説明

コリン作動性受容体を活性化できる化合物

【課題】ニコチン性コリン作動性受容体を活性化できる化合物の提供。
【解決手段】(2R)−(4Z)−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンもしくはその医薬上許容される塩、(2S)−(4Z)−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンもしくはその医薬上許容される塩、または(2R)−(4E)−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンもしくはその医薬上許容される塩を実質的に含まない、(2S)−(4E)−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンまたはその医薬上許容される塩。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般にニコチン性化合物に関する。さらに詳しくは、本発明は、投与され、所望により、代謝された場合に、例えば、特異的ニコチン受容体サブタイプのアゴニストとして、ニコチン性コリン作動性受容体を活性化できる化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
ニコチンは多数の薬理学的効果を有すると提唱されている。例えば、Pullan et al.,N,Engl,J,Med,330:811−815(1994)参照。それらの効果のあるものは、神経伝達物質に対する効果に関するものであろう。例えば、ニコチンの神経保護効果が提唱されている、Sjak−shie et al.,Brain Res,624:295(1993)参照。ニコチンの投与に際してのニューロンによるアセチルコリンおよびドーパミンの放出はRowell et al.,J.Neurochem.43:1593(1984);Rapier et al.,J.Neurochem.50:1123(1988);Sandor et al.,Brain Res.567:313(1991)およびVizi,Br.J.Pharmacol.47:765(1973)によって報告されている。ニコチンの投与に際してのニューロンによるノルエピネフリンの放出はHall et al.,Biochem.Pharmacol.21:1829(1972)によって報告されている。ニコチンの投与に際してのニューロンによるセロトニンの放出はHery et al.,Arch.Int.Pharmacodyn.Ther.296:91(1977)によって報告されている。ニコチンの投与に際してのニューロンによるグルタメートの放出はToth et al.,Neurochem Res.17:265(1992)によって報告されている。加えて、ニコチンは報告されているところによると、ある種の障害の治療で用いられるある種の医薬組成物の薬理学的挙動を増強する。Sanberg et al.,Pharmacol.Biochem.& Behavior 46:303(1993);Harsing et al.,J.Neurochem.59:48(1993)およびHughes,Proceedings from Intl.Symp.Nic.S40(1994)参照。さらにニコチンの種々の他の有益な薬理学的効果が提唱されている。Decina et al.,Biol.Psychiatry 28:502(1990);Wagner et al.,Pharmacopsychiatry 21:301(1988);Pomerleauet al.,Addictive Behaviors 9:265(1984);Onaivi etal.,Life Sci.54(3):193(1994);Tripathi et al.,JPET221:91−96(1982)およびHamol,Trends in Pharmacol.Res.15:36参照。
【0003】
種々のニコチン性化合物が、広く種々の疾患および障害を治療するのに有用であると報告されている。例えば、Williams et al.,DN&P7(4):205−227(1994)、Arneric et al.,CNS Drug Rev:1(1):1−26(1995),Arneric et al.,Exp.Opin.Invest.Drugs 5(1):79−100(1996),Bencherif et al.,JPET279:1413(1996),Lippiello et al.,JPET279:1422(1996),Damaj et al.,Neuroscience(1997),Holladay et al.,J.Med.Chem,40(28):4169−4194(1997),Bannon et al.,Science 279:77−80(1998),PCT WO 94/08992,PCT WO 96/31475、およびBencherifet al.に対する米国特許第5,583,140号、Dull et al.に対する第5,597、919号、Smith et al.に対する第5,604,231号、およびDull et al.に対する第5,616,716号参照。ニコチン性化合物は、広く種々の中枢神経系(CNS)障害を治療するのに特に有用であると報告されている。
【0004】
CNS障害は、感染、外傷および薬物使用のような遺伝的素因または環境因子から生じ得る神経学的障害のカテゴリ−である。いくつかの場合において、特定のCNS障害のカテゴリ−は未知である。CNS障害は神経精神医学的障害、神経学的病気および精神的病気を含み;神経変性病、挙動障害、認識障害および認識情緒障害を含む。その臨床的発現がCNS機能不全(すなわち、不適切なレベルの神経伝達物質の放出、神経伝達物質受容体の不適切な特性、および/または神経伝達物質および神経伝達物質受容体の間の不適切な相互作用から生じる障害)に帰せられているCNS障害がいくらかある。いくつかのCNS障害はコリン作動性、ドーパミン作動性、アドレナリン作動性および/またはセロトニン作動性欠陥に帰すことができる。比較的普通の発生のCNS障害としては、初老性痴呆症(早期開始アルツハイマー病)、老人性痴呆症(アルツハイマー型の痴呆症)、レーヴィ体痴呆症、パーキンソン病を含むパーキンソン症候群、ハンチントン舞踏病、遅発性ジスキネジア、運動過剰症、躁病、注意欠陥障害、不安症、失読症、統合失調症、軽い認識障害およびトゥーレット症候群を含む。
【0005】
従って、ニコチン性化合物をそのような疾患に罹りやすい、またはそれに悩む対象に投与することによって疾患または障害を予防および治療する有用な方法を提供するのが望ましい。ある種の障害(例えば、CNS障害)に悩む個体に、有効成分またはプロドラッグ形態またはニコチン性薬理学を有するN−オキシドを含む医薬組成物の投与によるそれらの障害の兆候のひどさの中断または低下を与えるのがかなり有益であろう。また、投与され、代謝されると、中枢神経系(CNS)の機能に影響する能力を有するもののようなニコチン受容体と相互作用するが、中枢神経系(CNS)機能に影響するのに十分な量で用いた場合で、望ましくない副作用を誘導する能力(例えば、骨格筋および神経節部位における認識可能な活性)を有する受容体サブタイプに有意に影響しない化合物を取り込んだ医薬組成物を提供するのも望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO 94/08992
【特許文献2】WO 96/31475
【特許文献3】米国特許第5,583,140号
【特許文献4】米国特許第5,597、919号
【特許文献5】米国特許第5,604,231号
【特許文献6】米国特許第5,616,716号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Pullan et al.,N,Engl,J,Med,330:811-815 (1994)
【非特許文献2】Sjak-shie et al.,Brain Res,624:295(1993)
【非特許文献3】Rowell et al.,J.Neurochem.43:1593(1984)
【非特許文献4】Rapier et al.,J.Neurochem.50:1123(1988)
【非特許文献5】Sandor et al.,Brain Res.567:313(1991)
【非特許文献6】Vizi,Br.J.Pharmacol.47:765(1973)
【非特許文献7】Hall et al.,Biochem.Pharmacol.21:1829(1972)
【非特許文献8】Hery et al.,Arch.Int.Pharmacodyn.Ther.296:91(1977)
【非特許文献9】Toth et al.,Neurochem Res.17:265(1992)
【非特許文献10】Sanberg et al.,Pharmacol.Biochem.& Behavior 46:303(1993)
【非特許文献11】Harsing et al.,J.Neurochem.59:48(1993)
【非特許文献12】Hughes,Proceedings from Intl.Symp.Nic.S40(1994)
【非特許文献13】Decina et al.,Biol.Psychiatry 28:502(1990)
【非特許文献14】Wagner et al.,Pharmacopsychiatry 21:301(1988)
【非特許文献15】Pomerleauet al.,Addictive Behaviors 9:265(1984)
【非特許文献16】Onaivi etal.,Life Sci.54(3):193(1994)
【非特許文献17】Tripathi et al.,JPET221:91-96(1982)
【非特許文献18】Hamol,Trends in Pharmacol.Res.15:36
【非特許文献19】Williams et al.,DN&P7(4):205-227(1994)
【非特許文献20】Arneric et al.,CNS Drug Rev:1(1):1-26(1995)
【非特許文献21】Arneric et al.,Exp.Opin.Invest.Drugs 5(1):79-100(1996)
【非特許文献22】Bencherif et al.,JPET279:1413(1996)
【非特許文献23】Lippiello et al.,JPET279:1422(1996)
【非特許文献24】Damaj et al.,Neuroscience(1997)
【非特許文献25】Holladay et al.,J.Med.Chem,40(28):4169-4194(1997)
【非特許文献26】Bannon et al.,Science 279:77-80(1998)
【発明の概要】
【0008】
本発明は、一般に、ニコチン性化合物、ならびにプロドラッグ、N−オキシド、その代謝産物および医薬上許容される塩形態に関する。本発明は、アリール置換オレフィン性アミンのようなニコチン性化合物を含む。代表的なアリール置換オレフィン性アミンとしては、(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(5−ピリミジニル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(5−メトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(6−アミノ−5−メチル−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(2R)−(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(2R)−(4E)−N−メチル−5−(5−イソプロトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(5−ブロモ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(5−エトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(2S)−(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンおよび(2S)−(4E)−N−メチル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンを含む。また、本発明は、本発明の化合物のような、アリール置換オレフィン性アミン化合物を合成するための方法に関する。例えば、アリール置換オレフィン性化合物の単離されたエナンチオマー形態を合成する方法が本発明によって提供される。
【0009】
また、本発明は、ニコチン性化合物のプロドラッグ形態を含む。プロドラッグ形態は、例えば、本発明のアリール置換オレフィン性アミン化合物のアミド、チオアミド、カルバメート、チオカルバメート、尿素およびチオ尿素形態を含むことができる。
【0010】
また、本発明は、アリール置換オレフィン性アミンのようなニコチン性化合物のプロドラッグ形態の製法および使用方法を提供する。プロドラッグの製法は、とりわけ、アリール置換オレフィン性アミンのようなニコチン性化合物のアシル化およびアルキル化を含む。
【0011】
また、本発明は、ニコチン性化合物の代謝産物形態、およびそのような代謝産物の製法を含む。代謝産物は、とりわけ、ここに記載するアリール置換オレフィン性アミンのN−デ(脱)−アルキル化およびモノヒドロキシおよびジヒドロキシ形態を含むことができ、ここに、モノまたはジヒドロキシ機能はピリジンまたはピリミジン環に存在する。また、本発明は、アリール置換オレフィン性アミン化合物のN−オキシド形態、およびそのようなN−オキシド形態の製法および使用方法を含む。
【0012】
また、本発明は、本発明の化合物、プロドラッグ、N−オキシドおよび/または塩の有効量を対象に投与することによって、受容体の活性を変調または改変する方法に関する。前記方法は、受容体を本発明の化合物の有効量と接触させることによって、ニコチン性コリン作動性受容体の活性の変調を含むことができる。
【0013】
また、本発明は、広く種々の疾患または障害、特に、ドーパミン放出のような神経伝達物質放出の神経変調を含む、障害を含めたニコチン性コリン作動性神経伝達の機能不全によって特徴付けられる障害を予防および/または治療する方法に関する。また、本発明は、正常な神経伝達物質放出の変化によって特徴付けられる、中枢神経系(CNS)障害のような障害および/またはその兆候を予防および/または治療する方法に関する。
【0014】
また、本発明は、例えば、疼痛およびそれに関連する兆候のようなある種の疾患の治療方法を含む。前記方法は、有効量の本発明の化合物および/またはそのプロドラッグ、N−オキシドおよび/または塩を対象に投与することを含む。
【0015】
もう1つの態様において、本発明は、本発明の化合物および/またはそのプロドラッグ、N−オキシドおよび/または塩形態の有効量を含む医薬組成物に関する。そのような医薬組成物は、有効量で使用された場合、対象の関連ニコチン受容体部位と相互作用でき、それにより、前記化合物が、広く種々の疾患および障害および/またはその兆候、特に、正常な神経伝達物質放出における変化によって特徴付けられる障害の予防または治療において治療剤として作用するのを可能とすることができる化合物を配合する。好ましい医薬組成物は、本発明の化合物および/またはそのプロドラッグ、N−オキシド、代謝産物および/または医薬塩を含む。
【0016】
本発明の医薬組成物は、CNS障害等の障害の予防および/または治療で有用であり、該障害は、正常な神経伝達物質放出の変化、および/またはそのような障害に関連する兆候によって特徴付けられる。医薬組成物は、そのような障害に罹り、および/またはそのような障害の臨床的発現を呈する個体に対して治療的利益を提供し、それらの組成物内の化合物は、有効量で用いた場合、(i)ニコチン性薬理学を示し、関連ニコチン性受容体部位に影響する(例えば、ニコチン受容体を活性化させる薬理学的アゴニストとして作用する)、および(ii)神経伝達物質の分泌を誘導して、それらの病気に関連する兆候を防止し抑制する、能力を有する。加えて、前記化合物は、(i)患者の脳のニコチン性コリン作動性受容体の数を増加させ、(ii)神経保護効果を呈し、(iii)有効量で使用した場合に、認識できる有害な副作用(例えば、血圧および心拍の有意な増加、胃腸管に際しての有意な負の効果および骨格筋に対する有意な効果)を引き起こさない。本発明の医薬組成物は、広く種々の疾患および障害の予防および治療に対して安全かつ効果的であると考えられる。
【0017】
前記および本発明の他の態様は、以下に記載された詳細な記載および実施例で詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書中で用いるように、用語「プロドラッグ」とは、その薬理学的効果を呈するに先立ってバイオ変換を受ける化合物の薬理学的に不活性な形態をいう。プロドラッグは、投与後の対象によってインビボにて前記化合物の薬理学的に活性な形態に代謝されて、所望の薬理学的効果を生ずるものである。対象への投与後、前記化合物の薬理学的に不活性な形態は、生物学的流体および/または酵素の影響下でインビボにて前記化合物の薬理学的に活性な形態に変換される。代謝は主として肝臓および/または腎臓において多くの化合物につき起こるが、ほとんど全ての他の組織および器官、特に肺が種々の程度の代謝を行うことができる。化合物のプロドラッグ形態は、例えば、生物学的利用性を改良し、苦味のような不愉快な特徴をマスクし、静脈内使用についての溶解度を変化させ、あるいは前記化合物の部位特異的送達を提供することができる。本明細書中における化合物への言及は、化合物のプロドラッグ形態を含む。
【0019】
本明細書中で用いるように、「代謝産物」は、生物学的に誘導された形質転換を受けた後にその化合物の生成物である化合物の形態をいう。代謝産物は合成により製造することができる。
【0020】
本明細書中で用いるように、「N−オキシド」とは、1または数個の窒素原子がいわゆるN−オキシドまで酸化された化合物のN−オキシド形態をいう。
【0021】
本明細書中で用いるように、「医薬上許容される塩」とは、医薬産業において許容性を見出した化合物の塩形態をいう。
【0022】
本発明の化合物は、式:
【化1】

の化合物、およびその医薬上許容される塩を含む。式中、XおよびX’の各々は、個々に、Hansch et al.,Chem,Rev.91:165(1991)に従って測定したように、約−0.3〜約0.75の範囲のシグマm値を有するとして特徴付けられる置換基種に結合した窒素または炭素である。式中に示すように、mおよびnは、m+nの合計が1、2、3、4、5、6、7または8であるような整数である。1つの実施形態においてm+nの合計は1、2または3である。もう1つの実施形態においては、mおよびnの合計は2または3である。式中の波線は、前記化合物はシス(Z)またはトランス(E)形態を有することができることを示す。EI、EII、EIII、EIV、EVおよびEVIは、個々に、水素、または低級アルキル(例えば、C1−C8を含む直鎖または分岐鎖アルキル、例えば、メチル、エチルまたはイソプロピル等のC1−C5を含む)またはハロ置換低級アルキル(例えば、C1−C8を含む直鎖または分岐鎖アルキル、例えば、トリフルオロメチルまたはトリクロロメチル等のC1−C5を含む)を表し、EI、EII、EIII、EIV、EVおよびEVIの少なくとも1つは非水素である。好ましくは、EVおよび/またはEVIはC1-5アルキル、より好ましくはメチルである。Z’およびZ”は、個々に、水素または低級アルキル(例えば、C1−C8を含む直鎖または分岐鎖アルキル、例えば、メチル、エチルまたはイソプロピル等のC1−C5を含む)を表す。1つの実施形態において、Z’およびZ”の一つは水素である。もう1つの実施形態においてZ’は水素であって、Z”はメチルである。あるいは、Z’は水素であってZ”は、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロベンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル、キヌクルジニル、ピリジル、キノリニル、ピリミジニル、フェニル、ベンジルのような環構造(シクロアルキルまたは芳香族)を表す(ここに前記のいずれも、XおよびX’に関して以下に記載した置換基を含む少なくとも1つの置換基で適当に置換することができ、特にアルキル、ハロ、およびアミノ置換基を含む)。また、Z’、Z”および結合窒素原子は、これらに代えて、アジリジニル、アセチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、キヌクリジニル、ピペラジニルまたはモルホリニルのような環構造を形成することができる。
【0023】
さらに、Z’およびZ”の一つは−C(=Q)Q’であり得、ここに、QはO、SまたはNR’であり、Q’はOR’、SR’、N(R’)2またはR’であり、ここに、R’は後に定義する通りである。より具体的には、Z’およびZ”の一つはCH3C(=O)−、−C(=O)OC65、−C(=O)N(CH32、−C(=S)CH2CH3、−C(=S)NH2、−C(=S)N(CH32、−C(=S)OCH3または−C(=O)C65であり得る。
【0024】
より具体的には、XおよびX’は、個々に、N、NO、C−H、C−F、C−Cl、CBr、C−I、C−R’、C−NR’R”、C−CF3、C−OH、C−CN、C−NO2、C−C2R’、C−SH、C−SCH3、C−N3、C−SO2CH3、C−OR’、C−SR’、C−C(=O)NR’R”、C−NR’C(=O)R’、C−C(=O)R’、C−C(=O)OR’、C(CH2qOR’、C−OC(=O)R’、COC(=O)NR’R”およびC−NR’C(=O)OR’であり得、ここに、R’およびR”は、個々に、水素または低級アルキル(例えば、C1−C10アルキル、例えば、メチル、エチル、イソプロピルまたはイソブチル等のC1−C5アルキル)、芳香族基含有種または置換された芳香族基含有種であり、およびqは1〜6の整数である。R’およびR”は直鎖または分岐鎖アルキルであり得、あるいはR’およびR”はシクロアルキル官能性(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチルおよびキヌクリジニル)を形成することができる。代表的な芳香族基含有種はピリジル、キノリニル、ピリミジニル、フェニルおよびベンジルを含む(ここに、前記のいずれもアルキル、ハロまたはアミノ置換基のような少なくとも1つの置換基で適当に置換することができる)。他の代表的な芳香族環系はGibson et al.,J.Med.Chem.39:4065(1996)に記載されている。XおよびX’が置換基種に結合した炭素原子を表す場合、その置換基種は約−0.3〜約0.75の範囲、好ましくは約−0.25〜約0.60の範囲のシグマm値を有することができる。ある状況においては、置換基種は、0とは等しくないシグマm値を有すると特徴付けられる。A、A’およびA”は、個々に、既にXおよびX’について記載した芳香族炭素原子に対する置換基種として記載された種を表し;水素、ハロ(例えば、F、Cl、BrまたはI)、アルキル(例えば、メチルまたはエチルのような低級直鎖または分岐鎖C1-8アルキル)、OR’またはN(R’R”)を含むことができ、R’およびR”は前記定義の通りである。さらにA、A’およびA”は、個々に、OHであり得る。1つの実施形態において、AおよびA’は共に水素である。他の実施形態において、AおよびA’は水素であって、A”はヒドロキシ、ハロ、アミノ、メチルまたはエチルである。さらに他の実施形態において、A、A’およびA”は全て水素である。1つの実施形態において、mは1または2であり、nは1であり、EI、EII、EIII、EIVおよびEVIは各々、水素であって、EVはアルキル(例えば、メチル)である。
