説明

コネクタ装置

【課題】ハウジングを備えたコネクタ装置であって、全体の低背化及び構成部材数の低減を図ることができる構造をもって、ハウジングに差し込まれた配線板状部材を、係止状態及び係止解除状態に選択的におくことができるものを提供する。
【解決手段】ハウジング(11)に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板(40)に対する係止状態をとる係止部(27)と,係止部(27)をハウジング(11)の下方端面部(11e)から離隔する方向に移動させて、そのフレキシブル印刷配線基板(40)に対する係止状態を解除するための操作部(26)と、係止部(27)を操作部(26)に連結する連結部(28)とを有したロック機構(25)が、ハウジング(11)を部分的に覆うシェル部材(14)に一体的に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の特許請求の範囲に記載された発明は、フレキシブル印刷配線基板(FPC)やフレキシブル平板状ケーブル(FFC)等の配線板状部材に設けられた接続端子部を、他の配線基板等とされる他の電気部品に電気的に連結するため、配線基板等に取り付けられて配線板状部材が差し込まれるものとして用いられ、差し込まれた配線板状部材にその離脱を阻止すべく係合する係止手段、及び、配線基板等に設けられた配線部に接続されるとともに差し込まれた配線板状部材における接続端子部に接触接続されるコンタクトを含んで構成されるコネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の電子機器に実装される比較的小型なフレキシブル印刷配線基板やフレキシブル平板状ケーブル等の配線板状部材は、各種の電気部品が取り付けられる主配線基板との電気的連結が、当該主配線基板に電気的接続がなされて固定されるコネクタ装置が用いられて行われることが多い。このような配線板状部材の主配線基板との電気的連結にあたって用いられるコネクタ装置は、主配線基板に設けられた配線部に接続されるとともに配線板状部材に設けられた接続端子部に接触接続される導電性のコンタクトを有していて、そのコンタクトを介して、配線板状部材に設けられた接続端子部を主配線基板に設けられた配線部に電気的に連結する。
【0003】
従来提案されている、例えば、フレキシブル印刷配線基板とされる配線板状部材の主配線基板との電気的連結に用いられるコネクタ装置は、配線板状部材が差し込まれる差込み部が設けられたものとされて主配線基板に配される、例えば、絶縁材料によって形成されたハウジングを有したものとされる。そして、例えば、ハウジングに配列配置されて設けられ、主配線基板に設けられた配線部に接続されたもとで、配線板状部材が差込み部を通じてハウジングに差し込まれたとき、その配線板状部材に設けられた複数の接続端子部に夫々対応するものとなる複数のコンタクトと、複数のコンタクトについての特性インピーダンス調整に貢献するものとして、さらには、外部からの電磁波ノイズ対策のため、即ち、外部からの電磁波ノイズに対するシールド効果を得るために、ハウジングを部分的もしくは全体的に覆うものとして配されて主配線基板に設けられた接地端子に連結されるシェル部材と、ハウジングに対して回動可能とされるとともに複数のコンタクトの夫々に係合して設けられ、回動せしめられるとき、複数のコンタクトに、複数の接続端子部に夫々接触接続された状態、あるいは、複数の接続端子部との接触接続から解放された状態をとらせるアクチュエータとを備えている。このようなもとで、複数のコンタクトが配線板状部材に設けられた複数の接続端子部に夫々接触接続された状態におかれることにより、配線板状部材が主配線基板との電気的連結状態におかれる。
【0004】
さらに、従来提案されている配線板状部材の主配線基板との電気的連結に用いられるコネクタ装置の中には、上述のようなハウジングを有し、上述のような複数のコンタクト及びシェル部材を備えてはいるが、ハウジングに対して回動可能に設けられるアクチュエータを備えていず、配線板状部材が差込み部を通じてハウジングに差し込まれたとき、自動的に、ハウジング内に設けられた複数のコンタクトが差し込まれた配線板状部材に設けられた複数の接続端子部に夫々接触接続されるものもある。斯かるものにあっては、配線板状部材が差込み部を通じてハウジングに適正に差し込まれるだけで、配線板状部材が主配線基板との電気的連結状態におかれる。
【0005】
このような従来提案されているコネクタ装置にあっては、ハウジングに対して回動可能に設けられるアクチュエータを備えたもの及び斯かるアクチュエータを備えていないもののいずれの場合にも、例えば、フレキシブル印刷配線基板とされる配線板状部材が、主配線基板に配されたハウジングに差込み部を通じて差し込まれて、ハウジングに配された複数のコンタクトが、ハウジングに差し込まれた配線板状部材における複数の接続端子部に夫々接触接続され、それにより、配線板状部材が主配線基板との電気的連結状態におかれるにあたり、配線板状部材がハウジングから不所望に離脱するような事態が回避されなくてはならない。当然のことながら、ハウジングに配された複数のコンタクトがハウジングに差し込まれた配線板状部材における複数の接続端子部に夫々接触接続された状態が適正に維持されるためには、ハウジングに差込み部を通じて差し込まれた配線板状部材が、その状態を安定に維持することができ、ハウジングから不所望に抜脱されるような事態をまねかないものとされることが必要とされるのである。
【0006】
そのため、例えば、前述のような、ハウジングを有し、複数のコンタクトとシェル部材とを備えてはいるが、ハウジングに対して回動可能とされるアクチュエータを備えていないコネクタ装置に属するものであって、ハウジング内に差込み部を通じて差し込まれた配線板状部材に係合して、当該配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱を阻止する係止手段を備えたコネクタ装置が従来提案されている(例えば、特許文献1参照。)。なお、ハウジングは、主配線基板に配されるにあたり、主配線基板に近接あるいは接触して主配線基板に対面する端面部とそれに対向する端面部とを有することになるが、以下においては、主配線基板に対面する端面部をハウジングの下方端面部といい、また、主配線基板に対面する端面部に対向する端面部をハウジングの上方端面部という。
【0007】
特許文献1に示されるコネクタ装置にあっては、ハウジング(11)の外面部を部分的に覆うものとして配されたシェル部材(導電性シェル(14))に、ハウジング内に伸びて、ハウジングにそれに設けられた差込み部(板状部材差込み部(12))を通じて差し込まれた配線板状部材であるフレキシブル印刷配線基板(40)を係止する状態をとる係止手段(ロック部(20)) が形成されている。また、ハウジングには、それと一体的に形成されて移動可能とされ、一端部がシェル部材の外方に突出するとともに、他端部が係止手段に係合する係止解除手段(ロック解除部(30)) が設けられている。
【0008】
係止手段は、ハウジングに差し込まれた配線板状部材における係合部(43;44) に係合して配線板状部材を係止する係止部(23)と係止部を変位可能に支持する弾性ア−ム部(22)とを備えており、弾性ア−ム部に係止解除手段の他端部が係合する。
【0009】
そして、配線板状部材がハウジングに差込み部を通じて差し込まれたとき、配線板状部材における係合部に係止手段における係止部が係合して配線板状部材を係止し、それにより、ハウジングに差し込まれた配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱が阻止される。
【0010】
その後、シェル部材の外部に突出した係止解除手段の一端部をハウジング内に向けて押圧する押圧操作が行われると、係止解除手段の他端部が係止手段を構成する弾性ア−ム部に係合してその弾性ア−ム部を、ハウジングの下方端面部を覆うシェル部材の下面部(21)に近付く位置、即ち、ハウジングの下方端面部に近接した位置へと変位させ、それに伴って、弾性ア−ム部により支持された係止部が、ハウジングの下方端面部に近接した位置へと変位せしめられて、配線板状部材における係合部との係合を解除する。それにより、係止手段に形成された係止部が配線板状部材における係合部との係合から解放され、ハウジングに差し込まれた配線板状部材がハウジングから抜脱され得る状態におかれる。
【0011】
斯かる特許文献1に示されるコネクタ装置においては、係止手段を構成する弾性ア−ム部により支持された係止部を、配線板状部材における係合部との係合から解放するに際して、係止手段の弾性ア−ム部を、ハウジングの下方端面部に近接した位置へと変位させることになり、そのため、ハウジング内における係止手段を構成する弾性ア−ム部とハウジングの下方端面部との間に、弾性ア−ム部がハウジングの下方端面部に近接した位置へと変位できるだけのスペースを設けることが必要とされる。このようなハウジング内における係止手段を構成する弾性ア−ム部とハウジングの下方端面部との間に設けられるスペースは、ハウジングの下方端面部から上方端面部までの寸法である厚み寸法を低減することに関してはその妨げとなり、その結果、コネクタ装置の厚み寸法を低減すること、即ち、コネクタ装置の低背化に困難をもたらす虞がある。
