説明

コネクタ

【課題】従来の機構とは似て異なる機構によりFPC/FFCのような接続対象物と接続するコネクタを提供すること。
【解決手段】接続対象物をコネクタに保持するアクチュエータを備え、当該アクチュエータは、接続対象物の載置が可能な開位置から接続対象物がコンタクトと接触した状態で保持される閉位置までの回動を可能とした。また、当該アクチュエータが閉位置にあるとき当該アクチュエータを閉位置に留まらせるように付勢する付勢機構をコネクタに備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FPC(Flexible Printed Circuit)やFFC(Flexible Flat Cable)のような接続対象物と接続するコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のコネクタは、例えば、特許文献1乃至特許文献3に開示されている。特許文献1のコネクタは、アクチュエータの下方に対してFPC/FFCを斜めに挿入し、アクチュエータを倒すことによりコンタクトとFPC/FFCとの接触を図るものである。特許文献2及び特許文献3のコネクタは、挿入口に対して水平方向に沿ってFPC/FFCを挿入し、アクチュエータを倒すことによりコンタクトとFPC/FFCとの接触を図るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−66239号公報
【特許文献2】特開2006−120429号公報
【特許文献3】特開2002−124331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来の機構とは似て異なる機構によりFPC/FFCのような接続対象物と接続するコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、第1のコネクタとして、
接続部を有する接続対象物を載置するための載置部を有するベース部材と、
接触部と前記接触部を支持する支持バネ部とを有するコンタクトであって、前記接続対象物が前記載置部上に載置された際に前記接触部が前記接続部の底面に対して接触可能となるように前記ベース部材に保持されたコンタクトと、
力点部及び作用点部と前記力点部及び前記作用点部の間に位置する支点部とを有するアクチュエータであって、且つ、前記載置部上に対して前記接続対象物を載置することを許容する開位置と前記接続部を前記作用点部と前記接触部との間に挟む閉位置との間で回動可能となるように前記ベース部材に支持されているアクチュエータと、
前記アクチュエータが前記閉位置にあるとき、前記支点部の上方移動を規制しつつ前記力点部に対して上方に向かう力を付与することにより前記作用点部を下方へ付勢して前記接続部と前記接触部との接触状態を維持する付勢機構と
を備えるコネクタが得られる。
【0006】
また、本発明によれば、第2のコネクタとして、第1のコネクタにおいて、
前記アクチュエータは、前記開位置にあるとき、前記載置部上に対して前記接続対象物を上方から載置可能となるように前記ベース部材に支持されている
コネクタが得られる。
【0007】
また、本発明によれば、第3のコネクタとして、第1又は第2のコネクタのいずれかにおいて、
前記アクチュエータには、前記力点部及び前記支点部を有する被保持部が形成されており、
前記付勢機構は、前記被保持部が回動可能となるように且つ前記アクチュエータが前記閉位置にあるときに前記支点部の下方移動又は前記力点部の上方移動の少なくとも一方を実行するように、前記被保持部を保持している
コネクタが得られる。
【0008】
また、本発明によれば、第4のコネクタとして、第3のコネクタにおいて、
前記付勢機構は、
前記アクチュエータが前記閉位置にあるときに前記支点部の上方移動を規制する第1付勢部と、
前記アクチュエータが前記閉位置にあるときに前記力点部を上方に付勢する第2付勢部と
を備えているコネクタが得られる。
【0009】
また、本発明によれば、第5のコネクタとして、第4のコネクタにおいて、
前記第1付勢部は、前方に向かって延びており、
前記第2付勢部は、後方に向かって延びており、
前記被保持部は、前記第1付勢部と前記第2付勢部との間に位置している
コネクタが得られる。
【0010】
また、本発明によれば、第6のコネクタとして、第5のコネクタにおいて、
