コンクリート造梁の配筋施工方法
【課題】 使用鉄筋量の節減、配筋の簡素化の面で優れ、さらに鉄筋継手位置に係る構造規定、強度、信頼性の問題を生じることなく、定尺化による納期短縮、品質安定化、コスト削減を可能としたコンクリート造梁の配筋方法を提供する。
【解決手段】 耐力壁1に沿って設けられる鉄筋コンクリート造梁3または鉄骨鉄筋コンクリート造梁に適用する。上端筋12および下端筋13が、梁両端に配置された一対の拡径頭部付き鉄筋A1 ,A2 と、これらに接合された中間鉄筋Bとでなる。拡径頭部付き鉄筋A1 ,A2 は、一端に拡径頭部Aaを有し、この拡径頭部Aaが、鉄筋コンクリート造柱2のコンクリート内に埋め込まれる。拡径頭部付き鉄筋A1 ,A2 は、鉄筋太さ毎に2〜4種類を定尺の規格品として鉄筋メーカで準備しておく。
【解決手段】 耐力壁1に沿って設けられる鉄筋コンクリート造梁3または鉄骨鉄筋コンクリート造梁に適用する。上端筋12および下端筋13が、梁両端に配置された一対の拡径頭部付き鉄筋A1 ,A2 と、これらに接合された中間鉄筋Bとでなる。拡径頭部付き鉄筋A1 ,A2 は、一端に拡径頭部Aaを有し、この拡径頭部Aaが、鉄筋コンクリート造柱2のコンクリート内に埋め込まれる。拡径頭部付き鉄筋A1 ,A2 は、鉄筋太さ毎に2〜4種類を定尺の規格品として鉄筋メーカで準備しておく。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、集合住宅等となる鉄筋コンクリート造建物や鉄骨鉄筋コンクリート造建物におけるコンクリート造梁の配筋施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、図12(A),(B)に示すように、鉄筋コンクリート造梁53の主筋62,63の端部は、柱コンクリートへの定着の確実のために、上下方向に延びる折り曲げ部62a,63aを設けた構成とされる。同図(A)は中間階や柱頭を突出させた最上階、同図(B)は中間階の例である。
このような鉄筋の組立加工は、一般的に1棟の物件毎に、工場で切断し、折り曲げ加工して現場に搬入し、その後に組立が行われている。
しかし、上記主筋の端部の折り曲げ部は、使用する鉄筋量の増加を招き、また鉄筋コンクリート製の柱を構成する配筋内に入り込み、柱内の配筋が複雑となる。
【0003】
このような課題を解消する工法としては、図13に示すように、両端に拡径頭部62b,63bを有する鉄筋を用い、拡径頭部62b,63bにより、折り曲げ部62a,63aに代わる定着強度を持たせる工法が提案され、実用化されている(例えば、特許文献1,2)。この工法は、Tヘッド鉄筋工法、あるいは機械式鉄筋定着方式などと呼ばれている。
上記拡径頭部付き鉄筋の拡径頭部の加工は、梁への使用時の長さよりも若干長い寸法の素材鉄筋の端部を、高周波誘導加熱等で加熱し、加圧成形することで行われる。この場合に、設備上の問題や、また要求される鉄筋長さは建物物件により種々異なることから、一端の拡径頭部を加工した後、鉄筋素材を180°振り回して反転させ、同じ設備で他端の拡径頭部を加工する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−293850号公報
【特許文献2】特開2000−257209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記拡径頭部付の鉄筋を用いる工法は、使用鉄筋量の節減や、配筋の簡素化、過密配筋の軽減を図る面で非常に優れた工法である。
しかし、両端に拡径頭部62b,63bを有していて、建物の物件毎に、また建物の使用部位毎に異なる長さのものが要求される。このため、建物の配筋図が完成した後に、鉄筋メーカに発注することになり、受注生産となる。
鉄筋メーカでの拡径頭部62b,63bの加工は、要求寸法の鉄筋素材を製造した後に、上記のように誘導加熱,加圧工程により拡径加工することが必要であり、手間のかかる工程となる。そのため、受注から納品までに時間がかかり、建物の工期の短縮化の妨げとなる。受注生産となるため、生産計画が難しくて、受注時期の偏りにより、加工設備の稼働率の低下を招き、不経済になるという問題もある。また、長尺の鉄筋を取り扱い、180°振り回して両端を順次加工するため、加工場所に広い占有床面積が要求される。このような長い鉄筋の拡径頭部の加工は、自動化が困難で、品質確保が難しいものとなっている。
【0006】
そこで、本発明者は、このような物件毎に長さの異なる長尺の拡径頭部付き鉄筋の問題を改良するものとして、一端のみに拡径頭部を有する定尺の拡径頭部付き鉄筋を用いることを考えた。
しかし、一般の大梁の鉄筋継手は、応力の小さい箇所で行うことが、構造規定で定められている。例えば、図14(A),(B)に示すように、ガス圧接継手および重ね継手のいずれも、上端筋は梁中央のL0 /2の範囲、下端筋は柱から梁成Dを起点にL0 /4の間で行うように規定されている。
【0007】
そのため、定尺の拡径頭部付き鉄筋とした場合、建物の物件によっては、対応できない場合が多くあると予想される。そのため、定尺化の利点が得難い。
なお、従来は、このような鉄筋継手位置の構造規定があるため、拡径頭部付き鉄筋において、定尺化の発想はなされていない。また、従来、図12の例のような折り曲げ部62a,63aを有する鉄筋の場合に、鉄筋を現場搬入前に先組する工法もあるが、事前に物件に無関係に切断し、加工しておく鉄筋部材は存在しない。このように、従来は、梁主筋の定尺化については、発想も実例も存在しない。
【0008】
この発明の目的は、拡径頭部付きの鉄筋を使用することにより、使用鉄筋量の節減、配筋の簡素化の面で優れたものとし、さらに、鉄筋継手位置に係る構造規定、強度、信頼性の問題を生じることなく、定尺化による生産の標準化、品質安定化、納期短縮、コスト削減を可能としたコンクリート造梁の配筋施工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明のコンクリート造梁の配筋施工方法は、耐力壁に沿って設けられる鉄筋コンクリート造梁または鉄骨鉄筋コンクリート造梁の配筋を施工する方法であって、梁長さ方向に延びる鉄筋である各主筋を構成する各上端筋および下端筋が、梁両端に配置された一対の拡径頭部付き鉄筋と、これら一対の拡径頭部付き鉄筋に両端が鉄筋継手を介して接合された中間鉄筋とでなり、前記一対の拡径頭部付き鉄筋は、一端に拡径頭部を有しこの拡径頭部が前記耐力壁に隣接する鉄筋コンクリート造柱または鉄骨鉄筋コンクリート造柱のコンクリート内に埋め込まれるものとし、前記拡径頭部付き鉄筋に、鉄筋太さ毎に2〜4種類の定尺ものとして規格化されている拡径頭部付き鉄筋の中から選ばれたものを用いることを特徴とする。
なお、この明細書において、上記「耐力壁」は「耐震壁」を含む概念とする。
【0010】
