説明

コネクタ装置

【課題】絶縁ハウジングと複数のコンタクトと回動可能なアクチュエータとを備え、比較的簡単で小型・低背化に適した構成をもって、絶縁ハウジングに配線板部材の部分を適正かつ確実に収容することができるコネクタ装置を提供する。
【解決手段】絶縁ハウジング11に設けられてフレキシブル印刷配線基板の部分が載置される部材収容部12が、絶縁ハウジング11に配列配置された複数のコンタクト13の配列方向における両端部に、部材収容部12に載置されたフレキシブル印刷配線基板の部分がその板面に沿いかつ複数のコンタクト13の配列方向に交差する方向に移動せしめられるとき、フレキシブル印刷配線基板の部分に設けられた係合部に係合して当該フレキシブル印刷配線基板の部分を保持する係合保持部31A,31Bが設けられたものとされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の特許請求の範囲に記載された発明は、フレキシブル印刷配線基板(FPC)等の配線板部材の部分を収容する絶縁ハウジングを有し、その絶縁ハウジングに配されて配線板部材の部分に設けられた接続端子部に接触接続されるコンタクトを備えたコネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の電子機器に実装される比較的小型なフレキシブル印刷配線基板等の配線板部材は、種々の電気部品が取り付けられる主配線基板への取付けが、当該主配線基板に電気的接続がなされて固着されたコネクタ装置が用いられて行われることが多いものとされる。このような配線板部材の主配線基板への取付けにあたって用いられるコネクタ装置は、配線板部材に設けられた接続端子部に接触する導電性のコンタクトを有していて、そのコンタクトを介して、配線板部材に設けられた接続端子部を主配線基板に設けられた配線部に電気的に接続する。
【0003】
従来提案されている、例えば、フレキシブル印刷配線基板とされる配線板部材の主配線基板への取付けに用いられるコネクタ装置の第1の類型にあっては、配線板部材の部分が差し込まれる差込み部が設けられて主配線基板に取り付けられる絶縁ハウジングが備えられる。それに加えて、絶縁ハウジングに配列配置されて設けられ、配線板部材の部分が差込み部を通じて絶縁ハウジングに差し込まれるとき、その配線板部材の部分に設けられた複数の接続端子部に夫々対応するものとなる複数のコンタクトと、絶縁ハウジングに対して回動可能に設けられ、複数のコンタクトの夫々に係合して、回動せしめられるとき複数のコンタクトの夫々における作動部を変位させ、それにより複数のコンタクトを複数の接続端子部に夫々押圧接触させるアクチュエータとが備えられる。
【0004】
複数のコンタクトの各々は、導電性の弾性材料で形成され、絶縁ハウジングに固定される部分である固定部と、連結部により固定部に連結されて変位可能とされた部分である可動部と、を有するものとされる。そして、固定部は、主配線基板に設けられた配線部に電気的に接続され、また、可動部は、配線板部材の部分に設けられた接続端子部に押圧接触する接触部が設けられたもとで、アクチュエータによって変位せしめられる(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
特許文献1に示されるコネクタ装置にあっては、主配線基板(プリント基板(60)) に取り付けられた絶縁ハウジング(インシュレータ(20)) に、差込み部(ガイド部(22a))を通じて配線板部材(FPC(50))の部分が差し込まれたもとで、アクチュエータ(30)が所定の方向に回動せしめられる。それにより、アクチュエータが、複数のコンタクト(10)の夫々における可動部を変位させて、当該可動部の接触部(12)に配線板部材の部分に設けられた複数の接続端子部(パターン)のうちの対応するものに対する押圧接触状態をとらせる。また、複数のコンタクトの各々における可動部の接触部が、配線板部材の部分に設けられた複数の接続端子部のうちの対応するものに押圧接触する状態をとるもとで、アクチュエータが上述の所定の方向とは逆の方向に回動せしめられると、アクチュエータが、複数のコンタクトの夫々における可動部を変位させて、当該可動部の接触部を配線板部材の部分に設けられた複数の接続端子部のうちの対応するものに対する押圧接触状態から解放する。
【0006】
また、従来提案されている、例えば、フレキシブル印刷配線基板とされる配線板部材の主配線基板への取付けに用いられるコネクタ装置の第2の類型にあっては、配線板部材の部分が載置される凹部が設けられて主配線基板に取り付けられる絶縁ハウジングが備えられる。それに加えて、絶縁ハウジングに配列配置されて設けられ、配線板部材の部分が絶縁ハウジングに設けられた凹部に載置されるとき、その配線板部材の部分に設けられた複数の接続端子部に夫々対応するものとなる複数のコンタクトと、絶縁ハウジングに対して回動可能に設けられ、回動せしめられるとき絶縁ハウジングに設けられた凹部に載置された配線板部材の部分を押圧し、それにより絶縁ハウジングに配された複数のコンタクトを配線板部材の部分に設けられた複数の接続端子部に夫々押圧接触されるものとするアクチュエータとが備えられる。
【0007】
複数のコンタクトの各々は、導電性の弾性材料で形成されて、絶縁ハウジングに固定される部分である固定部と、固定部から変位可能に伸びる部分である可動部と、を有するものとされる。そして、固定部は、主配線基板に設けられた配線部に電気的に接続され、また、可動部には、配線板部材の部分に設けられた接続端子部に押圧接触する接触部が設けられる(例えば、特許文献2参照。)。
【0008】
