説明

コンクリート矢板

【課題】 掘削手段の接触によって損傷させることなく、側壁を構築することができ、或いは、掘削領域に向けて平面を形成することができるコンクリート矢板を提供することを課題とする。
【解決手段】 構造体の構築において、土留め壁として用いられるコンクリート矢板1であって、プレキャストコンクリートによって矢板本体2が構成されており、矢板本体2において、掘削領域に向けて配置される内方側面5には、内方側面5を覆う防護板10(被覆部材)が取り外し可能な状態で取り付けられていることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造体の構築に用いられるコンクリート矢板に関する。
【背景技術】
【0002】
地下道路等の構造体の構築において、プレキャストコンクリートである複数のコンクリート部材を一方向に並設して地盤内に側壁を構築し、この側壁を土留め壁として地盤を掘削した後に、その側壁を構造体の壁体として利用する施工方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許3166007号公報(段落0016〜0017、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、バックホウ等の掘削装置を用いて側壁の内方側を掘削する際に、バケット等の掘削手段が側壁に接触してしまう場合がある。特に、コンクリート部材に凹溝が形成されている場合には、掘削手段を凹溝内に侵入させて土砂を除去する必要があり、掘削手段の操作が難しいため、側壁に接触する可能性が非常に高くなっている。
そして、コンクリート部材による側壁は、鋼製の側壁と比較して靭性が低いため、掘削手段の接触によって側壁が損傷してしまうという問題がある。
また、前記施工方法では、側壁を構造体の壁体に利用しており、例えば、側壁を外部に露出させた構造体を構築する場合には、側壁の損傷が小さくても美観が損なわれてしまうという問題がある。
【0004】
さらに、コンクリート部材による側壁の脇に歩道を設けた際に、コンクリート部材に溝が形成されている場合には、歩行者は溝による凹凸を避けながら進む必要があり、壁面に沿って円滑に移動することが困難となってしまう。特に、視覚障害者や幼児は、壁面に沿って円滑に移動することが一層困難となってしまうという問題がある。
また、溝が形成されたコンクリート部材による側壁を、河川等の水路に用いた場合には、溝の凹凸によって乱流が生じる可能性がある。そして、乱流が生じた場合には、側壁と地盤の境が掘り起こされ、側壁が不安定な状態になってしまうという問題がある。
【0005】
そこで、本発明では、前記した問題を解決し、掘削手段の接触によって損傷させることなく、側壁を構築することができ、或いは、掘削領域に向けて平面を形成することができるコンクリート矢板を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、構造体の構築において、土留め壁として用いられるコンクリート矢板であって、プレキャストコンクリートによって矢板本体が構成されており、矢板本体において、掘削領域に向けて配置される内方側面には、内方側面を覆う被覆部材が取り外し可能な状態で取り付けられていることを特徴としている。
【0007】
ここで、プレキャストコンクリートとは、予め工場等で製造されたコンクリート製の部材であり、内部に鉄筋等の補強筋を配筋してもよく、コンクリート矢板に作用する応力に対応させて適宜に設定することが好ましい。
また、被覆部材の材質は限定されるのものではなく、例えば、鋼製、コンクリート製、樹脂製、或いは木製の板やシートを用いることができる。
【0008】
このように、本発明のコンクリート矢板では、矢板本体の内方側面を被覆部材によって覆うことにより、掘削手段が矢板本体に接触することを防止することができるため、矢板本体の損傷を確実に防止することができる。そして、掘削後に被覆部材を取り外すことにより、コンクリート矢板による側壁を無傷な状態で構築することができる。
また、矢板本体の内方側面に溝が設けられている場合であっても、被覆部材によって溝が覆われるため、溝の形状に対応させて掘削手段を移動させる必要がなくなり、コンクリート矢板近傍の土砂を簡易に掘削することができる。
さらに、矢板本体の内方側面を被覆部材によって覆うことにより、コンクリート矢板を地盤内に立設した際に、土砂や泥水等による内方側面の汚れ(しみ)を防ぐことができる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、構造体の構築において、土留め壁として用いられるコンクリート矢板であって、プレキャストコンクリートによって矢板本体が構成されており、矢板本体において、掘削領域に向けて配置される内方側面には、被覆部材が取り付けられており、被覆部材によって、内方側面の少なくとも一部が覆われることにより、掘削領域に向けて平面が形成されていることを特徴としている。
【0010】
このように、本発明のコンクリート矢板では、被覆部材によって、内方側面の少なくとも一部が覆われることにより、掘削領域に向けて平面が形成されるため、コンクリート矢板による側壁の脇に歩道を設けた場合に、歩行者が平坦な壁面に沿って円滑に移動することができる。特に、視覚障害者や幼児であっても壁面に沿って円滑かつ安全に移動することができる。