この発明の配筋施工方法において、前記主筋を構成する各上端筋および下端筋は、それぞれ、上端筋の一端の拡径頭部付き鉄筋と下端筋の他端の拡径頭部付き鉄筋とが、互いに同じ長さのものとし、かつ上端筋と下端筋の同じ端部側の拡径頭部付き鉄筋は、互いに長さが異なるものとしても良い。
【0011】
また、この発明の配筋施工方法において、1棟の建物における複数の鉄筋コンクリート造梁または鉄骨鉄筋コンクリート造梁における各主筋を、前記一対の拡径頭部付き鉄筋と前記中間鉄筋とでなるものとし、これら複数の鉄筋コンクリート造梁または鉄骨鉄筋コンクリート造梁における、互いに対応する位置、すなわち各梁内の長さ方向、上下方向、幅方向の位置関係が互いに同じ位置の拡径頭部付き鉄筋に、互いに同じ長さのものを用いても良い。
【0012】
この構成のコンクリート造梁の配筋施工方法によると、拡径頭部付き鉄筋を用いるため、折り曲げ部を有する鉄筋を用いる場合に比べて、使用鉄筋量が節減され、また柱内の配筋が簡素化される。拡径頭部付き鉄筋を用いるが、主筋を、梁両端に配置された一対の拡径頭部付き鉄筋と、これら一対の拡径頭部付き鉄筋に両端が鉄筋継手を介して接合された中間鉄筋とでなるものとするため、拡径頭部付き鉄筋に定尺もの、つまり規格化されたものを用いることができる。そのため、生産ラインの自動化が容易となって、徹底的な自動化によるコストの削減、一定した品質の確保が可能になり、納期の短縮による建物の工期の短縮化に貢献できる。
【0013】
拡径頭部付き鉄筋は、中間鉄筋と鉄筋継手で継ぐことになるが、この発明は、耐力壁に沿って設けられる鉄筋コンクリート造梁または鉄骨鉄筋コンクリート造梁に適用するため、鉄筋継手の配置が、構造規定に触れる問題がなく、また構造強度的にも問題がない。構造規定で規定されている鉄筋継手の配置は、耐力壁に隣接しない一般的な大梁についての規定である。耐力壁に沿って設けられる鉄筋コンクリート造梁や鉄骨鉄筋コンクリート造梁の場合は、耐力壁で多くの応力が負担されるため、梁における鉄筋の鉄筋継手が、強度上、また信頼性の上で問題とならず、構造規定上に抵触する問題もない。いわば、従来は、耐力壁に沿って設けられる鉄筋コンクリート造梁につき、鉄筋継手位置を一般の大梁と同じ位置に定め、あるいは継手のない一本の連続した鉄筋とすることは、強度の信頼性確保の面で、無駄な過剰設計となっている。また、両端に拡径頭部を有する長尺の鉄筋の加工は、自動化の困難により品質向上が難しい。この発明は、このような過剰設計となっている点を見直し、適正化を図ったものであるため、強度、信頼性を確保しながら、定尺化による生産の標準化、品質安定化、納期短縮、コスト削減が可能となる。
【0014】
前記主筋を構成する各上端筋および下端筋につき、それぞれ、上端筋の一端の拡径頭部付き鉄筋と下端筋の他端の拡径頭部付き鉄筋とが、互いに同じ長さのものであり、かつ上端筋と下端筋の同じ端部側の拡径頭部付き鉄筋は、互いに長さが異なるものとした場合は、2種類の拡径頭部付き鉄筋を準備することで、上端筋と下端筋の継手の位置を互いにずらせることができる。また、上記2種類の拡径頭部付き鉄筋を用いることで、中間鉄筋は上端筋と下端筋とも同じ長さのものを用いることができ、生産性に優れたものとなる。
【0015】
1棟の建物における複数の鉄筋コンクリート造梁または鉄骨鉄筋コンクリート造梁における各主筋が、前記一対の拡径頭部付き鉄筋と前記中間鉄筋とでなり、これら複数の鉄筋コンクリート造梁または鉄骨鉄筋コンクリート造梁の互いに対応する位置、すなわち各梁内の長さ方向、上下方向、幅方向の位置関係が互いに同じ位置の拡径頭部付き鉄筋に、互いに同じ長さのものを用いる場合は、1棟の建物における拡径頭部付き鉄筋の使用種類数が削減できる。このため、より一層、生産性が向上する。
【発明の効果】
【0016】
この発明の配筋施工方法は、耐力壁に沿って設けられる鉄筋コンクリート造梁または鉄骨鉄筋コンクリート造梁の配筋を施工する方法であって、梁長さ方向に延びる鉄筋である各主筋を構成する各上端筋および下端筋が、梁両端に配置された一対の拡径頭部付き鉄筋と、これら一対の拡径頭部付き鉄筋に両端が鉄筋継手を介して接合された中間鉄筋とでなり、前記一対の拡径頭部付き鉄筋は、一端に拡径頭部を有しこの拡径頭部が前記耐力壁に隣接する鉄筋コンクリート造柱または鉄骨鉄筋コンクリート造柱のコンクリート内に埋め込まれるものとし、前記拡径頭部付き鉄筋に、鉄筋太さ毎に2〜4種類の定尺ものとして規格化されている拡径頭部付き鉄筋の中から選ばれたものを用いるため、使用鉄筋量の節減、配筋の簡素化の面で優れし、さらに、鉄筋継手位置に係る構造規定、強度、信頼性の問題を生じることなく、定尺化による生産の標準化、品質安定化、納期短縮、コスト削減が可能となる。特に、径頭部付き鉄筋に、定尺ものとして規格化されている複数の拡径頭部付き鉄筋の中から選ばれたものを用いるため、上記定尺化による利点がより明確に得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】(A)は、この発明の一実施形態に係る配筋施工方法で施工する鉄筋コンクリート造梁及びその周辺構造を示す配筋の破断正面図、(B)は図1の一部の拡大図、(C)はその上端筋および下端筋の説明図である。
【図2】図1の鉄筋コンクリート造梁及びその周辺構造を示す破断斜視図である。
【図3】同鉄筋コンクリート造梁を用いた集合住宅建物の一例を示す概略水平断面図である。
【図4】準備する拡径頭部付き鉄筋の種類例を示す説明図である。
【図5】拡径頭部付き鉄筋の拡径頭部付近を示す拡大側面図である。
【図6】(A),(B)は鉄筋継手の各例をそれぞれ示す説明図である。
【図7】鉄筋継手の接合部位を示す説明図である。
【図8】(A)〜(C)はそれぞれ拡径頭部付き鉄筋の変形例を示す部分拡大破断側面図である。
【図9】同鉄筋コンクリート造梁を適用する建物の各変形例を示す概略水平断面図である。
【図10】梁中間の柱と鉄筋の関係を示す配筋の正面図である。
【図11】この発明の他の実施形態にかかる鉄骨鉄筋コンクリート造梁及びその周辺構造を示す破断正面図である。
【図12】従来例の説明図である。
【図13】他の従来例の説明図である。
【図14】構造規定の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
この発明の一実施形態を図1ないし図7と共に説明する。図1(A)に示すように、このコンクリート造梁の配筋施工方法は、耐力壁1に沿って、両側の柱2の間に設けられる鉄筋コンクリート造梁3に適用される。この耐力壁1は耐震壁となるものである。耐力壁1および柱2は、いずれも鉄筋コンクリート造であり、その壁コンクリート4(図2)および柱コンクリート5は、梁3の梁コンクート6と連続して打設されている。柱2は、鉄筋として柱主筋7と帯筋8とを有する。耐力壁1は、縦横に網目状に鉄筋9が設けられている。
