説明

コネクタ構造及び当該コネクタ構造を備えるインターフェイス装置

【課題】コネクタ及び当該コネクタに接続される同軸ケーブルを有するコネクタ構造において、ケーブルクロストークを防ぐコネクタ構造及び当該コネクタ構造を含むインターフェイス装置を提供することである。
【解決手段】コネクタ6と同軸ケーブル71とを有するコネクタ構造において、コネクタ6は、相手コネクタ9に接続される端子64と、一端が前記端子に電気的に接続され、他端が前記同軸ケーブル71に接続される伝送線路を有する複数の基板62と、複数の基板62を固定するハウジング61とを備え、同軸ケーブル71は、中心導体と、前記中心導体の外周に設けられる誘電体73と、誘電体73の外周に設けられる外側導電体と、前記外側導電体の外周に設けられるフェライト部と、フェライト部の外周に設けられる絶縁体75とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ構造及び当該コネクタ構造を備えるインターフェイス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スルーホールに挿入されるプレスフィット部を有する複数の端子と、当該複数の端子に接続されるランドパターン及び相手方コネクタに接続される接点部を有する複数の基板と、当該複数の基板を固定するハウジングを具備するコネクタであって、当該ランドパターンと当該接点部を接続する線路を基板上に形成するコネクタが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−288453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記コネクタの端子に、直接、同軸ケーブル等の不平衡型線路を接続する場合、線路のグランド間に信号が漏れ、すなわちコモンモードノイズにより、グランド間でクロストークが生じ、信号波形に影響を及ぼすという問題があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、コネクタ及び当該コネクタに接続される同軸ケーブルを有するコネクタ構造において、ケーブルクロストークを防ぐコネクタ構造及び当該コネクタ構造を含むインターフェイス装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本発明のコネクタ構造は、コネクタと同軸ケーブルとを有するコネクタ構造であって、前記コネクタは、相手コネクタに接続される端子と、一端が前記端子に電気的に接続され、他端が前記同軸ケーブルに接続される複数の伝送線路を有する複数の基板と、前記複数の基板を固定するハウジングとを備え、前記同軸ケーブルは、中心導体と、前記中心導体の外周に設けられる誘電体と、前記誘電体の外周に設けられる外側導電体と、前記外側導電体の外周に設けられるフェライト部と、前記フェライト部の外周に設けられる絶縁体と、を備えることを特徴とする。
【0007】
[2]上記発明において、前記伝送線路は、平衡型線路としてもよい。
【0008】
[3]上記発明において、前記伝送線路は、不平衡型線路であり、前記端子は、平衡型線路により形成されてもよい。
【0009】
[4]上記発明において、前記伝送線路は、不平衡型線路であり、前記端子は、前記相手コネクタに含まれる不平衡型線路に接続されてもよい。
【0010】
[5]上記発明において、前記絶縁体は、フェライト材を含んでもよい。
【0011】
[6]上記発明において、フェライト部は、特定の周波数帯域内の信号を減衰させるフェライト材を含み、前記特定の周波数帯域は、前記伝送線路のクロストークによるノイズの周波数成分を含んでもよい。
【0012】
[7]前記フェライト部は、前記伝送線路のクロストークによるノイズを減衰させるフェライト材を含み、前記フェライト材は、前記ノイズを減衰するために減少させる所望のクロストーク量に応じて規定されていてもよい。
【0013】