また、本発明のコンクリート矢板による側壁を河川等の水路に用いた場合には、側壁の凹凸による乱流を防ぐことができ、乱流による地盤の掘り起しを防ぐことができる。
なお、掘削領域に向けて平面が形成されるのであれば、矢板本体の内方側面全域を被覆部材によって覆う必要はなく、例えば、矢板本体の内方側面に凹溝が形成されている場合には、凹溝のみを被覆部材によって覆うことにより、平面を形成することができる。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のコンクリート矢板であって、矢板本体の内方側面には、上下方向に延長させた凹溝が設けられており、矢板本体の内方側面に取り付けられた被覆部材によって、凹溝が覆われていることを特徴としている。
【0012】
ここで、上下方向に延長された凹溝が設けられている矢板とは、例えば、平面視でU形状となる矢板であり、このような矢板を順次に並設することにより、平面視で波形の壁体を構築することができる。そして、凹溝が設けられた矢板では、地盤からの水平応力が作用した際に、その応力方向が分散されるため、同じ厚さであれば平板状の矢板と比較して強度を大きくすることができる。また、中空杭と比較して構造が簡易化されており、同じ強度の中空杭よりも軽量化を図ることができる。
【0013】
このように、本発明のコンクリート矢板では、矢板本体の内方側面に設けた凹溝を被覆部材によって覆うことにより、コンクリート矢板を地盤内に立設した際に、凹溝内への土砂の浸入を防止することができる。これは、コンクリート矢板の周囲で泥水を固化して、コンクリート矢板を地盤内に立設する場合に有効であり、凹溝内への泥水の侵入を防止することができるため、凹溝内の容量に相当する泥水量を削減することができるとともに、泥水を固化させた後に凹溝内を掘削する必要がなくなるため、掘削量を少なくすることができる。
【0014】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のコンクリート矢板であって、矢板本体の内方側面には、上下方向に延長させた凹溝が設けられているとともに、被覆部材には凸部が設けられており、矢板本体の内方側面に取り付けられた被覆部材の凸部が、矢板本体の凹溝内に突出していることを特徴としている。
【0015】
ここで、被覆部材において、矢板本体に設けられた凹溝内の空間に対応する部位は、被覆部材を矢板本体に取り付けた際に、矢板本体によって支持されないため、強度が小さく、掘削手段の接触や土圧、或いはコンクリート矢板を地盤に打設した際の衝撃によって破損してしまう可能性がある。
しかし、本発明のコンクリート矢板では、矢板本体の内方側面に設けられた凹溝に対応させて被覆部材に凸部を設けており、この部位の強度が大きくなっているため、被覆部材の破損を防止することができる。
【0016】
さらに、凹溝の内部形状と同一形状に凸部を形成した場合には、被覆部材によって凹溝内全域が塞がれるため、凹溝内への土砂の浸入を確実に防止することができる。
【0017】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のコンクリート矢板であって、矢板本体の内方側面と被覆部材との隙間に充填された充填材によって、被覆部材が矢板本体の内方側面に取り付けられていることを特徴としている。
【0018】
ここで、被覆部材を矢板本体に取り付けるための充填材は、十分な接着力を発揮するものであれば、その材質は限定されるものではないが、被覆部材を矢板本体から取り外し可能な構成では、被覆部材を矢板本体から取り外した後に、矢板本体の内方側面から簡易に剥離可能なストリッパブルジェルやウレタンスポンジを用いることが好ましい。
【0019】
このように、本発明のコンクリート矢板では、矢板本体の内方側面と被覆部材との隙間に充填材を充填することにより、被覆部材を矢板本体の内方側面に取り付けることができるため、矢板本体の内方側面に対して、被覆部材を簡易に取り付けることができるとともに、矢板本体を加工する必要がなくなり、矢板本体の製造コストを抑制することができる。
【0020】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のコンクリート矢板であって、矢板本体の内方側面には、防水剤が塗布されていることを特徴としている。
【0021】
ここで、防水剤としては、例えば、シラン系または非シラン系の浸透型防水剤であり、コンクリート部材の表面に塗布することにより、その表面が防水(撥水)加工され、雨水や泥水等による表面の汚れ(しみ)を防ぐことができる。
【0022】
このように、本発明のコンクリート矢板では、矢板本体の内方側面が防水剤によって防水加工されているため、雨水や泥水等による汚れを防ぐことができる。これは、被覆部材を矢板本体から取り外し可能な構成において特に有効であり、被覆部材を取り外した後であっても、雨水や泥水等による汚れを防ぐことができるため、防汚性能に優れた側壁を構築することができる。また、側壁を構築する際に、内方側面に土砂や泥水等の汚れが付着した場合であっても、簡易に洗い流すことができる。
【発明の効果】
【0023】
