説明

コンタクトプローブおよびプローブユニット

【課題】ピッチを狭小化し、繰り返しの使用による耐久性および耐熱性が高く、バネ性を有しながら、接触対象間で確実かつ良好な導通を得ることができるコンタクトプローブおよびプローブユニットを提供すること。
【解決手段】弧状に湾曲した側面を有し、この側面で一方の基板と接触する第1接触部と、弧状に湾曲した側面を有し、この側面で他方の基板と接触する第2接触部と、第1接触部および第2接触部を接続する接続部と、接続部から延びて、第1接触部と接する第1の平面と、第1の平面と平行であって、第2接触部と接する第2の平面との間に位置し、第1接触部および第2接触部に加わる荷重によって弾性変形する弾性部と、を有する略平板状のプローブ20と、プローブ20を保持するプローブホルダ10と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気回路基板間等の接続に用いられるコンタクトプローブおよびプローブユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体集積回路や液晶パネルなどの検査対象の導通状態検査や動作特性検査を行う際には、検査対象と検査用信号を出力する信号処理装置との間の電気的な接続を図るために、導電性のコンタクトプローブを複数収容するプローブユニットが用いられる。プローブユニットにおいては、近年の半導体集積回路や液晶パネルの高集積化、微細化の進展に伴い、コンタクトプローブ間のピッチを狭小化することにより、高集積化、微細化された検査対象にも適用可能な技術が進歩してきている。
【0003】
コンタクトプローブ間のピッチを狭小化する技術として、例えばコンタクトプローブの外部からの荷重に応じて屈曲可能な弾性を備えたワイヤー型のコンタクトプローブに関する技術が知られている。ワイヤー型のコンタクトプローブは、バネを用いたピン型のコンタクトプローブと比較して細径化が容易であるが、荷重が加わった時に撓む方向が揃っていないと、隣接するコンタクトプローブ同士が接触したり被接触体との接触にバラツキが生じたりしてしまう恐れがある。このため、コンタクトプローブにおいては、荷重によって撓む方向を一様に揃えて、狭小化させるための様々な工夫が施されている(例えば、特許文献1,2を参照)。
【0004】
このうち、特許文献1では、接触体との接触間に湾曲した形状をなしてバネ性を有する複数のコンタクトプローブがテストボードに収容されたプローブユニットが開示されている。このコンタクトプローブでは、バネ性を有する部分が電気信号の導通部分と共通している。
【0005】
また、特許文献2では、コンタクトプローブに対してゴムまたは樹脂によって形成されるエラストマが個別に設けられたプローブユニットが開示されている。このプローブユニットでは、コンタクトプローブと電極等との接触によってエラストマが弾性変形し、コンタクトプローブと電極との接触状態を維持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4−277665号公報
【特許文献2】特開2007−17444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1が開示するコンタクトプローブにおいて、バネ性を確保するにはコンタクトプローブ自体を長くしなければならず、電気抵抗が大きくなって導通性が悪くなるという問題があった。
【0008】
また、特許文献2が開示するコンタクトプローブでは、バネ性の確保するためにコンタクトプローブ自体を長くする必要はないものの、バネ性の確保のために用いるエラストマが、金属と比して繰り返しの使用による耐久性および耐熱性が低いという問題があった。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ピッチを狭小化し、繰り返しの使用による耐久性および耐熱性が高く、バネ性を有しながら、接触対象間で確実かつ良好な導通を得ることができるコンタクトプローブおよびプローブユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかるコンタクトプローブは、板厚が均一な略平板状をなし、異なる基板間を接続するコンタクトプローブであって、弧状に湾曲した側面を有し、この側面で一方の基板と接触する第1接触部と、弧状に湾曲した側面を有し、この側面で他方の基板と接触する第2接触部と、前記第1