説明

コネクタ

【課題】抜き取り治具を用意することなく、必要時に簡単に端子を抜き取ることのできるコネクタを提供する。
【解決手段】端子収容室11内に挿入された端子1をランス13により抜け止めするコネクタにおいて、コネクタハウジング10内のランスの近傍にスライドスペース14を形成し、このスライドスペース14にスライド自在にランス解除部材30を配設する。ランス解除部材30は、後側の第1位置から前側の第2位置までスライドさせられることにより、ランス13を、端子との係合を解除する位置まで変形させることができる。ランス解除部材30はロック手段によって、通常時は第1位置に保持され、ロック手段が解除操作されることにより第1位置から第2位置へのスライドが許可される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子の差し間違いなどによる端子の抜き取り作業を簡単にできるようにしたコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図5は、例えば、特許文献1に記載のコネクタの断面図である。
【0003】
図5に示すように、コネクタは一般に、端子収容室102を有するコネクタハウジング101と、端子収容室102内に挿入される端子110とから構成されている。各端子収容室102の内部には可撓性のランス105が設けられており、端子110を後方から端子収容室102内に挿入すると、端子110はランス105を押し上げつつ所定位置まで達し、所定位置まで達した段階でランス105が元の位置に復元することにより、端子110はランス105によって後方への抜けを阻止される。
【0004】
ところで、端子の差し間違いなどが発生した場合には、端子110を抜き取る必要が生じる。その場合は、コネクタハウジング101の前端壁に設けた孔などから抜き取り治具120を挿入して、ランス105を強制的に端子110との係合を解除し得る位置まで変形させ、その状態で端子110を後方に抜き取るようにしているのが一般的である。
【特許文献1】特開2002−25676号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、抜き取り治具を使う方法は、端子のサイズやコネクタ毎に専用の抜き治具が必要であり費用が嵩む上、作業に慣れが必要であり作業性が悪いという問題があった。
【0006】
本発明は、上記事情を考慮し、抜き取り治具を用意することなく、必要時に簡単に端子を抜き取ることのできるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、端子収容室を有する第1コネクタハウジングと、前記端子収容室内に該端子収容室の後端から挿入されることで、該端子収容室内に設けられた可撓性のランスにより抜け止め固定される端子と、からなるコネクタにおいて、前記第1コネクタハウジング内のランスの近傍にスライドスペースが形成され、このスライドスペースに第1位置と第2位置との間でスライド自在にランス解除部材が配設され、該ランス解除部材は、前記第1位置から第2位置までスライドさせられることにより、前記ランスを、前記端子との係合を解除する位置まで変形させることができるものとして構成され、且つ、通常時は前記ランス解除部材を前記第1位置に保持し且つ解除操作されることにより前記ランス解除部材の前記第1位置から第2位置へのスライドを許可するロック手段が備えられていることを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載のコネクタであって、前記第1コネクタハウジングに合体される第2コネクタハウジングを有し、該第1コネクタハウジングと第2コネクタハウジングとの間に、前記第1コネクタハウジングと第2コネクタハウジングとを仮係止状態に保つ仮係止手段と、前記第1コネクタハウジングと第2コネクタハウジングとを本係止状態に保つ本係止手段とが設けられる共に、前記第2コネクタハウジングと前記ランス解除部材との間に前記ロック手段が設けられ、前記第2コネクタハウジングを第1コネクタハウジングに対して前記仮係止状態に保ったとき前記ロック手段がロック解除状態となり、前記第2コネクタハウジングを第1コネクタハウジングに対して前記本係止状態に保ったとき前記ロック手段がロック状態となるように構成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2に記載のコネクタであって、前記第2コネクタハウジングに、該第2コネクタハウジングを第1コネクタハウジングに対して前記本係止状態に保ったとき、前記ランスによって抜け止めされている前記端子を更に二重に係止し、且つ、前記第2コネクタハウジングを第1コネクタハウジングに対して前記仮係止状態に保ったとき、前記端子に対する二重の係止を解除する二重係止部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項2または3に記載のコネクタであって、前記第1コネクタハウジングに複数の端子収容室が横一列に配列され、前記ランス解除部材が、前記横一列に配列された全端子収容室に対応する長さを有し全端子収容室のランスを一括して解除操作し得る解除バーと、該解除バーの両端に一体化されたフランジとから構成され、前記第1コネクタハウジングの両側壁に形成されたガイド溝に前記ランス解除部材のフランジがスライド自在に嵌め込まれ、該フランジと前記第2コネクタハウジング側の前記フランジに対応する箇所に、前記ロック手段として互いに係合し得る凹部と凸部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、コネクタハウジングにランス解除部材を装備しておき、必要時には、このランス解除部材のロックを外して、ランス解除部材を第1位置から第2位置までスライドさせることにより、端子を係止しているランスを、端子との係合を解除する位置まで変形させることができるようにしているので、端子の差し間違いなどで、いったん挿入した端子を抜く必要が生じた場合にも、簡単に端子の抜き取り作業を実施することができる。