説明

コネクタ

【課題】小型化可能なコネクタであって操作部材の押圧操作時に操作部材の先端が押圧対象から外れてしまうことを防止することのできるコネクタを提供すること。
【解決手段】排出部材50の被押圧部80は、金属板を折り曲げ形成されたものであり、操作部材300による被押圧部80の押圧の際に操作部材300の先端を付き当てられる受壁部82と、受壁部82と交差する方向に延びる側壁部84とを有している。排出部材50は、被押圧部80を押圧されると、トレイ200を排出方向(+X方向)に排出する。側壁部84は、排出操作の際(即ち、受壁部82に操作部材300の先端が突き当たっている際)にその操作部材300の先端の側方に位置しており、操作部材300の先端の好ましくない方への動きを規制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SIM(Subscriber Identity Module)カードのようなカードと接続するコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
マルチメディアカード(MMC)などのメモリカードと接続するコネクタとしては、例えば、特許文献1に開示されたものがある。特許文献1のコネクタは、トレイに搭載されたカードを収容するものである。このコネクタにおいては、トレイに形成された孔部にピン(操作部材)を挿入し、このピンによってプッシュレバーを押圧してロック機構のロックを解除することにより、トレイと共にカードの排出を行う。
【0003】
なお、メモリモジュールのような小型回路板と接続するコネクタとして、例えば、特許文献2に開示されたものもある。特許文献2のコネクタにおいては、合成樹脂等からなるイジェクトボタンの成型時にイジェクトボタンの操作面となる部位に凹部を形成し、小型回路板の抜去時には操作冶具(操作部材)の先端を凹部に係合させてイジェクトボタンを押圧することとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−108695号公報
【特許文献2】特開平9−7693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のコネクタでは、ピン(操作部材)によるプッシュレバーの押圧時にピンに大きな荷重がかかった場合にプッシュレバーからピンが外れてしまう恐れがある。このようにしてピンが外れてしまった場合には、コネクタの取り付けられた部位の周辺をピンの先端で傷つけてしまう可能性もある。
【0006】
特許文献2のコネクタのように比較的大きなコネクタの場合、イジェクトボタンの成型時に操作面に形成された凹部に対して操作冶具(操作部材)の先端を係合させることとすると、操作冶具の外れをある程度は低減できる。しかしながら、コネクタのサイズが小さくなってくると、イジェクトボタンの操作面に形成された凹部も小さくなり、凹部と操作冶具の先端との係合を適切に図ることが困難になるため、特許文献1と同様の問題が生じる恐れがある。また、凹部を形成する一方でイジェクトボタンの強度を確保しようとするとイジェクトボタンが大型化してしまうといった問題もある。即ち、特許文献2のコネクタのイジェクトボタンの構造は特許文献1のコネクタのような比較的小さなコネクタには適用しがたい。
【0007】
そこで、本発明は、小型化可能なコネクタであって操作部材の押圧操作時に操作部材の先端が押圧対象から外れてしまうことを防止することのできるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第1のコネクタとして、
カードと接続するコネクタであって、
被押圧部を有し、前記コネクタと別体の操作部材を用いて前記被押圧部を押圧すると排出方向に沿って前記カードを排出させる排出部材を備えており、
前記被押圧部は、金属板を折り曲げ形成されたものであり、前記操作部材による前記被押圧部の押圧の際に前記操作部材の先端を付き当てられる受壁部と、前記受壁部と交差する方向に延びる側壁部であって前記受壁部に前記操作部材の前記先端が突き当たっている際に前記先端の側方に位置する側壁部とを有している
コネクタを提供する。
【0009】
本発明は、第2のコネクタとして、第1のコネクタであって、
前記排出部材は、一枚の金属板を打ち抜き・折り曲げ加工して得られるものである
コネクタを提供する。
【0010】
本発明は、第3のコネクタとして、第1又は第2のコネクタであって、
前記カードを収容するシェルを更に備えており、