【0025】
各個々のEI、EII、EIII、EIV、EVおよびEVIの同一性および位置に応じて、ある種の化合物は光学的に活性であり得る。加えて、本発明の化合物はアルケニル側鎖内にキラル中心を有することができる(例えば、化合物はEIII、EIV、EVおよびEVIの選択に応じてRまたはS立体配置を有することができ、S立体配置が少なくとも1つの実施形態である)。EI、EII、EIII、EIV、EVおよびEVIに応じて、本発明の化合物はキラル中心を有し、本発明はそのような化合物のラセミ混合物ならびにエナンチオマー化合物に関する。典型的にはm、n、EI、EII、EIII、EIV、EVおよびEVIの選択は、EI、EII、EIII、EIV、EVおよびEVIで示される置換基の約4までの、頻繁には3までの、通常1または2は非水素置換基(すなわち、低級アルキルまたはハロ−置換低級アルキルのような置換基)である。典型的にはXはCH、CBrまたはCOR’である。好ましい実施形態においては、X’は窒素である。
【0026】
また、本発明は式:
【化2】

(式中、m、EI、EII、EIII、EIV、X、Z’、Z”、A、A’およびA”は前記定義の通りである)
の化合物およびその医薬上許容される塩を含む。
【0027】
本発明の代表的な化合物は(3E)および(3Z)−N−メチル−4−(3−ピリジル)−2−メチル−3−ブテン−1−アミン、(3E)および(3Z)−N−メチル−4−(3−ピリジル)−3−メチル−3−ブテン−1−アミン、(5E)および(5Z)−N−メチル−6−(3−ピリジル)−5−ヘキセン−3−アミン、(4E)および(4Z)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−2−メチル−4−ペンテン−2−アミン、(4E)および(4Z)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−3−メチル−4−ペンテン−2−アミン、(4E)および(4Z)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)および(4Z)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−1,1,1−トリフルオロ−4−ペンテン−2−アミン、(4E)および(4Z)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−メチル−4−ペンテン−1−アミン、(4E)および(4Z)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−メチル−4−ペンテン−2−アミン、(1E)および(1Z)−N−メチル−1−(3−ピリジル)−1−オクテン−4−アミン、(1E)および(1Z)−N−メチル−1−(3−ピリジル)−5−メチル−1−ヘプテン−4−アミン、(5E)および(5Z)−N−メチル−6−(3−ピリジル)−5−メチル−5−ヘキセン−2−アミン、(5E)および(5Z)−N−メチル−6−(3−ピリジル)−5−ヘキセン−2−アミン、(5E)および(5Z)−N−メチル−6−(3−ピリジル)−5−メチル−5−ヘキセン−3−アミン、(3E)および(3Z)−4−(3−ピリジル)−2−メチル−3−ブテン−1−アミン、(3E)および(3Z)−4−(3−ピリジル)−3−メチル−3−ブテン−1−アミン、(5E)および(5Z)−6−(3−ピリジル)−5−ヘキセン−3−アミン、(4E)および(4Z)−5−(3−ピリジル)−2−メチル−4−ペンテン−2−アミン、(4E)および(4Z)−5−(3−ピリジル)−3−メチル−4−ペンテン−2−アミン、(4E)および(4Z)−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)および(4Z)−5−(3−ピリジル)−1,1,1−トリフルオロ−4−ペンテン−2−アミン、(4E)および(4Z)−5−(3−ピリジル)−4−メチル−4−ペンテン−1−アミン、(4E)および(4Z)−5−(3−ピリジル)−4−メチル−4−ペンテン−2−アミン、(1E)および(1Z)−1−(3−ピリジル)−1−オクテン−4−アミン、(5E)および(5Z)−6−(3−ピリジル)−5−メチル−5−ヘキセン−2−アミン、(5E)および(5Z)−6−(3−ピリジル)−5−ヘキセン−2−アミン、および(5E)および(5Z)−6−(3−ピリジル)−5−メチル−5−ヘキセン−3−アミンである。
【0028】
また、本発明はニコチン性化合物のプロドラッグ形態に関する。例えば、ニコチン性化合物のアシルプロドラッグ形態が提供される。アシルプロドラッグ形態は一般式:
【化3】

(式中、X、X’、A、A’、A”、EI−EVIおよびZ’は前記した通りであり、およびQ’はO、SまたはNR’であり、Q”はO、S、NR’またはアルキルであって、R’は前記定義の通りである)およびその医薬上許容される塩を含む。ニコチン性化合物のアシルプロドラッグ形態は、例えば、本明細書中に記載のアリール置換オレフィン性アミン化合物のアミド、チオアミド、カルバメート、チオカルバメート、尿素およびチオ尿素を含むことができる。化合物の対象への投与に際して、ここに提供されたアシルプロドラッグ形態は、一般に、加水分解および/または代謝に際して分解して、医薬上活性なアリール置換オレフィン性アミン化合物を形成する。例えば、フェニルカルバメート(−NRCO2Ph)のようなこれらのプロドラッグ形態は血漿酵素によって迅速に切断される(H,Bungaard,In「Bioreversible Carriers in Drug Design」E,B,Roche,p.13 Pergamon,NY 1987)。
【0029】
化合物の代表的なアシルプロドラッグ形態は(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(5−ピリミジニル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(5−メトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(6−アミノ−5−メチル−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(2R)−(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(2R)−(4E)−N−メチル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(5−ブロモ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(5−エトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(2S)−(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、および(2S)−(4E)−N−メチル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンのH、アルキル、アリール、アリールアルキル、およびアルキルアリール尿素形態を含む。
【0030】
他の代表的なアシルプロドラッグ化合物は(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(5−ピリミジル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(5−メトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(6−アミノ−5−メチル−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(2R)−(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(2R)−(4E)−N−メチル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(5−ブロモ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(5−エトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(2S)−(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、および(2S)−(4E)−N−メチル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンのH、アルキル、アリール、アリールアルキル、およびアルキルアリールチオ尿素形態を含む。
【0031】
さらなる代表的なアシルプロドラッグ化合物は(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(5−ピリミジニル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(5−メトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(6−アミノ−5−メチル−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(2R)−(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(2R)−(4E)−N−メチル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(5−ブロモ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(5−エトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(2S)−(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、および(2S)−(4E)−N−メチル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンのH、アルキル、アリール、アリールアルキル、およびアルキルアリールアミド形態を含む。
【0032】
さらなる代表的なアシルプロドラッグ化合物は(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(5−ピリミジニル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(5−メトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(6−アミノ−5−メチル−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(2R)−(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(2R)−(4E)−N−メチル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(5−ブロモ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(5−エトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(2S)−(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、および(2S)−(4E)−N−メチル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンのH、アルキル、アリール、アリールアルキル、およびアルキルアリールチオアミド形態を含む。
【0033】
さらに他の代表的なアシルプロドラッグ化合物は(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(5−ピリミジニル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(5−メトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(6−アミノ−5−メチル−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(2R)−(4E)−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(2R)−(4E)−N−メチル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(5−ブロモ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(5−エトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(2S)−(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、および(2S)−(4E)−N−メチル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンのH、アルキル、アリール、アリールアルキル、およびアルキルアリールカルバメート形態を含む。
【0034】
なおさらに代表的なアリールプロドラッグ化合物は(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(5−ピリミジニル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(5−メトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(6−アミノ−5−メチル−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(2R)−(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(2R)−(4E)−N−メチル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(5−ブロモ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(5−エトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(2S)−(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、および(2S)−(4E)−N−メチル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンのH、アルキル、アリール、アリールアルキルおよびアルキルアリールチオカルバメート形態を含む。
【0035】
アシルプロドラッグ形態は、メタニコチン化合物の適当なアシル化剤でのアシル化によって合成することができる。例えば、アミドは、メタニコチン化合物におけるアミンを、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)のようなカップリング剤を用いてカルボン酸と直接的に反応させることによって、あるいはアミンを、酸ハライドまたは酸無水物のようなカルボン酸の活性化された誘導体と反応させることによって調製することができる。チオアミドはLawesson試薬を用いてアミドから調製することができる。尿素は、メタニコチン性化合物におけるアミンをイソシアネートと反応させることによって調製することができる。チオ尿素は、イソチオシアネートを用いて同様に調製することができる。カルバメートは、アミンをハロフォルメートまたは他のカルボネート様アルコキシカルボニル移動剤(例えば、ジ−t−ブチルジカルボネート)と反応させることによって形成することができる。前記化学は有機合成の分野における当業者に周知である。
【0036】
イオン化可能プロドラッグ化合物を調製することができ、これはわずかに可溶性であるにすぎないか、または不溶性である医薬上活性な化合物に対して水溶解性を提供する。
【0037】
一般に、前記プロドラッグ化合物は、置換されたブロモピリジンまたはブロモピリミジンと、プロドラッグの官能基を含む予め形成された側鎖との(後記する)ヘック(Heck)反応を、側鎖がヘックカップリング化学と適合しなくない程度まで行うことによって合成することができる。
【0038】
また、本発明は、アリール置換オレフィン性アミンのN−オキシド形態に関する。そのような化合物の一般式は、式:
【化4】

(式中、Xは約−0.3〜約0.75の範囲のシグマm値を呈する置換基に結合した窒素または炭素である)を含み、その医薬上許容される塩を含む。例えば、XはN、NO、C−H、C−F、C−Cl、C−BR、C−I、C−R’、C−NR’R”、C−CF3、C−OH、C−CN、C−NO2、C−C2R’、C−SH、C−SCH3、C−N3、C−SO2CH3、C−OR’、C−SR’、C−C(=O)NR’R”、C−NR’C(=O)R’、C−C(=O)R’、C−C(=O)OR’、C(CH2qOR’、C−OC(=O)R’、COC(=O)NR’R”およびC−NR’C(=O)OR’より選択することができ、ここに、各R’およびR”は前記定義の通りであり、ここに、qは1〜6の整数である。
【0039】
メタニコチンの前記N−oxideは、例えば、ジ−t−ブチルジカルボネートでのボシル化を介してN−Me機能性を保護し、ピリジン環窒素をメタクロロペルオキシ安息香酸で酸化し、引き続いて、トリフルオロ酢酸で脱保護(脱ボシル化)することによって公知の化学を用いて合成することができる。
【0040】
また、本発明は、アリール置換オレフィンアミンの代謝産物の形態を含む。すでに示したように、本発明の化合物の医薬上活性な形態は生物学的プロセスを介する変換を受けて、代謝産物を形成することができる。本発明の代謝産物は、例えば、N−脱アルキル化アミン、および本明細書中で記載されたアリール置換オレフィン性アミンのモノヒドロキシおよびジヒドロキシ形態を含み、前記ヒドロキシ基は前記化合物におけるピリジンまたはピリミジン環上に存在する。
【0041】
代表的なモノヒドロキシ代謝産物は(4E)−N−メチル−5−(4−ヒドロキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(4−ヒドロキシ−5−ピリミジニル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(4−ヒドロキシ−5−メトキシー3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(6−アミノ−5−メチル−4−ヒドロキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(2R)−(4E)−N−メチル−5−(4−ヒドロキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(2R)−(4E)−N−メチル−5−(4−ヒドロキシ−5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(5−ブロモ−4−ヒドロキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(4−ヒドロキシ−4−エトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(2S)−(4E)−N−メチル−5−(4−ヒドロキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(4−ヒドロキシ−5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、および(2S)−(4E)−N−メチル−5−(4−ヒドロキシ−5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンを含む。前記リストの化合物はピリジン環の4−位置にヒドロキシ基を含むが、ヒドロキシ基は2および/または6位置に別法としてまたはそれに加えて存在させることができるとも考えられる。
【0042】
もし、所望により、最終的にインビボにて代謝産物として形成されるであろう化合物を調製し、それを投与するのが望まれれば、モノ−およびジヒドロキシピリジンおよびピリミジンを、所望により、ヒドロキシ基に存在する保護基を持つアリール−置換オレフィン性アミンの合成(後記)における出発物質として用いることができる。所望により付加された保護基は、所望の合成が完了して所望の化合物が得られた後に除去することができる。
【0043】
本発明のアリール置換オレフィン性アミン化合物が合成により製造される方法は変形することができる。(E)−メタニコチンタイプの化合物は、置換されたニコチンタイプの化合物から、Loefferet al.,Chem.Ber.,42,pp.3431−3438(1909)およびLaforge,J.Amer.Chem.Soc.,50,p.2477(1928)によって記載された技術を用いて調製することができる。ある種の6−置換メタニコチンタイプの化合物は、Acheson et al.,J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1,2,pp.579−585(1980)の一般的方法を用いて対応する6−置換ニコチンタイプの化合物から調製することができる。そのような化合物についての必要な前躯体、6−置換ニコチンタイプの化合物は、Rondahl.Acta Pharm.Suec,14,pp 113−118(1977)によって開示された一般的な方法を用いて6−置換ニコチン酸エステルから合成することができる。ある種の5−置換メタニコチンタイプの化合物の調製は、Acheson et al.,J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1,2,PP.579−585(1980)によって教示された一般的方法を用いて対応する5−置換ニコチンタイプの化合物から達成することができる。前記5−ハロ−置換ニコチンタイプの化合物(例えば、フルオロ−およびブロモ−置換ニコチンタイプの化合物)および5−アミノニコチンタイプの化合物は、Rondahl,Act.Pharm.Suec.14,pp.113−118(1977)によって開示された一般手法を用いて調製することができる。前記5−トリフルオロメチルニコチンタイプの化合物は、Ashimori et al.,Chem.Pharm.Bull.,38(9),pp.2446−2458(1990)およびRondahl,Acta Pharm.Suec.,14,pp.113−118(1977)に記載された技術および材料を用いて調製することができる。
【0044】