[8]本発明のインターフェイス装置は、被測定物の電子部品とテストヘッドとを中継するインターフェイス装置であって、前記テストヘッドの第1のコネクタに接続される第2のコネクタ及び同軸ケーブルを有するコネクタ構造を含み、前記第2のコネクタは、前記第1のコネクタに接続される端子と、一端が前記端子に電気的に接続され、他端が前記同軸ケーブルに接続される複数の伝送線路を有する複数の基板と、複数の基板を固定するハウジングとを備え、前記同軸ケーブルは、中心導体と、前記中心導体の外周に設けられる誘電体と、前記誘電体の外周に設けられる外側導電体と、前記外側導電体の外周に設けられるフェライト部と、前記フェライト部の外周に設けられる絶縁体とを備えることを特徴する。
【0014】
[9]また、同軸ケーブルは、前記テストヘッドから送信される検出信号の周波数帯域において、前記検出信号を前記同軸ケーブル内に閉じこめ、前記検出信号を軸方向に導通させてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、コネクタ及び同軸ケーブルを有するコネクタ構造において、当該同軸ケーブルの外側導電体の外周にフェライト部を設けるため、コモンモードノイズによりグランド間に生じるクロストークを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態における電子部品試験装置を示す概略断面図である。
【図2】図1のテストヘッド及びハイフィックスの断面図である。
【図3】図1のコネクタ構造の概略斜視図である。
【図4】図1のコネクタ、電気ケーブル及びピンカードの接続関係を示す概念図である。
【図5】図3のコネクタ構造の周波数に対するノイズ特性を測定するための測定環境を示すブロック図である。
【図6】比較例1及び比較例2における、周波数に対するノイズ特性を示すグラフである。
【図7】本例及び比較例2における、周波数に対するノイズ特性を示すグラフである。
【図8】本発明の他の実施形態における、コネクタ、電気ケーブル及びピンカードの接続関係を示す概念図である。
【図9】図8のコネクタの基板の上面と電気ケーブルとの接続構造を示す概略平面図である。
【図10】図8のコネクタの基板の下面と電気ケーブルとの接続構造を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
《第1実施形態》
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態における電子部品試験装置を示す概略断面図、図2は本実施形態におけるテストヘッド及びハイフィックスの断面図である。
【0018】
本実施形態における電子部品試験装置1は、半導体集積回路素子等の電子部品を試験する電子部品試験装置であり、図1に示すように、被測定物である被試験電子部品(DUT:Device−Under−Test)を取り廻すためのハンドラ2(Hundler)と、テスト時にDUTと電気的に接続されるテストヘッド4と、テストヘッド4を介してDUTに対して試験信号を送出し、DUTのテストを実行するテスタ本体(メインフレーム)3と、を備える。この電子部品試験装置1は、DUTに高温又は低温の熱ストレスを印加した状態でDUTの電気的特性等を試験し、当該試験結果に応じてDUTを分類する。
【0019】
図1に示すように、テストヘッド4の上部には、DUTとテストヘッド4との間の電気的な接続を中継するインターフェイス装置であるハイフィックス(HIFIX:High−Fidelity−Tester−Access−Fixture)5が装着されている。
【0020】
ハンドラ2のベース部23の略中央には、開口24が形成されており、テストヘッド4の上部に装着されたハイフィックス5が、当該開口24内に連結される。
【0021】
ハイフィックス5は、図2に示すように、最上部のソケットボード21を交換することにより、DUTを交換することが可能なSBC(Socket Borad Change)タイプのハイフィックス5である。ハイフィックス5は、最下部に、複数のコネクタ6を有している。コネクタ6は、ハイフィックス5とテストヘッド4との接続面に対して平行になるよう配列され、フレーム51に固定される。
【0022】
各コネクタ6は、ハウジング61を有しており、各コネクタ6の上面には、複数の同軸ケーブルを束状にした電気ケーブル7の端部が接続される。