特にコネクタハウジングに専用のランス解除部材を最初から装備しているので、別に端子のサイズやコネクタ毎に抜き取り治具を用意しておく必要がなくなり、コストを安くすませることができると共に、作業もやりやすくなる。
【0012】
請求項2の発明によれば、第1、第2のコネクタハウジングを仮係止状態に保つことで、ランス解除部材に対するロックを解除することができるので、その状態で、ランス解除部材を第1位置から第2位置までスライドさせてランスを変形させ、端子の係止を解除して端子を抜くことができる。また、第1、第2のコネクタハウジングを本係止状態に保った際には、ロック手段がランス解除部材を第1位置に固定するので、ランス解除部材を誤操作するおそれがない。
【0013】
請求項3の発明によれば、第1、第2のコネクタハウジングを仮係止状態から本係止状態にした際に、二重係止部が端子をランスと共に二重係止するので、より確実に端子の抜けを防ぐことができる。
【0014】
請求項4の発明によれば、ランス解除部材を第1位置から第2位置にスライドさせることにより、ランス解除部材に設けた解除バーが、一括して全ての端子収容室のランスを係止解除位置に変形させるので、ランス解除部材を解除位置に操作しさえすれば、どの端子収容室に収容された端子も自由に抜くことができる。また、ロック手段としての凹部と凸部を、解除バーの両端に設けたフランジと第2コネクタハウジング側のフランジに対応する箇所に設けているので、ロック手段を設けることによって端子収容室が邪魔されることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0016】
図1は実施形態のコネクタを構成する第1コネクタハウジングと第2コネクタハウジングとが仮係止位置にあるときの状態を示す図で、図1(a)は側面図、図1(b)は図1(a)のIb−Ib矢視断面図、図2は第1コネクタハウジングと第2コネクタハウジングとが本係止位置にあるときの状態を示す図で、図2(a)は側面図、図2(b)は図2(a)のIIb−IIb矢視断面図、図3は実施形態のコネクタに使用するランス解除部材の構成を示す斜視図である。また、図4(a)は第1コネクタハウジングと第2コネクタハウジングとが本係止位置にあるときの各部の状態を示すコネクタの側断面図、図4(b)は図1に示すように第1コネクタハウジングと第2コネクタハウジングとが仮係止位置にあるときにランス解除部材を第2位置にスライドさせてランスを変形させた状態を示すコネクタの側断面図である。
【0017】
図1および図2に示すように、実施形態のコネクタは、合成樹脂製の第1コネクタハウジング10と、この第1コネクタハウジング10の上側に積層した状態で合体される合成樹脂製の第2コネクタハウジング20と、第1コネクタハウジング10に装備された合成樹脂製のランス解除部材30と、第1コネクタハウジング10の内部に収容された端子1(図4参照)とから構成されている。
【0018】
第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20の後部両側部には、第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20をロックするためのロック機構40が設けられている。このロック機構40は、第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20のうちの一方側に設けられたロック凸部41と他方側に設けられた2つのロック凹部42、43とからなり、ロック凸部41とロック凹部42、43の係合位置により、第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20を完全に合体させた本係止位置(図2の位置)と、途中まで合体させた仮係止位置(図1の位置)に選択的に保てるようになっている。
【0019】
つまり、仮係止位置に保ったときには、図1に示すように、第2コネクタハウジング20が第1コネクタハウジング10から多少上に持ち上がった状態となる。また、本係止位置に保ったときには、図2に示すように、第2コネクタハウジング20が第1コネクタハウジング10の上面に載った状態となる。
【0020】
図示例において、仮係止状態は、第2コネクタハウジング20のロック凸部41が第1コネクタハウジング10の上側のロック凹部43に係合することによって保たれる。また、本係止状態は、第2コネクタハウジング20のロック凸部41が第1コネクタハウジング10の下側のロック凹部42に係合することによって保たれる。従って、ロック凸部41と上側のロック凹部43が仮係止手段に相当し、ロック凸部41と下側のロック凹部42が本係止手段に相当する。