【0012】
そのため、上述のようなハウジングと複数のコンタクトとシェル部材とを有したもとで、ハウジングに差し込まれた配線板状部材に係合して、当該配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱を阻止する係止手段を備えたコネクタ装置について、ハウジングに差し込まれた配線板状部材に係合してそれを係止している係止手段を、ハウジングの下方端面部に近接した位置へと変位させるのではなく、ハウジングの下方端面部から離隔させるように移動させることにより、配線板状部材との係合から解放することができるようにして、コネクタ装置の低背化に有利なものとすることが考えられる。これに関連して、ハウジングに差し込まれた配線板状部材に係合してそれを係止している係止手段を、配線板状部材との係合から解放するにあたり、係止手段をハウジングの下方端面部から離隔させるように移動させるコネクタ装置も従来提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0013】
特許文献2に示されるコネクタ装置においては、差込み部(挿入開口部(11a) ) が設けられ、複数のコンタクト(導電コンタクト(12)) が配列配置されたハウジング(本体ハウジング(11)) に、差込み部を通じてハウジングに差し込まれた配線板状部材(信号伝送媒体(F))に係合してそれを係止する係止手段を備えたロック操作部材(14)が、回動可能に取り付けられる。ロック操作部材は、その全体が複数のコンタクトの配列方向であるハウジングの長手方向に沿って伸びるものとされており、ハウジングの長手方向における両端部の夫々に、配線板状部材における係合部(係止ロック部(Fb)に係合して配線板状部材を係止する係止手段を形成するロック板(14b) が設けられるとともに、その両端部の中間部に、配線板状部材における係合部に対するロック板の係合状態を解除すべく押圧操作される係止解除手段を形成する解除操作部(14c) が設けられている。さらに、ロック操作部材は、ハウジングの長手方向に沿って伸びる軸部(14a) を有しており、その軸部の両端部がハウジングにより回動可能に支持されていて、ロック操作部材全体がハウジングに対して回動し得るものとされている。
【0014】
また、ハウジングの外表面を部分的に覆うシェル部材(シールドシェル(13)) には、屈曲してハウジング内へと突出する弾性連結部材(13d) が形成されており、この弾性連結部材がロック操作部材に設けられたロック板に弾性当接して、ロック板をハウジングの下方端面部に向かう方向に付勢している。それにより、ロック操作部材全体が、ハウジングに対して解除操作部をハウジングの下方端面部から離隔させる方向に回動するように付勢されていることになる。ただし、ロック操作部材の回動は、シェル部材におけるハウジングの上方端面部を覆う部分のロック操作部材側端縁部がロック操作部材に当接することにより規制される。
【0015】
このようなもとで、配線板状部材がハウジングに差込み部を通じて差し込まれると、ハウジングに配列配置された複数のコンタクトが配線板状部材に配列配置された複数の接続端子部(接続パッド部(Fa)) に夫々接触接続され、ロック操作部材に設けられたロック板が配線板状部材に設けられた係合部に係合して配線板状部材に対する係止状態をとる。その後、ロック操作部材に設けられた解除操作部に押圧操作が加えられて、ロック操作部材が、ハウジングに対して解除操作部をハウジングの下方端面部に近付ける方向に回動せしめられると、ロック板が、シェル部材に形成された弾性連結部材による付勢力に抗して、ハウジングの下方端面部から離隔する方向に移動せしめられ、配線板状部材に設けられた係合部との係合を解き、配線板状部材に対する係止状態を解除する。それにより配線板状部材が、ハウジングから抜脱され得る状態におかれる。
【0016】
このように、ハウジングに差し込まれた配線板状部材に係合してそれを係止している係止手段を形成するロック板が、ハウジングの下方端面部から離隔する方向に移動せしめられて、配線板状部材との係合を解くようにされているので、ハウジング内においてロック板とハウジングの下方端面部との間にロック板の移動のためのスペースを設けることが不要とされ、それにより、ハウジングの厚み寸法の低減を図ることができて、コネクタ装置がその低背化に有利なものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2011−40246号公報 (段落0040〜0046, 0063〜0074, 図5〜11, 15〜17)
【特許文献2】特開2011−40295号公報 (段落0020〜0024,0034〜0041,0044〜0048,図1〜8,12,13)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
上述の特許文献2に示されるような、フレキシブル印刷配線基板等の配線板状部材の主配線基板との電気的連結に用いられるべく、ハウジングに差し込まれた配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱を阻止する係止手段を備えていて、ハウジングに差し込まれた配線板状部材に係合してそれを係止している係止手段を、ハウジングの下方端面部から離隔させるように移動させることにより、配線板状部材との係合から解放することができるようにしたものとして、従来提案されているコネクタ装置にあっては、全体がハウジングの長手方向に沿って伸びるものとされ、両端部の夫々に、配線板状部材に対する係止手段を形成するロック板が設けられるとともに、その両端部の中間部に、配線板状部材における係合部に対するロック板の係合状態を解除すべく押圧操作される係止解除手段を形成する解除操作部が設けられて、ハウジングに回動可能に取り付けられるロック操作部材を備えて構成されている。斯かるロック操作部材は、ハウジング及びハウジングに装着されるシェル部材からは独立した、ハウジング及びシェル部材とは別の部材として備えられる。
【0019】
それにより、斯かる従来提案されているコネクタ装置は、その低背化に有利なものとされる反面、構成部材数の増加がもたらされて、全体の構成の複雑化がまねかれ、製造コストが嵩むことになってしまうという不都合を伴っている。
【0020】
斯かる点に鑑み、本願の特許請求の範囲に記載された発明は、フレキシブル印刷配線基板やフレキシブル平板状ケーブル等とされる配線板状部材の他の配線基板との電気的連結に用いられる、配線板状部材が差し込まれるハウジングと、ハウジングに配列配置されて設けられる複数のコンタクトと、ハウジングを部分的に覆うシェル部材とを備え、ハウジングに差し込まれた配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱を阻止する係止手段が設けられたコネクタ装置であって、構成部材数の増加をもたらさず、全体の構成の複雑化をまねくことがない構造をもって、複数のコンタクトがハウジングに差し込まれた配線板状部材における複数の接続端子部に夫々接触接続されたもとで、当該配線板状部材に係合してそれを係止している係止手段を、ハウジングの下方端面部から離隔させるように移動させることによって、配線板状部材との係合から解放することができ、それにより、ハウジングの厚み寸法を低減できて、全体の低背化を図ることができることになるものを提供する。
【0021】
本願の特許請求の範囲における請求項1から請求項6までのいずれかに記載された発明(以下、本発明という。)に係るコネクタ装置は、第1の側端部において開口する板状部材差込み部が設けられ、第1の端面部を配線基板に対面させて当該配線基板上に配されるハウジングと、各々がハウジングの内部に配される接触部と第1の側端部に対向する第2の側端部からハウジングの外部に導出される接続部とを備えて配列配置され、複数の接触部がハウジングに差し込まれた配線板状部材における複数の接続端子部に夫々接触接続される複数のコンタクトと、ハウジングを部分的に覆い、ハウジングの第1の端面部に対向する第2の端面部に近接した部分に、板状部材差込み部を通じてハウジングに配線板状部材が差し込まれたとき当該配線板状部材に対する係止状態と係止解除状態とを選択的にとるロック機構が一体的に設けられたシェル部材とを備えて構成される。そして、斯かる本発明に係るコネクタ装置は、シェル部材に一体的に設けられたロック機構が、ハウジングの第1の端面部に向かう方向の押圧操作を受ける操作部と、ハウジングに差し込まれた配線板状部材を係止する係止状態をとる係止部と、係止部を操作部に連結する連結部とを有し、連結部にハウジングの第2の端面部に設けられた受け部に当接する当接支点部が設けられて構成され、操作部に押圧操作が加えられたとき、連結部が当接支点部をハウジングの第2の端面部に設けられた受け部に当接させて係止部をハウジングの第1の端面部から離隔する方向に移動させることを特徴とするものとされる。
【0022】
