説明

コネクタ

【課題】放熱性の向上を図ったコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ1は、電線が取り付けられる電線接続部を備えた端子金具2と、前記端子金具2を収容する端子収容部30が設けられたコネクタハウジング3と、を有している。前記端子収容部30には、前記電線接続部を覆う位置に放熱部45、55が設けられ、前記放熱部45、55は、前記端子収容部30の表面4a、5aから凸に形成された凸部49、59が互いに間隔をあけて複数設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多種多様な電子機器に電源からの電力を供給するためのコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
移動体としての自動車には、多種多様な電子機器に電源からの電力を供給するためのコネクタが設けられている。上記従来のコネクタは、電線と、前記電線が接続される端子金具と、前記端子金具を互いの間に挟持する一対の挟持部を備えたハウジングと、を有している。上記端子金具は、電線が取り付けられる電線接続部と、該電線接続部に連なる電気接触部と、を一体に備えている。(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−211976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、前記自動車に搭載される電子機器の高機能化に伴い、比較的大きな電流(大電流)が前記電線に流されることとなり、よって、前記大電流が流される電線と、該電線が取り付けられる端子金具との接触抵抗によって、端子金具の前記電線が取り付けられる電線接続部が特に発熱することとなり、前記電線接続部が発熱することで、前記熱がハウジングに伝わり、よって、該ハウジングが前記熱によって変形してしまう虞れがあった。
【0005】
さらに、前述した従来のコネクタは、電線が取り付けられた端子金具の電線接続部が、ハウジングの一対の挟持部によって互いの間に挟持されることで前記ハウジングに取付けられているので、前記電線接続部は、前記ハウジングに覆われていることとなり、よって、前記ハウジングに熱がこもってしまうこととなり、前記ハウジングが前記熱によってさらに変形してしまう虞れがあった。
【0006】
そこで、本発明は、上記のような問題点に着目し、放熱性の向上を図ったコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の本発明は、電線が取り付けられる電線接続部を備えた端子金具と、 前記端子金具を収容する端子収容部が設けられたコネクタハウジングと、を有するコネクタであって、前記端子収容部には、前記電線接続部を覆う位置に放熱部が設けられ、前記放熱部には、前記端子収容部の表面から凸に形成された凸部が互いに間隔をあけて複数設けられていることを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の本発明において、前記端子収容部は、互いの間に前記端子金具を挟持する一対の挟持部によって構成されており、前記複数の凸部は、該凸部の前記一対の挟持部が互いに近付く方向の頂部同士が同一平面に形成されていることを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載の本発明は、請求項1または請求項2に記載の本発明において、前記端子金具が、互いに間隔をあけて複数並べられており、前記端子収容部が複数設けられ、前記複数の端子収容部は、前記複数の端子金具が並ぶ方向に連結されており、互いに隣り合う前記端子収容部同士は、前記電線の長手方向と前記電線の前記複数の端子金具が並ぶ方向との双方向に対して交差する方向の異なる位置に設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の本発明によれば、電線が取り付けられる電線接続部を備えた端子金具と、前記端子金具を収容する少なくとも1つの端子収容部が設けられたコネクタハウジングと、を有するコネクタであって、前記端子収容部には、前記電線接続部を覆う位置に放熱部が設けられ、前記放熱部には、前記端子収容部の表面から凸に形成された凸部が互いに間隔をあけて複数設けられているので、前記端子収容部の表面積が増加することとなり、よって、電線と、該電線が取り付けられる端子金具との接触抵抗によって発熱した熱を、放散(放熱)しやすくすることができる。また、前記放熱部が、前記接触抵抗によって特に発熱する前記電線接続部を覆う位置に設けられていることで、前記熱を効率よく放熱することができる。よって、放熱性の向上を図ったコネクタを提供することができる。
