説明

コネクタ

【課題】初期位置調整が不要で、しかもコネクタ選択の自由度を高くすることができるコネクタを提供する。
【解決手段】ラック側コネクタ20が固定されたラック側コネクタ金物40とラック側コネクタ20に嵌合可能なユニット側コネクタ10が固定されたユニット側コネクタ金物30とを互いに嵌合可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器を内蔵した筐体の背面に、電子機器の電力供給線と接続される筐体側コネクタが形成されてなる筐体ユニットと、内部に筐体ユニットを収納可能であって、正面側が外部に開放されてなる収納室が形成されたラックとで構成される筐体ユニット及びラックの接続構造が知られている(特開2005−303244号公報参照)。
【0003】
この接続構造では、筐体の背面に設けられた筐体ユニット側コネクタと収納室の背面側内壁面に設けられたラック側コネクタとを介して、電力供給線を収納室の後側から引き出す方法が採用されている。
【特許文献1】特開2005−303244号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
目視によらないで上記コネクタ同士を嵌合させることができるようにするには、その前提としてコネクタの取付精度を高くする必要がある。そのため、治工具を使用してコネクタを取り付けたコネクタ固定用金物が筐体の背面の所定位置に来るように位置調整が行われている。
【0005】
また、目視によらないでコネクタ同士を嵌合させるには、例えば相手のコネクタを所定位置に導き入れるためのガイド機構(ガイドピン、ガイド孔)が必要である。しかし、上記コネクタの用途が限定されているため、汎用性のあるものを使用できずコネクタ選択の自由度が制限される。また、ガイドピンとガイド孔との位置ずれの許容範囲は狭い(上下左右に約±1mm)ため、予めコネクタの位置を調整(初期位置調整)する必要がある。
【0006】
この発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その課題は初期位置調整が不要で、しかもコネクタ選択の自由度を高くすることができるコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の課題を解決するため請求項1記載の発明は、ラック側コネクタ金物を介してラックに固定されたラック側コネクタと、筐体側コネクタ金物を介して筐体に固定された、前記ラック側コネクタに嵌合可能な筐体側コネクタとを備え、前記筐体側コネクタ金物と前記ラック側コネクタ金物とが互いに嵌合可能であることを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のコネクタにおいて、前記ラック側コネクタを保持する前記ラック側コネクタ金物の嵌合端部と前記筐体側コネクタを保持する前記筐体側コネクタ金物の嵌合端面とはそれぞれのこぎり歯形状であることを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1記載のコネクタにおいて、前記ラック側コネクタを保持する前記ラック側コネクタ金物の嵌合端部と前記筐体側コネクタを保持する前記筐体側コネクタ金物の嵌合端部とはそれぞれ波形形状であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、初期位置調整が不要で、しかもコネクタ選択の自由度を高くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1はこの発明の一実施形態に係るコネクタの離脱状態を示す斜視図である。
【0013】
このコネクタはユニット側コネクタ金物(筐体側コネクタ金物)30を介して筐体(図示せず)に固定されたユニット側コネクタ(筐体側コネクタ)10とラック側コネクタ金物40を介してラック(図示せず)に固定されたラック側コネクタ20とからなる。
【0014】
ラック側コネクタ20はピン形コネクタであり、ほぼ直方体形状のハウジング21に複数のピンコンタクト(図示せず)が保持されている。
【0015】
ユニット側コネクタ10はソケット形コネクタであり、ピンコンタクトと接続可能な複数のソケットコンタクト(図示せず)がほぼ直方体形状のハウジング11に配置されている。ソケットコンタクトは給電ケーブル(図示せず)を介して外部電源(図示せず)等に接続されている。
【0016】
ラック側コネクタ20が取り付けられるラック側コネクタ金物40の嵌合端部はのこぎり歯形状となっている。
【0017】
また、ユニット側コネクタ10が取り付けられるユニット側コネクタ金物30の嵌合端部はラック側コネクタ金物40の嵌合端部と互いに嵌合可能なのこぎり歯形状(相補的形状)となっている。なお、ユニット側コネクタ金物30、ラック側コネクタ金物40はユニット側コネクタ10、ラック側コネクタ20をそれぞれ保護する機能をも有する。
【0018】