特許文献2に示されるコネクタ装置(コネクタ(10)) にあっては、主配線基板(プリント基板(1p)) に取り付けられた絶縁ハウジング(ハウジング(2))に設けられた凹部(21)に、配線板部材(FPC(1)) の部分が、複数のコンタクト(5) を覆う状態をもって載置されたもとで、アクチュエータ(金属カバー(3))が所定の方向に回動せしめられる。それにより、アクチュエータが、絶縁ハウジングに設けられた凹部に載置された配線板部材の部分を複数のコンタクトに向けて押圧し、複数のコンタクトの夫々における可動部(アーム(51)) の接触部(接点(52)) に、配線板部材の部分に設けられた複数の接続端子部(導体パターン)のうちの対応するものに対する押圧接触状態をとらせる。また、複数のコンタクトの各々における可動部の接触部が配線板部材の部分に設けられた複数の接続端子部のうちの対応するものに押圧接触する状態におかれたもとで、アクチュエータが上述の所定の方向とは逆の方向に回動せしめられると、アクチュエータが、絶縁ハウジングに設けられた凹部に載置された配線板部材の部分を複数のコンタクトに向けての押圧状態から解放し、それにより、複数のコンタクトの夫々における可動部の接触部が、配線板部材の部分に設けられた複数の接続端子部のうちの対応するものに対する押圧接触状態から解放される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−270290号公報(段落0020〜0023、図6,図7)
【特許文献2】特開2008−53123号公報(段落0044〜0046、049,0050,0054,0055,図1,図2,図5,図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述の特許文献1に示されるような従来提案されているコネクタ装置の第1の類型にあっては、主配線基板に取り付けられた絶縁ハウジングに、それに設けられた差込み部を通じて配線板部材の部分が差し込まれるが、斯かる配線板部材の部分の絶縁ハウジングへの差込みは、主配線基板の板面に平行な方向をもって行われる。その際、絶縁ハウジングには、主配線基板からの突出長とされる高さ寸法をできるだけ小とすべく、全体の厚さを比較的小とする低背化が望まれるが、低背化が図られた絶縁ハウジングにあっては、それに差し込まれる配線板部材の部分が通じる差込み部の寸法が、特に高さ方向において極めて小なるものとされる。それゆえ、主配線基板に取り付けられた絶縁ハウジングへの配線板部材の部分の差込み部を通じた差込みが、極めて実行し難いものとされて、主配線基板の絶縁ハウジングへの差込みに、煩わしい操作が必要とされることになってしまい、さらには、配線板部材の部分が、絶縁ハウジングに正しく差し込まれず、絶縁ハウジング内における適正な位置に配されない事態がまねかれる虞もある。
【0011】
それに加えて、配線板部材の部分の絶縁ハウジングへの差込みが、絶縁ハウジングが取り付けられた主配線基板の板面に平行な方向をもって行われるので、主配線基板上の絶縁ハウジングの差込み部の外方に、比較的大なるスペースが要されることになる不都合も伴っている。
【0012】
また、上述の特許文献2に示されるような従来提案されているコネクタ装置の第2の類型にあっては、主配線基板に取り付けられた絶縁ハウジングに設けられた凹部に、配線板部材の部分が、絶縁ハウジングが取り付けられた主配線基板の板面に略直交する方向、即ち、凹部を覆う方向から載置される。斯かるもとにあっても、絶縁ハウジングには、主配線基板からの突出長とされる高さ寸法をできるだけ小とすべく、全体の厚さを比較的小とする低背化が望まれるが、低背化が図られた絶縁ハウジングにあっては、配線板部材の部分が載置される凹部が、その深さが極めて浅いものとされてしまう。それゆえ、主配線基板に取り付けられた絶縁ハウジングに設けられた凹部に配線板部材の部分が載置されてからその配線板部材の部分を押圧すべくアクチュエータが回動せしめられるまでの間に、配線板部材の部分が凹部から外れてしまう事態が生じ易い。そして、配線板部材の部分が凹部から外れてしまったもとで、アクチュエータが回動せしめられて配線板部材の部分を押圧する状態がとられると、複数のコンタクトと配線板部材の部分に設けられた複数の接続端子部との間の接触接続不良が生じる虞れ、さらには、配線板部材の部分もしくは絶縁ハウジングの変形あるいは破損がまねかれてしまう虞がある。
【0013】
斯かる点に鑑み、本願の特許請求の範囲に記載された発明は、例えば、フレキシブル印刷配線基板等とされる配線板部材の主印刷配線基板への取付けに用いられる、配線板部材の部分が載置される部材収容部が設けられた絶縁ハウジングと、絶縁ハウジングに配列配置されて設けられる複数のコンタクトと、絶縁ハウジングに対して回動可能に配され、部材収容部に載置されて収容された配線板部材の部分を複数のコンタクトに向けて押圧する状態をとるアクチュエータと、を備えたコネクタ装置であって、比較的簡単で小型・低背化に適した構成をもって、配線板部材の部分もしくは絶縁ハウジングの変形あるいは破損をまねく虞を伴うことなく、部材収容部に載置された配線板部材の部分を適正かつ確実に収容することができ、さらに、その配線板部材の部分に設けられた複数の接続端子部と複数のコンタクトとに適正な相互接触接続状態をとらせることができるものを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願の特許請求の範囲における請求項1から請求項5までのいずれかに記載された発明(以下、本願発明という。)に係るコネクタ装置は、配線板部材の部分が載置される部材収容部が設けられた絶縁ハウジングと、絶縁ハウジングに配列配置され、配線板部材の部分が部材収容部に載置されて収容されたとき、その配線板部材の部分に配列配置された複数の接続端子部に夫々接触接続される複数のコンタクトと、絶縁ハウジングに対して回動可能に設けられ、部材収容部を開放状態とする第1の静止位置と部材収容部を覆う第2の静止位置とを選択的にとり、第1の静止位置をとるとき、配線板部材の部分の部材収容部への載置を可能とし、配線板部材の部分が部材収容部に載置されて収容されたもとで第2の静止位置をとるとき、その配線板部材の部分に配列配置された複数の接続端子部を複数のコンタクトに向けて夫々押圧するアクチュエータとを備えて成り、部材収容部における複数のコンタクトの配列方向の両端部に、部材収容部に載置された配線板部材の部分がその板面に沿いかつ複数のコンタクトの配列方向に交差する方向に移動せしめられるとき、配線板部材の部分に設けられた係合部に係合してその配線板部材の部分を保持する係合保持部が設けられたことを特徴とするものとされる。
【0015】
特に、本願発明のうちの請求項2に記載された発明に係るコネクタ装置は、部材収容部に載置された配線板部材の部分が、それに設けられた係合部に係合保持部が係合してそれにより保持される適正な位置に配されていないもとで、アクチュエータが第1の静止位置から第2の静止位置へと回動せしめられるとき、配線板部材の部分に当接してアクチュエータの回動を阻止する適正位置検知部が、アクチュエータに設けられていることを特徴とするものとされる。