【0019】
図3は、複数階の鉄筋コンクリート造の集合住宅建物11の概略水平断面図を示す。この集合住宅建物11は、妻方向に延びる戸境壁となる耐力壁1により、桁方向に並ぶ各住戸空間10が仕切られている。これら各耐力壁1の上下に沿って延びる鉄筋コンクリート造梁3に、図1,図2の配筋構造が適用される。
【0020】
図1において、鉄筋コンクリート造梁3は、鉄筋として、梁長さ方向に延びる主筋である上端筋12と、下端筋13と、これら上端筋12,下端筋13を取り囲む複数のあばら筋14とを有する。上端筋12および下端筋13は、それぞれ梁幅方向に並んで最低2本設けられている。
【0021】
各主筋である上端筋12および下端筋13は、それぞれ、梁両端に配置された一対の拡径頭部付き鉄筋A1 ,A2 と、これら一対の拡径頭部付き鉄筋A1 ,A2 に両端が鉄筋継手15を介して接合された中間鉄筋Bとでなる。前記一対の拡径頭部付き鉄筋A1 ,A2 は、一端に拡径頭部Aaをそれぞれ有する。この拡径頭部Aaは、耐力壁1に隣接する前記鉄筋コンクリート造柱2の柱コンクリート4内に埋め込まれる。拡径頭部Aaの柱コンクリート4への埋め込み深さである定着長さは、構造規定等に従って適宜設定される。
【0022】
図1(C)に示すように、これら上端筋12および下端筋13は、それぞれ、上端筋12の一端(図1の左側端)の拡径頭部付き鉄筋A1 と、下端筋13の他端(図1の右側端)の拡径頭部付き鉄筋A1 とが、互いに同じ長さで同じ断面寸法のものである。また、上端筋12と下端筋13の同じ端部側の拡径頭部付き鉄筋A1 ,A2 は、互いに長さが異なるものであって、同じ断面寸法のものとされている。中間鉄筋Bは、上端筋12と下端筋13とで、互いに同じ長さのものが使用されている。
なお、上記の上端筋12と下端筋13における拡径頭部付き鉄筋A1 ,A2 の関係は、幅方向に並ぶ複数の上端筋12および下端筋13のうちの、互いに同じ幅方向位置にある上端筋12と下端筋13との間に適用される。幅方向に並ぶ複数の上端筋12同士の間、および下端筋13同士の間では、互いに鉄筋継手15の位置を異ならせる。例えば幅方向に並ぶ複数の上端筋12のうちのいずれか1本の上端筋12につき、一端に図1(C)の短い方の拡径頭部付き鉄筋A1 を、他端に長い方の拡径頭部付き鉄筋A2 を用いた場合、その幅方向に隣合う上端筋12については、一端に図1(C)の長い方の拡径頭部付き鉄筋A2 を用い、他端に短い方の拡径頭部付き鉄筋A1 を用いる。幅方向に隣合う下端筋13同士の間においても、上端筋12の場合と同様に、短、長の拡径頭部付き鉄筋A1 ,A2 の配置の関係とする。
【0023】
拡径頭部付き鉄筋A1 ,A2 と中間鉄筋Bとを接続する鉄筋継手15の位置は、図7に示すように、上端筋12については、梁中央のL0 /2の範囲(ハッチングを付した範囲)が好ましく(L0 は梁3の柱2,2間の全長)、下端筋13については柱2から梁成Dの位置を起点に梁中央側へL0 /4の間(ハッチングを付した範囲)で行うことが好ましい。この範囲は、前述した一般的な鉄筋コンクリート梁におけるガス圧接の場合に定められた範囲であるが、この実施形態においても、この範囲が好ましい。なお、耐力壁1に沿う鉄筋コンクリート造梁3であり、耐力壁1が応力を負担するため、鉄筋継手15の位置は、必ずしも上記の位置でなくても良く、任意に定めても良い。
【0024】
また、この実施形態では、図3と共に前述した1棟の建物における各耐力壁1の位置における全ての鉄筋コンクリート造梁3において、その上端筋12と下端筋13を、図1のように一対の拡径頭部付き鉄筋A1 ,A2 と中間鉄筋Bとでなるものとしている。また、これら複数の鉄筋コンクリート造梁3における、互いに対応する位置、すなわち各梁内の長さ方向、上下方向、幅方向の位置関係が互いに同じ位置にある拡径頭部付き鉄筋A1 ,A2 に、互いに同じ長さ,同じ断面寸法で、同じ規格のものを用いている。
【0025】
このコンクリート造梁の配筋施工方法,設計方法では、これら拡径頭部付き鉄筋A1 ,A2 は、図4のように、定尺ものとして規格化されている複数種類の拡径頭部付き鉄筋A(A1 〜An )の中から選ばれたものが用いられている。例えば、鉄筋メーカ等によって、これら規格化した拡径頭部付き鉄筋A1 〜An を準備しておき、建物メーカにおける配筋の設計において、その規格化された鉄筋A1 〜An を選択する。
【0026】
規格化して準備しておく拡径頭部付き鉄筋A(A1 〜An )の長さの種類は、最低2種類でも良いが、少なくとも3種類準備することが好ましく、例えば数種類(2〜3種類、または2〜4種類程度)とすることが好ましい。一般的な集合住宅建物の場合、梁長さは殆どが7〜10mであるため、2種類あれば、図1の例のように上端筋12および下端筋13とで鉄筋継手15の位置を異ならせることができる。長さの種類数が多ければ、建物に合わせたより適切な対応は容易となるが、拡径頭部付き鉄筋Aの定尺化による量産性が低下し、また数種類あれば、殆どの集合住宅建物に適用できるため、それ以上多種類準備する必要性が乏しいため、2〜3種類程度が好ましい。これら複数種類の拡径頭部付き鉄筋Aは、例えば、0.4〜1.0mの違いで、2〜3m程度のものを準備する。
規格化して準備しておく拡径頭部付き鉄筋Aの太さ、材質は、各長さのものにつき、数種類準備しておくことが好ましい。
【0027】
各拡径頭部付き鉄筋Aは、例えば図5に一例を示すように、鉄筋本体Abの端部に、塑性加工による円すい状ないし円形フランジ状の拡径頭部Aaを形成したものである。この拡径頭部Aaの塑性加工は、例えば所定寸法(拡径頭部付き鉄筋Aよりも若干長い寸法)に製造しあるいは切断した鉄筋素材の一端を、高周波誘導加熱し、その加熱状態で圧縮させること等によって行われる。鉄筋本体Abには、外周に突条Acを有する異形鉄筋などが用いられる。突条Acは、円環状、またはスパイラル状、または交互に180°ずつずれて位置する半円環状等とされる。
【0028】
この他に、各拡径頭部付き鉄筋Aの拡径頭部Aaは、例えば図8(A)に示すように、塑性加工された拡径頭部一体化部分Aaaと、この拡径頭部一体化部分Aaaの首部側に固定した別部材の頭部構成プレートAabとからなるものであっても良い。頭部構成プレートAabは、例えば、外周形状が正方形、長方形、円形等のものとされる。
また、各拡径頭部付き鉄筋Aの拡径頭部Aaは、図8(B),(C)に示すように、全体が鉄筋本体Abに対して取付けによって固定された別体部材からなるものであっても良い。同図(B)の別体部材からなる拡径頭部Aaは、中心部に嵌合孔aを有する円板状の定着板Aa′からなり、鉄筋本体Abの端部の外周に摩擦圧接や溶接等により接合したものである。同図(C)の別体部材からなる拡径頭部Aaは、ねじ筒部Aacおよびその一端から拡径した拡径部Aadからなる。鉄筋本体Abのは、スパイラル状の突条Acを有し、ねじ筒部Aacはそのスパイラル状の突条Acの外周にねじ込まれている。なお、突条Acを利用する代わりに、鉄筋本体Abの端部外周に雄ねじ部を設け、その雄ねじ部にねじ筒部Aacを螺合させるようにしても良い。