接触部および前記第2接触部を接続する接続部と、前記接続部から延びて、前記第1接触部と接する第1の平面と、前記第1の平面と平行であって、前記第2接触部と接する第2の平面との間に位置し、前記第1接触部および前記第2接触部に加わる荷重によって弾性変形する弾性部と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかるコンタクトプローブは、上記の発明において、前記弾性部の幅は、前記接続部の幅と比して小さいことを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかるコンタクトプローブは、上記の発明において、前記第2接触部の前記他方の基板と接触する側の外縁は、弧状をなすことを特徴とする。
【0013】
また、本発明にかかるコンタクトプローブは、上記の発明において、前記弾性部は、少なくとも一部が、板面に沿って延び、一または複数の湾曲部分を有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明にかかるプローブユニットは、弧状に湾曲した側面を有し、この側面で一方の基板と接触する第1接触部と、弧状に湾曲した側面を有し、この側面で他方の基板と接触する第2接触部と、前記第1接触部および前記第2接触部を接続する接続部と、前記接続部から延びて、前記第1接触部と接する第1の平面と、前記第1の平面と平行であって、前記第2接触部と接する第2の平面との間に位置し、前記第1接触部および前記第2接触部に加わる荷重によって弾性変形する弾性部と、を有する略平板状のコンタクトプローブと、前記コンタクトプローブを保持する保持部と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明にかかるプローブユニットは、上記の発明において、前記保持部は、前記弾性部と等しい径を有し、前記弾性部の前記接続部側と異なる端部を収容して固定する穴部が設けられたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明にかかるプローブユニットは、上記の発明において、前記保持部は、前記第2接触部と少なくとも一箇所で接触し、前記第2接触部は、荷重が加わらない状態で前記他方の基板および前記保持部とそれぞれ接触する接触箇所同士のうちで最短となる接触箇所同士を結ぶ外縁がR形状をなすことを特徴とする。
【0017】
また、本発明にかかるプローブユニットは、上記の発明において、前記保持部は、前記コンタクトプローブを収容可能なスリットが形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかるコンタクトプローブおよびプローブユニットは、略平板状のプローブにおいて、同一のプローブ内で電気的導通を行なう部分とバネ性を有する部分とが異なる形状としたので、ピッチを狭小化し、繰り返しの使用による耐久性および耐熱性が高く、バネ性を有しながら、接触対象間で確実かつ良好な導通を得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1にかかるプローブユニットの構成を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示すプローブユニットの要部の構成を示す分解斜視図である。
【図3】図3は、図1に示すプローブユニットの要部の構成を示す分解斜視図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態1にかかるコンタクトプローブを示す斜視図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態1にかかるコンタクトプローブを示す側面図である。
【図6】図6は、図1に示すプローブユニットの要部の構成を示す部分断面図である。
【図7】図7は、図1に示すプローブユニットの要部の構成を示す部分断面図である。
【図8】図8は、図1に示すプローブユニットの要部の構成を示す部分断面図である。
【図9】図9は、本発明の実施の形態1の変形例1にかかるコンタクトプローブを示す側面図である。
【図10】図10は、本発明の実施の形態1の変形例2にかかるコンタクトプローブを示す側面図である。
【図11】図11は、本発明の実施の形態2にかかるプローブユニットの構成を示す斜視図である。
【図12】図12は、本発明の実施の形態2にかかるプローブユニットの構成を示す分解斜視図である。