【0016】
このように構成される本願発明に係るコネクタ装置においては、絶縁ハウジングに設けられて配線板部材の部分が載置される部材収容部が、それにおける複数のコンタクトの配列方向の両端部に、一対の係合保持部が夫々設けられる。各係合保持部は、部材収容部にそれを覆う方向から載置された配線板部材の部分が、その板面に沿いかつ複数のコンタクトの配列方向に交差する方向に移動せしめられると、配線板部材の部分に設けられた係合部に係合してその配線板部材の部分を保持する。それにより、部材収容部に載置された配線板部材の部分が、係合保持部により保持されたもとで、部材収容部に収容された状態におかれる。
【0017】
即ち、アクチュエータが第1の静止位置をとり、部材収容部が開放状態におかれたもとで配線板部材の部分が部材収容部にそれを覆う方向から載置され、その配線板部材の部分が部材収容部において配線板部材の板面に沿いかつ複数のコンタクトの配列方向に交差する方向に移動せしめられるとき、部材収容部に設けられた一対の係合保持部の夫々が、配線板部材の部分に設けられた係合部に係合してその配線板部材の部分を部材収容部において保持し、配線板部材の部分が部材収容部に収容された状態となす。
【0018】
そして、部材収容部に載置された配線板部材の部分が、係合保持部により保持されたもとで部材収容部に収容された後、アクチュエータが、第1の静止位置から第2の静止位置へと回動せしめられて部材収容部を覆うものとされるとき、部材収容部に収容された配線板部材の部分がアクチュエータによって押圧され、それに伴って、配線板部材の部分に配列配置された複数の接続端子部が複数のコンタクトに向けて夫々押圧される。それにより、配線板部材の部分に設けられた複数の接続端子部と複数のコンタクトとが、適正な相互接触接続状態におかれる。
【0019】
さらに、その後、アクチュエータが、第2の静止位置から第1の静止位置へと回動せしめられると、部材収容部に収容された配線板部材の部分がアクチュエータによる押圧から解放され、それに伴って、配線板部材の部分に配列配置された複数の接続端子部も複数のコンタクトに向けての押圧から解放される。そして、配線板部材の部分は、その板面に沿いかつ複数のコンタクトの配列方向に交差する方向に移動せしめられることにより、それに設けられた係合部を部材収容部に設けられた係合保持部との係合を解除するものとして、係合保持部による保持から脱することが可能とされる状態におかれる。
【0020】
特に、本願発明のうちの請求項2に記載された発明に係るコネクタ装置にあっては、アクチュエータが第1の静止位置をとるもとで部材収容部に載置された配線板部材の部分が、それに設けられた係合部に係合保持部が係合してそれにより保持される適正な位置に配されていないとき、アクチュエータが第1の静止位置から第2の静止位置に向けて回動せしめられると、アクチュエータに設けられた適正位置検知部が、部材収容部に載置された配線板部材の部分に当接してアクチュエータの回動を阻止する。それにより、部材収容部に載置された配線板部材の部分が、適正な位置に配されていない状態におかれたもとでアクチュエータによって押圧されてしまう事態が回避される。
【発明の効果】
【0021】
本願発明に係るコネクタ装置においては、アクチュエータが第1の静止位置をとって部材収容部が開放状態におかれたもとで部材収容部にそれを覆う方向から載置された配線板部材の部分は、その板面に沿いかつ複数のコンタクトの配列方向に交差する方向に移動せしめられることにより、それに設けられた係合部が部材収容部に設けられた係合保持部との係合状態におかれ、それにより、係合保持部によって保持されたもとで、部材収容部に適正な位置をもって収容されることになる。その結果、本願発明に係るコネクタ装置によれば、例えば、配線板部材の部分を絶縁ハウジングに挿入するための差込み部を設けることを必要としない、比較的簡単で小型・低背化に適した構成をもって、部材収容部に載置された配線板部材の部分を適正かつ確実に収容することができる。
【0022】
また、本願発明に係るコネクタ装置によれば、部材収容部に載置された配線板部材の部分が、係合保持部により保持されたもとで部材収容部に収容された後、アクチュエータが、第1の静止位置から第2の静止位置へと回動せしめられて部材収容部を覆うものとされるとき、部材収容部に収容された配線板部材の部分がアクチュエータによって押圧され、それに伴って、配線板部材の部分に配列配置された複数の接続端子部が複数のコンタクトに向けて夫々押圧されるので、部材収容部に収容された配線板部材の部分は、それに設けられた複数の接続端子部と複数のコンタクトとが適正に相互接触接続される状態におかれる。即ち、配線板部材の部分に設けられた複数の接続端子部と複数のコンタクトとに適正な相互接触接続状態をとらせることができるのである。その結果、本願発明に係るコネクタ装置が、複数のコンタクトが絶縁ハウジングの取付けがなされる主配線基板における配線端子に接続されて、実用に供されるにあたっては、配線板部材の部分に設けられた複数の接続端子部を、複数のコンタクトを介して、主配線基板における配線端子に適正かつ確実に連結することができることになる。
【0023】
さらに、本願発明のうちの請求項2に記載された発明に係るコネクタ装置によれば、アクチュエータが第1の静止位置をとるもとで部材収容部にそれを覆う方向から載置された配線板部材の部分が、それに設けられた係合部に係合保持部が係合してそれにより保持される適正な位置に配されていないとき、アクチュエータが第1の静止位置から第2の静止位置に向けて回動せしめられると、アクチュエータに設けられた適正位置検知部が、部材収容部に載置された配線板部材の部分に当接してアクチュエータの回動を阻止するので、部材収容部に載置された配線板部材の部分が、適正な位置に配されていない状態におかれたもとでアクチュエータによって押圧されてしまう事態を回避することができる。
【0024】