【0029】
図1において、鉄筋継手15には、図6(A)に示す鉄筋20に重なり範囲20aを設ける重ね継手や、同図(B)に示すように鉄筋20の端面20b同士を接合するガス圧接継手が用いられ、あるいはその他の溶接継手(図示せず)や、機械式鉄筋継手等の特殊継手(図示せず)が用いられる。ガス圧接継手や溶接継手を用いる場合、拡径頭部付き鉄筋Aと中間鉄筋Bの互いに接合する端部は、現場で若干長さ(例えば10mm前後)分を切断し、その切断面同士で接合することで、接合の確実を図る。
【0030】
この構成のコンクリート造梁の配筋施工方法によると、このように拡径頭部付き鉄筋Aを用いるため、折り曲げ部を有する鉄筋を用いる場合に比べて、使用鉄筋量が節減され、また柱2内の配筋が簡素化される。拡径頭部付き鉄筋Aを用いるが、主筋である上端筋12および下端筋13を、梁両端に配置された一対の拡径頭部付き鉄筋A(A1 ,A2 )と、その間に接合された中間鉄筋Bとでなるものとするため、拡径頭部付き鉄筋Aに定尺もの、つまり規格化されたものを用いることができる。そのため、生産ラインの自動化が容易となって、徹底的な自動化によるコストの削減、一定した品質の確保が可能になり、納期の短縮による建物の工期の短縮化に貢献できる。
【0031】
拡径頭部付き鉄筋Aは、中間鉄筋Bと鉄筋継手15で継ぐことになるが、この実施形態は、耐力壁1に沿って設けられる鉄筋コンクリート造梁3に適用するため、鉄筋継手15の配置が、構造規定に触れる問題がなく、また構造強度的にも問題がない。すなわち、耐力壁1に沿って設けられる鉄筋コンクリート造梁3の場合は、純粋な柱梁の構造体に属さず、鉄筋コンクリート造梁3に作用する応力は梁長さ方向のどの位置でも大差がない。そのため、任意の位置で鉄筋を接合しても、強度や信頼性上の問題が生じない。構造規定で規定されている鉄筋継手の配置は、耐力壁に隣接しない一般的な大梁についての規定である。従来は、耐力壁に沿って設けられる鉄筋コンクリート造梁も、鉄筋継手位置を一般の大梁と同じ位置に定め、あるいは継手のない一本の連続した鉄筋としているが、これは、強度の信頼性確保の面で、無駄な過剰設計となっている。また、両端に拡径頭部を有する長尺の鉄筋の加工は、自動化の困難による品質向上が難しい。この発明は、このような過剰設計となっている点を見直し、適正化を図ったものであるため、強度、信頼性を確保しながら、定尺化による納期短縮、品質確保、コスト削減が可能となる。
【0032】
前記主筋を構成する各上端筋12および下端筋13につき、それぞれ、上端筋12の一端の拡径頭部付き鉄筋A1 と下端筋13の他端の拡径頭部付き鉄筋A1 とが、互いに同じ長さで同じ断面寸法のものであり、かつ上端筋12と下端筋13の同じ端部側の拡径頭部付き鉄筋A1 ,A2 は、互いに長さが異なるものとしたため、2種類の拡径頭部付き鉄筋A1 ,A2 を準備することで、上端筋12と下端筋13の継手の位置を互いにずらせることができる。また、上記2種類の拡径頭部付き鉄筋A1 ,A2 を用いることで、中間鉄筋Bは上端筋12と下端筋13とに同じ長さのものを用いることができ、生産性に優れたものとなる。
【0033】
この実施形態では、1棟の建物11における複数の鉄筋コンクリート造梁3における各主筋である上端筋12および下端筋13が、前記一対の拡径頭部付き鉄筋A1 ,A2 と前記中間鉄筋Bとでなる。これら複数の鉄筋コンクリート造梁3における互いに同じ位置に対応する拡径頭部付き鉄筋A1 ,A2 に、互いに同じ長さで同じ断面寸法のものを用いている。そのため、1棟の建物11における拡径頭部付き鉄筋A1 ,A2 の使用種類数が削減できる。このため、より一層、生産性が向上する。
【0034】
なお、上記実施形態では、1棟の建物の同じ幅の耐力壁1に沿う鉄筋コンクリート造梁3に適用した場合につき説明したが、この発明は、例えば、図9(A)に示すように、幅の異なる複数種類の耐力壁1A,1Bがあって、その各耐力壁1A,1Bの全長に沿う鉄筋コンクリート造梁3を設けた場合にも適用することができる。その場合に、幅の異なる耐力壁1A,1Bに沿って設けた互いに長さの異なる鉄筋コンクリート造梁3の上端筋12および下端筋13につき、互いに拡径頭部付き鉄筋A1 ,A2 の長さを同じとし、中間鉄筋Bの長さのみを異ならせても良い。
【0035】
また、図9(B)に示すように、中間に柱2Aが存在する両側の耐力壁1に渡って1本の鉄筋コンクリート造梁3を設ける場合、中間の柱2Aの部分については、図10に示すように、上端筋12および下端筋13は、柱2Aに中間鉄筋Bを通して設け、その両側に図1のように拡径頭部付き鉄筋A1 ,A2 を接合したものとしても良い。
【0036】
なお、上記実施形態は、いずれも、鉄筋コンクリート造梁に適用した場合につき説明したが、この発明は鉄骨鉄筋コンクリート造梁に適用することもできる。鉄骨鉄筋コンクリート造梁に適用する場合も、耐力壁に沿って設けられる場合に適用される。
図11は、鉄骨鉄筋コンクリート造梁に適用した例であり、柱2′および梁3′が、H形鋼等からなる鉄骨柱21および鉄骨梁23と、その周囲に設けられた鉄筋コンクリート部分とで構成される。鉄骨柱21と鉄骨梁23は互いに接合されている。柱2′および梁3′の鉄筋コンクリート部分の各鉄筋は、図1に示す柱2および梁3と同様であり、対応部分に同一番号を付してその説明を省略する。また、図11では、鉄骨柱21および鉄骨梁23の形状については簡略化して図示してある。
【符号の説明】
【0037】
1…耐力壁
2…柱
3…鉄筋コンクリート造梁
3′…鉄骨鉄筋コンクリート造梁
10…住戸空間
11…集合住宅建物
12…上端筋
13…下端筋
14…あばら筋
21…鉄骨柱
23…鉄骨梁
A,A1 ,A2 ,An …拡径頭部付き鉄筋
Aa…拡径頭部
B…中間鉄筋
【技術分野】
【0001】
この発明は、集合住宅等となる鉄筋コンクリート造建物や鉄骨鉄筋コンクリート造建物におけるコンクリート造梁の配筋施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、図12(A),(B)に示すように、鉄筋コンクリート造梁53の主筋62,63の端部は、柱コンクリートへの定着の確実のために、上下方向に延びる折り曲げ部62a,63aを設けた構成とされる。同図(A)は中間階や柱頭を突出させた最上階、同図(B)は中間階の例である。
このような鉄筋の組立加工は、一般的に1棟の物件毎に、工場で切断し、折り曲げ加工して現場に搬入し、その後に組立が行われている。