上述のような本発明に係るコネクタ装置にあっては、ハウジングの第1の端面部が前述の下方端面部に該当し、また、ハウジングの第2の端面部が前述の上方端面部に該当する。そして、斯かる本発明に係るコネクタ装置にあっては、複数の接続端子部が設けられた配線板状部材が板状部材差込み部を通じてハウジングに差し込まれると、それにより、ハウジングに配列配置された複数のコンタクトの各々が備える複数の接触部が、ハウジングに差し込まれた配線板状部材における複数の接続端子部に夫々接触接続されるとともに、シェル部材に一体的に設けられたロック機構における係止部が、ハウジングに差し込まれた配線板状部材に係合して、当該配線板状部材に対する係止状態をとる。即ち、ロック機構における係止部が、配線板状部材に対する係止手段を形成しているのである。その結果、ハウジングに差し込まれた配線板状部材が、係止部により係止されてハウジングからの不所望な抜脱が阻止される状態におかれ、ハウジングに配列配置された複数のコンタクトの各々が備える複数の接触部が、当該配線板状部材における複数の接続端子部に夫々接触接続された状態が安定に維持される。
【0023】
その後、ロック機構における操作部に、ハウジングの第1の端面部、即ち、下方端面部に向かう方向の押圧操作が加えられると、それに応じて、ロック機構における連結部が、それに設けられた当接支点部をハウジングの第2の端面部、即ち、上方端面部に設けられた受け部に当接させて変位し、配線板状部材に対する係止状態をとっている係止部を、ハウジングの第1の端面部、即ち、下方端面部から離隔する方向に移動させる。それにより、係止部が、配線板状部材に対する係止状態を解除し、ハウジングから配線板状部材を意図的に抜脱させることができる状態が得られる。
【0024】
このような本発明に係るコネクタ装置における各部の具体的構成,機能あるいは役割は、例えば、次のように説明される。
【0025】
本発明に係るコネクタ装置にあっては、シェル部材に一体的に設けられたロック機構における操作部が、例えば、本願の特許請求の範囲における請求項2に記載されたもののように、シェル部材におけるハウジングの第1の側端部側部分もしくは第2の側端部側部分に配された可動部を形成するものとされる。それにより、操作部に対するハウジングの第1の端面部に向かう方向の押圧操作が極めて行い易いものとされる。
【0026】
シェル部材に一体的に設けられたロック機構における連結部は、例えば、本願の特許請求の範囲における請求項3に記載されたもののように、シェル部材におけるハウジングの第1の側端部側部分もしくは第2の側端部側部分に配された可動部を形成するものとされた操作部から、ハウジングの第2の側端部もしくは第1の側端部に向かって伸びる腕状部を形成し、また、ロック機構における係止部が、連結部からハウジングの第1の端面部に向かって突出する突起部を形成する。そして、連結部は、例えば、本願の特許請求の範囲における請求項4に記載されたもののように、弾性を具えたものとされ、操作部にハウジングの第1の端面部に向かう方向の押圧操作が加えられなくなったとき、その弾性により、ハウジングの第1の端面部から離隔する方向に移動せしめられた係止部を元の位置に戻す。それにより、配線板状部材が板状部材差込み部を通じてハウジングに差し込まれたとき、ロック機構における係止部が配線板状部材に弾性係合してそれを係止することになり、係止部による配線板状部材に対する係止が、より確実かつ堅固に行われる。さらに、係止部の配線板状部材に対する係止状態を解除すべく操作部に押圧操作が加えられて、操作部,連結部及び係止部の夫々が変位せしめられた後、操作部に押圧操作が加えられなくなると、係止部と操作部と連結部とを含んだロック機構の全体が、自動的に元の位置に戻される。
【0027】
ロック機構における係止部は、例えば、本願の特許請求の範囲における請求項5に記載されたもののように、ハウジングの第2の端面部側からハウジングに設けられた板状部材差込み部に連通するスリット部を通じて、板状部材差込み部内に突出するものとされる。それにより、係止部が板状部材差込み部を通じてハウジングに差し込まれた配線板状部材に係合する際における係止部の適正な位置が、安定に維持されることになる。
【0028】
さらに、シェル部材に一体的に設けられるロック機構は、例えば、本願の特許請求の範囲における請求項6に記載されたもののように、シェル部材における複数のコンタクトの配列方向の両端部分の夫々に設けられ、各ロック機構における操作部が、ハウジングの第1の側端部もしくは第2の側端部に沿って複数のコンタクトの配列方向に伸びるシェル部材における可動連結端縁部によって相互連結される。それにより、各ロック機構における係止部によるハウジングに差し込まれ配線板状部材に対する係止が、極めて安定に行われるとともに、ハウジングの第1の側端部もしくは第2の側端部に沿って伸びるシェル部材における可動連結端縁部を、ハウジングの第1の端面部に向かう方向に押圧することにより、各ロック機構における操作部にハウジングの第1の端面部に向かう方向の押圧操作を加えることができるので、ロック機構における操作部に対するハウジングの第1の端面部に向かう方向の押圧操作が、極めて容易かつ確実に行うことができるものとされる。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係るコネクタ装置においては、上述のように、フレキシブル印刷配線基板やフレキシブル平板状ケーブル等とされる配線板状部材が、板状部材差込み部を通じてハウジングに差し込まれたとき、ハウジングに配列配置された複数のコンタクトの各々が備える複数の接触部が、ハウジングに差し込まれた配線板状部材における複数の接続端子部に夫々接触接続され、それとともに、シェル部材に一体的に形成されたロック機構における係止部が、ハウジングに差し込まれた配線板状部材に係合して、当該配線板状部材に対する係止状態をとる。その結果、比較的簡単な構成をもって、ハウジングに差し込まれた配線板状部材を、係止部により係止されてハウジングからの不所望な抜脱が阻止される状態におくことができ、ハウジングに配列配置された複数のコンタクトが、ハウジングに差し込まれた配線板状部材における複数の接続端子部に夫々電気的に接続された状態を安定に維持することができる。
【0030】
また、ハウジングに差し込まれた配線板状部材がロック機構における係止部により係止された状態におかれたもとで、ロック機構における操作部にハウジングの第1の端面部、即ち、下方端面部に向かう方向の押圧操作が加えられると、それに応じて、ロック機構における連結部が、係止部に配線板状部材に対する係止状態を解除させる。それにより、ハウジングに差し込まれた配線板状部材を、係止部による係止状態から解放して、ハウジングから意図的に抜脱することができる状態におくことができる。斯かる際、連結部は、それに設けられた当接支点部をハウジングの第2の端面部、即ち、上方端面部に設けられた受け部に当接させて変位し、配線板状部材に対する係止状態をとっている係止部を、ハウジングの第1の端面部、即ち、下方端面部から離隔する方向に移動させる。
【0031】
従って、本発明に係るコネクタ装置によれば、係止部の配線板状部材に対する係止状態を、係止部をハウジングの第1の端面部から離隔する方向に移動させることによって解除できることになり、ハウジング内においてロック機構における係止部とハウジングの第1の端面部との間に係止部の移動のためのスペースを設けることが不要とされる。その結果、ハウジングの厚み寸法の低減を図ることができ、それをもってコネクタ装置の低背化に貢献することができることになる。
【0032】
そして、本発明に係るコネクタ装置にあっては、係止部の配線板状部材に対する係止状態を、係止部をハウジングの第1の端面部から離隔する方向に移動させることによって解除できるようにするため、シェル部材に一体的に形成されたロック機構を、係止部と操作部と連結部とを有し、連結部にハウジングの第2の端面部に設けられた受け部に当接する当接支点部が設けられて構成されたものとしている。従って、構成部材数の増加をもたらさず、全体の構成の複雑化をまねくことがない構造をもって、複数のコンタクトがハウジングに差し込まれた配線板状部材における複数の接続端子部に夫々接触接続されたもとで、当該配線板状部材に係合してそれを係止している係止手段を、ハウジングの第1の端面部から離隔させるように移動させることによって、配線板状部材との係合から解放することができることになる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係るコネクタ装置の第1の例を示す正面側から見た斜視図である。
【図2】本発明に係るコネクタ装置の第1の例を示す背面側から見た斜視図である。
【図3】本発明に係るコネクタ装置の第1の例に備えられるシェル部材を示す背面側から見た斜視図である。
【図4】本発明に係るコネクタ装置の第1の例に備えられるシェル部材を示す部分断面を含んだ背面側から見た斜視図である。
【図5】本発明に係るコネクタ装置の第1の例に差し込まれるフレキシブル印刷配線基板を示す斜視図である。
【図6】本発明に係るコネクタ装置の第1の例にフレキシブル印刷配線基板が差し込まれた状態を示す斜視図である。