前記被保持部は、2つの端部を有しており、
前記支点部は、前記被保持部の一方の端部として構成されており、
前記力点部は、前記被保持部の他方の端部からみて前記支点部よりに位置しており、
前記アクチュエータが前記閉位置にあるときに、前記被保持部の他方の端部は前記第2付勢部の先端よりも後方に位置している
コネクタが得られる。
【0011】
また、本発明によれば、第7のコネクタとして、第4乃至第6のコネクタのいずれかにおいて、
前記アクチュエータには、前記アクチュエータが前記開位置にあるとき前記第2付勢部よりも上方に位置している一方で前記アクチュエータが前記閉位置にあるときには前記第2付勢部の下側に移動して前記第2付勢部に対して下側から係止する係止部が設けられている
コネクタが得られる。
【0012】
また、本発明によれば、第8のコネクタとして、第1乃至第7のコネクタのいずれかにおいて、
前記コンタクトと前記付勢機構とを有する単一の金属部材を備えているコネクタが得られる。
【0013】
また、本発明によれば、第9のコネクタとして、第1乃至第8のコネクタのいずれかにおいて、
前記支持バネ部は、略U字状形状を有している
コネクタが得られる。
【0014】
また、本発明によれば、第10のコネクタとして、第1乃至第9のコネクタのいずれかにおいて、
前記接続対象物はシート状形状を有しており、
前記アクチュエータは、略板状の形状を有し且つ前方に倒すことにより前記開位置から前記閉位置に向けて回動するものであり、
前記アクチュエータには、前記閉位置にあるときに底面側に位置する縁受部であって、前記開位置にあるときに前記接続対象物が前記載置部を超えて配置された場合であっても前記接続対象物の縁部を受ける縁受部が形成されており、
前記縁受部は、左右方向と直交する面内において曲線状に窪んだ形状を有している
コネクタが得られる。
【0015】
また、本発明によれば、第11のコネクタとして、第10のコネクタにおいて、
前記縁受部は、前記支点部と前記作用点部との間に位置している
コネクタが得られる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、力点部及び作用点部とそれらの間に位置する支点部とをアクチュエータに設けると共にアクチュエータが閉位置にあるとき付勢機構を用いて力点部に上方に向かう力を加えるように構成したことから、梃子の原理に基づいて作用点部を下方に移動させることができ、載置部に載置された接続対象物(FPC/FFC)を作用点部によりコンタクトの接触部に押し付けることができる。
【0017】
また、アクチュエータが開位置にあるときに載置部上に対して接続対象物を上方から載置可能となるように、アクチュエータをベース部材に支持させることとした場合には、例えば、FPC/FFCにて接続しようとしている基板同士の間の距離が非常に短い場合であってもFPC/FFCの取り扱いが容易であるといった利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態によるコネクタを示す斜視図である。
【図2】図1のコネクタの上面図である。
【図3】図1のコネクタにおけるアクチュエータの開口付近(図2における破線Aの部分)を拡大して示す上面図である。
【図4】図1のコネクタの左右中央部分を拡大して示す斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態によるコンタクトの側面図であり、支持バネ部が弾性変位した状態を示す図である。
【図6】図1のコネクタをコンタクトの側面に沿って示す断面図である。ここで、アクチュエータは開位置にある。またコネクタは基板上に戴置され、接続対象物がアクチュエータに接している。なお、アクチュエータの軸部との位置関係を示すため、軸部の断面円を破線で示している。
【図7】図1のコネクタをコンタクトの側面に沿って示す断面図である。ここで、アクチュエータは閉位置にある。またコネクタは基板上に戴置され、接続対象物がコンタクトと接触している。なお、アクチュエータの軸部との位置関係を示すため、軸部の断面円を破線で示している。
【図8】図7の被保持部周辺部分を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態(以下「本実施形態」という。)について図面を使用して説明する。