このようなコンクリート矢板において、矢板本体の内方側面を覆う被覆部材を取り外し可能な状態で取り付けた構成では、掘削手段の接触による矢板本体の損傷を確実に防止することができ、掘削後には被覆部材を取り外すことにより、コンクリート矢板による側壁を構築することができる。これにより、掘削装置を操作するオペレータの技量が未熟であっても、コンクリート矢板による側壁を無傷な状態で構築することができる。
また、矢板本体の内方側面に溝が設けられている場合であっても、被覆部材によって溝が覆われるため、溝の形状に対応させて掘削手段を移動させる必要がなくなり、コンクリート矢板近傍の土砂を簡易に掘削することができ、施工効率を高めることができる。
さらに、矢板本体の内方側面を被覆部材によって覆うことにより、コンクリート矢板を地盤内に立設する際に、土砂や泥水等による内方側面の汚れ(しみ)を防ぐことができる。
また、被覆部材によって、内方側面の少なくとも一部が覆われることにより、掘削領域に向けて平面が形成される構成では、コンクリート矢板による側壁の脇に歩道を設けた場合に、歩行者が平坦な壁面に沿って円滑に移動することができる。さらに、コンクリート矢板による側壁を河川等の水路に用いた場合には、側壁の凹凸による乱流を防ぐことができ、乱流による地盤の掘り起しを防ぐことができる。
また、矢板本体の内方側面に凹溝が設けられている場合には、被覆部材を内方側面に取り付けることにより、凹溝内への土砂の浸入を防止することができる。これにより、コンクリート矢板の周囲の泥水を固化する際に、凹溝内への泥水の侵入を防止することができ、凹溝内の容量に相当する泥水量を削減することができるとともに、泥水を固化させた後に凹溝内を掘削する必要がなくなり、掘削量を少なくすることができるため、施工効率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、各実施形態の説明において、同一の構成要素に関しては同一の符号を付し、重複した説明は省略するものとする。
【0025】
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、第1実施形態のコンクリート矢板を示した図で、(a)はコンクリート矢板の斜視図、(b)はその平面図である。図2は、第1実施形態のコンクリート矢板を示した図で、(a)は防護板を取り付けたコンクリート矢板の斜視図、(b)はその平面図である。
なお、コンクリート矢板の説明において、幅方向とは、図1(b)の左右方向に対応している。
この第1実施形態では、地下道路を構築する際に用いられるコンクリート矢板を例として説明する。
【0026】
(コンクリート矢板)
第1実施形態のコンクリート矢板1は、図1に示すように、地下道路(請求項における「構造体」)の構築において、土留め壁として用いられた後に、地下道路の側壁として用いられる部材であり、予め工場等で製作されたコンクリート製のプレキャスト部材(以下、「プレキャストコンクリート」という場合がある)によって矢板本体2が構成されている。
【0027】
矢板本体2は板状の部材であり、上下方向に延長している凹溝3が、幅方向の中央に形成されるようにして折り曲げられている。この凹溝3は、地下道路の外方に向けて配置される外方側面4(図1(b)における上側)から、地下道路の内方(請求項における「掘削領域」)に向けて配置される内方側面5(図1(b)における下側)に向けて平面視で順次に拡幅されており、内方側面5で開口した状態になっている。
【0028】
また、矢板本体2の内方側の幅方向における両端部には、他のコンクリート矢板1を並設するための継手部6a,6bが幅方向に突出している。
すなわち、本実施形態のコンクリート矢板1は、凹溝3によって平面視で略U形状となっている部位と、U形となる部位の両端部から幅方向に突出している継手部6a,6bとが形成されている所謂U形の矢板である。
【0029】
このように、凹溝3が形成されたコンクリート矢板1では、外方側から水平応力が作用した際に、その応力方向が分散されるため、同じ厚さであれば平板状の矢板よりも強度を大きくすることができる。また、中空杭と比較して構造が簡易化されており、同じ強度を有する中空杭よりも軽量化されているため、コンクリート矢板1を簡易に搬送することができる。
なお、コンクリート矢板1は、各種搬送手段によって簡易に搬送可能となるようにして、矢板本体2の上下方向の長さおよび重量が設定されている。さらに、矢板本体2内に鉄筋等の補強筋を配筋することにより、コンクリート矢板1の強度を大きくしてもよい。
【0030】
また、継手部6a,6bにおいて、幅方向の側端面は、他のコンクリート矢板1が幅方向に接合される接合面7a,7bとなっており、一方の継手部6a(図1(b)における右側)の接合面7aには凹部8aが形成され、他方の継手部6b(図1(b)における左側)の接合面7bには凸部8bが形成されている。そして、隣り合うコンクリート矢板1,1の接合面7a,7bの凹部8aと凸部8bとが嵌め合わされるように構成されている。このように、継手部6a,6bを利用して、複数のコンクリート矢板1を並設することにより、平面視で波形の壁体を形成することができる。
【0031】
