説明

コンクリート養生構造

【解決手段】 打設したコンクリート1の上方に、基板7の少なくとも片面にアルミニューム皮膜8を形成した反射板6を、前記アルミニュームが上方に露出するように設置する。
【効果】 反射板が直射日光を遮ると共にその日光を反射するため、その下方のコンクリートに直射日光が当たることがないのみならず、日光により反射板の温度が上昇することもないので、コンクリートが高温で蒸れることもなく、さらに反射板の下方を通り抜ける風によって冷やされ、コンクリートは周囲の空気の温度以上に昇温することはなく、良好な条件で硬化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンクリート養生構造に関するものであって、建物の基礎などのコンクリートを打設した後、当該コンクリートに直射日光が照射されるのを遮ると共に、コンクリートの温度が過度に上昇するのを防止し、コンクリートが適切に硬化して十分な強度を発揮せしめるための養生構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にコンクリートを打設した後、そのコンクリートが硬化するまでの間は養生し、温度や湿度をコントロールすることが行われている。その養生の手段としては、例えば養生シートでコンクリートの上部を覆う方法や、特開2003−252691号公報に示されるように、コンクリートの周囲をカバーで覆い、その内部をエアコンで温調する方法などが知られている。
【0003】
しかしながら通常使用される養生シートは、コンクリートの上部を覆って陽射しを遮り、コンクリートが直射日光により過度に温度が上昇するのを抑制すると言う程度の効果しかなく、現実には養生シートに当たった太陽光線により養生シートの温度が上昇し、その下が蒸れるために相当の温度上昇が避けられないのが実情である。
【0004】
また前記特開2003−252691号公報に示された方法は、カバー内のコンクリートを直接温調することにより、良好な条件でコンクリートを降下させることができるが、その反面設備が大掛かりになり高価になると共に、またエアコンを駆動するために長時間電源を確保しなければならず、実用的でなかった。
【特許文献1】特開2003−252691号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みなされたものであって、簡単な構造で安価に設置でき、且つ直射日光を反射してその下部のコンクリートを低温に保つことのできるコンクリート養生構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
而して本発明は、打設したコンクリートの上方に、基板の少なくとも片面にアルミニューム皮膜を形成した反射板を、前記アルミニュームが上方に露出するように設置したことを特徴とするものである。
【0007】
本発明においては、打設したコンクリートの最上位置よりやゝ高い位置に、前記コンクリートを取り巻いてバーを設置し、当該バー間に紐体を網目状に掛け渡し、前記反射板を前記コンクリートの上方を覆うように前記バー及び紐体に取り付けた構造とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、反射板が直射日光を遮ると共にその日光を反射するため、その下方のコンクリートに直射日光が当たることがないのみならず、日光により反射板の温度が上昇することもないので、コンクリートが高温で蒸れることもなく、さらに反射板の下方を通り抜ける風によって冷やされ、コンクリートは周囲の空気の温度以上に昇温することはなく、良好な条件で硬化することができるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下本発明の実施の形態を図面に従って説明する。図1は本発明のコンクリート養生構造を示すものであって、1は地面上に設置された建物の基礎となるコンクリートであり、2はそのコンクリート1を覆う遮光部材である。
【0010】
遮光部材2は、コンクリート1の四隅の外方の地面に支柱3が立設されており、そのコンクリート1を取り巻くようにバー4が設置され、当該バー4は前記支柱3に支持されている。そのバー4の位置は、前記コンクリート1の最上位置よりもやゝ高い位置に設けるのが好ましい。
【0011】
そしてそのバー4の間に紐体5を縦横に網目状に掛け渡している。前記紐体5は紐、ロープ、ベルト、テーブなどその形態は特に問わない。また後述する反射板6を取り付けて支えることができる程度の強度があれば十分である。紐体5の網目の大きさは、後述する反射板6の大きさと同程度とするのが好ましい。
【0012】
而して前記バー4及び網目状の紐体5に反射板6を取り付ける。この反射板6としては、プラスチックのハニカムボードなどの軽量の基板7の少なくとも片面に、アルミニウムの皮膜8を形成したものであって、通常の建築資材の定寸に従い、約90cm×180cmの大きさとするのが適当である。
【0013】
アルミニウムの皮膜8は溶着又は蒸着により形成するのが適当であって、図3(a)に示すように、基板7の片面に直接皮膜8を形成したものでもよく、また図3(b)に示すように、その片面に皮膜8を形成したシート9を、適宜の方法で基板7に装着したものとすることもできる。アルミニウムの皮膜8は基板7の少なくとも片面に形成することを要するが、両面に形成しても差し支えない。
【0014】
反射板6をバー4及び紐体5に取り付けるには、図2に示すように、反射板6の適宜の箇所に複数箇所ハトメ10を形成し、紐11でそのハトメ10をバー4又は紐体5に結び付けて、アルミニウムが上方に向くように取り付ける。
【0015】
反射板6は隙間なく並べてコンクリート1を完全に覆い、日光を完全に遮断することが好ましいが、反射板6の間に多少の隙間があっても差し支えない。その隙間から日光が差し込んでコンクリート1に照射されるが、その照射される箇所は時々刻々変化するので、一時的に日光が当たっても大きな影響はない。
【0016】
本発明においては、上方から照射された直射日光は反射板6のアルミニウム面において反射されるため、コンクリート1を直射日光から遮蔽すると共に、日光のエネルギーを反射してしまうため、反射板6の温度が過度に高くなることもない。
【0017】
従ってコンクリート1は直射日光から遮蔽されるのみならず、上方を覆った反射板6の温度も高くならない。さらにコンクリート1と反射板6との間を通り抜ける風によって、その間に籠った熱を奪われるため、コンクリート1の温度は周囲の空気の温度以上に過度に上昇することがなく、良好な条件の下で硬化させることができる。
【0018】
本発明のコンクリート養生構造は、反射板6が露出したままで使用することもできるが、反射板6の上部から周囲全体を通気性に優れたメッシュ状のシートなどで覆うことにより、反射板6を保護すると共に通気を確保することも好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のコンクリート養生構造の斜視図
【図2】図1の養生構造の一部を拡大して示した斜視図
【図3】本発明における反射板の横断面図
【符号の説明】
【0020】
1 コンクリート
4 バー
5 紐体
6 反射板
7 基板
8 アルミニウムの皮膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
打設したコンクリート(1)の上方に、基板(7)の少なくとも片面にアルミニューム皮膜(8)を形成した反射板(6)を、前記アルミニュームが上方に露出するように設置したことを特徴とする、コンクリート養生構造
【請求項2】
打設したコンクリート(1)の最上位置よりやゝ高い位置に、前記コンクリート(1)を取り巻いてバー(4)を設置し、当該バー(4)間に紐体(5)を網目状に掛け渡し、前記反射板(6)を前記コンクリートの上方を覆うように前記バー(4)及び紐体(5)に取り付けたことを特徴とする、請求項1に記載のコンクリート養生構造

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−39977(P2007−39977A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−225464(P2005−225464)
【出願日】平成17年8月3日(2005.8.3)
【出願人】(304061376)有限会社太陽建設 (2)
【Fターム(参考)】