説明

コネクタ

【課題】防水機能を持たせることも可能であり、且つ、ケーブルを引き抜く方向に向かう力がコンタクトに加わった場合にもコンタクトの抜け落ちを防止することのできるコネクタを提供すること。
【解決手段】コネクタは、ケーブル50を夫々接続される複数のコンタクト100と、前後方向(X方向:第1方向)に沿って挿入されたコンタクト100を収容するハウジング200と、前後方向に沿ってハウジング200に挿入され且つハウジング200に保持されるリテーナ300とを備える。リテーナ300は、前後方向に沿ったコンタクト100のハウジング200に対する挿入を許容する仮位置と、上下方向(Z方向:第2方向)において仮位置とは異なる固定位置との2つの位置をとり得るように、ハウジング200に保持されている。仮位置から固定位置へ移動すると、リテーナ300はコンタクト100をハウジング200の内部に保持固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のコンタクトをハウジング内部にリテーナにて保持固定するコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のコネクタとしては、例えば、特許文献1に開示されたものがある。特許文献1に開示されたコネクタは、ケーブルを夫々接続される複数のコンタクトと、コンタクトを収容するハウジングと、コンタクトをハウジング内部に保持固定するためのスペーサ(リテーナ)と、ハウジング内部においてコンタクトの前端側を保持するフロントホルダとを備えている。ハウジングには、その底部において開口し且つスペーサを収容するためのスペーサ収容部が形成されている。ケーブルの接続されたコンタクトがハウジングの後端側からハウジングの内部に収容された後、ハウジングの底部側からスペーサ収容部にスペーサを挿入することで、コンタクトがハウジング内部に保持固定される。
【0003】
なお、防水機能を有するコネクタとしては、特許文献2に開示されたものがある。特許文献2のコネクタは、リテーナと呼ばれる部材を備えている。しかし、特許文献2のリテーナは特許文献1のコネクタのフロントホルダに相当する部材であり、特許文献1のスペーサ(リテーナ)に相当する部材は特許文献2には設けられていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−17174号公報
【特許文献2】特開2003−123890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のコネクタでは、ハウジングの底部にリテーナ収容用の開口部が形成されていることから、特許文献2のコネクタのように防水機能を持たせることはできない。
【0006】
一方、特許文献2のコネクタには、特許文献1のようなスペーサ(リテーナ)が設けられていないことから、ケーブルを引き抜く方向に向かう力がコンタクトに加わった際にコンタクトが破損して抜けてしまう恐れがある。
【0007】
そこで、本発明は、防水機能を持たせることも可能であり、且つ、ケーブルを引き抜く方向に向かう力がコンタクトに加わった場合にもコンタクトの抜け落ちを防止することのできるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、第1のコネクタとして、
複数のコンタクトと、第1方向に沿って挿入された前記コンタクトを収容するハウジングと、前記第1方向に沿って前記ハウジングに挿入され且つ前記ハウジングに保持されるリテーナとを備えるコネクタであって、
前記リテーナは、前記第1方向に沿った前記コンタクトの前記ハウジングに対する挿入を許容する仮位置と、前記第1方向に直交する第2方向において前記仮位置とは異なる固定位置であって前記コンタクトを前記ハウジングの内部に保持固定する固定位置とをとりうるように、前記ハウジングに保持されている
コネクタが得られる。
【0009】
また、本発明によれば、第2のコネクタとして、第1のコネクタであって、
前記リテーナには、リテーナ係合部が設けられており、
前記ハウジングには、前記第2方向において前記リテーナ係合部と係合して前記リテーナを前記仮位置に位置させる仮係合部と、前記第2方向において前記リテーナ係合部と係合して前記リテーナを前記固定位置に位置させる本係合部とが形成されており、
前記第2方向において前記リテーナ係合部と前記仮係合部とを係合させた状態で前記コンタクトを前記第1方向に沿って前記ハウジングに対して挿入した後、前記リテーナ係合部と前記仮係合部との係合を解除して前記第2方向に沿って前記リテーナを前記仮位置から前記固定位置に移動させると共に前記第2方向において前記リテーナ係合部と前記本係合部とを係合させることにより前記リテーナを前記固定位置に維持するように構成されたコネクタが得られる。
【0010】
また、本発明によれば、第3のコネクタとして、第2のコネクタであって、
前記ハウジングには、ハウジング係合部が設けられており、
前記ハウジング係合部は前記第2方向において2つの係合面を有しており、
