説明

コネクタ実装構造

【課題】配線板の位置合わせが容易となり、かつ組み立て性が向上するコネクタ実装構造を提供する。
【解決手段】コネクタ実装構造100は、下方に配置された第1のフレキシブルプリント配線板10の外周部に配置された第1の補強板11と、第1の補強板11に形成された第1の開口部12と、第1の開口部12中の第1のフレキシブルプリント配線板10上に配置された第1の接続用パッド13と、上方に配置された第2のフレキシブルプリント配線板20の外周部に配置された第2の補強板21と、第2の補強板21に形成された第2の開口部22と、第2の開口部22中の第2のフレキシブルプリント配線板20上に配置された第2の接続用パッド23とを有し、第1及び第2の開口部12、22により形成される空間部に、コネクタ30を第1及び第2の接続用パッド13、23により挟持するように配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下に平行に配置された第1及び第2の配線板の間に異方導電性のコネクタを電気的に接続するためのコネクタ実装構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコネクタ実装構造では、2枚のフレキシブルプリント配線板(FPC)とスペーサーを使用し、それぞれの固定用ネジ穴等で位置合わせを行い固定していた。
【0003】
しかし、接続用パッド、コネクタ用開口、固定用ネジ穴の寸法精度を厳しくする必要があり、製造が困難であったり、選別する等、部材のコスト高になっていた。
【0004】
また、組み立てのばらつきにより接続の問題が発生したり、発生しなかったり不安定の原因となっていた。
【0005】
これに関連する従来技術として、例えば、実開平1−137567号公報(特許文献1)、特開平9−237952号公報(特許文献2)及び特開平9−266038号公報(特許文献3)がある。
【0006】
【特許文献1】実開平1−137567号公報
【特許文献2】特開平9−237952号公報
【特許文献3】特開平9−266038号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みて成されたものであり、その目的は、配線板の位置合わせが容易となり、かつ組み立て性が向上するコネクタ実装構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明では、上下に平行に配置された第1及び第2の配線板の間に異方導電性のコネクタを電気的に接続するためのコネクタ実装構造であって、
下方に配置された第1の配線板の外周部に配置された第1の補強板と、
第1の補強板に形成された第1の開口部と、
第1の開口部中の第1の配線板上に配置された第1の接続用パッドと、
上方に配置された第2の配線板の外周部に配置された第2の補強板と、
第2の補強板に形成された第2の開口部と、
第2の開口部中の第2の配線板上に配置された第2の接続用パッドとを有し、
第1及び第2の開口部により形成される空間部に、コネクタを第1及び第2の接続用パッドにより挟持するように配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、2枚の補強板付き配線板の位置合わせが容易となり、組み立て性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0011】
まず、図1を参照して、本発明の実施の形態に係るコネクタ実装構造について説明する。
【0012】
ここで、図1(a)、(b)は、それぞれ本発明の実施の形態に係るコネクタ実装構造の縦断面図及び平断面図である。図1(a)は図1(b)のA−A‘断面である。図1(b)は図1(a)のB−B’断面である。
【0013】
図1(a)を参照すると、本発明の実施の形態に係るコネクタ実装構造100は、下方に配置された第1のフレキシブルプリント配線板10と上方に配置された第2のフレキシブルプリント配線板20と、この第1及び第2のフレキシブルプリント配線板10、20の間に電気的に接続された異方導電性のコネクタ30とを有する。
【0014】
そして、下方に配置された第1のフレキシブルプリント配線板10の外周部には、第1の補強板11が配置されている。第1の補強板11には、第1の開口部12が形成されている。第1の開口部12中の第1のフレキシブルプリント配線板10上には、第1の接続用パッド13が配置されている。
【0015】
一方、上方に配置された第2のフレキシブルプリント配線板20の外周部には、第2の補強板21が配置されている。第2の補強板21には、第2の開口部22が形成されている。第2の開口部22中の第2のフレキシブルプリント配線板20上には、第2の接続用パッド23が配置されている。