【0011】
請求項2記載の本発明によれば、前記端子収容部は、互いの間に前記端子金具を挟持する一対の挟持部によって構成されており、前記複数の凸部は、該凸部の前記一対の挟持部が互いに近付く方向の頂部同士が同一平面に形成されているので、同一平面に形成された前記複数の頂部を、前記一対の挟持部が互いに近付く方向に押し付ける容易な作業で、前記端子金具を前記端子収容部に収容することができる。
【0012】
請求項3記載の本発明によれば、前記端子金具が、互いに間隔をあけて複数並べられており、前記端子収容部が複数設けられ、前記複数の端子収容部は、前記複数の端子金具が並ぶ方向に連結されており、互いに隣り合う前記端子収容部同士は、前記電線の長手方向と前記複数の端子金具が並ぶ方向との双方向に対して交差する方向の互いに異なる位置に設けられているので、端子収容部の表面積がより一層増加することとなり、よって、より一層放熱性の向上を図ったコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態に係るコネクタの斜視図である。
【図2】図1に示すI−I線に沿う断面図である。
【図3】図1に示されたコネクタを構成する端子金具を示す斜視図である。
【図4】図1に示されたコネクタを構成する下ハウジングを示す斜視図である。
【図5】図1に示されたコネクタを構成する上ハウジングを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施の形態にかかるコネクタを、図1乃至図5を参照して説明する。
【0015】
図1、図2などに示すコネクタ1は、図示しないシールド電線と、前記シールド電線の後述する複数の被覆電線それぞれが取り付けられる複数の端子金具2と、前記複数の端子金具2を収容するコネクタハウジング3と、前記コネクタハウジング3に取り付けられるシールドシェル6と、を備えている。図1などに示された矢印Y方向は、シールド電線(被覆電線)の長手方向を示しており、矢印X方向は、複数の端子金具2が並ぶ方向を示しており、矢印Z方向は、前記矢印Y方向と、前記矢印X方向との双方向に対して交差する方向、及び、後述するコネクタハウジング3の一対の挟持部41、42、51、52が互いに近付く方向を示している。また、図2においては、挟持部42、52によって挟持された端子金具2は省略されている。
【0016】
上記シールド電線は、導電性の芯線と、芯線を覆う絶縁性の被覆部からなる複数の被覆電線(以下電線と記す)と、これら複数の電線を一括で覆う導電性の金属材料等からなる素線が編まれるなどして形成されて、外部に電気的なノイズが漏洩することを規制するシールド編組と、前記シールド編組を覆う絶縁性の外皮シースと、によって構成されている。
【0017】
上記複数の端子金具2は、互いに間隔をあけて矢印X方向に沿って並んでいる。各端子金具2は、導電性の板金に、打ち抜き加工や曲げ加工が施されることで得られるものである。この端子金具2は、図3に示すように、電線接続部21と、電線接続部21に連なる電気接触部22と、を一体に備えている。
【0018】
上記電線接続部21は、矩形状に形成された底板23と、前記底板23の長手方向(矢印Y)の一(先)端部に設けられた一対の被覆かしめ片24と、前記底板23の長手方向(矢印Y)の他端部に設けられた一対の芯線かしめ片25と、を一体に備えている。また、電線接続部21(即ち、端子金具2)の長手方向(矢印Y)と、該電線接続部21に接続される電線の長手方向(矢印Y)とは、互いに平行に設けられている。
【0019】
上記被覆かしめ片24は、底板23の幅方向(矢印X)の両縁部から立設している。また、一対の被覆かしめ片24は、底板23から離れた側の縁が底板23に近付くように曲げられている。そして、一対の被覆かしめ片24は、前記電線の被覆部を、底板23との間に挟んで、該被覆部をかしめることで、被覆かしめ片24と、前記電線とを機械的に接続する。
【0020】