【0021】
第1コネクタハウジング10には、図4に示すように、前後方向に沿って端子収容室11が形成され、端子収容室11の天井壁には上下方向に撓み可能な可撓性のランス13が設けられている。ランス13は、後端が端子収容室11の壁に結合され、前端が自由端として斜め前方に延びる片持バネ状のものとして構成されている。そして、端子収容室11に後方から端子1を挿入すると、端子1がランス13を押し上げて所定位置まで到達し、所定位置まで達した段階でランス13が復元して、ランス13の前端が端子1の段部2に係合することにより、端子1を後方へ抜けないように固定することができるようになっている。
【0022】
端子収容室11が複数ある場合、端子収容室11は第1コネクタハウジング10の左右方向に横一列に配列されており、各端子収容室11にそれぞれランス13が設けられている。端子収容室11の前端は、第1コネクタハウジング10の前端壁で行き止まりになっており、その前端壁に形成した差込孔12から相手端子を端子収容室11内に差し込めるようになっている。
【0023】
また、この第1コネクタハウジング10には、ランス13の近傍に位置させて、前後方向に長い溝状のスライドスペース14が形成されている。このスライドスペース14には、後方の第1位置と前方の第2位置との間で、図1中の矢印Aの方向にスライドできるようにランス解除部材30の解除バー31が配設されている。
【0024】
ランス解除部材30は、図4(b)の矢印Bで示すように、第1位置から第2位置までスライドさせられることにより、ランス13を、端子1との係合を解除する位置まで変形させることができるものとして構成されており、通常時は、ロック手段により第1位置に保持され、ロック手段によるロックが解除されることにより第1位置から第2位置へのスライドが許可されるようになっている。
【0025】
ランス解除部材30は、図3に示すように、中央の解除バー31と、解除バー31の両端に一体化された矩形状のフランジ32とから構成され、両フランジ32の上端縁にロック手段の一方の要素である凹部33が設けられている。解除バー31は、前半部上面が傾斜面31aとなった断面クサビ形をなしており、ランス解除部材30が第1位置から第2位置までスライドさせられた際に、ランス13を滑らかに持ち上げられるようになっている。なお、横一列に複数の端子収容室11が配列されている場合、ランス解除部材30の解除バー31は、全部の端子収容室11に対応する長さに形成され、全部の端子収容室11のランス13を一括して解除操作し得るように構成されている。
【0026】
また、ランス解除部材30を第1位置に保持するためのロック手段のもう一方の要素は、第2コネクタハウジング20に凸部23として設けられている。この凸部23は、図1に示すように、第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20とが仮係止位置にあるときは、ランス解除部材30の凹部33に対して係合せずに離間した位置(ロック解除位置)にあり、図2に示すように、第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20が本係止位置にあるときは、ランス解除部材30の凹部33に対して係合し、ランス解除部材30を前方へ移動しないようにロックする。
【0027】
また、第2コネクタハウジング20には二重係止部26が設けられており、図4(a)に示すように、第2コネクタハウジング20を第1コネクタハウジング10に対して本係止状態に保ったときに、その二重係止部26が、ランス13によって抜け止めされている端子1の後側の段部3に係合して端子1を二重に係止し、且つ、図4(b)に示すように、第2コネクタハウジング20を第1コネクタハウジング10に対して仮係止状態に保ったときに、端子1に対して上方に離れて位置することで、端子1に対する二重係止を解除することができるようになっている。
【0028】
また、第1コネクタハウジング10には、その両側壁にガイド溝15が形成されており、それらのガイド溝15にランス解除部材30のフランジ32がスライド自在に嵌め込まれている。そして、フランジ32に形成された凹部33に対応する第2コネクタハウジング20の両側壁に、もう一方のロック手段の要素である凸部23が設けられている。
【0029】
次に組立手順について述べる。
【0030】
このコネクタを組み立てる場合は、まず、図1に示すように、第1コネクタハウジング10の上側に第2コネクタハウジング20を載せて、第2コネクタハウジング20側のロック凸部41を、第1コネクタハウジング10側の2つのロック凹部42、43のうちの上側のロック凹部43に係合させることにより、第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20を仮係止位置に保つ。
【0031】
そして、その状態で、第1コネクタハウジング10の端子収容室11に後方から端子1を挿入する。端子1を挿入すると、端子1に押されてランス13が上方に撓み変形し端子1の通過を許す。更に端子1を挿入すると、端子1が端子収容室11の前端に到達すると共に、ランス13が撓み位置から復元して、ランス13の先端が端子1の段部2に係合する。これにより、端子1が後方へ抜け止めされる。
【0032】