前記排出部材は、前記被押圧部に加えて軸部と排出部とを有しており、
前記軸部は、前記被押圧部と前記排出部との間に位置しており、
前記軸部は、前記排出部材が収容位置と排出位置との間で回動可能となるように、前記シェルに支持されており、
前記被押圧部は、前記軸部を中心とした円軌道上を変位するものであり、
前記排出部材が前記収容位置にあるとき前記操作部材を用いて前記被押圧部を押圧すると前記排出部材が前記排出位置まで回動し、それによって前記排出部が前記カードを排出させる
コネクタを提供する。
【0011】
本発明は、第4のコネクタとして、第3のコネクタであって、
前記受壁部は、略四角形形状を有しており、
前記側壁部は、前記受壁部の四辺のうち前記シェルに最も近い辺以外のすべての辺に対応する側面を少なくとも有している
コネクタを提供する。
【0012】
本発明は、第5のコネクタとして、第4のコネクタであって、
前記側壁部の前記側面のうち、前記シェルから最も遠い位置にある側面である最外側面は、前記受壁部と連続している
コネクタを提供する。
【0013】
本発明は、第6のコネクタとして、第4又は第5のコネクタであって、
前記被押圧部は、略箱型形状を有している
コネクタを提供する。
【0014】
本発明は、第7のコネクタとして、第3乃至第6のいずれかのコネクタであって、
前記排出部材には、凸部が設けられており、
前記シェルには、前記排出部材が前記収容位置にあるとき前記凸部を受容する第1受容孔と、前記排出部材が前記排出位置にあるとき前記凸部を受容する第2受容孔とが、間を空けて形成されており、
前記排出部材が前記収容位置及び前記排出位置以外の位置にあるとき前記凸部は前記シェルに乗り上げるように、前記排出部材は前記シェルに取り付けられている
コネクタを提供する。
【0015】
本発明は、第8のコネクタとして、第7のコネクタであって、
前記凸部が前記第1受容孔に受容されているとき、前記被押圧部は、前記排出方向と直交する横方向において前記軸部と並んでいる
コネクタを提供する。
【0016】
本発明は、第9のコネクタとして、第3乃至第6のいずれかのコネクタであって、
前記排出部材には、取付部が設けられており、
前記シェルには、前記取付部に対応して変位防止部が設けられており、
前記取付部と前記変位防止部とによって、前記排出部材が前記シェルから外れることを防止するようにした
コネクタを提供する。
【0017】
本発明は、第10のコネクタとして、第3乃至第6のいずれかのコネクタであって、
前記排出部材には、ストッパが設けられており、
前記シェルには、シェルストッパが設けられており、
前記排出部材が前記排出位置まで回動した後のさらなる回動を前記ストッパと前記シェルストッパ部とが当接することによって防止するようにした
コネクタを提供する。
【0018】
本発明は、第11のコネクタとして、第3乃至第10のいずれかのコネクタであって、
前記被押圧部は、前記排出方向において、前記シェルの端部から前記排出方向へ突出せず且つ前記シェルの端部から離れて位置している
コネクタを提供する。
【0019】
本発明は、第12のコネクタとして、第1乃至第11のいずれかのコネクタであって、
前記被押圧部の前記側壁部の縁には前記操作部材の前記先端を前記被押圧部内に向けてガイドするガイドフレアが設けられている
コネクタを提供する。
【0020】
本発明は、第1の装置として、第1乃至第12のいずれかのコネクタと、前記カードを搭載するトレイとを備える装置であって、
前記トレイには力受部が設けられており、
前記排出部材は、前記収容位置から前記排出位置に変位した際に、前記トレイの前記力受部に対して前記排出方向に向かう力を加えることにより前記トレイを押し出し、それによって、前記カードを排出する
装置を提供する。
【0021】
本発明は、第2の装置として、第1の装置であって、
前記トレイには、前壁部と棒状部とが設けられていると共にガイド通路が形成されており、
前記前壁部は、前記排出方向の前方に位置しており、
前記棒状部は、前記排出方向の逆方向である押圧方向に沿って前記前壁部から延びており、
前記ガイド通路は、前記前壁部と前記棒状部とを前記押圧方向に沿って貫通しており、前記操作部材が挿入された際に前記操作部材の前記先端を前記被押圧部に向けてガイドする
装置を提供する。
【発明の効果】
【0022】
受壁部に操作部材の先端を係合させるのではなく、受壁部と交差する方向に延びる側壁部を操作部材の先端の側方に設けることとし、受壁部を押圧した際に受壁部から外れてしまいそうになる操作部材(ピン)の先端の移動を側壁部で規制することとしたため、コネクタを小型化したとしても、コネクタ付近を操作部材などで傷つけてしまうことがなくピン操作可能となる。