上記一対の芯線かしめ片25は、底板23の幅方向の両縁部から立設している。また、一対の芯線かしめ片25は、底板23から離れた側の縁が底板23に近付くように曲げられていている。そして、一対の芯線かしめ片25は、前記電線の被覆部が皮剥ぎされて露出した状態の前記芯線を、底板23との間に挟んで、該芯線をかしめることで、芯線かしめ片25と、前記電線の芯線と、を電気的に接続する。
【0021】
上記電気接触部22は、電線接続部21の底板23に連なっている。また、電気接触部22は、上面視が円形に形成されており、その中央部には、例えば、図示しないボルトが通される孔部22aが設けられている。
【0022】
上記コネクタハウジング3は、絶縁性の合成樹脂からなる。また、コネクタハウジング3は、図1などに示すように、複数の下挟持部41、42が設けられた下ハウジング4と、複数の上挟持部51、52が設けられ、下ハウジング4が組み付けられる上ハウジング5と、によって構成されている。また、コネクタハウジング3には、前記端子金具2を収容する複数の端子収容部30が設けられている。各端子収容部30は、下ハウジング4の各下挟持部41、42と、該下挟持部41、42に組み付けられる上ハウジング5の各上挟持部51、52と、によって構成されている。また、下挟持部41、42と上挟持部51、52とは、特許請求項の範囲に示された「一対の挟持部」をなしている。
【0023】
上記下ハウジング4は、図4に示すように、矩形状に形成された複数の下挟持部41、42と、シェル取付部43と、張出部44と、複数の放熱部45と、複数の立設部46A、46B、46Cと、複数の係止部47と、を備えている。下挟持部41、42は、下ハウジング4の矢印Y方向の端部に設けられており、張出部44は、矢印Y方向の下挟持部41、42から離れた側の端部に設けられており、シェル取付部43は、下挟持部41、42と張出部44との間に設けられている。また、図4は、図1に示されたコネクタハウジング3の下ハウジング4を図1中の矢印Z方向の下から見た図である。
【0024】
上記複数の下挟持部41、42は、矢印X方向に沿って連結されているとともに、互いに隣り合う下挟持部41、42同士は、矢印Z方向の互いに異なる位置に設けられている。即ち、互いに隣り合う下挟持部41、42同士は、矢印Z方向に位置をずらされており、図4中の手前側に位置する下挟持部42は、奥側に位置する下挟持部41よりも図4中の矢印Z方向の上方に位置している。
【0025】
また、各下挟持部41、42には、電線及び該電線が取り付けられた端子金具2を収容する溝部48が設けられている。上記溝部48は、下挟持部41、42の矢印Z方向の内表面から凹に形成されている。
【0026】
上記シェル取付部43には、後述する上ハウジング5のシェル取付部53が組み付けられる。また、シェル取付部43に、後述する上ハウジング5のシェル取付部53が組み付けられると、これらシェル取付部43、53は、筒状に形成される。また、シェル取付部43は、後述するシェル取付部53との間に、前記端子金具2が取り付けられた電線を位置付ける。また、シェル取付部43、53の外周部には、シールドシェル6が取り付けられる。
【0027】
上記張出部44は、板状に形成されている。また、張出部44は、矢印Y方向に向かって突出するように設けられており、後述する上ハウジング5に設けられた張出部54とは矢印Zに沿って対向する位置に設けられ、互いの間に、前記端子金具2が取り付けられた電線を位置付ける。
【0028】
上記複数の放熱部45は、各下挟持部41、42それぞれに設けられている。また、各放熱部45は、各下挟持部41、42の矢印Y方向のシェル取付部43から離れた側の端部に設けられている。即ち、前記放熱部45は、下挟持部41、42の前記電線接続部21を覆う位置に設けられている。また、放熱部45は、下挟持部41、42の前記内表面と反対側の外表面から凹に形成された底部4aから凸に形成された凸部49が互いに間隔をあけて複数設けられていることで形成されている。上記複数の凸部49は、矢印Z方向の前記下挟持部41、42から離れた頂部49a同士が同一平面に形成されている。前記底部4aは、特許請求項の範囲に示された「(端子収容部30の)表面」に相当する。
【0029】