【図13】図13は、本発明の実施の形態2にかかるプローブユニットに用いられる半導体集積回路を示す斜視図である。
【図14】図14は、図11,12に示すプローブユニットの要部の構成を示す分解斜視図である。
【図15】図15は、図11,12に示すプローブユニットの要部の構成を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態を図面と共に詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明において参照する各図は、本発明の内容を理解でき得る程度に形状、大きさ、および位置関係を概略的に示してあるに過ぎない。すなわち、本発明は各図で例示された形状、大きさ、および位置関係のみに限定されるものではない。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかるプローブユニットの構成を示す斜視図である。図1に示すプローブユニット1は、検査対象物である半導体集積回路100の電気特性検査を行う際に使用する装置であって、半導体集積回路100と半導体集積回路100へ検査用信号を出力する回路基板30との間を電気的に接続する装置である。なお、本実施の形態1において、半導体集積回路100は、電極101を有するQFN(Quad Flat Non‐leaded Package)であるものとして説明する。
【0022】
プローブユニット1は、異なる二つの被接触体である半導体集積回路100および回路基板30に接触する導電性のコンタクトプローブ20(以下、単に「プローブ20」という)と、複数のプローブ20を所定のパターンにしたがって収容して保持する保持部としてのプローブホルダ10と、プローブホルダ10の底部に当接し、プローブ20を介して半導体集積回路100へ検査用信号を出力する回路基板30とを有する。
【0023】
回路基板30は、図2に示すように、プローブ20を介して半導体集積回路100へ検査用信号を出力するための電極31を有する。電極31は、プローブホルダ10に保持されたプローブ20に対応して回路基板30上に配設される。なお、プローブホルダ10と回路基板30とは、ネジ等によって接続されてもよく、接着剤またはシール部材によって接着されてもよい。すなわち、プローブホルダ10と回路基板30との接着形態は、プローブ20と電極31との接触を妨げなければ、如何なる接着形態でもよい。
【0024】
プローブホルダ10は、樹脂、マシナブルセラミック、シリコンなどの絶縁性材料を用いて形成され、半導体集積回路100を収容可能な収容空間が形成された収容部11と、プローブ20を所定パターンで保持するためのスリット12とを有する。スリット12は、収容部11側にプローブ20の先端が突出するようにプローブ20を保持する。また、スリット12は、プローブホルダ10の上方から半導体集積回路100が近接した際に、各プローブ20が、対応する半導体集積回路100の電極101と接触する位置に形成される。
【0025】
図3は、図1に示すプローブユニット1の要部の構成を示す分解斜視図である。プローブホルダ10は、図3に示すように、中空の長方体形状をなし、底部外周にプローブ20を固定してプローブホルダ10と着脱可能な固定部材13を有する。
【0026】
固定部材13は、絶縁性材料を用いて形成され、プローブ20を保持して固定する穴部14と、プローブホルダ10と比して大きい開口部15とを有する。穴部14は、スリット12に挿通されたプローブ20の端部を収容し、収容部11の所定位置にプローブ20の他方の先端部分が位置するようプローブ20を保持する。なお、プローブ20を所定間隔および所定方向に固定することが可能であれば、保持部の構成を固定部材13のみとしてもよく、プローブユニット10と固定部材13の穴部14とを一体成形してもよい。
【0027】
図4は、本実施の形態1にかかるプローブ20を示す斜視図である。また、図5は、本実施の形態1にかかるプローブ20を示す側面図である。また、図6は、図1に示すプローブユニット1の要部の構成を示す部分断面図である。図4,5に示すプローブ20は、板厚が均一な略平板状であって、先端部で弧状に湾曲した側面を有し、この側面で半導体集積回路100と接触する第1接触部21と、弧状に湾曲した側面を有し、この側面で回路基板30と接触する第2接触部22と、第1接触部21および第2接触部22を接続する帯状の接続部23と、接続部23から延びて、第1接触部21と接する第1の平面Gと、第1の平面Gと平行であって、第2接触部22と接する第2の平面Gとの間に位置し、第1接触部21および第2接触部22に加わる荷重によって弾性変形する弾性部24と、を備える。プローブ20は、銅、ニッケル、鉄、タングステン等の合金を用いて形成される。なお、弾性を有する金属材料を用いて成形した後、表面にめっき加工を施したものであってもよい。