【0016】
第1の補強板11には、固定用ネジ穴14が設けられている。図示はしていないが、第2の補強板21にも、同様の固定用ネジ穴が設けられている。ここで、参照符号31は、後述するコネクタ30を構成する金属細線である。
【0017】
このような構成の下、第1及び第2の開口部12、22により形成される空間部に、コネクタ30を第1及び第2の接続用パッド13、23により挟持するように配置する。
【0018】
次に、図2を参照して、補強板付き第1のフレキシブルプリント配線板10の構成について説明する。
【0019】
ここで、図2(a)、(b)、(c)は、それぞれ補強板付き第1のフレキシブルプリント配線板10の縦断面図、上面図、斜視図である。図2(a)は、図2(b)のC−C‘断面である。
【0020】
図2(a)及び(c)に示されているように、フレキシブルプリント配線板10と第1の補強板11とが接着剤で貼り合わされている。
【0021】
また、第1のフレキシブルプリント配線板10には、コネクタ30との接続用パッド13が設けられている。第1の補強板11にはコネクタ30を挿入するための開口部12が形成されている。この開口部12はコネクタ30の位置を規制し、接続用パッド13とコネクタ30が確実に接続できるように位置決めされている。
【0022】
また、第1及び第2の補強板11、21付きの第1及び第2のフレキシブルプリント配線板10、20を密着・固定させるためのネジ穴14が設けられている。
【0023】
上記構成は、補強板付き第2のフレキシブルプリント配線板20についても同様であり、補強板付き第1のフレキシブルプリント配線板10と開口部、接続パッド、固定用ネジ穴などの相対的な位置関係は合わせておく。
【0024】
次に、図3を参照して、コネクタ30の構成について説明する。
【0025】
ここで、図3(a)、(b)、(c)は、それぞれコネクタ30の縦断面図、上面図、斜視図である。図3(a)は図3(b)のD−D‘断面である。
【0026】
コネクタ30は、金めっきされた金属細線31を狭ピッチで配列し、両側を絶縁性シリコーンゴム32でサポートした圧接タイプのコネクタで、上下方向には電気的導通があるが、横方向は絶縁されるという特徴を有する。
【0027】
ここで、コネクタ3の高さは、接続パッド13、23の間隔(垂直方向)よりも若干高く設定する。これにより、2枚の補強板付き第1及び第2のフレキシブルプリント配線板10、20を開口部12及び22で形成される空間部に固定した時にコネクタ30は圧縮され、その反力を利用し、接続パッド13、23と金属細線31との安定した接触が得られる。
【0028】
次に、図4を参照して、本発明の実施の形態に係るコネクタ実装構造100の製造工程について説明する。
【0029】
まず、第1の補強板11付き第1のフレキシブルプリント配線板10に形成された開口部12にコネクタ30を置く(図4(a))。ここで、上述のように、コネクタ30は、金めっきされた金属細線31を狭ピッチで配列し、両側を絶縁性シリコーンゴム32でサポートした圧接タイプのコネクタである。
【0030】
次に、第2の補強板21付き第2のフレキシブルプリント配線板20に形成された開口部22をコネクタ30に合わせ、第1の補強板11付き第1のフレキシブルプリント配線板10と重ね合わせる(図4(b))。
【0031】
最後に、固定用ネジ穴14(図2参照)を使用して、2枚の第1の補強板11付き第1のフレキシブルプリント配線板10と第2の補強板21付き第1のフレキシブルプリント配線板20とを密着させ固定する(図4(c))。この結果、接続用パッド13、23とコネクタ30の金属細線31が圧接により電気的に接続される。
【0032】
上記実施の形態によれば、2枚の補強板付きフレキシブルプリント配線板10、20の位置合わせが容易となり、組み立て性が向上する。その理由は、補強板11、21をフレキシブルプリント配線板10、20にそれぞれ貼り付けるため、接続用パッド13、23とコネクタ30の金属細線31の位置がずれることがなくなり、2枚のフレキシブルプリント配線板10、20の接続用パッド13、23がコネクタ30により確実に接続されるからである。
【0033】
このように、本発明による異方導電性コネクタの実装構造は、2枚の平行なフレキシブルプリント配線板の間を異方導電性のコネクタを用いて電気的な接続を得るコネクタ実装構造に関し、フレキシブルプリント配線板に補強板を貼り合わせ、その補強板にコネクタを位置決めする開口部を設ける。これにより、2枚のフレキシブルプリント配線板の接続用パッドとコネクタを確実に接続し、安定した組み立てを行うことが可能となる。
【0034】
以上、本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0035】