前記係合面の一方は前記仮係合部として機能し、前記係合面の他方は前記本係合部として機能する
コネクタが得られる。
【0011】
また、本発明によれば、第4のコネクタとして、第3のコネクタであって、
前記リテーナには、前記リテーナが前記仮位置にあるとき、前記リテーナ係合部と共に前記ハウジング係合部を前記第2方向において挟持する挟持部が更に設けられている
コネクタが得られる。
【0012】
また、本発明によれば、第5のコネクタとして、第3又は第4のコネクタであって、
前記リテーナは、前記第1方向に沿って延びる2つのアーム部を備えており、
前記リテーナ係合部は、前記アーム部の前記第1方向における先端に位置しており、且つ、前記第1方向及び前記第2方向の双方に直交する第3方向において外側に向かって突出するように形成されており、
前記ハウジングには、前記アーム部を収容可能なアーム部収容部が形成されており、
前記アーム部収容部の前記第1方向における先端近傍には前記第3方向に撓み可能な弾性部が設けられており、
前記弾性部には、前記第3方向において内側に突出するように前記ハウジング係合部が形成されている
コネクタが得られる。
【0013】
また、本発明によれば、第6のコネクタとして、第5のコネクタであって、
前記アーム部は、前記第3方向における移動・変形を規制された状態で前記アーム部収容部に収容されている
コネクタが得られる。
【0014】
また、本発明によれば、第7のコネクタとして、第1乃至第6のいずれかのコネクタであって、
前記リテーナには、被ガイド部が形成されており、
前記ハウジングには、前記被ガイド部の前記第1方向に沿った移動をガイドするガイド部が形成されており、
前記ガイド部は、前記リテーナが前記仮位置に至るまで前記被ガイド部の前記第2方向への移動を規制しつつ前記第1方向への移動をガイドする一方で前記リテーナが前記仮位置に至ると前記被ガイド部の前記第2方向への移動を許容するように構成されている
コネクタが得られる。
【0015】
また、本発明によれば、第8のコネクタとして、第7のコネクタであって、
前記被ガイド部は、前記第1方向及び前記第2方向の双方に直交する第3方向に突出し且つ前記第1方向に沿って延びる突条形状を有しており、
前記ガイド部は、第2方向における前記被ガイド部の大きさに応じて前記第2方向において離間して且つ互いに対向するようにして設けられた第1規制部及び第2規制部を備えており、
前記第1規制部と前記第2規制部との間に前記被ガイド部を通すようにして前記リテーナを移動させることにより、前記リテーナは、前記第1方向に沿って前記仮位置に向けてガイドされる
コネクタが得られる。
【0016】
また、本発明によれば、第9のコネクタとして、第8のコネクタであって、
前記リテーナには、前記被ガイド部の端部近傍に干渉部が形成されており、
前記干渉部は、前記リテーナを前記仮位置に位置させる際に前記第2規制部を乗り越えるように構成されており、
前記リテーナが前記仮位置から前記ハウジングの外部に向けて戻ろうとしても前記干渉部が前記第2規制部に干渉して前記リテーナの前記第1方向に沿った移動が防止される
コネクタが得られる。
【0017】
また、本発明によれば、第10のコネクタとして、第1乃至第9のいずれかのコネクタであって、
前記第1方向は、前記コネクタの前後方向であり、
前記コンタクトは、前記第1方向に沿って前記ハウジングの後端から前記ハウジングの内部に向けて挿入されるものであり、
前記リテーナは、前記第1方向に沿って前記ハウジングの後端から前記仮位置に向けて挿入されるものであり、
前記コネクタは、前記第1方向に沿って前記ハウジングの前端に取り付けられるフロントキャップを更に備えており、
前記フロントキャップには、前記第1方向に沿って延びる伝達突起が設けられており、
前記伝達突起は、前記フロントキャップの前記ハウジングへの取り付けに際して、前記フロントキャップの前記第1方向に沿った移動を前記第2方向に沿った力に変換して前記リテーナに伝達することにより、前記リテーナを前記仮位置から前記固定位置に向けて移動させる
コネクタが得られる。
【0018】
また、本発明によれば、第11のコネクタとして、第10のコネクタであって、
前記伝達突起の先端には、前記第1方向と前記第2方向の双方に斜交する伝達面が設けられており、
前記フロントキャップの前記第1方向に沿った移動の際に前記伝達面が前記リテーナに押し付けられることにより、前記リテーナが前記仮位置から前記固定位置まで移動させられる
コネクタが得られる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によるリテーナはコンタクトのハウジングへの挿入方向(第1方向:前後方向)と同様の方向からハウジング内に挿入されるものである。即ち、特許文献1のコネクタのように挿入方向と直交する方向に開口した部位がリテーナ挿入用に設けられているわけではない。従って、例えば、リテーナに続いてハウジング内にシール部材を挿入することにより、簡単に防水機能を付加することができる。
【0020】