【0028】
第2接触部22は、回路基板30と接触する側の外縁が弧状をなし、図6に示す断面図のように、プローブホルダ10に保持されて回路基板30の電極31に当接する。ここで、第2接触部22の外縁であって、固定部材13および電極31にそれぞれ当接する接触箇所同士のうち、最短となる接触箇所同士を結ぶ外縁は、R形状をなしている。このR形状の半径は、0≦R<0.1(mm)である。好ましくは、R形状の半径が0<R<50(μm)である。
【0029】
弾性部24は、図5に示すように、板厚方向に直交する幅W1が、接続部23の幅W2と比して小さい。このため、弾性部24は、第1接触部21または第2接触部22に加わる荷重に対して他の部分よりも弾性変形を生じやすい。また、弾性部24は、接続部23の湾曲態様と凹凸が逆の湾曲態様で接続部23から延びる。弾性部24は、凹凸が逆の湾曲部分を繰り返してジグザグ状に延びている。弾性部24は、平面G,Gと略直交する方向に往復して、平面G,Gと平行な方向に延びる形状をなす。なお、弾性部24の幅と接続部23の幅との比は、弾性部24が優先的に弾性変形可能であれば、如何なる比であってもよい。また、弾性部24の接続部23側と異なる側の端部は、直線状をなして延びており、この直線状部分の先端部が穴部14に差し込んで取り付けられて、プローブ20がプローブホルダ10に保持される。
【0030】
また、弾性部24は、上述したように、第1接触部21と接する第1の平面Gと、第1の平面Gに平行であって、第2接触部22と接する第2の平面Gとの間に位置する。すなわち、弾性部24は、第2の平面Gから、弾性部24の第2の平面Gに最も遠い点までの距離d2が、第1の平面Gと第2の平面Gとの間の距離d1より小さくなるように湾曲されて形成される。これにより、図6に示すように、プローブ20がプローブホルダ10に保持された際に、プローブ20の配設高さが、第1接触部21で最も高くなる。このため、プローブ20の上方から検査対象を近づけた際に、弾性部24と接触することなく、第1接触部21と検査対象を接触させることができる。
【0031】
図7は、第1接触部21または第2接触部22に荷重が加わった状態を示す部分断面図である。図7に示すように、第1接触部21が半導体集積回路100の電極101と接触して荷重が加わると、弾性部24の湾曲部分が弾性変形する。ここで、破線Pは、半導体集積回路100から荷重が加わっていない状態でのプローブ20の位置を示している(図6参照)。
【0032】
第1接触部21に外部からの荷重が加わると、第1接触部21、第2接触部22(接続部23を含む)は弾性変形することなく、荷重に応じて電極101、電極31と当接しながら移動する。また、弾性部24は、接続部23および第2接触部22を介して伝達される荷重に応じて弾性変形を生ずる。なお、このときに流れる電流の大部分は、第1接触部21、接続部23および第2接触部22を流れる。
【0033】
図8は、第1接触部21に荷重が加わる前後の第1接触部21と電極101との接触状態および第2接触部22と電極31との接触状態を説明する図である。まず、図8(a)は、第1接触部21に対して半導体集積回路100の電極101が当接した状態(荷重が加わっていない状態)を示している。この場合の第1接触部21と電極101との接触点をS、第2接触部22と電極31との接触点をCとする。
【0034】
図8(a)において、半導体集積回路100が図中下方に移動すると、第1接触部21に荷重が加わり、第1接触部21が押し下げられる。この第1接触部21の移動によって第1接触部21の電極101および第2接触部22の電極31との接触点がそれぞれS,Cにずれる(図8(b))。なお、破線Pは、図8(a)に示す荷重が加わっていない状態でのプローブ20の位置を示し、破線Iは、図8(a)に示す半導体集積回路100の位置を示している。
【0035】
