説明

コネクタ

【課題】簡単な構造でコネクタのがたつきを抑え、端子金具の導通不良を防ぐことができるコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ1は雄ハウジング2と雌ハウジング5とを備えている。雄ハウジング2は端子金具を収容する本体部6と筒状のアウタハウジング7とを備えている。雌ハウジング5は端子金具を収容する本体部32と溝34とを備えている。アウタハウジング7内に本体部32が位置付けられて雄ハウジング2と雌ハウジング5とが嵌合すると、アウタハウジング7の先端部は溝34に侵入する。アウタハウジング7の先端部が溝34に保持されることによって、振動によるコネクタ1のがたつきを防ぎ、端子金具の接点の摩耗等による導通不良を防ぐ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐振動構造を備えたコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車には多くの電子機器が搭載されており、電子機器はワイヤハーネスを介して、自動車や他の電子機器と接続されている。電子機器とワイヤハーネスとは、それぞれが備えたコネクタ同士が嵌合することにより接続されている。
【0003】
コネクタは、コネクタハウジングと、コネクタハウジングに収容される端子金具と、を備えている。コネクタ同士が嵌合すると、それぞれのコネクタハウジング内の端子金具が電気的に接続する。そして、ワイヤハーネスは電子機器に電力や制御信号等を伝達する。
【0004】
このようなコネクタは、例えばエンジンルーム等の過酷な振動条件下で用いられることがある。するとコネクタは振動によってがたつき、電気的に接続した端子金具は、接点が摩耗して導通不良を起こす虞があった。
【0005】
この種の問題を解決するために、様々なコネクタが考案されている(例えば、特許文献1参照)。この種のコネクタは、雄コネクタハウジング(以下、雄ハウジングとよぶ)と、雄ハウジングと嵌合する雌コネクタハウジング(以下、雌ハウジングとよぶ)と、を備えている。雄ハウジングは、端子金具を収容した本体部と、該本体部の外側に取り付けられた弾性部材と、該本体部の外側に本体部と間隔をあけて設けられたアウタハウジングと、を備えている。雌ハウジングは、端子金具を収容したフード状の本体部を備えている。
【0006】
雄ハウジングの本体部とアウタハウジングとの間に雌ハウジングの本体部が侵入して、雄ハウジングと雌ハウジングとが嵌合する。弾性部材は、雄ハウジングの本体部の外側と雌ハウジングの本体部の内側との間に位置付けられる。そして、弾性部材の雄ハウジング寄りの一端部を雌ハウジングの先端部が押圧するとともに、弾性部材の一端部と反対側の他端部を雌ハウジングの本体部の基端部側の内面に設けられた突起が押圧していた。
【特許文献1】特開2005−174813号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述した特許文献1等に記載されたコネクタは、弾性部材は、雄ハウジングの本体部の外側と雌ハウジングの本体部の内側との間に位置付けられていた。このため、雄ハウジングのアウタハウジングは、振動によってがたつく虞があった。そしてこのがたつきによって、端子金具の接点が摩耗して導通不良を起こす虞があり、最悪の場合は端子金具が破損する虞があった。
【0008】
したがって、本発明の目的は、簡単な構造でコネクタのがたつきを抑え、端子金具の導通不良を防ぐことができるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明のコネクタは、筒状のフード部を備えた一方のコネクタハウジングと、前記一方のコネクタハウジングと嵌合する他方のコネクタハウジングと、を備え、前記フード部内に前記他方のコネクタハウジングの端子収容部を位置付けて、前記一方のコネクタハウジングと前記他方のコネクタハウジングとが嵌合するコネクタにおいて、前記他方のコネクタハウジングに設けられ、かつ、前記コネクタハウジング同士が嵌合すると前記フード部の先端部が侵入する溝部を備えたことを特徴としている。
【0010】
