コンクリートダムの漏水検査漏水処理方法及びコンクリートダムの漏水検査漏水処理方法に使用する装置
【課題】ダム貯水湖2の水面下では移動自在な注入ボックス5を用いて漏水箇所の特定を行うことにより、漏水元を極めて容易に特定でき、大掛かりな装置を必要としないため低コスト化を実現可能とする。
【解決手段】下面を開口し下部に弾性スカート6を設けた注入ボックス5と、タンク18と、タンク18と他端が連通接続した注入配管19へタンク18内に入れた液状物を送り出すためのポンプ17を具備してなる注入装置と、注入ボックス5を上下方向に移動するための巻き上げ装置とよりなる。注入配管19から送られてきた液状物が注入ボックス5の内側に注入可能に、注入ボックス5上面内側には注入配管19の一端が開口連通接続され、ダム堰堤1には滑車22を取り付け、滑車22に巻胴20に巻着されたロープ21を懸回して垂下させ、ロープ21外端に注入ボックス5を取り付け、巻胴20に巻着したロープ21により注入ボックス5を上下方向に移動させる。
【解決手段】下面を開口し下部に弾性スカート6を設けた注入ボックス5と、タンク18と、タンク18と他端が連通接続した注入配管19へタンク18内に入れた液状物を送り出すためのポンプ17を具備してなる注入装置と、注入ボックス5を上下方向に移動するための巻き上げ装置とよりなる。注入配管19から送られてきた液状物が注入ボックス5の内側に注入可能に、注入ボックス5上面内側には注入配管19の一端が開口連通接続され、ダム堰堤1には滑車22を取り付け、滑車22に巻胴20に巻着されたロープ21を懸回して垂下させ、ロープ21外端に注入ボックス5を取り付け、巻胴20に巻着したロープ21により注入ボックス5を上下方向に移動させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダム貯水湖の貯水量とは無関係に漏水箇所を特定し、漏水処理を行うコンクリートダムの漏水検査漏水処理方法及びコンクリートダムの漏水検査漏水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリートダムは構築法にもよるが、横継ぎ目や水平打ち継ぎ目等の継ぎ目を有する。構築されたコンクリートダムは、ダム構築後に、ダム貯水湖からの水圧によるダムの撓みや寒冷等により、横継ぎ目や水平打ち継ぎ目にクラックが発生し、このクラックから漏水が生じる場合がある。構築されたダム堰堤の湛水後の漏水箇所の特定及び漏水処理作業等にダム関係者は苦慮していた。
【0003】
従来、ダム構築後の漏水箇所の特定作業は、先ずは湛水を行い、次にダムの上流側である貯水湖の漏水元と推測される付近にフローレッセン、食紅、墨汁等の着色剤を流し、ダムの監査廊の継ぎ目排水管に前記着色剤により着色された着色水が排水される箇所を漏水箇所として特定していた。そして、継ぎ目沿いに間詰め材を貯水湖に投入し、漏水箇所の水の吸い込み作用(漏水圧)を利用して漏水が生じているクラック部分に間詰め材を吸引させて充填するか、若しくは漏水元のクラックに注入孔を穿設し、高圧で間詰め材をクラックに注入充填するかの何れかの漏水処理方法を採用していた。
前記漏水検査方法であると、フローレッセン、食紅、墨汁等の漏水箇所特定のための着色剤の逸散が激しく、前記着色剤がダム外壁面や監査廊の排水溝等に付着し、特に墨汁は膠を含有しているため、一旦構造物に付着した着色剤を除去することは極めて困難で、検査の回数を重ねるごとにダムが着色剤で汚れ不潔感を有する外観を呈するようになるという欠点があった。
上記漏水処理においては、間詰め材として特殊セメントを使用するため、非経済的で品質管理も困難であり、特に高分子系材料はコンクリートとの相性が悪いため、高分子系材料を漏水元クラックに完全に充填することは困難であり、結果的に漏水の低減化を図ることは極めて非現実的であった。又、クラックに間詰め剤を注入するための円形注入孔を新たに穿設することによりダムの外壁に損傷を与え外観が悪くなるという欠点があった。
【0004】
又、前記方法とは別の方法として、ダムの湛水前に、ダムの上流側の総ての継ぎ目に着色剤注入装置を取り付け、その後ダム貯水湖に湛水し、次に着色剤を水で希釈した着色水を注入装置に注入し、漏水箇所の水の吸い込み作用を利用して監査廊の排水管に着色水が排水される箇所を漏水箇所として特定し、そこに間詰め材を注入して漏水を低減させる方法が提案されていた。
しかしながら、この方法であると、総ての継ぎ目に注入装置を設置する作業や、水中での注入装置の撤去作業に多大な手間を要し、作業の高コスト化を招いていた。又、湛水前の注入装置の設置後からダムを湛水状態にするまでに時間を要するという欠点があった。
【0005】
上記何れの方法も漏水確認作業はダムに湛水した状態で行うため、ダムに所定量の水を湛水するまでに長時間を要し、漏水箇所が特定されても漏水処理を水面下で行うには技術的に困難であるという欠点があった。
【0006】
上記従来例の有する欠点に鑑みて、漏水検査及び漏水処理を湛水前に行う方法が提案されている。詳しくは、湛水前に一定圧の窒素ガスを注入管を介して主及び副止水板間に注入しながら継ぎ目の上流側の継ぎ目に沿って石鹸水を塗布し、継ぎ目にクラックがあれば、クラック部分から窒素ガスが出て塗布された石鹸水により半球状のシャボン玉が形成され、このシャボン玉形成位置を漏気位置と特定し、シャボン玉の大きさより漏気処理が必要と判断したときは、継ぎ目のクラックにセメントミルクを無圧注入して充填し、その表面上をシリコーン樹脂で被覆するものである(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の発明は、ダム貯水湖に湛水後は適用不可能であるという問題点があった。
【特許文献1】特開2003−307464号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願発明は上記従来技術の有する問題点に鑑みて創案されたものであって、ダム貯水湖の水面下では移動自在な注入ボックスを用いて漏水箇所の特定を行うことにより、漏水元を極めて容易に特定でき、大掛かりな装置を必要としないため低コスト化を図り得り、あらゆる構造のコンクリートダムに適用可能なコンクリートダムの漏水検査止水方法及びコンクリートダムの漏水検査止水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明のうち請求項1に記載の発明は、横継ぎ目と水平打ち継ぎ目に止水材を介在させて連結構築されたコンクリートダムの貯水面下方の水中部におけるコンクリートダムの漏水検査漏水処理方法において、ダム堰堤の上流側から前記横継ぎ目若しくは前記水平打ち継ぎ目に沿って注入ボックスの開口をダム堰堤に密着配設し、該密着配設状態下で注入ボックスの内側に着色水を貯水面上方から送り込んだ後、ダム堰堤監査廊内の継ぎ目排水管からの着色水の排水により漏水箇所を特定し、前記継ぎ目排水管からの着色水の排水を確認したる後は、漏水箇所を再特定するために、貯水面上方から前記注入ボックスの内側に気泡剤を注入すると共に、漏水箇所の漏水度合いを調査するために、前記気泡剤の注入ボックスへの注入開始から前記継ぎ目排水管からの気泡剤排出までに要する時間を測定し、次に、前記注入ボックス内側を洗浄し、前記特定された漏水箇所を覆うように前記注入ボックスの開口をダム堰堤に密着配設後、ダム貯水湖の水面上方から