その結果、配線板部材の部分を絶縁ハウジングに挿入するための差込み部を設けることを必要としない、比較的簡単で小型・低背化に適した構成をもって、配線板部材の部分もしくは絶縁ハウジングの変形あるいは破損をまねく虞を伴うことなく、部材収容部に載置された配線板部材の部分を適正かつ確実に収容することができることになる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本願発明に係るコネクタ装置の一例をアクチュエータが第1の静止位置をとる状態をもって示す斜視図である。
【図2】本願発明に係るコネクタ装置の一例をアクチュエータが第1の静止位置をとる状態をもって示す側面図である。
【図3】図1及び図2に示される例に備えられる補強金具を示す斜視図である。
【図4】図1及び図2に示される例に備えられるアクチュエータを示す斜視図である。
【図5】図1及び図2に示される例に装着されるフレキシブル印刷配線基板の表面側を部分的に示す斜視図である。
【図6】図1及び図2に示される例に装着されるフレキシブル印刷配線基板の裏面側を部分的に示す斜視図である。
【図7】アクチュエータが第1の静止位置をとる図1及び図2に示される例における部材収容部に、図5及び図6に示されるフレキシブル印刷配線基板の部分が載置される直前の状態を示す斜視図である。
【図8】アクチュエータが第1の静止位置をとる図1及び図2に示される例における部材収容部に、図5及び図6に示されるフレキシブル印刷配線基板の部分が載置された状態を示す斜視図である。
【図9】アクチュエータが第1の静止位置をとる図1及び図2に示される例における部材収容部に、図5及び図6に示されるフレキシブル印刷配線基板の部分が載置されて収容された状態を示す斜視図である。
【図10】アクチュエータが第1の静止位置をとる図1及び図2に示される例と、それにおける部材収容部に載置されて収容された図5及び図6に示されるフレキシブル印刷配線基板の部分とを、部分的に拡大して示す一部断面を含む斜視図である。
【図11】アクチュエータが第2の静止位置をとる図1及び図2に示される例とそれにおける部材収容部に載置されて収容された部分を有する図5及び図6に示されるフレキシブル印刷配線基板とを示す斜視図である。
【図12】アクチュエータが第2の静止位置をとる図1及び図2に示される例と、それにおける部材収容部に載置されて収容された図5及び図6に示されるフレキシブル印刷配線基板の部分とを、部分的に拡大して示す一部断面を含む斜視図である。
【図13】アクチュエータの第1の静止位置から第2の静止位置に向けての回動が、アクチュエータに設けられた適正位置検知部によって阻止された状態を、部分的に拡大して示す一部断面を含む斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本願発明を実施するための形態は、以下に述べられる本願発明についての実施例をもって説明される。
【実施例】
【0027】
図1(斜視図)及び図2(側面図)は、本願発明に係るコネクタ装置の一例を示す。
【0028】
図1及び図2において、本願発明に係るコネクタ装置の一例を成すコネクタ装置10は、合成樹脂等の絶縁材料によって形成された絶縁ハウジング11を備えている。コネクタ装置10が実際の使用に供されるときには、絶縁ハウジング11が、例えば、電子機器の主配線基板(図示が省略されている。)に取り付けられる。
【0029】
絶縁ハウジング11には、例えば、フレキシブル印刷配線基板とされる配線板部材の部分が載置される、全体的に凹部を成す部材収容部12が設けられている。この部材収容部12は、絶縁ハウジング11における端縁部11aを含んだ周縁部分の一部を残して、絶縁ハウジング11の略全体に亙って広がるものとして形成されている。
【0030】
さらに、絶縁ハウジング11には、複数のコンタクト13が、絶縁ハウジング11の長手方向に沿って配列配置されて設けられている。これらの配列配置された複数のコンタクト13の各々は、短冊状を成すものとされた弾性を有する導電性板材が屈曲せしめられて形成されていて、その一端部が絶縁ハウジング11の端縁部11aを貫通してその外部へと伸び、図2に示される端子部13aを形成するものとされている。この端子部13aは、絶縁ハウジング11が図示されていない主配線基板に取り付けられるとき、その主配線基板における配線端子に、例えば、半田付けによって接続される。
【0031】
そして、複数のコンタクト13は、絶縁ハウジング11に設けられた部材収容部12に配線板部材の部分が載置されるとき、その配線板部材の部分に配列配置された複数の接続端子部に夫々対応する位置をとるものとされる。
【0032】
複数のコンタクト13が配列配置された絶縁ハウジング11における複数のコンタクト13の配列方向(絶縁ハウジング11の長手方向)の両端部には、一対の補強金具14A及び14Bが夫々取り付けられている。これらの補強金具14A及び14Bのうちの一方である補強金具14Aは、図3に示されるように、導電性を有した金属板材に打抜き屈曲加工が施されて形成されており、絶縁ハウジング11の周縁部分を成す側端縁部11bの一部が入り込む溝部15Aが設けられている。そして、溝部15Aを形成する内側壁部16Aから弾性腕状部17Aが伸びており、弾性腕状部17Aの先端部分には、当接突起部18Aが設けられている。また、溝部15Aを形成する外側壁部19Aは、絶縁ハウジング11の側端縁部11bに沿って伸びており、円形透孔20Aと矩形透孔21Aとが設けられている。
【0033】
補強金具14A及び14Bのうちの他方である補強金具14Bも、補強金具14Aと同様に、導電性を有した金属板材に打抜き屈曲加工が施されて形成されており、絶縁ハウジング11の周縁部分を成す側端縁部11cの一部が入り込む溝部15Bが設けられている。そして、溝部15Bを形成する内側壁部16Bから弾性腕状部17B(図には現れていない)が伸びており、弾性腕状部17Bの先端部分には、当接突起部18B(図には現れていない)が設けられている。また、溝部15Bを形成する外側壁部19Bは、絶縁ハウジング11の側端縁部11cに沿って伸びており、円形透孔20B(図には現れていない)と矩形透孔21Bとが設けられている。
【0034】
これらの補強金具14A及び14Bの夫々は、絶縁ハウジング11が図示されていない主配線基板に取り付けられるとき、その主配線基板におけるグラウンド接続部に、例えば、半田付けによって接続され、それにより、絶縁ハウジング11の主配線基板への固定に貢献する。