さらに、ある種のメタニコチンタイプの化合物は、芳香族ハライドと、保護されたアミン置換基を含む末端オレフィンとをパラジウム触媒カップリングさせ、保護基を除去し第一級アミンを得、次いで、所望により、前記アミンをアルキル化して、第二級または第三級アミンを提供することによって調製することができる。特に、ある種のメタニコチンタイプの化合物は、3−ハロ−置換、5−置換ピリジン化合物または5−ハロ−置換ピリミジン化合物を(例えば、フタルイミド塩と3−ハロ−1−プロペン、4−ハロ−1−ブテン、5−ハロ−1−ペンテンまたは6−ハロ−1−ヘキセンとの反応によって提供されるオレフィンのような)保護されたアミン官能性を保有するオレフィンを用いるパラジウム触媒カップリング反応に供することによって調製することができる。例えば、Framk et al.,J.Org.Chem.,43(15),pp.2947−2949(1978)およびMalek et al.,J.Org.Chem.47,pp.5395−5397(1982)参照。あるいは、ある種のメタニコチンタイプの化合物は、適当なアリールハライドおよびブチルリチウムから誘導できるように、4−(N−メチル−N−tert−ブチルオキシカルボニル)アミノ酪酸メチルエステルのようなN−保護修飾アミノ酸残基と、アリールリチウム化合物とのカップリングによって調製することができる。次いで、得られたN−保護アリールケトンを化学的に対応するアルコールに還元し、アルキルハライドに変換し、引き続いて、脱ヒドロハロゲン化してオレフィン官能性を導入する。次いで、N−保護基の除去により、所望のメタニコチンタイプの化合物を得る。前記した末端オレフィンのパラジウム触媒カップリングは、典型的には、オレフィン異性体の混合物(例えば、EおよびZおよびジェミナル置換)が得られ、ここに、(E)異性体が圧倒的であり、それから、それはクロマトグラフィーまたは結晶化によって分離することができる。
【0045】
(Z)−メタニコチンタイプの化合物を提供するための多数の異なる方法がある。1つの方法において、(Z)−メタニコチンタイプの化合物はEおよびZ異性体の混合物としてニコチンタイプの化合物から合成することができ;次いで、Sprouse,et al.,論文、p.32,Coresta/TCRC Joint Conference(1972)のアブストラクトによって開示されたタイプの技術を用い、(Z)−メタニコチンタイプの化合物をクロマトグラフィーによって分離することができる。もう1つの方法において、メタニコチンタイプの化合物は、対応するアセチレン化合物(例えば、N−メチル−4−(3−ピリジニル)−3−ブチン−1−アミンタイプの化合物)の制御された水素化によって調製することができる。例えば、ある種の5−置換(Z)−メタニコチンタイプの化合物およびある種の6−置換(Z)−メタニコチンタイプの化合物は、各々、5−置換3−ピリジンカルボキシアルデヒドおよび6−置換−3−ピリジンカルボキシアルデヒドから調製することができる。(Z)−メタニコチンタイプの化合物についての代表的な合成技術はDull et al.に対する米国特許第5,597,919号に記載されている。
【0046】
アリール置換オレフィンアミン化合物の(Z)−オレフィン異性体を合成的に製造することができる多数の方法がある。1つのアプロ−チにおいて、アリール置換オレフィンアミン化合物の(Z)−異性体は、H.Lindlar et al.,Org.Syn.46:89(1966)に記載された方法を用い商業的に入手可能なリンドラ触媒(Aldrich Chemical Company)を用いる、対応するアルキニル化合物(例えば、N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ブチン−2−アミンタイプの化合物)の制御された水素化によって調製することができる。必要なアルキニル化合物は、芳香族ハライド、好ましくは3−ブロモピリジンタイプのまたは3−ヨードピリジンタイプの化合物と、アルキニル側鎖化合物(例えば、N−メチル−4−ペンチン−2−アミンタイプの化合物)とのパラジウム触媒カップリングによって調製することができる。典型的には、ヨウ化銅(I)およびトリフェニルホスフィンおよび塩基としての炭酸カリウムの存在下におけるアリールハライドとモノ置換アルキンとのパラジウム触媒カップリングには、L.Bleicher et al.,Synlett.1115(1995)に記載された方法を用いる。N−メチル−4−ペンチン−2−アミンのようなアルキニル化合物は、ピリジン中の塩化p−トルエンスルホニルでの処理、続いての、40%水性溶液としての、またはテトラヒドロフラン中の2.0M溶液としての、過剰のメチルアミンと、得られたp−トルエンスルホン酸4−ペンチン−2−オールとの反応によって、商業的に入手可能な4−ペンチン−2−オール(Aldrich Chemical Company)から調製することができる。いくつかの例においては、N−メチル−4−ペンチン−2−アミンタイプの化合物のアミン機能を、ジ−tert−ブチルジカルボネートでの処理によって保護して、tert−ブトキシカルボニル保護アミンタイプの化合物を得る必要があり得る。そのような保護されたアミン化合物は、アリールハライドとのパラジウム触媒カップリング、および得られたアルキニル化合物の引き続いての制御された水素化を、保護されていないアミン化合物よりも容易に受けることができる。tert−ブトキシカルボニル保護基は、トリフルオロ酢酸のような強酸を用いて容易に除去して、アリール置換オレフィン性アミン化合物の(Z)オレフィン異性体を得ることができる。
【0047】
本発明のアリール置換オレフィン性アミン化合物の合成方法は、種々であることができる。4−ペンテン−2−オールのようなオレフィン性アルコールは、3−ブロモピリジンまたは3−ヨードピリジンのような芳香族ハライドと縮合させることができる。典型的に、オレフィンおよび芳香族ハライドのパラジウム触媒カップリングを含むFrank et al.,J.Org.Chem.,43,pp.2947−2949(1978)およびMalek et al.,J.Org.Chem.,47,pp.5395−5397(1982)に記載された手法のタイプを用いる。オレフィン性アルコールは、所望により、カップリングに先立って、t−ブチルジメチルシリルエーテルとして保護することができる。次いで、脱シリル化によりオレフィン性アルコールが製造される。次いで、deCosta et al.,J.Org.Chem.,35,pp.4334−4343(1992)に記載されたタイプの手法を用い、アルコール縮合生成物をアミンに変換する。典型的には、塩化メタンスルホニルまたは塩化p−トルエンスルホニルを用いるアルコールの活性化、続いての、アンモニアまたは第一級または第二級アミンを用いるメシレートまたはトシレート置換によって、アルコール縮合生成物をアリール置換オレフィン性アミンに変換する。従って、アミンがアンモニアである場合、アリール置換オレフィン性第一級アミン化合物が得られ;アミンがメチルアミンまたはシクロブチルアミンのような第一級アミンである場合、アリール置換オレフィン性第二級アミン化合物が得られ;および、アミンがジメチルアミンまたはピロリジンのような第二級アミンである場合、アリール置換オレフィン性第三級アミン化合物が得られる。他の代表的なオレフィン性アルコールは4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−2−オール、5−ヘキセン−3−オール、3−メチル−3−ブテン−1−オール、2−メチル−3−ブテン−1−オール、4−メチル−4−ペンテン−1−オール、4−メチル−4−ペンテン−2−オ−ル、1−オクテン−4−オール、5−メチル−1−ヘプテン−4−オール、4−メチル−5−ヘキセン−2−オール、5−メチル−5−ヘキセン−2−オール、5−ヘキセン−2−オール、および5−メチル−5−ヘキセン−3−オールを含む。1,1,1−トリフルオロ−4−ペンテン−2−オールのようなトリフルオロメチル−置換オレフィン性アルコールは、Kubota et al.,Tetrahedron Letters,33(10),pp.1351−1354(1992)の手法を用いて1−エトキシ−2,2,2−トリフルオロ−エタノールおよびアリールトリメチルシランから、あるいはIshihara et al.,Tetrahedron Letters,34(56),pp.5777−5780(1993)の手法を用いてトリフルオロ酢酸エチルエステルおよびアリールトリブチルスタナンから調製することができる。ある種のオレフィン性アルコールは光学的に活性であって、アリール置換オレフィン性アミン化合物の対応する光学的に活性な形態を提供するために、エナンチオマー混合物として、または純粋なエナンチオマーとして用いることができる。メタリルアルコールのようなオレフィン性アリル性アルコールを芳香族ハライドと反応させる場合、アリール置換オレフィン性アルデヒドが製造され;得られたアルデヒドは、還元的アミノ化によって(例えば、アルキルアミンおよびシアノホウ水素化ナトリウムを用いる処理によって)アリール置換オレフィン性アミン化合物に変換することができる。好ましい芳香族ハライドは3−ブロモピリジンタイプの化合物および3−ヨードピリジンタイプの化合物である。典型的には、そのような3−ハロピリジンタイプの化合物の置換基は、それらの基が、それらの化学物質(例えば、塩化トシルおよびメチルアミン)との接触、およびアリール置換オレフィン性アミン化合物の調製の間に経験する反応条件で生き残ることができるようなものである。あるいは、−OH、−NH2および−SHのような置換基は、対応するアシルまたはトリアルキルシリル化合物として保護することができるか、あるいは−NH2のような置換基はフタルイミド機能性として保護することができる。
【0048】
(4E)−N−メチル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンのような分岐側鎖を保有するある種のアリール置換オレフィン性アミン化合物が提供される方法は変形し得る。1つの合成アプローチを用いることによって、後者の化合物は、近似の方法で合成することができ、そこでは、側鎖、N−メチル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ペンテン−2−アミンがヘック反応条件下で3−置換5−ハロ−置換ピリジンとカップリングされ、続いて、tert−ブトキシカルボニル保護基が除去される。典型的にはオレフィンおよび芳香族ハライドのパラジウム触媒カップリングを含むW.C.Frank et al.,J.Org.Chem.43:2947(1978)およびN.J.Malek et al.,J.Org.Chem.47:5395(1982)に記載されたタイプの手法を用いる。必要なN−メチル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ペンテン−2−アミンは以下のように合成することができる。(i)商業的に入手可能な4−ペンテン−2−オール(Aldrich Chemical Company,Lancaster Synthesis Inc.)はピリジン中の塩化p−トルエンスルホニルで処理して、T.Michel etal.,Liebigs Ann,11:1811(1996)によって以前に記載されたp−トルエンスルホン酸4−ペンテン−2−オールを得ることができる。(ii)得られたトシレートを40%水溶液としての20モル当量のメチルアミンと共に加熱して、N−メチル−4−ペンテン−2−アミンを得ることができる。(iii)A.Viola et al.,J.Chem.Soc.,Chem.Commun.(21):1429(1984)によって以前に言及されたような得られたアミンを乾燥したテトラヒドロフラン中で1.2モル当量のジ−tert−ブチルジカルボネートと反応させて、側鎖N−メチル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ペンテン−2−アミンを得ることができる。ハロ−置換ピリジン(例えば、5−イソプロポキシ−3−ブロモピリジン)、は2つの異なる経路によって合成することができる。1つの調製において、密封されたガラスチューブ中の銅粉末(3,5−ジブロモピリジンの5%w/w)の存在下で、乾燥したイソプロパノール中、3,5−ジブロモピリジンを2モル当量のカリウムイソプロポキシドと共に140℃にて14時間加熱して、5−イソプロポキシ−3−ブロモピリジンを得る。このアプローチは、種々のナトリウムおよびカリウムアルコキシドおよびアリルオキシドの使用に用いることができ、5−アルコキシ−3−ブロモピリジン、5−シクロアルコキシ−3−ブロモピリジン、5−フェノキシ−3−ブロモピリジン、フェニル−置換5−フェノキシ−3−ブロモピリジンおよび5−縮合アリールオキシ−3−ブロモピリジンに対する容易なアクセスを提供する。5−ブロモニコチン酸からの5−イソプロポキシ−3−ブロモピリジンの第二の調製は以下の通りに行うことができる。(i)塩化チオニルでの処理、続いての中間体酸塩化物とアンモニア水との反応によって、5−ブロモニコチン酸を5−ブロモニコチンアミドに変換する。(ii)C.V.Greco et al.,J.Heterocyclic Chem.によって以前に記載された得られた5−ブロモニコチンアミドを、水酸化ナトリウムおよび次亜塩素酸カルシウムの70%溶液での処理によるホフマン分解に供する。(iii)C.V.Greco et al.,J.Heteocyclic Chem.7(4):761(1970)によって以前に記載された得られた3−アミノ−5−ブロモピリジンを、酸性条件下での亜硝酸イソアミルでのジアゾ化、続いての中間体ジアゾニウム塩のイソプロパノールでの処理によって、5−イソプロポキシ−3−ブロモピリジンに変換することができる。5−イソプロポキシ−3−ブロモピリジンおよびN−メチル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ペンテン−2−アミンのパラジウム触媒カップリングは、1モル%の酢酸パラジウム(II)および4モル%のトリ−o−トリルホスフィンよりなる触媒を用いてアセトニトリル−トリエチルアミン(2:1,v,v)中で行う。前記反応は、成分を80℃にて20時間加熱して、(4E)−N−メチル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンを得ることによって行なうことができる。tert−ブトキシカルボニル保護基の除去は、0℃にてアニソール中で30モル当量のトリフルオロ酢酸で処理して、(4E)−N−メチル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンを得ることによって達成することができる。
【0049】
分岐側鎖を保有するある種のアリール置換オレフィン性アミン化合物が提供される方法は変化し得る。1つの合成アプローチを用い、(4E)−N−メチル−5−(5−メトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンのような化合物は、ヘック反応条件下で、ハロ−置換ピリジン、5−ブロモ−3−メトキシピリジンと、第二級アルコール官能性を含むオレフィン、4−ペンテン−2−オールとのカップリングによって合成することができ;得られたピリジルアルコール中間体はそのp−トルエンスルホネートエステルに変換され、続いて、メチルアミンで処理することができる。典型的には、オレフィンおよび芳香族ハライドのパラジウム触媒カップリングを含むW.C.Frank et al.,J.Org.Chem.43:2947(1978)およびN.J.Malek et al.,J.Org.Chem.47:5395(1982)に記載されたタイプの手法を用いる。必要なハロ−置換ピリジン、5−ブロモ−3−メトキシピリジンは、H.J.den Hertog et al.,Recl.Trav.Chim.Pays−Bas 74:1171(1955)によって記載されているのと同様な方法を用い、すなわち、密封されたガラスチューブ中の銅粉末(3,5−ジブロモピリジンの5%w/w)の存在下、乾燥したメタノール中、3,5−ジブロモピリジンを2.5モル当量のナトリウムメトキシドと共に150℃にて14時間加熱して、5−ブロモ−3−メトキシピリジンを得ることによって合成される。D.L.Comins et al.,J.Org.Chem.55:69(1990)によって以前に記載された得られた5−ブロモ−3−メトキシピリジンを、1モル%酢酸パラジウム(II)および4モル%のトリ−o−トリルホスフィンよりなる触媒を用いてアセトニトリル−トリエチルアミン(1.1:1,v/v)中の4−ペンテン−2−オールとカップリングさせることができる。前記反応は、密封されたガラスチューブ中で140℃にて14時間成分を加熱して行われ、(4E)−N−メチル−5−(5−メトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オールを得る。得られたアルコールを0℃にて乾燥ピリジン中の2モル当量の塩化p−トルエンスルホニルで処理して、p−トルエンスルホン酸(4E)−N−メチル−5−(5−メトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オールを生成する。トシレート中間体を、共溶媒としての少量のエタノールを含有する40%水溶液としての120モル当量のメチルアミンで処理して、(4E)−N−メチル−5−(5−メトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンを得る。
【0050】
(2S)−(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンのようなある種のアリール置換オレフィン性アミン化合物の光学的に活性な形態が提供される方法は変化し得る。1つの合成アプローチにおいて、後者のタイプの化合物は、ヘック反応条件下での、ハロ−置換ピリジン、3−ブロモピリジンと、単一エナンチオマー第二級アルコール官能性を保有するオレフィン、(2R)−4−ペンテン−2−オールとのカップリングによって合成される。得られたエナンチオマー的に純粋なピリジルアルコール中間体で、(2R)−(4E)−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オールはその対応するp−トルエンスルホネートエステルに変換され、これは、引き続いて、メチルアミンで処理され、立体配座が逆のトシレート置換が得られる。典型的には、芳香族ハライドおよびオレフィンのパラジウム触媒カップリングを含むW.C.Frank et al.,J.Org.Chem.43:2947(1978)およびN.J.Malek et al.,J.Org.Chem.47:5395(1982)に記載されたタイプの手法が用いられる。エナンチオマー的に純粋な側鎖、(2R)−4−ペンテン−2−オールは、A.Kalivretenos,J.K.StilleおよびL.S.Hegedus,J.Org.Chem.56:2883(1991)の一般的な合成方法を用いる、(Fluka Chemical Companyから商業的に入手可能な)エポキシド、(R)−(+)−プロピレンオキサイドの、低温(−25〜−10℃)におけるテトラヒドロフラン中の臭化ビニルマグネシウムでの処理によって調製することができる。(2R)−4−ペンテン−2−オールと3−ブロモピリジンとのヘック反応は、1モル%の酢酸パラジウム(II)および4モル%のトリ−o−トリルホスフィンよりなる触媒を用いてアセトニトリル−トリエチルアミン(1:1,v/v)中で行う。前記反応は、密封されたガラスチューブ中で、140℃にて成分を14時間加熱することによって行われる。生成物、(2R)−(4E)−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オールを、0℃にて、乾燥ピリジン中の3モル当量の塩化p−トルエンスルホニルで処理して、トシレート中間体を得る。共溶媒としての少量のエタノールを含有する40%水溶液としての82モル当量のメチルアミンと共にp−トルエンスルホネートエステルを加熱して、(2S)−(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンを得る。同様にして、(2R)−(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンのような対応するアリール置換オレフィン性アミンエナンチオマーは、3−ブロモピリジンおよび(2S)−4−ペンテン−2−オールのヘックカップリングによって合成することができる。得られた中間体、(2S)−(4E)−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オールをそのp−トルエンスルホネートに変換し、これをメチルアミン置換に供する。単一エナンチオマーアルコール、(2S)−4−ペンテン−2−オールは、A.Kalivretenos,J.K.StilleおよびL.S.Hegedus,J.Org.Chem.56:2883(1991)によって報告されている(R)−(+)−プロピレンオキシドからの(2R)−4−ペンテン−2−オールの調製につき記載されたのと同様な手法を用いて(Aldrich Chemical Companyから商業的に入手可能な)(S)−(−)−プロピレンオキシドから調製される。
【0051】
本発明の単一エナンチオマー化合物を作成することができる方法は変形することができる。前記したオレフィン性側鎖、N−メチル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ペンテン−2−アミンは、前記したのと同様な化学によって(R)または(S)エナンチオマーいずれかとして製造することができる。従って、(R)−4−ペンテン−2−オールまたは(S)−4−ペンテン−2−オールいずれかの塩化p−トルエンスルホニルでの処理(以前に記載された合成)により、対応するp−トルエンスルホン酸4−ペンテン−2−オールを得る。トシレート中間体を40%水性メチルアミンおよび(共溶媒としての)DMFで処理して、立体配座の逆転によって、(R)−または(S)−N−メチル−4−ペンテン−2−アミンいずれかを得る。次いで、ジ−t−ブチルジカルボネートとの反応により、対応する(R)−および(S)−N−メチル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ペンテン−2−アミンを生じ、そのパラジウム触媒カップリングは本発明の化合物の単一エナンチオマー形態に導く。
【0052】
本発明の種々のヒドロキシル化化合物(メタニコチンの前記したモノ−およびジヒドロキシ代謝産物)を作成することができる方法は変形できる。以下のスキームは例示的なものである。
【0053】
【化5】

スキームI
【0054】