なお、以下の説明において方向を示す場合は、各図面に記載した互いに直交するXYZの3軸を使用するほか、次のように記載する場合がある。
(1)X方向を「前」、−X方向(X方向の反対側方向)を「後」
(2)Y方向を「右」、−Y方向(Y方向の反対側方向)を「左」
(3)Z方向を「上」、−Z方向(Z方向の反対側方向)を「下」
(4)各部材のY方向または−Y方向の部分と面をそれぞれ「側部」、「側面」
(5)各部材の−Z方向の部分と面を「底面」
【0020】
図1及び図2を参照すると、本実施形態によるコネクタ100は、導電性材料からなる複数のコンタクト300と、コンタクト300を保持する絶縁性のベース部材200と、ベース部材200に保持された絶縁性のアクチュエータ400と、ベース部材200の側部に取り付けられたホールドダウン600とを備えるものであり、汎用されているFPC/FFCを接続対象物500とするものである。ここで、図6及び図7から理解されるように、接続対象物500の先端部分には、コンタクト300と電気的に接続される接続部501が形成されている。
【0021】
図5にもっとも良く示されるように、コンタクト300は、X方向に沿って延びる支持部305と、支持部305に支持される被固定部306、支持バネ部302、第2付勢部304及び第1付勢部303を備えている。支持バネ部302、第2付勢部304及び第1付勢部303の支柱部303aは−X方向に向かって、この順に形成されており、いずれもZ方向に向けて突出している。また支持部305は被固定部306からX方向に突出した前端部309を備えている。前端部309はコンタクト300を基板等に電気的に接続するために使用される。
【0022】
被固定部306はコンタクト300をベース部材200に固定するための部位であり、略長方形状の側面の上部からX方向に向けて圧入部306aが突き出している。
【0023】
支持バネ部302は、支持部305に支持されてX方向に延びる板状の支持バネ下部302bと、支持バネ下部302bをU字状に折り返したように−X方向に延びる支持バネ上部302aから構成され、支持バネ上部302aの先端部分には接続部501と接触する接触部301が形成されている。ここで、コンタクト300は多少とも弾性を備えた材料により形成されており、さらに支持バネ部302は支持バネ上部302aと支持バネ下部302bにより全体が略U字状形状に形成されていることから、接触部301は支持バネ部302によって弾性的に支持されている。すなわち、接触部301は上下方向(Z方向)に変位可能であり、接触部301が変位した場合、接触部301は支持バネ部302から元の位置に戻そうとする力を受けることになる。
【0024】
第1付勢部303は、支持部305に支持されて上方に延びる支柱部303aと、支柱部303aの上端部分からX方向に延びる上辺部303bから構成され、上辺部303bの先端部分は下向きに傾斜した形状に形成されている。第1付勢部303も支持バネ部302と同じ弾性素材により形成されてはいるが、後述するベース部材200に保持された状態において、上辺部303bの先端部分に上向きの力が与えられても殆ど変位することなく力を受け止めるように構成されている。
【0025】
支柱部303aの−X方向の端面からは係止片308が−X方向に突出し、係止片308と支持部305の間はX方向に凹んだ形状となり窪み307が形成されている。係止片308及び窪み307は被固定部306と共にコンタクト300をベース部材200に固定するために使用される。
【0026】
第2付勢部304は、支持バネ部302と第1付勢部303の間で支持部305に支持され−X方向に延びるように形成されている。第2付勢部304の先端部分は、やや上向きに傾斜した形状に形成されている。第2付勢部304も弾性素材により形成されており、第2付勢部304の先端部分は弾性的に支持されている。すなわち第2付勢部304の先端部分は上下方向に変位可能であり、変位した場合、第2付勢部304から元の位置に戻そうとする力を受けることになる。
【0027】