この組立途中の段階で端子1の差し込み間違いに気づいた場合は、図4(b)に示すように、ランス解除部材30を矢印Bのように前方にスライドさせる。すると、ランス解除部材30の解除バー31によって、ランス13を端子1との係合を解除する上方位置まで変形させることができるので、そのまま端子1を矢印Cのように後方に引き抜くことにより、端子1を取り外して、改めて入れ直すことができる。
【0033】
端子1を挿入したら、第1コネクタハウジング10に対して第2コネクタハウジング20を押し込むことにより、第2コネクタハウジング20側のロック凸部41を第1コネクタハウジング10側の2つのロック凹部42、43のうちの下側のロック凹部43に係合させる。そうすると、第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20とが本係止され、ランス解除部材30の凹部33に第2コネクタハウジング20の凸部23が嵌まることで、ランス解除部材30が後側の第1位置にロックされる。また、第2コネクタハウジング20の二重係止部26が端子1の後側の段部3に係合することで、端子1がランス13による係止と共に二重係止される。これにより、コネクタが完成する。
【0034】
また、このように本係止した後で端子1を外す必要が生じた場合は、まず、図1に示すように、第1コネクタハウジング10に対して第2コネクタハウジング20を仮係止位置に戻す。即ち、第1コネクタハウジング10に対して第2コネクタハウジング20を上に持ち上げ、第2コネクタハウジング20側のロック凸部41の係合位置を、第1コネクタハウジング10の下側のロック凹部42から、上側のロック凹部43に切り替える。そうすると、第2コネクタハウジング20の凸部23がランス解除部材30の凹部33から抜けることにより、ランス解除部材30を自由にスライドさせることができるようになる。また、二重係止部26が端子1の段部3から離れることにより二重係止が解除される。
【0035】
従って、この状態で、図4(b)に示すように、ランス解除部材30を矢印Bのように前方にスライドさせることにより、ランス解除部材30の解除バー31によってランス13を端子1との係合を解除する上方位置まで変形させることができるので、そのまま端子1を矢印Cのように後方に引き抜くことにより、端子1を取り外すことができる。
【0036】
以上の説明のように、本実施形態のコネクタによれば、第1コネクタハウジング10にランス解除部材30を装備しておき、必要時には、このランス解除部材30のロックを外して、ランス解除部材30を第1位置から第2位置までスライドさせることにより、端子1を係止しているランス13を、端子1との係合を解除する位置まで変形させることができるようにしているので、端子1の差し間違いなどで、いったん挿入した端子1を抜く必要が生じた場合にも、簡単に端子1の抜き取り作業を実施することができる。特に第1コネクタハウジング10に専用のランス解除部材30を最初から装備しているので、別に端子のサイズやコネクタ毎に抜き取り治具を用意しておく必要がなくなり、コストを安くすませることができるし、作業もやりやすくなる。
【0037】
また、本実施形態のコネクタにおいては、第1、第2コネクタハウジング10、20を仮係止状態に保つことで、ランス解除部材30に対するロックを解除することができるようにしているので、その状態で、ランス解除部材30を第1位置から第2位置までスライドさせてランス13を変形させることにより、端子1の係止を解除して端子1を抜くことができる。また、第1、第2コネクタハウジング10、20を本係止状態に保った際には、ロック手段である凹部33と凸部23が互いに係合することによって、ランス解除部材30を第1位置に固定するので、ランス解除部材30を誤って操作するおそれがない。
【0038】
また、本実施形態のコネクタにおいては、第1、第2コネクタハウジング10、20を仮係止状態から本係止状態にした際に、二重係止部26が端子1をランス13と共に二重係止するようにしているので、より確実に端子1の抜けを防ぐことができる。
【0039】
また、複数の端子収容室11が横一列に配列されている場合でも、本実施形態のコネクタによれば、ランス解除部材30を第1位置から第2位置にスライドさせることにより、ランス解除部材30に設けた解除バー31が、一括して全ての端子収容室11のランス13を係止解除位置に変形させるので、ランス解除部材30を解除位置に操作しさえすれば、どの端子収容室11に収容された端子1も自由に抜くことができる。また、ロック手段としての凹部33と凸部23を、解除バー31の両端に設けたフランジ32と第2コネクタハウジング20の両側壁に設けているので、ロック手段を設けることによって端子収容室11が邪魔されるようなことがなく、設計上の不利を生じることがない。
【0040】
なお、上記実施形態においては、第2コネクタハウジング20に端子が収容されているか否かは特に言及しなかったが、第2コネクタハウジング20に端子が収容されていても勿論よいし、第2コネクタハウジング20の代わりに、ランス解除部材30をロックする機能だけを備えた単なるロック部材を設けてもよい。また、ランス解除部材30をロックするロック手段は、第1コネクタハウジング10側に設けることも可能である。
【0041】