しかし、上記主筋の端部の折り曲げ部は、使用する鉄筋量の増加を招き、また鉄筋コンクリート製の柱を構成する配筋内に入り込み、柱内の配筋が複雑となる。
【0003】
このような課題を解消する工法としては、図13に示すように、両端に拡径頭部62b,63bを有する鉄筋を用い、拡径頭部62b,63bにより、折り曲げ部62a,63aに代わる定着強度を持たせる工法が提案され、実用化されている(例えば、特許文献1,2)。この工法は、Tヘッド鉄筋工法、あるいは機械式鉄筋定着方式などと呼ばれている。
上記拡径頭部付き鉄筋の拡径頭部の加工は、梁への使用時の長さよりも若干長い寸法の素材鉄筋の端部を、高周波誘導加熱等で加熱し、加圧成形することで行われる。この場合に、設備上の問題や、また要求される鉄筋長さは建物物件により種々異なることから、一端の拡径頭部を加工した後、鉄筋素材を180°振り回して反転させ、同じ設備で他端の拡径頭部を加工する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−293850号公報
【特許文献2】特開2000−257209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記拡径頭部付の鉄筋を用いる工法は、使用鉄筋量の節減や、配筋の簡素化、過密配筋の軽減を図る面で非常に優れた工法である。
しかし、両端に拡径頭部62b,63bを有していて、建物の物件毎に、また建物の使用部位毎に異なる長さのものが要求される。このため、建物の配筋図が完成した後に、鉄筋メーカに発注することになり、受注生産となる。
鉄筋メーカでの拡径頭部62b,63bの加工は、要求寸法の鉄筋素材を製造した後に、上記のように誘導加熱,加圧工程により拡径加工することが必要であり、手間のかかる工程となる。そのため、受注から納品までに時間がかかり、建物の工期の短縮化の妨げとなる。受注生産となるため、生産計画が難しくて、受注時期の偏りにより、加工設備の稼働率の低下を招き、不経済になるという問題もある。また、長尺の鉄筋を取り扱い、180°振り回して両端を順次加工するため、加工場所に広い占有床面積が要求される。このような長い鉄筋の拡径頭部の加工は、自動化が困難で、品質確保が難しいものとなっている。
【0006】
そこで、本発明者は、このような物件毎に長さの異なる長尺の拡径頭部付き鉄筋の問題を改良するものとして、一端のみに拡径頭部を有する定尺の拡径頭部付き鉄筋を用いることを考えた。
しかし、一般の大梁の鉄筋継手は、応力の小さい箇所で行うことが、構造規定で定められている。例えば、図14(A),(B)に示すように、ガス圧接継手および重ね継手のいずれも、上端筋は梁中央のL0 /2の範囲、下端筋は柱から梁成Dを起点にL0 /4の間で行うように規定されている。
【0007】
そのため、定尺の拡径頭部付き鉄筋とした場合、建物の物件によっては、対応できない場合が多くあると予想される。そのため、定尺化の利点が得難い。
なお、従来は、このような鉄筋継手位置の構造規定があるため、拡径頭部付き鉄筋において、定尺化の発想はなされていない。また、従来、図12の例のような折り曲げ部62a,63aを有する鉄筋の場合に、鉄筋を現場搬入前に先組する工法もあるが、事前に物件に無関係に切断し、加工しておく鉄筋部材は存在しない。このように、従来は、梁主筋の定尺化については、発想も実例も存在しない。
【0008】
この発明の目的は、拡径頭部付きの鉄筋を使用することにより、使用鉄筋量の節減、配筋の簡素化の面で優れたものとし、さらに、鉄筋継手位置に係る構造規定、強度、信頼性の問題を生じることなく、定尺化による生産の標準化、品質安定化、納期短縮、コスト削減を可能としたコンクリート造梁の配筋施工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明のコンクリート造梁の配筋施工方法は、耐力壁に沿って設けられる鉄筋コンクリート造梁または鉄骨鉄筋コンクリート造梁の配筋を施工する方法であって、梁長さ方向に延びる鉄筋である各主筋を構成する各上端筋および下端筋が、梁両端に配置された一対の拡径頭部付き鉄筋と、これら一対の拡径頭部付き鉄筋に両端が鉄筋継手を介して接合された中間鉄筋とでなり、前記一対の拡径頭部付き鉄筋は、一端に拡径頭部を有しこの拡径頭部が前記耐力壁に隣接する鉄筋コンクリート造柱または鉄骨鉄筋コンクリート造柱のコンクリート内に埋め込まれるものとし、前記拡径頭部付き鉄筋に、鉄筋太さ毎に2〜4種類の定尺ものとして規格化されている拡径頭部付き鉄筋の中から選ばれたものを用いることを特徴とする。
なお、この明細書において、上記「耐力壁」は「耐震壁」を含む概念とする。
【0010】
この発明の配筋施工方法において、前記主筋を構成する各上端筋および下端筋は、それぞれ、上端筋の一端の拡径頭部付き鉄筋と下端筋の他端の拡径頭部付き鉄筋とが、互いに同じ長さのものとし、かつ上端筋と下端筋の同じ端部側の拡径頭部付き鉄筋は、互いに長さが異なるものとしても良い。
【0011】
また、この発明の配筋施工方法において、1棟の建物における複数の鉄筋コンクリート造梁または鉄骨鉄筋コンクリート造梁における各主筋を、前記一対の拡径頭部付き鉄筋と前記中間鉄筋とでなるものとし、これら複数の鉄筋コンクリート造梁または鉄骨鉄筋コンクリート造梁における、互いに対応する位置、すなわち各梁内の長さ方向、上下方向、幅方向の位置関係が互いに同じ位置の拡径頭部付き鉄筋に、互いに同じ長さのものを用いても良い。
【0012】
この構成のコンクリート造梁の配筋施工方法によると、拡径頭部付き鉄筋を用いるため、折り曲げ部を有する鉄筋を用いる場合に比べて、使用鉄筋量が節減され、また柱内の配筋が簡素化される。拡径頭部付き鉄筋を用いるが、主筋を、梁両端に配置された一対の拡径頭部付き鉄筋と、これら一対の拡径頭部付き鉄筋に両端が鉄筋継手を介して接合された中間鉄筋とでなるものとするため、拡径頭部付き鉄筋に定尺もの、つまり規格化されたものを用いることができる。そのため、生産ラインの自動化が容易となって、徹底的な自動化によるコストの削減、一定した品質の確保が可能になり、納期の短縮による建物の工期の短縮化に貢献できる。
【0013】
拡径頭部付き鉄筋は、中間鉄筋と鉄筋継手で継ぐことになるが、この発明は、耐力壁に沿って設けられる鉄筋コンクリート造梁または鉄骨鉄筋コンクリート造梁に適用するため、鉄筋継手の配置が、構造規定に触れる問題がなく、また構造強度的にも問題がない。構造規定で規定されている鉄筋継手の配置は、耐力壁に隣接しない一般的な大梁についての規定である。耐力壁に沿って設けられる鉄筋コンクリート造梁や鉄骨鉄筋コンクリート造梁の場合は、耐力壁で多くの応力が負担されるため、梁における鉄筋の鉄筋継手が、強度上、また信頼性の上で問題とならず、構造規定上に抵触する問題もない。いわば、従来は、耐力壁に沿って設けられる鉄筋コンクリート造梁につき、鉄筋継手位置を一般の大梁と同じ位置に定め、あるいは継手のない一本の連続した鉄筋とすることは、強度の信頼性確保の面で、無駄な過剰設計となっている。また、両端に拡径頭部を有する長尺の鉄筋の加工は、自動化の困難により品質向上が難しい。この発明は、このような過剰設計となっている点を見直し、適正化を図ったものであるため、強度、信頼性を確保しながら、定尺化による生産の標準化、品質安定化、納期短縮、コスト削減が可能となる。