図1及び図2から理解されるように、ベース部材200は、X方向における両端部分に前壁202及び後壁203を有しており、Y方向における両端部付近にはZ方向に突出した側壁210を有している。側壁210の後方部分には保持部601を有するホールドダウン600が取り付けられている。保持部601はアクチュエータ400を保持するための部位であり、Y方向に沿って見たとき下方に向けて湾曲した略半円形状に形成されている。保持部601のX方向側はホールドダウン600に弾性的に支持されており、保持部601は上下方向に変位可能である。各保持部601の後方には上方に開放した軸受溝部205が形成され、保持部601の後端部分は覆いかぶさるように軸受溝部205の上方にやや突出している。2つの軸受溝部205の間には上方に開放した溝がY方向に沿って延びている。
【0028】
図1、図4、図6及び図7から理解されるように、前壁202にはコンタクト300の前端部309が貫通可能な溝部208、及び被固定部306を保持する保持孔209が、Y方向に等間隔に設けられている。溝部208と保持孔209はベース部材200の下面に設けられた溝によって連通している。
【0029】
図1乃至図4及び図6に示されるように、ベース部材200には、接続対象物500の接続部501を載置するための載置部201が前壁202と2つの側壁210に挟まれるように設けられている。図4及び図6から理解されるように、載置部201のうち前後方向において前壁202に近い部分には下方に傾斜した傾斜面が形成されており、この傾斜面より前方の部分及び後方の部分は、いずれもZ方向と直交する略水平面状に形成されている。即ち、傾斜面の後方部分は前方部分より低くなっており、これにより傾斜面の後方部分には載置部201をY方向に貫くように凹部206が形成されている。また、図1乃至図4から理解されるように、載置部201にはコンタクト300を配置するスリット207が設けられている。スリット207は左右方向において溝部208及び保持孔209と同じ位置に設けられている。即ち、スリット207はY方向に沿って等間隔に設けられており、上下に開放した状態で、前壁202の−X側から後壁203内部まで載置部201を貫くようにX方向に沿って延びている。図6及び図7から理解されるように、各スリット207と対応する保持孔209はベース部材200の下面に設けられた溝によって連通している。
【0030】
図6及び図7から理解されるように、コンタクト300はベース部材200の下面からスリット207に挿入される。このとき、被固定部306を保持孔209に圧入し、圧入部306aを保持孔209の前方壁に係合させることで、コンタクト300の前端部分の位置を固定することができる。また、係止片308をベース部材200の後壁203に設けられた係合孔に係合させると、後壁203の一部が窪み307に係合し、これによってコンタクト300の後端部分の位置も固定される。従って、各コンタクト300はそれぞれスリット207内の所定位置に固定される。このとき、接触部301は戴置部201から上方に突出して凹部206の内部に位置しており、接続部501の底面と接触可能となっている。即ち、コンタクト300は、接続対象物500の接続部501が戴置部201上に載置された際に、接触部301が接続部501の底面に対して接触可能となるようにベース部材200に保持されている。また、図1、図2及び図4に示されるように、前端部309は溝部208を貫通して前壁202の下端から前方に突出している。
【0031】
図1及び図2に示されるように、アクチュエータ400は、全体が左右方向に長く延びた略板状の形状を有しており、本体部410及びY方向両端に形成された軸部409を備えている。軸部409は、XZ平面において円形の断面を有しており、その直径は軸受溝部205のX方向における幅と略同一である。ベース部材200にアクチュエータ400を取り付けたとき、軸部409は上下方向に移動可能且つ回動可能となるように、軸受溝部205に支持されている。
【0032】
本体部410は戴置部201の少なくとも一部を覆う部分であり、図1、図6及び図7に示されるように、アクチュエータ400がベース部材200に設置された状態において、先端に向けてやや先細った形状に形成されている。詳しくは、本体部410の前面411及び背面414は略平面状に形成され、前面411は軸部409付近から本体部410の先端に向けて背面414と平行して延びた後、先端まで背面414に徐々に近づくように傾斜して延びている。また、前面411は軸部409付近で背面414から離れるように傾斜しつつ突出しており、これにより突出部412が形成されている。前面411において突出部412よりも本体部410の先端に近い部分には、縁受部408が備えられている。縁受部408はアクチュエータ400の左右方向と直交する面内において曲線状に窪んだ形状を有しており、前面411全体を左右方向に延びている。