前記注入ボックスへ間詰め材を注入し、漏水圧を利用して前記漏水箇所に前記間詰め材を充填するようにしたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、上記間詰め材が、セメント又は/及び珪酸塩を含む止水剤よりなることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、下面を開口した注入ボックス本体の下部に弾性スカートを設けてなる注入ボックスと、タンクと、該タンクと他端が連通接続した注入配管へ前記タンク内に入れた液状物を送り出すためのコンプレッサーと、ポンプを具備してなる注入装置と、前記注入ボックスを上下方向に移動するための巻き上げ装置とよりなり、前記注入配管から送られてきた液状物が前記注入ボックス内側に注入可能に、前記注入ボックス上面内側には前記注入配管の一端が開口連通接続され、ダム堰堤には滑車を取り付け、該滑車に巻胴に巻着されたロープを懸回して垂下させ、前記ロープ外端に前記注入ボックスを取り付け、前記巻胴に巻着したロープにより前記注入ボックスを上下方向に移動させるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本願発明は、ダム堰堤の継ぎ目に沿って注入ボックスを移動させて漏水箇所を特定するため大掛かりな装置を必要とせず、簡単な装置で短時間で漏水箇所特定作業を行い得ると共に、作業の低コスト化を図り得るという効果がある。
本願発明は、ダム堰堤に注入孔を設けることなく、漏水圧を利用して間詰め材を漏水箇所に充填するため、ダム堰堤に損傷を与えることなく作業を終了することが可能であるという効果がある。
ダム貯水湖の水面上と水面下で漏水検査方法及び漏水処理方法を異ならしめることにより、ダムの貯水量とは無関係に漏水箇所を特定し、作業性の向上を図り得るという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
ダム貯水湖の水中におけるダム堰堤の継ぎ目に、注入ボックスの開口を密接した状態で注入ボックス内に着色剤を注入し、監査廊内の継ぎ目排水管からの着色水の排水を確認後、漏水箇所再確認の為に漏水が確認された箇所では注入ボックス内に気泡剤を注入して気泡剤の排出確認及び排出時間を測定する作業を、順次注入ボックスを継ぎ目に沿って移動させて行っていくことで漏水検査作業を簡便化して作業性の向上を実現し、又、注入ボックスに間詰め材を注入することで漏水箇所への漏水処理後の止水率の向上を実現した。
【実施例1】
【0011】
図1は、本願発明の漏水検査漏水処理方法が適用される重力式コンクリートダムの一例を示している。ダム堰堤1は山間の谷間に構築され、ダム堰堤1の上流側にはダム貯水湖2が形成されるようになっている。ダム堰堤1には、鉛直方向に延びると共に横方向に所定間隔離隔した互いに平行な複数の横継ぎ目3と、コンクリート打設により形成された上下方向に所定間隔離隔した水平打ち継ぎ目4とを具備してなる。横継ぎ目3と水平打ち継ぎ目4は直交している。
【0012】
ダム堰堤1が構築され、ダム貯水湖2に湛水後、ダム堰堤1の漏水検査が行われる。通常、漏水は、施工の際に設けた横継ぎ目3若しくはコンクリート打設の際に設けた水平打ち継ぎ目4で発生する。漏水検査により、漏水が確認された場合は漏水処理が行われる。
【0013】
先ず、ダム堰堤1のうち貯水面下方の横継ぎ目3或いは水平打ち継ぎ目4の漏水検査に使用する注入ボックス5について図2〜図6を参照にして説明する。
注入ボックス5は、下方を開口した注入ボックス本体と該注入ボックス本体下部に設けられたスカート6とより構成されている。注入ボックス本体は、平坦面よりなる上面7と、下方になるに従い外傾する正背両側面8、8、及び左右両側面9、9を設け、下面は開口したボックス形状に形成されている。詳しくは、一方向に著しく長い長方形状上面7の長辺と、左右側辺が外方に傾斜する台形正背側面8、8の上辺とを連設し、上面7の短辺と左右側辺が外方に傾斜する台形左右側面9、9の上辺とを夫々連設し、且つ正背側面8、8と隣り合う左右側面9、9の隣り合う傾斜辺とを一体的に連設し、正背側面8、8の下辺及び左右側面9、9の下辺を開口縁とする矩形開口部を有するボックス形状に形成されている。実施例1では、正背両側面8、8の下辺の長さは、1500mmに設定され、左右両側面9、9の下辺の長さは500mmに設定されているが、本願発明は注入ボックス本体下端開口の大きさをこれに限定するものではない。注入ボックス本体の下部には、スカート6を取り付けている。スカート6は、弾性、耐薬品性及び耐摩耗性を有するゴム、シリコーン樹脂等よりなり、スカート6の下端縁は注入ボックス本体の下端開口縁よりも下方に位置するように形成されている。スカート6の下端縁は同一面状に位置するように形成されている。スカート6の上部内側に注入ボックス本体の下部を水密に嵌め込み、更にスカート6の外周には取着バンド10を巻着し、注入ボックス本体にスカート6を離脱しないように、且つ水密に取り付けている。上面7の中央には注入パイプ11の下端が、注入ボックス本体内側に開口して接続されている。上面7には取り付け具12、12を、正背両側面8、8にはシャクル取付具13、13を、左右両側面9、9にはシャクル取付具14、14を取り付けている。
【0014】
図7は横継ぎ目3の漏水検査漏水処理に使用する装置を示す説明図である。図7において、ダム貯水湖2の水面に浮かべた作業台船15には注入装置及び巻上げ装置を設けている。注入装置は、モータ16の回転により駆動するポンプ17とタンク18を設け、タンク18にはモータ16の駆動によりタンク18内の液体が注入配管19へ送水されるように、一端が注入パイプ11の上端に連通接続された注入配管19の他端が連通接続されている。巻上げ装置は巻胴20にロープ21を巻着し、ロープ21はダム堰堤1に取り付けた滑車22に懸回して、ロープ21の外端をシャクル取付具14に取り付け、ロープ21の巻き取りや延長により注入ボックス5を上下方向に移動可能にしている。注入ボックス5は、スカート6の開口がダム堰堤1の横継ぎ目を覆い、スカート6の開口長辺が縦方向に沿うようにダム堰堤1に密接させている。
【0015】
図7に示すように注入装置及び巻上げ装置に注入ボックス5を長辺を上下方向に位置するように配置して取り付けると、横継ぎ目3の漏水検査が手順に従い行われる。手順の一例を図9に基づいて説明する。手順がスタートすると、先ず、ステップ1で、貯水面下の水中に於いて、スカート6の短辺を2等分する中心線が横継ぎ目3と略一致するように注水ボックス5をダム堰堤1に密接して配設する。ダム貯水湖2の水圧が注入ボックス5の外面にかかり、注入ボックス5は内側にダム貯水湖2の水が充填された状態で、ダム堰堤1に押付けられる。スカート6の下端開口縁がゴム、シリコン樹脂などの弾性部材よりなるため、注水ボックス5の内側には水が浸入しにくい。
【0016】
ステップ2で、モータ16を駆動させタンク18内の着色水を注入配管19へ送り出し、注入パイプ11を介して注入ボックス5の内側に着色水を送水する。通常、タンク18及び注入ボックス5への1回当たりの着色水の注入量は200ccとする。監査廊の排水管から着色水の排水があるか否かの確認を、着色水注入完了後10分以内に行う。着色水は、市販の入浴剤を使用することが好適である。着色剤が水溶性であり、ダム堰堤や監査廊の継ぎ目排水管に色素が付着せずダムを汚損させる可能性が殆ど無く、しかも香料を含有しているため監査廊の継ぎ目排水管への排水があった場合に、色と匂いの双方で確認することが可能であるという理由による。注入された着色水の容量分の圧力が、注入ボックス5の内側に位置するダム堰堤1に負荷し、継ぎ目にクラック等がある場合に、漏水圧と相俟って監査廊排水管に排水しやすい。