請求項2に記載の本発明のコネクタは、請求項1に記載のコネクタにおいて、前記溝部が、前記フード部の先端部から離れるにしたがって幅が狭くなるように設けられたことを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載の本発明のコネクタは、請求項1または請求項2に記載のコネクタにおいて、前記溝部の内面と前記フード部の先端部とのうち少なくとも一方が、弾性材料で構成された弾性部材を備えたことを特徴としている。
【0012】
請求項4に記載の本発明のコネクタは、請求項1ないし請求項3のうちいずれか一項に記載のコネクタにおいて、前記一方のコネクタハウジングが係合部を備え、前記他方のコネクタハウジングが前記係合部と係合する係合受け部を備えるとともに、前記係合部と前記係合受け部とのうち少なくとも一方が、弾性材料で構成された弾性部材を備えたことを特徴としている。
【0013】
請求項1に記載した本発明のコネクタによれば、他方のコネクタハウジングが、一方のコネクタハウジングに設けられたフード部の先端部が侵入する溝部を備えている。このため、フード部の先端部は溝部に侵入し、コネクタハウジング同士は安定して固定される。
【0014】
請求項2に記載した本発明のコネクタによれば、溝部が、フード部の先端部から離れるにしたがって幅が狭くなるように設けられている。このため、フード部の先端部は溝部の内面と安定して接触し、コネクタハウジング同士はより安定して固定される。
【0015】
請求項3に記載した本発明のコネクタによれば、溝部の内面とフード部の先端部とのうち少なくとも一方が、弾性部材を備えている。このため、弾性部材を介してして溝部の内面とフード部の先端部とは密着した状態で接触する。また、弾性部材は弾性変形してコネクタハウジングのがたつきを吸収する。
【0016】
請求項4に記載した本発明のコネクタによれば、一方のコネクタハウジングが係合部を備え、他方のコネクタハウジングが係合受け部を備えるとともに、係合部と係合受け部とのうち少なくとも一方が、弾性部材を備えている。このため、弾性部材を介して係合部と係合受け部とは密着した状態で接触する。また、弾性部材は弾性変形してコネクタハウジングのがたつきを吸収する。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、請求項1に記載の本発明は、他方のコネクタハウジングが、一方のコネクタハウジングに設けられたフード部の先端部が侵入する溝部を備えている。このため、フード部の先端部は溝部に侵入し、コネクタハウジング同士は安定して固定される。したがって、簡単な構造でコネクタのがたつきを抑え、端子金具の摩耗等による導通不良を防ぐことができる。
【0018】
請求項2に記載の本発明は、溝部が、フード部の先端部から離れるにしたがって幅が狭くなるように設けられている。このため、フード部の先端部は溝部の内面と安定して接触し、コネクタハウジング同士はより安定して固定される。したがって、簡単な構造でコネクタのがたつきをさらに抑え、端子金具の摩耗等による導通不良を防ぐことができる。
【0019】
請求項3に記載の本発明は、溝部の内面とフード部の先端部とのうち少なくとも一方が、弾性部材を備えている。このため、弾性部材を介して溝部の内面とフード部の先端部とは密着した状態で接触し、弾性部材は弾性変形してコネクタハウジングのがたつきを吸収する。したがって、簡単な構造でコネクタのがたつきをさらに抑え、端子金具の摩耗等による導通不良を防ぐことができる。また、弾性部材を熱に強い弾性材料から構成することによって、熱劣化によるがたつき防止効果の低減を防ぐことができる。
【0020】
請求項4に記載の本発明は、一方のコネクタハウジングが係合部を備え、他方のコネクタハウジングが係合受け部を備えるとともに、係合部と係合受け部とのうち少なくとも一方が、弾性部材を備えている。このため、弾性部材を介して係合部と係合受け部とは密着した状態で接触する。また、弾性部材は弾性変形してコネクタハウジングのがたつきを吸収する。したがって、簡単な構造でコネクタのがたつきをさらに抑え、端子金具の摩耗等による導通不良を防ぐことができる。また、弾性部材を熱に強い弾性材料から構成することによって、熱劣化によるがたつき防止効果の低減を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の第一の実施形態にかかるコネクタを図1ないし図8を参照して説明する。本発明の第一の実施形態にかかるコネクタ1は、図1及び図2に示すように、雄コネクタハウジング2(以下、雄ハウジング2とよぶ)と、雌コネクタハウジング5(以下、雌ハウジング5とよぶ)と、を備えている。