【図7】本発明に係るコネクタ装置の第1の例にフレキシブル印刷配線基板が差し込まれた状態を示す平面図である。
【図8】本発明に係るコネクタ装置の第1の例にフレキシブル印刷配線基板が差し込まれた状態を示す部分断面を含んだ斜視図である。
【図9】図7におけるIX−IX線断面を示す断面図である。
【図10】図7における X−X 線断面を示す断面図である。
【図11】本発明に係るコネクタ装置の第1の例にフレキシブル印刷配線基板が差し込まれたもとでロック機構における操作部が押圧操作された状態を示す断面図である。
【図12】本発明に係るコネクタ装置の第2の例を示す正面側から見た斜視図である。
【図13】本発明に係るコネクタ装置の第2の例を示す背面側から見た斜視図である。
【図14】本発明に係るコネクタ装置の第2の例に備えられるシェル部材を示す背面側から見た斜視図である。
【図15】本発明に係るコネクタ装置の第2の例に備えられるシェル部材を示す部分断面を含んだ背面側から見た斜視図である。
【図16】本発明に係るコネクタ装置の第2の例にフレキシブル印刷配線基板が差し込まれた状態を示す平面図である。
【図17】本発明に係るコネクタ装置の第2の例にフレキシブル印刷配線基板が差し込まれた状態を示す部分断面を含んだ斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明を実施するための形態は、以下に述べられる本発明についての実施例をもって説明される。
【実施例1】
【0035】
図1(正面側から見た斜視図)及び図2(背面側から見た斜視図)は、本発明に係るコネクタ装置の第1の例を示す。
【0036】
図1及び図2には、本発明に係るコネクタ装置の第1の例を成すコネクタ装置10が示されている。以下においては、図1に示されるコネクタ装置10の正面に向かって上側, 下側、左側及び右側を、夫々、上,下,左及び右、あるいは、上方、下方、左方、右方とする。
【0037】
図1及び図2に示されるコネクタ装置10は、合成樹脂等の絶縁材料によって形成されたハウジング11を備えており、ハウジング11は、第1の側端部を成す正面側端部11a及び第1の側端部に対向する第2の側端部を成す背面側端部11bと、一対の相互対向側端部を成す左側端部11c及び右側端部11dとを有している。そして、ハウジング11には、その正面側端部11aにおいて開口する板状部材差込み部12が、正面側端部11aからハウジング11の内部を背面側端部11bに向かって広がるものとされて設けられている。
【0038】
このようなハウジング11は、例えば、図示されていない配線基板に、第1の端面部を成す下方端面部11e(後述される図8〜図11に示されている。)を対面させて配され、それにより、コネクタ装置10の全体が当該配線基板に取り付けられたものとされる。そして、ハウジング11の第2の端面部を成す上方端面部11fは、ハウジング11内に広がる板状部材差込み部12を挟んで下方端面部11eに対向している。このようなもとで、板状部材差込み部12を通じて、例えば、後述されるフレキシブル印刷配線基板が、配線板状部材を成すものとして、ハウジング11に差し込まれる。
【0039】
ハウジング11には、各々が弾性導電材料で形成された複数のコンタクト13が、ハウジング11の長手方向(左右方向)に沿って配列配置されて設けられている。複数のコンタクト13の夫々は、後述される図7におけるX ーX 線断面を示す図10に示されるように、ハウジング11の内部に配される接触部13aと、ハウジング11の背面側端部11bからその外部に導出される接続部13bとを備えている。そして、接触部13aは、ハウジング11に板状部材差込み部12を通じて差し込まれた配線板状部材を成すフレキシブル印刷配線基板における接続端子部に、ハウジング11の上方端面部11f側から当接して接触接続され、また、接続部13bは、ハウジング11が配された配線基板に設けられた信号端子部に、例えば、半田付けによって接続される。それにより、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板における複数の接続端子部が、複数のコンタクト13を介して、ハウジング11が配された配線基板に設けられた信号端子部に連結される。
【0040】
また、コネクタ装置10は、ハウジング11の正面側端部11aにおける板状部材差込み部12が開口する部分及びその周囲部分,背面側端部11bの大部分及び下方端面部11eの一部分を除いた残りの部分の大部分を覆うシェル部材14を備えている。即ち、シェル部材14は、ハウジング11を部分的に覆っているのであり、ハウジング11の左側端部11c,右側端部11d及び上方端面部11fの各々の大部分は、シェル部材14によって覆われている。このシェル部材14は、弾性を有した金属板が加工成形されて構成されており、複数のコンタクト13についての特性インピーダンス調整に貢献するため、さらには、コネクタ装置10についての外部からの電磁波ノイズ対策のため、即ち、コネクタ装置10における外部からの電磁波ノイズに対するシールド効果を得るためのものとして、備えられている。
【0041】
シェル部材14は、シェル部材14を単独で示す図3(背面側から見た斜視図)及び図4(背面側から見た部分断面を含んだ斜視図)に示されるように、ハウジング11の上方端面部11fに近接してその上方端面部11fの大部分を覆うことになる上方部分15,ハウジング11の下方端面部11eの一部分を覆うことになる下方部分16,ハウジング11の左側端部11cの大部分を覆うことになる左側面部分17、及び、ハウジング11の右側端部11dの大部分を覆うことになる右側面部分18を有しており、コネクタ装置10の背面側に配されることになる背面部分19は開口部を形成している。下方部分16,左側面部分17及び右側面部分18には、複数の基板接続部20及び21が夫々設けられている。これらの基板接続部20及び21の夫々は、ハウジング11が配された配線基板に設けられた接地端子部に、例えば、半田付けされて接続され、コネクタ装置10の配線基板への取り付けに使用される。
【0042】
また、シェル部材14の上方部分15における、シェル部材14がハウジング11に装着されたもとで複数のコンタクト13の配列方向(ハウジング11の長手方向(左右方向))の両端部分となる左端部分及び右端部分の夫々には、板状部材差込み部12を通じてハウジング11に差し込まれた配線板状部材に対する係止状態と係止解除状態とを選択的にとることになるロック機構25が、シェル部材14と一体的に設けられたものとして備えられている。これら一対のロック機構25の夫々は、ハウジング11の下方端面部11eに向かう方向の押圧操作を受けることになる操作部26と、ハウジング11に差し込まれた配線板状部材を係止する係止状態をとることになる係止部27と、係止部27を操作部26に連結する連結部28とを有している。そして、連結部28には、ハウジング11の上方端面部11fに設けられた受け部30(後述される図9及び図11に示されている。)に当接することになる当接支点部28aが設けられている。
【0043】
図1及び図2に示されるようにシェル部材14がハウジング11に装着されたもとで、各ロック機構25における操作部26は、シェル部材14の上方部分15におけるハウジング11の正面側端部11a側となる部分に配された、ハウジング11の下方端面部11eに向かう方向及びハウジング11の下方端面部11eから離隔する方向に移動可能とされた可動部を形成している。また、各ロック機構25における連結部28は、操作部26からハウジング11の背面側端部11bに向かって伸びる、弾性を有した腕状部を形成している。そして、連結部28に設けられる当接支点部28aは、腕状部を形成する連結部28における屈曲部として形成される。さらに、各ロック機構25における係止部27は、連結部28からハウジング11の下方端面部11eに向かって突出する突起部を形成しており、ハウジング11の上方端面部11f側から、ハウジング11に設けられた板状部材差込み部12に連通するスリット31(後述される図9及び図11に示されている。)を通じて、板状部材差込み部12内に突出している。
【0044】
シェル部材14の上方部分15におけるハウジング11の正面側端部11a側の端縁部は、複数のコンタクト13の配列方向(ハウジング11の長手方向(左右方向))に伸びて、シェル部材14の上方部分15における左端部分及び右端部分に夫々設けられた一対のロック機構25の各々における操作部26を相互連結し、ハウジング11の下方端面部11eに向かう方向及びハウジング11の下方端面部11eから離隔する方向に移動可能とされた可動連結端縁部32を形成している。それにより、各ロック機構25における操作部26と可動連結端縁部32とが一体形成されたものとされて、複数のコンタクト13の配列方向に伸びる可動連結端縁部32がハウジング11の下方端面部11eに向かう方向に押圧されることにより、各ロック機構25における操作部26にハウジング11の下方端面部11eに向かう方向の押圧操作が加えられることになる。
【0045】