【0017】
次に、ステップ3で、監査廊の排水管に着色水が排水されていることが確認された場合は、続くステップ4でタンク18内に気泡剤を入れ、注入ボックス5を移動することなく同位置で注入配管19を介して注入ボックス5の内側に気泡剤を注入する。気泡剤を注入ボックス5の内側に入れるのは、漏水箇所の再確認のためである。又、注入ボックス5の内側への気泡剤の注入開始から気泡剤が監査廊排水管への排出までの時間を測定し、漏水箇所クラックの大きさを知る。
ステップ5で、監査廊の排水管に気泡剤の排出が確認されない場合は、ステップ1に戻り、注入配管19より同位置で注入ボックス5に着色水を再度注入し、再漏水検査を行う。
監査廊の排水管に着色水の排水が確認されない場合や、一の箇所での漏水検査終了後は、ステップ6で、注入ボックス5、タンク18及び注入配管19を必ず洗浄する。注入ボックス5の移動の際には、注入ボックス5及び注入装置のうち着色水や気泡剤の通路部分を洗浄する必要がある。次に、ステップ7で、図8に示すように、ロープ21を延伸して注入ボックス5を下方の横継ぎ目3へ移動し、図9のステップ1の注入ボックス位置固定から始まる漏水検査を順次行っていくものである。移動間隔は、注入ボックス5の開口長辺長さ1500mm間隔で行う。
【0018】
漏水検査の結果、漏水が確認された横継ぎ目に対する漏水処理方法について説明する。図9のステップ6の終了後、漏水が確認された同位置に注入ボックス5を配設する。タンク18内に間詰め材を入れ、モータ16を駆動し、タンク18内の間詰め材を注入ボックス5内に送り込む。注入ボックス5内に送り込まれた間詰め材は、漏水による吸い込み作用、つまり漏水圧により漏水箇所のクラックへ吸い込まれ、クラックに入り込んで充填され止水効果を奏する。間詰め材としては、ポルトランドセメント、モンモリロナイトを主成分とするベントナイト、珪酸塩混合物等を使用する。具体例として、水200リットルに対しポルトランドセメント等のセメント25kgを混合したものや、或いは水200リットルに対しセメント150kgと珪酸ナトリウムを主成分とするマノール急結剤(株式会社マノールの商品名)2kg及びベントナイト25kgを混合したものや、若しくは水200リットルに対し珪酸塩混合物を主成分とするとめ吉(株式会社ジオックスの商品名)2kgとベントナイト25kgを混合したものを使用することが好ましい。水200リットルに対しポルトランドセメント等のセメント25kgを混合したものを使用する場合は、2回吸い込みを行う。
【0019】
貯水面下方の水深10m程度より下方の水深の深い部分における漏水検査漏水処理装置を図10から図14を参照にして説明する。図10に示すように横継ぎ目3と水平打ち継ぎ目4に半円筒管24の開口を対向させて覆う。半円筒管24は塩化ビニール製のものを使用することが好適である。半円筒管24の長さ方向に沿って所定間隔をおいて半円筒管24の外面に跨って固定バンド25を配設し、固定バンド25の両端をボルト26とナット27で固着し、半円筒管24の開口縁をダム堰堤1に密着固定させる。28は直角エルボであって、一端は半円筒管24の内側に連通接続するように半円筒管24に水密に開口している。29はホースニップルであって、直角エルボ28の他端側と注入配管19との間に介装されて1の通路を形成し、ホースニップル29と注入配管19とが離脱しないようにホースバンド30で締着している。尚、半円筒管24の取付作業は、潜水士が行う。
【0020】
そして、図13に示すように作業台船15にモータ16、ポンプ17及びタンク18を具備し、直角エルボ28に一端が連通接続された注入配管19の他端がタンク18と連通接続されている。タンク18から着色水を半円筒管24に送り込み、注入10分以上経過後に監査廊排水管から着色水の排水が確認された場合は、次にタンク18に気泡剤を入れて気泡剤を半円筒管24に注入し、監査廊の排水管からの気泡剤の排出確認及び気泡剤注入から監査廊排水管への気泡剤排出までの時間を測定し、漏水箇所特定と漏水クラックの大きさを推定する。
漏水箇所が特定された場合は、注入配管19を通してタンク18内の間詰め材23を半円筒管24内に送り込む。半円筒管24内に送り込まれた間詰め材23は、漏水による吸い込み作用、つまり漏水圧により漏水箇所のクラックへ吸い込まれ、図14に示すようにクラックに入り込んで充填され止水効果を奏する。間詰め材23としては、ポルトランドセメント、モンモリロナイトを主成分とするベントナイト、珪酸塩混合物等を使用する。具体例として、水200リットルに対しポルトランドセメント等のセメント25kgを混合したものや、或いは水200リットルに対しセメント150kgと珪酸ナトリウムを主成分とするマノール急結剤(株式会社マノールの商品名)2kg及びベントナイト25kgを混合したものや、若しくは水200リットルに対し珪酸塩混合物を主成分とするとめ吉(株式会社ジオックスの商品名)2kgとベントナイト25kgを混合したものを使用することが好ましい。
【0021】
貯水面より上方のダム堰堤1の漏水検査漏水処理方法について図15を参照にして説明する。図15は貯水面より上方に用いる角型注入管31を示す斜視図である。硬質性、耐薬品性及び防錆性を有する材料、例えばステンレス鋼を材料とする矩形の開口を長さ方向に沿って有する角型注入管31を、開口が横継ぎ目3や水平打ち継ぎ目4に覆われるように配設し、角型注入管31の取付版32に設けたボルト孔33にボルトとナットでダム堰堤に開口端縁が密着するように固着する。ダム堰堤上或いは近傍の陸上にタンク、ポンプ、コンプレッサーを具備する注入装置を設けている。角型注入管31には、直角エルボ(図示せず)の一方の開口を開口接続し、直角エルボの他方の開口にタンクと連通接続する注入配管の下端を連通接続する。
タンク内の着色水を注入配管より角型注入管31内へ送り込み、監査廊排水管からの着色水の有無を確認し、排水確認後は気泡剤をタンクより角型注入管31へ送り込む。漏水箇所が特定された場合は、タンクから間詰め材を角型注入管31内へ送り込む。間詰め材としては、ポルトランドセメント、モンモリロナイトを主成分とするベントナイト、珪酸塩混合物等を使用する。具体例として、水200リットルに対しポルトランドセメント等のセメント25kgを混合したものや、或いは水200リットルに対しセメント150kgと珪酸ナトリウムを主成分とするマノール急結剤(株式会社マノールの商品名)2kg及びベントナイト25kgを混合したものや、若しくは水200リットルに対し珪酸塩混合物を主成分とするとめ吉(株式会社ジオックスの商品名)2kgとベントナイト25kgを混合したものを使用することが好ましい。
【0022】
