説明

コンセント装置

【課題】停電が起きても特定の時間帯だけ正確に給電できるコンセント装置を提供する。
【解決手段】分電盤13から引き出された第1給電線14によって給電される第1コンセント21と、第1給電線14を開閉する半導体スイッチ30と、時刻を計時する計時部53、受信した標準電波信号に基づいて時刻を補正するマイコン51とを具備する電波時計部50と、電波時計部50で計時された現在時刻Cを出力する出力部56と、第1設定時刻Aと第2設定時刻Bとを記憶した記憶部31と、電波時計部50から出力される現在時刻Cが第1設定時刻Aと一致したときに半導体スイッチ30をONさせ、電波時計部50から出力される現在時刻Cが第2設定時刻Bと一致したときに半導体スイッチ30をOFFさせるスイッチ制御部40と、を備えたコンセント装置20。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンセント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気料金の料金体系として、特定の時間帯(例えば、23時〜7時の夜間時間帯)の電気料金単価を通常の電気料金単価より安く設定する契約が知られている。これによって、需要家は単価の安い夜間時間帯に電気機器を使用することで電気料金を安くでき、電力会社は昼間と夜間の電力消費量の平準化を促進できる。
【0003】
上記の契約を結んだ需要家に対して、夜間時間帯の電力利用を促進させるための技術として、例えば、下記の特許文献1に記載のものが提案されている。このものでは、管理センタからインターネットを通じて分電盤に指令信号が出力され、指定時刻に分電盤に接続された各コンセントのON/OFFを切り替える構成となっている。これにより、夜間時間帯に使用したい電気機器が接続されたコンセントに対して、夜間時間帯だけ給電するなどのサービスを提供することができる。
【0004】
しかし、特許文献1の技術ではサービスの提供を受ける需要家の各分電盤に制御用の装置を取り付け、更に取り付けた装置と管理センタとをインターネットで接続することが必要であり、大掛かりなシステムとなってしまうので、実用的でない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−25474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、コンセントを夜間時間帯などの特定の時間帯だけ使用可能とするには、例えば、コンセントにタイマ機能を設けておき、設定した時間になると分電盤からコンセントに給電される構成としておけばよい。しかし、単にタイマ機能を設けただけの構成では、停電などが起きた際にタイマの設定時刻が狂ってしまう虞がある。また、タイマ機能を実現させる回路基板についてはコンセントの内部に収容してコンパクト化を図ることが望ましく、それへの対処も必要となる。
【0007】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、停電などが起きても特定の時間帯だけ正確に給電することで料金体系に対応可能なコンセント装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、分電盤から引き出された第1給電線によって給電される第1コンセントと、前記第1給電線を開閉するスイッチと、時刻を計時する計時部と、受信した標準電波信号に基づいて時刻を補正する補正部とを具備する電波時計部と、前記電波時計部で計時された時刻を出力する出力部と、第1設定時刻と第2設定時刻とを記憶した記憶部と、前記出力部から出力される時刻が前記第1設定時刻と一致したときに前記スイッチをONさせ、前記出力部から出力される時刻が前記第2設定時刻と一致したときに前記スイッチをOFFさせるスイッチ制御部と、を備えたことに特徴を有する。
【0009】
本発明の実施態様として、以下の構成とすることが好ましい。
前記分電盤から引き出された他の給電線、又は前記第1給電線において前記スイッチの上流側にて分岐する分岐線を通じて給電される常時給電式の第2コンセントを備え、前記第2コンセントは前記第1コンセントと共にコンセントボックス内に収容されて2口のコンセントを構成し、このコンセントボックス内に、前記スイッチ、前記電波時計部、前記出力部、前記記憶部、前記スイッチ制御部を実装してなる回路基板が収容してあることを特徴とする。このような構成とすれば、第1コンセントの設定時間外であっても、第2コンセントの使用により、機器に給電できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、設定時刻によって第1コンセントをON/OFFさせるタイマ機能を電波時計部を用いて実現させているから、停電などにより電波時計部から出力される時刻が一時的に狂っても、それを標準電波によって正確な時間に事後補正することが可能である。よって、設定された時間帯だけ正確に給電できるコンセント装置を提供できる。また、本発明では、このようなタイマ機能をスイッチ、電波時計部、出力部、記憶部、スイッチ制御部のわずか5部品で構成している。そのため、コンセント装置内部にこれらを収めることが可能となり、コンパクト化できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】コンセント装置の設置箇所を示す図