【0035】
また、コネクタ装置10は、絶縁ハウジング11に対して回動可能とされたアクチュエータ25を備えている。アクチュエータ25は、絶縁ハウジング11における複数のコンタクト13の配列方向に沿って伸びる細長い板状体を成していて、その長手方向を絶縁ハウジング11の長手方向と同方向としており、複数のコンタクト13の配列方向に伸びる仮想回転中心軸X(図1,図2)を伴っている。そして、アクチュエータ25は、図1,図2に示されるような、絶縁ハウジング11における部材収容部12を開放状態とする、絶縁ハウジング11に対して起き上がった位置となる第1の静止位置と、後述される図11に示されるような、部材収容部12を覆うことになる、絶縁ハウジング11に対して伏した位置となる第2の静止位置とを選択的にとる。
【0036】
そして、図1及び図2に示される状態におかれたアクチュエータ25に回動操作が加えられるときには、仮想回転中心軸Xの周りを図2において左回りとなる方向に回動して、第1の静止位置から第2の静止位置に移行し、また、図11に示される状態におかれたアクチュエータ25に回動操作が加えられるときには、仮想回転中心軸Xの周りを、図2において右回りとなる方向に回動して、第2の静止位置から第1の静止位置に移行する。
【0037】
図4に示されるように、アクチュエータ25には、平板状体を成すその本体部26における長手方向の両端部に一対の回動軸部27A及び27Bが夫々設けられている。これらの回動軸部27A及び27Bは、補強金具14Aの外側壁部19Aに設けられた円形透孔20A及び補強金具14Bの外側壁部19Bに設けられた円形透孔20Bに夫々嵌合し、仮想回転中心軸Xが回動軸部27A及び27Bの両者を貫通するものとされる。また、アクチュエータ25の本体部26における長手方向の両端部には、一対の係合突出部28A及び28Bも夫々設けられている。これらの係合突出部28A及び28Bは、アクチュエータ25が第2の静止位置をとるとき、補強金具14Aの外側壁部19Aに設けられた矩形透孔21A及び補強金具14Bの外側壁部19Bに設けられ矩形透孔21Bに夫々係合して、アクチュエータ25を第2の静止位置に拘束する役割を果たす。
【0038】
さらに、アクチュエータ25の本体部26における長手方向の両端部には、回動軸部27Aの近傍において本体部26から折り返して本体部26と略平行に伸びる適正位置検知部29A、及び、回動軸部27Bの近傍において本体部26から折り返して本体部26と略平行に伸びる適正位置検知部29Bが、夫々設けられている。これらの適正位置検知部29A及び適正位置検知部29Bは、絶縁ハウジング11に設けられた部材収容部12に配線板部材の部分が載置されたもとで、アクチュエータ25が第1の静止位置から第2の静止位置に向けて回動せしめられるとき、部材収容部12に載置された配線板部材の部分が適正な位置におかれているか否かを検知し、配線板部材の部分が適正な位置におかれていないときには、その配線板部材の部分に当接して、アクチュエータ25の回動を阻止する役割を果たす。
【0039】
また、アクチュエータ25の本体部26における一端縁部の中央部分には、アクチュエータ25を回動させるための操作が加えられる操作用突出部30が設けられている。
【0040】
このようなアクチュエータ25は、導電性を有した金属板材に打抜き屈曲加工が施されて構成されており、回動軸部27A及び27Bが、補強金具14Aの外側壁部19Aに設けられた円形透孔20A及び補強金具14Bの外側壁部19Bに設けられた円形透孔20Bに夫々嵌合し、また、係合突出部28A及び28Bが、アクチュエータ25が第2の静止位置をとるとき、補強金具14Aの外側壁部19Aに設けられた矩形透孔21A及び補強金具14Bの外側壁部19Bに設けられ矩形透孔21Bに夫々係合することにより、補強金具14A及び14Bとの電気的接続状態におかれる。
【0041】
図5及び図6は、絶縁ハウジング11に設けられた部材収容部12に載置される部分を有した配線板部材の一例を成すフレキシブル印刷配線基板40を部分的に示し、図5には、フレキシブル印刷配線基板40の表面側が示されており、また、図6には、フレキシブル印刷配線基板40の裏面側が示されている。
【0042】
フレキシブル印刷配線基板40における絶縁ハウジング11の部材収容部12に載置される部分には、一対の係合部41A及び41Bが、矩形状の突起部を成すものとして設けられている。そして、図5に示されるフレキシブル印刷配線基板40の表面側においては、係合部41Aにグラウンド接続端子42Aが配されているとともに、係合部41Bにグラウンド接続端子42Bが配されている。また、図6に示されるフレキシブル印刷配線基板40の裏面側においては、係合部41Aと係合部41Bとの間となる部分に、各々が短冊形を成すものとされた導電性材料で成る複数の接続端子部43が、配列配置されて設けられている。これらの複数の接続端子部43の夫々は、絶縁皮膜44によって全体的に覆われた、フレキシブル印刷配線基板40に設けられた配線部に連結されている。
【0043】
このようなもとで、前述のコネクタ装置10の絶縁ハウジング11に設けられた部材収容部12には、それにおける複数のコンタクト13の配列方向の両端部に、部材収容部12に載置された配線板部材であるフレキシブル印刷配線基板40の部分が、フレキシブル印刷配線基板40の板面に沿いかつ複数のコンタクト13の配列方向に交差する方向に移動せしめられるとき、フレキシブル印刷配線基板40の部分に設けられた係合部41A及び41Bに夫々係合して、フレキシブル印刷配線基板40の部分を保持する一対の係合保持部31A及び31Bが夫々設けられている。係合保持部31Aは、絶縁ハウジング11における側端縁部11bから部材収容部12の中央部側に突出する突出部32Aとそれに係合した補強金具14Aに設けられた弾性腕状部17Aとを含んで構成されている。同様に、係合保持部31Bは、絶縁ハウジング11における側端縁部11cから部材収容部12の中央部側に突出する突出部32Bとそれに係合した補強金具14Bに設けられた弾性腕状部17Bとを含んで構成されている。
【0044】