さらに、継手部6a,6bの内方側面5には、ネジ孔が形成された埋込金物9が上下方向に所定間隔を空けて複数埋設されており、各継手部6a,6bに埋設された各埋込金物9,9は幅方向において対峙した位置に配置されている。
【0032】
(防護板)
また、第1実施形態のコンクリート矢板1では、図2に示すように、矢板本体2の内方側面5に、防護板10(請求項における「被覆部材」)を取り外し可能な状態で取り付けることができる。
この防護板10は、幅および上下方向の長さが矢板本体2の内方側面5と同一な長方形の平面10aが形成された鋼板であり、この平面10aの両側端部には、矢板本体2の継手部6a,6bに埋設された各埋込金物9のネジ孔に連通するようにして、複数の貫通孔11が設けられている。そして、各貫通孔11に挿入したボルト12を矢板本体2に埋設された各埋込金物9のネジ孔に螺着させて、矢板本体2の内方側面5に防護板10を取り付けることにより、内方側面5全域が防護板10によって覆われるように構成されている。
【0033】
なお、防護板10は、地盤を掘削する掘削手段が矢板本体2に接触することを防止するための部材であり、その材質は鋼板に限定されるものではなく、掘削手段が接触した際に穴が開いたり、亀裂が生じたりしない程度の強度を有していれば、コンクリート製、樹脂製、或いは木製の板やシートを用いることができる。
【0034】
また、防護板10の平面10aにおいて、矢板本体2側(外方側)には、矢板本体2の内方側面5に設けられた凹溝3の内部形状と同一形状の凸部13が形成されている。
この凸部13は、内部が中空に形成されており、その中空部にモルタル材が充填されることにより、凸部13内が塞がれている。これにより、矢板本体2に防護板10を取り付けた際に、凹溝3内全域が凸部13によって塞がれることになる。
【0035】
(地下道路の構築)
次に、第1実施形態のコンクリート矢板1を用いた地下道路の構築について説明する。
図3は、第1実施形態のコンクリート矢板を用いて地下道路を構築する態様を示した図で、(a)はコンクリート矢板によって側壁を構築した状態の平面図、(b)は図3(a)のA−A断面図である。図4は、第1実施形態のコンクリート矢板を用いて地下道路を構築する態様を示した図で、コンクリート矢板による側壁の内方側を掘削している態様の平面図、(b)はその側断面図である。図5は、第1実施形態のコンクリート矢板を用いて地下道路を構築する態様を示した図で、(a)は防護板を取り外している態様の側断面図、(b)は側壁に支保工を取り付けた状態の側断面図である。図6は、第1実施形態のコンクリート矢板を用いて構築した地下道路を示した断面図である。
なお、第1実施形態において、幅員方向とは、図3から図6の左右方向に対応しており、地下道路の延長方向とは、図3(a)および図4(a)の上下方向に対応している。
【0036】
(掘削溝構築工程)
まず、図3(a)に示すように、地下道路50(図6参照)の延長方向に沿って掘削した側壁用溝51を、幅員方向に所定間隔を空けて2箇所に構築する。
【0037】
(防水剤塗布工程)
一方、コンクリート矢板1の矢板本体2の内方側面5に防水剤を塗布して防水(撥水)加工を施す。なお、防水剤としては、例えば、シラン系または非シラン系の浸透型防水剤を用いることができるが、内方側面5の表面を防水(撥水)加工することができるのであれば、その原料は限定されるものではない。
【0038】
(防護板取り付け工程)
また、図2に示すように、防護板10の凸部13内にモルタルを充填して硬化させた後に、矢板本体2の内方側面5上に防護板10を重ね合わせ、防護板10の凸部13と内方側面5の凹溝3とを嵌め合わせる。そして、防護板10の各貫通孔11に挿入したボルト12を、矢板本体2に埋設された各埋込金物9のネジ孔に螺着させることにより、矢板本体2の内方側面5に防護板10を取り付ける。これにより、矢板本体2の内方側面5全域が防護板10によって覆われ、さらに、凹溝3内全域が防護板10の凸部13によって塞がれた状態となる。
なお、前記した防水剤塗布工程および防護板取り付け工程は、施工現場で簡易に行うことができるが、コンクリート矢板1を製作した際に予め工場等で行ってもよい。
【0039】
(コンクリート矢板打設工程)
続いて、図3(b)に示すように、施工現場内に搬入された2体のコンクリート矢板1を上下に接合する。具体的には、下方のコンクリート矢板1の上端面に、上方のコンクリート矢板1の下端面を当接させ、各コンクリート矢板1,1の境に設けた接合部材(図示せず)によって接合する。この接合部材の構成は限定されるものではなく、例えば、上下のコンクリート矢板1,1に渡って配置した板状の部材を、各コンクリート矢板1,1にボルト等の固定手段によって取り付けることにより、上下のコンクリート矢板1,1を接合する構成がある。
【0040】
そして、側壁用溝51内に泥水を注入し、上下に接合した2体のコンクリート矢板1,1を側壁用溝51内に挿入する。
このとき、矢板本体2の内方側面5が防護板10によって覆われているとともに、防護板10の凸部13によって、凹溝3内全域が塞がれており、凹溝3内への泥水の浸入が確実に防止されているため、泥水による内方側面5の汚れ(しみ)を防ぐことができる。
なお、各コンクリート矢板1,1を挿入する際には、その内方側面5を各側壁用溝51,51の間に向けて配置する(図6参照)。これにより、矢板本体2に取り付けられた防護板10は、各側壁用溝51,51の間、すなわち、掘削領域に向けて配置された状態になる。