上記複数の立設部46A、46Bは、各下挟持部41、42それぞれに設けられている。また、立設部46A、46Bは、下挟持部41(下挟持部42)の矢印X方向の下挟持部42(下挟持部41)から離れた側の縁から矢印Z方向に沿って立設している。また、立設部46Aは、下挟持部41、42の矢印Y方向のシェル取付部43から離れた側に設けられ、立設部46Bは、下挟持部41、42の矢印Y方向のシェル取付部43寄りに設けられており、これら立設部46A、46Bは、矢印Y方向に互いに間隔をあけて設けられている。上記立設部46Cは、シェル取付部43に設けられており、該立設部46Cは、シェル取付部43の矢印X方向の下挟持部41から離れた側の縁から矢印Zに沿って立設している。
【0030】
上記複数の係止部47は、各立設部46A、46Cそれぞれに設けられている。また、複数の係止部47は、各立設部46A、46Cの矢印Z方向の下挟持部41、42から離れた端部それぞれに設けられているとともに、前記立設部46A、46Cの矢印X方向の下挟持部41(または、下挟持部42)から離れた側の表面に設けられている。
【0031】
さらに、下挟持部42には、立設部46Dと、立設部46Dに設けられた係止部47と、が設けられている。上記立設部46Dは、下挟持部42の矢印X方向の下挟持部41寄りの縁から矢印Z方向に沿って立設している。また、立設部46Dは、矢印Z方向の寸法が、前述した立設部46A、46B、46Cよりも長く形成されている。また、係止部47は、前記立設部46Dの矢印Z方向の前記下挟持部41から離れた端部に設けられているとともに、前記立設部46Dの矢印X方向の下挟持部41から離れた側の表面に設けられている。
【0032】
上記上ハウジング5は、図5に示すように、矩形状に形成された複数の上挟持部51、52と、シェル取付部53と、張出部54と、複数の放熱部55と、複数の係止受け部56と、を備えている。上挟持部51、52は、上ハウジング5の矢印Y方向の端部に設けられており、張出部54は、矢印Y方向の上挟持部51、52から離れた側の端部に設けられており、シェル取付部53は、上挟持部51、52と張出部54との間に設けられている。また、図5は、図1に示されたコネクタハウジング3の上ハウジング5を図1中の矢印Z方向の下から見た図である。
【0033】
上記複数の上挟持部51、52は、矢印X方向に沿って連結されているとともに、互いに隣り合う上挟持部51、52同士は、矢印Z方向の互いに異なる位置に設けられている。即ち、互いに隣り合う上挟持部51、52同士は、矢印Z方向に位置をずらされており、図5中の手前側に位置する上挟持部52は、奥側に位置する上挟持部51よりも図5中の矢印Z方向の上方に位置している。こうして、前述した下ハウジング4の下挟持部41、42と、上ハウジング5の上挟持部51、52とによって構成された複数の端子収容部30は、矢印X方向に沿って連結されており、かつ、互いに隣り合う端子収容部30同士は、矢印Z方向の互いに異なる位置に設けられていることとなる。
【0034】
また、各上挟持部51、52それぞれには、一対の突部57が設けられている。一対の突部57は、矢印X方向に互いに間隔をあけて設けられ、互いの間に、端子金具2の電線接続部21を位置付ける。また、突部57は、上挟持部51、52の下挟持部41、42の前記内表面に重ねられる内表面から凸に形成されている。また、突部57は、矢印Y方向に延在している。
【0035】
上記張出部54は、板状に形成されている。また、張出部54は、矢印Y方向に向かって突出するように設けられている。
【0036】
上記複数の放熱部55は、各上挟持部51、52それぞれに設けられている。また、各放熱部55は、前記下ハウジング4の放熱部45と矢印Z方向に対向する位置に設けられている。即ち、各放熱部55は、各上挟持部51、52の前記電線接続部21を覆う位置に設けられている。また、放熱部55は、上挟持部51、52の前記下ハウジング4の前記内表面に重ねられる内表面と反対側の外表面から凹に形成された底部5aから凸に形成された凸部59が互いに間隔をあけて複数設けられていることで形成されている。上記複数の凸部59は、矢印Z方向の前記上挟持部51、52から離れた頂部59a同士が同一平面に形成されている。前記底部5aは、特許請求項の範囲に示された「(端子収容部30の)表面」に相当する。
【0037】
上記係止受け部56は、前記立設部46A、46Cの係止部47に係止可能に形成されている。また、各係止受け部56は、内側に係止部47及び各係止部47が設けられた立設部46A、46Cそれぞれを通す枠状に形成されている。
【0038】