このようなもとで、例えば、可動連結端縁部32がハウジング11の下方端面部11eに向かう方向に押圧されて、各ロック機構25における操作部26にハウジング11の下方端面部11eに向かう方向の押圧操作が加えられると、操作部26が、ハウジング11の下方端面部11eに向かって移動せしめられ、それに伴って、各ロック機構25における連結部28が、それに設けられた当接支点部28aをハウジング11に設けられた受け部30に当接させて弾性変形を生じ、各ロック機構25における係止部27を、ハウジング11の下方端面部11eから離隔する方向に移動させる。
【0046】
その後、各ロック機構25における操作部26にハウジング11の下方端面部11eに向かう方向の押圧操作が加えられなくなると、各ロック機構25における連結部28が、それが具える弾性による復元変形を生じ、ハウジング11の下方端面部11eから離隔する方向に移動せしめられた係止部27を元の位置に戻す。それにより、操作部26,係止部27及び連結部28を含んだ各ロック機構25の全体及び可動連結端縁部32が、元の位置に戻ることになる。
【0047】
図5は、コネクタ装置10におけるハウジング11に板状部材差込み部12を通じて差し込まれる、配線板状部材を成すフレキシブル印刷配線基板の一例であるフレキシブル印刷配線基板40を示す。
【0048】
図5に示されるフレキシブル印刷配線基板40における一対の相互対向面の一方には、その一端部に各々が短冊状に形成された複数の接続端子部41が配列配置されて設けられている。さらに、フレキシブル印刷配線基板40には、配列配置された複数の接続端子部41を挟んで相互対向する一対の側縁部の夫々に切欠き係合部43が形成されており、フレキシブル印刷配線基板40における一対の切欠き係合部43の夫々より先端側となる部分が端縁部44とされている。そして、フレキシブル印刷配線基板40においては、複数の接続端子部41が設けられた部分と一対の切欠き係合部43が形成された部分と一対の端縁部44とを残して、それら以外の部分がカバーフィルム45によって覆われている。
【0049】
図6(斜視図), 図7(平面図)及び図8(部分断面を含んだ斜視図)は、図5に示されるフレキシブル印刷配線基板40が、コネクタ装置10におけるハウジング11に板状部材差込み部12を通じて差し込まれた状態を示す。ハウジング11に差し込まれるフレキシブル印刷配線基板40は、配列配置された複数の接続端子部41が設けられた板面が上方に向けられたもの、即ち、シェル部材14の上方部分15側に向けられたものとされる。そして、コネクタ装置10においてフレキシブル印刷配線基板40のハウジング11への差込みが適正に行われるときには、フレキシブル印刷配線基板40における複数の接続端子部41が配列配置された部分の先端縁部が、ハウジング11の背面側端部11b と平行になるようにされる。
【0050】
図6〜図8に示されるようにフレキシブル印刷配線基板40がハウジング11に差し込まれた状態がとられるにあたっては、コネクタ装置10がそのロック機構25における操作部26に押圧操作が加えられていない状態に置かれたもとで、そのコネクタ装置10に対して、フレキシブル印刷配線基板40が、複数の接続端子部41が配列配置された部分の先端縁部を先頭にして、板状部材差込み部12を通じて、ハウジング11内へと差し込まれる。その際、フレキシブル印刷配線基板40における、その側端部に形成された切欠き係合部43より先端側となる端縁部44が、コネクタ装置10のロック機構25における係止部27に当接して、係止部27を連結部28とともにハウジング11の下方端面部11eから離隔する方向へと移動させる。それにより、係止部27は、その先端部分をハウジング11に設けられた板状部材差込み部12内から退去させて、フレキシブル印刷配線基板40における端縁部44に当接させ、ハウジング11に対するフレキシブル印刷配線基板40の差込みを妨げない状態をとる。
【0051】
続いて、フレキシブル印刷配線基板40が更にハウジング11内へと差し込まれ、ハウジング11内における予め設定された所定の位置に到達すると、フレキシブル印刷配線基板40のハウジング11に対する差込みが完了する。その際には、図8及び図7におけるIX−IX線断面を示す図9に示されるように、ロック機構25における係止部27の先端部分が、フレキシブル印刷配線基板40における端縁部44から外れて、フレキシブル印刷配線基板40における切欠き係合部43に係合する。
【0052】
このとき、係止部27は、ロック機構25における連結部28が具える弾性によって、連結部28と共に復元移動を行い、その先端部分をフレキシブル印刷配線基板40における切欠き係合部43に係合させる。それにより、ロック機構25における係止部27及び連結部28が、ロック機構25における操作部26に押圧操作が加えられていないときの位置に戻る。
【0053】
その結果、一対のロック機構25の夫々における係止部27が、ハウジング11に板状部材差込み部12を通じて差込まれたフレキシブル印刷配線基板40に係合して、そのフレキシブル印刷配線基板40を係止し、それにより、フレキシブル印刷配線基板40のハウジング11からの不所望な抜脱が阻止される状態が得られる。
【0054】
このようにして、ハウジング11に板状部材差込み部12を通じて差し込まれたフレキシブル印刷配線基板40が、一対のロック機構25の夫々における係止部27による係止状態におかれたもとにあっては、図7における X−X 線断面を示す図10に示されるように、ハウジング11に配列配置された複数のコンタクト13の夫々における接触部13aが、ハウジング11内において、複数の接続端子部41が設けられた板面が上方に向けられてハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板40における複数の接続端子部41のうちの対応するものに、ハウジング11の上方端面部11f側から当接して接触接続される。それにより、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板40における複数の接続端子部41が、複数のコンタクト13を介して、ハウジング11が配された配線基板に設けられた信号端子部に連結される。
【0055】
その後、例えば、シェル部材14に形成された可動連結端縁部32がハウジング11の下方端面部11eに向かう方向に押圧されることにより、もしくは、各ロック機構25における操作部26が直接にハウジング11の下方端面部11eに向かう方向に押圧されることにより、各ロック機構25における操作部26にハウジング11の下方端面部11eに向かう方向の押圧操作が加えられると、操作部26がハウジング11の下方端面部11eに向かう方向に変位し、それに伴って、図11に示されるように、各ロック機構25における連結部28が、それに設けられた当接支点部28aをハウジング11に設けられた受け部30に当接させて弾性変形を生じ、各ロック機構25における係止部27を、ハウジング11の下方端面部11eから離隔する方向に移動させる。
【0056】
それにより、係止部27の先端部分が、ハウジング11に板状部材差込み部12を通じて差し込まれたフレキシブル印刷配線基板40における切欠き係合部43に係合しなくなり、係止部27のフレキシブル印刷配線基板40に対する係止状態が解除される。このようにして、一対のロック機構25の夫々における係止部27のフレキシブル印刷配線基板40に対する係止状態が解除されると、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板40をハウジング11から意図的に抜脱させることができる状態が得られる。
【0057】
その後、各ロック機構25における操作部26にハウジング11の下方端面部11eに向かう方向の押圧操作が加えられなくなると、各ロック機構25における連結部28が、それが具える弾性による復元変形を生じ、ハウジング11の下方端面部11eから離隔する方向に移動せしめられた係止部27を元の位置に戻す。それにより、操作部26,係止部27及び連結部28を含んだ各ロック機構25の全体及び可動連結端縁部32が、元の位置に戻される。
【実施例2】
【0058】
図12(正面側から見た斜視図)及び図13(背面側から見た斜視図)は、本発明に係るコネクタ装置の第2の例を示す。
【0059】
図12及び図13には、本発明に係るコネクタ装置の第2の例を成すコネクタ装置50が示されている。以下においては、図12に示されるコネクタ装置50の正面に向かって上側, 下側、左側及び右側を、夫々、上,下,左及び右、あるいは、上方、下方、左方、右方とする。
【0060】
図12及び図13に示されるコネクタ装置50は、合成樹脂等の絶縁材料によって形成されたハウジング51を備えており、ハウジング51は、第1の側端部を成す正面側端部51a及び第1の側端部に対向する第2の側端部を成す背面側端部51bと、一対の相互対向側端部を成す左側端部51c及び右側端部51dとを有している。そして、ハウジング51には、その正面側端部51aにおいて開口する板状部材差込み部52が、正面側端部51aからハウジング51の内部を背面側端部51bに向かって広がるものとされて設けられている。
【0061】
