説明

コネクタ装置

【課題】埃等の侵入を防止する手段を有することにより、光素子の信頼性を高く維持することのできるコネクタ装置を提供する。
【解決手段】コネクタ装置は、光ファイバーケーブルの光素子を保護するための保護部材を含み、保護部材は、光素子を閉塞するためのシャッタ部材とシャッタ部材に協働する弾性部材とを含み、シャッタ部材は光素子を閉塞するシャッタ部421を有し、弾性部材は、挿入空間7に突出する押圧部4131,4132,4133と、シャッタ部に当接する延出部415と、を含み、相手コネクタが挿入空間に挿入される場合に、押圧部4131,4132,4133は、相手コネクタが押圧されることにより弾性的な変形を生じ、挿入空間から退出され、シャッタ部材が、光素子が前記挿入空間に露出されるように弾性部材に追従して挿入空間から退出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号を高速に伝送できるコネクタ装置に関し、特に、光電伝送共用のコネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1を参照すると、従来のコネクタ装置は、相手コネクタを嵌合する挿入空間を有する絶縁本体と、前記絶縁本体に装着された複数の導電端子と、絶縁本体に保持された光ファイバーケーブルとを含み、絶縁本体には、前記挿入空間に突出する舌片が設けられ、該舌片の底部には、複数の収容溝が形成され、前記導電端子は、収容溝に収容され、且つ弾性変形可能な接触部を備える。前記光ファイバーケーブルは、前記舌片の下方に位置し、挿入空間に露出される光素子を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国特許出願公開第101345358号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、光ファイバーケーブルは前記挿入空間に露出しているので、相手コネクタが挿入されていない場合に、埃等が入り込むと、挿入空間に露出されている光素子が汚れる可能性があり、それによって、光伝達効率が低下し、所定の光信号伝達ができなくなる恐れがある。したがって、新たなコネクタ装置を開発することが必要である。
【0005】
本発明は、係る点に鑑みてなされたものであり、光素子の信頼性を高く維持することのできるコネクタ装置を提供して、より具体的には、埃等の侵入を防止する手段を有するコネクタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコネクタ装置は、光ファイバーケーブルを保持する絶縁本体と、前記絶縁本体に装着される複数の導電端子と、前記絶縁本体を包囲する金属製のシェルと、を含むコネクタ装置において、前記絶縁本体と前記シェルとは、相手コネクタが挿入される挿入空間を構成し、前記絶縁本体には、前記挿入空間へ突出する舌片が設けられ、前記光ファイバーケーブルは、前記挿入空間に露出される光素子を有して、前記光素子が前記絶縁本体の前記舌片の一側に配置され、前記コネクタ装置は、前記光ファイバーケーブルの前記光素子を保護するための保護部材を含み、前記保護部材は、前記光素子を閉塞するためのシャッタ部材と、前記シャッタ部材に協働する弾性部材と、を含み、前記シャッタ部材は、前記光素子を閉塞するシャッタ部を有し、
前記弾性部材は、前記挿入空間に突出する押圧部と、前記シャッタ部に当接する延出部と、を含み、前記相手コネクタが前記挿入空間内に挿入される場合に、前記押圧部は、前記相手コネクタが押圧されることにより弾性的な変形を生じ、前記挿入空間から退出され、前記シャッタ部材が、前記光素子が前記挿入空間に露出されるように前記弾性部材に追従して前記挿入空間から退出されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
従来技術に比べて、本発明は以下の利点を有する。本願発明のコネクタ装置は、光素子を略閉塞するシャッタ部材が配置されることにより、コネクタ装置内への埃等の侵入を制限することができ、光素子の汚れ等を防止することができ、それによって光素子の信頼性を高く維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係るコネクタ装置の組立斜視図である。
【図2】図1に示すコネクタ装置の部分分解図である。
【図3】本発明に係るコネクタ装置の分解図である。
【図4】図1に示すコネクタ装置に相手コネクタを挿入しない場合のA−A線に沿った断面図である。
【図5】図1に示すコネクタ装置に相手コネクタを挿入した場合のA−A線に沿った断面図である。
【図6】本発明に係るコネクタ装置の保護部材と光ファイバーケーブルとの組立斜視図である。
【図7】本発明に係るコネクタ装置の保護部材と光ファイバーケーブルと導電端子の組立斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明についての実施形態を詳細に説明する。以下の説明において、後方は相手コネクタの挿入方向であり、前方は相手コネクタの離脱方向である。
【0010】
図1乃至図4を参照すると、本発明の実施状態について説明している。本願発明のコネクタ装置100は、絶縁本体1と、絶縁本体1に装着される複数の導電端子2と、絶縁本体1に保持される複数の光伝送用の光ファイバーケーブル3と、光ファイバーケーブル3を保護するための保護部材4と、絶縁本体1を包囲する金属板からなるシェル5と、絶縁本体1の後端を覆ってシェル5に係合するためのカバー6とを含み、前記シェル5と前記絶縁本体1とは、相手コネクタが挿入される挿入空間7を構成している。