上記係止ロック部58(図2に示す)は、シェル取付部54の矢印Y方向の上挟持部51、52から離れた側の端部に設けられており、矢印Y方向に凸に形成されている。また、係止ロック部58は、後述するシールドシェル6のロック受け部63に係止可能に形成されている。
【0039】
さらに、上挟持部52には、立設部46Dに設けられた係止部47が係止する図示しない係止受け部が設けられている。
【0040】
上記シールドシェル6は、図1、図2などに示すように、前記シールド電線のシールド編組の端部が被せられるシェル本体61と、前記シールド編組と該シールド編組の端部が被せられた前記シェル本体61と、を互いに取り付けるシールドリング(図示しない)と、アース部62と、を備えている。
【0041】
上記シェル本体61は、導電性の金属によって構成されている。また、シェル本体61には、前記コネクタハウジング3の係止ロック部58に係止するロック受け部63が設けられている。
【0042】
上記アース部62(図2に示す)は、導電性の金属によって構成されている。アース部62は、前記シェル本体61に設けられている。また、アース部62には、図示しないボルトが通される通し孔62aが設けられている。アース部62は、通し孔62aに前記ボルトが通されて、前記シールド編組が取り付けられたシェル本体61を、自動車を構成する車体パネル(ボディ)に取り付ける。
【0043】
上述したコネクタ1は、以下のように、組み立てられる。まず、各電線の端末を、端子金具2の電線接続部21の底板23に載置して、かしめ片24、25を、底板23に近付けるようにかしめて、各電線を端子金具2に取り付ける。そして、電線及び該電線が取り付けられた電線接続部21を下ハウジング4の下挟持部41、42の溝部48に載置する。この際、端子金具2の電気接触部22は、下ハウジング4から矢印Z方向に突出するように設けられている。
【0044】
次に、下ハウジング4に対して、各挟持部41、51、各挟持部42、52、及び、シェル取付部43、53、及び、張出部44、54が矢印Z方向に沿って対向するように、上ハウジング5を位置付けて、下ハウジング4の立設部46Dの係止部47を、上ハウジング5の係止受け部に近付ける。こうして、下ハウジング4と上ハウジング5とを位置決める。さらに、これらハウジング4、5を近付けると、上ハウジング5の各一対の突部57間に、端子金具2が位置付けられるとともに、立設部46Dの係止部47が係止受け部に係止して、各立設部46A、46Cの各係止部47が、係止受け部56それぞれに係止する。こうして、各立設部46A、46C、46Dの各係止部47が、係止受け部56それぞれに係止すると、各挟持部41、51、及び、各挟持部42、52が互いに組み付けられることとなり、複数の端子収容部30が組み立てられる。この際、互いに隣り合う端子収容部30同士は、図1に示すように、矢印Z方向の互いに異なる位置に設けられている。
【0045】
次に、シールド編組の端部をシェル本体61に被せて、シールド編組とシールド編組が被せられたシェル本体61と、をシールドリングを用いて互いに取り付ける。そして、シールド編組が取り付けられたシェル本体61を、シェル取付部43、53の外周部に近付ける。すると、コネクタハウジング3に設けられた係止ロック部58が、シールドシェル6に設けられたロック受け部63に係止して、コネクタハウジング3にシールドシェル6が取り付けられる。さらに、アース部62の通し孔62aの内側にボルトを通して、シェル本体61を、自動車を構成する車体パネル(ボディ)に取り付ける。すると、シールドシェル6は、前述した電気的なノイズを、シェル本体61及びアース部62を介して、車体パネル(ボディ)にアースする。こうして、コネクタ1が組み立てられる。
【0046】
上述した実施形態によれば、電線が取り付けられる電線接続部21を備えた端子金具2と、前記端子金具2を収容する端子収容部30が設けられたコネクタハウジング3と、を有するコネクタ1であって、前記端子収容部30には、前記電線接続部21を覆う位置に放熱部45、55が設けられ、前記放熱部45、55には、前記端子収容部30の表面4a、5aから凸に形成された凸部49、59が互いに間隔をあけて複数設けられているので、前記端子収容部30の表面積が増加することとなり、よって、電線と、該電線が取り付けられる端子金具2との接触抵抗によって発熱した熱を、放散(放熱)しやすくすることができる。また、前記放熱部45、55が、前記接触抵抗によって特に発熱する前記電線接続部21を覆う位置に設けられていることで、前記熱を効率よく放熱することができる。よって、放熱性の向上を図ったコネクタ1を提供することができる。