【0014】
前記主筋を構成する各上端筋および下端筋につき、それぞれ、上端筋の一端の拡径頭部付き鉄筋と下端筋の他端の拡径頭部付き鉄筋とが、互いに同じ長さのものであり、かつ上端筋と下端筋の同じ端部側の拡径頭部付き鉄筋は、互いに長さが異なるものとした場合は、2種類の拡径頭部付き鉄筋を準備することで、上端筋と下端筋の継手の位置を互いにずらせることができる。また、上記2種類の拡径頭部付き鉄筋を用いることで、中間鉄筋は上端筋と下端筋とも同じ長さのものを用いることができ、生産性に優れたものとなる。
【0015】
1棟の建物における複数の鉄筋コンクリート造梁または鉄骨鉄筋コンクリート造梁における各主筋が、前記一対の拡径頭部付き鉄筋と前記中間鉄筋とでなり、これら複数の鉄筋コンクリート造梁または鉄骨鉄筋コンクリート造梁の互いに対応する位置、すなわち各梁内の長さ方向、上下方向、幅方向の位置関係が互いに同じ位置の拡径頭部付き鉄筋に、互いに同じ長さのものを用いる場合は、1棟の建物における拡径頭部付き鉄筋の使用種類数が削減できる。このため、より一層、生産性が向上する。
【発明の効果】
【0016】
この発明の配筋施工方法は、耐力壁に沿って設けられる鉄筋コンクリート造梁または鉄骨鉄筋コンクリート造梁の配筋を施工する方法であって、梁長さ方向に延びる鉄筋である各主筋を構成する各上端筋および下端筋が、梁両端に配置された一対の拡径頭部付き鉄筋と、これら一対の拡径頭部付き鉄筋に両端が鉄筋継手を介して接合された中間鉄筋とでなり、前記一対の拡径頭部付き鉄筋は、一端に拡径頭部を有しこの拡径頭部が前記耐力壁に隣接する鉄筋コンクリート造柱または鉄骨鉄筋コンクリート造柱のコンクリート内に埋め込まれるものとし、前記拡径頭部付き鉄筋に、鉄筋太さ毎に2〜4種類の定尺ものとして規格化されている拡径頭部付き鉄筋の中から選ばれたものを用いるため、使用鉄筋量の節減、配筋の簡素化の面で優れし、さらに、鉄筋継手位置に係る構造規定、強度、信頼性の問題を生じることなく、定尺化による生産の標準化、品質安定化、納期短縮、コスト削減が可能となる。特に、径頭部付き鉄筋に、定尺ものとして規格化されている複数の拡径頭部付き鉄筋の中から選ばれたものを用いるため、上記定尺化による利点がより明確に得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】(A)は、この発明の一実施形態に係る配筋施工方法で施工する鉄筋コンクリート造梁及びその周辺構造を示す配筋の破断正面図、(B)は図1の一部の拡大図、(C)はその上端筋および下端筋の説明図である。
【図2】図1の鉄筋コンクリート造梁及びその周辺構造を示す破断斜視図である。
【図3】同鉄筋コンクリート造梁を用いた集合住宅建物の一例を示す概略水平断面図である。
【図4】準備する拡径頭部付き鉄筋の種類例を示す説明図である。
【図5】拡径頭部付き鉄筋の拡径頭部付近を示す拡大側面図である。
【図6】(A),(B)は鉄筋継手の各例をそれぞれ示す説明図である。
【図7】鉄筋継手の接合部位を示す説明図である。
【図8】(A)〜(C)はそれぞれ拡径頭部付き鉄筋の変形例を示す部分拡大破断側面図である。
【図9】同鉄筋コンクリート造梁を適用する建物の各変形例を示す概略水平断面図である。
【図10】梁中間の柱と鉄筋の関係を示す配筋の正面図である。
【図11】この発明の他の実施形態にかかる鉄骨鉄筋コンクリート造梁及びその周辺構造を示す破断正面図である。
【図12】従来例の説明図である。
【図13】他の従来例の説明図である。
【図14】構造規定の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
この発明の一実施形態を図1ないし図7と共に説明する。図1(A)に示すように、このコンクリート造梁の配筋施工方法は、耐力壁1に沿って、両側の柱2の間に設けられる鉄筋コンクリート造梁3に適用される。この耐力壁1は耐震壁となるものである。耐力壁1および柱2は、いずれも鉄筋コンクリート造であり、その壁コンクリート4(図2)および柱コンクリート5は、梁3の梁コンクート6と連続して打設されている。柱2は、鉄筋として柱主筋7と帯筋8とを有する。耐力壁1は、縦横に網目状に鉄筋9が設けられている。
【0019】
図3は、複数階の鉄筋コンクリート造の集合住宅建物11の概略水平断面図を示す。この集合住宅建物11は、妻方向に延びる戸境壁となる耐力壁1により、桁方向に並ぶ各住戸空間10が仕切られている。これら各耐力壁1の上下に沿って延びる鉄筋コンクリート造梁3に、図1,図2の配筋構造が適用される。
【0020】
図1において、鉄筋コンクリート造梁3は、鉄筋として、梁長さ方向に延びる主筋である上端筋12と、下端筋13と、これら上端筋12,下端筋13を取り囲む複数のあばら筋14とを有する。上端筋12および下端筋13は、それぞれ梁幅方向に並んで最低2本設けられている。
【0021】
各主筋である上端筋12および下端筋13は、それぞれ、梁両端に配置された一対の拡径頭部付き鉄筋A1 ,A2 と、これら一対の拡径頭部付き鉄筋A1 ,A2 に両端が鉄筋継手15を介して接合された中間鉄筋Bとでなる。前記一対の拡径頭部付き鉄筋A1 ,A2 は、一端に拡径頭部Aaをそれぞれ有する。この拡径頭部Aaは、耐力壁1に隣接する前記鉄筋コンクリート造柱2の柱コンクリート4内に埋め込まれる。拡径頭部Aaの柱コンクリート4への埋め込み深さである定着長さは、構造規定等に従って適宜設定される。
【0022】
図1(C)に示すように、これら上端筋12および下端筋13は、それぞれ、上端筋12の一端(図1の左側端)の拡径頭部付き鉄筋A1 と、下端筋13の他端(図1の右側端)の拡径頭部付き鉄筋A1 とが、互いに同じ長さで同じ断面寸法のものである。また、上端筋12と下端筋13の同じ端部側の拡径頭部付き鉄筋A1 ,A2 は、互いに長さが異なるものであって、同じ断面寸法のものとされている。中間鉄筋Bは、上端筋12と下端筋13とで、互いに同じ長さのものが使用されている。