また、本発明によるリテーナは、ハウジング内にて仮位置と固定位置とをとり得るものであり、仮位置にあるリテーナを挿入方向と直交する方向へ移動させることにより、固定位置に移動させてコンタクトをハウジング内に保持固定することとしたため、ケーブルを引き抜くような方向(挿入方向の逆方向)に向かう力がケーブルを通じてコンタクトに伝わった場合でもコンタクトの抜け落ちがリテーナによって防止され得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態によるコネクタを示す分解斜視図である。
【図2】図1のコネクタを示す斜視図である。
【図3】図1のコネクタに含まれるコンタクトを示す斜視図である。
【図4】図1のコネクタに含まれるハウジングを示す斜視図である。
【図5】図4のハウジングの一部を示す拡大斜視図である。
【図6】図4のハウジングを示す正面図である。
【図7】図6のハウジングの一部を示す拡大正面図である。
【図8】図6のハウジングをVIII--VIII線に沿って示す断面図である。
【図9】図1のコネクタに含まれるリテーナを示す斜視図である。
【図10】図9のリテーナをX--X線に沿って示す断面図である。
【図11】ハウジングへリテーナを挿入する過程の一状態を示す一部切り欠き斜視断面図である。
【図12】図11の状態に続く状態を示す一部切り欠き斜視断面図である。
【図13】図12の状態に続く状態を示す一部切り欠き斜視断面図である。
【図14】図13の状態の一部を示す拡大正面図である。
【図15】図13の状態におけるコネクタを示す斜視断面図である。但し、コンタクトは未だ挿入されていない。
【図16】図15のコネクタに対してコンタクトが挿入された状態を示す斜視断面図である。
【図17】図13の状態に続く状態を示す一部切り欠き斜視断面図である。
【図18】図17の状態の一部を示す拡大正面図である。
【図19】図17の状態におけるコネクタを示す斜視断面図である。但し、コンタクトは未だ挿入されていない。
【図20】図19のコネクタに対してコンタクトが挿入された状態を示す斜視断面図である。
【図21】図1のコネクタに含まれるフロントキャップを示す断面図である。
【図22】フロントキャップの取り付け工程を示す断面図である。ここで、リテーナは仮位置にある。
【図23】フロントキャップが取り付けられたコネクタを示す断面図である。ここでリテーナは固定位置にある。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1及び図2を参照すると、本発明の実施の形態によるコネクタ10は、防水機能を有するものであり、ケーブル50に接続されたコンタクト100と、コンタクト100を収容する絶縁体からなるハウジング200と、ハウジング200に収容される絶縁体からなるリテーナ300と、ハウジング200に保持されるゴムからなる第1シール部材(グロメット)400と、ハウジング200に保持される絶縁体からなるリアカバー500と、ハウジング200の前側に取り付けられるゴムからなる第2シール部材(シーリング)600と、ハウジング200の前端に取り付けられる絶縁体からなるフロントキャップ700とを備えている。
【0023】
図3を参照すると、コンタクト100は、一枚の金属板を打ち抜き・折り曲げ形成して得られるものであり、前後方向(X方向:第1方向)に延びる角筒状のボックス部110と、ボックス部110の上部(ボックス部110のZ方向(第2方向)における一方の部位)に設けられた開口部からなる被係止部120と、ボックス部110の後方に設けられた被保持部130と、被保持部130の更に後方に設けられケーブル50の導体52と接続される接続部140と、接続部140の後方においてケーブル50の絶縁体(被覆部)54を把持する把持部150とを備えている。このコンタクト100は、後述するように、前後方向に沿ってハウジング200の内部に挿入される。
【0024】
ここで、図3から明らかなように、本実施の形態によるコンタクト100は、雌コンタクトである。しかしながら、本発明はこれに限定されるわけではなく、後述するリテーナ300との関係で被保持部130として機能する部位を有する限り、雄コンタクトであってもよい。
【0025】
図4乃至図8を参照すると、ハウジング200は、主部210と、前後方向と直交する平面内において主部210に対して間隔を設けられたフード部220と、相手方コネクタ(図示せず)との嵌合時に相手方コネクタに設けられるロック部と協動して嵌合状態を維持するためのロックレバー225とを備えている。
【0026】
図8に最もよく示されているように、主部210には、ハウジング200の前端201から後方に向けて延びるコンタクト収容部212と、コンタクト収容部212の後方に位置するリテーナ収容部230と、リテーナ収容部230の後方に位置するシール部材収容部240と、シール部材収容部240の後方に位置するリアカバー収容部250が設けられている。ここで、コンタクト収容部212は、コンタクト100のボックス部110を主として収容する部位であり、リテーナ収容部230は、リテーナ300の主部310(後述)を収容する部位であり、シール部材収容部240は、第1シール部材400を収容する部位であり、リアカバー収容部250は、リアカバー500を収容する部位である。