そして、フレキシブル印刷配線基板40の部分がコネクタ装置10の絶縁ハウジング11に設けられた部材収容部12に載置されて収容されるにあたっては、先ず、図7に示されるように、コネクタ装置10に備えられたアクチュエータ25が第1の静止位置をとるもとで、フレキシブル印刷配線基板40の係合部41A及び41Bと複数の接続端子部43とが設けられた部分が、フレキシブル印刷配線基板40の裏面側を絶縁ハウジング11に設けられた部材収容部12に対向させて、図7において部材収容部12の上方となる位置に配される。
【0045】
次に、図8に示されるように、フレキシブル印刷配線基板40の係合部41A及び41Bと複数の接続端子部43とが設けられた部分が、絶縁ハウジング11に設けられた部材収容部12において配列配置された複数のコンタクト13を覆うようにして、部材収容部12に載置される。その際、フレキシブル印刷配線基板40の部分に設けられてグラウンド接続端子42A及び42Bが夫々配された係合部41A及び41Bが、部材収容部12における複数のコンタクト13の配列方向の両端部に設けられた係合保持部31A及び31Bに夫々対応する位置に配される。
【0046】
続いて、部材収容部12に載置されたフレキシブル印刷配線基板40の部分が、フレキシブル印刷配線基板40の板面に沿いかつ複数のコンタクト13の配列方向に交差する方向に、絶縁ハウジング11における端縁部11aから遠ざかるようにして移動せしめられ、それにより、図9に示されるように、部材収容部12における複数のコンタクト13の配列方向の両端部に設けられた係合保持部31A及び31Bが、フレキシブル印刷配線基板40の部分に設けられた係合部41A及び41Bに夫々係合して、フレキシブル印刷配線基板40の部分を保持する状態とされる。斯かる際における部材収容部12に載置されたフレキシブル印刷配線基板40の部分の移動方向は、図9に示される矢印Pによってあらわされている。
【0047】
図10は、部材収容部12における複数のコンタクト13の配列方向の一端部に設けられた係合保持部31Aが、フレキシブル印刷配線基板40の部分に設けられた係合部41Aに係合して、フレキシブル印刷配線基板40の部分を保持した状態を詳細に示す。図10においては、絶縁ハウジング11における側端縁部11b(図10には現れていない。)から突出する突出部32Aとそれに係合した補強金具14Aに設けられた弾性腕状部17Aとを含んで構成された係合保持部31Aが、弾性腕状部17Aに設けられた当接突起部18Aをフレキシブル印刷配線基板40の部分に設けられた係合部41Aに配されたグラウンド接続端子42Aに弾性押圧当接させたもとで、フレキシブル印刷配線基板40の部分に設けられた係合部41Aに係合している。それにより、補強金具14Aが、弾性腕状部17Aを介して、フレキシブル印刷配線基板40におけるグラウンド接続端子42Aに電気的に接続された状態におかれる。補強金具14Aは、絶縁ハウジング11が取り付けられた主配線基板におけるグラウンド接続部に接続されており、その結果、フレキシブル印刷配線基板40におけるグラウンド接続端子42Aに、補強金具14Aを通じて、主配線基板からのグラウンド電位が供給される電位設定がなされる。
【0048】
部材収容部12における複数のコンタクト13の配列方向の他端部に設けられた係合保持部31Bが、フレキシブル印刷配線基板40の部分に設けられた係合部41Bに係合して、フレキシブル印刷配線基板40の部分を保持した状態も、係合保持部31Aが係合部41Aに係合してフレキシブル印刷配線基板40の部分を保持した状態と同様とされ、また、補強金具14Bも、絶縁ハウジング11が取り付けられた主配線基板におけるグラウンド接続部に接続されている。その結果、フレキシブル印刷配線基板40におけるグラウンド接続端子42Bにも、補強金具14Bを通じて、主配線基板からのグラウンド電位が供給される電位設定がなされる。
【0049】
上述のようにして、部材収容部12における複数のコンタクト13の配列方向の両端部に設けられた係合保持部31A及び31Bが、係合部41A及び41Bに夫々係合して保持することになる、部材収容部12に載置されたフレキシブル印刷配線基板40の部分は、部材収容部12に適正な位置に配された状態をもって収容されたものとされる。
【0050】
その後、部材収容部12に載置されたフレキシブル印刷配線基板40の部分が部材収容部12に適正な位置に配された状態をもって収容されたもとで、コネクタ装置10に備えられたアクチュエータ25が、第1の静止位置から第2の静止位置へと、回動軸部27A及び27Bを貫通する仮想回転軸Xの回りを回動せしめられて、図11に示されるような、アクチュエータ25が部材収容部12を覆う第2の静止位置をとる状態とされる。斯かる際には、部材収容部12に載置されたフレキシブル印刷配線基板40の部分が適正な位置に配されているので、図12に示されるように、アクチュエータ25の本体部26における長手方向の一端部に設けられた適正位置検知部29Aは、部材収容部12における適正な位置に配されたフレキシブル印刷配線基板40の部分に応じて、フレキシブル印刷配線基板40の部分に当接することなくその端縁部に隣接する位置をとり、アクチュエータ25の回動を阻止するものとはならない。
【0051】
同様に、アクチュエータ25の本体部26における長手方向の他端部に設けられた適正位置検知部29Bも、部材収容部12における適正な位置に配されたフレキシブル印刷配線基板40の部分に応じて、フレキシブル印刷配線基板40の部分に当接することなくその端縁部に隣接する位置をとり、アクチュエータ25の回動を阻止するものとはならない。
【0052】
図11及び図12に示されるように第2の静止位置をとるアクチュエータ25は、部材収容部12における適正な位置に配されたフレキシブル印刷配線基板40の部分を、部材収容部12において配列配置されている複数のコンタクト13に向けて押圧する。それに伴って、フレキシブル印刷配線基板40の裏面側においてフレキシブル印刷配線基板40の部分に配列配置された複数の接続端子部43が、部材収容部12において配列配置されている複数のコンタクト13に夫々押圧接触接続される。それにより、フレキシブル印刷配線基板40の部分に配列配置された複数の接続端子部43が、複数のコンタクト13を通じて、複数のコンタクト13の夫々に設けられた端子部13aが接続された、絶縁ハウジング11が取り付けられた主配線基板における配線端子に、電気的に連結される。