【0022】
本実施形態においては、雄ハウジング2は特許請求の範囲に記載の一方のコネクタハウジングに相当し、雌ハウジング5は他方のコネクタハウジングに相当する。また、雄ハウジング2の後述するアウタハウジング7はフード部に、雌ハウジング5の後述する本体部32は端子収容部に、雌ハウジング5の後述する溝34は溝部に、それぞれ相当する。
【0023】
雄ハウジング2は、絶縁性の合成樹脂等から形成されている。雄ハウジング2は、図6及び図7に示すように、本体部6と、アウタハウジング7と、を備えている。本体部6は、筒状に形成されている。本体部6は、電線の端末に取り付けられた端子金具(図示せず)を内部に収容する。端子金具は、導電性の板金等から形成されている。端子金具は、雄ハウジング2と雌ハウジング5とが嵌合すると、雌ハウジング5の端子金具と電気的に接続する。
【0024】
アウタハウジング7は、外壁7aを備えて筒状に形成されている。アウタハウジング7は、内部に本体部6を収容する。アウタハウジング7は、本体部6と間隔をあけて配置されている。アウタハウジング7は、図7等に示すように、孔11と、切り欠き部12と、ガイド凹部13と、弾性部材20と、接触部8と、ロックアーム9と、を備えている。
【0025】
孔11は、平面形状が略矩形状に形成されている。孔11は、アウタハウジング7の嵌合する雌ハウジング5寄りの外壁7aを貫通して設けられている。孔11は、アウタハウジング7のロックアーム9と相対する外壁7aを貫通して設けられている。孔11は、ロックアーム9の後述する一端部16を露出させる。孔11には、弾性変形したロックアーム9の一端部16が通る。
【0026】
切り欠き部12は、アウタハウジング7の嵌合する雌ハウジング5から離れた端部から、雌ハウジング5に近づく方向に外壁7aを切り欠いて形成されている。切り欠き部12と孔11とは、雄ハウジング2と雌ハウジング5の嵌合方向に沿って並んで配置されている。
【0027】
ガイド凹部13は、図6に示すように、アウタハウジング7の内面から凹に複数設けられている。ガイド凹部13は、雄ハウジング2と雌ハウジング5の嵌合方向に沿って延在している。ガイド凹部13には、雌ハウジング5の後述するガイドリブ37が侵入し、雄ハウジング2と雌ハウジング5とを正しい向きで嵌合させる。
【0028】
弾性部材20は、アウタハウジング7の先端部(嵌合する雌ハウジング5寄りの端部)に設けられている。弾性部材20は、アッシーや二色成形等により設けられる。弾性部材20は、ゴム等の弾性材料から構成されている。弾性部材20は、熱劣化によるがたつき防止効果の低減を防ぐため、熱に強い弾性材料から構成されている。弾性部材20は、雌ハウジング5の後述する溝34と接触して、アウタハウジング7の先端部が溝34内でがたつくのを防ぐ。
【0029】
接触部8は、図6等に示すように、略角柱状に形成され、長手方向の両端がアウタハウジング7と連なっている。接触部8は、ロックアーム9の長手方向に直交する方向に配置されている。接触部8は、孔11と切り欠き部12との間に配置されている。接触部8は、ロックアーム9と相対して、ロックアーム9と間隔をあけて配置されている。接触部8は、ロックアーム9が雌ハウジング5の係合突起33に係合する際に、ロックアーム9と接触する。
【0030】
ロックアーム9は、アウタハウジング7の外壁7aと連なって形成されている。ロックアーム9は、長手方向が雄ハウジング2と雌ハウジング5の嵌合方向と平行になるように設けられている。ロックアーム9は、長手方向の一端部16(図7中左側)が嵌合する雌ハウジング5寄りに、一端部16と反対側の他端部17(図7中右側)が雌ハウジング5から離れた側に配置されている。ロックアーム9は、アウタハウジング7と連結する連結部14と、アーム本体15と、を備えている。
【0031】
