説明

コンテナ

【課題】カバー材等の付属品を設けることなく、コンテナを移送する際などにおいて、出入口の下部と下側蓋板の下部との隙間からの汚水の漏れを確実に防止することができるコンテナを提供する。
【解決手段】コンテナ1の後壁2には出入口4が形成されるとともに、出入口4が2枚の蓋板5、6により閉止可能に設けられ、コンパクタ内の押出板と下側蓋板5とを連結し、押出板の往復動によりコンパクタ内の塵芥が出入口4を経て圧縮移送されるようになされたコンテナにおいて、下側蓋板5は、その下部が出入口4の下部と上方からの嵌め込みにより接合する構造になされ、この接合部分にシール材が介装され、さらに、上側蓋板6には、蓋板5、6の閉止時において下側蓋板6を接合状態で保持する保持手段8が設けられてなり、下側蓋板5と押出板との連結時には、押出板側の昇降機構により下側蓋板5を上方に持ち上げて出入口4の下部から離脱させるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンパクタにより塵芥などをコンテナに詰め込んで当該コンテナを車輌によって移送するコンテナに関し、特にテールゲートに上下2枚の蓋板が設けられた、所謂2枚蓋板方式のコンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のコンテナとしては、コンテナ本体の後端開口にテールゲートが開閉自在に設けられ、該テールゲートにはコンパクタの押出口に接続される出入口が形成されるとともに、該出入口が上下2枚の蓋板により閉止可能に設けられ、上記出入口と押出口とを接続した状態で、上記コンパクタ内に設けられた押出板と上記下側蓋板とを連結し、押出板の往復動により上記コンパクタ内の塵芥を上記押出口から出入口を経てコンテナ内に圧縮移送するように構成した、所謂2枚蓋板方式のものが提供されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特公昭64−6083号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、前記下側蓋板の周囲には出入口との間に当該下側蓋板が押出板とともに往復動作するために必要な所定のクリアランス(隙間)を設けている。従って、コンテナへの塵芥の詰め込みにより当該塵芥に含まれていた汚水がコンテナの底面に溜まっていると、コンテナをコンテナ荷役車輌と地上等との間で積降ろしなどによって当該コンテナが傾斜した場合に出入口の下端縁と下側蓋板の下端縁との隙間から内部の汚水が外部に漏れ出し、作業環境の悪化を招くという問題があった。
【0004】
また、上記隙間をカバー材等で被覆することで当該隙間からの汚水の漏れを防止することもできるが、カバー材等の取付けに手間がかかるとともに、構成が複雑になるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、カバー材等の付属品を設けることなく、コンテナを移送する際などにおいて、出入口の下部と下側蓋板の下部との隙間からの汚水の漏れを確実に防止することができるコンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、請求項1に係る発明のコンテナは、コンテナの後端開口に後壁が開閉自在に設けられ、該後壁にはコンパクタの押出口に接続される出入口が形成されるとともに、該出入口が上下2枚の蓋板により閉止可能に設けられ、上記出入口と押出口とを接続した状態で、コンパクタ内に設けられた押出板と上記下側蓋板とを連結し、押出板の往復動により上記コンパクタ内の塵芥が上記押出口から出入口を経て圧縮移送されるようになされたコンテナにおいて、前記下側蓋板は、その下部が前記出入口の下部と上方からの嵌め込みにより接合する構造になされるとともに、この両者の接合部分にシール材が介装され、さらに、上側蓋板には、前記上下2枚の蓋板の閉止時において下側蓋板を下方に押圧して当該下側蓋板を接合状態で保持する保持手段が設けられてなり、
下側蓋板と押出板との連結時においては、押出板側に設けられた昇降機構により下側蓋板を上方に持ち上げて前記出入口の下部から離脱させるようになされたものである。
【0007】
請求項2に係る発明のコンテナは、前記保持手段が、上側蓋板から下方に突出配置され下端部で下側蓋板を下方に押圧する押圧部材を備えてなるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、出入口の下部と下側蓋板の下部とをシール材を介して閉塞する構造とすることで、コンテナ内の汚水が隙間から外部に漏れるのを防止することができ、これにより汚水の漏れによる周囲の作業環境の悪化を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、コンテナの全体構成を示している。
【0011】
コンテナ1は、上面や周側面が閉塞された所謂クローズドタイプのもので、その後端開口には後壁としてのテールゲート2が設けられている。
【0012】
テールゲート2は、コンテナ1の後端上部位置に設けた左右一対の支軸3に揺動自在に支持されている。上記テールゲート2の略中央には出入口4(図2参照)が形成され、該出入口4には下側蓋板としてのプッシュプレート5が下方に配置されるとともに、該プッシュプレート5の上方に上側蓋板としてのサブプレート6が配置され、これら2枚のプレート(蓋板)5、6によって上記出入口4を閉止するようになっている。