スキームIは、(S)−N−メチル−5−(2,4−ジヒドロキシ−5−ピリミジニル)−4−ペンテン−2−アミンの合成を示す。この合成においては、以前に記載された(S)−N−メチル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ペンテン−2−アミンはパラジウム触媒の存在下で、2,4−ジメトキシ−3−ヨードピリミジンとの反応によるヘックタイプのカップリング条件に供されて、(S)−N−メチル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−5−(2,4−ジメトキシ−5−ピリミジニル)−4−ペンテン−2−アミンを形成する。メタノール/ジクロロメタン中のヨウ化トリメチルシリルとの反応によって、アミン保護基の開裂と同時に、メトキシ基をヒドロキシ基に変換して、所望のN−メチル−5−(2,4−ジヒドロキシ−5−ピリミジニル)−4−ペンテン−2−アミン化合物をヒドロヨウジド塩として得ることができる。あるいは、前記tert−ブトキシカルボニル保護基は、前記したようにトリフルオロ酢酸によって選択的に除去して(S)−N−メチル−5−(2,4−ジメトキシ−5−ピリミジニル)−4−ペンテン−2−アミンを得ることができる。次いで、48%HBrを用いるメチルエーテルの開裂により(S)−N−メチル−5−(2,4−ジヒドロキシ−5−ピリミジニル)−4−ペンテン−2−アミンを得る。
【0055】
【化6】

スキームII
【0056】
スキームIIは、(S)−N−メチル−5−(2−ヒドロキシ−5−ピリミジニル)−4−ペンテン−2−アミン(モノヒドロキシ代謝産物)についての同様な合成を示す。それは、ヒドロキシ置換基についてのシリル保護基の使用を説明する。従って、5−ブロモ−2−(トリメチルシリルオキシ)ピリミジンを、前記した(S)−N−メチル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ペンテン−2−アミンとのヘックタイプのカップリング反応で用いることができる。シリルおよびtert−ブトキシカルボニル保護基双方の同時除去はトリフルオロ酢酸での処理によって行うことができる。反応のこの系列は同等に他のモノヒドロキシハロピリミジンに適応することができる。
【0057】
また、本発明は、疾患または障害に罹りやすい対象においてそのような疾患または障害の予防方法および/または疾患または障害に悩む対象に治療を供する方法に関するものであり、前記障害それ自体または示された兆候は前記方法によって行われる。例えば、前記方法は、CNC障害の進行のある程度の予防(すなわち、保護効果の提供)、CNS障害の兆候の軽減、およびCNS障害の再発の軽減を提供するのに有効な量の化合物を患者に投与することを含む。前記方法は前記した一般式から選択される化合物の有効量を投与することを含む。本発明は、前記した一般式から選択される化合物を配合する医薬組成物に関する。キラル化合物はラセミ混合物として、または単一エナンチオマーとして使用することができる。前記化合物は、遊離塩基形態で、または塩形態で(例えば医薬上許容される塩として)使用することができる。適当な医薬上許容される塩の例は、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩および硝酸塩のような無機酸付加塩:酢酸塩、ガラクタール酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、グリコール酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、およびアスコルビン酸塩のような有機酸付加塩;アスパラギン酸およびグルタミン酸のような酸性アミノ酸との塩;ナトリウム塩およびカリウム塩のようなアルカリ金属塩;マグネシウム塩およびカルシウム塩のようなアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩;トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、およびN,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩のような有機塩基性塩;およびリシン塩、およびアルギニン塩のような塩基性アミノ酸との塩を含む。前記塩は、ある場合には、水和物またはエタノール溶媒和物であり得る。代表的な塩はDull et al.に対する米国特許第5,597,919号、Dull et al.に対する第5,616,716号、およびRuecroft et al.に対する第5,663,356号に記載されているように提供される。
【0058】
本明細書中に記載される化合物は、他のタイプのニコチン性化合物が治療剤として提案されているタイプの疾患および障害を治療するのに有用である。例えば、Williams et al.,DN&P 7(4):205−227(1994),Arneric et al.,CNS Drug Rev.1(1):1−26(1995),Arneric et al.,Exp.Opin.Invest.Drugs 5(1):79−100(1996),Bencherif et al.,JPET 279:1413(1996),Lippiello et al.,JPET 279:1422(1996),Damaj et al.,Neuroscience(1997),Holladay et al.,J.Med.Chem 40(28):4169−4194(1997),Bannon et al.,Science 279:77−80(1998)、PCT WO 94/08992、PCT WO 96/31475、ならびにBencherif et al.に対する米国特許第5,583,140号、Dell et al.に対する第5,597,919号、およびSmith et al.に対する第5,604,231号参照。本発明の化合物は鎮痛剤として用いて、潰瘍性結腸炎を治療し、癲癇が兆候であるもののような痙攣を治療することができる。本発明に従って治療することができるCNS障害は、初老期痴呆症(初期開始アルツハイマー病)、老人痴呆症(アルツハイマータイプの痴呆症)、パーキンソン病を含むパーキンソン症候群、ハンチントン舞踏病、遅発性ジスキネジア、運動過剰症、躁病、注意欠陥障害、不安症、失読症、統合失調症およびトゥーレット症候群を含む。
【0059】
医薬組成物は、添加剤または補助剤としての種々の他の成分を含むことができる。関連する状況で使用される例示的な医薬上許容される成分または補助剤は、抗酸化剤、フリーラジカル捕捉剤、ペプチド、成長因子、抗生物質、静菌剤、免疫抑制剤、抗凝固剤、緩衝剤、抗炎症剤、抗発熱剤、時間放出バインダー、麻酔剤、ステロイドおよびコルチコステロイドを含む。そのような化合物は、医薬組成物の治療作用に影響するように作用し、または医薬組成物の投与の結果として主張することができるいずれの潜在的副作用の防止に対して作用する追加的な治療利益も提供することができる。ある種の状況においては、本発明の化合物は、特定の障害を予防または治療することを意図した他の化合物と共に医薬組成物の一部として使用することができる。
【0060】
化合物が投与される方法は変形を加えることができる。前記化合物は、吸入投与(例えば、Brooks et al.に対する米国特許第4,922,901号に記載されているアエロゾル鼻腔内内の形態、または送達製品のタイプを用いる);局所投与(例えば、ローションの形態);経口投与(例えば、水性または非水性液体のような溶媒内、または固体担体内の液体の形態);静脈内投与(例えば、デキストロース溶液または生理食塩水内);注入または注射(例えば、医薬上許容される液体または複数液体の混合液中の懸濁液として、またはエマルジョンとして);クモ膜下腔投与;大脳室内投与;または経皮投与(例えば、経皮パッチを用いる)することができる。化合物をバルクな活性化学物質の形態で投与することができるが、各化合物を、効果的かつ有効な投与のための医薬組成物または処方の形態で与えるのが好ましい。そのような化合物を投与するための例示的な方法は当業者に明らかであろう。例えば、化合物は錠剤、ハードゼラチンカプセルの形態で、または時間放出カプセルとして投与することができる。もう1つの例として、化合物は、NovartisおよびAlza Corporationから入手可能なタイプのパッチ技術を用いて経皮投与することができる。本発明の医薬組成物の投与は、温血動物(例えば、マウス、ラット、ネコ、ウサギ、イヌ、ブタ、ウシまたはサルのような哺乳動物)に対して間欠的、または徐々に、連続的、一定または制御された速度とすることができるが;有利には、好ましくはヒトに投与される。加えて、医薬組成物が投与される一日の時刻、一日当たりの回数は変化させることができる。投与は、好ましくは、医薬処方の有効成分が、CNSの機能に影響する対象の身体内の受容体部位と相互作用するようなものである。より具体的には、CNS障害の治療においては、投与は、好ましくは、筋肉タイプの受容体サブタイプに対する影響を最小化しつつ、CNSの機能に対する効果を有する関連受容体サブタイブに対する効果を最適化するようなものである。本発明の化合物を投与するための他の適当な方法は、その開示の全体を参照して本明細書に組み込む米国特許第5,604,231号に記載されている。
【0061】
化合物の適当な用量は、障害の兆候の再発を予防するのに、または患者が悩む障害のいくつかの兆候を治療するのに効果的な量である。「有効量」「治療的量」または「有効用量」は、所望の薬理学的または治療的効果を誘導するのに十分な量であって、従って、障害の効果的な予防または治療が得られることを意味する。従って、CNS障害を治療する場合、化合物の有効量は、対象の血液脳関門を通過し、対象の脳中の関連受容体部位に結合するのに、およびニコチン受容体サブタイプを活性化する(例えば、神経伝達物質分泌を提供して、従って、障害の効果的な予防または治療が得られるのに)十分な量である。障害の予防は、障害の兆候の開始を遅らせることによって発現される。障害の治療は、障害に伴う兆候の減少、または障害の兆候の再発の軽減によって発現される。(E)−メタニコチンに対して、本発明の化合物は、哺乳動物系において、より広くは代謝されない(例えば、代謝産物の形成が少なくなれば、血液からの排出の速度がより遅くなる)。これは、特に、EVおよび/またはEVIがC1-5アルキル、好ましくはメチルである実施形態であてはまる。それ自体、(E)−メタニコチンと比較して、本発明の化合物はより高い絶対血漿濃度を提供することができ、長期間にわたって哺乳動物系内に維持することができる。従って、本発明の化合物は低用量にて(E)−メタニコチンの匹敵する治療効果を提供することができる。
【0062】
有効用量は、患者の疾患、障害の兆候の重症度、および医薬組成物が投与される方法に応じて、変形することができる。ヒト患者については、典型的な化合物の有効用量は、一般に、神経伝達物質(例えば、ドーパミン)を実行するように関連受容体を活性化するのに十分な量で化合物を投与することを必要とするが、前記量は骨格筋および神経節に対する効果をいずれかの有意な程度まで誘導するのに不十分であるべきである。化合物の有効量は、もちろん、患者間で異なるが、一般には、CNC効果または他の望まれる治療効果が起こる場合に開始される量を含むが、筋肉効果が観察される場合の量未満である。
【0063】
典型的には、化合物の有効用量は、一般には、患者体重の1kg当たり5mg未満の量の化合物の投与を必要とする。しばしば、本発明の化合物は、1mg以上で患者体重1kg当たり100μg未満、しばしば、患者体重1kg当たり約10μg以上100μg未満、好ましくは、患者体重1kg当たり約10μg以上約50μg以下の量で投与される。低濃度で筋肉タイプのニコチン性受容体に対する効果を誘導しない本発明の化合物では、有効用量は患者体重1kg当たり5mg未満であり;しばしば、そのような化合物は患者体重1kg当たり50μg以上5mg未満の量で投与される。前記有効用量は、典型的には、24時間にわたって投与された単一投与としての量、または1以上の投与としての量を表す。
【0064】
ヒト患者では、典型的な化合物の有効用量は、一般的には、少なくとも約1μg/24時間/患者、しばしば少なくとも約10μg/24時間/患者、頻繁には少なくとも約25μg/24時間/患者の量にて化合物を投与することを必要とする。ヒト患者では、典型的な化合物の有効用量は、一般には、約500μg/24時間/患者を超えない、しばしば、約400μg/24時間/患者を超えない、頻繁には、約300μg/24時間/患者を超えない化合物の投与を必要とする。加えて、有効用量の投与は、患者の血漿内の化合物の濃度が、通常、500ng/mlを超えない、頻繁には、100ng/mlを超えないようなものである。
【0065】
本発明の方法による有用な化合物は、患者の血液脳関門を通過する能力を有する。それ自体、そのような化合物は、患者の中枢神経系に入る能力を有する。本発明を実施するのに有用な典型的化合物のlogP値は、一般には、約0より大きく、しばしば、約0.5よりも大きく、頻繁には、約1よりも大きい。そのような典型的な化合物のlogP値は、一般には約3.5未満であり、しばしば、約3未満であり、時々、約2.5未満である。logP値は、生物学的膜のような拡散バリアーを通過する化合物の能力の尺度を提供する。Hansch et al.,J.Med.Chem.11:1(1968)参照。
【0066】
本発明の方法により有用な化合物は、(例えば、ドーパミン放出を変調する受容体のような)患者の脳のニコチン性コリン作動性受容体に結合し、ほとんどの状況では、その活性化を引き起こす能力を有する。それ自体、ニコチン性薬理学を表す能力を有するそのような化合物は、特に、ニコチン性アゴニストとして作用する。本発明を実施するのに有用な典型的な化合物の受容体結合定数は、一般には、約0.1nMを超え、しばしば、約1nMを超え、頻繁には、約10nMを超える。そのような典型的な化合物の受容体結合定数は、一般には、約1μM未満であり、しばしば約100nM未満であり、頻繁には約50nM未満である。受容体結合定数は、患者のある種の脳細胞の関連受容体部位の半分に結合する患者の能力の尺度を提供し得る。Cheng et al.,Biochem.Pharmacol.22:3099(1973)参照。
【0067】
本発明の方法により有用な化合物は、神経末端調製物(例えば、視床または線条シナプトソーム)を通じてのイオン束、および/またはそれからの神経伝達物質分泌を効果的に誘導することによって、ニコチン性機能を示す能力を有する。それ自体、そのような化合物は、関連神経を活性化させ、およびアセチルコリン、ドーパミン、または他の神経伝達物質を放出させ、または分泌する能力を有する。一般には、本発明を実施するのに有用な典型的化合物は、(S)−(−)−ニコチンによって最大に提供されるものの、少なくとも約30%、しばしば、少なくとも約50%、頻繁には少なくとも約75%の量にて関連受容体の活性化を効果的に提供する。一般には、本発明を実施するのに有用な典型的な化合物は、関連受容体活性化を誘導するにおいて、(S)−(−)−ニコチンよりもより優れている。一般には、本発明を実施するのに有用な典型的な化合物は、(S)−(−)−ニチコンによって最大に提供されるものの、少なくとも約50%、しばしば、少なくとも約75%、頻繁には、少なくとも約100%の量にてドーパミンの分泌を効果的に提供する。本発明のある種の化合物は、(S)−(−)−ニコチンによって最大に提供されるものを超えることができる量にてドーパミンの分泌を提供することができる。一般には、本発明を実施するのに有用な典型的な化合物は、ドーパミン分泌のような神経伝達物質分泌を誘導するにおいて(S)−(−)−ニコチンよりも優れていない。
【0068】
本発明の化合物は本発明の方法に従って有効量で使用する場合、ヒト筋肉のニコチン受容体のいずれかの有意な程度までの活性化を誘導する能力を欠く。その点において、本発明の化合物は、筋肉タイプのニコチン性アセチルコリン受容体を発現する細胞調製物において、ニコチン受容体を通るイオン同位体ルビジウムイオン束を引き起こす貧弱な能力を示す。従って、そのような化合物は、極端に高い(すなわち、約100μMよりも大きな)受容体活性化定数またはEC50値(すなわち、これは、患者の骨格筋の関連受容体部位の半分を活性化するのに必要な化合物の濃度の尺度を提供する)を呈する。一般には、本発明を実施するのに有用な典型的な好ましい化合物は(S)−(−)ニコチンによって最大に提供されるものの、10%未満だけ、しばしば、5%未満だけ同位体ルビジウムイオン束を活性化する。
【0069】
本発明の化合物は、本発明の方法に従って有効量で使用した場合、ある種の関連ニコチン性受容体に対して選択的であるが、望ましくない副作用に関連する受容体の有意な活性化は引き起こさない。これは、CNS障害の予防および/または治療をもたらす化合物の特定の用量が、ある種の神経節タイプのニコチン性受容体の活性化を誘導するにおいて実質的に効果的ではないことを意味する。心血管副作用を担う受容体に対する本発明の化合物のこの選択性は、副腎クロム親和性組織のニコチン性機能を活性化する化合物の能力の欠如によって示される。それ自体、そのような化合物は、副腎に由来する細胞調製物においてニコチン性受容体を通じての同位体ルビジウムイオン束を引き起こす貧弱な能力を有する。一般には、本発明を実施するのに有用な典型的な好ましい化合物は、S(−)ニコチンによって提供される最大のものの、10%未満だけ、しばしば、5%未満だけ、同位体ルビジウムイオン束を活性化する。
【0070】
本発明の化合物は、本発明の方法に従って有効量で使用される場合、CNS障害の進行のある程度の予防、CNS障害の兆候の軽減、およびCNS障害の再発のある程度の軽減を提供するのに対して効果的である。しかしながら、それらの化合物のそのような有効量は、心血管系に対する効果、または骨格筋に対する効果を反映すると考えられる調製物に対する効果の減少によって示されるように、いずれかの認識可能な副作用を誘導するのに十分ではない。それ自体、本発明の化合物の投与は、ある種のCNS障害の治療が提供され、副作用が回避される治療ウインドウを提供する。すなわち、本発明の化合物の有効用量は、CNSに対する所望の効果を提供するのに十分であるが、望ましくない副作用を提供するのに不十分である(すなわち、十分に高いレベルではない)。好ましくは、CNS障害の治療をもたらす本発明の化合物の効果的な投与は、有意な程度までいずれかの副作用を引き起こすのに十分な量の1/3未満、頻繁には1/5未満、しばしば、1/10未満の投与である。
【実施例】
【0071】
以下の実施例は本発明を説明するために掲げるものであって、それを限定するものと解釈されるべきではない。これらの実施例において、全ての部、およびパーセンテージは特に断りのない限りは、重量で表される。反応の収率はモルパーセンテージで報告する。いくつかの商業的に入手可能な出発物質を以下の実施例を通じて用いる。3−ブロモピリジン、3,5−ジブロモピリジン、5−ブロモニコチン酸、5−ブロモピリニジン、および4−ペンテン−2−オールは、Aldrich Chemial CompanyまたはLancaster Synthesis Inc.から入手した。2−アミノ−5−ブロモ−3−メチルピリジンはCanbridge Chemical Company Ltd.から購入した。(R)−(+)−プロピレンオキシドはFluka Chemical Companyから入手し、(S)−(−)−プロピレンオキシドはAldrich Chemical Companyから入手した。本明細書中に記載の合成においては、プロピレンオキシドの同義語はエポキシプロパン;1,2−エポキシプロパン;メチルエチレンオキシド;メチルオキシラン;プロペンオキシド;および1,2−プロピレンオキシドである。
【0072】
カラムクロマトグラフィーは、Merckシリカゲル60(70〜230メッシュ)または酸化アルミニウム(活性化、中性、Brockmamn I、標準グレード、〜150メッシュ)いずれかを用いて行った。加圧反応はAce−Thread、およびAce Glass Inc.から入手可能なプランジャーバルブを備えた、重壁ガラス加圧チューブ(185mL容量)で行った。反応混合物は、典型的には、高温シリコーン油浴を用いて加熱し、温度は油浴の温度をいう。以下の略語は以下の実施例で用いる。クロロホルムに対してCHCl3、ジクロロメタンに対してCH2Cl2、メタノールに対してCH3OH、N,N−ジメチルホルムアミドに対してDMF、酢酸エチルに対してEtOAc、テトラヒドロフランに対してTHF、およびトリエチルアミンに対してEt3Nである。
【0073】
実施例1 logP値の測定
血液脳関門を通過する化合物の相対的能力を評価するのに用いられてきたlog P値(Hansch et al.,J.Med.Chem.11:1(1968))は、Molecular Simulations,Inc.によるCerius2ソフトウェアパッケージバーション3.5を用いて計算した。
【0074】
実施例2 関連受容体部位に対する結合の測定
関連受容体部位の化合物の結合は、Dull et al.に対する米国特許第5,597,919号に記載された技術に従って測定した。nMで報告した阻害定数(Ki値)は、Cheng et al.,Biochem.Pharmacol.22:3099(1973)の方法を用いてIC50値から計算した。
【0075】
実施例3 ドーパミン放出の測定
ドーパミン放出は、Dull et al.に対する米国特許第5,597,919号に記載された技術を用いて測定した。放出は、最大効果をもたらす(S)−(−)−ニコチンの濃度で得られた放出のパーセンテージとして表す。報告されたEC50値はnMにて表し、Emaxはパーセンテージベースで(S)−(−)−ニコチンに対する放出された量を表す。
【0076】
実施例4 ルビジウムイオン放出の測定
ルビジウム放出は、Bencherif et al.,JPET,297:1413−1421(1996)に記載された技術を用いて測定した。報告されたEC50値はnMにて表し、Emax値はパーセンテージベースの300μMテトラメチルアンモニウムイオンに対する放出されたルビジウムイオンの量を表す。
【0077】
実施例5 筋肉受容体との相互作用の測定
筋肉受容体と化合物との相互作用の測定は、Dull et al.に対する米国特許第5,597,919号に記載された技術に従って行った。個々の化合物に対する最大活性化(Emax)は、(S)−(−)−ニコチンによって誘導された最大活性化のパーセンテージとして測定した。報告されたEmax値はパーセンテージベースで(S)−(−)−ニコチンに対する放出された量を表す。
【0078】
実施例6 神経節受容体との相互作用の測定
化合物と神経節受容体との相互作用の測定は、Dull et al.に対する米国特許第5,597,919号に記載された技術に従って行った。個々の化合物に対する最大活性化(Emax)は、(S)−(−)−ニコチンによって誘導された最大活性化のパーセンテージとして測定した。報告されたEmax値はパーセンテージベースで(S)−(−)−ニコチンに対する放出された量を表す。
【0079】
実施例7
試料No.1は(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンヘミガラクタレートであり、これは以下の技術に従って調製した。
【0080】
(4E)−5−(3−ビリジル)−4−ペンテン−2−オール
3−ブロモビリジン(7.50g,47.46ミリモル)、4−ペンテン−2−オール(4.90g,56.96ミリモル)、酢酸パラジウム(II)(106mg,0.47ミリモル)、トリ−o−トリルホスフィン(575mg,1.89ミリモル)、トリエチルアミン(28.4mL,204.11ミリモル)およびアセトニトリル(25mL)の混合物を、密封されたガラスチューブ中で140℃にて14時間加熱した。反応混合物を雰囲気温度まで冷却し、水で希釈し、クロロホルム(3×200mL)で抽出した。合わせたクロロホムル抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、ロータリー蒸発によって濃縮して、淡黄色油(7.50g,81.0%)を得た。