【0023】
フレーム51の上部には、スペーシングフレーム53が、鉛直方向に上下動が可能なスペース柱52を介して、設けられる。スペーシングフレーム53の上部には、サブソケットボード55が、スペーサ54を介して設けられる。さらに、サブソケットボード55の上部には、スペーサ56を介して、ソケットボード21が設けられる。
【0024】
ソケットボード21には、複数のコンタクトピン(図示しない)を有するソケット22が設けられ、当該ソケット22によりDUTとのコンタクトを図る。
【0025】
サブソケットボード55には、中継ターミナル57が形成され、中継ターミナル57は、サブソケットボード55を介して電気ケーブル7と電気的に接続される。また、ソケットボード21が、図2の矢印の方向に配置されることにより、ソケット22が、ソケットボード21を介して中継ターミナル57に電気的に接続される。
【0026】
テストヘッド4の上部には、複数のコネクタ9が設けられる。コネクタ9は、コネクタ6の相手側のコネクタであって、コネクタ6と嵌合する。テストヘッド4には、複数のピンカード10が挿入される。ピンカード10のエッジ部分に、ピンカード10の面方向に向けて、コネクタ9が設けられる。コネクタ9は、ピンカード10と電気的に接続されている。
【0027】
これにより、テスタ3から送受信される検出信号が、テストヘッド4及びハイフィックス5を介して、DUTに流れる。
【0028】
次に、本例のコネクタ6の構成について、図3及び図4を用いて説明する。図3は、コネクタ6の概略斜視図を示し、図4は、コネクタ6、コネクタ9、電気ケーブル7及びピンカード10の接続関係を示す概念図である。
【0029】
図3に示すように、コネクタ6は、複数の基板62をハウジング61により固定する構造であって、複数の基板62は、四角形の板状であって、それぞれ厚さ方向に平行に
配列されている。また基板62には、複数の同軸ケーブル71が、ハウジング61の開口側の一辺に接続されている。なお、複数の同軸ケーブル71の束が、電気ケーブル7に相当する。
【0030】
図4に示すように、ピンカード10には、不平衡型線路であるストリップライン11が形成されており、グランドは独立している。なお、図4において、G1及びG2は、グランドを示し、S1及びS2はシグナルラインを示す。テストヘッド4側のコネクタ9には、コネクタ6と同様に、複数の基板92が、平行に配列され、ハウジング91(図2を参照)により固定される。基板92には、伝送線路である平衡型線路として、複数の平行2線路93が、形成される。それぞれの平行2線路93のラインS1、S2は、ストリップライン11のシグナルラインS1及びS2に接続され、平行2線路93のラインG1、G2は、ストリップライン11のグランドG1及びG2に接続される。平行2線路93のそれぞれの線路には、端子94が電気的に接続される。
【0031】
同軸ケーブル71の構成の詳細な説明は、後述する。
【0032】
ハイフィックス5側のコネクタ6の基板62には、同様に、複数の平行2線路63が形成される。平行2線路63の一端は、端子64に電気的に接続され、平行2線路63の他端は、同軸ケーブル71に接続される。平行2線路63のラインG1、G2は、同軸ケーブル71のグランドである外部導体74に接続され、平衡2線路63のラインS1,S2は、同軸ケーブル71の信号線である内部導体72に接続される。
【0033】
コネクタ6とコネクタ9が嵌合することにより、端子64は端子94に接続され、平行2線路63のラインS1、S2が平行2線路93のラインS1、S2に電気的に接続され、平行2線路63のラインG1、G2が平行2線路93のラインG1、G2に電気的に接続される。なお端子64と平行2線路63との接続構造は、端子64及び平行2線路63が電気的に接続される構造であればよく、端子94と平行2線路93との接続構造についても同様である。また端子64又は端子94は、ケーブル状の端子にしてもよい。
【0034】