ここで、第1接触部21および第2接触部22は、各電極101,31の形成面に沿って接触点が移動する。このため、各接触部と対応する各電極との摩擦力等が小さく、接触部および電極それぞれの磨耗を抑制することが可能となる。
【0036】
上述した実施の形態1によれば、略平板状の金属からなるプローブにおいて、同一プローブ内で電気的導通を行なう部分とバネ性を有する部分とが異なる形状としたので、ピッチを狭小化し、繰り返しの使用による耐久性および耐熱性が高く、バネ性の確保によって電気的な導通経路が長くなることなく、プローブの設計を行なうことができ、確実な電気的導通を行なうとともに、プローブのバネ性を確保することが可能となる。
【0037】
また、各接触部が電極との接触に対して接触点を移動させるため、接触部と電極との間の摩擦を軽減し、接触部および電極の磨耗を抑制することができる。このとき、第2接触部において、電極と接触する側の端部がR形状をなすことによって、一段と効率よく第2接触部が電極面上を回転することができるため、電極の磨耗を一層抑制することが可能となる。
【0038】
また、弾性部24の端部が固定部材13の穴部14に保持された場合に、第2接触部22が固定部材13の壁面に当接することによって位置決めの効果を有するため、プローブ20をプローブユニット1の所定位置に容易に配設することができる。
【0039】
本実施の形態1にかかるプローブによれば、プローブホルダに取り付けられたプローブの交換を行う際、プローブの挿脱方向に抜き差しするのみで容易にプローブの交換を行うことが可能である。
【0040】
なお、第1接触部21に対して重力以外の外力が加わっていない状態において、第2接触部22の側面が固定部材13の壁面と当接するものとして説明したが、第2接触部22の電極31側に位置する側の少なくとも一点が固定部材13と接触していればよい。
【0041】
上述した実施の形態1において、半導体集積回路が外部にリードを有しないQFNであるものとして説明してきたが、リードを有する半導体集積回路(Quad Flat Package:QFP)であってもよい。
【0042】
図9は、本実施の形態1の変形例1にかかるプローブを示す側面図である。図9に示すプローブ20aは、板厚が均一な略平板状であって、上述した第1接触部21、第2接触部22および接続部23と、接続部23から延び、弧状に湾曲した形状をなして、第1接触部21および第2接触部22に加わる荷重によって弾性変形する弾性部25と、を備える。プローブ20aは、プローブ20と同様、銅、ニッケル、鉄、タングステン等の合金を用いて形成される。なお、弾性を有する金属材料を用いて成形した後、表面にめっき加工を施したものであってもよい。
【0043】
弾性部25は、図5に示す弾性部24と同様に、接続部23の幅と比して小さい幅を有する。また、弾性部25の接続部23側と異なる側の端部は、直線状をなして延びおり、この直線状部分の先端部が穴部14に差し込んで取り付けられて、プローブ20aがプローブホルダ10に保持される。
【0044】
弾性部25は、接続部23の外縁から板面に沿って延伸している。弾性部25は、図5に示すプローブ20と同様に、第2の平面Gから、弾性部25の第2の平面Gに最も遠い点までの距離d3が、第1の平面Gと第2の平面Gとの間の距離d1より小さくなるように形成される。
【0045】
図10は、本実施の形態1の変形例2にかかるプローブを示す側面図である。図10に示すプローブ20bは、板厚が均一な略平板状であって、上述した第1接触部21、第2接触部22および接続部23と、接続部23から延び、湾曲部分を繰り返してジグザグ状をなし、第1接触部21および第2接触部22に加わる荷重によって弾性変形する弾性部26と、を備える。プローブ20bは、プローブ20と同様、銅、ニッケル、鉄、タングステン等の合金を用いて形成される。なお、弾性を有する金属材料を用いて成形した後、表面にめっき加工を施したものであってもよい。
【0046】
弾性部26は、図5に示す弾性部24と同様に、接続部23の幅と比して小さい幅を有する。また、弾性部26の接続部23側と異なる側の端部は、直線状をなして延びおり、この直線状部分の先端部が穴部14に差し込んで取り付けられて、プローブ20bがプローブホルダ10に保持される。
【0047】