【0041】
(側壁構築工程)
さらに、図3(b)に示すように、前記コンクリート矢板打設工程と同様にして、他の2体のコンクリート矢板1,1を上下に接合し、このコンクリート矢板1,1を、既に側壁用溝51内に配置されているコンクリート矢板1,1の側方に配置する。そして、隣り合うコンクリート矢板1,1を接合して、2体1組のコンクリート矢板1,1を地下道路50(図4参照)の延長方向に並設する。このようにして、2体1組のコンクリート矢板1,1を順次に並設し、側壁用溝51内に平面視で波形状の側壁20を配置する。
なお、隣り合うコンクリート矢板1,1の接合は、各継手部6a,6bの接合面7a,7b(図1参照)に設けた凹部8aと凸部8bとを嵌め合う構成や、止水材を介在させる構成など、その構成は限定されるものではない。
【0042】
続いて、側壁用溝51内の泥水にセメント等の固化剤を注入して泥水を固化させることにより、側壁20を側壁用溝51内に固定する。
このとき、防護板10の凸部13によって、内方側面5の凹溝3内全域が塞がれており、凹溝3内への泥水の浸入が防止されているため、凹溝3内の容量に相当する泥水量が削減され、固化する泥水量が少なくなることから、施工効率を高めることができる。
【0043】
同様にして、他方の側壁用溝51内にコンクリート矢板1,1による側壁20を固定することにより、幅員方向に所定間隔を空けて対峙している2体の側壁20,20を地盤内に構築する(図6参照)。
【0044】
(地下道路構築工程)
そして、図4に示すように、各側壁20,20を土留め壁として利用しながら、各側壁20,20の間をバックホウ等の掘削装置60によって掘削することにより、道路用溝52を構築する。
ここで、側壁20,20は、平面視で波形状の壁体であり、地盤から各側壁20,20に作用した水平応力の応力方向が分散されることから、その強度が十分に確保されているため、地盤の崩落を確実に防止することができる。
【0045】
また、矢板本体2の内方側面5は、防護板10によって覆われているため、掘削装置60の掘削手段(バケット)61と矢板本体2との接触が防止されている。これにより、掘削時における矢板本体2の損傷を確実に防止することができる。
さらに、内方側面5の凹溝3を防護板10によって覆うことにより、凹溝3の形状に対応させて掘削手段61を移動させる必要がなくなるため、コンクリート矢板1近傍の土砂を簡易に掘削することができる。
また、防護板10の凸部13によって、内方側面5の凹溝3内への泥水の浸入が防止されており、掘削時に凹溝3内を掘削する必要がないため、掘削量が少なくなっている。
このように、防護板10によって、掘削装置60と矢板本体2との接触が防止されており、さらに、掘削量が少なく、掘削手段61を複雑に移動させる必要がないため、掘削装置60を操作するオペレータの技量が未熟であっても、コンクリート矢板1による側壁20,20を損傷させることなく、道路用溝52を掘削することができる。
【0046】
(防護板取り外し工程)
そして、図5(a)に示すように、下方のコンクリート矢板1の上端部が露出する深度まで道路用溝52を掘削した後に、上方のコンクリート矢板1の矢板本体2から防護板10を取り外して内方側面5を露出させる。これにより、コンクリート矢板1による側壁20,20を、道路用溝52の両側に無傷な状態で構築することができる。
また、矢板本体2の内方側面5は、防水剤によって防水(撥水)加工されており、防護板10を取り外した後であっても、雨水や泥水等によるコンクリート矢板1の汚れ(しみ)を防ぐことができるため、防汚性能に優れた側壁20を構築することができる。
さらに、矢板本体2の内方側面5を防水加工することにより、矢板本体2と防護板10との隙間に泥水が入り込んでしまったとしても、内方側面5の汚れを簡易に洗い流すことができる。
【0047】
(床体接合工程)
その後、図5(b)に示すように、道路用溝52の両側に構築された側壁20,20間に支保工53を設けて側壁20,20を支持しながら、道路用溝52を所定深度まで掘削した後に、図6に示すように、道路用溝52の底面にコンクリート材を打設して床体54を構築し、各側壁20,20と床体54とを剛接合する。さらに、床体54の上面に道路55を構築して地下道路50を完成させる。
なお、図5(b)に示す支保工53は、必ずしも設ける必要はなく、地盤からの土圧と側壁20,20の強度とを考慮して適宜に設けられるものである。
【0048】
このように、第1実施形態のコンクリート矢板1では、図2に示すように、矢板本体2の内方側面5を覆う防護板10が取り外し可能に取り付けられているため、掘削手段の接触による矢板本体2の損傷を確実に防止することができ、掘削後には防護板10を取り外すことにより、コンクリート矢板1による側壁20(図6参照)を構築することができる。これにより、掘削装置を操作するオペレータの技量が未熟であっても、コンクリート矢板1による側壁20を無傷な状態で構築することができる。
【0049】
以上、本発明の第1実施形態について説明したが、本発明は前記第1実施形態に限定されるものではない。