また、上記実施形態では、ロック機構を構成するロック凸部41が第2コネクタハウジング20側に設けられ、ロック凹部42、43が第2コネクタハウジング10側に設けられている場合を示したが、逆に設けられていてもよいし、仮係止と本係止を区別して行えるものであれば、どのような手段を設けてもよい。
【0042】
また、ランス解除部材30をロックするためのロック手段(凹部33と凸部23)についても、凹部33と凸部23を逆に設けることを含めて、種々変更可能であり、どのようにロックするものを設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施形態のコネクタを構成する第1コネクタハウジングと第2コネクタハウジングとが仮係止位置あるときの状態を示す図で、(a)は側面図、(b)は(a)のIb−Ib矢視断面図である。
【図2】前記第1コネクタハウジングと第2コネクタハウジングとが本係止位置にあるときの状態を示す図で、(a)は側面図、(b)は(a)のIIb−IIb矢視断面図である。
【図3】同実施形態のコネクタに使用するランス解除部材の構成を示す斜視図である。
【図4】前記第1コネクタハウジングと第2コネクタハウジングとが本係止位置にあるときの各部の状態を示すコネクタの側断面図、(b)は図1に示すように第1コネクタハウジングと第2コネクタハウジングとが仮係止位置にあるときにランス解除部材を第2位置にスライドさせてランスを変形させた状態を示すコネクタの側断面図である。
【図5】従来のコネクタの断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 端子
10 第1コネクタハウジング
11 端子収容室
13 ランス
14 スライドスペース
15 ガイド溝
20 第2コネクタハウジング
23 凸部(ロック手段)
26 二重係止部
30 ランス解除部材
31 解除バー
32 フランジ
33 凹部(ロック手段)
41 ロック凸部(仮係止手段、本係止手段)
42 ロック凹部(本係止手段)
43 ロック凹部(仮係止手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子収容室を有する第1コネクタハウジングと、前記端子収容室内に該端子収容室の後端から挿入されることで、該端子収容室内に設けられた可撓性のランスにより抜け止め固定される端子と、からなるコネクタにおいて、
前記第1コネクタハウジング内のランスの近傍にスライドスペースが形成され、このスライドスペースに第1位置と第2位置との間でスライド自在にランス解除部材が配設され、該ランス解除部材は、前記第1位置から第2位置までスライドさせられることにより、前記ランスを、前記端子との係合を解除する位置まで変形させることができるものとして構成され、且つ、通常時は前記ランス解除部材を前記第1位置に保持し且つ解除操作されることにより前記ランス解除部材の前記第1位置から第2位置へのスライドを許可するロック手段が備えられていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタであって、
前記第1コネクタハウジングに合体される第2コネクタハウジングを有し、該第1コネクタハウジングと第2コネクタハウジングとの間に、前記第1コネクタハウジングと第2コネクタハウジングとを仮係止状態に保つ仮係止手段と、前記第1コネクタハウジングと第2コネクタハウジングとを本係止状態に保つ本係止手段とが設けられる共に、前記第2コネクタハウジングと前記ランス解除部材との間に前記ロック手段が設けられ、前記第2コネクタハウジングを第1コネクタハウジングに対して前記仮係止状態に保ったとき前記ロック手段がロック解除状態となり、前記第2コネクタハウジングを第1コネクタハウジングに対して前記本係止状態に保ったとき前記ロック手段がロック状態となるように構成されていることを特徴とするコネクタ。
【請求項3】
請求項2に記載のコネクタであって、
前記第2コネクタハウジングに、該第2コネクタハウジングを第1コネクタハウジングに対して前記本係止状態に保ったとき、前記ランスによって抜け止めされている前記端子を更に二重に係止し、且つ、前記第2コネクタハウジングを第1コネクタハウジングに対して前記仮係止状態に保ったとき、前記端子に対する二重の係止を解除する二重係止部(26)が設けられていることを特徴とするコネクタ。
【請求項4】
請求項2または3に記載のコネクタであって、
前記第1コネクタハウジングに複数の端子収容室が横一列に配列され、前記ランス解除部材が、前記横一列に配列された全端子収容室に対応する長さを有し全端子収容室のランスを一括して解除操作し得る解除バーと、該解除バーの両端に一体化されたフランジとから構成され、前記第1コネクタハウジングの両側壁に形成されたガイド溝に前記ランス解除部材のフランジがスライド自在に嵌め込まれ、該フランジと前記第2コネクタハウジング側の前記フランジに対応する箇所に、前記ロック手段として互いに係合し得る凹部と凸部が設けられていることを特徴とするコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−97878(P2010−97878A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−269080(P2008−269080)
【出願日】平成20年10月17日(2008.10.17)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】