【0013】
ところで、本発明のコンテナ1では前記プッシュプレート5、並びにこのプッシュプレート5が接合する出入口4の下部が以下のような構造になされている。
【0014】
まず、プッシュプレート5は、上底が下底よりも長い台形状に形成されており、これに伴って出入口4の下部形状も合致するように形成されている。つまり、出入口4の下部は、図2に示すように水平に形成された中央部分の下端縁41と、この下端縁41の両側に形成された傾斜縁42とで構成されており、この下部にプッシュプレート5の下部が上方からの嵌め込みにより接合する構造になっている。
【0015】
具体的には、図3に示すように、出入口4の下端縁41は前後両端縁が面取りされた形状に形成されており、この下端縁41上にプッシュプレート5の下底部分51が下端縁41の前後両端縁を抱え込むようにして嵌まり込むようになっている。つまり、プッシュプレート5の下底部分51には所定の凹部51aが形成されるとともに、この凹部51a内の前後に2つの傾斜片51bが八の字状に設けられており、これら傾斜片51bが前記下端縁41の面取り部分に当接するようにして嵌め込まれる。
【0016】
また、上述した下端縁41と下底部分51の接合部分にはシール材7が介装されている。シール材7は、図2に示すように下端縁41上に亘って設けられている。具体的には、シール材7は、図3に示すように下端縁41上に敷設された取付アングル71上に載置されており、止具72によって当該取付アングル71とでシール材7の一端薄肉部7aをボルト73等によって強固に挟持している。
【0017】
そして、このシール材7は、下底部分51が下端縁41に接合した状態ではその厚肉部7bが下底部分51の底面に圧接し、これによって両者の接合部分をシールする。
【0018】
なお、傾斜縁42とプッシュプレート5の傾斜部分52との接合構造及びシール構造も上述したものと同様な構造が施されている。
【0019】
前記サブプレート6は、上記プッシュプレート5を出入口4の下部に上述したように配置した場合にこの出入口4の上部に生じる隙間を埋めるためのもので、出入口4の上部にサブプレート6が閉止された状態で該サブプレート6を固縛する左右一対の閂部材61が設けられている。閂部材61は、後述するコンパクタAの左右両側部に設けられた一対の伸縮シリンダ(図示せず)によりサブプレート6から抜差し自在になされている。
【0020】
また、サブプレート6には、プッシュプレート5を出入口4の下部において上述した接合状態で安定的に保持するための保持手段8が設けられている。
【0021】
保持手段8は、図4に示すように、その下端部81aがサブプレート6の下方に突出する形で当該サブプレート6の上下に亘って摺動自在に設けられた押圧部材81と、この押圧部材81の周面に設けられ当該押圧部材81を下方に付勢するスプリング82とを備えている。これによりサブプレート6とプッシュプレート5とで出入口4を閉塞した際にスプリング82の反発力により押圧部材81の下端部81aでプッシュプレート5を下方に押圧することで、プッシュプレート5の下部を出入口4の下部に嵌め込んだ脱落しない安定した状態で保持するようにしている。
【0022】
そして、コンテナ1は、その前壁上部に係合ピン(図示せず)が設けられており、この係合ピンに図示しないコンテナ荷役車輌の荷役装置のフックを係止させて当該荷役装置によって車輌の車体上に積込むことができるとともに、その逆に車体上から後述するようなコンパクタを備えた施設の移動台車上や地上等に降ろすことができる。
【0023】
また、荷役装置により車体上でコンテナ1を後方に傾動(ダンプ)させることでこのコンテナ1内の積載物(塵芥)をテールゲート2の開放によって外部に排出することができる。
【0024】
一方、このように構成されたコンテナ1は、図5に示すようなコンパクタAにその後部(テールゲート2側)が着脱自在になされている。コンパクタAの内部には油圧シリンダA1で往復動作する押出板A2を備えている。そして、コンテナ1とコンパクタAとの連結時においては、上部に設けられたホッパA3から投入された塵芥を、押出板A2でプッシュプレート5とともにコンパクタA前端の押出口A4に向かって押し出し、この押出口A4に連通する前記出入口4を介してコンテナ1の内部へ圧縮移送するようにしている。
【0025】
詳しくは、例えばコンパクタAの前方には図示しない移動台車がコンテナ1を接続する方向と直交する方向に移動自在に設けられており、この移動台車上に図示しないコンテナ荷役車輌からコンテナ1を降ろし、移動台車によりコンテナ1をコンパクタAの前方に配置した後、コンパクタAの下面中央に設けられた図示しない連結シリンダによってコンテナ1を捕捉して引き寄せ、あるいは充填の終ったコンテナ1を押し出し操作するようにしている。この場合、コンテナ1は底部前後左右に設けられた車輪(図示せず)を介して移動するようになっており、連結シリンダによるコンテナ1の引き寄せ操作、又は押し出し操作がスムーズに行えるようにしている。
【0026】
そして、上記コンテナ1のテールゲート2がコンパクタAの前端に接続されると、上記プッシュプレート5がコンパクタAの押出板A2に係合されて出入口4とコンパクタAの押出口A4とが連通(接続)する。