【0011】
絶縁本体1は、挿入空間7の後端に位置する基部10と、基部10の先端面101の上下側からそれぞれ延出する舌片11及び補強部12とを含み、補強部12に先端面102から後向きに延出する第一溝103、第二溝104がそれぞれ設けられる。補強部12の基部10に隣接する箇所には、前記第一溝103及び前記第二溝104にそれぞれ連通する取付溝105と、取付溝105の下方での受入溝106と、が設けられ、前記受入溝106が補強部12を貫通するように形成される。舌片11は、前記挿入空間7に突出し、下壁には、導電端子2を挿入する複数の端子溝111が並設される。
【0012】
前記導電端子2は、基部10に保持される固定部21と、固定部21から前向きに延出する接触部22と、固定部21から後向きに延出する半田部23とを含み、接触部22が舌片11から突出して、端子溝111内で弾性的な変形を生じる。
【0013】
光ファイバーケーブル3は、本体部31と、本体部31から前向きに延出する延出部32と、本体部31から後向きに延出する半田片33とを含む。延出部32の先端部には、挿入空間7に露出される光素子34と、挿入空間7に突出している一対の位置決め部35とが設けられ、前記位置決め部35が光素子34の両側にそれぞれ配置され、相手コネクタの位置決め孔に係合することにより相手コネクタを挿入空間7に保持して、光ファイバーケーブル3が絶縁本体1に保持される場合に、光素子34が舌片11の一側に配置される。勿論、他の実施状態において、光素子がコネクタ装置の要求に基づいて舌片の他の側に配置されてもよい。
【0014】
前記保護部材4は、弾性部材41と、弾性部材41に協働するシャッタ部材42とを含む。前記弾性部材41は、一対に形成された第一屈曲部411及び第二屈曲部412と、第一屈曲部411と第二屈曲部412との一端からそれぞれ前向きに延出する第一押圧部413及び第二押圧部414と、第一屈曲部411及び第二屈曲部412の他端から後向きに延出する延出部415と、を含む。
【0015】
前記延出部415は、U字形状を呈するようにシャッタ部材42に押圧できる。前記第一押圧部413は、前記第一屈曲部411から前向きに延出する第一水平部4131と、第一水平部4131から上向きに直交するように延出する第一垂直部4132と、第一垂直部4132から水平方向に対して斜め下向きに延出する第一傾斜部4133とを含む。前記第二押圧部414の構造が第一押圧部413と完全に同一の構成であり、第一押圧部413と同様に、第二水平部4141、第二垂直部4142、及び第二傾斜部4143を含む。
【0016】
前記第一傾斜部4133及び前記第二傾斜部4143は、同じ高さを有して挿入空間7へ突出して、これによって、挿入される相手コネクタを案内できると共に、相手コネクタを支持するとの効果を奏している。また、前記延出部415には、シャッタ部材42に当接するための圧接部4151が設けられ、圧接部4151が相手コネクタの挿入方向に対して直交するように配置される。
【0017】
前記弾性部材41において、前記第一傾斜部4133及び第二傾斜部4143の先端から後向きに曲折している第一制限部416及び第二制限部417がそれぞれ形成される。前記第一制限部416と第二制限部417とは、第一水平部4131及び第二水平部4141の下方に平行に配置される。前記第一制限部416及び第二制限部417は、挿入空間7内へ突出するように、前記第一溝103及び前記第二溝104内にそれぞれ収容され、さらに、第一制限部416及び第二制限部417は、絶縁本体1の第一溝103と第二溝104との底壁にそれぞれ当接することによって下向きの移動が制限される。
【0018】
前記シャッタ部材42は、平板状のシャッタ部421と、シャッタ部421の一側の両端に形成された第一固定ポスト422及び第二固定ポスト423と、が設けられる。
【0019】
組み合わせた際に、前記弾性部材41の第一屈曲部411と第二屈曲部412とが前記第一固定ポスト422及び第二固定ポスト423にそれぞれ保持され、また、第一屈曲部411及び第二屈曲部412と、第一固定ポスト422及び第二固定ポスト423とは、前記取付溝105内に収容して制限される。第一制限部416及び第二制限部417が第一溝103及び第二溝104内に収容されて、絶縁本体1を押圧することにより、圧接部4151をシャッタ部421の表面4211に押圧させている。シャッタ部421が相手コネクタの挿入方向に直交する方向に光素子34を略閉塞するように配置され、埃等の侵入を防止でき、光素子が汚れること等を防止できる。
【0020】
シェル5は、舌片11を包囲する天板51と、底板52と、両側板53、54とを含み、前記底板52の後端に凹部521が凹んで形成される。前記天板51と、底板52と、側板53、54とには、挿入空間7に突出する弾性片55がそれぞれ設けられ、該弾性片55により相手コネクタを保持する。
【0021】