ところで、本例の電子部品試験装置1は、テスタ本体3から、テストヘッド4の上部に装着されるDUTに対して、ハイフィックス5を中継して、高周波の信号を供給する。そして電子部品試験装置1は、DUTに対して多くの高周波信号を高密度で供給し、検出効率を向上させる方がよい。そのため、コネクタ6及びコネクタ9は、ハウジング61、ハウジング91内に複数の基板62、基板92をそれぞれ配列し、当該基板62、基板92に平行2線路63、平行2線路93をそれぞれ形成するという構造にすることで、高密度かつ高速のコネクタにする。
【0035】
その一方で、平衡型線路を有するコネクタ6には、不平衡型線路である同軸ケーブル71が接続されるため、コモンモードノイズによる高周波信号が同軸ケーブル71の外部に漏れ、ケーブルクロストークが発生し、信号波形に影響を及ぼすという問題があった。
【0036】
従来、高速のコネクタで生じるクロストークを−40dB以下にするために、コネクタ内の線路を同軸構造とするコネクタが使用されていた。しかし、当該従来のコネクタ構造は、同軸構造にすることで、チャネルあたりの体積が大きくなり、ピン密度を高めることができず、高密度のコネクタに適さない構造であった。さらに、同軸構造を採用した場合には、コストが高くなるという問題もあった。
【0037】
また、同軸ケーブル71にフェライトビーズを取り付け、ノイズを抑える方法も考えられるが、本例の電子部品試験装置1のように、電気ケーブル7が高密度の同軸ケーブル71により形成される場合、当該従来の方法では、同軸ケーブル71の密度を大きくすることが困難であった。
【0038】
本例は、図4に示すように、フェライト材を同軸ケーブル71に挿入する。以下、本例の同軸ケーブル71の構造を説明する。
【0039】
同軸ケーブル71は、軸心として銅製の内部導体72と、当該内部導体72の外周を覆う誘電体73と、当該誘電体73の外周を覆う銅製の外部導体74と、当該外部導体74の外周を覆うフェライト層76と、当該フェライト層76の外周を覆う絶縁体75とにより形成され、円筒状に形成される。フェライト層76は、フェライト材と樹脂との混合物により形成されている。なお、フェライト材は、必ずしも均一な層でなくてもよい。
【0040】
本例の同軸ケーブル71を有するハイフィックス5は、本体テスタ3から送信される高周波の検出信号をDUTに中継する装置である。フェライト層76の厚さ又はフェライト層76に含まれるフェライト材の材料や含有量は、検出信号の周波数帯域において、クロストークによるノイズの外部への漏れを防ぐように予め設計される。フェライト層76に含まれるフェライト材により減衰するノイズの周波数帯域及びクロストーク量は、フェライト材の材料やフェライト材の含有量により規定される。そのため、フェライト材の材料やフェライト材の含有量を変化させることで、ノイズ対策を施したい、クロストーク量及びノイズの周波数帯域を調整することができる。これにより、本例の同軸ケーブル71は、検出信号の周波数帯域において、検出信号を同軸ケーブル71内に閉じ込め、検出信号を軸方向に伝搬させる。
【0041】
次に、本例の同軸ケーブル71、コネクタ6、コネクタ9及びピンカード10を実際に接続して、図5に示す測定環境を用いて、ノイズ特性を測定した。図5は、ノイズ特性を測定するための測定環境を示すブロック図である。
【0042】
まず、図5を参照し、測定環境を説明する。ネットワークアナライザ101に測定用のケーブル102及びケーブル103を接続する。ボード104は、ピンカード10に相当し、コネクタ9を備える。コネクタ6には、電気ケーブル7が接続されている。測定用ケーブル102は、電気ケーブル7の中から任意の同軸ケーブル71に接続される。そして、測定用ケーブル102が接続された同軸ケーブル71と電気的に接続する、ボード104の端子105に、測定用ケーブル103を接続する。これにより、本例の同軸ケーブル71とコネクタ6を有するコネクタ構造のノイズ特性が測定される。また、本例のコネクタ構造と比較するために、図5に示す測定環境を用いて、フェライト層76及びフェライトビーズを有さない同軸ケーブル(比較例1、図6のグラフ(a))及びフェライト層76の代わりにフェライトビーズを実装した同軸ケーブル(比較例2、図6のグラフ(b))のノイズ特性も測定した。
【0043】