図7は、第1実施形態の防護板の他の実施形態を示した図で、(a)は水抜き孔を用いて矢板本体に取り付ける構成の平面図、(b)は充填材によって矢板本体に取り付ける構成の平面図、(c)は、平板を用いた構成の平面図である。図8は、第1実施形態の防護板の他の実施形態を示した図で、(a)は平面視で台形の凸部を形成した構成の平面図、(b)は平面視で半円形の凸部を形成した構成の平面図、(c)はリブ状の凸部を形成した構成の平面図である。
【0050】
第1実施形態では、図2に示すように、防護板10の貫通孔11に挿入したボルト12を、矢板本体2の継手部6a,6bに埋設した埋込金物9のネジ孔に螺着させることにより、矢板本体2に防護板10を取り付けているが、図7(a)に示すように、防護板10の内方側から凸部13内を通過して外方側に貫通させた取付孔13aを形成し、この取付孔13aを矢板本体2に設けられた水抜き孔2aに連通させ、防護板10の内方側から取付孔13aに挿入したボルト14を、水抜き孔2a内に形成した雌ネジ部に螺着させることにより、防護板10を矢板本体2に取り付けることができる。これにより、矢板本体2を僅かに加工するだけで、防護板10を取り付けることができる。
【0051】
また、図7(b)に示すように、内方側面5と防護板10との隙間に充填材15を充填することにより、矢板本体2の内方側面5に防護板10を取り付ける構成がある。
ここで、充填材15は、十分な接着力を発揮するものであれば、その材質は限定されるものではないが、防護板10を矢板本体2から取り外した際に、内方側面5から簡易に剥離可能なストリッパブルジェルやウレタンスポンジを用いることが好ましい。
この構成では、矢板本体2の内方側面5と防護板10との隙間に充填材15を充填することにより、防護板10を矢板本体2の内方側面5に取り付けることができるため、矢板本体2に対して、防護板10を簡易に取り付けることができるとともに、矢板本体2を全く加工する必要がなくなり、矢板本体2の製造コストを抑制することができる。
【0052】
さらに、図2に示す凸部13の構成としては、中空の凸部13内に土砂を充填して固化させることにより、凸部13内を塞いでもよい。
または、凸部13内にモルタルや土砂を充填することなく、凸部13の上端面および下端面に蓋を設けることにより、凸部13内を塞いでもよい。この構成では、凸部13の内部に補強筋を設けることにより、凸部13の強度を大きくしてもよい。
【0053】
また、防護板10に凸部13を設けることなく、図7(c)に示すように、平板状の防護板10を用いることにより、防護板10を簡易な構成にして、その製造コストを抑制することもできる。
ここで、平板状の防護板10において、矢板本体2に設けられた凹溝3内の空間に対応する部位は、防護板10を矢板本体2に取り付けた際に、矢板本体2によって支持されないため、強度が小さく、掘削手段の接触や土圧によって破損してしまう可能性がある。
そこで、図8(a)に示すように、矢板本体2の内方側面5に設けられた凹溝3内に突出するようにして、防護板10に凸部16を設けることにより、凹溝3内の空間に対応する部位の厚みを他の部位よりも大きくして強度を大きくすることができる。これにより、防護板10の破損を防止することができ、防護板10によって矢板本体2を確実に防護することができる。
【0054】
なお、矢板本体2の内方側面5に設けられた凹溝3に対応する部位の強度を確実に大きくすることができる形状であれば、平面視で台形状に限定されるものではなく、図8(b)に示すように、平面視で半円形状の凸部17や、図8(c)に示すように、先端部が凹溝3の底面3aに当接しているリブ状の凸部18でもよい。
【0055】
また、粘着面を有するシートによって防護板10を構成し、その粘着面を矢板本体2の内方側面5に貼り付けることにより、防護板10を矢板本体2に取り付けてもよい。この構成においても、矢板本体2を全く加工する必要がなくなるため、矢板本体2の製造コストを抑制することができる。
【0056】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図9は、第2実施形態のコンクリート矢板を示した図で、(a)は第2実施形態のコンクリート矢板の平面図、(b)は第2実施形態の他の構成を示しており、被覆板の外方側の側面を湾曲させた構成の平面図である。図10は、第2実施形態のコンクリート矢板の他の構成を示した図で、(a)は被覆板に凸部が形成された構成の平面図、(b)は被覆板の凸部に中空部が形成された構成の平面図、(c)は被覆板にリブ状の凸部が形成された構成を示した平面図である。
この第2実施形態のコンクリート矢板は、第1実施形態のコンクリート矢板1と略同様の構成であり、矢板本体2の内方側面2に取り付けられた被覆部材(第1実施形態では「防護板」、第2実施形態では「被覆板」という)の構成が異なっている。
【0057】
(矢板本体)
第2実施形態のコンクリート矢板1’の矢板本体2には、図9(a)に示すように、幅方向の中央に形成された凹溝3内の左右側面において、内方側面5側となる位置に、ネジ孔を有する埋込金物9’が上下方向に所定間隔を空けて複数埋設されており、凹溝3内の左右側面に埋設された各埋込金物9’,9’は、幅方向において対峙した位置に配置されている。
【0058】
(被覆板)
また、第2実施形態では、被覆板70(請求項における「被覆部材」)が矢板本体2の凹溝3内に取り付けられるように構成されている。