このようなハウジング51は、例えば、図示されていない配線基板に、第1の端面部を成す下方端面部51e(後述される図17に示されている。)を対面させて配され、それにより、コネクタ装置50の全体が当該配線基板に取り付けられたものとされる。そして、ハウジング51の第2の端面部を成す上方端面部51fは、ハウジング51内に広がる板状部材差込み部52を挟んで下方端面部51eに対向している。このようなもとで、板状部材差込み部52を通じて、例えば、後述されるフレキシブル印刷配線基板が配線板状部材を成すものとして、ハウジング51に差し込まれる。
【0062】
ハウジング51には、各々が弾性導電材料で形成された複数のコンタクト53が、ハウジング51の長手方向(左右方向)に沿って配列配置されて設けられている。複数のコンタクト53の夫々は、ハウジング51の内部に配される接触部と、ハウジング51の背面側端部51bからその外部に導出される接続部53aとを備えている。そして、複数のコンタクト53の夫々の接触部は、ハウジング51に板状部材差込み部52を通じて差し込まれた配線板状部材を成すフレキシブル印刷配線基板における接続端子部に、ハウジング51の上方端面部51f側から当接して接触接続され、また、複数のコンタクト53の夫々の接続部53aは、ハウジング51が配された配線基板に設けられた信号端子部に、例えば、半田付けによって接続される。それにより、ハウジング51に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板における複数の接続端子部が、複数のコンタクト53を介して、ハウジング51が配された配線基板に設けられた信号端子部に連結される。
【0063】
また、コネクタ装置50は、ハウジング51の正面側端部51aにおける板状部材差込み部52が開口する部分及びその周囲部分,背面側端部51bの大部分及び下方端面部51eの一部分を除いた残りの部分の大部分を覆うシェル部材54を備えている。即ち、シェル部材54は、ハウジング51を部分的に覆っているのであり、ハウジング51の左側端部51c,右側端部51d及び上方端面部51fの各々の大部分は、シェル部材54によって覆われている。このシェル部材54は、弾性を有した金属板が加工成形されて構成されており、複数のコンタクト53についての特性インピーダンス調整に貢献するため、さらには、コネクタ装置50についての外部からの電磁波ノイズ対策のため、即ち、コネクタ装置50における外部からの電磁波ノイズに対するシールド効果を得るためのものとして、備えられている。
【0064】
シェル部材54は、シェル部材54を単独で示す図14(背面側から見た斜視図)及び図15(背面側から見た部分断面を含んだ斜視図)に示されるように、ハウジング51の上方端面部51fに近接してその上方端面部51fの大部分を覆うことになる上方部分55,ハウジング51の下方端面部51eの一部分を覆うことになる下方部分56,ハウジング51の左側端部51cの大部分を覆うことになる左側面部分57、及び、ハウジング51の右側端部51dの大部分を覆うことになる右側面部分58を有している。下方部分56,左側面部分57及び右側面部分58には、複数の基板接続部60及び61が夫々設けられている。これらの基板接続部60及び61の夫々は、ハウジング51が配された配線基板に設けられた接地端子部に、例えば、半田付けされて接続され、コネクタ装置50の配線基板への取り付けに使用される。
【0065】
また、シェル部材54の上方部分55における、シェル部材54がハウジング51に装着されたもとで複数のコンタクト53の配列方向(ハウジング51の長手方向(左右方向))の両端部分となる左端部分及び右端部分の夫々には、板状部材差込み部52を通じてハウジング51に差し込まれた配線板状部材に対する係止状態と係止解除状態とを選択的にとることになるロック機構65が、シェル部材54と一体的に設けられたものとして備えられている。これら一対のロック機構65の夫々は、ハウジング51の下方端面部51eに向かう方向の押圧操作を受けることになる操作部66と、ハウジング51に差し込まれた配線板状部材を係止する係止状態をとることになる係止部67と、係止部67を操作部66に連結する連結部68とを有している。そして、連結部68には、ハウジング51の上方端面部51fに設けられた受け部70(後述される図17に示されている。)に当接することになる当接支点部68aが設けられている。
【0066】
図12及び図13に示されるようにシェル部材54がハウジング51に装着されたもとで、各ロック機構65における操作部66は、シェル部材54の上方部分55におけるハウジング51の背面側端部51b側となる部分に配された、ハウジング51の下方端面部51eに向かう方向及びハウジング51の下方端面部51eから離隔する方向に移動可能とされた可動部を形成している。また、各ロック機構65における連結部68は、操作部66からハウジング51の正面側端部51aに向かって伸びる、弾性を有した腕状部を形成している。そして、連結部68に設けられる当接支点部68aは、腕状部を形成する連結部68における屈曲部として形成される。さらに、各ロック機構65における係止部67は、連結部68からハウジング51の下方端面部51eに向かって突出する突起部を形成しており、ハウジング51の上方端面部51f側から、ハウジング51に設けられた板状部材差込み部52に連通するスリット71(後述される図17に示されている。)を通じて、板状部材差込み部52内に突出している。
【0067】
シェル部材54の上方部分55におけるハウジング51の背面側端部51b側の端縁部は、複数のコンタクト53の配列方向(ハウジング51の長手方向(左右方向))に伸びて、シェル部材54の上方部分55における左端部分及び右端部分に夫々設けられた一対のロック機構65の各々における操作部66を相互連結し、ハウジング51の下方端面部51eに向かう方向及びハウジング51の下方端面部51eから離隔する方向に移動可能とされた可動連結端縁部72を形成している。それにより、各ロック機構65における操作部66と可動連結端縁部72とが一体形成されたものとされて、複数のコンタクト53の配列方向に伸びる可動連結端縁部72がハウジング51の下方端面部51eに向かう方向に押圧されることにより、各ロック機構65における操作部66にハウジング51の下方端面部51eに向かう方向の押圧操作が加えられることになる。
【0068】
このようなもとで、例えば、可動連結端縁部72がハウジング51の下方端面部51eに向かう方向に押圧されて、各ロック機構65における操作部66にハウジング51の下方端面部51eに向かう方向の押圧操作が加えられると、操作部66が、ハウジング51の下方端面部51eに向かって移動せしめられ、それに伴って、各ロック機構65における連結部68が、それに設けられた当接支点部68aをハウジング51に設けられた受け部70に当接させて弾性変形を生じ、各ロック機構65における係止部67を、ハウジング51の下方端面部51eから離隔する方向に移動させる。
【0069】
その後、各ロック機構65における操作部66にハウジング51の下方端面部51eに向かう方向の押圧操作が加えられなくなると、各ロック機構65における連結部68が、それが具える弾性による復元変形を生じ、ハウジング51の下方端面部51eから離隔する方向に移動せしめられた係止部67を元の位置に戻す。それにより、操作部66,係止部67及び連結部68を含んだ各ロック機構65の全体及び可動連結端縁部72が、元の位置に戻ることになる。
【0070】
上述のように構成されるコネクタ装置50にあっては、そのハウジング51に、例えば、前述された図5に示されるフレキシブル印刷配線基板40が、配線板状部材を成すものとして、板状部材差込み部52を通じて差し込まれる。
【0071】
図16(平面図)及び図17(部分断面を含んだ斜視図)は、図5に示されるフレキシブル印刷配線基板40が、コネクタ装置50におけるハウジング51に板状部材差込み部52を通じて差し込まれた状態を示す。ハウジング51に差し込まれるフレキシブル印刷配線基板40は、配列配置された複数の接続端子部41が設けられた板面が上方に向けられたもの、即ち、シェル部材54の上方部分55側に向けられたものとされる。そして、コネクタ装置50においてフレキシブル印刷配線基板40のハウジング51への差込みが適正に行われるときには、フレキシブル印刷配線基板40における複数の接続端子部41が配列配置された部分の先端縁部が、ハウジング51の背面側端部51b と平行になるようにされる。
【0072】
図16及び図17に示されるようにフレキシブル印刷配線基板40がハウジング51に差し込まれた状態がとられるにあたっては、コネクタ装置50がそのロック機構65における操作部66に押圧操作が加えられていない状態に置かれたもとで、そのコネクタ装置50に対して、フレキシブル印刷配線基板40が、複数の接続端子部41が配列配置された部分の先端縁部を先頭にして、板状部材差込み部52を通じて、ハウジング51内へと差し込まれる。その際、フレキシブル印刷配線基板40における、その側端部に形成された切欠き係合部43より先端側となる端縁部44が、コネクタ装置50のロック機構65における係止部67に当接して、係止部67を連結部68とともにハウジング51の下方端面部51eから離隔する方向へと移動させる。それにより、係止部67は、その先端部分をハウジング51に設けられた板状部材差込み部52内から退去させて、フレキシブル印刷配線基板40における端縁部44に当接させ、ハウジング51に対するフレキシブル印刷配線基板40の差込みを妨げない状態をとる。