弾性部26は、接続部23の外縁から板面に沿って延伸して形成される。また、弾性部26は、接続部23の湾曲態様と凹凸が逆の湾曲態様で接続部23から延びる。弾性部26は、凹凸が逆の湾曲部分を繰り返してジグザグ状に延びている。弾性部26は、平面G,Gと平行な方向に往復して、平面G,Gと垂直な方向に延びる形状をなす。弾性部26は、図5に示すプローブ20と同様に、第2の平面Gから、弾性部26の第2の平面Gに最も遠い点までの距離d4が、第1の平面Gと第2の平面Gとの間の距離d1より小さくなるように湾曲されて形成される。
【0048】
(実施の形態2)
図11は、本発明の実施の形態2にかかるプローブユニットの構成を示す斜視図である。図12は、本発明の実施の形態2にかかるプローブユニットの構成を示す分解斜視図である。なお、図1等で上述したプローブユニット1と同じ構成要素には同じ符号を付してある。本実施の形態2にかかるプローブユニット2は、検査対象物である略平板状の半導体集積回路102の電気特性検査を行う際に使用する装置であって、上述したプローブホルダ10およびプローブ20と、半導体集積回路102の一方の面の中央部に配設されたグランド電極104と接触するようにプローブ20を保持するプローブホルダ40と、プローブ20を介して半導体集積回路102へ検査用信号を出力するための電極51およびグランド電極52を有する回路基板50とを備える。プローブホルダ10,40および固定部材13によって保持部を構成する。本実施の形態2において、半導体集積回路102は、図13に示すような電極103およびグランド電極104を有するQFNであるものとして説明する。また、プローブホルダ10,40および固定部材13は、少なくとも表面が上述した絶縁性材料によって覆われていれば内部が金属等の導電性材料で形成されていてもよい。
【0049】
図14,15は、図11,12に示すプローブユニットの要部の構成を示す分解斜視図である。プローブホルダ40は、樹脂、マシナブルセラミック、シリコンなどの絶縁性材料を用いて形成されて収容部11の収容空間に収容され、スリット12に対応してプローブ20を挿通するスリット41と、プローブホルダ40の中央部においてプローブ20を所定パターンで保持するためのホルダ孔42とを有する。スリット41は、プローブホルダ10に形成されたスリット12に対応して形成される。プローブホルダ40は、後述する第1部材40aと第2部材40bとが積層されてなる。
【0050】
プローブホルダ40は、図14,15の上面側に位置する第1部材40aと下面側に位置する第2部材40bとが積層されてなる。第1部材40aおよび第2部材40bには、スリット12に対応して第1スリット41aおよび第2スリット41bが形成されて、スリット41を構成している。第1スリット41aおよび第2スリット41bは、切欠き形状が一致するように形成されている。また、第1部材40aおよび第2部材40bには、プローブ20を複数収容するための第1ホルダ孔42aおよび第2ホルダ孔42bがそれぞれ同数ずつ形成されて、ホルダ孔42を構成している。第2部材40bは、プローブ20の弾性部24の接続部23との連結側と異なる側の端部を収容してプローブ20を保持する穴部43を有する。プローブ20は、穴部43によって、少なくとも第1接触部21がホルダ孔42(プローブホルダ40の上面)から突出するように保持される。
【0051】
第1ホルダ孔42aは、プローブ20を収容可能な略柱状をなす。また、第1ホルダ孔42aは、対応する第2ホルダ孔42bおよび穴部43と連通する位置に形成される。また、第2ホルダ孔42bは、第1ホルダ孔42aと同等の幅で形成され、プローブ20の第1接触部21、第2接触部22および接続部23を収容可能な略柱状をなす。
【0052】
穴部43に保持されたプローブ20は、図6と同様に、第2接触部22が第2ホルダ孔42bの内部壁面に当接する。プローブユニット2に半導体集積回路102に近接させた際に、プローブホルダ40に保持されたプローブ20の第1接触部21は、グランド電極104と接触し、第2接触部22は、グランド電極52と接触する。
【0053】
上述した実施の形態2によれば、実施の形態1と同様、略平板状の金属からなるプローブにおいて、同一プローブ内で電気的導通を行なう部分とバネ性を有する部分とが異なる形状としたので、ピッチを狭小化し、繰り返しの使用による耐久性および耐熱性が高く、バネ性の確保によって電気的な導通経路が長くなることなく、プローブの設計を行なうことができ、確実な電気的導通を行なうとともに、プローブのバネ性を確保することが可能となる。
【0054】