【0027】
図8から明らかなように、コンタクト収容部212は、リテーナ収容部230、シール部材収容部240及びリアカバー収容部250を介して、ハウジング200の後端202まで通じている。ハウジング200の主部210の内部には、コンタクト収容部212内において斜め下前方に向かって延びるランス214が形成されている。このランス214は、コンタクト収容部212に対してハウジング200の後端202側からコンタクト100が挿入された際に、ボックス部110の上部に形成された被係止部120に係止して、コンタクト100が後方に抜けてしまう(−X方向)に移動してしまうことを防止するための部位である。
【0028】
図6及び図8から理解されるように、左右方向(Y方向:第3方向)におけるリテーナ収容部230の両側には、X方向に延びるアーム部収容部232が形成されている。各アーム部収容部232は、前端201まで延びている。即ち、各アーム部収容部232は、ハウジング200の前端201とリテーナ収容部230とを連通している。
【0029】
図4乃至図7に示されるように、各アーム部収容部232の前端(X方向における先端)近傍であって左右方向(Y方向:第3方向)の外側には左右方向に撓み可能な弾性部260が設けられている。本実施の形態における弾性部260は、板片状の形状を有している。各弾性部260には、左右方向の内側に向かって突出するハウジング係合部270が形成されている。各ハウジング係合部270は、上下方向(Z方向:第2方向)に2つの係合面272、274を有している。
【0030】
図8や図11乃至図13及び図17に示されるように、本実施の形態によるアーム部収容部232にはガイド部280が更に設けられている。このガイド部280は、リテーナ収容部230の左右方向の両側から前方に向かって延びる第1規制部282と、リテーナ収容部230の左右方向の両側に位置する第2規制部284からなる。第1規制部282と第2規制部284とは、上下方向において互いに離間して且つ対向するようにして設けられている。特に、各第2規制部284は、上下方向に延びると共に左右方向の内側に向かって突出している。本実施の形態による各第2規制部284は、前後方向及び左右方向の双方に斜交する面を後側に有しており、上下方向に直交する面内において略5角形の断面を有している。
【0031】
図9及び図10を参照すると、リテーナ300は、主部310と、主部310の左右方向の両側から前方に向かって延びる略板状のアーム部320とを備えている。ここで、主部310の前後方向及び左右方向におけるサイズは、リテーナ収容部230のサイズに対応している。一方、主部310の上下方向におけるサイズは、リテーナ収容部230のサイズよりも小さい。そのため、主部310は、図8、図15及び図19から理解されるように、リテーナ収容部230内において、上下方向に移動可能となっている。
【0032】
図9及び図10に示されるように、主部310には、貫通孔312と保持部314とが形成されている。これら貫通孔312及び保持部314は、コンタクト収容部212に対応して設けられている。図10に示されるように、貫通孔312は、主部310を前後方向において貫通している。図9及び図10に示されるように、保持部314は、貫通孔312の前端上部近傍から前方に向かって突出するように延びている。この保持部314は、最終的には、コンタクト100の被保持部130の後方に位置し、コンタクト100をハウジング200内に保持固定するためのものである。
【0033】
図11乃至図14並びに図17及び図18を参照すると、アーム部320の上下方向におけるサイズは、アーム部収容部232の主要部(ガイド部280を除く部位)における上下方向の最小サイズよりも小さい。即ち、本実施の形態によるアーム部収容部232は、図13及び図17から理解されるように、第2規制部284よりも前方においてアーム部320が上下に移動可能なスペースを有している。
【0034】
図9に示されるように、アーム部320には被ガイド部330が形成されている。被ガイド部330は、アーム部320の上端に位置している。また、被ガイド部330は、左右方向の外側に向かって突出しており、且つ、前後方向に沿って延びている。この被ガイド部330を含めたアーム部320の左右方向における厚みは、図11乃至図13及び図17と図14及び図18から理解されるように、アーム部収容部232の左右方向のサイズに対応している。従って、アーム部320はアーム部収容部232に収容されると、アーム部320の左右方向における移動や変形が規制される。
【0035】
また、被ガイド部330の上下方向における大きさは、図11乃至図13及び図17から理解されるように、ハウジング200のガイド部280を構成する第1規制部282と第2規制部284との間の距離に対応している。そのため、被ガイド部330を第1規制部282と第2規制部284との間に挿入した場合には、被ガイド部330の上下方向への移動が規制される。これにより、被ガイド部330の前後方向に沿った移動は、ガイド部280によりガイドされる。