【0073】
続いて、フレキシブル印刷配線基板40が更にハウジング51内へと差し込まれ、ハウジング51内における予め設定された所定の位置に到達すると、フレキシブル印刷配線基板40のハウジング51に対する差込みが完了する。その際には、ロック機構65における係止部67の先端部分が、フレキシブル印刷配線基板40における端縁部44から外れて、フレキシブル印刷配線基板40における切欠き係合部43に係合する。
【0074】
このとき、係止部67は、ロック機構65における連結部68が具える弾性によって、連結部68と共に復元移動を行い、その先端部分をフレキシブル印刷配線基板40における切欠き係合部43に係合させる。それにより、ロック機構65における係止部67及び連結部68が、ロック機構65における操作部66に押圧操作が加えられていないときの位置に戻る。
【0075】
その結果、一対のロック機構65の夫々における係止部67が、ハウジング51に板状部材差込み部52を通じて差込まれたフレキシブル印刷配線基板40に係合して、そのフレキシブル印刷配線基板40を係止し、それにより、フレキシブル印刷配線基板40のハウジング51からの不所望な抜脱が阻止される状態が得られる。
【0076】
このようにして、ハウジング51に板状部材差込み部52を通じて差し込まれたフレキシブル印刷配線基板40が、一対のロック機構65の夫々における係止部67による係止状態におかれたもとにあっては、ハウジング51に配列配置された複数のコンタクト53の夫々における接触部が、ハウジング51内において、複数の接続端子部41が設けられた板面が上方に向けられてハウジング51に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板40における複数の接続端子部41のうちの対応するものに、ハウジング51の上方端面部51f側から当接して接触接続される。それにより、ハウジング51に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板40における複数の接続端子部41が、複数のコンタクト53を介して、ハウジング51が配された配線基板に設けられた信号端子部に連結される。
【0077】
その後、例えば、シェル部材54に形成された可動連結端縁部72がハウジング51の下方端面部51eに向かう方向に押圧されることにより、もしくは、各ロック機構65における操作部66が直接にハウジング51の下方端面部51eに向かう方向に押圧されることにより、各ロック機構65における操作部66にハウジング51の下方端面部51eに向かう方向の押圧操作が加えられると、操作部66がハウジング51の下方端面部51eに向かう方向に変位し、それに伴って、各ロック機構65における連結部68が、それに設けられた当接支点部68aをハウジング51に設けられた受け部70に当接させて弾性変形を生じ、各ロック機構65における係止部67を、ハウジング51の下方端面部51eから離隔する方向に移動させる。
【0078】
それにより、係止部67の先端部分が、ハウジング51に板状部材差込み部52を通じて差し込まれたフレキシブル印刷配線基板40における切欠き係合部43に係合しなくなり、係止部67のフレキシブル印刷配線基板40に対する係止状態が解除される。このようにして、一対のロック機構65の夫々における係止部67のフレキシブル印刷配線基板40に対する係止状態が解除されると、ハウジング51に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板40をハウジング51から意図的に抜脱させることができる状態が得られる。
【0079】
その後、各ロック機構65における操作部66にハウジング51の下方端面部51eに向かう方向の押圧操作が加えられなくなると、各ロック機構65における連結部68が、それが具える弾性による復元変形を生じ、ハウジング51の下方端面部51eから離隔する方向に移動せしめられた係止部67を元の位置に戻す。それにより、操作部66,係止部67及び連結部68を含んだ各ロック機構65の全体及び可動連結端縁部72が、元の位置に戻される。
【0080】
上述のような本発明に係るコネクタ装置の第1の例を成すコネクタ装置10または本発明に係るコネクタ装置の第2の例を成すコネクタ装置50によれば、配線板状部材を成すフレキシブル印刷配線基板40が、板状部材差込み部12または52を通じてハウジング11または51に差し込まれたとき、ハウジング11または51に配列配置された複数のコンタクト13または53の各々が備える複数の接触部が、ハウジング11または51に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板40における複数の接続端子部41に夫々接触接続され、それとともに、シェル部材14または54に一体的に形成されたロック機構25または65における係止部27または67が、ハウジング11または51に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板40に係合して、当該フレキシブル印刷配線基板40に対する係止状態をとる。その結果、比較的簡単な構成をもって、ハウジング11または51に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板40を、係止部27または67により係止されてハウジング11または51からの不所望な抜脱が阻止される状態におくことができ、ハウジング11または51に配列配置された複数のコンタクト13または53が、ハウジング11または51に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板40における複数の接続端子部41に夫々電気的に接続された状態を安定に維持することができる。
【0081】
また、コネクタ装置10または50にあっては、ハウジング11または51に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板40がロック機構25または65における係止部27または67により係止された状態におかれたもとで、ロック機構25または65における操作部26または66にハウジング11または51の下方端面部11eまたは51eに向かう方向の押圧操作が加えられると、それに応じて、ロック機構25または65における連結部28または68が、係止部27または67にフレキシブル印刷配線基板40に対する係止状態を解除させる。それにより、ハウジング11または51に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板40を、係止部27または67による係止状態から解放して、ハウジング11または51から意図的に抜脱することができる状態におくことができる。斯かる際、連結部28または68は、それに設けられた当接支点部28aまたは68aをハウジング11または51の上方端面部11fまたは51fに設けられた受け部30または70に当接させて変位し、フレキシブル印刷配線基板40に対する係止状態をとっている係止部27または67を、ハウジング11または51の下方端面部11eまたは51eから離隔する方向に移動させる。
【0082】
従って、コネクタ装置10または50によれば、係止部27または67のフレキシブル印刷配線基板40に対する係止状態を、係止部27または67をハウジング11または51の下方端面部11eまたは51eから離隔する方向に移動させることによって解除できることになり、ハウジング11または51内においてロック機構25または65における係止部27または67とハウジング11または51の下方端面部11eまたは51eとの間に係止部27または67の移動のためのスペースを設けることが不要とされる。その結果、ハウジング11または51の厚み寸法の低減を図ることができ、それをもってコネクタ装置10または50の低背化に貢献することができることになる。
【0083】
そして、コネクタ装置10または50にあっては、係止部27または67のフレキシブル印刷配線基板40に対する係止状態を、係止部27または67をハウジング11または51の下方端面部11eまたは51eから離隔する方向に移動させることによって解除できるようにするため、シェル部材14または54に一体的に形成されたロック機構25または65を、操作部26または66と係止部27または67と連結部28または68とを有し、連結部28または68にハウジング11または51の上方端面部11fまたは51fに設けられた受け部30または70に当接する当接支点部28aまたは68aが設けられて構成されたものとしている。従って、コネクタ装置10または50によれば、構成部材数の増加をもたらさず、全体の構成の複雑化をまねくことがない構造をもって、複数のコンタクト13または53がハウジング11または51に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板40における複数の接続端子部41に夫々接触接続されたもとで、当該フレキシブル印刷配線基板40に係合してそれを係止している係止部27または67を、ハウジング11または51の下方端面部11eまたは51eから離隔させるように移動させることによって、フレキシブル印刷配線基板40との係合から解放することができることになる。