連結部14は、切り欠き部12に切り欠かれたアウタハウジング7の外壁7aから、嵌合する雌ハウジング5から離れる方向に延びて一対設けられている。連結部14と外壁7aとの接触箇所は、ロックアーム9の長手方向の中央部に位置付けられる。一対の連結部14は、互いの間にアーム本体15を位置付けている。一対の連結部14は、アーム本体15の他端部17と連結している。
【0032】
アーム本体15は、帯板状に形成されている。アーム本体15は、本体部6とアウタハウジング7との間に配置されている。アーム本体15は、図7等に示すように、係合部としての係合孔18と、操作部19と、を備えている。
【0033】
係合孔18は、アーム本体15を貫通して設けられている。係合孔18は、アーム本体15の一端部16に設けられている。係合孔18は、平面形状が略矩形状に形成されている。係合孔18には、雌ハウジング5の後述する係合突起33が侵入する。係合孔18に係合突起33が侵入することによって、ロックアーム9と係合突起33とが係合し、雄ハウジング2と雌ハウジング5との嵌合が保持される。係合孔18の内面は、弾性部材21を備えている。
【0034】
弾性部材21は、係合孔18の嵌合する雌ハウジング5寄りの内面に設けられている。弾性部材21は、アッシーや二色成形等により設けられる。弾性部材21は、ゴム等の弾性材料から構成されている。弾性部材21は、熱劣化によるがたつき防止効果の低減を防ぐため、熱に強い弾性材料から構成されている。弾性部材21は、係合突起33と接触して、係合突起33が係合孔18内でがたつくのを防ぐ。
【0035】
操作部19は、アーム本体15の本体部6から離れた外面に設けられている。操作部19は、アーム本体15の他端部17に設けられている。操作部19を押し下げることによって、ロックアーム9と係合突起33との係合が解除される。
【0036】
前述した構成の本体部6とアウタハウジング7との間には、図7等に示すように、隙間10が形成される。隙間10には、本体部32の外壁32aが侵入する。隙間10の嵌合する雌ハウジング5から離れた端部10aは、奥側(図7中右側)にいくにしたがって幅が狭くなるように、テーパ状に形成されている。また、端部10aは、断面形状が円弧状に形成されていてもよい。
【0037】
雌ハウジング5は、絶縁性の合成樹脂等から形成されている。雌ハウジング5は、図3及び図4に示すように、カバー部31と、本体部32と、係合受け部としての係合突起33と、溝34と、を備えている。カバー部31は、有底筒状に形成されている。カバー部31は、雌ハウジング5の嵌合する雄ハウジング2から離れた側に設けられている。カバー部31は、底壁31aと、底壁31aの周縁に連なる周壁31bと、立壁31cと、を備えている。
【0038】
底壁31aは、平板状に形成されている。底壁31aは、雌ハウジング5と雄ハウジング2とが嵌合する方向に直交する方向に配置されている。底壁31aは、図4に示すように、図示しない端子金具が通る端子孔部36とを備えている。端子孔部36は、筒状に形成され、底壁31aの本体部32から離れた外面から凸に設けられている。端子孔部36の内部には、端子金具が通って本体部32側に突出する端子孔36aが形成されている。
【0039】
周壁31bは、底壁31aの周縁から、本体部32から離れる方向に延びて設けられている。立壁31cは、底壁31aの本体部32寄りの外面から立設されている。立壁31cは、本体部32の外壁32aと間隔をあけて、本体部32の外周全体に亘って設けられている。
【0040】
本体部32は、外壁32aによって筒状に形成されている。本体部32は、カバー部31の底壁31aと連なっている。本体部32の内部は、端子孔36aに侵入した端子金具(図示せず)を収容する。端子金具は、導電性の板金等から形成されている。端子金具は、電線の端末に取り付けられる。端子金具は、雌ハウジング5と雄ハウジング2とが嵌合すると、雄ハウジング2の端子金具と電気的に接続される。本体部32は、図4等に示すように、ガイドリブ37と、弾性部材35と、を備えている。
【0041】
ガイドリブ37は、本体部32の外面から凸に複数設けられている。ガイドリブ37は、雌ハウジング5と雄ハウジング2の嵌合方向に沿って延在している。ガイドリブ37は、雄ハウジング2のガイド凹部13に侵入し、雌ハウジング5と雄ハウジング2とを正しい向きで嵌合させる。