【0023】
特に、被押圧部が円軌道上を変位するように構成されている場合、凹みでは操作部材の先端が外れてしまう可能性があるが、上述した受壁部と側壁部とを設けることとすると操作部材の先端が被押圧部から外れてしまうことを確実に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態による装置を示す平面図である。
【図2】図1の装置を示す斜視図である。
【図3】図1の装置の動作説明に用いられる平面図である。
【図4】図1の装置に含まれるコネクタを示す平面図である。
【図5】図4のコネクタを示す斜視図である。
【図6】図4のコネクタを示す正面図である。
【図7】図4のコネクタに含まれるシェルを示す平面図である。
【図8】図7のシェルを示す斜視図である。
【図9】図4のコネクタに含まれる排出部材を示す平面図である。
【図10】図9の排出部材を示す斜視図である。
【図11】図9の排出部材の被押圧部とその近辺を示す拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1乃至図3を参照すると、本実施の形態による装置100は、カード(図示せず)を搭載するトレイ200と、トレイ200を部分的に収容するコネクタ10とを備えている。本実施の形態によるカード(図示せず)は、例えば、SIMカードである。トレイ200にカード(図示せず)を搭載した状態で、トレイ200をコネクタ10に挿入すると、カード(図示せず)がコネクタ10と接続する。
【0026】
本実施の形態によるトレイ200は、絶縁樹脂をモールドして得られるものであり、図1乃至図3に示されるように、搭載部210、力受部220、前壁部230、棒状部240、ガイド通路250及び凹部260を有している。搭載部210は、カード(図示せず)を搭載する部位である。力受部220は、コネクタ10からトレイ200及びカード(図示せず)を排出する際に、+X方向(排出方向)に向かう力を受ける部位であり、搭載部210の+Z側(上方)において−X方向(押圧方向:排出方向の逆方向)に張り出している。前壁部230は、トレイ200の+X方向前端部分であり、トレイ200をコネクタ10内に押し込むときに(即ち、トレイ200を−X方向(押圧方向)に向けて押し込むときに)押される部位である。棒状部240は、前壁部230のY方向(横方向)の一方の端部付近に形成されている。棒状部240は、前壁部230から−X方向に沿って延びている。ガイド通路250は、前壁部230と棒状部240とを−X方向に沿って貫通している貫通孔である。凹部260は、トレイ200の両側部に形成されており、Y方向で内側に向かって凹んでいる。
【0027】
図1乃至図6を参照すると、本実施の形態によるコネクタ10は、金属からなるコンタクト12と、絶縁樹脂からなる保持部材14と、金属からなるシェル20と、金属からなる排出部材50と、スイッチ部90とを備えている。本実施の形態によるコンタクト12は、保持部材14の形成時にインサート成型され、保持部材14に保持されている。シェル20は、上部20u及び側部20sと後壁20bで、トレイ200及びカード(図示せず)を収容する収容部を構成している。なお、図1から明らかなように、シェル20のY方向のサイズ(側部20s間の距離)よりもトレイ200の前壁部230のY方向のサイズの方が大きい。特に、本実施の形態による前壁部230は、一方の側部20s側で一方の側部20sよりもY方向に大きく突出している。
【0028】
図7及び図8に示されるように、シェル20の側部20sの一方にはスイッチ片22が形成されている。このスイッチ片22は、スイッチ部90(図1及び図2参照)と共にトレイ200及びカード(図示せず)がコネクタ10に収容されているか否かを検知するためのものである。また、シェル20の側部20sには、夫々、保持バネ24が形成されている。各保持バネ24は、くの字状の先端部分を有している。トレイ200がコネクタ10内に挿入されると、図1及び図2に示されるように、保持バネ24の先端部分がトレイ200の凹部260に受容され、それによってコネクタ10へのトレイ200の収容状態が維持される。
【0029】