【0053】
また、アクチュエータ25が第2の静止位置をとるもとにあっては、アクチュエータ25の本体部26における長手方向の両端部に設けられた係合突出部28A及び28Bが、補強金具14Aの外側壁部19Aに設けられた矩形透孔21A及び補強金具14Bの外側壁部19Bに設けられた矩形透孔21Bに夫々係合する。それにより、アクチュエータ25が、第2の静止位置に拘束されるとともに補強金具14A及び14Bとの電気的接続状態におかれる。補強金具14A及び14Bの夫々は、絶縁ハウジング11が取り付けられた主配線基板におけるグラウンド接続部に接続されており、その結果、アクチュエータ25に、補強金具14A及び14Bを通じて、主配線基板からのグラウンド電位が供給される電位設定がなされる。
【0054】
それにより、アクチュエータ25は、部材収容部12において配列配置されている複数のコンタクト13及びそれらに夫々押圧接触接続されるフレキシブル印刷配線基板40の部分に配列配置された複数の接続端子部43が、グラウンド電位が与えられた導体で覆われることになる状態が得られるようにする役割を果たす。従って、斯かるアクチュエータ25は、複数のコンタクト13についての特性インピーダンス調整に貢献するもの、さらに、外部からの電磁波ノイズに対するシールド効果が得られるものとなる。
【0055】
仮に、部材収容部12に載置されたフレキシブル印刷配線基板40の部分が、その係合部41A及び41Bに部材収容部12の係合保持部31A及び31Bが適正に係合していず、当該係合保持部31A及び31Bにより保持される適正な位置に配されていないもとで、コネクタ装置10に備えられたアクチュエータ25が、第1の静止位置から第2の静止位置に向けて回動せしめられたとすると、図13に示されるように、アクチュエータ25の本体部26における長手方向の一端部に設けられた適正位置検知部29Aが、部材収容部12において適正な位置に配されていないフレキシブル印刷配線基板40の部分に設けられた係合部41Aに当接し、それにより、アクチュエータ25の回動を阻止する。また、図示は省略されているが、アクチュエータ25の本体部26における長手方向の他端部に設けられた適正位置検知部29Bも、部材収容部12において適正な位置に配されていないフレキシブル印刷配線基板40の部分に設けられた係合部41Bに当接し、それにより、アクチュエータ25の回動を阻止する。
【0056】
その結果、部材収容部12に載置されたフレキシブル印刷配線基板40の部分が、その係合部41A及び41Bに部材収容部12の係合保持部31A及び31Bが適正に係合していず、当該係合保持部31A及び31Bにより保持される適正な位置に配されていないもとで、アクチュエータ25によって部材収容部12において配列配置されている複数のコンタクト13に向けて押圧されてしまう事態が回避される。
【0057】
図11に示されるように、部材収容部12に載置されたフレキシブル印刷配線基板40の部分が部材収容部12に適正な位置に配された状態をもって収容され、コネクタ装置10に備えられたアクチュエータ25が部材収容部12を覆う第2の静止位置をとる状態とされたもとで、アクチュエータ25が、第2の静止位置から第1の静止位置へと、回動軸部27A及び27Bを貫通する仮想回転軸Xの回りを回動せしめられるときには、部材収容部12に収容されたフレキシブル印刷配線基板40の部分がアクチュエータ25による押圧から解放され、それに伴って、フレキシブル印刷配線基板40の部分に配列配置された複数の接続端子部43も複数のコンタクト13に向けての押圧から解放される。そして、フレキシブル印刷配線基板40の部分は、その板面に沿いかつ複数のコンタクト13の配列方向に交差する、図9に矢印Pをもってあらわされる方向とは逆の方向に移動せしめられることにより、それに設けられた係合部41A及び41Bを係合保持部31A及び31Bとの係合を解除するものとして、係合保持部31A及び31Bによる保持から脱することが可能とされる状態におかれる。
【0058】
上述のようなコネクタ装置10によれば、アクチュエータ25が第1の静止位置をとって部材収容部12が開放状態におかれたもとで部材収容部12にそれを覆う方向から載置されたフレキシブル印刷配線基板40の部分は、その板面に沿いかつ複数のコンタクト13の配列方向に交差する方向に移動せしめられることにより、それに設けられた係合部41A及び41Bが部材収容部12に設けられた係合保持部31A及び31Bとの係合状態におかれ、それにより、係合保持部31A及び31Bによって保持されたもとで、部材収容部12に適正な位置をもって収容されることになるので、例えば、フレキシブル印刷配線基板40の部分を絶縁ハウジング11に挿入するための差込み部を設けることを必要としない、比較的簡単で小型・低背化に適した構成をもって、部材収容部12に載置されたフレキシブル印刷配線基板40の部分を適正かつ確実に収容することができる。
【0059】
また、部材収容部12に載置されたフレキシブル印刷配線基板40の部分が、係合保持部31A及び31Bにより保持されたもとで部材収容部12に収容された後、アクチュエータ25が、第1の静止位置から第2の静止位置へと回動せしめられて部材収容部12を覆うものとされるとき、部材収容部12に収容されたフレキシブル印刷配線基板40の部分がアクチュエータ25によって押圧され、それに伴って、フレキシブル印刷配線基板40の部分に配列配置された複数の接続端子部43が複数のコンタクト13に向けて夫々押圧されるので、部材収容部12に収容されたフレキシブル印刷配線基板40の部分は、それに設けられた複数の接続端子部43と複数のコンタクト13とが適正に相互接触接続される状態におかれる。その結果、複数のコンタクト13が、絶縁ハウジング11の取付けがなされる主配線基板における配線端子に接続されて実用に供されるにあたっては、フレキシブル印刷配線基板40の部分に設けられた複数の接続端子部43を、複数のコンタクト13を介して、主配線基板における配線端子に適正かつ確実に連結することができることになる。
【0060】