次に、水平打ち継ぎ目4の漏水検査漏水処理方法を図16から図18を参照にして説明する。図16において、ダム貯水湖2に注入装置及び巻上げ装置を設けた作業台船15を浮かべている。注入装置は、モータ16、ポンプ17及びタンク18を少なくとも具備し、タンク18には注入配管19の上端が連通接続されている。巻胴20に巻き付けられたロープ21は、ダム堰堤1に取り付けられた滑車22に懸回され、更にロープ21の下端はシャクル取付具13、13に取り付けられて注入ボックス5を下面開口長辺が水平方向に沿うと共に、注入ボックス5の開口がダム堰堤1の水平打ち継ぎ目4を覆って密着するように配設されている。そして、漏水検査漏水処理作業が終了すると、図17に示すように注入ボックス5は15000mm分水平方向に移動する。
【0023】
漏水検査漏水処理作業を図18に基づいて説明する。先ず、ステップ1で、貯水面下の水中に於いて、スカート6の長辺を2等分する中心線が水平打ち継ぎ目4と略一致するように注水ボックス5をダム堰堤1に密接して配設する。ダム貯水湖2の水圧が注入ボックス5の外面にかかり、注入ボックス5は内側にダム貯水湖2の水が充填された状態で、ダム堰堤1に押付けられる。スカート6の下端開口縁がゴム、シリコン樹脂などの弾性部材よりなるため、注水ボックス5の内側には水が浸入しにくい。
ステップ2で、モータ16を駆動させタンク18内の着色水を注入配管19へ送り出し、注入パイプ11を介して注入ボックス5の内側に着色水を送水する。タンク18及び注入ボックス5への1回当たりの着色水の注入量は200ccとする。監査廊の排水管から着色水の排水があるか否かの確認を、着色水注入完了後10分以内に行う。着色水は、市販の入浴剤を使用することが好適である。色と匂いの双方で確認することが可能で、ダム堰堤を染料で汚損しないという理由による。注入された着色水の容量分の圧力が、注入ボックス5の内側に位置するダム堰堤1に負荷し、水平打ち継ぎ目4にクラック等がある場合に、漏水圧と相俟って監査廊排水管に排水しやすい。
次に、ステップ3で、監査廊の排水管に着色水が排水されていることが確認された場合は、続くステップ4でタンク18内に気泡剤を入れ、注入ボックス5を移動することなく同位置で注入配管19を介して注入ボックス5の内側に気泡剤を注入する。気泡剤を注入ボックス5の内側に入れるのは、漏水箇所の再確認のためである。又、ステップ5で、注入ボックス5の内側への気泡剤の注入開始から気泡剤が監査廊排水管への排出までの時間を測定し、漏水箇所クラックの大きさを知る。監査廊の排水管に気泡剤の排出が確認されない場合は、ステップ1に戻り、注入配管19より同位置で注入ボックス5に着色水を再度注入し、再漏水検査を行う。
監査廊の排水管に着色水の排水が確認されない場合や、一の箇所での漏水検査終了後は、ステップ6で、注入ボックスに位置を確認し、注入ボックス5、タンク18及び注入配管19を必ず洗浄する。注入ボックス5の移動の際には、注入ボックス5及び注入装置のうち着色水や気泡剤の通路部分を洗浄する必要がある。次に、ステップ7で、図17に示すように、ロープ21を横方向に位置移動させて注入ボックス5を左右何れかの未検査の水平打ち継ぎ目4へ移動し、図18のステップ1の注入ボックス位置固定から始まる漏水検査を順次行っていくものである。移動間隔は、注入ボックス5の開口長辺長さ1500mm間隔で行う。
漏水検査の結果、漏水が確認された水平打ち継ぎ目に対する漏水処理方法について説明する。図18のステップ7の終了後、漏水が確認された同位置に注入ボックス5を配設する。タンク18内に間詰め材を入れ、モータ16を駆動し、タンク18内の間詰め材を注入ボックス5内に送り込む。注入ボックス5内に送り込まれた間詰め材は、漏水による吸い込み作用、つまり漏水圧により漏水箇所のクラックへ吸い込まれ、クラックに入り込んで充填され止水効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る漏水検査漏水処理方法が適用されるコンクリートダムの一例を示す説明図である。(実施例1)
【図2】注入ボックスの斜視図である。(実施例1)
【図3】注入ボックスの背面図である。(実施例1)
【図4】注入ボックスの平面図である。(実施例1)
【図5】注入ボックスの左側面図である。(実施例1)
【図6】図4のA−A線断面図である。(実施例1)
【図7】横継ぎ目の漏水検査漏水処理方法に使用する漏水検査漏水処理装置の設置状態を示す説明図である。(実施例1)
【図8】横継ぎ目に沿う注入ボックスの移動状態を示す説明図である。(実施例1)
【図9】横継ぎ目の漏水検査漏水処理方法を示す処理手順のフローチャート図である。(実施例1)
【図10】半円筒管を横継ぎ目及び水平打ち継ぎ目に設置した状態を示す正面説明図である。(実施例1)
【図11】半円筒管のダム堰堤への取り付け状態の要部を示す説明図である。(実施例1)
【図12】水平打ち継ぎ目に半円筒管を設置した状態を示す断面説明図である。(実施例1)
【図13】半円筒管を使用した漏水検査漏水処理装置の設置状態を示す説明図である。(実施例1)
【図14】半円筒管を使用して横継ぎ目の漏水元クラックに間詰め材を注入状態を示す説明図である。(実施例1)
【図15】角型注入管の一部切欠斜視図である。(実施例1)
【図16】水平打ち継ぎ目の漏水検査漏水処理方法に使用する漏水検査漏水処理装置の設置状態を示す説明図である。(実施例1)
【図17】水平打ち継ぎ目に沿う注入ボックスの移動状態を示す説明図である。(実施例1)
【図18】水平打ち継ぎ目の漏水検査漏水処理方法を示す処理手順のフローチャート図である。(実施例1)
【符号の説明】
【0025】
1 ダム堰堤
2 ダム貯水湖
3 横継ぎ目
4 水平打ち継ぎ目
5 注入ボックス
6 スカート
15 作業台船
19 注入配管
20 巻胴
21 ロープ
22 滑車
23 間詰め材
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダム貯水湖の貯水量とは無関係に漏水箇所を特定し、漏水処理を行うコンクリートダムの漏水検査漏水処理方法及びコンクリートダムの漏水検査漏水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリートダムは構築法にもよるが、横継ぎ目や水平打ち継ぎ目等の継ぎ目を有する。構築されたコンクリートダムは、ダム構築後に、ダム貯水湖からの水圧によるダムの撓みや寒冷等により、横継ぎ目や水平打ち継ぎ目にクラックが発生し、このクラックから漏水が生じる場合がある。構築されたダム堰堤の湛水後の漏水箇所の特定及び漏水処理作業等にダム関係者は苦慮していた。
【0003】
従来、ダム構築後の漏水箇所の特定作業は、先ずは湛水を行い、次にダムの上流側である貯水湖の漏水元と推測される付近にフローレッセン、食紅、墨汁等の着色剤を流し、ダムの監査廊の継ぎ目排水管に前記着色剤により着色された着色水が排水される箇所を漏水箇所として特定していた。そして、継ぎ目沿いに間詰め材を貯水湖に投入し、漏水箇所の水の吸い込み作用(漏水圧)を利用して漏水が生じているクラック部分に間詰め材を吸引させて充填するか、若しくは漏水元のクラックに注入孔を穿設し、高圧で間詰め材をクラックに注入充填するかの何れかの漏水処理方法を採用していた。
前記漏水検査方法であると、フローレッセン、食紅、墨汁等の漏水箇所特定のための着色剤の逸散が激しく、前記着色剤がダム外壁面や監査廊の排水溝等に付着し、特に墨汁は膠を含有しているため、一旦構造物に付着した着色剤を除去することは極めて困難で、検査の回数を重ねるごとにダムが着色剤で汚れ不潔感を有する外観を呈するようになるという欠点があった。