図7及び図8に示されるように、シェル20の上部20uには、第1受容孔32、第2受容孔34、第1取付孔41、第2取付孔43及び第3取付孔45が形成されている。これらの孔はいずれも上部20uをZ方向において貫通している。第1受容孔32と第2受容孔34とは互いに離間して設けられている。第2受容孔34の+X方向(排出方向)の端部には、シェルストッパ35が形成されている。シェルストッパ35は、+Z方向(上方)に隆起している。
【0030】
第1取付孔41と第2取付孔43との間には、軸片36が設けられている。軸片36は、Y方向に長手を有する略長方形形状の部位であり、シェル20の上部20uから上方に向かって立ち上がるように形成されている。軸片36は、シェル20の強度等を考慮して、シェル20の端部20fからある程度離れた位置に設けられている。
【0031】
シェル20の上部20uには、第1変位防止部42、第2変位防止部44及び第3変位防止部46も形成されている。第1変位防止部42、第2変位防止部44及び第3変位防止部46は、+Z方向(上方)に隆起しており、且つ、第1取付孔41、第2取付孔43及び第3取付孔45の上方を夫々部分的にカバーしている。
【0032】
図9乃至図11に示されるように、排出部材50は、一枚の金属板を打ち抜き・折り曲げ加工して形成されたものであり、板状の主部52を有している。
【0033】
本実施の形態による排出部材50には、主部52を貫通する略ひょうたん形状の孔である軸部60が形成されている。図1乃至図6から理解されるように、軸部60にはシェル20の軸片36が挿入される。これにより、排出部材50は、収容位置(図3の破線描写部)と排出位置(図3の実線描写部)との間で回動可能となるようにシェル20に支持される。排出部材50が収容位置にあるとき、トレイ200はコネクタ10に部分的に収容され得る(即ち、トレイ200に搭載されたカード(図示せず)はコネクタ10に収容され得る。)一方、排出部材50が排出位置にあるとき、トレイ200及びトレイ200に搭載されたカード(図示せず)はコネクタ10から排出され、コネクタ10から取り出すことができる。
【0034】
図9及び図10に示されるように、排出部材50の主部52には、凸部62とストッパ63が設けられている。この凸部62は、主部52から下方(−Z方向)に突出している。図3乃至図5に示されるように、排出部材50がシェル20に取り付けられた際には、凸部62は、排出部材50が収容位置にあるとき、シェル20の第1受容孔32に受容されており、排出部材50が排出位置にあるとき、シェル20の第2受容孔34に受容されている。ストッパ63は、主部52よりも一段下がるように形成されている。このストッパ63は、排出部材50の回動時にシェル20のシェルストッパ35に当接して、排出部材50が排出位置を超えて回動することを防止するための部位である。本実施の形態においては、シェルストッパ35が+Z方向に隆起している一方でストッパ63が−Z方向に一段下がるように構成されていることから、排出部材50が排出位置を超えて回動することをより確実に防止することができる。
【0035】
図9及び図10に示されるように、排出部材50には、主部52よりも一段下がるように形成された第1取付部64、第2取付部66及び第3取付部68が設けられている。図7乃至図10と図4及び図5から理解されるように、第1取付部64、第2取付部66及び第3取付部68は、夫々、第1取付孔41、第2取付孔43及び第3取付孔45内に受容される。受容された第1取付部64、第2取付部66及び第3取付部68の上側(+Z側)には、夫々、第1変位防止部42、第2変位防止部44及び第3変位防止部46が位置している。換言すると、第1取付部64、第2取付部66及び第3取付部68が、夫々、第1取付孔41、第2取付孔43及び第3取付孔45内であって第1変位防止部42、第2変位防止部44及び第3変位防止部46の下側(−Z側)に位置するように、排出部材50はシェル20に取り付けられる。排出部材50がシェル20に取り付けられると、第1取付部64、第2取付部66及び第3取付部68は、第1変位防止部42、第2変位防止部44及び第3変位防止部46により上方(+Z方向)への変位を規制される。即ち、排出部材50がシェル20から外れる方向(上方:+Z方向)への第1取付部64、第2取付部66及び第3取付部68の変位は規制される。従って、排出部材50は、たとえ回動中であったとしても、主部52がシェル20の上部20uと略平行であって上部20uと接触する位置又は極めて近い位置に維持される。
【0036】