なお、上記の上端筋12と下端筋13における拡径頭部付き鉄筋A1 ,A2 の関係は、幅方向に並ぶ複数の上端筋12および下端筋13のうちの、互いに同じ幅方向位置にある上端筋12と下端筋13との間に適用される。幅方向に並ぶ複数の上端筋12同士の間、および下端筋13同士の間では、互いに鉄筋継手15の位置を異ならせる。例えば幅方向に並ぶ複数の上端筋12のうちのいずれか1本の上端筋12につき、一端に図1(C)の短い方の拡径頭部付き鉄筋A1 を、他端に長い方の拡径頭部付き鉄筋A2 を用いた場合、その幅方向に隣合う上端筋12については、一端に図1(C)の長い方の拡径頭部付き鉄筋A2 を用い、他端に短い方の拡径頭部付き鉄筋A1 を用いる。幅方向に隣合う下端筋13同士の間においても、上端筋12の場合と同様に、短、長の拡径頭部付き鉄筋A1 ,A2 の配置の関係とする。
【0023】
拡径頭部付き鉄筋A1 ,A2 と中間鉄筋Bとを接続する鉄筋継手15の位置は、図7に示すように、上端筋12については、梁中央のL0 /2の範囲(ハッチングを付した範囲)が好ましく(L0 は梁3の柱2,2間の全長)、下端筋13については柱2から梁成Dの位置を起点に梁中央側へL0 /4の間(ハッチングを付した範囲)で行うことが好ましい。この範囲は、前述した一般的な鉄筋コンクリート梁におけるガス圧接の場合に定められた範囲であるが、この実施形態においても、この範囲が好ましい。なお、耐力壁1に沿う鉄筋コンクリート造梁3であり、耐力壁1が応力を負担するため、鉄筋継手15の位置は、必ずしも上記の位置でなくても良く、任意に定めても良い。
【0024】
また、この実施形態では、図3と共に前述した1棟の建物における各耐力壁1の位置における全ての鉄筋コンクリート造梁3において、その上端筋12と下端筋13を、図1のように一対の拡径頭部付き鉄筋A1 ,A2 と中間鉄筋Bとでなるものとしている。また、これら複数の鉄筋コンクリート造梁3における、互いに対応する位置、すなわち各梁内の長さ方向、上下方向、幅方向の位置関係が互いに同じ位置にある拡径頭部付き鉄筋A1 ,A2 に、互いに同じ長さ,同じ断面寸法で、同じ規格のものを用いている。
【0025】
このコンクリート造梁の配筋施工方法,設計方法では、これら拡径頭部付き鉄筋A1 ,A2 は、図4のように、定尺ものとして規格化されている複数種類の拡径頭部付き鉄筋A(A1 〜An )の中から選ばれたものが用いられている。例えば、鉄筋メーカ等によって、これら規格化した拡径頭部付き鉄筋A1 〜An を準備しておき、建物メーカにおける配筋の設計において、その規格化された鉄筋A1 〜An を選択する。
【0026】
規格化して準備しておく拡径頭部付き鉄筋A(A1 〜An )の長さの種類は、最低2種類でも良いが、少なくとも3種類準備することが好ましく、例えば数種類(2〜3種類、または2〜4種類程度)とすることが好ましい。一般的な集合住宅建物の場合、梁長さは殆どが7〜10mであるため、2種類あれば、図1の例のように上端筋12および下端筋13とで鉄筋継手15の位置を異ならせることができる。長さの種類数が多ければ、建物に合わせたより適切な対応は容易となるが、拡径頭部付き鉄筋Aの定尺化による量産性が低下し、また数種類あれば、殆どの集合住宅建物に適用できるため、それ以上多種類準備する必要性が乏しいため、2〜3種類程度が好ましい。これら複数種類の拡径頭部付き鉄筋Aは、例えば、0.4〜1.0mの違いで、2〜3m程度のものを準備する。
規格化して準備しておく拡径頭部付き鉄筋Aの太さ、材質は、各長さのものにつき、数種類準備しておくことが好ましい。
【0027】
各拡径頭部付き鉄筋Aは、例えば図5に一例を示すように、鉄筋本体Abの端部に、塑性加工による円すい状ないし円形フランジ状の拡径頭部Aaを形成したものである。この拡径頭部Aaの塑性加工は、例えば所定寸法(拡径頭部付き鉄筋Aよりも若干長い寸法)に製造しあるいは切断した鉄筋素材の一端を、高周波誘導加熱し、その加熱状態で圧縮させること等によって行われる。鉄筋本体Abには、外周に突条Acを有する異形鉄筋などが用いられる。突条Acは、円環状、またはスパイラル状、または交互に180°ずつずれて位置する半円環状等とされる。
【0028】
この他に、各拡径頭部付き鉄筋Aの拡径頭部Aaは、例えば図8(A)に示すように、塑性加工された拡径頭部一体化部分Aaaと、この拡径頭部一体化部分Aaaの首部側に固定した別部材の頭部構成プレートAabとからなるものであっても良い。頭部構成プレートAabは、例えば、外周形状が正方形、長方形、円形等のものとされる。
また、各拡径頭部付き鉄筋Aの拡径頭部Aaは、図8(B),(C)に示すように、全体が鉄筋本体Abに対して取付けによって固定された別体部材からなるものであっても良い。同図(B)の別体部材からなる拡径頭部Aaは、中心部に嵌合孔aを有する円板状の定着板Aa′からなり、鉄筋本体Abの端部の外周に摩擦圧接や溶接等により接合したものである。同図(C)の別体部材からなる拡径頭部Aaは、ねじ筒部Aacおよびその一端から拡径した拡径部Aadからなる。鉄筋本体Abのは、スパイラル状の突条Acを有し、ねじ筒部Aacはそのスパイラル状の突条Acの外周にねじ込まれている。なお、突条Acを利用する代わりに、鉄筋本体Abの端部外周に雄ねじ部を設け、その雄ねじ部にねじ筒部Aacを螺合させるようにしても良い。
【0029】
図1において、鉄筋継手15には、図6(A)に示す鉄筋20に重なり範囲20aを設ける重ね継手や、同図(B)に示すように鉄筋20の端面20b同士を接合するガス圧接継手が用いられ、あるいはその他の溶接継手(図示せず)や、機械式鉄筋継手等の特殊継手(図示せず)が用いられる。ガス圧接継手や溶接継手を用いる場合、拡径頭部付き鉄筋Aと中間鉄筋Bの互いに接合する端部は、現場で若干長さ(例えば10mm前後)分を切断し、その切断面同士で接合することで、接合の確実を図る。
【0030】
この構成のコンクリート造梁の配筋施工方法によると、このように拡径頭部付き鉄筋Aを用いるため、折り曲げ部を有する鉄筋を用いる場合に比べて、使用鉄筋量が節減され、また柱2内の配筋が簡素化される。拡径頭部付き鉄筋Aを用いるが、主筋である上端筋12および下端筋13を、梁両端に配置された一対の拡径頭部付き鉄筋A(A1 ,A2 )と、その間に接合された中間鉄筋Bとでなるものとするため、拡径頭部付き鉄筋Aに定尺もの、つまり規格化されたものを用いることができる。そのため、生産ラインの自動化が容易となって、徹底的な自動化によるコストの削減、一定した品質の確保が可能になり、納期の短縮による建物の工期の短縮化に貢献できる。
【0031】
拡径頭部付き鉄筋Aは、中間鉄筋Bと鉄筋継手15で継ぐことになるが、この実施形態は、耐力壁1に沿って設けられる鉄筋コンクリート造梁3に適用するため、鉄筋継手15の配置が、構造規定に触れる問題がなく、また構造強度的にも問題がない。すなわち、耐力壁1に沿って設けられる鉄筋コンクリート造梁3の場合は、純粋な柱梁の構造体に属さず、鉄筋コンクリート造梁3に作用する応力は梁長さ方向のどの位置でも大差がない。そのため、任意の位置で鉄筋を接合しても、強度や信頼性上の問題が生じない。構造規定で規定されている鉄筋継手の配置は、耐力壁に隣接しない一般的な大梁についての規定である。従来は、耐力壁に沿って設けられる鉄筋コンクリート造梁も、鉄筋継手位置を一般の大梁と同じ位置に定め、あるいは継手のない一本の連続した鉄筋としているが、これは、強度の信頼性確保の面で、無駄な過剰設計となっている。また、両端に拡径頭部を有する長尺の鉄筋の加工は、自動化の困難による品質向上が難しい。この発明は、このような過剰設計となっている点を見直し、適正化を図ったものであるため、強度、信頼性を確保しながら、定尺化による納期短縮、品質確保、コスト削減が可能となる。