【0033】
図3、図4に示されるように、突出部412のうちスリット207に面する部分には開口413が形成されている。図6及び図7から理解されるように、開口413は2つの内壁413aに挟まれるようにして前面411の突出部412から延び背面414まで貫通している。
【0034】
図3、図6及び図7に示されるように、開口413内部の2つの内壁413aにはそれぞれ他方の内壁413aに向けて突き出すように係止部407が形成されている。詳しくは、係止部407は斜面407aと係止面407bを備えている。斜面407aは、突出部412の先端から開口413内部に向かって、一方の内壁413aから他方の内壁413aに徐々に近づくように傾斜しつつ延びている。係止面407bは、内壁413aに沿って見たとき斜面407aの反対側となる位置に設けられており、開口413内で一方の内壁413aから他方の内壁413aに向けて切り立つような形状に形成されている。各開口413内部の2つの係止面407bは、Y方向と平行する同一平面上に存在し、2つの係止面407bの端部間の距離は第2付勢部304のY方向の幅よりも短い。即ち、第2付勢部304のY方向の幅は2つの内壁413aの間隔よりも短く、且つ2つの係止部407の間隔よりも長くなるように形成されている。開口413内部には、さらに被保持部404が形成されており、被保持部404は、開口413の一部を遮るように2つの内壁413aを連結している。被保持部404の内壁413aに平行な断面はやや湾曲した長円形状に形成されており、長円形の両端部分には第1端部403及び第2端部406が設けられている。
【0035】
以上のように構成されたアクチュエータ400は、図1乃至図3から理解されるように、ベース部材200に上方から取り付けられる。詳しくは、前面411を前壁202側に向けた状態で、被保持部404を第1付勢部303と第2付勢部304の間に潜らせて、軸部409が軸受溝部205に挿入される。このとき、軸部409は保持部601及び後壁203によって前後方向の移動が規制され、ベース部材200の側壁によって左右方向の移動も規制されている。従って、アクチュエータ400は上下方向の移動又は軸部409の回動に伴う回動だけが実質的に可能な状態になっている。以上のように、アクチュエータ400をベース部材200に取り付けたとき、図1及び図6に示されるようにアクチュエータ400の本体部410は上方に向かって延びており、アクチュエータ400は、載置部201上に接続対象物500を上方から載置することが可能な開位置においてベース部材200に支持されている。
【0036】
図6に示されるように、アクチュエータ400が開位置にあるとき、被保持部404は、斜め上方に向けて湾曲した状態でコンタクト300の第1付勢部303と第2付勢部304に挟まれるように位置しており、第2端部406は第1端部403の前方に位置している。このように、本実施形態におけるコネクタ100においては、第1付勢部303が前方に向かって延びており、第2付勢部304が後方に向かって延びているため、被保持部404を第1付勢部303と第2付勢部304との間に位置させることができ、コネクタ100の小型化が可能となっている。なお、本実施形態においては、アクチュエータ400が開位置にあるとき、被保持部404は第2端部406付近で第2付勢部304と接しており、第1付勢部303からは離れているが、第1付勢部303及び第2付勢部304の両方と接していてもよいし、両方から離れていてもよい。また、アクチュエータ400が開位置にあるとき、図3及び図6から理解されるように、係止部407は斜面407aを前方に向けた状態で第2付勢部304よりも上方に位置している。
【0037】