【0084】
さらに、コネクタ装置10または50にあっては、シェル部材14または54に一体的に設けられたロック機構25または65における操作部26または66が、シェル部材14または54におけるハウジング11または51の正面側部分11a側の部分または背面側部分51b側の部分に配された可動部を形成するものとされるので、操作部26または66に対するハウジング11または51の下方端面部11eまたは51eに向かう方向の押圧操作が極めて行い易いものとされる。
【0085】
ロック機構25または65における係止部27または67は、ハウジング11または51の上方端面部11fまたは51f側からハウジング11または51に設けられた板状部材差込み部12または52に連通するスリット31または71を通じて、板状部材差込み部12または52内に突出するものとされるので、係止部27または67が板状部材差込み部12または52を通じてハウジング11または51に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板40に係合する際における係止部27または67の適正な位置が、安定に維持されることになる。
【0086】
さらに、一対のロック機構25または65の夫々における操作部26または66が、ハウジング11または51の正面側端部11aまたは背面側端部51bに沿って、ハウジング11または51の長手方向、即ち、複数のコンタクト13または53の配列方向に伸びるシェル部材14または54における可動連結端縁部30または70によって相互連結されているので、各ロック機構25または65における係止部27または67によるハウジング11または51に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板40に対する係止が、極めて安定に行われるとともに、ハウジング11または51の正面側端部11aまたは背面側端部51bに沿って伸びる可動連結端縁部30または70を、ハウジング11または51の下方端面部11eまたは51eに向かう方向に押圧することにより、各ロック機構25または65における操作部26または66にハウジング11または51の下方端面部11eまたは51eに向かう方向の押圧操作を加えることができるので、操作部26または66に対するハウジング11または51の下方端面部11eまたは51eに向かう方向の押圧操作が、極めて容易かつ確実に行うことができるものとされる。
【0087】
なお、上述した実施例においては、コンタクト13または53におけるフレキシブル印刷配線基板40の接続端子部41と接触する接触部が、ハウジング11または51の上方端面部11fまたは51f側からハウジング11または51に設けられた板状部材差込み部12または52内に突出するように配置されているため、フレキシブル印刷配線基板40の接続端子部41を上方に向けて板状部材差込み部12または52へ挿入する構成としているが、コンタクト13または53におけるフレキシブル印刷配線基板40の接続端子部41と接触する接触部を、ハウジング11または51の下方端面部11eまたは51e側からハウジング11または51に設けられた板状部材差込み部12または52内に突出するように配置して、フレキシブル印刷配線基板40の接続端子部41を下方に向けて板状部材差込み部12または52へ挿入する構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0088】
以上のような本発明に係るコネクタ装置は、例えば、フレキシブル印刷配線基板等とされる配線板状部材の他の配線基板との電気的連結に用いられる、板状部材差込み部が設けられたハウジングと、ハウジングに配列配置されて設けられる複数のコンタクトと、ハウジングを部分的に覆うシェル部材とを備え、ハウジングに差し込まれた配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱を阻止する係止手段が設けられたコネクタ装置であって、構成部材数の増加をもたらさず、全体の構成の複雑化をまねくことがない構造をもって、ハウジングの厚み寸法を低減でき、それにより全体の低背化を図ることができるものとして、様々な電子機器等に広く適用され得るものである。
【符号の説明】
【0089】
10,50・・・コネクタ装置, 11,51・・・ハウジング, 11a,51a・・・正面側端部, 11b,51b・・・背面側端部, 11e,51e・・・下方端面部, 11f,51f・・・上方端面部, 12,52・・・板状部材差込み部, 13,53・・・コンタクト, 14,54・・・シェル部材, 15,55・・・上方部分, 16,56・・・下方部分, 20,21,60,61・・・基板接続部, 25,65・・・ロック機構, 26,66・・・操作部, 27,67・・・係止部, 28,68・・・連結部, 28a,68a・・・当接支点部, 30,70・・・受け部, 31,71・・・スリット, 32,72・・・可動連結端縁部, 40・・・フレキシブル印刷配線基板, 41・・・接続端子部, 43・・・切欠き係合部, 44・・・端縁部, 45・・・カバーフィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の側端部において開口する板状部材差込み部が設けられ、第1の端面部を配線基板に対面させて該配線基板上に配されるハウジングと、
各々が上記ハウジングの内部に配される接触部と上記第1の側端部に対向する第2の側端部から上記ハウジングの外部に導出される接続部とを備えて配列配置され、上記複数の接触部が上記板状部材差込み部を通じて上記ハウジングに差し込まれた配線板状部材における複数の接続端子部に夫々接触接続される複数のコンタクトと、
上記ハウジングを部分的に覆い、上記ハウジングの上記第1の端面部に対向する第2の端面部に近接した部分に、上記板状部材差込み部を通じて上記ハウジングに配線板状部材が差し込まれたとき該配線板状部材に対する係止状態と係止解除状態とを選択的にとるロック機構が一体的に設けられたシェル部材とを備えて成り、
上記ロック機構が、上記ハウジングの上記第1の端面部に向かう方向の押圧操作を受ける操作部と、上記板状部材差込み部を通じて上記ハウジングに差し込まれた配線板状部材を係止する係止状態をとる係止部と、該係止部を上記操作部に連結する連結部とを有し、該連結部に上記ハウジングの上記第2の端面部に設けられた受け部に当接する当接支点部が設けられて構成され、上記操作部に上記押圧操作が加えられたとき、上記連結部が上記当接支点部を上記受け部に当接させて上記係止部を上記ハウジングの上記第1の端面部から離隔する方向に移動させることを特徴とするコネクタ装置。
【請求項2】
上記操作部が、上記シェル部材における上記ハウジングの上記第1の側端部側部分もしくは上記第2の側端部側部分に配された可動部を形成することを特徴とする請求項1記載のコネクタ装置。
【請求項3】
上記連結部が、上記操作部から上記ハウジングの上記第2の側端部もしくは上記第1の側端部に向かって伸びる腕状部を形成し、上記係止部が、上記連結部から上記ハウジングの上記第1の端面部に向かって突出する突起部を形成することを特徴とする請求項2記載のコネクタ装置。
【請求項4】
上記連結部が、弾性を具えたものとされ、上記操作部に加えられた上記押圧操作が加えられなくなったとき、上記弾性により、上記ハウジングの上記第1の端面部から離隔する方向に移動せしめられた上記係止部を元の位置に戻すことを特徴とする請求項4記載のコネクタ装置。
【請求項5】
上記係止部が、上記ハウジングの上記第2の端面部側から上記ハウジングに設けられた上記板状部材差込み部に連通するスリット部を通じて、上記板状部材差込み部内に突出することを特徴とする請求項4記載のコネクタ装置。
【請求項6】
上記ロック機構が、上記シェル部材における上記複数のコンタクトの配列方向の両端部分の夫々に設けられ、各ロック機構における上記操作部が、上記ハウジングの上記第1の側端部もしくは上記第2の側端部に沿って上記複数のコンタクトの配列方向に伸びる上記シェル部材における可動連結端縁部によって相互連結されていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−101807(P2013−101807A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244283(P2011−244283)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(592028846)第一精工株式会社 (94)
【Fターム(参考)】