【0032】
前記主筋を構成する各上端筋12および下端筋13につき、それぞれ、上端筋12の一端の拡径頭部付き鉄筋A1 と下端筋13の他端の拡径頭部付き鉄筋A1 とが、互いに同じ長さで同じ断面寸法のものであり、かつ上端筋12と下端筋13の同じ端部側の拡径頭部付き鉄筋A1 ,A2 は、互いに長さが異なるものとしたため、2種類の拡径頭部付き鉄筋A1 ,A2 を準備することで、上端筋12と下端筋13の継手の位置を互いにずらせることができる。また、上記2種類の拡径頭部付き鉄筋A1 ,A2 を用いることで、中間鉄筋Bは上端筋12と下端筋13とに同じ長さのものを用いることができ、生産性に優れたものとなる。
【0033】
この実施形態では、1棟の建物11における複数の鉄筋コンクリート造梁3における各主筋である上端筋12および下端筋13が、前記一対の拡径頭部付き鉄筋A1 ,A2 と前記中間鉄筋Bとでなる。これら複数の鉄筋コンクリート造梁3における互いに同じ位置に対応する拡径頭部付き鉄筋A1 ,A2 に、互いに同じ長さで同じ断面寸法のものを用いている。そのため、1棟の建物11における拡径頭部付き鉄筋A1 ,A2 の使用種類数が削減できる。このため、より一層、生産性が向上する。
【0034】
なお、上記実施形態では、1棟の建物の同じ幅の耐力壁1に沿う鉄筋コンクリート造梁3に適用した場合につき説明したが、この発明は、例えば、図9(A)に示すように、幅の異なる複数種類の耐力壁1A,1Bがあって、その各耐力壁1A,1Bの全長に沿う鉄筋コンクリート造梁3を設けた場合にも適用することができる。その場合に、幅の異なる耐力壁1A,1Bに沿って設けた互いに長さの異なる鉄筋コンクリート造梁3の上端筋12および下端筋13につき、互いに拡径頭部付き鉄筋A1 ,A2 の長さを同じとし、中間鉄筋Bの長さのみを異ならせても良い。
【0035】
また、図9(B)に示すように、中間に柱2Aが存在する両側の耐力壁1に渡って1本の鉄筋コンクリート造梁3を設ける場合、中間の柱2Aの部分については、図10に示すように、上端筋12および下端筋13は、柱2Aに中間鉄筋Bを通して設け、その両側に図1のように拡径頭部付き鉄筋A1 ,A2 を接合したものとしても良い。
【0036】
なお、上記実施形態は、いずれも、鉄筋コンクリート造梁に適用した場合につき説明したが、この発明は鉄骨鉄筋コンクリート造梁に適用することもできる。鉄骨鉄筋コンクリート造梁に適用する場合も、耐力壁に沿って設けられる場合に適用される。
図11は、鉄骨鉄筋コンクリート造梁に適用した例であり、柱2′および梁3′が、H形鋼等からなる鉄骨柱21および鉄骨梁23と、その周囲に設けられた鉄筋コンクリート部分とで構成される。鉄骨柱21と鉄骨梁23は互いに接合されている。柱2′および梁3′の鉄筋コンクリート部分の各鉄筋は、図1に示す柱2および梁3と同様であり、対応部分に同一番号を付してその説明を省略する。また、図11では、鉄骨柱21および鉄骨梁23の形状については簡略化して図示してある。
【符号の説明】
【0037】
1…耐力壁
2…柱
3…鉄筋コンクリート造梁
3′…鉄骨鉄筋コンクリート造梁
10…住戸空間
11…集合住宅建物
12…上端筋
13…下端筋
14…あばら筋
21…鉄骨柱
23…鉄骨梁
A,A1 ,A2 ,An …拡径頭部付き鉄筋
Aa…拡径頭部
B…中間鉄筋
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐力壁に沿って設けられる鉄筋コンクリート造梁または鉄骨鉄筋コンクリート造梁の配筋を施工する方法であって、梁長さ方向に延びる鉄筋である各主筋を構成する各上端筋および下端筋が、梁両端に配置された一対の拡径頭部付き鉄筋と、これら一対の拡径頭部付き鉄筋に両端が鉄筋継手を介して接合された中間鉄筋とでなり、前記一対の拡径頭部付き鉄筋は、一端に拡径頭部を有しこの拡径頭部が前記耐力壁に隣接する鉄筋コンクリート造柱または鉄骨鉄筋コンクリート造柱のコンクリート内に埋め込まれるものとし、前記拡径頭部付き鉄筋に、鉄筋太さ毎に2〜4種類の定尺ものとして規格化されている拡径頭部付き鉄筋の中から選ばれたものを用いることを特徴とするコンクリート造梁の配筋施工方法。
【請求項1】
耐力壁に沿って設けられる鉄筋コンクリート造梁または鉄骨鉄筋コンクリート造梁の配筋を施工する方法であって、梁長さ方向に延びる鉄筋である各主筋を構成する各上端筋および下端筋が、梁両端に配置された一対の拡径頭部付き鉄筋と、これら一対の拡径頭部付き鉄筋に両端が鉄筋継手を介して接合された中間鉄筋とでなり、前記一対の拡径頭部付き鉄筋は、一端に拡径頭部を有しこの拡径頭部が前記耐力壁に隣接する鉄筋コンクリート造柱または鉄骨鉄筋コンクリート造柱のコンクリート内に埋め込まれるものとし、前記拡径頭部付き鉄筋に、鉄筋太さ毎に2〜4種類の定尺ものとして規格化されている拡径頭部付き鉄筋の中から選ばれたものを用いることを特徴とするコンクリート造梁の配筋施工方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−47456(P2013−47456A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−228851(P2012−228851)
【出願日】平成24年10月16日(2012.10.16)
【分割の表示】特願2007−292043(P2007−292043)の分割
【原出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【出願人】(000208695)第一高周波工業株式会社 (90)
【出願人】(508130236)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年10月16日(2012.10.16)
【分割の表示】特願2007−292043(P2007−292043)の分割
【原出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【出願人】(000208695)第一高周波工業株式会社 (90)
【出願人】(508130236)
【Fターム(参考)】
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