上記漏水処理においては、間詰め材として特殊セメントを使用するため、非経済的で品質管理も困難であり、特に高分子系材料はコンクリートとの相性が悪いため、高分子系材料を漏水元クラックに完全に充填することは困難であり、結果的に漏水の低減化を図ることは極めて非現実的であった。又、クラックに間詰め剤を注入するための円形注入孔を新たに穿設することによりダムの外壁に損傷を与え外観が悪くなるという欠点があった。
【0004】
又、前記方法とは別の方法として、ダムの湛水前に、ダムの上流側の総ての継ぎ目に着色剤注入装置を取り付け、その後ダム貯水湖に湛水し、次に着色剤を水で希釈した着色水を注入装置に注入し、漏水箇所の水の吸い込み作用を利用して監査廊の排水管に着色水が排水される箇所を漏水箇所として特定し、そこに間詰め材を注入して漏水を低減させる方法が提案されていた。
しかしながら、この方法であると、総ての継ぎ目に注入装置を設置する作業や、水中での注入装置の撤去作業に多大な手間を要し、作業の高コスト化を招いていた。又、湛水前の注入装置の設置後からダムを湛水状態にするまでに時間を要するという欠点があった。
【0005】
上記何れの方法も漏水確認作業はダムに湛水した状態で行うため、ダムに所定量の水を湛水するまでに長時間を要し、漏水箇所が特定されても漏水処理を水面下で行うには技術的に困難であるという欠点があった。
【0006】
上記従来例の有する欠点に鑑みて、漏水検査及び漏水処理を湛水前に行う方法が提案されている。詳しくは、湛水前に一定圧の窒素ガスを注入管を介して主及び副止水板間に注入しながら継ぎ目の上流側の継ぎ目に沿って石鹸水を塗布し、継ぎ目にクラックがあれば、クラック部分から窒素ガスが出て塗布された石鹸水により半球状のシャボン玉が形成され、このシャボン玉形成位置を漏気位置と特定し、シャボン玉の大きさより漏気処理が必要と判断したときは、継ぎ目のクラックにセメントミルクを無圧注入して充填し、その表面上をシリコーン樹脂で被覆するものである(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の発明は、ダム貯水湖に湛水後は適用不可能であるという問題点があった。
【特許文献1】特開2003−307464号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願発明は上記従来技術の有する問題点に鑑みて創案されたものであって、ダム貯水湖の水面下では移動自在な注入ボックスを用いて漏水箇所の特定を行うことにより、漏水元を極めて容易に特定でき、大掛かりな装置を必要としないため低コスト化を図り得り、あらゆる構造のコンクリートダムに適用可能なコンクリートダムの漏水検査止水方法及びコンクリートダムの漏水検査止水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明のうち請求項1に記載の発明は、横継ぎ目と水平打ち継ぎ目に止水材を介在させて連結構築されたコンクリートダムの貯水面下方の水中部におけるコンクリートダムの漏水検査漏水処理方法において、ダム堰堤の上流側から前記横継ぎ目若しくは前記水平打ち継ぎ目に沿って注入ボックスの開口をダム堰堤に密着配設し、該密着配設状態下で注入ボックスの内側に着色水を貯水面上方から送り込んだ後、ダム堰堤監査廊内の継ぎ目排水管からの着色水の排水により漏水箇所を特定し、前記継ぎ目排水管からの着色水の排水を確認したる後は、漏水箇所を再特定するために、貯水面上方から前記注入ボックスの内側に気泡剤を注入すると共に、漏水箇所の漏水度合いを調査するために、前記気泡剤の注入ボックスへの注入開始から前記継ぎ目排水管からの気泡剤排出までに要する時間を測定し、次に、前記注入ボックス内側を洗浄し、前記特定された漏水箇所を覆うように前記注入ボックスの開口をダム堰堤に密着配設後、ダム貯水湖の水面上方から前記注入ボックスへ間詰め材を注入し、漏水圧を利用して前記漏水箇所に前記間詰め材を充填するようにしたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、上記間詰め材が、セメント又は/及び珪酸塩を含む止水剤よりなることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、下面を開口した注入ボックス本体の下部に弾性スカートを設けてなる注入ボックスと、タンクと、該タンクと他端が連通接続した注入配管へ前記タンク内に入れた液状物を送り出すためのコンプレッサーと、ポンプを具備してなる注入装置と、前記注入ボックスを上下方向に移動するための巻き上げ装置とよりなり、前記注入配管から送られてきた液状物が前記注入ボックス内側に注入可能に、前記注入ボックス上面内側には前記注入配管の一端が開口連通接続され、ダム堰堤には滑車を取り付け、該滑車に巻胴に巻着されたロープを懸回して垂下させ、前記ロープ外端に前記注入ボックスを取り付け、前記巻胴に巻着したロープにより前記注入ボックスを上下方向に移動させるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本願発明は、ダム堰堤の継ぎ目に沿って注入ボックスを移動させて漏水箇所を特定するため大掛かりな装置を必要とせず、簡単な装置で短時間で漏水箇所特定作業を行い得ると共に、作業の低コスト化を図り得るという効果がある。
本願発明は、ダム堰堤に注入孔を設けることなく、漏水圧を利用して間詰め材を漏水箇所に充填するため、ダム堰堤に損傷を与えることなく作業を終了することが可能であるという効果がある。
ダム貯水湖の水面上と水面下で漏水検査方法及び漏水処理方法を異ならしめることにより、ダムの貯水量とは無関係に漏水箇所を特定し、作業性の向上を図り得るという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
ダム貯水湖の水中におけるダム堰堤の継ぎ目に、注入ボックスの開口を密接した状態で注入ボックス内に着色剤を注入し、監査廊内の継ぎ目排水管からの着色水の排水を確認後、漏水箇所再確認の為に漏水が確認された箇所では注入ボックス内に気泡剤を注入して気泡剤の排出確認及び排出時間を測定する作業を、順次注入ボックスを継ぎ目に沿って移動させて行っていくことで漏水検査作業を簡便化して作業性の向上を実現し、又、注入ボックスに間詰め材を注入することで漏水箇所への漏水処理後の止水率の向上を実現した。
【実施例1】
【0011】
図1は、本願発明の漏水検査漏水処理方法が適用される重力式コンクリートダムの一例を示している。ダム堰堤1は山間の谷間に構築され、ダム堰堤1の上流側にはダム貯水湖2が形成されるようになっている。ダム堰堤1には、鉛直方向に延びると共に横方向に所定間隔離隔した互いに平行な複数の横継ぎ目3と、コンクリート打設により形成された上下方向に所定間隔離隔した水平打ち継ぎ目4とを具備してなる。横継ぎ目3と水平打ち継ぎ目4は直交している。
【0012】
ダム堰堤1が構築され、ダム貯水湖2に湛水後、ダム堰堤1の漏水検査が行われる。通常、漏水は、施工の際に設けた横継ぎ目3若しくはコンクリート打設の際に設けた水平打ち継ぎ目4で発生する。漏水検査により、漏水が確認された場合は漏水処理が行われる。
【0013】
先ず、ダム堰堤1のうち貯水面下方の横継ぎ目3或いは水平打ち継ぎ目4の漏水検査に使用する注入ボックス5について図2〜図6を参照にして説明する。