前述のように、排出部材50が収容位置及び排出位置にあるとき凸部62は夫々第1受容孔32及び第2受容孔34に受容されている一方、排出部材50が収容位置と排出位置以外の位置にあるとき、凸部62はシェル20(詳しくは、第1受容孔32と第2受容孔34との間)に乗り上げる。本実施の形態によるコネクタ10においては、排出部材50の主部52がシェル20の上部20uに接触するような位置に維持されていることから、シェル20に乗り上げていた凸部62が第1受容孔32又は第2受容孔34に再び受容される際、操作者(ユーザ)はクリック感を得ることができる。
【0037】
図1乃至図3並びに図9及び図10から理解されるように、排出部材50の主部52の一部は、排出部材50が収容位置から排出位置に移動する際にトレイ200の力受部220に対して排出方向へ向かう力を加える排出部70として機能する。本実施の形態における排出部70は、主部52のエッジの一部で構成されている。また、凸部62は、Y方向において、軸部60と排出部70との間に位置している。
【0038】
図9及び図10に示されるように、排出部材50には被押圧部80が更に設けられている。被押圧部80は、主部52のY方向の一端にぶら下がるように形成されており、略箱型形状を有している。図1乃至図3に示されるように、排出部材50が軸部60を中心として回動可能となるようにシェル20に支持されていることから、被押圧部80は、軸部60を中心とした円軌道上を変位する。一方、排出部材50が収容位置にあるとき、被押圧部80がX方向においてトレイ200の棒状部240と並ぶように設けられている。即ち、トレイ200の前壁部230は、+X方向において被押圧部80の前方にも位置しており、棒状部240は、シェル20の側部20sの側方において、その前壁部230から被押圧部80に向かって−X方向に沿って延びている。更に、被押圧部80は、略箱型形状の開口部が棒状部240側に向くように配されている。従って、図2及び図3から理解されるように、ガイド通路250に操作部材300を−X方向に沿って挿入すると、操作部材300は被押圧部80までガイドされる。
【0039】
図9及び図10を参照すると、被押圧部80は、軸部60に関して排出部70とは反対側に位置している。即ち、軸部60は、排出部70と被押圧部80との間に位置している。本実施の形態においては、軸部60は、凸部62と被押圧部80との間にも位置している。
【0040】
図3から理解されるように、排出部材50が収容位置にあるとき被押圧部80を操作部材300で−X方向に沿って押圧すると、排出部材50が排出位置まで回動し、それによって排出部70がトレイ200を(即ち、それに搭載されたカード(図示せず)も)+X方向に沿って排出させる。
【0041】
ここで、軸部60から凸部62までの距離は軸部60から被押圧部80までの距離よりも短い。従って、被押圧部80を−X方向に押圧することにより、第1受容孔32に受容されている凸部62を第1受容孔32外へ容易に移動させることができる。また、軸部60から排出部70までの距離は軸部60から被押圧部80までの距離よりも長い。従って、被押圧部80の−X方向への押圧操作により、排出部70を比較的長い距離に亘り移動させることができ、従って、トレイ200の大きな排出距離を得ることができる。
【0042】
また、本実施の形態によるコネクタ10において被押圧部80を押圧して排出部材50を回動操作させる際に、被押圧部80を最も大きな力で押圧しなければならないのは、凸部62が第1受容孔32から第1受容孔32の外へ移動させるとき、即ち、排出部材50を収容位置から変位させるときである。このときの押圧力を考慮して、本実施の形態においては、排出部材50が収容位置にあるとき、軸部60と被押圧部80をY方向において並べることとし、両者の間の距離をできるだけ小さくしている。なお、X方向における軸部60の位置(即ち、軸片36の位置)とX方向における被押圧部80の位置とが実質的に同じであることから理解されるように、排出部材50がシェル20に取り付けられた際には被押圧部80はX方向においてシェル20の端部20fから+X方向へは突出せず且つ離れて位置している。
【0043】