例えば、上記実施の形態では、コネクタ30は、金めっきされた金属細線31を狭ピッチで配列し、両側を絶縁性シリコーンゴム32でサポートした圧接タイプのコネクタとして説明してきたが、本発明はこれに限らず、例えば、異方導電性ゴム等を使用しても良い。このような異方導電性ゴム等を使用しても同様な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施の形態に係るコネクタ実装構造を示す図であり、(a)は縦断面図、(b)は平断面図である。
【図2】補強板付き第フレキシブルプリント配線板を示す図であり、(a)は縦断面図、(b)は上面図、(c)は斜視図である。
【図3】コネクタを示す図であり、(a)は縦断面図、(b)は上面図、(c)は斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るコネクタ実装構造の製造工程について説明するための図である。
【符号の説明】
【0037】
10 第1のフレキシブルプリント配線板
11 第1の補強板
12 第1の開口部
13 第1の接続用パッド
14 固定用ネジ穴
20 第2のフレキシブルプリント配線板
21 第2の補強板
22 第2の開口部
23 第2の接続用パッド
30 コネクタ
31 金属細線
32 絶縁性シリコーンゴム
100 コネクタ実装構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に平行に配置された第1及び第2の配線板の間に異方導電性のコネクタを電気的に接続するためのコネクタ実装構造であって、
下方に配置された第1の配線板の外周部に配置された第1の補強板と、
第1の補強板に形成された第1の開口部と、
第1の開口部中の第1の配線板上に配置された第1の接続用パッドと、
上方に配置された第2の配線板の外周部に配置された第2の補強板と、
第2の補強板に形成された第2の開口部と、
第2の開口部中の第2の配線板上に配置された第2の接続用パッドとを有し、
第1及び第2の開口部により形成される空間部に、コネクタを第1及び第2の接続用パッドにより挟持するように配置したことを特徴とするコネクタ実装構造。
【請求項2】
前記第1及び第2の配線板は、フレキシブルプリント配線板であることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ実装構造。
【請求項3】
前記コネクタと前記第1及び第2の接続用パッドとの電気的接続が得られるように、前記第1及び第2の開口部により前記コネクタの位置を規制することを特徴とする請求項1又は2に記載のコネクタ実装構造。
【請求項4】
前記コネクタは弾性部材で構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のコネクタ実装構造。
【請求項5】
前記コネクタの垂直方法の高さは、前記前記第1及び第2の接続用パッドの間隔よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のコネクタ実装構造。
【請求項6】
前記空間部に、前記コネクタを前記第1及び第2の接続用パッドにより挟持した際に、前記コネクタは圧縮され、その反発力により前記コネクタと前記第1及び第2の接続用パッドとが接触することを特徴とする請求項5に記載のコネクタ実装構造。
【請求項7】
前記コネクタは、中央部分に複数配置された金属細線と、その周囲に設けられた絶縁性シリコーンゴムとで構成されていることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載のコネクタ実装構造。
【請求項8】
前記反発力により、前記金属細線と前記第1及び第2の接続用パッドとが接触することを特徴とする請求項7に記載のコネクタ実装構造。
【請求項9】
前記コネクタは、異方導電性ゴムで構成されていることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載のコネクタ実装構造。
【請求項10】
前記第1及び第2の補強板には、固定用ネジ穴が設けられていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のコネクタ実装構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−259494(P2009−259494A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−104911(P2008−104911)
【出願日】平成20年4月14日(2008.4.14)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】