【0042】
弾性部材35は、本体部32の先端部(嵌合する雄ハウジング2寄りの端部)に設けられている。弾性部材35は、アッシーや二色成形等により設けられる。弾性部材35は、ゴム等の弾性材料から構成されている。弾性部材35は、熱劣化によるがたつき防止効果の低減を防ぐため、熱に強い弾性材料から構成されている。弾性部材35は、雄ハウジング2の後述する隙間10の端部10aと接触して、本体部32の先端部が端部10a内でがたつくのを防ぐ。
【0043】
係合突起33は、図3等に示すように、本体部32の外面から凸に設けられている。係合突起33は、雄ハウジング2のロックアーム9の係合孔18と係合し、雌ハウジング5と雄ハウジング2との嵌合を保持する。
【0044】
溝34は、図4等に示すように、立壁31cと本体部32の外壁32aとの間に形成される。溝34には、雄ハウジング2のアウタハウジング7の先端部が侵入する。溝34は、奥側(図4中右側)にいくにしたがって幅が狭くなるように、テーパ状に形成されている。また、溝34は、断面形状が円弧状に形成されていてもよい。
【0045】
前述した構成のコネクタ1を組み立てる際には、まず、雄ハウジング2の本体部6とアウタハウジング7との間の隙間10に、雌ハウジング5の本体部32の外壁32aを侵入させていく。すると、雌ハウジング5の係合突起33が、雄ハウジング2のロックアーム9の一端部16と接触する。ロックアーム9は係合突起33に押し上げられて弾性変形し、ロックアーム9は接触部8と接触する。
【0046】
さらに雄ハウジング2と雌ハウジング5とを近づけていくと、ロックアーム9の一端部16から接触部8までは係合突起33によってさらに押し上げられる。そして、ロックアーム9の係合孔18に係合突起33が侵入し、係合孔18と係合突起33とが係合する。係合突起33は、係合孔18の弾性部材21を弾性変形させ、係合孔18内にがたつくことなく収容される。雄ハウジング2と雌ハウジング5とは嵌合して、コネクタ1が組み立てられる。
【0047】
前述のように雄ハウジング2と雌ハウジング5とが嵌合すると、雄ハウジング2のアウタハウジング7は、内部に雌ハウジング5の本体部32を位置付ける。また、雌ハウジング5の本体部32は、内部に雄ハウジング2の本体部6を位置付ける。
【0048】
また、図2に示すように、雄ハウジング2のアウタハウジング7の先端部は、雌ハウジング5の溝34内に侵入する。アウタハウジング7の先端部の弾性部材20は、弾性変形してテーパ状に設けられた溝34の内面と密着した状態で接触し、溝34内にがたつくことなく収容される。また、雌ハウジング5の本体部32の先端部は、雄ハウジング2の隙間10の端部10aに侵入する。本体部32の先端部の弾性部材35は、弾性変形してテーパ状に設けられた隙間10の端部10aと密着した状態で接触し、端部10a内にがたつくことなく収容される。
【0049】
本実施形態によれば、雌ハウジング5が、雄ハウジング2のアウタハウジング7の先端部が侵入する溝34を備えている。このため、アウタハウジング7の先端部は溝34に侵入し、雌ハウジング5と雄ハウジング2とは安定して固定される。したがって、簡単な構造でコネクタ1のがたつきを抑え、端子金具の摩耗等による導通不良を防ぐことができる。
【0050】
溝34が、アウタハウジング7の先端部から離れるにしたがって幅が狭くなるように設けられている。このため、アウタハウジング7の先端部は溝34の内面と安定して接触し、雌ハウジング5と雄ハウジング2とはより安定して固定される。したがって、簡単な構造でコネクタ1のがたつきをさらに抑え、端子金具の摩耗等による導通不良を防ぐことができる。
【0051】
アウタハウジング7の先端部が、弾性部材20を備えている。このため、弾性部材20を介してアウタハウジング7の先端部と溝34の内面とは密着した状態で接触し、弾性部材20は弾性変形して雄ハウジング2と雌ハウジング5のがたつきを吸収する。したがって、簡単な構造でコネクタ1のがたつきをさらに抑え、端子金具の摩耗等による導通不良を防ぐことができる。また、弾性部材20を熱に強い弾性材料から構成することによって、熱劣化によるがたつき防止効果の低減を防ぐことができる。