さらに、アクチュエータ25が第1の静止位置をとるもとで部材収容部12にそれを覆う方向から載置されたフレキシブル印刷配線基板40の部分が、それに設けられた係合部41A及び41Bに係合保持部31A及び31Bが係合してそれにより保持される適正な位置に配されていないとき、アクチュエータ25が第1の静止位置から第2の静止位置に向けて回動せしめられると、アクチュエータ25に設けられた適正位置検知部29A及び29Bが、部材収容部12に載置されたフレキシブル印刷配線基板40の部分に当接してアクチュエータ25の回動を阻止するので、部材収容部12に載置されたフレキシブル印刷配線基板40の部分が、適正な位置に配されていない状態におかれたもとでアクチュエータ25によって押圧されてしまう事態を回避することができる。
【0061】
その結果、フレキシブル印刷配線基板40の部分を絶縁ハウジング11に挿入するための差込み部を設けることを必要としない、比較的簡単で小型・低背化に適した構成をもって、フレキシブル印刷配線基板40の部分もしくは絶縁ハウジング11の変形あるいは破損をまねく虞を伴うことなく、部材収容部12に載置されたフレキシブル印刷配線基板40の部分を適正かつ確実に収容することができることになる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上のような本願発明に係るコネクタ装置は、フレキシブル印刷配線基板等の配線板部材の電子機器の主配線基板等への取付けに用いられる、配線板部材の部分が載置される部材収容部が設けられた絶縁ハウジングと、絶縁ハウジングに配列配置されて設けられる複数のコンタクトと、絶縁ハウジングに対して回動可能に配されるアクチュエータとを備えたコネクタ装置であって、比較的簡単で小型・低背化に適した構成をもって、配線板部材の部分もしくは絶縁ハウジングの変形あるいは破損をまねく虞を伴うことなく、部材収容部に載置された配線板部材の部分を適正かつ確実に収容することができ、さらに、その配線板部材の部分に設けられた複数の接続端子部と複数のコンタクトとに適正な相互接触接続状態をとらせることができるものとして、様々な電子機器等に広く適用され得るものである。
【符号の説明】
【0063】
10・・・コネクタ装置, 11・・・絶縁ハウジング, 12・・・部材収容部, 13・・・コンタクト, 14A,14B・・・補強金具、 17A,17B・・・弾性腕状部, 18A,18B・・・当接突起部, 20A,20B・・・円形透孔, 21A,21B・・・矩形透孔, 25・・・アクチュエータ, 26・・・(アクチュエータ25の)本体部, 27A,27B・・・回動軸部, 28A,28B・・・係合突出部, 29A,29B・・・適正位置検知部, 30・・・操作用突出部, 31A,31B・・・係合保持部, 32A,32B・・・突出部, 40・・・フレキシブル印刷配線基板, 41A,41B・・・係合部, 42A,42B・・・グラウンド接続端子, 43・・・接続端子部, 44・・・絶縁被膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線板部材の部分が載置される部材収容部が設けられた絶縁ハウジングと、
該絶縁ハウジングに配列配置され、配線板部材の部分が上記部材収容部に載置されて収容されたとき該配線板部材の部分に配列配置された複数の接続端子部に夫々接触接続される複数のコンタクトと、
上記絶縁ハウジングに対して回動可能に設けられ、上記部材収容部を開放状態とする第1の静止位置と上記部材収容部を覆う第2の静止位置とを選択的にとり、上記第1の静止位置をとるとき、配線板部材の部分の上記部材収容部への載置を可能とし、配線板部材の部分が上記部材収容部に載置されて収容されたもとで上記第2の静止位置をとるとき、該配線板部材の部分に配列配置された複数の接続端子部を上記複数のコンタクトに向けて夫々押圧するアクチュエータと、
を備えて成り、
上記部材収容部における上記複数のコンタクトの配列方向の両端部に、上記部材収容部に載置された配線板部材の部分が該配線板部材の板面に沿いかつ上記複数のコンタクトの配列方向に交差する方向に移動せしめられるとき、上記配線板部材の部分に設けられた係合部に係合して該配線板部材の部分を保持する係合保持部が設けられたことを特徴とするコネクタ装置。
【請求項2】
上記部材収容部に載置された配線板部材の部分が、該配線板部材の部分に設けられた係合部に上記係合保持部が係合して該係合保持により保持される適正な位置に配されていないもとで、上記アクチュエータが上記第1の静止位置から上記第2の静止位置に向けて回動せしめられるとき、上記配線板部材の部分に当接して上記アクチュエータの回動を阻止する適正位置検知部が、上記アクチュエータに設けられていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ装置。
【請求項3】
上記絶縁ハウジングにおける上記複数のコンタクトの配列方向の両端部に取り付けられて該絶縁ハウジングの主配線基板への実装に用いられる補強金具を備え、該補強金具に、上記係合保持部が係合する配線板部材の部分に設けられた係合部を押圧する弾性腕状部が設けられていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ装置。
【請求項4】
上記絶縁ハウジングにおける上記複数のコンタクトの配列方向の両端部に取り付けられて該絶縁ハウジングの主配線基板への実装に用いられる補強金具を備え、該補強金具に、上記第2の静止位置をとる上記アクチエータに係合して該アクチュエータを係止する係止部が設けられていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ装置。
【請求項5】
上記アクチュエータが、導電材料をもって形成され、上記第2の静止位置をとるとき、上記補強金具を通じた電位設定がなされることを特徴とする請求項4記載のコネクタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−258331(P2011−258331A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129798(P2010−129798)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(394009278)株式会社アイペックス (148)
【Fターム(参考)】