本例、比較例1及び比較例2の測定結果を図6及び図7に示す。図6は、比較例1(図6のグラフ(a))及び比較例2(図6のグラフ(b))の周波数に対するノイズの損失特性を示し、図7は、比較例1(図7のグラフ(a))及び本例(図7のグラフ(c))の周波数に対するノイズの損失特性を示す。
【0044】
図6に示すように、約480〜540MHzにおいて、比較例1のノイズによる信号損失は大きくなるが、比較例2のグラフ(b)に示すように、フェライトビーズを用いることで、信号損失は抑制される(図6に示す領域Xを参照)。しかし、約680〜840MHzにおいて、比較例2の信号損失は大きくなる(図6に示す領域Yを参照)。一方、図7に示すように、本例のコネクタ構造は、周波数帯域480〜540MHz(図7に示す領域Xを参照)に加えて、周波数帯域680〜840MHz(図7に示す領域Yを参照)において、ノイズによる信号損失を抑制する。すなわち、本例のコネクタ構造は、伝送線路のクロストークのノイズの周波数成分を含む特定の周波数帯域(図7の約680〜840MHzに相当)において、所望のクロストーク量(領域Yにおける、グラフ(a)とグラフ(c)との差分に相当)分、減少させて、クロストークによるノイズを減衰させることができる。
【0045】
これにより、本例は、フェライト層76を有する同軸ケーブル71をコネクタ6に接続するコネクタ構造とすることにより、ケーブルクロストークを防ぐことができる。また本例の電子部品装置1の検出信号の周波数帯域のうち、400〜1000MHzにおいて、フェライトビーズを実装するケーブルでは、信号損失が大きくなる帯域があるが、本例のコネクタ構造は、当該帯域における検出信号の落ち込み(dip)を無くすことができる。
【0046】
なお本例は、同軸ケーブル71の外部導体74の外周にフェライト層を設けるが、絶縁体75にフェライト材をまぶしてもよい。これにより、本例は、同軸ケーブル71の絶縁体にフェライト材を含むため、ケーブルクロストークを防ぐことができる。また本例は、平衡型線路として平行2線路63、93を用いたが、他の平衡型線路であってもよく、不平衡型線路として、ストリップライン11を用いたが、他の不平衡型線路でもよい。
【0047】
《第2実施形態》
図8は、発明の他の実施形態に係る、コネクタ6、コネクタ9、電気ケーブル7及びピンカード10の接続関係を示す概念図である。本例は、上述した第1実施形態に対して、コネクタ6の基板62及びコネクタ9の基板92に形成される伝送線路の形状とコネクタ9に含まれる端子の構造が異なる。これ以外の構成で上述した第1実施形態と同じ構成は、その記載を適宜、援用する。以下、図8〜図10を用いて、本例について、説明する。図9は、基板62の上面と電気ケーブル7との接続構造を示す概略平面図を、図10は、基板62の下面と電気ケーブル7との接続構造を示す概略底面図を示す。
【0048】
図8に示すように、コネクタ6の基板62には、伝送線路として、不平衡型線路300が形成される。基板62の上面には、信号線302を表面グランド301で挟んだコプレーナ型の伝送路が形成される。表面グランド301と、信号線302との間には、スペースが設けられる。また基板の62の下面には、信号線302を下面から覆う裏面グランド304が形成される(図10を参照)。基板62の厚さ方向について、裏面グランド304は、表面グランド301及び信号線302が形成される部分に対して、同一の位置に形成される。
【0049】
シグナルライン用の端子64は、信号線302に接続され、グランド用の端子64は、裏面グランド304に接続される(図10を参照)。また同軸ケーブル7の内部導体72は、信号線302に接続され、外部導体74は、表面グランド301に接続される。これにより、端子64、不平衡型線路300及び同軸ケーブル7が電気的に接続される。
【0050】
次に、図9に示す、基板62の上面の構造について説明する。同軸ケーブル7側の信号線302の一端には、リード部303が設けられ、リード部303が内部導体72と接続される。また表面グランド301が外部導体74に接続される。なお、図7では図示されていないが、外部導体74と表面グランド301とを接続するために、表面グランド301にリード部を設けてもよい。
【0051】