【図2】コンセント装置を示す斜視図
【図3】コンセント装置の電気的構成を示す図
【図4】スイッチ制御部の構成の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図4によって説明する。
(1)構成
図1に示すように、配電用の高圧線10には変圧器11を介して低圧線16が接続されており、高圧線10に印加された高電圧(例えば、6600V)が変圧器11にて低電圧(例えば、100V)に降圧されている。そして、低圧線16には、引込線17及びメータ12を介して分電盤13が接続されている。
【0013】
分電盤13は例えば、図1に示すように家屋18内に設置されている。分電盤13からは複数の給電線が伸びており、そのうちの一本(以下、第1給電線14)が家屋18に隣接する車庫19に引き込まれている。車庫19には、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)のバッテリを充電するためのコンセント装置20が設けられている。
【0014】
図2には、コンセント装置20の斜視図が示されている。コンセント装置20は、例えば、車庫19の壁面19Aに形成されたコンセント取付用の凹部に嵌め込まれるようにして取り付けられている。コンセント装置20はいわゆる2口のコンセントになっており、前方に開口する箱型をなすボックス本体23A内に、第1コンセント21、第2コンセント22を収容している。また、このボックス本体23Aの内部には、回路基板25が取り付けられている。回路基板25上には、後述する半導体スイッチ30、制御回路33が実装されている。
【0015】
そして、ボックス本体23Aの前面には、開口を閉止するようにしてコンセントプレート23Bが装着されている。これにより、ボックス本体23Aとコンセントプレート23Bとからコンセントボックス23が構成されている。コンセントボックス23の前面には、第1コンセント21及び第2コンセント22の各差込口21A、22Aが露出している。
【0016】
次にコンセント装置20の電気的構成について説明する。図3に示すように、分電盤13から引き出された第1給電線14には、第1コンセント21が接続されている。そして、第1給電線14からは分岐線15が引き出されており、この分岐線15に第2コンセント22が接続されている。
【0017】
そして、第1給電線14における分岐線15との分岐点の下流側には半導体スイッチ30(本実施形態では、特許請求の範囲に記載の「スイッチ」の一例)が設けられおり、係る半導体スイッチ30のON/OFF(第1給電線14の開閉に対応)を次に説明する制御回路33にて制御する構成となっている。
【0018】
制御回路33はスイッチ制御部40、電波時計部50、出力部56、記憶部31から構成されている。順に説明してゆくと、電波時計部50は、マイコン51と、マイコン51に接続される発振部52、計時部53、信号処理部54、アンテナ55から構成されている。発振部52からは、クロック信号が出力され、このクロック信号を分周した信号を計時部53にてカウントすることで時刻を計時している。
【0019】
アンテナ55は、例えば、金属箔を数十枚積層してなるアモルファス材、あるいは、フェライトといった強磁性体材からなるコア(バー)の周りに銅線などのリード線をコイル状に巻回してなるバーアンテナである。また、アンテナ55は標準電波の搬送波周波数に同調するようにリード線の巻き数などが設定されている。
【0020】
標準電波は日本国内に設置された2箇所の送信所(福島県及び佐賀県)から送出されるもので、原子時計によって計時された標準時刻情報(現在時刻を示す時情報や分情報など)を所定のフォーマットで符号化し(タイムコード)、このタイムコードを40kHz又は60kHzの搬送波に重畳させたものである。
【0021】
アンテナ55は信号処理部54と接続されており、アンテナ55にて受信した標準電波信号が信号処理部54に入力される構成となっている。信号処理部54は、入力された標準電波信号から標準時刻情報を取得し、これをマイコン51に出力する。
【0022】
マイコン51(本実施形態では、特許請求の範囲に記載の「補正部」の一例)は標準時刻情報(具体的には、時情報及び分情報)に基づいて、計時部53でカウントされた時刻を補正する。上記の構成により、電波時計部50は、時刻を計時するとともに、標準時刻情報によって、時刻を補正する機能を担っている。そして、計時された時刻(現在時刻C)は出力部56によって、スイッチ制御部40に常時出力される。なお、電波時計部50での時刻の補正は定期的(例えば1日/1回)に行われる。
【0023】