前述したように、アクチュエータ400が開位置にあるとき、シート状形状を有する接続対象物500の接続部501を上方から載置部201に載置することができる。このとき、接続対象物500の後端(縁部)が載置部201より後方に置かれたとしても、図6に示されるように、接続対象物500の縁部は前面411上を滑り落ち縁受部408で係止される。このとき、アクチュエータ400を前方に倒すことにより回動させると、接続対象物500の縁部が縁受部408に押され、接続対象物500は山なりに湾曲し、接続対象物500の縁部は縁受部408を離脱して載置部201に向けて滑り落ちる。アクチュエータ400を回動し続けると、図7に示されるように、アクチュエータ400は閉位置に到達し、接続部501はアクチュエータ400の前面411の一部とコンタクト300の接触部301とに挟まれた状態となる。なお、アクチュエータ400が閉位置にあるとき、本体部410の前面411が下方に面しており、従って縁受部408はアクチュエータ400の底面(前面411)側に位置している。このように、本実施形態におけるコネクタ100は縁受部408を備えているため、接続対象物500が載置部201を超えて配置された場合であっても接続対象物500の縁部が縁受部408によって受け止められ、そのままアクチュエータ400を回動させることで接続部501とコンタクト300を電気的に接続することができる。
【0038】
開位置にあるアクチュエータ400を前方に倒して回動させると、被保持部404は開口413内部で回転するように移動する。詳しくは、図6に示されるように、第1端部403は軸部409の中心に近い位置にあるため比較的小さな円弧を描きつつ、第1付勢部303の上辺部303bの下面を沿うようにして反時計回りに回動する。一方、第2端部406は軸部409の中心から離れた位置にあるため比較的大きな円弧を描きつつ、第2付勢部304の上面を沿うようにして反時計回りに回動する。また、係止部407も反時計回りに回動する。アクチュエータ400の回動を続けると、2つの係止部407の斜面407aが第2付勢部304の上面と接触する(図3参照)。このとき、2つの斜面407aは開口413内部に向かって徐々に幅を狭めているため、係止部407は第2付勢部304の上面によって係止されず、第2付勢部304を2つの斜面407aで挟んでZ方向に湾曲させつつ回動し続ける。その結果、第2付勢部304は2つの係止部407の間を通り抜け、図7及び図8に示されるように、アクチュエータ400が閉位置にあるとき、係止部407全体が第2付勢部304の下方に位置することになる。このとき、係止面407bは開口413内で切り立つような形状に形成されており、且つ2つの係止面407bの間隔は第2付勢部304のY方向の幅より短いため、係止部407が反時計回りに回動しようとすると、係止面407bが第2付勢部304によって係止される。即ち、係止部407の位置は第2付勢部304の下方に固定され、アクチュエータ400が開位置に戻るような回動が防止される。逆に言えば、アクチュエータ400が閉位置にあるとき、係止部407は第2付勢部304の下方に移動しており、第2付勢部304に対して下側から係止している。
【0039】
なお、アクチュエータ400が開位置から閉位置に至るまでのいずれかの時点において、被保持部404の第1端部403近傍は上辺部303bの下面と接触する。ここで、第1端部403は小さな円弧を描きつつ回動するので、上辺部303bはわずかに変位し、被保持部404は第1端部403近傍において上辺部303bから下向きの力を受けつつ回動を続ける。同様に、第2端部406近傍も第2付勢部304の上面と接触し、第2付勢部304を下方に変位させ、従って第2付勢部304から上向きの力を受けつつ回動を続ける。本実施形態においては、第2端部406が第2付勢部304の先端近傍と接したときに第2付勢部304による付勢力が最大となり、第2端部406がさらに回動して第2付勢部304の先端よりも後方に位置したときにアクチュエータ400が閉位置に達するように構成している。即ち、アクチュエータ400が閉位置に達するとアクチュエータ400が第2付勢部304から受ける力が減少する。従って、操作者がアクチュエータ400を開位置から閉位置に向けて回動させる場合、アクチュエータ400が閉位置に達したときに、操作者はアクチュエータ400から受ける反力が急に減少したという感覚を得ることができ、これによってアクチュエータ400が閉位置に達したことを知ることができる。
【0040】