表面グランド301には、貫通ビア307が設けられている。表面グランド301と裏面グランド304は、貫通ビア307を介して、導通されている。
【0052】
図10に示すように、基板62の裏面には、裏面グランド304及び貫通ビア307が形成される。裏面グランド304は、信号線302及び表面グランド301と対応する形状をしている。またコネクタ64側の裏面グランド304の一端が引き出されて、端子64が形成される。
【0053】
なお、貫通ビア307は、必ずしも4つである必要なく、表面グランド301と裏面グランド304が導通されれば、いくつであってもよい。
【0054】
図8に戻り、コネクタ9について説明する。コネクタ9の基板92には、不平衡型の伝送線路として、不平衡型線路200が形成される。基板92の上面には、信号線202を表面グランド201で挟んだコプレーナ型の伝送路が形成される。表面グランド201と、信号線202との間には、スペースが設けられる。また基板の92の下面には、信号線202を下面から覆う裏面グランド(図示しない)が形成される。基板62の厚さ方向について、裏面グランドは、表面グランド201及び信号線202が形成される部分に対して、同一の位置に形成される。なお、表面グランド201は、貫通ビア(図示しない)を介して、裏面グランドと導通している。
【0055】
またコネクタ9には、ケーブル状の端子210が設けられ、端子210は、シグナルライン用のケーブル状端子212と、グランドライン用のケーブル状端子211を有する2線式線路であって、平衡型線路である。端子212の一端は、信号線202に接続され、端子211の一端は、表面グランド201に接続される。またコネクタ9がコネクタ6に嵌合されるこれによって、端子212の他端は、シグナルライン用の端子64に電気的に接続され、端子211の他端は、グランドライン用の端子64に電気的に接続される。
【0056】
ところで、コネクタ6とコネクタ9とが嵌合することにより、不平衡型線路300は、コネクタ9に含まれる、平衡型線路である端子210に接続される。不平衡線路と平衡線路が直接、接続される場合には、コモンモードノイズにより、グランドの外側に信号が生じ、クロストークが発生する。しかし、本例は、図8に示すように、フェライト層76を有する同軸ケーブル71をコネクタ6に接続する。これにより、コネクタ6及びコネクタ9との間で、クロストークが生じた場合であっても、フェライト層76により、ノイズ成分が減衰されるため、不平衡型線路300及び端子210を伝送する信号の波形への影響を小さくすることができる。これにより、本例は、線路のグランド間に生じるクロストークを防ぐことができる。
【0057】
なお、コネクタ9において、不平衡型線路200は、平衡型線路である端子210に接続され、クロストークが生じるおそれがあるが、本例はコネクタ6にフェライト層76を有する同軸ケーブル71を接続するため、コネクタ9のクロストークにより流れるノイズ成分を減衰させることができる。なお、本例はストリップライン11の代わりに、本例の同軸ケーブル7をコネクタ9に接続してもよい。これにより、本例は、コネクタ9において、線路のグランド間に生じるクロストークを防ぐことができる。
【0058】
またストリップライン11の代わりに平衡型線路をコネクタ9に接続する場合、不平衡型線路200は平衡型線路に接続されるため、クロストークが生じるおそれがあるが、本例は、同軸ケーブル71をコネクタ9に接続するため、当該クロストークによるノイズ成分を減少することができる。
【0059】
また本例において、基板62の不平衡型線路300を、第1実施形態の平行2線路63としてもよく、基板92の不平衡型線路200を、第1実施形態の平行2線路93としてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1…電子部品試験装置
2…ハンドラ
3…テスタ本体
4…テストヘッド
5…ハイフィックス
51…フレーム
52…スペース柱
53…スペーシングフレーム
54…スペーサ
55…サブポケットボード
56…スペーサ
57…中継ターミナル
6…コネクタ
61…ハウジング
62…基板
63…平行2線路
64…端子
7…電気ケーブル