注入ボックス5は、下方を開口した注入ボックス本体と該注入ボックス本体下部に設けられたスカート6とより構成されている。注入ボックス本体は、平坦面よりなる上面7と、下方になるに従い外傾する正背両側面8、8、及び左右両側面9、9を設け、下面は開口したボックス形状に形成されている。詳しくは、一方向に著しく長い長方形状上面7の長辺と、左右側辺が外方に傾斜する台形正背側面8、8の上辺とを連設し、上面7の短辺と左右側辺が外方に傾斜する台形左右側面9、9の上辺とを夫々連設し、且つ正背側面8、8と隣り合う左右側面9、9の隣り合う傾斜辺とを一体的に連設し、正背側面8、8の下辺及び左右側面9、9の下辺を開口縁とする矩形開口部を有するボックス形状に形成されている。実施例1では、正背両側面8、8の下辺の長さは、1500mmに設定され、左右両側面9、9の下辺の長さは500mmに設定されているが、本願発明は注入ボックス本体下端開口の大きさをこれに限定するものではない。注入ボックス本体の下部には、スカート6を取り付けている。スカート6は、弾性、耐薬品性及び耐摩耗性を有するゴム、シリコーン樹脂等よりなり、スカート6の下端縁は注入ボックス本体の下端開口縁よりも下方に位置するように形成されている。スカート6の下端縁は同一面状に位置するように形成されている。スカート6の上部内側に注入ボックス本体の下部を水密に嵌め込み、更にスカート6の外周には取着バンド10を巻着し、注入ボックス本体にスカート6を離脱しないように、且つ水密に取り付けている。上面7の中央には注入パイプ11の下端が、注入ボックス本体内側に開口して接続されている。上面7には取り付け具12、12を、正背両側面8、8にはシャクル取付具13、13を、左右両側面9、9にはシャクル取付具14、14を取り付けている。
【0014】
図7は横継ぎ目3の漏水検査漏水処理に使用する装置を示す説明図である。図7において、ダム貯水湖2の水面に浮かべた作業台船15には注入装置及び巻上げ装置を設けている。注入装置は、モータ16の回転により駆動するポンプ17とタンク18を設け、タンク18にはモータ16の駆動によりタンク18内の液体が注入配管19へ送水されるように、一端が注入パイプ11の上端に連通接続された注入配管19の他端が連通接続されている。巻上げ装置は巻胴20にロープ21を巻着し、ロープ21はダム堰堤1に取り付けた滑車22に懸回して、ロープ21の外端をシャクル取付具14に取り付け、ロープ21の巻き取りや延長により注入ボックス5を上下方向に移動可能にしている。注入ボックス5は、スカート6の開口がダム堰堤1の横継ぎ目を覆い、スカート6の開口長辺が縦方向に沿うようにダム堰堤1に密接させている。
【0015】
図7に示すように注入装置及び巻上げ装置に注入ボックス5を長辺を上下方向に位置するように配置して取り付けると、横継ぎ目3の漏水検査が手順に従い行われる。手順の一例を図9に基づいて説明する。手順がスタートすると、先ず、ステップ1で、貯水面下の水中に於いて、スカート6の短辺を2等分する中心線が横継ぎ目3と略一致するように注水ボックス5をダム堰堤1に密接して配設する。ダム貯水湖2の水圧が注入ボックス5の外面にかかり、注入ボックス5は内側にダム貯水湖2の水が充填された状態で、ダム堰堤1に押付けられる。スカート6の下端開口縁がゴム、シリコン樹脂などの弾性部材よりなるため、注水ボックス5の内側には水が浸入しにくい。
【0016】
ステップ2で、モータ16を駆動させタンク18内の着色水を注入配管19へ送り出し、注入パイプ11を介して注入ボックス5の内側に着色水を送水する。通常、タンク18及び注入ボックス5への1回当たりの着色水の注入量は200ccとする。監査廊の排水管から着色水の排水があるか否かの確認を、着色水注入完了後10分以内に行う。着色水は、市販の入浴剤を使用することが好適である。着色剤が水溶性であり、ダム堰堤や監査廊の継ぎ目排水管に色素が付着せずダムを汚損させる可能性が殆ど無く、しかも香料を含有しているため監査廊の継ぎ目排水管への排水があった場合に、色と匂いの双方で確認することが可能であるという理由による。注入された着色水の容量分の圧力が、注入ボックス5の内側に位置するダム堰堤1に負荷し、継ぎ目にクラック等がある場合に、漏水圧と相俟って監査廊排水管に排水しやすい。
【0017】
次に、ステップ3で、監査廊の排水管に着色水が排水されていることが確認された場合は、続くステップ4でタンク18内に気泡剤を入れ、注入ボックス5を移動することなく同位置で注入配管19を介して注入ボックス5の内側に気泡剤を注入する。気泡剤を注入ボックス5の内側に入れるのは、漏水箇所の再確認のためである。又、注入ボックス5の内側への気泡剤の注入開始から気泡剤が監査廊排水管への排出までの時間を測定し、漏水箇所クラックの大きさを知る。
ステップ5で、監査廊の排水管に気泡剤の排出が確認されない場合は、ステップ1に戻り、注入配管19より同位置で注入ボックス5に着色水を再度注入し、再漏水検査を行う。
監査廊の排水管に着色水の排水が確認されない場合や、一の箇所での漏水検査終了後は、ステップ6で、注入ボックス5、タンク18及び注入配管19を必ず洗浄する。注入ボックス5の移動の際には、注入ボックス5及び注入装置のうち着色水や気泡剤の通路部分を洗浄する必要がある。次に、ステップ7で、図8に示すように、ロープ21を延伸して注入ボックス5を下方の横継ぎ目3へ移動し、図9のステップ1の注入ボックス位置固定から始まる漏水検査を順次行っていくものである。移動間隔は、注入ボックス5の開口長辺長さ1500mm間隔で行う。
【0018】
漏水検査の結果、漏水が確認された横継ぎ目に対する漏水処理方法について説明する。図9のステップ6の終了後、漏水が確認された同位置に注入ボックス5を配設する。タンク18内に間詰め材を入れ、モータ16を駆動し、タンク18内の間詰め材を注入ボックス5内に送り込む。注入ボックス5内に送り込まれた間詰め材は、漏水による吸い込み作用、つまり漏水圧により漏水箇所のクラックへ吸い込まれ、クラックに入り込んで充填され止水効果を奏する。間詰め材としては、ポルトランドセメント、モンモリロナイトを主成分とするベントナイト、珪酸塩混合物等を使用する。具体例として、水200リットルに対しポルトランドセメント等のセメント25kgを混合したものや、或いは水200リットルに対しセメント150kgと珪酸ナトリウムを主成分とするマノール急結剤(株式会社マノールの商品名)2kg及びベントナイト25kgを混合したものや、若しくは水200リットルに対し珪酸塩混合物を主成分とするとめ吉(株式会社ジオックスの商品名)2kgとベントナイト25kgを混合したものを使用することが好ましい。水200リットルに対しポルトランドセメント等のセメント25kgを混合したものを使用する場合は、2回吸い込みを行う。
【0019】
貯水面下方の水深10m程度より下方の水深の深い部分における漏水検査漏水処理装置を図10から図14を参照にして説明する。図10に示すように横継ぎ目3と水平打ち継ぎ目4に半円筒管24の開口を対向させて覆う。半円筒管24は塩化ビニール製のものを使用することが好適である。半円筒管24の長さ方向に沿って所定間隔をおいて半円筒管24の外面に跨って固定バンド25を配設し、固定バンド25の両端をボルト26とナット27で固着し、半円筒管24の開口縁をダム堰堤1に密着固定させる。28は直角エルボであって、一端は半円筒管24の内側に連通接続するように半円筒管24に水密に開口している。29はホースニップルであって、直角エルボ28の他端側と注入配管19との間に介装されて1の通路を形成し、ホースニップル29と注入配管19とが離脱しないようにホースバンド30で締着している。尚、半円筒管24の取付作業は、潜水士が行う。