【0036】
図9を再び参照すると、アーム部320には、干渉部340が形成されている。干渉部340は、アーム部320の後端近傍であって被ガイド部330の下側に位置している。また、干渉部340は、前後方向及び左右方向の双方に斜交する面を前側に有しており、上下方向に直交する面内(水平面内)において略5角形の断面を有している。この干渉部340の形状により、第2規制部284の後側に位置している干渉部340が第2規制部284を乗り越えて前方に移動することは比較的容易である一方、その乗り越えの結果として第2規制部284の前側にある干渉部340が第2規制部284を超えて後側に移動しようとしても(戻ろうとしても)第2規制部284に干渉するので困難になっている。
【0037】
更に、アーム部320には被押圧部322及び凹部325が形成されている。本実施の形態による被押圧部322は、アーム部320の前端側の上部に位置しており、前後方向及び上下方向の双方に斜交している。また、本実施の形態による凹部325は、アーム部320の比較的前端に近い位置に位置しており、アーム部320を左右方向に貫通している。
【0038】
図9を参照すると、アーム部320の先端(詳しくは、被ガイド部330の前方)にはリテーナ係合部350と挟持部360とが形成されている。
【0039】
図9に示されるように、リテーナ係合部350は、左右方向の外側に向かって突出し且つ前後方向に延びる突条形状を有している。このリテーナ係合部350は、ガイド部280により被ガイド部330がガイドされてリテーナ300がハウジング200内に水平移動してきた際に、ハウジング係合部280の上側の係合面272上に位置するように、配置されている。なお、リテーナ係合部350がハウジング係合部280の係合面272に当接しているときのリテーナ300の位置を本実施の形態においては「仮位置」という。換言すると、係合面272は、リテーナ係合部350と係合することにより、リテーナ300を仮位置に位置させる仮係合部として機能している。
【0040】
リテーナ300が仮位置に至るまで水平移動する(X方向に沿って移動する)際に、前述のように、干渉部340が第2規制部284を乗り越える。そのため、例えば、図13に示されるように、被ガイド部330は、ガイド部280による上下方向の移動(詳しくは、第2規制部284による下方向への移動)の規制を解除されている。
【0041】
リテーナ300が仮位置にあるとき、図15及び図16に示されるように、リテーナ300の主部はリテーナ収容部230内において比較的上側に位置している。このとき、保持部314は、コンタクト100のハウジング200内部への挿入を許容する(阻害しない)位置に位置している。
【0042】
図9に示されるように、挟持部360は、リテーナ係合部350と同様に、左右方向の外側に向かって突出し且つ前後方向に延びる突条形状を有している。リテーナ係合部350と挟持部360とは、上下方向において離間して設けられている。リテーナ係合部350と挟持部360との間の上下方向における距離は、ハウジング200のハウジング係合部270の上下方向における大きさに対応している。従って、ハウジング係合部270の上側の係合面272上にリテーナ係合部350が位置しているとき(リテーナ300が仮位置に位置しているとき)、挟持部360は、ハウジング係合部270の下側の係合面274に当接している。即ち、ハウジング係合部270の上側の係合面272上にリテーナ係合部350が位置しているとき、ハウジング係合部270はリテーナ係合部350と挟持部360とで挟持される。この挟持により、仮位置に位置しているリテーナ300のガタつきが防止される。
【0043】
上述したように、アーム部収容部232の主たる部分の上下方向におけるサイズは、アーム部320の上下方向のサイズよりも大きい。従って、リテーナ係合部350と係合面(仮係合部)272との係合が解除された場合には、アーム部320は、上下方向に(特に本実施の形態においては下方向に)移動可能である。アーム部320が下方向に移動すると、リテーナ300が仮位置にあったときと比較して、リテーナ係合部350とハウジング係合部270との上下が逆転し、ハウジング係合部270の下側の係合面274がリテーナ係合部350に係合することになる。このときのリテーナ300の位置を「固定位置」という。換言すると、係合面274は、リテーナ係合部350と係合することにより、リテーナ300を固定位置に位置させる本係合部として機能している。なお、この説明及び図14及び図18から明らかなように、仮位置と固定位置とは上下方向において異なっている。
【0044】
リテーナ300が固定位置にあるとき、図19及び図20に示されるように、リテーナ300の主部はリテーナ収容部230内において比較的下側に位置している。このとき、保持部314は、コンタクト収容部212に収容されたコンタクト100のボックス部110の後側に位置しており、コンタクト100を後方へ抜こうとした場合には、被保持部130と当接して、そのようなコンタクト100の移動を阻害する。換言すると、リテーナ300が固定位置にあるとき、保持部314が被保持部130の後側に位置しており、コンタクト100はハウジング200内に保持固定されている。