記憶部31には、予め設定された設定時刻に対応するデジタル信号が記憶されている。本実施形態では、記憶部31には、例えば、第1設定時刻Aとして23時、第2設定時刻Bとして7時に対応するデジタル信号がそれぞれ記憶されている。
【0024】
スイッチ制御部40では、記憶部31に記憶された設定時刻A、Bと現在時刻Cとが一致した場合、半導体スイッチ30に信号を出力する構成となっている。スイッチ制御部40の構成の一例として、図4に示す論理回路を示す。図4のスイッチ制御部40は、2つの比較器41、42と信号保持部43とから構成されている。
【0025】
比較器41、42は記憶部31及び出力部56と接続されている。比較器41は現在時刻Cと第1設定時刻A(23時に対応)との比較を行い、C=Aとなった場合には出力信号P1を信号保持部43のセット端子に出力する。比較器42は現在時刻Cと第2設定時刻B(7時に対応)との比較を行い、C=Bとなった場合には、出力信号P2を信号保持部43のリセット端子に出力する。
【0026】
信号保持部43は、セット端子に出力信号P1が入力されると、出力信号P3を半導体スイッチ30に出力し、出力信号P1がゼロになった後も、出力信号P3を保持する。そして、リセット端子に出力信号P2が入力されると、保持されている出力信号P3をリセットする。
【0027】
半導体スイッチ30は、出力信号P3が入力されている間だけON状態となり、分電盤13から第1コンセント21への給電を可能とする。このように、本実施形態では、第1コンセント21は特定の時間帯のみ使用可能な時間帯指定コンセントとされている。一方、第2コンセント22は常時使用可能な常時給電式のコンセントとされている。
【0028】
また、半導体スイッチ30は、交流電源のゼロクロスを検出可能なゼロクロス回路を備えており、出力信号P3が入力された後、交流電源の電圧がゼロになった時点でスイッチのONを行う構成となっており、スイッチをONにした時の突入電流を抑制する機能を担っている。
【0029】
(2)作用及び効果
次に、本実施形態のコンセント装置20の作用及び効果を説明する。ここではコンセント装置20を用いて電気自動車70の充電を行う場合を例示する。充電を行う場合、例えば、23時より前に電気自動車70のプラグ(図示せず)を第1コンセント21に差し込んでおく。7時〜23時の間では、半導体スイッチ30はOFFになっており、第1コンセント21には給電されない。
【0030】
そして、23時になると電波時計部50から出力される現在時刻Cと記憶部31に記憶された第1設定時刻Aとが一致する。このため、信号保持部43から半導体スイッチ30へ出力信号P3が出力され、半導体スイッチ30はONになる(タイマ機能)。そして、信号保持部43は出力信号P3を保持し、半導体スイッチ30はONの状態が維持される。この結果、分電盤13から第1コンセント21への給電がされ、電気自動車70の充電が行われる。
【0031】
そして、7時になると電波時計部50から出力される現在時刻Cと記憶部31に記憶された第2設定時刻Bとが一致する。このため、信号保持部43から半導体スイッチ30へ出力されている出力信号P3はリセットされ、半導体スイッチ30はOFFになる。これにより、第1コンセント21への給電が遮断される。
【0032】
このようにしておけば、設定時間外(7時〜23時)に第1コンセント21に電気自動車70のプラグを差し込んでおいた場合であっても、設定時間帯(23時〜7時)の間だけ充電が行われる。これは、例えば、電気料金単価の安い夜間時間帯の電気利用を促進する場合に好適である。
【0033】
また、例えば停電などにより、電波時計部50への給電が停止した場合は、計時部53の計時が停止する。このため停電復帰時には、電波時計部50にて計時される現在時刻Cは実際の時刻に対して遅れた状態となる。その後、電波時計部50は標準電波を受信すると、標準時刻情報に基づいて現在時刻Cの補正を行う。これ以降は、補正された現在時刻Cを基準として、計時部53にて時刻が計時されてゆく。このように、本実施形態では、停電などにより現在時刻Cが一時的に狂っても、標準電波によって時刻が自動的に補正され、設定した時間通りに第1コンセント21をON/OFFさせるタイマ機能を働かせることが可能となる。
【0034】
また、上記のようなタイマ機能を半導体スイッチ30、電波時計部50、記憶部31、スイッチ制御部40、出力部56のわずか5部品で構成している。そのため、コンセントボックス23内部にこれらを収めることが可能となり、コンセント装置20をコンパクト化できる。また、スイッチとして半導体スイッチ30を用いているから、コンセント装置20を、よりコンパクト化できる。また、上記のように装置をコンパクトな構成とすることで、既存のコンセントボックスの内部に半導体スイッチ30、電波時計部50、記憶部31、スイッチ制御部40、出力部56を取り付けることもでき、低コストでタイマ機能の追加が可能である。
【0035】