アクチュエータ400が閉位置にあるとき、図7に示されるように、被保持部404は斜め下方に向けて湾曲した状態で第1付勢部303と第2付勢部304に挟まれるように位置しており、第2端部406は第1端部403より後方に位置している。また、第1端部403(支点部403)は第1付勢部303によって上方移動を規制されて支持され、被保持部404の一部であって第2端部406からみて支点部403よりの部分(力点部401)は第2付勢部304によって上方に付勢されている。このとき、力点部401は支点部403の後方に位置しているため、第2付勢部304の付勢力によって、アクチュエータ400を反時計回りに(閉位置に留まらせるように)回転させようとする力が生じる。この結果、前面411のうち接触部301の上方で接続部501と接している部分が作用点部402として働き、接続部501を下方に押し、接続部501と接触部301との接触状態を維持する。即ち、本実施形態によるアクチュエータ400は、力点部401及び作用点部402と、力点部401及び作用点部402の間に位置する支点部403とを有しており、第1付勢部303と第2付勢部304は、アクチュエータ400が閉位置にあるとき、支点部403の上方移動を規制しつつ力点部401に対して上方に向かう力を付与することにより作用点部402を下方へ付勢して接続部501と接触部301との接触状態を維持する付勢機構を構成している。この付勢機構の構成により、接続部501は接触部301によって上方へ付勢されているが、接続部501は作用点部402と接触部301に挟まれた状態で凹部206内に保持される。なお、作用点部402は、前面411の縁受部408より本体部410の先端に近い部分に存在する。即ち、縁受部408は、支点部403と作用点部402との間に位置している。
【0041】
以上に説明したとおり、本実施形態におけるアクチュエータ400は、接続対象物500を載置部201上に対して載置することを許容する開位置と載置部201上に載置された接続対象物500の接続部501を作用点部402と接触部301との間に挟む閉位置との間で回動可能となるようにベース部材200に支持されている。また、本実施形態におけるコネクタ100は、支点部403、力点部401及び作用点部402が梃子のように作用し、閉位置にあるアクチュエータ400を開位置に戻らないようにして保持している。さらに、本実施形態におけるコネクタ100は、支持バネ部302を略U字形状とし、比較的小さな力でも変位可能としているので、コンタクト300毎に存在する付勢機構による梃子の力がばらついていたとしても、接続部501及びアクチュエータ400に過度な力をかけることなく接続部501と接触部301の電気的接続を維持することができる。
【0042】
なお、本実施形態においては、付勢機構によって、支点部403は下方移動可能に保持され、力点部401は上方移動可能に保持されているが、付勢機構は、1方の機能だけを備えていてもよい。即ち、付勢機構は、被保持部404を回動可能となるように、かつ、アクチュエータ400が閉位置にあるとき、支点部403の下方移動又は力点部401の上方移動の少なくとも一方を実行するように保持していればよい。
【0043】
また、本実施形態におけるコネクタ100は、コンタクト300と付勢機構とを単一の金属部材として有しており、これによって部材の点数を削減しているが、コンタクト300と付勢機構とを別の部材で形成することも可能である。
【符号の説明】
【0044】
100 コネクタ
200 ベース部材
201 載置部
202 前壁
203 後壁
204 支持部
205 軸受溝部
206 凹部
207 スリット
208 溝部
209 保持孔
210 側壁
300 コンタクト
301 接触部
302 支持バネ部
302a 支持バネ上部
302b 支持バネ下部
303 第1付勢部
303a 支柱部
303b 上辺部
304 第2付勢部
305 支持部
306 被固定部
306a 圧入部
307 窪み
308 係止片
309 前端部
400 アクチュエータ
401 力点部
402 作用点部
403 第1端部(支点部)
404 被保持部
406 第2端部
407 係止部
407a 斜面
407b 係止面
408 縁受部
409 軸部
410 本体部
411 前面
412 突出部
413 開口
413a 内壁
414 背面
500 接続対象物
501 接続部
600 ホールドダウン
601 保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続部を有する接続対象物を載置するための載置部を有するベース部材と、
接触部と前記接触部を支持する支持バネ部とを有するコンタクトであって、前記接続対象物が前記載置部上に載置された際に前記接触部が前記接続部の底面に対して接触可能となるように前記ベース部材に保持されたコンタクトと、