【0045】
図8、図15及び図19を参照すると、リアカバー500はリアカバー収容部250のサイズに対応しており、第1シール部材400は前後方向と直交する面内においてシール部材収容部240のサイズよりも若干大きい。このため、第1シール部材400は、シール部材収容部240に収容されると、前後方向と直交する面内において若干圧縮される。図1、図15及び図19を参照すると、第1シール部材400には複数の貫通孔410が形成されており、リアカバー500には複数の貫通孔510が形成されている。これら貫通孔410と貫通孔510とは、図15及び図19に示されるように、リテーナ300の貫通孔312と対応している。即ち、これら貫通孔410及び貫通孔510は、コンタクト収容部212とも対応している。
【0046】
図15及び図19に示されるように、リテーナ300、第1シール部材400及びリアカバー500をハウジング200のリテーナ収容部230、シール部材収容部240及びリアカバー収容部250内に収容した状態において、コンタクト収容部212は、貫通孔312、410、510を通して、ハウジング200の後端202まで通じている。
【0047】
リテーナ300が仮位置にあるとき、図15に示されるように、保持部314はコンタクト100の前後方向における移動を許容する位置にある。従って、図16に示されるように、コンタクト100をハウジング200の後端202からハウジング200内に挿入することができる。
【0048】
なお、図16に示された状態では、ランス214がコンタクト100の被係止部120に係止しているが他にコンタクト100が後方(−X方向)に向かうことを防止する手段はない
【0049】
ここで、図15、図16、図19及び図20から理解されるように、コンタクト収容部212、貫通孔410及び貫通孔510は、保持すべきコンタクト100又はケーブル50の部位に対応したサイズ又は若干小さいサイズを有している。従って、コンタクト100又はケーブル50は、コンタクト収容部212、貫通孔410及び貫通孔510内においては上下左右には移動できない。これに対して、リテーナ300の貫通孔312は、対応するコンタクト100及びケーブル50の部位よりも大きい。従って、リテーナ300がハウジング200内において上下方向に移動してもコンタクト100及びケーブルが貫通孔312の内壁によって好ましくない圧力を受けることはない。
【0050】
図16に示されるようにリテーナ300が仮位置にあり且つコンタクト100がハウジング200内に挿入された状態において、アーム部320に対して下方向(−Z方向)に向かう力を加えると、弾性部260が左右方向の外側に撓み、それによってリテーナ係合部350とハウジング係合部270との係合が解除される。その結果、リテーナ300は下方向に向かって(−Z方向に沿って)仮位置から固定位置に移動する。図20に示されるように、リテーナ300が固定位置にあるとき、保持部314が被保持部130の後側に位置する。これにより、コンタクト100は、ランス214に加え、保持部314によっても後方への移動を防止されている。従って、ランス214のみによる場合と比較して、リテーナ300があることから、コンタクト100の抜け落ち防止がより確実なものとなっている。加えて、本実施の形態によるリテーナ300はコンタクト100の挿入方向(前後方向:第1方向)に沿ってハウジング200内に挿入され、且つ、その後ろから第1シール部材400及びリアカバー500を取り付けることとしていることから、特許文献1のコネクタと異なり、リテーナ300の組み込みが防水機能を設ける際の障害となることがない。
【0051】
図1に示されるように、第2シール部材600は、環状である。即ち、第2シール部材600に設けられている開口は一つのみである。第2シール部材600は、図15、図16、図19及び図20に示されるように、ハウジング200の主部210の周囲であってフード部220内に取り付けられる。この第2シール部材600は、相手方コネクタ(図示せず)とコネクタ10との嵌合時に圧縮されそれによってシーリング機能を発揮するためのものである。
【0052】
図1及び図21に示されるように、フロントキャップ700は、略バット(vat)状の主部710と、前後方向に沿って主部710を貫通する貫通孔720と、各貫通孔720の上側から後方に向かって延びる押え突起730と、主部の左右方向の両側壁から内側に向けて突出した凸部740と、主部710から後方に向かって延びる伝達突起750とを備えている。このフロントキャップ700は、主部710にてハウジング200の主部210の前端201をカバーするように、ハウジング200に対して取り付けられる。貫通孔720は、コンタクト収容部212に対応している。押え突起730は、コンタクト100の組み込まれたハウジング200に対してフロントキャップ700が取り付けられた際に、コンタクト収容部212内に収容される。これにより、コンタクト100のボックス部110の上部が押え突起730により押えられるため、コンタクト100のガタつきが更に防止される。凸部740は、フロントキャップ700がハウジング200に対して取り付けられた際にアーム部320の凹部325に対して嵌る部位である。