【0052】
雄ハウジング2が係合孔18を備え、雌ハウジング5が係合突起33を備え、係合孔18が弾性部材21を備えている。このため、弾性部材21を介して係合孔18と係合突起33とは密着した状態で接触し、弾性部材21は弾性変形して雄ハウジング2と雌ハウジング5のがたつきを吸収する。したがって、簡単な構造でコネクタのがたつきをさらに抑え、端子金具の摩耗等による導通不良を防ぐことができる。また、弾性部材21を熱に強い弾性材料から構成することによって、熱劣化によるがたつき防止効果の低減を防ぐことができる。
【0053】
前述した第一の実施形態においては、弾性部材20はアウタハウジング7の先端部に設けられていた。しかしながら、本発明では、弾性部材20は溝34の内面に設けられていてもよい。さらに、弾性部材20は、アウタハウジング7の先端部と溝34の内面との両方に設けられていてもよい。
【0054】
また、前述した第一の実施形態においては、弾性部材21は係合孔18の内面に設けられていた。しかしながら、本発明では、弾性部材21は係合突起33の外面に設けられていてもよい。さらに、弾性部材21は、係合孔18の内面と係合突起33の外面との両方に設けられていてもよい。
【0055】
次に、本発明の第二の実施形態にかかるコネクタを図9を参照して説明する。なお、前述した第一の実施形態と同一構成部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0056】
本実施形態においては、雌ハウジング5は特許請求の範囲に記載の一方のコネクタハウジングに相当し、雄ハウジング2は他方のコネクタハウジングに相当する。また、雌ハウジング5の本体部32の外壁32aはフード部に、雄ハウジング2の本体部6は端子収容部に、雄ハウジング2の端部10aは溝部に、それぞれ相当する。
【0057】
本実施形態の雄ハウジング2は、図9に示すように、本体部6とアウタハウジング7との間に形成される隙間10の端部10aに、弾性部材22を備えている。弾性部材22は、端部10aの内面にアッシーや二色成形等により設けられる。弾性部材22は、ゴム等の弾性材料から構成されている。弾性部材22は、熱劣化によるがたつき防止効果の低減を防ぐため、熱に強い弾性材料から構成されている。
【0058】
弾性部材22は、雌ハウジング5の本体部32の外壁32aと接触する。弾性部材22には、外壁32aの先端部が侵入する溝22aが形成されている。さらに、弾性部材22は、外壁32aと相対する面がテーパ状に形成され、外壁32aの先端部が侵入しやすくなっている。また、外壁32aの先端部は、端部10aに侵入しやすいようにテーパ状に尖って形成されている。
【0059】
前述した構成の隙間10の端部10aには、雄ハウジング2と雌ハウジング5とが嵌合すると、雌ハウジング5に設けられた本体部32の外壁32aの先端部が侵入する。外壁32aの先端部は、弾性部材22の溝22aに侵入して弾性部材22を弾性変形させ、溝22aに収容されるように弾性部材22と密着する。弾性部材22は、外壁32a即ち雌ハウジング5の全方向のがたつきを吸収する。
【0060】
本実施形態においては、雄ハウジング2が、雌ハウジング5に設けられた本体部32の外壁32aの先端部が侵入する端部10aを備えている。このため、外壁32aの先端部は端部10aに侵入し、雄ハウジング2と雌ハウジング5とは安定して固定される。したがって、簡単な構造でコネクタ1のがたつきを抑え、端子金具の摩耗等による導通不良を防ぐことができる。
【0061】
端部10aが、外壁32aの先端部から離れるにしたがって幅が狭くなるように設けられている。このため、外壁32aは端部10aの内面と安定して接触し、雄ハウジング2と雌ハウジング5とはより安定して固定される。したがって、簡単な構造でコネクタ1のがたつきをさらに抑え、端子金具の摩耗等による導通不良を防ぐことができる。
【0062】