ラック側コネクタ金物40の嵌合端部の山部41とユニット側コネクタ金物30の嵌合端部の谷部31(又はラック側コネクタ金物40の嵌合端部の谷部42とユニット側コネクタ金物30の嵌合端部の山部32)とは嵌合方向で互いに対向する。
【0019】
ピンコンタクトとソケットコンタクトとが確実に接触し、しかもユニット側コネクタ10のハウジング11とラック側コネクタ20のハウジング21とが円滑に嵌合するように、のこぎり歯形状の高さ(深さ)が決められている。
【0020】
また、ユニット側コネクタ金物30には、ユニット側コネクタ金物30を図示しないアンプユニット(電子機器)の筐体に固定するためのねじ(図示せず)を通すための孔35が形成されている。孔35はユニット側コネクタ10を挟んで2箇所にある。ユニット側コネクタ金物30を矢印a,bの方向へ動かすことができるように、孔35の径はねじの径より若干大きくなっている。
【0021】
図2(a),(b)はコネクタが嵌合状態にあるときのコネクタ金物の平面図及び側面図である。
【0022】
ユニット側コネクタ10を取り付けたユニット側コネクタ金物30がアンプユニットの背面の所定位置に来るように位置調整を行う。治工具(図示せず)を使用してユニット側コネクタ金物30の位置を調整した後、ねじを締めこんでユニット側コネクタ金物30をアンプユニットに固定する。
【0023】
ユニット側コネクタ金物30をラック側コネクタ金物40に図1の白抜き矢印に示す方向から嵌合する場合、ユニット側コネクタ10がラック側コネクタ20に対して例えば図1の矢印aの左方向へわずかにずれていると、まず始めに嵌合初期段階でユニット側コネクタ金物30の山部32がラック側コネクタ金物40の傾斜部43に突き当たる。
【0024】
ラック側コネクタ金物40に対するユニット側コネクタ金物30の嵌合量が大きくなるにしたがってユニット側コネクタ金物30は図1の矢印aの右方向へ案内される。ユニット側コネクタ金物30の山部32とラック側コネクタ金物40の谷部42とが完全に嵌合したとき(図2(a),(b)参照)、ユニット側コネクタ10とラック側コネクタ20とが嵌合状態となる。このとき、ピンコンタクトとソケットコンタクトとが接触する。
【0025】
この実施形態によれば、ユニット側コネクタ金物30とラック側コネクタ金物40とを用いてコネクタを嵌合させるようにしたので、従来行われていたコネクタの初期位置調整をなくすことができる。しかも汎用性のある市販のコネクタを使用することができ、コネクタ選択の自由度を高めることができるとともに、新たにコネクタを設計する必要もなくなるので、製造コストの低減を図ることもできる。
【0026】
なお、上記実施形態ではコネクタを嵌合させるに際してユニット側コネクタ金物の位置を調整したが、ラック側コネクタ金物の位置を調整してもよい。
【0027】
また、上記実施形態では互いに嵌合するユニット側コネクタ金物30の嵌合端部とラック側コネクタ金物40の嵌合端部とをそれぞれのこぎり歯形状としたが、これに代えて波形形状としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1はこの発明の一実施形態に係るコネクタの離脱状態を示す斜視図である。
【図2】図2(a),(b)はコネクタが嵌合状態にあるときのコネクタ金物の平面図及び側面図である。
【符号の説明】
【0029】
10:ユニット側コネクタ(筐体側コネクタ)、20:ラック側コネクタ、30:ユニット側コネクタ金物(筐体側コネクタ金物)、40:ラック側コネクタ金物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラック側コネクタ金物を介してラックに固定されたラック側コネクタと、
筐体側コネクタ金物を介して筐体に固定された、前記ラック側コネクタに嵌合可能な筐体側コネクタと
を備え、
前記筐体側コネクタ金物と前記ラック側コネクタ金物とが互いに嵌合可能であることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記ラック側コネクタを保持する前記ラック側コネクタ金物の嵌合端部と前記筐体側コネクタを保持する前記筐体側コネクタ金物の嵌合端面とはそれぞれのこぎり歯形状であることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記ラック側コネクタを保持する前記ラック側コネクタ金物の嵌合端部と前記筐体側コネクタを保持する前記筐体側コネクタ金物の嵌合端部とはそれぞれ波形形状であることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−295536(P2009−295536A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−150553(P2008−150553)
【出願日】平成20年6月9日(2008.6.9)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】