【0053】
フロントキャップ700の伝達突起750は、前述したようなリテーナ300を仮位置から固定位置に移動させるための冶具的な役割を担うものであり、左右方向において、配置された貫通孔720の両外側に位置している。即ち、伝達突起750は、左右方向においてアーム部320に対応するようにして設けられている。なお、伝達突起750の上下方向における位置は、アーム部320の上下方向における位置よりも少し上である。
【0054】
図21に示されるように、各伝達突起750の先端の下側には、前後方向(X方向)と上下方向(Z方向)の双方に斜交する伝達面752が形成されている。この伝達面752は、アーム部320の被押圧部322を押圧する部位であり、伝達突起750の前後方向へ向かう移動を被押圧部322を介してリテーナ300のアーム部320に対して下方向に向かう力として伝達するためのものである(図22参照)。この伝達突起750の前後方向に沿ったハウジング200への挿入により、リテーナ300は仮位置から固定位置に向けて移動させられる(図22及び図23参照)。
なお、本発明は、上述した伝達面752及び被押圧部322に限定されるわけではなく、伝達面752又は被押圧部322のいずれか一方のみが前後方向(X方向)と上下方向(Z方向)の双方に斜交することとしたり、双方とも丸くしたりしてもよいが、フロントキャップ700のハウジング200への取り付けの際の前後方向に沿った力を下方向に向かう力としてリテーナ300に対して効率よく伝達することができるためには、本実施の形態のように双方とも前後方向(X方向)と上下方向(Z方向)の双方に斜交することとした方が望ましい。
【0055】
以上、本発明の実施の形態について具体的に説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、実施の形態によるコネクタは防水機能を有するものであったが、本発明は防水機能を有さない特許文献1のコネクタのようなものにも適用可能である。
【0056】
また、上述した実施の形態によるコネクタはフロントキャップを有するものであったが、本発明はフロントキャップを有さないタイプのコネクタに対しても適用可能である。この場合、例えば、コネクタの前端側から冶具を挿入して、リテーナを仮位置から固定位置まで又はその逆に移動させることとすればよい。
【符号の説明】
【0057】
10 コネクタ
50 ケーブル
52 導体
54 絶縁体
100 コンタクト
110 ボックス部
120 被係止部
130 被保持部
140 接続部
150 把持部
200 ハウジング
201 前端
202 後端
210 主部
212 コンタクト収容部
214 ランス
220 フード部
225 ロックレバー
230 リテーナ収容部
232 アーム部収容部
240 シール部材収容部
250 リアカバー収容部
260 弾性部
270 ハウジング係合部
272 係合面(仮係合部)
274 係合面(本係合部)
280 ガイド部
282 第1規制部
284 第2規制部
300 リテーナ
310 主部
312 貫通孔
314 保持部
320 アーム部
322 被押圧部
325 凹部
330 被ガイド部
340 干渉部
350 リテーナ係合部
360 挟持部
400 第1シール部材
410 貫通孔
500 リアカバー
510 貫通孔
600 第2シール部材
700 フロントキャップ
710 主部
720 貫通孔
730 押え突起
740 凸部
750 伝達突起
752 伝達面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコンタクトと、第1方向に沿って挿入された前記コンタクトを収容するハウジングと、前記第1方向に沿って前記ハウジングに挿入され且つ前記ハウジングに保持されるリテーナとを備えるコネクタであって、
前記リテーナは、前記第1方向に沿った前記コンタクトの前記ハウジングに対する挿入を許容する仮位置と、前記第1方向に直交する第2方向において前記仮位置とは異なる固定位置であって前記コンタクトを前記ハウジングの内部に保持固定する固定位置とをとりうるように、前記ハウジングに保持されている
コネクタ。
【請求項2】
請求項1記載のコネクタであって、
前記リテーナには、リテーナ係合部が設けられており、
前記ハウジングには、前記第2方向において前記リテーナ係合部と係合して前記リテーナを前記仮位置に位置させる仮係合部と、前記第2方向において前記リテーナ係合部と係合して前記リテーナを前記固定位置に位置させる本係合部とが形成されており、
前記第2方向において前記リテーナ係合部と前記仮係合部とを係合させた状態で前記コンタクトを前記第1方向に沿って前記ハウジングに対して挿入した後、前記リテーナ係合部と前記仮係合部との係合を解除して前記第2方向に沿って前記リテーナを前記仮位置から前記固定位置に移動させると共に前記第2方向において前記リテーナ係合部と前記本係合部とを係合させることにより前記リテーナを前記固定位置に維持するように構成されたコネクタ。