【0020】
そして、図13に示すように作業台船15にモータ16、ポンプ17及びタンク18を具備し、直角エルボ28に一端が連通接続された注入配管19の他端がタンク18と連通接続されている。タンク18から着色水を半円筒管24に送り込み、注入10分以上経過後に監査廊排水管から着色水の排水が確認された場合は、次にタンク18に気泡剤を入れて気泡剤を半円筒管24に注入し、監査廊の排水管からの気泡剤の排出確認及び気泡剤注入から監査廊排水管への気泡剤排出までの時間を測定し、漏水箇所特定と漏水クラックの大きさを推定する。
漏水箇所が特定された場合は、注入配管19を通してタンク18内の間詰め材23を半円筒管24内に送り込む。半円筒管24内に送り込まれた間詰め材23は、漏水による吸い込み作用、つまり漏水圧により漏水箇所のクラックへ吸い込まれ、図14に示すようにクラックに入り込んで充填され止水効果を奏する。間詰め材23としては、ポルトランドセメント、モンモリロナイトを主成分とするベントナイト、珪酸塩混合物等を使用する。具体例として、水200リットルに対しポルトランドセメント等のセメント25kgを混合したものや、或いは水200リットルに対しセメント150kgと珪酸ナトリウムを主成分とするマノール急結剤(株式会社マノールの商品名)2kg及びベントナイト25kgを混合したものや、若しくは水200リットルに対し珪酸塩混合物を主成分とするとめ吉(株式会社ジオックスの商品名)2kgとベントナイト25kgを混合したものを使用することが好ましい。
【0021】
貯水面より上方のダム堰堤1の漏水検査漏水処理方法について図15を参照にして説明する。図15は貯水面より上方に用いる角型注入管31を示す斜視図である。硬質性、耐薬品性及び防錆性を有する材料、例えばステンレス鋼を材料とする矩形の開口を長さ方向に沿って有する角型注入管31を、開口が横継ぎ目3や水平打ち継ぎ目4に覆われるように配設し、角型注入管31の取付版32に設けたボルト孔33にボルトとナットでダム堰堤に開口端縁が密着するように固着する。ダム堰堤上或いは近傍の陸上にタンク、ポンプ、コンプレッサーを具備する注入装置を設けている。角型注入管31には、直角エルボ(図示せず)の一方の開口を開口接続し、直角エルボの他方の開口にタンクと連通接続する注入配管の下端を連通接続する。
タンク内の着色水を注入配管より角型注入管31内へ送り込み、監査廊排水管からの着色水の有無を確認し、排水確認後は気泡剤をタンクより角型注入管31へ送り込む。漏水箇所が特定された場合は、タンクから間詰め材を角型注入管31内へ送り込む。間詰め材としては、ポルトランドセメント、モンモリロナイトを主成分とするベントナイト、珪酸塩混合物等を使用する。具体例として、水200リットルに対しポルトランドセメント等のセメント25kgを混合したものや、或いは水200リットルに対しセメント150kgと珪酸ナトリウムを主成分とするマノール急結剤(株式会社マノールの商品名)2kg及びベントナイト25kgを混合したものや、若しくは水200リットルに対し珪酸塩混合物を主成分とするとめ吉(株式会社ジオックスの商品名)2kgとベントナイト25kgを混合したものを使用することが好ましい。
【0022】
次に、水平打ち継ぎ目4の漏水検査漏水処理方法を図16から図18を参照にして説明する。図16において、ダム貯水湖2に注入装置及び巻上げ装置を設けた作業台船15を浮かべている。注入装置は、モータ16、ポンプ17及びタンク18を少なくとも具備し、タンク18には注入配管19の上端が連通接続されている。巻胴20に巻き付けられたロープ21は、ダム堰堤1に取り付けられた滑車22に懸回され、更にロープ21の下端はシャクル取付具13、13に取り付けられて注入ボックス5を下面開口長辺が水平方向に沿うと共に、注入ボックス5の開口がダム堰堤1の水平打ち継ぎ目4を覆って密着するように配設されている。そして、漏水検査漏水処理作業が終了すると、図17に示すように注入ボックス5は15000mm分水平方向に移動する。
【0023】
漏水検査漏水処理作業を図18に基づいて説明する。先ず、ステップ1で、貯水面下の水中に於いて、スカート6の長辺を2等分する中心線が水平打ち継ぎ目4と略一致するように注水ボックス5をダム堰堤1に密接して配設する。ダム貯水湖2の水圧が注入ボックス5の外面にかかり、注入ボックス5は内側にダム貯水湖2の水が充填された状態で、ダム堰堤1に押付けられる。スカート6の下端開口縁がゴム、シリコン樹脂などの弾性部材よりなるため、注水ボックス5の内側には水が浸入しにくい。
ステップ2で、モータ16を駆動させタンク18内の着色水を注入配管19へ送り出し、注入パイプ11を介して注入ボックス5の内側に着色水を送水する。タンク18及び注入ボックス5への1回当たりの着色水の注入量は200ccとする。監査廊の排水管から着色水の排水があるか否かの確認を、着色水注入完了後10分以内に行う。着色水は、市販の入浴剤を使用することが好適である。色と匂いの双方で確認することが可能で、ダム堰堤を染料で汚損しないという理由による。注入された着色水の容量分の圧力が、注入ボックス5の内側に位置するダム堰堤1に負荷し、水平打ち継ぎ目4にクラック等がある場合に、漏水圧と相俟って監査廊排水管に排水しやすい。
次に、ステップ3で、監査廊の排水管に着色水が排水されていることが確認された場合は、続くステップ4でタンク18内に気泡剤を入れ、注入ボックス5を移動することなく同位置で注入配管19を介して注入ボックス5の内側に気泡剤を注入する。気泡剤を注入ボックス5の内側に入れるのは、漏水箇所の再確認のためである。又、ステップ5で、注入ボックス5の内側への気泡剤の注入開始から気泡剤が監査廊排水管への排出までの時間を測定し、漏水箇所クラックの大きさを知る。監査廊の排水管に気泡剤の排出が確認されない場合は、ステップ1に戻り、注入配管19より同位置で注入ボックス5に着色水を再度注入し、再漏水検査を行う。
監査廊の排水管に着色水の排水が確認されない場合や、一の箇所での漏水検査終了後は、ステップ6で、注入ボックスに位置を確認し、注入ボックス5、タンク18及び注入配管19を必ず洗浄する。注入ボックス5の移動の際には、注入ボックス5及び注入装置のうち着色水や気泡剤の通路部分を洗浄する必要がある。次に、ステップ7で、図17に示すように、ロープ21を横方向に位置移動させて注入ボックス5を左右何れかの未検査の水平打ち継ぎ目4へ移動し、図18のステップ1の注入ボックス位置固定から始まる漏水検査を順次行っていくものである。移動間隔は、注入ボックス5の開口長辺長さ1500mm間隔で行う。
漏水検査の結果、漏水が確認された水平打ち継ぎ目に対する漏水処理方法について説明する。図18のステップ7の終了後、漏水が確認された同位置に注入ボックス5を配設する。タンク18内に間詰め材を入れ、モータ16を駆動し、タンク18内の間詰め材を注入ボックス5内に送り込む。注入ボックス5内に送り込まれた間詰め材は、漏水による吸い込み作用、つまり漏水圧により漏水箇所のクラックへ吸い込まれ、クラックに入り込んで充填され止水効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る漏水検査漏水処理方法が適用されるコンクリートダムの一例を示す説明図である。(実施例1)
