱膨張差が大きくてもクラック等の損傷が生じ難い。従って、現有設備を用い、低コストで、工程数を増やすことなく、耐温度サイクル性を大幅に向上させた、すなわち損傷に対する信頼性を大幅に向上させたコネクタ一体型デバイス10を製造することができる。
【0025】
また、コネクタ端子を構成しているリード14にリードレスセラミックパッケージ16を直接に接合することができる。従って、組み付け箇所のハーネスに直接に取付けることができるので、従来必要であったコードを廃止することができ、省スペース化を実現させることができる。
【0026】
また、導電性ペースト18を防湿する防湿手段として被覆部20が設けられている。これにより、ガルバニック腐食などによって導電性ペースト18とリート14との接合部不良が生じることを防止できる。
【0027】
そして、この被覆部20はホットメルトを空冷することによって形成されている。ホットメルトは成形温度が比較的低くて取扱いが容易なので、これにより、高い生産効率でコネクタ一体型デバイス10を製造することができる。
【0028】
また、導電性ペースト18を固化する温度は半田の溶融温度よりも遥かに低い。従って、コネクタ12が熱で損傷することを回避し易い。
【0029】
なお、コネクタ12、リード14A、14Bに代えてコネクタ一体型インシュレータを用いてもよい。これにより、ばらけ防止部材26を用いなくても済む。
【0030】
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、上記実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲が上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態に係るコネクタ一体型デバイスの側面図である。
【図2】本発明の一実施形態で製造したリードレスセラミックパッケージの側面断面図である。
【図3】図2に示したリードレスセラミックパッケージの背面側に金バンプを形成したことを示す側面断面図である。
【図4】本発明の一実施形態で、コネクタから延び出しているリードの所定位置に導電性ペーストを塗布したことを示す側面断面図である。
【図5】本発明の一実施形態で、リードの所定位置に塗布された導電性ペーストに金バンプが当接するようにリードレスセラミックパッケージを載置したことを示す側面断面図である。
【符号の説明】
【0032】
10 コネクタ一体型デバイス
12 コネクタ
14 リード
14A リード
14B リード
16 リードレスセラミックパッケージ
18 導電性ペースト
20 被覆部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタに固定されたリードに電子部品を電気接続させたコネクタ一体型デバイスであって、
前記電子部品にバンプが形成され、
前記バンプが前記リードに導電性ペーストで接合されていることを特徴とするコネクタ一体型デバイス。
【請求項2】
前記バンプが金バンプであることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ一体型デバイス。
【請求項3】
前記導電性ペーストを防湿する防湿手段が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のコネクタ一体型デバイス。
【請求項4】
前記防湿手段として、ホットメルトで前記電子部品を被覆した被覆部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載のコネクタ一体型デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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