【0047】
また、前記端子収容部30は、互いの間に前記端子金具2を挟持する一対の挟持部41、51(挟持部42、52)によって構成されており、前記複数の凸部49、59は、該凸部49、59の前記一対の挟持部41、51(挟持部42、52)が互いに近付く方向(矢印Z)の頂部49a、59a同士が同一平面に形成されているので、同一平面に形成された前記複数の頂部49a、59aを、前記一対の挟持部41、51(挟持部42、52)が互いに近付く方向(矢印Z)に押し付ける容易な作業で、前記端子金具2を前記端子収容部30に収容することができる。
【0048】
また、前記端子金具2が、互いに間隔をあけて複数並べられており、前記端子収容部30が複数設けられ、前記複数の端子収容部30は、前記複数の端子金具2が並ぶ方向(矢印X)に連結されており、互いに隣り合う前記端子収容部30同士は、前記電線の長手方向(矢印Y)と前記複数の端子金具2が並ぶ方向(矢印X)との双方向に対して交差する方向(矢印Z)の互いに異なる位置に設けられているので、前記端子収容部30の表面積がより一層増加することとなり、よって、より一層放熱性の向上を図ったコネクタ1を提供することができる。
【0049】
なお、上述した実施形態によれば、コネクタハウジング3には、複数の端子収容部30が設けられているが、本発明はこれに限ったものではなく、端子収容部30は、少なくとも1つ設けられていればよい。
【0050】
また、上述した実施形態によれば、各端子収容部30には、下挟持部41、42と、上挟持部51、52との双方に放熱部45、55が設けられているが、本発明はこれに限ったものではなく、放熱部45、55は、下挟持部41、42と、上挟持部51、52とのうちいずれか一方のみに設けられていればよい。
【0051】
また、前述した実施形態は、本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 コネクタ
2 端子金具
3 コネクタハウジング
4a、5a 底部(表面)
21 電線接続部
30 端子収容部
41、42 下挟持部(挟持部)
45、55 放熱部
49、59 凸部
49a、59a 頂部
51、52 上挟持部(挟持部)
矢印X 並ぶ方向
矢印Y 長手方向
矢印Z 互いに近付く方向、交差する方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線が取り付けられる電線接続部を備えた端子金具と、
前記端子金具を収容する少なくとも1つの端子収容部が設けられたコネクタハウジングと、を有するコネクタであって、
前記端子収容部には、前記電線接続部を覆う位置に放熱部が設けられ、
前記放熱部は、前記端子収容部の表面から凸に形成された凸部が互いに間隔をあけて複数設けられていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記端子収容部は、互いの間に前記端子金具を挟持する一対の挟持部によって構成されており、
前記複数の凸部は、該凸部の前記一対の挟持部が互いに近付く方向の頂部同士が同一平面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記端子金具が、互いに間隔をあけて複数並べられており、
前記端子収容部が複数設けられ、
前記複数の端子収容部は、前記複数の端子金具が並ぶ方向に連結されており、互いに隣り合う前記端子収容部同士は、前記電線の長手方向と前記複数の端子金具が並ぶ方向との双方向に対して交差する方向の互いに異なる位置に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコネクタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−233391(P2011−233391A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−103403(P2010−103403)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】