71…同軸ケーブル
72…内部導体
73…誘電体
74…外部導体
75…絶縁体
76…フェライト層
9…コネクタ
91…ハウジング
92…基板
93…平行2線路
94…端子
10…ピンカード
11…ストリップライン
21…ソケットボード
22…ソケット
23…ベース部
24…開口
101…ネットワークアナライザ
102…測定用ケーブル
103…測定用ケーブル
104…ボード
105…端子
200…不平衡型線路
201…表面グランド
202…信号線
210、211、212…端子
300…不平衡型線路
301…表面グランド
302…信号線
303…リード部
304…裏面グランド
307…貫通ビア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタと同軸ケーブルとを有するコネクタ構造において、
前記コネクタは、
相手コネクタに接続される端子と、
一端が前記端子に電気的に接続され、他端が前記同軸ケーブルに接続される複数の伝送線路を有する複数の基板と、
前記複数の基板を固定するハウジングとを備え、
前記同軸ケーブルは、
中心導体と、
前記中心導体の外周に設けられる誘電体と、
前記誘電体の外周に設けられる外側導電体と、
前記外側導電体の外周に設けられるフェライト部と、
前記フェライト部の外周に設けられる絶縁体とを備える
ことを特徴とするコネクタ構造。
【請求項2】
前記伝送線路は、平衡型線路であることを特徴とする請求項1記載のコネクタ構造。
【請求項3】
前記伝送線路は、不平衡型線路であり、
前記端子は、平衡型線路により形成されることを特徴とする
請求項1記載のコネクタ構造。
【請求項4】
前記伝送線路は、不平衡型線路であり、
前記端子は、前記相手コネクタに含まれる不平衡型線路に接続されることを特徴とする請求項1記載のコネクタ構造。
【請求項5】
前記絶縁体は、フェライト材を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のコネクタ構造。
【請求項6】
前記フェライト部は、特定の周波数帯域内の信号を減衰させるフェライト材を含み、
前記特定の周波数帯域は、前記伝送線路のクロストークによるノイズの周波数成分を含むことを特徴とする
請求項1〜5のいずれか一項に記載のコネクタ構造。
【請求項7】
前記フェライト部は、前記伝送線路のクロストークによるノイズを減衰させるフェライト材を含み、
前記フェライト材は、前記ノイズを減衰するために減少させる所望のクロストーク量に応じて規定されていることを特徴とする
請求項1〜5のいずれか一項に記載のコネクタ構造。
【請求項8】
被測定物の電子部品とテストヘッドとを中継するインターフェイス装置であって、
前記テストヘッドの第1のコネクタに接続される第2のコネクタ及び同軸ケーブルを有するコネクタ構造を含み、
前記第2のコネクタは、
前記第1のコネクタに接続される端子と、
一端を前記端子に電気的に接続され、他端を前記同軸ケーブルに接続される複数の伝送線路を有する複数の基板と、
前記複数の基板を固定するハウジングとを備え、
前記同軸ケーブルは、
中心導体と、
前記中心導体の外周に設けられる誘電体と、
前記誘電体の外周に設けられる外側導電体と、
前記外側導電体の外周に設けられるフェライト部と、
前記フェライト部の外周に設けられる絶縁体とを備える
ことを特徴とするインターフェイス装置。
【請求項9】
前記同軸ケーブルは、前記テストヘッドから送信される検出信号の周波数帯域において、前記検出信号を前記同軸ケーブル内に閉じこめ、前記検出信号を軸方向に導通させる
ことを特徴とする請求項8記載のインターフェイス装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−89397(P2012−89397A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−236237(P2010−236237)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(390005175)株式会社アドバンテスト (1,005)
【Fターム(参考)】