力点部及び作用点部と前記力点部及び前記作用点部の間に位置する支点部とを有するアクチュエータであって、且つ、前記載置部上に対して前記接続対象物を載置することを許容する開位置と前記接続部を前記作用点部と前記接触部との間に挟む閉位置との間で回動可能となるように前記ベース部材に支持されているアクチュエータと、
前記アクチュエータが前記閉位置にあるとき、前記支点部の上方移動を規制しつつ前記力点部に対して上方に向かう力を付与することにより前記作用点部を下方へ付勢して前記接続部と前記接触部との接触状態を維持する付勢機構と
を備えるコネクタ。
【請求項2】
請求項1記載のコネクタであって、
前記アクチュエータは、前記開位置にあるとき、前記載置部上に対して前記接続対象物を上方から載置可能となるように前記ベース部材に支持されている
コネクタ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のコネクタであって、
前記アクチュエータには、前記力点部及び前記支点部を有する被保持部が形成されており、
前記付勢機構は、前記被保持部が回動可能となるように且つ前記アクチュエータが前記閉位置にあるときに前記支点部の下方移動又は前記力点部の上方移動の少なくとも一方を実行するように、前記被保持部を保持している
コネクタ。
【請求項4】
請求項3記載のコネクタであって、
前記付勢機構は、
前記アクチュエータが前記閉位置にあるときに前記支点部の上方移動を規制する第1付勢部と、
前記アクチュエータが前記閉位置にあるときに前記力点部を上方に付勢する第2付勢部と
を備えているコネクタ。
【請求項5】
請求項4記載のコネクタであって、
前記第1付勢部は、前方に向かって延びており、
前記第2付勢部は、後方に向かって延びており、
前記被保持部は、前記第1付勢部と前記第2付勢部との間に位置している
コネクタ。
【請求項6】
請求項5記載のコネクタであって、
前記被保持部は、2つの端部を有しており、
前記支点部は、前記被保持部の一方の端部として構成されており、
前記力点部は、前記被保持部の他方の端部からみて前記支点部よりに位置しており、
前記アクチュエータが前記閉位置にあるときに、前記被保持部の他方の端部は前記第2付勢部の先端よりも後方に位置している
コネクタ。
【請求項7】
請求項4乃至請求項6のいずれかに記載のコネクタであって、
前記アクチュエータには、前記アクチュエータが前記開位置にあるとき前記第2付勢部よりも上方に位置している一方で前記アクチュエータが前記閉位置にあるときには前記第2付勢部の下側に移動して前記第2付勢部に対して下側から係止する係止部が設けられている
コネクタ。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のコネクタであって、
前記コンタクトと前記付勢機構とを有する単一の金属部材を備えているコネクタ。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のコネクタであって、
前記支持バネ部は、略U字状形状を有している
コネクタ。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれかに記載のコネクタであって、
前記接続対象物はシート状形状を有しており、
前記アクチュエータは、略板状の形状を有し且つ前方に倒すことにより前記開位置から前記閉位置に向けて回動するものであり、
前記アクチュエータには、前記閉位置にあるときに底面側に位置する縁受部であって、前記開位置にあるときに前記接続対象物が前記載置部を超えて配置された場合であっても前記接続対象物の縁部を受ける縁受部が形成されており、
前記縁受部は、左右方向と直交する面内において曲線状に窪んだ形状を有している
コネクタ。
【請求項11】
請求項10記載のコネクタであって、
前記縁受部は、前記支点部と前記作用点部との間に位置している
コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−14880(P2012−14880A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−148358(P2010−148358)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】