【0081】
(4E)−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オールp−トルエンスルホネート
0℃の乾燥ピリジン(30mL)中の(4E)−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オール(5.00g,30.67ミリモル)の攪拌溶液に、塩化p−トルエンスルホニル(8.77g,46.01ミリモル)を添加した。反応混合物を雰囲気温度で24時間攪拌した。ピリジンをロータリー蒸発によって除去した。トルエン(50mL)を残渣に添加し、引き続いて、ロータリー蒸発によって除去した。粗生成物を炭酸水素ナトリウムの飽和溶液(100mL)と共に攪拌し、クロロホルム(3×100mL)で抽出した。合わせたクロロホルム抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、ロータリー蒸発によって濃縮した。粗生成物を、酢酸エチル−ヘキサン(3:7,v/v)で溶出する酸化アルミニウム上のカラムクロマトグラフィーによって精製した。選択された画分を合わせ、ロータリー蒸発によって濃縮して、粘性茶色油(5.83g,60.1%)を得た。
【0082】
(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン
(4E)−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オールp−トルエンスルホネート(5.60g,17.66ミリモル)、メチルアミン(100mL,水中の40%溶液)、およびエチルアルコール(10mL)の混合物を雰囲気温度で18時間攪拌した。得られた溶液をクロロホルム(3×100mL)で抽出した。合わせたクロロホルム抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、ロータリー蒸発によって濃縮した。粗生成物は、酢酸エチル−メタノール(7:3,v/v)で溶出する酸化アルムニウム上のカラムクロマトグラフィーによって精製した。選択された画分を合わせて、ロータリー蒸発によって濃縮し、油を得た。真空蒸留によるさらなる精製によって、1.60g(51.6%)の無色油を得た。0.1mm Hgにおいて沸点110〜120℃。
【0083】
(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンヘミガラクタレート
(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン(1.60g,9.10ミリモル)を、60℃まで温める助けを借りて、エチルアルコール(20mL)に溶解させた。温かい溶液を一度にガラクタール酸(955mg,4.54ミリモル)で処理し、続いて、水(0.5mL)を滴下した。いくらか不溶性物質を除去するために、温かく維持しつつ、溶液を濾過した。濾液を雰囲気温度まで冷却した。得られた結晶を濾過し、無水ジエチルエーテルで洗浄し、40℃にて真空下で乾燥し、1.20g(47.0%)の白色結晶性粉末を得た。融点148〜150℃。
【0084】
試料No.1は、1.924のlogPを示し、そのような好都合なlogPは、化合物が血液脳関門を通過する能力を有する化合物を示す。試料は83nMのKiを示した。低結合定数は、化合物が、ある種のCNSニコチン性受容体に対して良好な高親和性結合を呈することを示す。
【0085】
試料No.1は、ドーパミン放出に対して6600nMのEC50値および113%のEmax値を呈し、化合物が神経伝達物質の放出を誘導し、それにより、公知のニコチン性薬理学を呈することを示す。前記試料はルビジウムイオン束アッセイにおいて3100nMのEC50値および35%のEmax値を呈し、これは、化合物がCNSニコチン性受容体の活性化を効果的に誘導することを示す。
【0086】
試料No.1は、筋肉タイプの受容体において(100μMの濃度で)13%のEmaxを呈し、これは、前記化合物が筋肉タイプの受容体の活性化を誘導しないことを示す。前記試料は神経節タイプの受容体において(100μMの濃度で)62%のEmaxを呈する。ある種のレベルにおいて化合物は有意な程度までCNS効果を示すが、望ましくない筋肉または神経節効果をいずれの有意な程度までも示さない。化合物は、ルビジウムイオン束およびドーパミン放出を活性化するのに必要な数回の量で使用した場合にのみ、筋肉および神経節効果を引き起こし始め、従って、これは、その化合物の投与を受ける対象においてある種の望ましくない副作用の欠如を示す。
【0087】
実施例8
試料No.2は(2R)−(4E)−N−メチル−5−(3−ビリジル)−ペンテン−2−アミンヘミガラクタレートであり、これは以下の技術に従って調製された。
【0088】
(2S)−4−ペンテン−2−オール
(2S)−4−ペンテン−2−オールは、A.Kalivretenos,J.K.StilleおよびL.S.Hegedus,J.Org.Chem.56:2883(1991)に詳細に記載されたように、(R)−(+)−プロピレンオキシドからの(2R)−4−ペンテン−2−オールの調製について記載されたのと同様な手法を用いて(S)−(−)−プロピレンオキシドから調製した。従って、THF(129mL,129.0ミリモル)中の臭化ビニルマグネシウムの1.0M溶液を、−25℃にて、乾燥THF(40mL,ナトリウムおよびベンゾフェノンから蒸留)中のヨウ化銅(I)(2.46g,12.92ミリモル)の懸濁液にゆっくりと添加した。5分攪拌した後に、乾燥THF(5mL中の(S)−(−)−プロピレンオキシド(5.00g,86.1ミリモル)の溶液を添加した。混合物を−10℃まで温め、0℃にて12時間フリーザー中に入れた。混合物を0℃にてさらに1時間攪拌し、飽和塩化アンモニウム溶液(100mL)および氷(100g)の混合物に注いだ。混合物を4時間攪拌し、エーテル(3×100mL)で抽出した。合わせたエーテル抽出物を乾燥し(K2CO3)、濾過し、0℃にてロータリー蒸発によって減圧下で濃縮した。得られた茶色油を真空蒸留して、5.86g(79.1%)の無色蒸留物を得た。9mm Hgにおいて沸点37〜39℃。
【0089】
(2S)−(4E)−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オール
3−ブロモピリジン(11.22g,70.58ミリモル、(2S)−4−ペンテン−2−オール(5.00g,58.05ミリモル)、酢酸パラジウム(II)(527mg,2.35ミリモル)、トリ−o−トリルホスフィン(1.79g,5.88ミリモル)、トリエチルアミン(30mL,216ミリモル)およびアセトニトリル(30mL)の混合物を密封されたガラスチューブ中にて130〜140℃で8時間加熱した。反応混合物を雰囲気温度まで冷却した。減圧下、溶媒をロータリーエバポレータで除去した。水(20mL)を添加し、混合物をクロロホムル(4×50mL)で抽出した。合わせたクロロホルム抽出物を乾燥し(K2CO3)、濾過し、ロータリー蒸発によって濃縮し、淡黄色油(6.00g)を得た。粗生成物を、クロロホルム−アセトン(95:5,v/v)で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製した。選択された画分を合わせ、ロータリー蒸発によって濃縮し、3.95g(41.7%)の淡黄色油を得た。
【0090】
(2S)−(4E)−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オールp−トルエンスルホネート
窒素雰囲気下で、塩化p−トルエンスルホニル(7.01g,36.77ミリモル)を、0℃にて、乾燥トリエチルアミン(20mL)中の(2S)−(4E)−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オール(3.00g,18.38ミリモル)の攪拌溶液に添加した。18時間にわたって攪拌し、雰囲気温度まで温めた後に、混合物を冷飽和NaHCO3溶液(50mL)と共に1時間攪拌し、クロロホルム(3×50mL)で抽出した。合わせたクロロホルム抽出物を乾燥し(K2CO3)、濾過し、ロータリー蒸発によって濃縮して厚い暗茶色塊(〜7g)を得た。粗生成物を、クロロホルム−アセトン(98:2,v/v)で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製して、4.00g(68.6%)の明茶色シロップを得た。
【0091】
(2R)−(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン2−アミン
(2S)−(4E)−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オールp−トルエンスルホネート(3.80g,11.97ミリモル)およびメチルアミン(20mL,THF中の2.0M溶液)の混合物を、密封されたガラスチューブ中で100〜110℃にて8時間加熱した。混合物を雰囲気温度まで冷却し、減圧下ロータリーエバポレータ下で濃縮した。得られた茶色シロップを飽和NaHCO3溶液(25mL)で希釈し、クロロホルム(4×25mL)で抽出した。合わせたクロロホルム抽出物を乾燥し(K2CO3)、濾過し、ロータリー蒸発によって濃縮して、厚い茶色シロップ(2.00g)を得た。粗生成物を、クロロホルム−メタノール(95:5,v/v)で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製された。選択された画分を合わせ、ロータリー蒸発によって濃縮して、800mg(37.9%)の淡黄色油を得た。
【0092】
(2R)−(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンヘミガラクタレート
ガラクタール酸(328.0mL,1.56ミリモル)および(2R)−(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン(600.0mg,3.40ミリモル)を、加熱および音波処理の助けを借りて、2−プロパノール(5mL)および水(0.2mL)に溶解させた。熱溶液を濾過して、いくらかの不溶性物質を除去した。溶媒をロータリーエバポレータで除去し、残渣を高真空下で乾燥してクリーム色のシロップを生じた。シロップを乾燥2−プロパノール(5mL)に溶解させ、4℃にて冷却した。得られた沈殿物を濾過し、高真空下で乾燥させ、700mg(79.7%)のオフホワイト結晶性粉末を得た。融点131〜134℃。
【0093】
試料No.2は1.924のlogPを呈し、そのような好都合なlogP値は、化合物が血液脳関門を通過できる能力を有することを示す。試料は520nMのKiを呈し、これは、化合物がある種のCLSニコチン性受容体への結合を呈することを示す。
【0094】
試料No.2は、ドーパミン放出に対して、27400nMのEC50値および76%のEmax値を呈し、これは、化合物が神経伝達物質放出を誘導し、それにより、公知のニコチン性薬理学を呈することを示す。試料はルビジウムイオン束アッセイにおいて4390nMのEC50値および32%のEmax値を呈し、化合物はCNSニコチン性受容体の活性化を誘導する。
【0095】
試料No.2は筋肉タイプの受容体において(100μMの濃度で)0%のEmaxを呈し、これは、化合物が筋肉タイプの受容体の活性化を誘導しないことを示す。試料No.1は神経節タイプの受容体において(100μMの濃度で)36%のEmaxを呈する。化合物は、筋肉タイプおよび神経節タイプのニコチン性アセチルコリン受容体をいずれの有意な程度までも活性化することなくヒトCNS受容体を活性化する能力を有する。従って、CNS障害の治療における利用に対する治療ウインドウが提供される。すなわち、あるレベルにおいては、化合物は有意な程度までCNS効果を示すが、望ましくない筋肉および神経節効果をいずれの有意な程度までも示さない。
【0096】
実施例9
試料No.3は(2S)−(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンヘミガラクタレートであり、これは、以下の技術に従って調製された。
【0097】
(2R)−4−ペンテン−2−オール
(2R)−4−ペンテン−2−オールは、A.Kalivretenos,J.K.StilleおよびL.S.Hegedus,J.Org.Chem.56:2883(1991)に記載された手法に従って(R)−(+)−プロピレンオキシドから82.5%収率で調製した。
【0098】
(2R)−(4E)−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オール
3−ブロモピリジン(9.17g,58.04ミリモル)、(2R)−4−ペンテン−2−オール(6.00g,69.65ミリモル)、酢酸パラジウム(II)(130mg,0.58ミリモル)、トリ−o−トリルホスフィン(710mg,2.32ミリモル)、トリエチルアミン(34.7ml,249.5ミリモル)、およびアセトニトリル(35mL)の混合物を密封したガラスチューブ中で140℃にて14時間加熱した。反応混合物を雰囲気温度まで冷却し、水で希釈し、クロロホルム(3×200mL)抽出した。合わせたクロロホルム抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、ロータリー蒸発によって濃縮して、6.17g(65.2%)の淡黄色油を得た。
【0099】
(2R)−(4E)−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オールp−トルエンスルホネート
0℃の乾燥ピリジン(30mL)中の(2R)−(4E)−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オール(6.00g,36.81ミリモル)の攪拌溶液に、塩化p−トルエンスルホニル(21.05g,110.43ミリモル)を添加した。反応混合物を雰囲気温度にて24時間攪拌した。ピリジンをロータリー蒸発によって除去した。トルエン(50mL)を残渣を添加し、引き続いて、ロータリー蒸発によって除去した。粗生成物を炭酸水素ナトリウムの飽和溶液(100mL)と共に攪拌し、クロロホルム(3×100mL)で抽出した。合わせたクロロホルム抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、ロータリー蒸発によって濃縮して、11.67g(84.0%)の暗茶色粘性油を得た。
【0100】
(2S)−(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン
(2R)−(4E)−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オールp−トルエンスルホネート(9.00g,28.35ミリモル)、メチルアミン(200mL,水中40%溶液)、およびエチルアルコール(10mL)の混合物を雰囲気温度にて18時間攪拌した。得られた溶液をクロロホルム(3×100mL)で抽出した。合わせたクロロホルム抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、ロータリー蒸発によって濃縮した。粗生成物を、酢酸エチル−メタノール(7:3,v/v)で溶出する酸化アルミニウム上のカラムクロマトグラフィーによって精製した。選択された画分を合わせ、ロータリー蒸発によって濃縮し、油を得た。真空蒸留によるさらなる精製によって、1.20g(24.0%)の無色油を得た。0.5mm Hgにおいて沸点90〜100℃。
【0101】
(2S)−(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンヘミガラクタレート
(2S)−(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン(800mg,4.54ミリモル)を、60℃まで温めることによる助けをかりて、エチルアルコール(20mL)に溶解させた。温かい溶液をガラクタール酸(477mg,2.27ミリモル)で一度に処理し、続いて、水(0.5mL)を滴下した。いくらか不溶性物質を除去するために熱く保ちつつ、溶液を濾過した。濾液を雰囲気温度まで冷却した。得られた結晶を濾過し、無水ジエチルエーテルで洗浄し、40℃にて真空下で乾燥して、830mg(65.4%)のオフホワイト結晶性粉末を得た。融点141〜143℃。
【0102】
試料No.3は1.924のlogPを呈し、そのような好都合なlogP値は、化合物が血液脳関門を通過する能力を有することを示す。試料は34nMのKiを呈する。低い結合定数は、化合物は、ある種のCNSニコチン性受容体に対する良好な高い親和性結合を呈することを示す。
【0103】
試料No.3は、ドーパミン放出に対して、2600nMのEC50値および162%のEmax値を呈し、これは、化合物が神伝達物質放出を効果的に誘導し、それにより、公知のニコチン性薬理学を呈することを示す。試料はルビジウムイオン束アッセイにおいて45nMのEC50値および33%のEmax値を呈し、これは化合物はCNSニコチン性受容体の活性化を効果的に誘導することを示す。
【0104】
試料No.3は、筋肉タイプの受容体において(100μMの濃度にて)0%のEmaxを呈し、これは化合物が筋肉タイプの受容体の活性化を誘導しないことを示す。試料は神経節タイプの受容体において(100μMの濃度で)18%のEmaxを呈する。化合物は、筋肉タイプおよび神経節タイプのニコチン性アセチルコリン受容体をいずれの有意な程度までも活性化することなくヒトCNS受容体を活性化する能力を有する。従って、CNS障害の治療での利用のための治療ウインドウが提供される。すなわち、あるレベルでは、化合物はCNS効果を有意な程度まで示すが、望ましくない筋肉または神経節効果をいずれの有意な程度までも示さない。
【0105】
実施例10
試料No.4は(4E)−N−メチル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンヘミガラクタレートであり、これは、以下の技術に従って調製した。
【0106】
4−ペンテン−2−オールp−トルエンスルホネート
窒素雰囲気下、塩化p−トルエンスルホニル(16.92g,88.75ミリモル)をピリジン(60mL)中の4−ペンテン−2−オール(7.28g,84.52ミリモル)の冷(2℃)攪拌溶液に添加した。溶液を2〜5℃にて2時間攪拌し、数時間にわたって雰囲気温度まで温めた。白色固体を含有する混合物を冷3M HCl溶液(250mL)に注ぎ、CHCl3(4×75mL)に注いだ。合わせたCHCl3抽出物を3M HCl溶液(4×100mL)、飽和NaCl溶液(2×50mL)で洗浄し、乾燥し、(Na2SO4)、濾過し、ロータリーエバポレータで濃縮し、高真空下でさらに乾燥して17.38g(85.6%)の明るい琥珀色油を得た。
【0107】
N−メチル−4−ペンテン−2−アミン
ガラス圧力チューブ中に4−ペンテン−2−オールp−トルエンスルホネート(17.30g,71.99ミリモル)、続いて水性メチルアミン(111.85g,1.44モル)の40%溶液をチャージした。前記チューブを密封し、混合物を122℃にて16時間攪拌して加熱し、雰囲気温度まで冷却した。さらに0〜5℃まで冷却した後、淡黄色溶液を固体NaClで飽和させ、ジエチルエーテル(6×40mL,阻害剤フリー)で抽出した。合わせた淡黄色エーテル抽出物を乾燥し(Na2SO4)、濾過した。6−インチのVigreauxカラムおよび短経路蒸留装置を用いる雰囲気圧力での蒸留によってエーテルを除去した。残存する短黄色油を雰囲気圧力で蒸留し、3.72g(52.1%)の無色油を収集した。沸点75〜105℃。
【0108】
N−メチル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ペンテン−2−アミン
ジ−tert−ブチルジカルボネート(6.84g,31.35ミリモル)を、乾燥THF(25mL、ナトリウムおよびベンゾフェノンから新たに蒸留した)中のN−メチル−4−ペンテン−2−アミン(3.66g,25.68ミリモル)の冷(0〜5℃)攪拌溶液に何回かに分けて迅速に添加した。得られた短黄色溶液を攪拌し、数時間にわたって雰囲気温度まで温めた。溶液をロータリーエバポレータで濃縮した。短経路蒸留装置を用いて得られた油を真空蒸留し、5.22g(88.4%)のほとんど無色の油を得た。5.5mm Hgにおいて沸点85〜86℃。
【0109】
5−ブロム−3−イソプロポキシピリジンは、後記するように、2つの異なる方法(方法Aおよび方法B)によって調製することができる。
【0110】
5−イソプロポキシ−3−ブロモピリジン(方法A)
カリウム金属(6.59g,168.84ミリモル)を窒素下で乾燥した2−プロパノール(60.0mL)に溶解させた。得られたカリウムイソプロポキシドを、密封したガラスチューブ中で、3,5−ジブロモピリジン(20.00g,84.42ミリモル)および銅粉末(1g、3,5−ジブロモピリジンの5重量%)と共に140℃にて14時間加熱した。反応混合物を雰囲気温度まで冷却し、ジエチルエーテル(4×200mL)で抽出した。合わせたエーテル抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、ロータリー蒸発によって濃縮した。得られた粗生成物を、酢酸エチル−ヘキサン(1:9,v/v)で溶出する酸化アルミニウム上のカラムクロマトグラフィーによって精製した。選択された画分を合わせてロータリー蒸発によって濃縮し、淡黄色油(12.99g,71.2%)を得た。
【0111】
5−イソプロポキシ−3−ブロモピリジン(方法B)
5−ブロモニコチンアミド
窒素雰囲気下、5−ブロモニコチン酸(10.10g,50.00ミリモル)を塩化チオニル(65.24g,0.55モル)に溶解させ、得られた溶液を雰囲気温度にて45分間攪拌した。過剰の塩化チオニルを蒸留によって除去し、残渣を高真空下で乾燥した。得られた固体を窒素雰囲気下で乳鉢および乳棒で粉末まで粉砕し、0℃の28%アンモニア水溶液に迅速に添加した。混合物を0℃にて、次いで雰囲気温度にて3時間軽く攪拌した。粗生成物を濾過し、乾燥し、トルエン−エタノール(1:1,v/v)から再結晶化して、6.92g(68.9%)の5−ブロモニコチンアミドを得た。融点210〜213℃(文献融点219〜219.5℃、C.V.Greco et al.,J.Heteocyclic Chem.7(4):761(1970参照))。
【0112】
3−アミノ−5−ブロモピリジン