【0027】
この際、プッシュプレート5は押出板A2に連結されて出入口4での接合状態が解除される。詳しくは、押出板A2のプッシュプレート連結部には昇降機構A5が設けられており、この昇降機構A5により出入口4においてプッシュプレート5を上方に移動させる。これによりプッシュプレート5は、出入口4の下部との接合が解除され、押出板A2の往復動作に供って当該プッシュプレート5がコンパクタA内とコンテナ1内との間で往復動可能になる。
【0028】
これとともに、サブプレート6側では伸縮シリンダの伸長により閂部材61を抜き取って出入口4でのサブプレート6の固縛状態を解除する。
【0029】
また、このサブプレート6は、コンパクタA側に設けられた図示しない移動機構と一体に接続され、この移動機構により上方に移動するようになっている。これによりプッシュプレート5の上部にはサブプレート6が上方に移動した分だけの空間部が生じるとともに、保持手段8も同様に上方に移動してプッシュプレート5から離脱することで前述した出入口4下部からのプッシュプレート5の接合解除による離脱が可能になる、
そして、このようにコンテナ1をコンパクタAに接続して、押出板A2の往復動作によってプッシュプレート5をコンパクタA内とコンテナ1内との間で往復動させることで、コンパクタAのホッパA3から投入された塵芥を押出口A4、出入口4を通じてコンテナ1の内部へ圧縮移送する。つまり、塵芥の圧縮移送は実質的にはプッシュプレート5が行なうように構成されている。
【0030】
この際、サブプレート6の上方への移動により生じた空間部によって塵芥の噛み込みなどを防止しながらプッシュプレート5によりコンテナ1内へ塵芥を円滑に詰め込むことができる。
【0031】
なお、以上説明した各機構の他にも、テールゲート2を閉じた状態で固縛保持する固縛機構や、コンパクタAに接続されたコンテナ1を移動不能に固定保持する固定機構なども設けられている。
【0032】
このようにコンテナ1の出入口4にプッシュプレート5を配置する構造としたことで、コンテナ1に塵芥を圧縮して詰め込んだ際に当該塵芥に含まれた汚水がコンテナ1の底面に沢山溜まり、このような状態でコンテナ1をコンテナ荷役車輌と設備等との間で積降ろすときなどに当該コンテナ1が傾斜した場合でも、シール材7により汚水が外部に漏れ出ることを確実に防ぐことができ、汚水の漏れによる周囲の作業環境の悪化を確実に防止することができる。
【0033】
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれに限定されることなく、その範囲内において種々設計変更可能である。
【0034】
例えば、保持手段8は、本実施の形態のようなピンド状の押圧部材81に限るものではなく、また押圧部材81の数も1本に限るものではない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明のコンテナを示す斜視図である。
【図2】2枚のプレートを外した状態のテールゲートを示す斜視図である。
【図3】図2におけるA−A断面図である。
【図4】サブプレートへの押圧部材の配置状態を示す断面図である。
【図5】コンパクタにコンテナを連結した状態を示す概略の断面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 コンテナ
2 テールゲート(後壁)
4 出入口
5 プッシュプレート(下側蓋板)
6 サブプレート(上側蓋板)
7 シール材
8 保持手段
81 押圧部材
A コンパクタ
A2 押出板
A4 押出口
A5 昇降機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナの後端開口に後壁が開閉自在に設けられ、該後壁にはコンパクタの押出口に接続される出入口が形成されるとともに、該出入口が上下2枚の蓋板により閉止可能に設けられ、上記出入口と押出口とを接続した状態で、コンパクタ内に設けられた押出板と上記下側蓋板とを連結し、押出板の往復動により上記コンパクタ内の塵芥が上記押出口から出入口を経て圧縮移送されるようになされたコンテナにおいて、
前記下側蓋板は、その下部が前記出入口の下部と上方からの嵌め込みにより接合する構造になされるとともに、この両者の接合部分にシール材が介装され、さらに、上側蓋板には、前記上下2枚の蓋板の閉止時において下側蓋板を下方に押圧して当該下側蓋板を接合状態で保持する保持手段が設けられてなり、
下側蓋板と押出板との連結時においては、押出板側に設けられた昇降機構により下側蓋板を上方に持ち上げて前記出入口の下部から離脱させるようになされたことを特徴とするコンテナ。
【請求項2】
前記保持手段は、上側蓋板から下方に突出配置され下端部で下側蓋板を下方に押圧する押圧部材を備えてなることを特徴とする請求項1記載のコンテナ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−62795(P2006−62795A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−245350(P2004−245350)
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】