図4及び図5を参照すると、第一傾斜部4133及び第二傾斜部4143により、相手コネクタが挿入空間7内に案内されて挿入されるとともに、第一傾斜部4133及び第二傾斜部4143は、相手コネクタに押圧されて、弾性部材41を下方へ弾性的に変形させている。最後に、第一傾斜部4133及び第二傾斜部4143と、第一垂直部4132及び第二垂直部4142とが前記受入溝106内に完全に収容され、同時に、前記シャッタ部材42が弾性部材41に追従して下方へ移動し、挿入空間7から退出されることによって光素子34を露出させる。前記受入溝106が補強部12を下向きに貫通するので、弾性部材41の変形空間を提供できる。
【0022】
以上本発明について最良の実施の形態を参照して詳細に説明したが、実施形態はあくまでも例示的なものであり、これらに限定されない。また上述の説明は、本発明に基づきなしうる細部の修正或は変更など、いずれも本発明の請求範囲に属するものとする。
【符号の説明】
【0023】
1 絶縁本体
2 導電端子
3 光ファイバーケーブル
4 保護部材
5 シェル
6 カバー
7 挿入空間
11 舌片
12 補強部
103 第一溝
104 第二溝
105 取付溝
106 受入溝
41 弾性部材
42 シャッタ部材
421 シャッタ部
422 第一固定ポスト
423 第二固定ポスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバーケーブルを保持する絶縁本体と、前記絶縁本体に装着される複数の導電端子と、前記絶縁本体を包囲する金属製のシェルと、を含むコネクタ装置において、
前記絶縁本体と前記シェルとは、相手コネクタが挿入される挿入空間を構成し、前記絶縁本体には、前記挿入空間へ突出する舌片が設けられ、
前記光ファイバーケーブルは、前記挿入空間に露出される光素子を有して、前記光素子が前記絶縁本体の前記舌片の一側に配置され、
前記コネクタ装置は、前記光ファイバーケーブルの前記光素子を保護するための保護部材を含み、前記保護部材は、前記光素子を閉塞するためのシャッタ部材と、前記シャッタ部材に協働する弾性部材と、を含み、
前記シャッタ部材は、前記光素子を閉塞するシャッタ部を有し、
前記弾性部材は、前記挿入空間に突出する押圧部と、前記シャッタ部に当接する延出部とを含み、
前記相手コネクタが前記挿入空間内に挿入される場合に、前記押圧部は、前記相手コネクタが押圧されることにより弾性的な変形を生じ、前記挿入空間から退出され、前記シャッタ部材が、前記光素子が前記挿入空間に露出されるように前記弾性部材に追従して前記挿入空間から退出されることを特徴とするコネクタ装置。
【請求項2】
前記押圧部は、前記挿入空間に収容され、且つ水平方向に対して斜めに延出する傾斜部を含むことを特徴とする請求項1に記載のコネクタ装置。
【請求項3】
前記弾性部材は、前記傾斜部から前記挿入空間の外部まで延出する制限部を含み、該制限部によって下向きの移動が制限されることを特徴とする請求項2に記載のコネクタ装置。
【請求項4】
前記制限部は、前記傾斜部の一端から屈曲して延出するように形成されることを特徴とする請求項3に記載のコネクタ装置。
【請求項5】
前記絶縁本体には、前記挿入空間の下方で補強部が設けられ、前記補強部には先端面と上表面とを貫通する溝が形成され、前記制限部が前記溝の底壁に当接していることを特徴とする請求項3に記載のコネクタ装置。
【請求項6】
前記補強部には、前記挿入空間に連通する受入溝が形成され、前記傾斜部は、前記相手コネクタに押圧されて、前記受入溝に収容されることを特徴とする請求項5に記載のコネクタ装置。
【請求項7】
前記光素子が前記舌片の下方に位置され、前記シャッタ部材が挿入空間の奥側に配置され、
相手コネクタが挿入してない場合に、前記シャッタ部材が、前記相手コネクタの挿入方向に対して直交する方向において、前記光素子の先端に位置されて前記光素子を閉塞し、
前記相手コネクタが挿入した場合に、前記シャッタ部材が、前記相手コネクタの挿入方向に対して直交する方向に沿って下向きに移動し、前記光素子を前記挿入空間に露出させることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ装置。
【請求項8】
前記シャッタ部材は、前記シャッタ部の両端で第一固定ポスト及び第二固定ポストを含み、
前記弾性部材は、前記第一固定ポスト及び前記第二固定ポストにそれぞれ保持される第一屈曲部と第二屈曲部とを含み、
前記押圧部が前記第一屈曲部と前記第二屈曲部とからそれぞれ延出する第一押圧部と第二押圧部とを含み、前記第一押圧部と前記第二押圧部とが前記挿入空間内に収容され、前記相手コネクタが押圧することができることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ装置。
【請求項9】
前記延出部は、前記第一屈曲部と前記第二屈曲部とを連接し、且つ前記シャッタ部材のシャッタ部に当接する圧接部を有することを特徴とする請求項8に記載のコネクタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−256906(P2010−256906A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−101118(P2010−101118)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(500080546)鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司 (1,018)
【Fターム(参考)】