【図2】注入ボックスの斜視図である。(実施例1)
【図3】注入ボックスの背面図である。(実施例1)
【図4】注入ボックスの平面図である。(実施例1)
【図5】注入ボックスの左側面図である。(実施例1)
【図6】図4のA−A線断面図である。(実施例1)
【図7】横継ぎ目の漏水検査漏水処理方法に使用する漏水検査漏水処理装置の設置状態を示す説明図である。(実施例1)
【図8】横継ぎ目に沿う注入ボックスの移動状態を示す説明図である。(実施例1)
【図9】横継ぎ目の漏水検査漏水処理方法を示す処理手順のフローチャート図である。(実施例1)
【図10】半円筒管を横継ぎ目及び水平打ち継ぎ目に設置した状態を示す正面説明図である。(実施例1)
【図11】半円筒管のダム堰堤への取り付け状態の要部を示す説明図である。(実施例1)
【図12】水平打ち継ぎ目に半円筒管を設置した状態を示す断面説明図である。(実施例1)
【図13】半円筒管を使用した漏水検査漏水処理装置の設置状態を示す説明図である。(実施例1)
【図14】半円筒管を使用して横継ぎ目の漏水元クラックに間詰め材を注入状態を示す説明図である。(実施例1)
【図15】角型注入管の一部切欠斜視図である。(実施例1)
【図16】水平打ち継ぎ目の漏水検査漏水処理方法に使用する漏水検査漏水処理装置の設置状態を示す説明図である。(実施例1)
【図17】水平打ち継ぎ目に沿う注入ボックスの移動状態を示す説明図である。(実施例1)
【図18】水平打ち継ぎ目の漏水検査漏水処理方法を示す処理手順のフローチャート図である。(実施例1)
【符号の説明】
【0025】
1 ダム堰堤
2 ダム貯水湖
3 横継ぎ目
4 水平打ち継ぎ目
5 注入ボックス
6 スカート
15 作業台船
19 注入配管
20 巻胴
21 ロープ
22 滑車
23 間詰め材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横継ぎ目と水平打ち継ぎ目に止水材を介在させて連結構築されたコンクリートダムの貯水面下方の水中部におけるコンクリートダムの漏水検査漏水処理方法において、
ダム堰堤の上流側から前記横継ぎ目若しくは前記水平打ち継ぎ目に沿って注入ボックスの開口を前記ダム堰堤に密着配設し、該密着配設状態下で注入ボックスの内側に着色水を貯水面上方から送り込んだ後、ダム堰堤監査廊内の継ぎ目排水管からの着色水の排水により漏水箇所を特定し、
前記継ぎ目排水管からの着色水の排水を確認したる後は、漏水箇所を再特定するために、貯水面上方から前記注入ボックスの内側に気泡剤を注入すると共に、漏水箇所の漏水度合いを調査するために、前記気泡剤の注入ボックスへの注入開始から前記継ぎ目排水管からの気泡剤排出までに要する時間を測定し、
次に、前記注入ボックス内側を洗浄し、前記特定された漏水箇所を覆うように前記注入ボックスの開口をダム堰堤に密着配設後、ダム貯水湖の水面上方から前記注入ボックスへ間詰め材を注入し、漏水圧を利用して前記漏水箇所に前記間詰め材を充填するようにしたことを特徴とするコンクリートダムの漏水検査漏水処理方法。
【請求項2】
上記間詰め材が、セメント又は/及び珪酸塩を含む止水剤よりなることを特徴とする請求項1に記載のコンクリートダムの漏水検査漏水処理方法。
【請求項3】
下面を開口した注入ボックス本体の下部に弾性スカートを設けてなる注入ボックスと、タンクと、該タンクと他端が連通接続した注入配管へ前記タンク内に入れた液状物を送り出すためのコンプレッサーと、ポンプを具備してなる注入装置と、
前記注入ボックスを上下方向に移動するための巻き上げ装置とよりなり、
前記注入配管から送られてきた液状物が前記注入ボックス内側に注入可能に、前記注入ボックス上面内側には前記注入配管の一端が開口連通接続され、
ダム堰堤には滑車を取り付け、該滑車に巻胴に巻着されたロープを懸回して垂下させ、前記ロープ外端に前記注入ボックスを取り付け、前記巻胴に巻着したロープにより前記注入ボックスを上下方向に移動させるようにしたことを特徴とするコンクリートダムの漏水検査漏水処理方法に使用する装置。
【請求項1】
横継ぎ目と水平打ち継ぎ目に止水材を介在させて連結構築されたコンクリートダムの貯水面下方の水中部におけるコンクリートダムの漏水検査漏水処理方法において、
ダム堰堤の上流側から前記横継ぎ目若しくは前記水平打ち継ぎ目に沿って注入ボックスの開口を前記ダム堰堤に密着配設し、該密着配設状態下で注入ボックスの内側に着色水を貯水面上方から送り込んだ後、ダム堰堤監査廊内の継ぎ目排水管からの着色水の排水により漏水箇所を特定し、
前記継ぎ目排水管からの着色水の排水を確認したる後は、漏水箇所を再特定するために、貯水面上方から前記注入ボックスの内側に気泡剤を注入すると共に、漏水箇所の漏水度合いを調査するために、前記気泡剤の注入ボックスへの注入開始から前記継ぎ目排水管からの気泡剤排出までに要する時間を測定し、
次に、前記注入ボックス内側を洗浄し、前記特定された漏水箇所を覆うように前記注入ボックスの開口をダム堰堤に密着配設後、ダム貯水湖の水面上方から前記注入ボックスへ間詰め材を注入し、漏水圧を利用して前記漏水箇所に前記間詰め材を充填するようにしたことを特徴とするコンクリートダムの漏水検査漏水処理方法。
【請求項2】
上記間詰め材が、セメント又は/及び珪酸塩を含む止水剤よりなることを特徴とする請求項1に記載のコンクリートダムの漏水検査漏水処理方法。
【請求項3】
下面を開口した注入ボックス本体の下部に弾性スカートを設けてなる注入ボックスと、タンクと、該タンクと他端が連通接続した注入配管へ前記タンク内に入れた液状物を送り出すためのコンプレッサーと、ポンプを具備してなる注入装置と、
前記注入ボックスを上下方向に移動するための巻き上げ装置とよりなり、
前記注入配管から送られてきた液状物が前記注入ボックス内側に注入可能に、前記注入ボックス上面内側には前記注入配管の一端が開口連通接続され、
ダム堰堤には滑車を取り付け、該滑車に巻胴に巻着されたロープを懸回して垂下させ、前記ロープ外端に前記注入ボックスを取り付け、前記巻胴に巻着したロープにより前記注入ボックスを上下方向に移動させるようにしたことを特徴とするコンクリートダムの漏水検査漏水処理方法に使用する装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
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【図17】
【図18】
【公開番号】特開2009−282006(P2009−282006A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−160980(P2008−160980)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【出願人】(508184516)株式会社西技計測コンサルタント (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【出願人】(508184516)株式会社西技計測コンサルタント (2)
【Fターム(参考)】
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