図11に示されるように、本実施の形態による被押圧部80は、受壁部82と、側壁部84とを有している。受壁部82は、略四角形形状を有している。側壁部84は、受壁部82の四辺に対応する側面85を有している。側壁部84の側面85は、いずれも受壁部82と交差する方向に延びている。特に本実施の形態による側面85は、受壁部82と略直交する方向に延びている。図3及び図11から理解されるように、受壁部82は、操作部材300にて被押圧部80を押圧する際に操作部材300の先端を付き当てられる部位であり、側壁部84は、操作部材300の先端が受壁部82に突き当たっている際に操作部材300の先端の側方に位置する部位である。本実施の形態においては、操作部材300の先端が受壁部82に突き当たっている際に操作部材300の先端の側方のすべてを側壁部84で囲っていることから、操作部材300の先端が受壁部82上を滑るなどしたとしても側壁部84で止められることとなるので、コネクタ10が設置された近傍の部品等にダメージを与えることがない。
【0044】
本実施の形態においては、操作部材300の先端の側方を十分な距離に亘って囲うため(即ち、操作部材300の先端を被押圧部80内に十分に収容するため)、受壁部82をプレス等で凹ませるのではなく、排出部材50の一部を折り曲げ形成して被押圧部80を構成している。このため、側壁部84の側面85のすべてが受壁部82と連続することはない。いずれの側面85を受壁部82と連続させることとしてもよいが、操作部材300の押圧操作時に被押圧部80が軸部60を中心とした円軌道上を変位すること及びその変位の際に操作部材300の力がどこに加わりやすいのかを考慮して、本実施の形態のように、側壁部84を構成する側面85のうちシェル20から最も遠い位置にある側面85(最外側面86)を受壁部82と連続させることが好ましい(図5及び図11参照)。
【0045】
本実施の形態による側壁部84は、受壁部82の四辺のすべてに対応する側面85を有しているが、本発明はこれに限定されるわけではない。例えば、図5及び図11を参照して、被押圧部80とシェル20が比較的近接している場合には、側面85のうちシェル20に最も近い側面85(最内側面87)を省略することとしてもよいが、他の側面85(最外側面86を含む)については少なくとも省略しない方が好ましい。
【0046】
再度図11を参照すると、被押圧部80の側面85の前端(被押圧部80の側壁部84の縁)には、斜め前方外側に向かって斜めに開いたガイドフレア88が設けられている。従って、操作部材300を被押圧部80を押圧操作する際に操作部材300の先端をガイドフレア88によって被押圧部80内にガイドすることができる。
【0047】
本実施の形態においては、トレイ200にカード(図示せず)を搭載し、カード(図示せず)とトレイ200とをコネクタ10に収容させるものであったが、本発明はこれに限定されるわけではない。例えば、カード(図示せず)が力受部220のような部位を備えている場合には、トレイ200を省略することもできる。
【符号の説明】
【0048】
10 コネクタ
12 コンタクト
14 保持部材
20 シェル
20u 上部
20s 側部
20f 端部
20b 後壁
22 スイッチ片
24 保持バネ
32 第1受容孔
34 第2受容孔
35 シェルストッパ
36 軸片
41 第1取付孔
42 第1変位防止部(変位防止部)
43 第2取付孔
44 第2変位防止部(変位防止部)
45 第3取付孔
46 第3変位防止部(変位防止部)
50 排出部材
52 主部
60 軸部
62 凸部
63 ストッパ
64 第1取付部(取付部)
66 第2取付部(取付部)
68 第3取付部(取付部)
70 排出部
80 被押圧部
82 受壁部
84 側壁部
85 側面
86 最外側面
87 最内側面
88 ガイドフレア
90 スイッチ部
100 装置
200 トレイ
210 搭載部
220 力受部
230 前壁部
240 棒状部
250 ガイド通路
260 凹部
300 操作部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードと接続するコネクタであって、
被押圧部を有し、前記コネクタと別体の操作部材を用いて前記被押圧部を押圧すると排出方向に沿って前記カードを排出させる排出部材を備えており、
前記被押圧部は、金属板を折り曲げ形成されたものであり、前記操作部材による前記被押圧部の押圧の際に前記操作部材の先端を付き当てられる受壁部と、前記受壁部と交差する方向に延びる側壁部であって前記受壁部に前記操作部材の前記先端が突き当たっている際に前記先端の側方に位置する側壁部とを有している
コネクタ。
【請求項2】
請求項1記載のコネクタであって、
前記排出部材は、一枚の金属板を打ち抜き・折り曲げ加工して得られるものである
コネクタ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のコネクタであって、
前記カードを収容するシェルを更に備えており、