水酸化ナトリウム(2.50g,62.50ミリモル)を、水(35mL)中の次亜塩素酸カリウム溶液(70%溶液の1.53g,7.50ミリモル)の冷(0℃)攪拌懸濁液に添加した。混合物を0℃にて15分間攪拌し、濾過した。清澄化された濾液を冷却し、5−ブロモニコチンアミド(3.03g,15.1ミリモル)を一度に添加しつつ氷塩浴中で攪拌した。懸濁液を0℃にて2時間攪拌し、雰囲気温度まで温め、蒸気浴で1時間加熱した。冷却した後、混合物をCHCl3(2×50mL)で抽出した。合わせたCHCl3抽出物を乾燥し(Na2SO4)、濾過し、ロータリーエバポレータで濃縮し、1.42gの淡黄色固体を得た。水性層を6M HCl溶液でpH8に調整し、CHCl3(2×50mL)で抽出した。合わせたCHCl3抽出物を乾燥し(Na2SO4)、濾過し、ロータリーエバポレータで濃縮し、0.98gの茶色固体を得た。TLC分析(トルエン−エタノール(3:1,v/v)に基づき、双方の粗生成物を合わせて2.40gが得られ、これをエタノール(10mL)に溶解させ、濾過して、少量の淡黄色固体(80mg,融点225〜227℃)を除去した。濾液をロータリーエバポレータで濃縮し、残渣を2−プロパノール(6mL)に溶解させ、濾過し、5℃まで冷却した。得られた沈殿を濾過し、乾燥して、少量の黄褐色固体(65mg,融点63〜64℃)を得た。濾液をロータリーエバポレータで濃縮し、残渣を加熱の助けを借りてトルエン(5mL)に溶解させ、5℃まで冷却した。得られた沈殿を濾過し、真空下で乾燥して、1.80gの茶色結晶性固体を得た。融点65〜67℃。濾液を濃縮し、冷却することによって、0.27gの茶色固体(融点64〜66℃(文献融点69〜69.5℃、C.V.Greco et al.,J.Heteocyclic Chem.7(4):761(1970)参照))の第二収量が得られ、合計収率は2.07g(79.3%)となった。
【0113】
5−イソプロポキシ−3−ブロモピリジン
6M HCl溶液(5mL)中の5−アミノ−3−ブロモピリジン(1.29g,7.46ミリモル)のスラリーを雰囲気温度にて30分間攪拌した。混合物を高真空下で濃縮し、残渣を50℃にて15時間真空乾燥し、黄褐色固体を得た。前記固体を2−プロパノール(25mL)中にスラリー化し、亜硝酸イソアミル(1.70g,15.00ミリモル)で処理した。混合物を攪拌し、1.5時間還流下で加熱した。溶液をロータリー蒸発によって濃縮し、残渣をジエチルエーテルおよび1M NaOH溶液の間に分配した。水性層を分離しエーテルで抽出した。合わせたエーテル抽出物を乾燥し(Na2SO4)、濾過し、ロータリー蒸発によって濃縮し、オレンジ油(2.03g)を得た。前記油を真空蒸留によって精製し、9mm Hgで沸点105〜115℃を持つ画分を収集した。蒸留した生成物を、ヘキサン中の10〜20%(v/v)ジエチルエーテルで溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによってさらに精製した。TLC分析(ヘキサン−エーテル中Rf0.40)に基づいて選択された画分を合わせ、ロータリー蒸発によって濃縮して、566.0mg(35.2%)の透明無色油を得た。
【0114】
(4E)−N−メチル−N(tert−ブトキシカルボニル)−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン
窒素雰囲気下、5−イソプロポキシ−3−ブロモピリジン(847.0mg,3.92ミリモル)、N−メチル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ペンテン−2−アミン(784.7mg,3.94ミリモル)、酢酸パラジウム(II)(9.0mg,0.04ミリモル)、トリ−o−トリルホスフィン(50.0mg,0.16ミリモル)、トリエチルアミン(0.73g,7.21ミリモル)、および無水アセトニトリル(2mL)の混合物を攪拌し、還流下で80℃にて20時間加熱した。固体を含有する混合物を冷却し、水(10mL)で希釈し、CHCl3(3×10mL)で抽出した。合わせたCHCl3抽出物を乾燥し(Na2SO4)、濾過し、ロータリー蒸発によって濃縮して油状残渣(1.56g)を得た。ヘキサン中の25〜40%(v/v)酢酸エチルで溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって粗生成物を精製した。生成物を含有する選択された画分を合わせ、濃縮して、1.15g(87.8%)の明るい琥珀色油を得た。
【0115】
(4E)−N−メチル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン
窒素雰囲気下、アニソール(2.25mL)中の(4E)−N−メチル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン(150.0mg,0.45ミリモル)の冷(0〜5℃)攪拌溶液をトリフルオロ酢酸(1.49g,13.79ミリモル)で1度に処理した。得られた溶液を0〜5℃にて15分間攪拌した。シリカゲル(EtOAc−ヘキサン(3:1,v/v)およびCH3OH−Et3N(97.5:2.5,v/v))でのTLC分析はほとんど完全な反応を示した。さらに15分間攪拌した後、溶液をロータリーエバポレータで濃縮し、引き続いて、0.5mm Hgの真空下でさらに乾燥して278mgの暗い黄色油を得た。前記油を冷却し(0〜5℃)、10%NaOH溶液(2mL)でpH12まで塩基性化し、飽和NaCl溶液(5mL)を添加した。混合物をCHCl3(5×3mL)で抽出した。合わせたCHCl3抽出物を飽和NaCl溶液(5mL)で洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、ロータリー蒸発によって濃縮し、引き続いて、0.5mm Hgでさらに乾燥して、104.7mgの淡黄色のわずかにオレンジ色の油を得た。CH3OH−Et3N(100:2,v/v)で溶出するシリカゲル(20g)でのカラムクロマトグラフィーによって粗生成物を精製した。生成物(Rf0.37)を含有する選択された画分を合わせ、ロータリーエバポレータで濃縮して、72.3mgの黄色油を得た。前記油をCHCl3(25mL)に溶解させ、CHCl3溶液を乾燥し(Na2SO4)、濾過し、ロータリー蒸発によって濃縮し、真空乾燥して、69.3mg(66,2%)の黄色油を得た。
【0116】
(4E)−N−メチル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンヘミガラクタレート
(4E)−N−メチル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン(69.3mg,0.23ミリモル)を、加熱の助けを借りて、CH3OH(1.5mL)に溶解させた。温かい溶液をガラクタール酸(24.3mg,0.12ミリモル)、続いて水(0.3mL)で処理した。得られた溶液を温め、ガラスウールで濾過して、数個の不溶性粒子を除去し、フィルタープラグを0.4mLのCH3OH−H2O(4:1,v/v)溶液で洗浄した。濾液をCH3OH(1.5mL)で希釈し、淡黄色溶液を5℃にて15時間貯蔵した。沈殿は形成されない;従って、溶液をロータリーエバポレータで濃縮した。得られた固体を無水ジエチルエーテル(3×6mL)で粉砕した。生成物を窒素気流下で乾燥し、高真空下で乾燥し、続いて、45℃にてさらに真空下で15時間乾燥して、73.0mg(93.1%)のオフホワイト粉末を得た。融点144〜146.5℃。
【0117】
試料No.4は2.957のlogPを呈し、そのような好都合なlogP値は、化合物が血液脳関門を通過する能力を有することを示す。試料は10nMのKiを呈した。低い結合定数は、化合物がある種のCNCニコチン性受容体に対する良好な高親和性結合を呈することを示す。
【0118】
試料No.4は、ドーパミン放出に対して、100nMのEC50値および57%のEmax値を呈し、これは化合物は神経伝達物質放出を効果的に誘導し、それにより、公知のニコチン性薬理学を呈することを示す。試料はルビジウムイオン束アッセイにおいて100nMのEC50値および60%のEmax値を呈し、これは化合物がCNSニコチン性受容体の活性化を効果的に誘導することを示す。
【0119】
試料No.4は筋肉タイプの受容体において(100μMの濃度で)15%のEmaxを呈し、これは、化合物が筋肉タイプの受容体の活性化を有意に誘導できないことを示す。前記試料は神経節タイプの受容体において(100μMの濃度で)36%のEmaxを呈する。化合物は、筋肉タイプおよび神経節タイプのニコチン性アセチルコリン受容体をいずれの有意な程度までも活性化することなくヒトCNC受容体を活性化する能力を有する。従って、CNS障害の治療での利用のための治療ウインドウが提供される。すなわち、あるレベルでは、化合物はCNS効果を有意な程度まで示すが、望ましくない筋肉および神経節効果はいずれも有意な程度までも示せない。ルビジウムイオン束およびドーパミン放出を活性化するのに必要なものよりも大きな量で使用される場合にのみ、化合物は筋肉効果および神経節効果を引き起こし始め、従って、この化合物の投与を受ける対象において望ましくない副作用が欠如することを示す。
【0120】
実施例11
試料No.5は(2R)−(4E)−N−メチル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンヘミガラクタレートであり、これは、以下の技術に従って調製した。
【0121】
(2S)−4−ペンテン−2−オール
(2S)−4−ペンテン−2−オールは、A.Kalivretenos,J.K.StilleおよびL.S.Hegedus,J.Org.Chem.56:2883(1991)に詳細に説明されたように、(R)−(+)−プロピレンオキシドからの(2R)−4−ペンテン−2−オールの調製について記載されたのと同様な手法を用いて(S)−(−)−プロピレンオキシドから調製した。従って、THF(129mL,129.0ミリモル)中の臭化ビニルマグネシウムの1.0M溶液を、−25℃にて、乾燥THF(40mL,ナトリウムおよびベンゾフェノンから蒸留)中のヨウ化銅(I)(2.46g,12.92ミリモル)の懸濁液にゆっくりと添加した。5分間の攪拌の後、乾燥THF(5mL)中の(S)−(−)−プロピレンオキシド(5.00g,86.1ミリモル)の溶液を添加した。混合物を−10℃まで温め、0℃のフリーザーに12時間入れた。混合物を0℃においてさらに1時間攪拌し、飽和塩化アンモニウム溶液(100mL)および氷(100g)の混合物に注いだ。混合物を4時間攪拌し、エーテル(3×100mL)で抽出した。合わせたエーテル抽出物を乾燥し(K2CO3)、濾過し、0℃のロータリー蒸発によって減圧下で濃縮した。得られた茶色油を真空蒸留して、5.86g(79.1%)の無色蒸留物を得た。9mm Hgにおいて沸点37〜39℃。
【0122】
(2S)−(4E)−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オール
5−イソプロポキシ−3−ブロモピリジン(12.56g,58.13ミリモル)、(2S)−4−ペンテン−2−オール(5.00g,58.05ミリモル)、酢酸パラジウム(II)(130mg,0.58ミリモル)、トリ−o−トリルホスフィン(706mg,2.32ミリモル)、トリエチルアミン(35mL,252ミリモル)およびアセトニトリル(35mL)の混合物を密封されたガラスチューブ中で130〜140℃にて8時間加熱した。反応混合物を雰囲気温度まで冷却した。減圧下、溶媒をロータリーエバポレータで除去した。水(50mL)を添加し、混合物をクロロホルム(3×50mL)で抽出した。合わせたクロロホム抽出物を乾燥し(K2CO3)、濾過し、ロータリー蒸発によって濃縮した。クロロホルム−アセトン(95:5,v/v)で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって粗生成物を精製した。選択された画分を合わせ、ロータリー蒸発によって濃縮し、7.80g(60.7%)の淡黄色油を得た。
【0123】
(2S)−(4E)−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オールp−トルエンスルホネート
窒素雰囲気下、塩化p−トルエンスルホニル(11.45g,60.06ミリモル)を、0℃の乾燥トリエチルアミン(30mL)中の(2S)−(4E)−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オール(7.00g,31.63ミリモル)の攪拌溶液に添加した。攪拌し、18時間にわたって雰囲気温度まで温めた後、混合物をロータリーエバポレータで濃縮した。粗生成物を飽和NaHCO3溶液(100mL)と共に1時間攪拌し、クロロホルム(3×50mL)で抽出した。合わせたクロロホルム抽出物を乾燥し(K2CO3)、濾過し、ロータリー蒸発によって濃縮して、10.00g(84.2%)を暗褐色油として得られ、これをさらに精製することなく用いた。
【0124】
(2R)−(4E)−N−メチル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン
(2S)−(4E)−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オールp−トルエンスルホネート(10.00g,26.63ミリモルおよびメチルアミン(50mL,THF中の2.0M溶液)の混合物を密封したガラスチューブ中で100℃にて10時間加熱した。混合物を雰囲気温度まで冷却し、減圧下、ロータリーエバポレータで濃縮した。粗生成物を飽和NaHCO3溶液(50mL)で処理し、クロロホルム(4×50mL)で抽出した。合わせたクロロホルム抽出物を乾燥し(K2CO3)、濾過し、ロータリー蒸発によって濃縮して、暗褐色油(3.50g)を得た。クロロホルム−メタノール(95:5,v/v)で溶出する。シリカゲル上の反復した(2回)カラムクロマトグラフィーによって粗生成物を精製した。選択された画分を合わせ、ロータリー蒸発によって濃縮し、明るい茶色油(2.50g)を得た。短経路蒸留装置を用いる真空蒸留によって前記油をさらに精製し、2.05g(32.9%)の無色油を集めた。0.04mm Hgにおいて沸点98〜100℃。
【0125】
(2R)−(4E)−N−メチル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンヘミガラクタレート
ガラクタール酸(314.0mg,1.49ミリモル)を、10分間にわたる加熱および音波処理の助けを借りて2−プロパノール(10mL)および水(〜1mL)に溶解させた。次いで、2−プロパノール(10mL)中の(2R)−(4E)−N−メチル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン(700.3mg,2.99ミリモル)の溶液を添加し、続いて、60℃にて10分間さらに音波処理し、加熱した。熱溶液を濾過して、いくらかの不溶性物質を除去した。溶媒をロータリーエバポレータで除去し、得られた明るい茶色シロップを乾燥2−プロパノール(5mL)に溶解させ4℃にて冷却した。得られた沈殿を濾過し、高真空下で乾燥して、657mg(64.8%)のオフホワイト結晶性粉末を得た。融点150〜153℃。
【0126】
試料No.5は2.957のlogPを呈し、そのような好都合なlogP値は、化合物が血管−脳関門を通過する能力を有することを示す。前記試料は62nMのKiを呈する。低い結合定数は、化合物がある種のCNSニコチン性受容体に対して良好な高い親和性結合を呈することを示す。
【0127】
試料No.5は、ドーパミン放出に対して、634nMのEC50値および38%のEmax値を呈し、これは、化合物が神経伝達物質の放出を効果的に誘導し、それにより、公知のニコチン性薬理学を呈することを示す。前記試料はルビジウムイオン束アッセイにおいて88nMのEc50値および14%のEmax値を呈し、これは、化合物がCNSニコチン性受容体の活性を誘導することを示す。
【0128】
試料No.5は筋肉タイプの受容体において(100μMの濃度で)0%のEmaxを呈し、これは、化合物が筋肉タイプの受容体の活性化を誘導しないことを示す。前記試料は神経節タイプの受容体において(100μMの濃度で)14%のEmaxを呈する。前記化合物は筋肉タイプおよび神経節タイプのニコチン性アセチルコリン受容体をいずれの有意な程度までも活性化することなくヒトCNS受容体を活性化する能力を有する。従って、CNS障害の治療における利用のための治療ウインドウが提供される。すなわち、あるレベルでは、化合物はCNS効果を有意な程度示すが、望ましくない筋肉および神経節効果をいずれの有意な程度まで示さない。
【0129】
実施例12
試料No.6は(2S)−(4E)−N−メチル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンヘミガラクタレートであり、これは以下の技術に従って調製した。
【0130】
(2R)−4−ペンテン−2−オール
(2R)−4−ペンテン−2−オールは、A.Kalivretenos,J.K.StilleおよびL.S.Hegedus,J.Org.Chem.56:2883(1991)に記載された手法に従って(R)−(+)−プロピレンオキシドから82.5%の収率で調製された。
【0131】
(2R)−(4E)−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オール
5−イソプロポキシ−3−ブロモピリジン(10.26g,47.50ミリモル)、(2R)−4−ペンテン−2−オール(4.91g,57.00ミリモル、酢酸パラジウム(II)(106mg,0.47ミリモル)、トリ−o−トリルホスフィン(578mg,1.90ミリモル)、トリエチルアミン(28.46mL,204.25ミリモル)、およびアセトニトリル(30mL)の混合物を密封したガラスチューブ中で140℃にて14時間加熱した。反応混合物を雰囲気温度まで冷却し、水で希釈し、クロロホルム(3×200mL)で抽出した。合わせたクロロホルム抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、ロータリー蒸発によって濃縮して、淡黄色(8.92g,85.0%)を得た。
【0132】
(2R)−(4E)−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オールp−トルエンスルホネート
0℃の乾燥ピリジン(30mL)中の(2R)−(4E)−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オール(8.50g,38.46ミリモル)の攪拌溶液に塩化p−トルエンスルホニル(14.67g,76.92ミリモル)を添加した。反応混合物を雰囲気温度において24時間攪拌した。ロータリー蒸発によってピリジンを除去した。トルエン(50mL)を残渣に添加し、ロータリー蒸発によって除去した。粗生成物を炭酸水層ナトリウムの飽和溶液(100mL)と共に攪拌し、クロロホルム(3×100mL)で抽出した。合わせたクロロホルム抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、ロータリー蒸発によって濃縮して、暗褐色の粘性油で(11.75g,81.5%)を得た。
【0133】
(2S)−(4E)−N−メチル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン
(2R)−(4E)−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オールp−トルエンスルホネート(11.00g,29.33ミリモル)、メチルアミン(200mL,水中40%溶液)およびエチルアルコール(10mL)の混合物を雰囲気温度で18時間攪拌した。得られた溶液をクロロフォルム(3×100mL)で抽出した。合わせたクロロホルム抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、ロータリー蒸発によって濃縮した。粗生成物を、酢酸エチル−メタノール(7:3;v/v)で溶出する酸化アルミニウム上のカラムクロマトグラフィーによって精製した。選択された画分を合わせ、ロータリー蒸発によって濃縮し、油を得た。真空蒸留によるさらなる精製によって、2.10g(31.0%)の無色油を得た。0.5mm Hgにおいて沸点90〜100℃。
【0134】
(2S)−(4E)−N−メチル−5−(5−イソポロポキシ−3−ピリジル−4−ペンテン−2−アミンヘミガラクタレート
(2S)−(4E)−N−メチル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン(2.00g,8.55ミリモル)を、70℃までの加温の助けを借りてエチルアルコール(20mL)に溶解させた。前記温めた溶液をガラクタール酸(900mg,4.27ミリモル)で一度に処理し、引き続いて、水(0.5mL)を滴下した。いくらかの不溶性物質を除去するために熱く維持ししつ、溶液を濾過した。濾液を雰囲気温度まで冷却した。得られた結晶を濾過し、無水ジエチルエーテルで洗浄し、真空下で40℃にて乾燥して、白色結晶性粉末(750mg,26.0%)を得た。融点140〜143℃。
【0135】
試料No.6は2.957のlog Pを呈し、そのような好都合なlog P値は、化合物が血液−脳関門を通過する能力を有することを示す。前記試料は11nMのKiを呈する。低い結合定数は、化合物があるCNSニコチン性受容体に対して良好な高親和性結合を呈することを示す。
【0136】
試料No.6は、ドーパミン放出に関して106nMのEC50値および85%のEmax値を呈し、これは、化合物が神経伝達物質放出を効果的に誘導し、それにより、公知のニコチン性薬理学を呈することを示す。前記試料はルビジウムイオン束アッセイにおいて220nMのEC50値および58%のEmax値を呈し、これは、化合物がCNSニコチン性受容体の活性化を効果的に誘導することを示す。
【0137】
試料No.6は筋肉タイプの受容体において(100μMの濃度で)0%のEmaxを呈し、これは、化合物が筋肉タイプの受容体の活性化を誘導しないことを示す。前記試料は神経節タイプの受容体において(100μMの濃度で)0%のEmaxを呈する。化合物は、筋肉タイプおよび神経節タイプのニコチン性アセチルコリン受容体をいずれの程度までも活性化することなくヒトCNS受容体を活性化する能力を有する。従って、CNS障害の治療における利用のための治療ウインドウが提供される。すなわち、あるレベルでは、化合物はCNS効果を有意な程度まで示すが、望ましくない筋肉または神経節効果をいずれの有意な程度までも示さない。
【0138】
実施例13
試料No.7は(4E)−N−メチル−5−(5−ブロモ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンであり、これは以下の技術に従って調製した。
【0139】
(4E)−5−(5−ブロモ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オール
3,5−ジブロモピリジン(23.60g,100.0ミリモル)、4−ペンテン−2−オール(10.8g,125.0ミリモル)、酢酸パラジウム(II)(230mg,1.02ミリモル)、トリ−o−トリルホスフィン(1.20g,3.94ミリモル)、トリエチルアミン(29.7mL,213.45ミリモル)、およびアセトニトリル(40mL)の混合物を密封されたガラスチューブ中で140℃にて14時間加熱した。反応混合物を雰囲気温度まで冷却し、水で希釈し、クロロホルム(3×200mL)で抽出した。合わせたクロロホルム抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。ロータリー蒸発による溶媒の除去、続いての、アセトン−クロロホルム(1:9,v/v)で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより、8.10g(34.0%)の淡黄色油を得た。
【0140】
(4E)−N−メチル−5−(5−ブロモ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン
0℃の乾燥ピリジン(30mL)中の(4E)−5−(5−ブロモ)−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オール(3.14g,13.0ミリモル)の攪拌溶液に、塩化p−トルエンスルホニル(3.71g,19.5ミリモル)を添加した。反応混合物を雰囲気温度にて24時間攪拌した。ピリジンをロータリー蒸発によって除去した。トルエン(50mL)を残渣に添加し、引き続いて、ロータリー蒸発によって除去した。粗生成物を炭酸水素ナトリウムの飽和溶液(100mL)と共に攪拌し、クロロホルム(3×100mL)で抽出した。合わせたクロロホルム抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、ロータリー蒸発によって濃縮して、(4E)−5−(5−ブロモ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オールP−トルエンスルホネートを得た。得られたトシレートを過剰のメチルアミン(水中40%溶液)、エチルアルコール(10mL)で処理し、雰囲気温度において18時間攪拌した。得られた溶液をクロロホルム(3×100mL)で抽出した。合わせたクロロホルム抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。ロータリー蒸発による溶媒の除去、続いての、クロロホルム−メタノール(95:5,v/v)で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって、1.50g(45.0%)の淡黄色油を得た。
【0141】
試料No.7は2.026のlogPを呈し、そのような好都合なlogP値は、化合物が血液−脳関門を通過する能力を有することを示す。前記試料は284nMのKiを呈し、これは、化合物がある種のCNSニコチン性受容体に対する結合を呈することを示す。
【0142】
試料No.7は、ドーパミン放出に関して202nMのEC50値および18%のEmax値を呈し、これは、化合物が神経伝達物質放出を誘導し、それにより、公知のニコチン性薬理学を呈することを示す。前記試料はルビジウムイオン束アッセイにおいて0%のEmax値を呈し、これは、化合物があるCNSニコチン性受容体における選択的効果を示す。
【0143】
試料No.7は筋肉タイプの受容体において(100μMの濃度で)6%のEmaxを呈し、これは、化合物が筋肉タイプの受容体の活性化を誘導しないことを示す。前記試料は神経節タイプの受容体において(100μMの濃度で)8%のEmaxを呈する。化合物は、筋肉タイプおよび神経節タイプのニコチン性アセチルコリン受容体をいずれの有意な程度までも活性化することなくヒトCNS受容体を活性化する能力を有する。従って、CNS障害の治療における利用のための治療ウインドウが提供される。すなわち、あるレベルでは、化合物はCNS効果を有意な程度まで示すが、望ましくない筋肉または神経節効果をいずれの有意な程度までも示さない。
【0144】
実施例14
試料No.8は(4E)−N−メチルー5−(5−メトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンヘミガラクタレートであり、これは以下の技術に従って調製した。
【0145】
5−メトキシ−3−ブロモピリジン
乾燥メタノール中の3,5−ジブロモピリジン(20.00g,84.42ミリモル)、ナトリウムメトキシド(11.40g,211.06ミリモル)、および銅粉末(1g,3,5−ジブロモピリジンの5重量%)の混合物を密封したガラスチューブ中で150℃にて14時間加熱した。反応混合物を雰囲気温度まで冷却し、ジエチルエーテル(4×200mL)で抽出した。合わせたエーテル抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、ロータリー蒸発によって濃縮した。粗生成物を酢酸エチル−ヘキサン(1:9、v/v)で溶出する酸化アルミニウム上のカラムクロマトグラフィーによって精製した。選択された画分を合わせ、ロータリー蒸発によって濃縮し、9.40g(59.5%)の無色油が得られ、これは冷却に際して結晶化する傾向がある。
【0146】
(4E)−5−(5−メトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オール
5−メトキシ−3−ブロモピリジン(4.11g,21.86ミリモル)、4−ペンテン−2−オール(2.25g、26.23ミリモル)、酢酸パラジウム(II)(49mg,0,22ミリモル)、トリ−o−トリルホスフィン(266mg,0.87ミリモル)、トリエチルアミン(13.71mL,98.37ミリモル)、およびアセトニトリル(15mL)の混合物を密封したガラスチューブ中で140℃にて14時間加熱した。反応混合物を雰囲気温度にて冷却し、水で希釈し、クロロホルム(3×200mL)で抽出した。合わせたクロロホルム抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、ロータリー蒸発によって濃縮して、3.53g(70.3%)の淡黄色油を得た。
【0147】
(4E)−5−(5−メトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オールp−トルエンスルホネート
0℃の乾燥ピリジン(15mL)中の(4E)−5−(5−メトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オール(3.50g,18.13ミリモル)の攪拌溶液に、塩化p−トルエンスルホニル(6.91g,36.27ミリモル)を添加した。反応混合物を雰囲気温度にて24時間攪拌した。ピリジンをロータリー蒸発によって除去した。トルエン(50mL)を残渣に添加し、引き続いて、ロータリー蒸発によって除去した。粗成生物を、炭酸水素ナトリウムの飽和溶液(100mL)と共に攪拌し、クロロフォルム(3×100mL)で抽出した。合わせたクロロホルム抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、ロータリー蒸発によって濃縮して、5.25g(83.5%)の暗褐色粘性油を得た。
【0148】
(4E)−N−メチル−(5−メトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン
(4E)−5−(5−メトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オールp−トルエンスルホネート(5.00g,14.41ミリモル)、メチルアミン(150mL、水中40%溶液)、およびエチルアルコール(10mL)の混合物を雰囲気温度で18時間攪拌した。得られた溶液をクロロホルム(3×100mL)で抽出した。合わせたクロロホルム抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、ロータリー蒸発によって濃縮した。粗生成物を、酢酸メチル−メタノール(7:3,v/v)で溶出する酸化アルミニウム上のカラムクロマトグラフィーによって精製した。選択した画分を合わせ、ロータリー蒸発によって濃縮し、油を得た。真空蒸留によるさらなる精製によって、1.25g(41.8%)の無色油を得た。0.5mm Hgにおいて沸点90〜100℃。
【0149】
(4E)−N−メチル−5−(5−メトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンヘミガラクタレート
(4E)−N−メチル−5−(5−メトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン(1.20g,5.83ミリモル)を、60℃への加温の助けを借りてエチルアルコール(20mL)に溶解させた。温めた溶液をガラクタール酸(610mg,2.91ミリモル)で1度に処理し、続いて、水(0.5mL)を滴下した。いくらか不溶性物質を除去するために熱く保ちつつ、溶液を濾過した。濾液を雰囲気温度まで冷却した。得られた結晶を濾過し、無水ジエチルエーテルで洗浄し、40℃にて真空下で乾燥して、1.05g(58.0%)の白色結晶性粉末を得た。融点143〜145℃。
【0150】
試料No.8は2.025のlog Pを呈し、そのような好都合なlog P値は、化合物が血液−脳関門を通過できる能力を有することを示す。前記試料は22nMのKiを呈する。低い結合定数は、化合物がある種のCNSニコチン性受容体に対する良好な高い親和性結合を呈することを示す。
【0151】
試料No.8は、ドーパミン放出に対して、5000nMのEC50値および110%のEmax値を呈し、これは、化合物が神経伝達物質放出を効果的に誘導し、それにより、公知のニコチン性薬理学を呈することを示す。
【0152】
試料No.8は、筋肉タイプの受容体において(100μMの濃度で)10%のEmaxを呈し、化合物が筋肉タイプの受容体の活性化を誘導しないことを示す。試料は、神経節タイプの受容体において(100μMの濃度で)2%のEmaxを呈する。化合物は、筋肉タイプおよび神経節タイプのニコシン性アセチルコリン受容体をいずれの有意な程度までも活性化することなくヒトCNS受容体を活性化する能力を有する。従って、CNS障害の治療における利用のための治療ウインドウが提供される。すなわち、ある種のレベルにおいて、化合物はCNS効果を有意な程度まで示すが、望ましくない筋肉または神経節効果をいずれの有意な程度までも示さないことを示す。
【0153】
実施例15
試料No.9は(4E)−N−メチル−5−(5−エトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンヘミガラクタレートであり、これは以下の技術に従って調製した。
【0154】
5−エトキシ−3−ブロモピリジン
窒素雰囲気下、0〜5℃にて、ナトリウム(4.60g,200.0ミリモル)を無水エタノール(100mL)に添加し、攪拌混合物を18時間にわたって雰囲気温度まで加温した。得られた溶液に、3,5−ジブロモピリジン(31.50g,133.0ミリモル)を添加し、続いて、DMF(100mL)を添加した。混合物を70℃にて48時間加熱した。茶色混合物を冷却し、水(600mL)に注ぎ、エーテル(3×500mL)で抽出した。合わせたエーテル抽出物を乾燥し(Na2SO4)、濾過し、ロータリー蒸発によって濃縮し、46.70gの油を得た。真空蒸留による精製により、22.85g(85.0%)の油を得た。2.8mm Hgにおける沸点89〜90℃(文献沸点5mm Hgにおける沸点110℃、K.Clarke et al.,J.Chem.Soc.1885(1960)参照)。
【0155】
(4E)−N−メチル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−5−(5−エトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン
窒素雰囲気下、5−エトキシ−3−ブロモピリジン(1.20g,5.94ミリモル)、N−メチル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ペンテン−2−アミン(1.18g,5.94ミリモル)、酢酸パラジウム(II)(13.5mg,0.06ミリモル)、トリ−o−トリルホスフィン(73.1mg,0.24ミリモル)、トリエチルアミン(1.5mL,10.8ミリモル)、および無水アセトニトリル(3mL)の混合物を攪拌し、還流下で80〜85℃にて28時間加熱した。ベージュ色固体を含有する得られた混合物を雰囲気温度まで冷却し、水(20mL)で希釈し、CHCl3(3×20mL)で抽出した。合わせた淡黄色CHCl3抽出物を乾燥し(Na2SO4)、濾過し、ロータリー蒸発によって濃縮し、真空乾燥し、黄色油(1.69g)を得た。粗生成物を、酢酸エチル−ヘキサン(1:1,v/v)で溶出するシリカゲル(100g)上のカラムクロマトグラフィーによって精製した。生成物(Rf0.20)を含有する選択された画分を合わせ、ロータリー蒸発によって濃縮し、残渣を真空乾燥して0.67g(35.2%)の淡黄色油を得た。
【0156】
(4E)−N−メチル−5−(5−エトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン
窒素雰囲気下、アニソール(10mL)中の(4E)−N−メチル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−5−(5−エトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン(0.67g,2.09ミリモル)の冷(0〜5℃)攪拌溶液をトリフルオロ酢酸(10.40g,91.17ミリモル)で30分間にわたって滴下処理した。得られた溶液を0〜5℃にて45分間攪拌し、次いで、ロータリー蒸発によって濃縮した。高真空下で淡黄色油をさらに0.5mm Hgで乾燥した。得られた油を冷却し(0〜5℃)、10%NaOH溶液(10mL)で塩基性化し、飽和NaCl溶液(7.5mL)で処理し、CHCl3(4×10mL)で抽出した。合わせた淡黄色CHCl3抽出物を飽和NaCl溶液(20mL)で洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、ロータリー蒸発によって濃縮し、続いて、さらに0.5mm Hgで乾燥し、茶色油(0.46g)を得た。粗生成物は、CH3OH−Et3N(98:2),v/v)で溶出するシリカゲル(56g)上のカラムクロマトグラフィーによって精製した。生成物(Rf0.35)を含有する選択された画分を合わせ、ロータリーエバポレータで濃縮した。残渣をCHCl3に溶解させ、CHCl3溶液を乾燥し(Na2SO4)、濾過し、ロータリー蒸発によって濃縮し、真空乾燥して327.5mg(71.0%)の淡黄色油を得た。
【0157】
(4E)−N−メチル−5−(5−エトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンヘミガラクタレート
無水エタノール(2.3mL)中の(4E)−N−メチル−5−(5−エトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン(151.4mg,0.68ミリモル)の溶液にガラクタール酸(27.2mg,0.34ミリモル)を添加した。明るい茶色溶液を軽く加温しつつ、水(0.5mL)を滴下した。溶液をガラスウールを通じて濾過して、数個の不溶性粒子を除去し、フィルタープラグをエタノール−水(4:1,v/v)(1mL)で洗浄した。濾液をエタノール(3.4mL)で希釈し、雰囲気温度に冷却し、さらに5℃にて18時間冷却した。沈殿は形成されなかったので、溶液をロータリーエバポレータで濃縮した。得られた固体を高真空下で乾燥し、2−プロパノール−水から再結晶した。48時間の5℃での冷却の後、生成物を濾過し、冷2−プロパノールで洗浄し、45℃にて6時間乾燥した。雰囲気温度における18時間のさらなる真空乾燥により、168mg(76.1%)の白色〜オフホワイトの粉末を得た。融点141〜143.5℃。
【0158】
試料No.9は2.556のlog Pを呈し、そのような好都合なlog P値は、化合物が血液脳関門を通過する能力を有することを示す。前記試料は15nMのKiを呈する。低い結合定数は、化合物がある種のCNSニコチン性受容体に対する良好な高親和性結合を呈することを示す。
【0159】
試料No.9は、ドーパミン放出に対して、520nMのEC50値および85%のEmax値を呈し、これは、化合物が神経伝達物質の放出を効果的に誘導し、それにより、公知のニコチン性薬理学を呈することを示す。前記試料はルビジウムイオン束アッセイにおいて0%のEmax値を呈し、これは、化合物がある種のCNSニコチン性受容体において選択的な効果を呈することを示す。
【0160】
試料No.9は筋肉タイプの受容体において(100μMの濃度で)21%のEmaxを呈し、前記化合物が筋肉タイプの受容体の活性化を誘導しないことを示す。前記試料は神経節タイプの受容体において(100μMの濃度で)9%のEmaxを呈する。前記化合物は、筋肉タイプおよび神経節タイプのニコチン性アセチルコリン受容体をいずれの有意な程度までも活性化することなくヒトCNS受容体を活性化する能力を有する。従って、CNS障害の治療の利用における治療ウインドウが提供される。すなわち、あるレベルにおいて、化合物はCNS効果を有意な程度まで示すが、望ましくない筋肉または神経節効果をいずれの有意な程度までも示さない。
【0161】
実施例16
試料No.10は(4E)−N−メチル−5−(6−アミノ−5−メチル−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンであり、これは以下の技術に従って調製した。
【0162】
(4E)−N−メチル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−5−(6−アミノ−5−メチル−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン
2−アミノ−5−ブロモ−3−メチルピリジン(1.41g,7.53ミリモル)、N−メチル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ペンテン−2−アミン(1.50g,7.53ミリモル)、酢酸パラジウム(II)(33.8mg,0.15ミリモル)、トリ−o−トリルホスフィン(183.2mg,0.60ミリモル)、トリエチルアミン(4.50mL,32.3ミリモル)、および無水アセトニトリル(8mL)の混合物を攪拌し、密封したガラスチューブ中で130〜132℃にて18時間加熱した。混合物をさらに140℃にて84時間加熱した。得られた暗褐色の溶液を雰囲気温度まで冷却し、ロータリー蒸発によって濃縮した。残渣を水(25mL)で希釈し、CH2Cl2(3×25mL)で抽出した。合わせたCH2Cl2抽出物を乾燥し(Na2SO4)、濾過し、ロータリー蒸発によって濃縮し、真空乾燥し、暗褐色油(2.84g)を得た。粗生成物を、酢酸エチル−ヘキサン(3:1,v/v)で溶出するシリカゲル(135g)上のカラムクロマトグラフィーによって精製して、不純物を除去し、続いて、CH3OH−Et3N(98:2,v/v)で溶出して生成物を収集した。生成物(Rf0.70)を含有する画分を合わせ、CHCl3に溶解させた。CHCl3溶液を乾燥し(Na2SO4)、濾過し、ロータリー蒸発によって濃縮し、真空乾燥して1.11g(48.4%)の琥珀色−茶色油を得た。
【0163】
(4E)−N−メチル−5−(6−アミノ−5−メチル−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン
窒素雰囲気下、トリフルオロ酢酸(17.76g,155.76ミリモル)を付加漏斗を介して30分間にわたってアニソール(15mL)中の(4E)−N−メチル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−5−(6−アミノ−5−メチル−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン(1.11g,3.47ミリモル)の冷(0〜5℃)攪拌溶液に滴下した。得られた溶液を0〜5℃にて45分間攪拌し、次いでロータリー蒸発によって濃縮した。粘性茶色油をさらに高真空下で18時間乾燥した。粗生成物を冷却し(0〜5℃)、10%NaOH溶液(10mL)で塩基性化し、飽和NaCl溶液(10mL)で処理し、CHCl3(5×10mL)で抽出した。合わせたCHCl3抽出物を乾燥し(Na2SO4)、濾過し、ロータリー蒸発によって濃縮し、続いて、高真空下でさらに乾燥して暗褐色油を得た。粗生成物を、CHCl3−CH3OH−Et3N(4:1:1,v/v/v)で溶出するシリカゲル(50g)上のカラムクロマトグラフィーによって精製した。生成物(Rf0.13)を含有する選択された画分を合わせ、ロータリー蒸発によって濃縮し、残渣をCHCl3−CH3OH(7:3,v/v)で溶出するシリカゲル(50g)でのクロマトグラフィーに再度残渣を供した。生成物(Rf0.12)を含有する画分を合わせ、ロータリー蒸発によって濃縮した。残渣をCHCl3に溶解し、CHCl3溶液を乾燥し(Na2SO4)、濾過し、ロータリー蒸発によって濃縮し、真空乾燥して黄色油(0.087g)が得られ、これは結晶化する傾向があった。半結晶性物質を、少量の酢酸エチルを含有するヘキサンの温かい溶液に溶解させた。温かい溶液を不溶性ガムからデカントした。溶液を雰囲気温度まで冷却し、さらに5℃にて18時間冷却した。得られた結晶性固体を収集し、ヘキサンで洗浄し、40℃にて16時間乾燥した。収率は淡黄色粉末の30.8mg(4.3%)であった。融点78〜81℃。
【0164】
試料No.10は1.333のlog Pを呈し、そのような好都合なlog P値は、化合物が血液脳関門を通過する能力を有することを示す。試料は720nMのKiを呈する。結合定数は、化合物がある種のCNSニコチン性受容体に対して高い親和性結合を呈することを示す。
【0165】
試料No.10は、ドーパミン放出に対して、100000nMのEC50値および200%のEmax値を呈し、これは、化合物が神経伝達物質放出を誘導し、それにより、公知のニコチン性薬理学を呈することを示す。
【0166】
試料No.10は筋肉タイプの受容体において(100μMの濃度で)0%のEmaxを呈し、これは、化合物が筋肉タイプの受容体の活性化を誘導しないことを示す。試料は神経節タイプの受容体において(100μMの濃度で)0%のEmaxを呈する。化合物は、筋肉タイプおよび神経節ニコチン性アセチルコリン受容体をいずれの有意な程度までも活性化することなくヒトCNS受容体を活性化する能力を有する。従って、CNS障害の治療における利用のための治療ウインドウが提供される。
【0167】
実施例17
試料No.11は(4E)−N−メチル−5−(5−ピリミジニル)−4−ペンテン−2−アミンヘミガラクタレートであり、これは、以下の技術に従って調製した。
【0168】
(4E)−N−メチル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−5−(5−ピリミジニル)−4−ペンテン−2−オール
ガラス圧力チューブに5−ブロモピリミジン(1.28g,8.05ミリモル)、N−メチル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ペンテン−2−アミン(1.60g,8.05ミリモル)、酢酸パラジウム(II)(18.1mg,0.08ミリモル)、トリ−o−トリルホスフィン(98.6mg,0.32ミリモル)、トリエチルアミン(3.00mL,21.5ミリモル)、および無水アセトニトリル(6mL)の混合物をチャージした。チューブを窒素でフラッシュし、密封した。混合物を攪拌し、90℃にて6時間加熱し、続いて、さらに110℃にて24時間加熱した。得られた茶色混合物を雰囲気温度まで冷却し、ロータリー蒸発によって濃縮した。茶色残渣を水(25mL)で希釈し、CH2Cl2(3×25mL)で抽出した。合わせたCH2Cl2抽出物を乾燥し(Na2SO4)、濾過し、ロータリー蒸発によって濃縮し、真空乾燥して暗褐色油(2.24g)を得た。粗生成物を、酢酸エチル−ヘキサン(3:1,v/v)で溶出するシリカゲル(120g)上のカラムクロマトグラフィーによって精製した。生成物(Rf0.21)を含有する画分を合わせ、ロータリー蒸発によって濃縮し、真空乾燥して、1.05g(46.9%)の淡黄色油を得た。