また、本実施形態のコンセント装置20は、第1コンセント21だけでなく、常時給電されている第2コンセント22を備えている。このため、第1コンセント21の設定時間外であっても、第2コンセント22を使用して充電を行うことが可能である。
【0036】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0037】
(1)上記実施形態では、記憶部31に23時と7時の各設定時刻を記憶する場合を例示したが、設定時刻を他の時刻に設定することも無論可能である。また、2つ以上の時刻を各設定時刻として設定してもよい。例えば、4つ以上の時刻を予め記憶部31に記憶しておけば、1日のうち、複数の時間帯で第1コンセント21に給電することが可能である。
【0038】
(2)上記実施形態では、第1コンセント21と第2コンセント22とをコンセントボックス23内に収めた2口のコンセントとしたが、これに限定されない。第1コンセント21のみ備えた構成であってもよいし、第1コンセント21及び第2コンセント22をそれぞれ複数個備えた構成としてもよい。また、第1コンセント21と第2コンセント22とは、一つのコンセントボックス内に収めずに離れた別の箇所にそれぞれ設置する構成としてもよい。また、第1コンセント21及び第2コンセント22を収容するコンセントボックス23は、本実施形態のものに限定されず、例えば屋外に設置するポールタイプのボックスに各コンセントを収容する構成としてもよい。
【0039】
(3)上記実施形態では、スイッチ制御部40を論理回路によって構成した例を示したが、これに限定されない。スイッチ制御部40としては、例えば、CPUやマイコンを用いてもよい。
【0040】
(4)上記実施形態では、第1給電線14から、分岐線15を引き出し、分岐線15を第2コンセント22へ接続する構成としたが、これに限定されない。例えば、分電盤13から引き出された第1給電線14及び分岐線15とは他の給電線を第2コンセント22へ接続する構成としてもよい。
【0041】
(5)上記実施形態では、一枚の回路基板25に半導体スイッチ30、記憶部31、スイッチ制御部40、電波時計部50、出力部56を実装した構成を例示したが、これに限定されない。半導体スイッチ30、記憶部31、スイッチ制御部40、電波時計部50、出力部56は複数枚の回路基板に分かれて実装される構成であってもよい。
【0042】
(6)上記実施形態では、回路基板25はボックス本体23Aの内壁に取り付ける構成を例示したが、これに限定されない。回路基板25はコンセントボックス23内に収容されていればよい。
【0043】
(7)上記実施形態では、スイッチとして半導体スイッチ30を例示したが、これに限定されない。スイッチとして例えば、リレースイッチや電磁開閉器を用いてもよい。
【符号の説明】
【0044】
13…分電盤
14…第1給電線
15…分岐線
20…コンセント装置
21…第1コンセント
22…第2コンセント
23…コンセントボックス
25…回路基板
30…半導体スイッチ(スイッチ)
31…記憶部
40…スイッチ制御部
50…電波時計部
51…マイコン(補正部)
53…計時部
A…第1設定時刻
B…第2設定時刻
C…現在時刻(電波時計部で計時された時刻)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分電盤から引き出された第1給電線によって給電される第1コンセントと、
前記第1給電線を開閉するスイッチと、
時刻を計時する計時部と、受信した標準電波信号に基づいて時刻を補正する補正部とを具備する電波時計部と、
前記電波時計部で計時された時刻を出力する出力部と、
第1設定時刻と第2設定時刻とを記憶した記憶部と、
前記出力部から出力される時刻が前記第1設定時刻と一致したときに前記スイッチをONさせ、前記出力部から出力される時刻が前記第2設定時刻と一致したときに前記スイッチをOFFさせるスイッチ制御部と、を備えたコンセント装置。
【請求項2】
請求項1のコンセント装置であって、
前記分電盤から引き出された他の給電線、又は前記第1給電線において前記スイッチの上流側にて分岐する分岐線を通じて給電される常時給電式の第2コンセントを備え、
前記第2コンセントは前記第1コンセントと共にコンセントボックス内に収容されて2口のコンセントを構成し、このコンセントボックス内に、前記スイッチ、前記電波時計部、前記出力部、前記記憶部、前記スイッチ制御部を実装してなる回路基板が収容してあることを特徴とするコンセント装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−238382(P2010−238382A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−82173(P2009−82173)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000213297)中部電力株式会社 (811)
【出願人】(596147699)株式会社ニチホク (3)
【Fターム(参考)】