前記排出部材は、前記被押圧部に加えて軸部と排出部とを有しており、
前記軸部は、前記被押圧部と前記排出部との間に位置しており、
前記軸部は、前記排出部材が収容位置と排出位置との間で回動可能となるように、前記シェルに支持されており、
前記被押圧部は、前記軸部を中心とした円軌道上を変位するものであり、
前記排出部材が前記収容位置にあるとき前記操作部材を用いて前記被押圧部を押圧すると前記排出部材が前記排出位置まで回動し、それによって前記排出部が前記カードを排出させる
コネクタ。
【請求項4】
請求項3記載のコネクタであって、
前記受壁部は、略四角形形状を有しており、
前記側壁部は、前記受壁部の四辺のうち前記シェルに最も近い辺以外のすべて辺に対応する側面を少なくとも有している
コネクタ。
【請求項5】
請求項4記載のコネクタであって、
前記側壁部の前記側面のうち、前記シェルから最も遠い位置にある側面である最外側面は、前記受壁部と連続している
コネクタ。
【請求項6】
請求項4又は請求項5記載のコネクタであって、
前記被押圧部は、略箱型形状を有している
コネクタ。
【請求項7】
請求項3乃至請求項6のいずれかに記載のコネクタであって、
前記排出部材には、凸部が設けられており、
前記シェルには、前記排出部材が前記収容位置にあるとき前記凸部を受容する第1受容孔と、前記排出部材が前記排出位置にあるとき前記凸部を受容する第2受容孔とが、間を空けて形成されており、
前記排出部材が前記収容位置及び前記排出位置以外の位置にあるとき前記凸部は前記シェルに乗り上げるように、前記排出部材は前記シェルに取り付けられている
コネクタ。
【請求項8】
請求項7記載のコネクタであって、
前記凸部が前記第1受容孔に受容されているとき、前記被押圧部は、前記排出方向と直交する横方向において前記軸部と並んでいる
コネクタ。
【請求項9】
請求項3乃至請求項6のいずれかに記載のコネクタであって、
前記排出部材には、取付部が設けられており、
前記シェルには、前記取付部に対応して変位防止部が設けられており、
前記取付部と前記変位防止部とによって、前記排出部材が前記シェルから外れることを防止するようにした
コネクタ。
【請求項10】
請求項3乃至請求項6のいずれかに記載のコネクタであって、
前記排出部材には、ストッパが設けられており、
前記シェルには、シェルストッパが設けられており、
前記排出部材が前記排出位置まで回動した後のさらなる回動を前記ストッパと前記シェルストッパ部とが当接することによって防止するようにした
コネクタ。
【請求項11】
請求項3乃至請求項10のいずれかに記載のコネクタであって、
前記被押圧部は、前記排出方向において、前記シェルの端部から前記排出方向へ突出せず且つ前記シェルの端部から離れて位置している
コネクタ。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11のいずれかに記載のコネクタであって、
前記被押圧部の前記側壁部の縁には前記操作部材の前記先端を前記被押圧部内に向けてガイドするガイドフレアが設けられている
コネクタ。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12のいずれかに記載のコネクタと、前記カードを搭載するトレイとを備える装置であって、
前記トレイには力受部が設けられており、
前記排出部材は、前記収容位置から前記排出位置に変位した際に、前記トレイの前記力受部に対して前記排出方向に向かう力を加えることにより前記トレイを押し出し、それによって、前記カードを排出する
装置。
【請求項14】
請求項13記載の装置であって、
前記トレイには、前壁部と棒状部とが設けられていると共にガイド通路が形成されており、
前記前壁部は、前記排出方向の前方に位置しており、
前記棒状部は、前記排出方向の逆方向である押圧方向に沿って前記前壁部から延びており、
前記ガイド通路は、前記前壁部と前記棒状部とを前記押圧方向に沿って貫通しており、前記操作部材が挿入された際に前記操作部材の前記先端を前記被押圧部に向けてガイドする
装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−174677(P2012−174677A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39047(P2011−39047)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】