【請求項3】
請求項2記載のコネクタであって、
前記ハウジングには、ハウジング係合部が設けられており、
前記ハウジング係合部は前記第2方向において2つの係合面を有しており、
前記係合面の一方は前記仮係合部として機能し、前記係合面の他方は前記本係合部として機能する
コネクタ。
【請求項4】
請求項3記載のコネクタであって、
前記リテーナには、前記リテーナが前記仮位置にあるとき、前記リテーナ係合部と共に前記ハウジング係合部を前記第2方向において挟持する挟持部が更に設けられている
コネクタ。
【請求項5】
請求項3又は請求項4記載のコネクタであって、
前記リテーナは、前記第1方向に沿って延びる2つのアーム部を備えており、
前記リテーナ係合部は、前記アーム部の前記第1方向における先端に位置しており、且つ、前記第1方向及び前記第2方向の双方に直交する第3方向において外側に向かって突出するように形成されており、
前記ハウジングには、前記アーム部を収容可能なアーム部収容部が形成されており、
前記アーム部収容部の前記第1方向における先端近傍には前記第3方向に撓み可能な弾性部が設けられており、
前記弾性部には、前記第3方向において内側に突出するように前記ハウジング係合部が形成されている
コネクタ。
【請求項6】
請求項5記載のコネクタであって、
前記アーム部は、前記第3方向における移動・変形を規制された状態で前記アーム部収容部に収容されている
コネクタ。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のコネクタであって、
前記リテーナには、被ガイド部が形成されており、
前記ハウジングには、前記被ガイド部の前記第1方向に沿った移動をガイドするガイド部が形成されており、
前記ガイド部は、前記リテーナが前記仮位置に至るまで前記被ガイド部の前記第2方向への移動を規制しつつ前記第1方向への移動をガイドする一方で前記リテーナが前記仮位置に至ると前記被ガイド部の前記第2方向への移動を許容するように構成されている
コネクタ。
【請求項8】
請求項7記載のコネクタであって、
前記被ガイド部は、前記第1方向及び前記第2方向の双方に直交する第3方向に突出し且つ前記第1方向に沿って延びる突条形状を有しており、
前記ガイド部は、第2方向における前記被ガイド部の大きさに応じて前記第2方向において離間して且つ互いに対向するようにして設けられた第1規制部及び第2規制部を備えており、
前記第1規制部と前記第2規制部との間に前記被ガイド部を通すようにして前記リテーナを移動させることにより、前記リテーナは、前記第1方向に沿って前記仮位置に向けてガイドされる
コネクタ。
【請求項9】
請求項8記載のコネクタであって、
前記リテーナには、前記被ガイド部の端部近傍に干渉部が形成されており、
前記干渉部は、前記リテーナを前記仮位置に位置させる際に前記第2規制部を乗り越えるように構成されており、
前記リテーナが前記仮位置から前記ハウジングの外部に向けて戻ろうとしても前記干渉部が前記第2規制部に干渉して前記リテーナの前記第1方向に沿った移動が防止される
コネクタ。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれかに記載のコネクタであって、
前記第1方向は、前記コネクタの前後方向であり、
前記コンタクトは、前記第1方向に沿って前記ハウジングの後端から前記ハウジングの内部に向けて挿入されるものであり、
前記リテーナは、前記第1方向に沿って前記ハウジングの後端から前記仮位置に向けて挿入されるものであり、
前記コネクタは、前記第1方向に沿って前記ハウジングの前端に取り付けられるフロントキャップを更に備えており、
前記フロントキャップには、前記第1方向に沿って延びる伝達突起が設けられており、
前記伝達突起は、前記フロントキャップの前記ハウジングへの取り付けに際して、前記フロントキャップの前記第1方向に沿った移動を前記第2方向に沿った力に変換して前記リテーナに伝達することにより、前記リテーナを前記仮位置から前記固定位置に向けて移動させる
コネクタ。
【請求項11】
請求項10記載のコネクタであって、
前記伝達突起の先端には、前記第1方向と前記第2方向の双方に斜交する伝達面が設けられており、
前記フロントキャップの前記第1方向に沿った移動の際に前記伝達面が前記リテーナに押し付けられることにより、前記リテーナが前記仮位置から前記固定位置まで移動させられる
コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−3871(P2012−3871A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−135618(P2010−135618)
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】