被覆板70は、幅および上下方向の長さが矢板本体2の凹溝3の開口部の周縁と同一に形成された長方形の板部材であり、この被覆板70を凹溝3内に取り付けた際に、被覆板70の内方側(図9(a)の下側)の平面71と、矢板本体2の内方側面5とが同一平面を形成するように構成されている。
【0059】
また、被覆板70の両側端部には、凹溝3内に向けて突出するようにして取付部72,72が形成されている。この各取付部72,72には、凹溝3内の側面に埋設された各埋込金物9’,9’のネジ孔に連通するようにして、複数の貫通孔73が設けられている。そして、各貫通孔73に挿入したボルト74を各埋込金物9’のネジ孔に螺着させることにより、凹溝3内に被覆板70が取り付けられた状態となる。なお、貫通孔73の開口部周囲には、ボルト74の頭が平面71から突出しないように切り欠き部75が形成されている。
このように、第2実施形態のコンクリート矢板1’では、被覆板70によって、矢板本体2の凹溝3を覆うことにより、地下道路の内方に向けて平坦な側面が形成されている。
【0060】
なお、被覆板70の材質は限定されるものではなく、コンクリート矢板1’を地盤に打設した際に、その衝撃や土圧によって破損しない程度の強度を有していれば、コンクリート製、鋼製、樹脂製、或いは木製の板を用いることができる。
【0061】
(地下道路の構築)
次に、第2実施形態のコンクリート矢板1’を用いて地下道路を構築する場合について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については省略するものとする。
まず、矢板本体2の凹溝3内に被覆板70を取り付け、その状態でコンクリート矢板1’を側壁用溝51(図3参照)内に挿入する。このとき、凹溝3は被覆板70によって塞がれているため、凹溝3内への泥水の浸入が防止され、凹溝3内の容量に相当する泥水量が削減されるため、固化する泥水量を少なくすることができ、施工効率を高めることができる。さらに、掘削時に凹溝3内を掘削する必要がないため、掘削量を少なくすることができるとともに、凹溝3の形状に対応させて掘削手段61を移動させる必要がなくなるため、コンクリート矢板1近傍の土砂を簡易に掘削することができる。
なお、凹溝3内に浸入する泥水量が少ない場合には、コンクリート矢板1’を側壁用溝51内に挿入して、矢板本体2の内方側の掘削領域を掘削し、凹溝3内の土砂を洗い流した後に、被覆板70を凹溝3内に取り付けてもよく、その順序は限定されるものではない。
【0062】
このように、第2実施形態のコンクリート矢板1’では、被覆板70によって、矢板本体2の凹溝3が覆われた状態で側壁が構築されるため、地下道路の内方に向けて平坦な壁面を形成することができる。これにより、側壁の脇に歩道を設けた場合に、歩行者が壁面に沿って円滑かつ安全に移動することができる。これは、視覚障害者や幼児が移動する場合に特に有効である。
また、第2実施形態のコンクリート矢板1’による側壁を河川等の水路に用いた場合には、側壁の凹凸による乱流を防ぐことができ、乱流による地盤の掘り起しを防ぐことができる。
【0063】
以上、本発明の第2実施形態について説明したが、本発明は前記第2実施形態に限定されるものではない。
例えば、第2実施形態のコンクリート矢板1’では、矢板本体2から被覆板70を取り外すことなく、その状態で地下道路の側壁として利用するため、前記したようにボルト74を用いて被覆板70を矢板本体2に取り付けることなく(図9(a)参照)、被覆板70と矢板本体2との接合部位に充填した充填材の接着力によって固着させてもよい。この構成では、矢板本体2を全く加工する必要がなくなるため、矢板本体2の製造コストを抑制することができる。一方、ボルト74を用いて被覆板70を矢板本体2に取り付けた場合には、側壁の構築後に被覆板70が破損した際に、簡易に被覆板70を交換することができる。
【0064】
また、被覆板70の他の構成としては、図9(b)に示すように、被覆板70の外方側(図9(b)の上側)の側面を、内方側に向けて凹状に湾曲させてアーチ状に形成し、その両側端部に取付部72’,72’を形成した構成がある。この構成では、被覆板70の重量を大幅に増加することなく、被覆板70全体の強度を高めることができる。
【0065】
また、第1実施形態のコンクリート矢板1の防護板10(図2(a)参照)と同様にして、図10(a)に示すように、被覆板70に凹溝3の内部形状と同一形状の凸部76を形成し、矢板本体2に被覆板70を取り付けた際に、凹溝3内の全域が凸部76によって塞がれるように構成してもよい。
この構成では、凸部76によって被覆板70の強度が大きくなるため、コンクリート矢板1’を地盤に打設した際の衝撃や土圧による被覆板70の破損を防止することができるとともに、凹溝3内の全域が塞がれるため、コンクリート矢板1’を地盤に打設した際に、凹溝3内への土砂の浸入を確実に防止することができる。なお、図10(b)に示すように、凸部76に上下方向の中空部77を設けることにより、凸部76を有する被覆板70を軽量化してもよい。
【0066】