【0169】
(4E)−N−メチル−5−(5−ピリミジニル)−4−ペンテン−2−オール
窒素雰囲気下、CHCl3(55mL)中の(4E)−N−メチル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−5−(5−ピリミジニル)−4−ペンテン−2−オール(881.2mg,3.18ミリモル)の攪拌溶液を、ヨードトリメチルシラン(1.41g,7.03ミリモル)で雰囲気温度にて滴下処理した。得られた溶液を30分間攪拌した。メタノール(55mL)を添加し、溶液をさらに11時間攪拌し、ロータリー蒸発によって濃縮した。氷−浴を冷却しつつ、残渣を10%NaOH溶液(10mL)で塩基性化し、飽和NaCl溶液(10mL)で処理し、CHCl3(8×10mL)で抽出した。合わせたCHCl3抽出物を乾燥し(Na2SO4)、濾過し、ロータリー蒸発によって濃縮し、続いて、さらに高真空下で乾燥し、明るい茶色油(0.50g)を得た。粗生成物を、CH3OH−NH4OH(20:1,v/v)で溶出するシリカゲル(50g)上のカラムクロマトグラフィーによって精製した。生成物(Rf0.43)を含有する画分を合わせ、ロータリー蒸発によって濃縮し、残渣をCHCl3に溶解させた。CHCl3溶液を乾燥し(Na2SO4)、濾過し、ロータリー蒸発によって濃縮し、真空乾燥して306.4mg(54.4%)の明るい琥珀色油を得た。
【0170】
(4E)−N−メチル−5−(5−ピリミジニル)−4−ペンテン−2−アミンヘミガラクタレート
無水エタノール(2.3mL)中の(4E)−N−メチル−5−(5−ピリミジニル)−4−ペンテン−2−アミン(258.6mg,1.46ミリモル)の温かい溶液に、ガラクタール酸(153.3mg,0.73ミリモル)を添加した。水(0.8mL)を添加し、溶液を、固体のほとんどが溶解するまで、還流近くまで加熱した。溶液をガラスウールを通じて濾過して、数個の白い不溶性粒子を除去し、フィルタープラグをエタノール−水の温かい溶液(4:1,v/v)(1.1mL)で洗浄した。濾液をエタノール(6.5mL)で希釈し、雰囲気温度まで冷却し、さらに5℃にて48時間冷却した。白色沈殿を濾過し、冷たいエタノールで洗浄し、40℃にて18時間真空乾燥した。収率はフワフワした白色結晶性粉末の390.6mg(94.8%)であった。融点164〜167℃。
【0171】
試料No.11は0.571のlog Pを呈することが測定され、そのような好都合なlog P値は、化合物が血液脳関門を通過する能力を有することを示す。試料は179nMのKiを呈する。低い結合定数は、化合物がある種のCNSニコチン性受容体に対して良好な高い親和性の結合を呈することを示す。
【0172】
試料No.11は、ドーパミン放出に対して、1500nMのEC50値および80%のEmax値を呈し、これは、化合物が神経伝達物質放出を効果的に誘導し、それにより、公知のニコチン性薬理学を呈することを示す。試料はルビジウムイオン束アッセイにおいて100000nMのEC50値および0%のEmax値を呈し、これは、化合物がある種のCNSニコチン性受容体において選択的効果を呈することを示す。
【0173】
試料No.11は筋肉タイプの受容体において(100μMの濃度で)0%のEmaxを呈し、これは、化合物が筋肉タイプの受容体の活性化を誘導しないことを示す。前記試料は、神経節タイプの受容体において(100μMの濃度で)13%のEmaxを呈する。化合物は、筋肉タイプおよび神経節タイプのニコチン性アセチルコリン受容体をいずれの有意な程度までも活性化することなくヒトCNS受容体を活性化する能力を有する。従って、CNS障害の治療における利用のための治療ウインドウが提供される。
【0174】
実施例18
試料12は(4E)−N−メチル−5−(1−オキソ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンであり、これは以下の技術に従って調製した。
【0175】
(4E)−N−メチル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン
乾燥THF(7mL、ナトリウムおよびベンゾフェノンから新たに蒸留)中の(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン(140.6mg,0.798ミリモル)の溶液を0℃まで冷却し、窒素雰囲気下、ジ−tert−ブチルジカルボネート(191.5mg,0.878ミリモル)で処理した。得られた混合物を攪拌し、雰囲気温度まで16時間にわたって温めた。溶液をロータリー蒸発によって濃縮し、高真空下で1時間乾燥し、黄色油(226.1mg)を得た。粗生成物を、CHCl3−CH3OH(95:5,v/v)で溶出するシリカゲル(20g,Merck 70〜230メッシュ)上のカラムクロマトグラフィーによって精製した。生成物(Rf0.48)を含有する選択された画分を合わせ、ロータリー蒸発によって濃縮し、1mm Hgにおいて軽く真空乾燥して217.9mg(98.8%)の黄色油を得た。
【0176】
(4E)−N−メチル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−5−(1−オキソ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン
CH2Cl2(5mL)中の(4E)−N−メチル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン(216.7mg,0.784ミリモル)の氷冷(0℃)溶液を(3−クロロペルオキシ安息香酸)(154.7mg,0.511−0.771ミリモル)(57〜86%純度)で一同に処理した。0℃で30分間攪拌した後、TLC分析は不完全な反応(Boc−保護アミンについてのRf0.5、Boc−保護アミンN−オキシドについてのRf0.08〜0.15)を示し、さらなる3−クロロペルオキシ安息香酸(64.7mg,0.214−0.322ミリモル)を添加した。5℃における16時間の貯蔵後、溶液を1M NaOH溶液(10mL)および10%NaHSO3溶液(2mL)で処理した。CH2Cl2相を分離し、水性相をCH2Cl2(2×5mL)で抽出した。全てのCH2Cl2抽出物を合わせ、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、ロータリー蒸発によって濃縮し、1.5mm Hgにおいて軽く真空乾燥して、221.6mg(96.7%)の黄色油を得た。
【0177】
(4E)−N−メチル−5−(1−オキソ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン
窒素雰囲気下、アニソール(2.5mL)中の(4E)−N−メチル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−5−(1−オキソ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン(215.9mg,0.738ミリモル)の冷(0℃)攪拌溶液をトリフルオロ酢酸(2.5mL,32.5ミリモル)で3分間にわたって滴下処理した。得られた淡黄色溶液を0〜5℃にて45分間攪拌し、次いで、70℃の水浴を用いるロータリー蒸発によって濃縮した。得られた液体を0.5mm Hgにて16時間真空乾燥して、淡黄色油(302.5mg)を得た。前記油を0〜5℃にて1M NaOH溶液(2mL)で塩基性化し、続いて、飽和NaCl溶液(2mL)で処理した。混合物をCHCl3(14×5mL)で抽出した。合わせたCHCl3抽出物を乾燥し(Na2SO4)、濾過し、ロータリー蒸発によって濃縮し、真空乾燥して143.8mg(定量的収率)の茶色のシロップ状の半固体を得た(CH3OH−Et3N(97:3,v/v中のRf0.23)。
【0178】
試料No.12は5900nMのKiを呈する。結合定数は、化合物がある種のCNSニコチン性受容体に対する結合を呈することを示す。前記試料は9%の神経伝達物質放出Emax値を呈する。
【0179】
試料No.12は筋肉タイプの受容体において(100μMの濃度で)0%のEmaxを呈し、これは、化合物が筋肉タイプの受容体の活性化を誘導しないことを示す。試料は神経節タイプの受容体において(100μMの濃度で)8%のEmaxを呈する。化合物は筋肉タイプおよび神経節タイプのニコチン性アセチルコリン受容体をいずれの有意な程度までも活性化することなくヒトCNS受容体を活性化する能力を有する。従って、CNS障害の治療における利用のための治療ウインドウが提供される。すなわち、あるレベルにおいて、化合物はCNS効果を有意な程度まで示すが、望ましくない筋肉または神経節効果をいずれの有意な程度までも示さない。
【0180】
実施例19
試料No.13は(4E)−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンヘミガラクタレートであり、これは以下の技術に従って調製した。
【0181】
N−(1−ペンテン−4−イル)フタルイミド
0℃にて、窒素下、THF(40mL)中の4−ペンテン−2−オール(5.00g,58.1ミリモル)、フタルイミド(8.55g,58.1ミリモル)およびトリフェニルホスフィン(15.2g,58.1ミリモル)の攪拌溶液に、THF(20mL)中のアゾジカルボン酸ジエチル(10.1g,58.1ミリモル)の溶液を滴下した。混合物を0℃にて(12時間)および次いで25℃にて(12時間)攪拌した。混合物を水で希釈し、クロロホルムで3回抽出した。クロロホルム抽出物を乾燥し(Na2SO4)、蒸発させ、クロロホルムを用いるMerckシリカゲル60(70〜230メッシュ)上のカラムクロマトグラフィーに付して、8.77g(70.2%収率)の無色油を得た。
【0182】
(4E)−N−フタロイル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン
酢酸パラジウム(II)(2.2mg,0.010ミリモル)、トリ−o−トリルホスフィン(12mg,0.040ミリモル)、3−ブロモ−5−イソプロポキシピリジン(216mg,1.00ミリモル)、およびN−(4−(1−ペンテン)イル)フタルイミド(215mg,1.00ミリモル)の混合物をアセトニトリル(1.0mL)およびトリエチルアミン(0.5mL)で希釈し、窒素下で25時間加熱した(油浴中80℃)。混合物を冷却し、水(5mL)に注ぎ、クロロホルム(3×5mL)で抽出した。抽出物を乾燥し(Na2SO4)、蒸発させ、1:1:3(v/v)酢酸エチル/クロロホルム/ヘキサンを用いる15gのMerckシリカゲル60(70〜230メッシュ)上のカラムクロマトグラフィーに付して268mg(76.6%収率)の非常に粘性な淡黄色油を得た。
【0183】
(4E)−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン
(4E)−N−フタロイル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン(258mg,0.736ミリモル)をメタノール(4mL)に溶解させ、ヒドラジン水和物(0.15mL,3.1ミリモル)で処理し、窒素下で25℃にて36時間攪拌した。次いで、反応混合物を1M NaOH溶液(15mL)および飽和NaCl溶液(15mL)の混合物に注ぎ、ベンゼン(3×15mL)で抽出した。ベンゼン抽出物を乾燥し(Na2SO4)、蒸発させ、ベンゼン中の5〜10%(v/v)メタノール、2.5%(v/v)トリエチルアミンを用いる7gのMerckシリカゲル60(70〜230メッシュ)上のカラムクロマトグラフィーに付した。これにより118mg(72.8%収率)の淡黄色油を得た。
【0184】
(4E)−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンヘミガラクタレート
(4E)−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン(112mg,0.508ミリモル)をメタノール(2.5mL)に溶解させ、ガラクタール酸(53mg,0.25ミリモル)および水(0.20mL)で処理した。混合物をわずかに温め、ガラスウールプラグを通じて濾過し、0℃までゆっくりと冷却し、その温度にてそれを48時間そのままにした。真空濾過および真空オーブン乾燥(40℃,24時間)により53mgの白色固体(融点171.5〜173.5℃)を得た。50mgおよび5mg(各々、融点170〜173℃および169〜172℃)の第2および第3収量を、上澄みを濃縮し、合計収率を108mg(65.5%収率)とすることによって単離した。3つの塩試料を100%エタノールと共にスラリー化し、冷却し、濾過して27mgの微細な白色粉末の分析試料を得た。融点170〜172℃。
【0185】
試料No.13は413nMのKiを呈する。結合定数は、ある種のCNSニコチン性受容体に対する結合を呈することを示す。
【0186】
試料No.13は筋肉タイプの受容体において(100μMの濃度で)13%のEmaxを呈する。試料は神経節タイプの受容体において(100μMの濃度で)5%のEmaxを呈する。前記試料は32%の神経伝達物質Emaxを呈する。
【0187】
実施例20
試料No.14は(4E)−N−メチル−5−(6−ヒドロキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンオキサレートであり、これは以下の技術に従って調製した。
【0188】
(4E)−N−メチル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−5−(6−メトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン
185mLのAce−Glass圧力チューブに5−ブロモ−2−メトキシピリジン(2.80g,14.9ミリモル)、N−メチル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ペンテン−2−アミン(2.97g,14.9ミリモル)(以前に記載したように調製した)、酢酸パラジウム(II)(33.4mg,0.149ミリモル)、トリ−o−トリルホスフィン(181mg,0.596ミリモル)、トリエチルアミン(5mL)およびアセトニトリル(10mL)をチャージした。チューブを窒素でフラッシュし、密封し、混合物を攪拌し、95℃(油浴温度)にて18時間加熱した。チューブ内容物を冷却し、より多い酢酸パラジウム(II)(33.4mg,0.149ミリモル)およびトリ−o−トリルホスフィン(181mg,0.596ミリモル)を添加した。混合物をさらに攪拌し、94℃にて20時間加熱した。TLC分析(ヘキサン−酢酸エチル(2:1)は5−ブロモ−2−メトキシピリジンの存在を示した。従って、より多い酢酸パラジウム(II)(33.4mg,0.149ミリモル)およびトリ−o−トリルホスフィン(181mg,0.596ミリモル)を添加し、混合物を95℃にてさらに20時間加熱した。混合物を冷却し、ロータリーエバポレータを介して濃縮した。残渣を水(35mL)で希釈し、ジクロロメタン(50mL,2×35mL)で抽出した。合わせたジクロロメタン抽出物を乾燥し(Na2SO4)、濾過し、真空下で濃縮して明るい茶色の油の半固体(5.61g)を得た。粗生成物を、ヘキサン−酢酸エチルグラジエント(64:1→6:1)で溶出するシリカゲル(70〜230メッシュ)(200g)上のカラムクロマトグラフィーによって精製した。生成物(ヘキサン−酢酸エチル(6:1)中Rf0.28)を合わせ、真空下で濃縮して2.36gの油状黄色半固体を得た。不純な画分を合わせ、濃縮して1.48gの明るい黄色油を得た。この物質を以前に記載されたヘキサン−酢酸エチルグラジエント64:1→6:1)で溶出するシリカゲル(70〜230メッシュ)(95g)上のクロマトグラフィーに再度付した。生成物を含有する全ての画分を合わせ、真空下で濃縮して0.85gの淡黄色油が得られ、全収率は2.915(63.9%)となった。
【0189】
(4E)−N−メチル−5−(6−メトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン
窒素雰囲気下、ジクロロメタン(20mL)中の(4E)−N−メチル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−5−(6−メトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−ミン(2.90g,9.45ミリモル)の冷(0〜5℃)攪拌溶液をトリフルオロ酢酸(15mL)で15分間にわたって滴下処理した。30分間攪拌した後、溶液を黄色−オレンジ色油まで濃縮した。残渣を飽和NaCl水溶液(15mL)で希釈し、0〜5℃まで冷却し、10%NaOH水溶液(22mL)で塩基性化した。混合物をCHCl3(5×25mL)で抽出した。合わせたCHCl3抽出物を乾燥し(Na2SO4)、濾過し、真空下で濃縮して淡黄色油(1.88g)を得た。粗生成物を、CH3OH−NH4OH段階グラジエント(25:1の増分での100:1→15:1)で溶出するシリカゲル(70〜230メッシュ)(150g)上のカラムクロマトグラフィーによって精製した。生成物(CHCL3−CH3OH−Et3N(50:1:1)中Rf0.28)を含有する画分を、不純物(Rf0.35)を含有するものからずっと離し、合わせ、濃縮して0.76gの淡黄色油を得た。不純な画分を合わせ、濃縮して1.20gの淡黄色油を得た。後者の物質を、同一CH3OH−NH4OHグラジエント溶出プロトコルを用いて新しいシリカゲルカラム(75g)上のクロマトグラフィーに再度付した。不純物画分を合わせ、濃縮して1.08gの淡黄色油を得た。後者の物質を、CHCl3−CH3OH−Et3N段階グラジエント(各々1%Et3Nを含有するグラジエント工程でのCHCl3−CH3OH中の16:1→1:1)を用いる新しいシリカゲルカラム(45gおよび25g)上のクロマトグラフィーに再度付した(6回)。生成物を含有する全ての画分を合わせ、真空下で濃縮して1.368g(70.2%)の淡黄色油を得た。
【0190】
(4E)−N−メチル−5−(6−ヒドロキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン
(4E)−N−メチル−5−(6−メトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン(0.385g,1.86ミリモル)を48%HBr(30mL)に溶解させ、溶液を激しい還流下で(120〜130℃)17時間加熱した。反応混合物をロータリー蒸発によって濃縮して〜5mL容量とし、次いで、飽和水性NaHCO3で中和した。混合物を蒸発させ、塩および所望の生成物の1.49gの混合物を得た。これをシリカゲルカラム(32g)に置き、これを、50:1のメタノール/アンモニア水で溶出させた。選択された画分の濃度は0.264gの明るい茶色粘性油を得た。GCMS分析は、試料が91%の所望の物質であったことを示した(67%の修正された収率)。
【0191】
(4E)−N−メチル−5−(6−ヒドロキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンオキサレート
(4E)−N−メチル−5−(6−ヒドロキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン(91%の0.263g,1.23ミリモル)を温かい無水エタノール(3mL)に溶解させ、温かい無水エタノール(4.5mL)中のシュウ酸(0.110g,1.23ミリモル)と合わせた。溶液を4℃にて1時間冷却し、その間、油状物質が沈積した。エタノールを蒸発させて暗褐色油が得られ、これを2−プロパノール(3mL)と合わせた。この混合物(不均一)を、無水エタノールを滴下しつつ還流した。一旦均一となれば、フラスコの壁をスパチュラで掻き落としつつ、混合物を雰囲気温度まで冷却した。黄褐色沈殿が形成された。混合物を4℃にて一晩維持し、濾過した。濾過ケーキを冷2−プロパノールと洗浄し、48時間真空乾燥した(40℃)。得られた黄褐色粉末は0.248g(71%収率)の重量であった。融点174〜175.5℃。
【0192】
試料No.14は32.5μMのKiを呈する。
【0193】
実施例21
試料No.15は(4E)−5−(5−ピリミジニル)−4−ペンテン−2−アミン塩酸塩であり、これは以下のスキームに従って調製した。
【化7】

【0194】
(R)−プロピレンオキシドを塩化ビニルマグネシウムと反応させて、(塩化マグネシウム塩としての)(S)−ペント−1−エン−4−オキシドが形成され、これをトシル化して(トシル=p−トルエンスルホニル)、トシル化された中間体(S)−ペント−1−エン−4−オールトシレートを形成した。次いで、トシレート基をフタルイミドで置き換えた。得られたフタルイミド化中間体を、Heckタイプのカップリング反応におけるパラジウム触媒の存在下で5−ブロモピリジンと反応させた。次いで、フタルイミド保護基をヒドラジンおよび塩酸との反応によって除去して、遊離アミンを塩酸塩として得た。
【0195】
本明細書中に記載の文献および特許の各々は、本明細書に参照して組み込む。前記したのは本発明の例示であって、それを限定するものと解釈されるべきではない。本発明は、特許請求の範囲によって定義され、特許請求の範囲の同等物はそこに含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(4Z)−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンまたはその医薬上許容される塩を実質的に含まない、(4E)−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンまたはその医薬上許容される塩。
【請求項2】
(2R)−(4Z)−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンもしくはその医薬上許容される塩、(2S)−(4Z)−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンもしくはその医薬上許容される塩、または(2R)−(4E)−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンもしくはその医薬上許容される塩を実質的に含まない、(2S)−(4E)−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンまたはその医薬上許容される塩。

【公開番号】特開2011−144192(P2011−144192A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51171(P2011−51171)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【分割の表示】特願2004−542034(P2004−542034)の分割
【原出願日】平成15年10月1日(2003.10.1)
【出願人】(501054735)ターガセプト,インコーポレイテッド (37)
【Fターム(参考)】