端部10aの内面が、弾性部材22を備えている。このため、弾性部材22を介して端部10aの内面と外壁32aの先端部とは密着した状態で接触し、弾性部材22は弾性変形して雄ハウジング2と雌ハウジング5のがたつきを吸収する。したがって、簡単な構造でコネクタ1のがたつきをさらに抑え、端子金具の摩耗等による導通不良を防ぐことができる。また、弾性部材22が外壁32aの先端部を収容するように位置付けられるため、全方向へのがたつきを効果的に抑えることができる。また、弾性部材22を熱に強い弾性材料から構成することによって、熱劣化によるがたつき防止効果の低減を防ぐことができる。
【0063】
前述した第二の実施形態においては、弾性部材22は端部10aの内面に設けられていた。しかしながら、本発明では、弾性部材22は外壁32aの先端部に設けられていてもよい。さらに、弾性部材22は、端部10aの内面と外壁32aの先端部とに設けられていてもよい。
【0064】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第一の実施形態にかかるコネクタの斜視図である。
【図2】図1中のII−II線に沿う断面図である。
【図3】図1に示された雌ハウジングの斜視図である。
【図4】図3中のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】図3に示された雌ハウジングの正面図である。
【図6】図1に示された雄ハウジングの斜視図である。
【図7】図6中のVII−VII線に沿う断面図である。
【図8】図6に示された雄ハウジングの正面図である。
【図9】本発明の第二の実施形態にかかるコネクタの雄ハウジングの断面図である。
【符号の説明】
【0066】
1 コネクタ
2 雄ハウジング(第一の実施形態 一方のコネクタハウジング、第二の実施形態 他方のコネクタハウジング)
5 雌ハウジング(第一の実施形態 他方のコネクタハウジング、第二の実施形態 一方のコネクタハウジング)
6 本体部(第二の実施形態 端子収容部)
7 アウタハウジング(第一の実施形態 フード部)
10 隙間
10a 端部(第二の実施形態 溝部)
18 係合孔(係合部)
20 弾性部材
21 弾性部材
22 弾性部材
32 本体部(第一の実施形態 端子収容部)
32a 外壁(第二の実施形態 フード部)
33 係合突起(係合受け部)
34 溝(第一の実施形態 溝部)
35 弾性部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のフード部を備えた一方のコネクタハウジングと、
前記一方のコネクタハウジングと嵌合する他方のコネクタハウジングと、を備え、
前記フード部内に前記他方のコネクタハウジングの端子収容部を位置付けて、前記一方のコネクタハウジングと前記他方のコネクタハウジングとが嵌合するコネクタにおいて、
前記他方のコネクタハウジングに設けられ、かつ、前記コネクタハウジング同士が嵌合すると前記フード部の先端部が侵入する溝部を備えたことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記溝部が、前記フード部の先端部から離れるにしたがって幅が狭くなるように設けられたことを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記溝部の内面と前記フード部の先端部とのうち少なくとも一方が、弾性材料で構成された弾性部材を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2記載のコネクタ。
【請求項4】
前記一方のコネクタハウジングが係合部を備え、前記他方のコネクタハウジングが前記係合部と係合する係合受け部を備えるとともに、前記係合部と前記係合受け部とのうち少なくとも一方が、弾性材料で構成された弾性部材を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のうちいずれか一項に記載のコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−146911(P2008−146911A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−330428(P2006−330428)
【出願日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】