また、凸部76を有する被覆板70を矢板本体2に取り付ける構成としては、第1実施形態で図7(a)に示した構成と同様にして、被覆板70の内方側から凸部76内を通過して外方側に貫通させた取付孔を形成し、この取付孔を矢板本体2に設けられた水抜き孔に連通させ、被覆板70の内方側から取付孔に挿入したボルトを、水抜き孔内に形成した雌ネジ部に螺着させることにより、被覆板70を矢板本体2に取り付けてもよい。
さらに、凸部76の形状は限定されるものではなく、図10(c)に示すように、先端部が凹溝3の底面3aに当接しているリブ状の凸部78でもよい。
【0067】
なお、第1実施形態において、コンクリート矢板1による側壁を構築した後に、防護板10(図2、図7および図8参照)を矢板本体2から取り外すことなく、矢板本体2に取り付けた状態を維持することにより、第2実施形態と同様の作用効果を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】第1実施形態のコンクリート矢板を示した図で、(a)はコンクリート矢板の斜視図、(b)はその平面図である。
【図2】第1実施形態のコンクリート矢板を示した図で、(a)は防護板を取り付けたコンクリート矢板の斜視図、(b)はその平面図である。
【図3】第1実施形態のコンクリート矢板を用いて地下道路を構築する態様を示した図で、(a)はコンクリート矢板によって側壁を構築した状態の平面図、(b)は図3(a)のA−A断面図である。
【図4】第1実施形態のコンクリート矢板を用いて地下道路を構築する態様を示した図で、コンクリート矢板による側壁の内方側を掘削している態様の平面図、(b)はその側断面図である。
【図5】第1実施形態のコンクリート矢板を用いて地下道路を構築する態様を示した図で、(a)は防護板を取り外している態様の側断面図、(b)は側壁に支保工を取り付けた状態の側断面図である。
【図6】第1実施形態のコンクリート矢板を用いて構築した地下道路を示した断面図である。
【図7】第1実施形態の防護板の他の実施形態を示した図で、(a)は水抜き孔を用いて矢板本体に取り付ける構成の平面図、(b)は充填材によって矢板本体に取り付ける構成の平面図、(c)は、平板を用いた構成の平面図である。
【図8】第1実施形態の防護板の他の実施形態を示した図で、(a)は平面視で台形の凸部を形成した構成の平面図、(b)は平面視で半円形の凸部を形成した構成の平面図、(c)はリブ状の凸部を形成した構成の平面図である。
【図9】第2実施形態のコンクリート矢板を示した図で、(a)は第2実施形態のコンクリート矢板の平面図、(b)は第2実施形態の他の構成を示しており、被覆板の外方側の側面を湾曲させた構成の平面図である。
【図10】第2実施形態のコンクリート矢板の他の構成を示した図で、(a)は被覆板に凸部が形成された構成の平面図、(b)は被覆板の凸部に中空部が形成された構成の平面図、(c)は被覆板にリブ状の凸部が形成された構成を示した平面図である。
【符号の説明】
【0069】
1 コンクリート矢板(第1実施形態)
1’ コンクリート矢板(第2実施形態)
2 矢板本体
3 凹溝
5 内方側面
10 防護板
15 充填材
20 側壁
50 地下道路
51 側壁用溝
70 被覆板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造体の構築において、土留め壁として用いられるコンクリート矢板であって、
プレキャストコンクリートによって矢板本体が構成されており、
前記矢板本体において、掘削領域に向けて配置される内方側面には、前記内方側面を覆う被覆部材が取り外し可能な状態で取り付けられていることを特徴とするコンクリート矢板。
【請求項2】
構造体の構築において、土留め壁として用いられるコンクリート矢板であって、
プレキャストコンクリートによって矢板本体が構成されており、
前記矢板本体において、掘削領域に向けて配置される内方側面には、被覆部材が取り付けられており、
前記被覆部材によって、前記内方側面の少なくとも一部が覆われることにより、前記掘削領域に向けて平面が形成されていることを特徴とするコンクリート矢板。
【請求項3】
前記矢板本体の内方側面には、上下方向に延長させた凹溝が設けられており、
前記矢板本体の内方側面に取り付けられた前記被覆部材によって、前記凹溝が覆われていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンクリート矢板。
【請求項4】
前記被覆部材には凸部が設けられており、
前記矢板本体の内方側面に取り付けられた前記被覆部材の凸部が、前記矢板本体の前記凹溝内に突出していることを特徴とする請求項3に記載のコンクリート矢板。
【請求項5】
前記矢板本体の内方側面と前記被覆部材との隙間に充填された充填材によって、前記被覆部材が前記矢板本体の内方側面に取り付けられていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のコンクリート矢板。
【請求項6】
前記矢板本体の内方側面には、防水剤が塗布されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のコンクリート矢板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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