また、プローブホルダに保持されたプローブは、半導体集積回路と接触する接触部の高さが弾性部の高さより高いため、半導体集積回路を上方から近接させて回路基板と導通させることができる。この際、同一平面に形成された電極、例えば、半導体集積回路の板面の中央に配置されたグランド電極に対しても、同一のプローブを配置することによって、電気的に導通させることができる。
【0055】
なお、上述したプローブホルダ40は、第1部材40aおよび第2部材40bで構成されるものとして説明したが、一体成形させるものであってもよい。
【0056】
以上のように、本発明にかかるコンタクトプローブおよびプローブユニットは、ピッチを狭小化し、繰り返しの使用による耐久性および耐熱性が高く、バネ性を有しながら、接触対象間で確実かつ良好な導通を得る場合に有用である。
【符号の説明】
【0057】
1 プローブユニット
10,40 プローブホルダ
11 収容部
12,41 スリット
13 固定部材
14,43 穴部
15 開口部
20,20a,20b プローブ
21 第1接触部
22 第2接触部
23 接続部
24,25,26 弾性部
30,50 回路基板
31,51,101,103 電極
40a 第1部材
40b 第2部材
41a 第1スリット
41b 第2スリット
42 ホルダ孔
42a 第1ホルダ孔
42b 第2ホルダ孔
52,104 グランド電極
100 半導体集積回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板厚が均一な略平板状をなし、異なる基板間を接続するコンタクトプローブであって、
弧状に湾曲した側面を有し、この側面で一方の基板と接触する第1接触部と、
弧状に湾曲した側面を有し、この側面で他方の基板と接触する第2接触部と、
前記第1接触部および前記第2接触部を接続する接続部と、
前記接続部から延びて、前記第1接触部と接する第1の平面と、前記第1の平面と平行であって、前記第2接触部と接する第2の平面との間に位置し、前記第1接触部および前記第2接触部に加わる荷重によって弾性変形する弾性部と、
を備えたことを特徴とするコンタクトプローブ。
【請求項2】
前記弾性部の幅は、前記接続部の幅と比して小さいことを特徴とする請求項1に記載のコンタクトプローブ。
【請求項3】
前記第2接触部の前記他方の基板と接触する側の外縁は、弧状をなすことを特徴とする請求項1または2に記載のコンタクトプローブ。
【請求項4】
前記弾性部は、少なくとも一部が、板面に沿って延び、一または複数の湾曲部分を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のコンタクトプローブ。
【請求項5】
弧状に湾曲した側面を有し、この側面で一方の基板と接触する第1接触部と、弧状に湾曲した側面を有し、この側面で他方の基板と接触する第2接触部と、前記第1接触部および前記第2接触部を接続する接続部と、前記接続部から延びて、前記第1接触部と接する第1の平面と、前記第1の平面と平行であって、前記第2接触部と接する第2の平面との間に位置し、前記第1接触部および前記第2接触部に加わる荷重によって弾性変形する弾性部と、を有する略平板状のコンタクトプローブと、
前記コンタクトプローブを保持する保持部と、
を備えたことを特徴とするプローブユニット。
【請求項6】
前記保持部は、前記弾性部と等しい径を有し、前記弾性部の前記接続部側と異なる端部を収容して固定する穴部が設けられたことを特徴とする請求項5に記載のプローブユニット。
【請求項7】
前記保持部は、前記第2接触部と少なくとも一箇所で接触し、
前記第2接触部は、荷重が加わらない状態で前記他方の基板および前記保持部とそれぞれ接触する接触箇所同士のうちで最短となる接触箇所同士を結ぶ外縁がR形状をなすことを特徴とする請求項5または6に記載のプローブユニット。
【請求項8】
前記保持部は、前記コンタクトプローブを収容可能なスリットが形成されたことを特徴とする請求項5〜8のいずれか一つに記載のプローブユニット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2012−181115(P2012−181115A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−44484(P2011−44484)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(000004640)日本発條株式会社 (1,048)
【Fターム(参考)】