説明

コンテンツのコピー管理方法

【課題】 ハードディスクのような大容量記録媒体から容量の小さい移動体記録媒体に、コンテンツをムーブさせる際に、コンテンツを高画質から低画質に圧縮変換してしまう場合、再度ハードディスクへ該コンテンツをムーブさせると、元の高画質に戻すことができない。
【解決手段】 ハードディスクから移動体記録媒体にコンテンツをムーブさせる際に、該ハードディスクにて該コンテンツを消去せずに、利用不可能な状態にして残存させる一方、該移動体記録媒体にハードディスク内の該コンテンツを再度利用可能にするための鍵情報を記録することで、著作権の保護を確保するとともに、再度移動体記録媒体からハードディスクへコンテンツをムーブした場合に、元の高画質コンテンツに戻すことができるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルデータが記録されている媒体から他の媒体にそのデジタルデータをコピーするためのコンテンツのコピー管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、画像、音声及び映像データをデジタル的に記録する記録装置や記録媒体が普及してきている。このようなデジタルデータは元の画質や音質を維持したまま何度もコピーを繰り返すことができるので、コンテンツの著作権者や販売権者等の利益が侵害されるおそれがある。そのため、違法なコピーを防止するための様々な仕組みが導入されている。
【0003】
例えば、地上デジタル放送やBSデジタル放送では、放送されたコンテンツを一度のみ記録可能とするコピーワンス機能が導入されている。ここで、各種デジタル放送を受信して記録装置にコピーワンス制限付きコンテンツを記録した場合には、「ムーブ」と呼ぶ機能を用いて、そのコンテンツを他の記録装置に移動することができるようになっている。
【0004】
このように、従来のコンテンツのコピー管理方法では、コピーワンス制限付きコンテンツを一度のみ移動することを許可しているため、移動後のコンテンツを再び移動させることができず、そのコンテンツについては再生のみが可能となっている。
【0005】
また、別のコピー管理方法として、コンテンツと、コンテンツIDと、そのコンテンツに対して著作権者からユーザーに与えるコピー権利数とを、そのコピー権利数と同じ数の仮想コンテンツファイルとしてユーザーに配信し、ユーザーがコンテンツを移動元の媒体からコピー先の媒体にコピーする場合に、そのコンテンツIDとコピー先の媒体に記録されているコンテンツIDとを照合するようにしたものがある。
【0006】
具体的に、コンテンツIDが一致していない場合にはそのコンテンツをコンテンツID及びコピー権利数とともに移動し、コンテンツIDが一致する場合にはそのコンテンツを移動することなくコピー先の媒体のコンテンツのコピー権利数を増加させ、仮想コンテンツファイルを移動して移動元の媒体の仮想コンテンツファイルを消去するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−358242号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したムーブ機能を利用すると、移動元の記録装置に記録されていたコンテンツデータは消去されてしまうので、コピーワンス素材を記録媒体A(例えばHDD)から該記録媒体Aよりも容量の小さい記録媒体B(例えばSD)へ何らかの方法(例えば再エンコード圧縮やトランスエンコード圧縮)で圧縮して移動させた後に再び記録媒体Aに戻す場合、元のコンテンツデータに比べて画質が低下してしまうという問題がある。例えば、外出時に携帯機器でコンテンツを閲覧するために画質を落としてリムーバブルなメディアへムーブしてしまうと、二度と元の高画質でコンテンツを閲覧できないこととなり、ユーザーにとっては不利益となる。
【0008】
また、著作権付きコンテンツをコピーする際に、仮想コンテンツファイルとしてコピー権利数をリムーバブルな媒体に配信すると、仮想コンテンツファイルの情報を偽造されるおそれがあり著作権者にとっては不利益となる。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、記録した高画質コンテンツの再利用性を保ったままコンテンツの移動ができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るコンテンツのコピー管理方法では、移動元記録媒体に記録されているコンテンツを移動先記録媒体へコピーする際に、該コンテンツのコンテンツIDと、コピーコントロール情報と、前記移動先記録媒体のIDとを貸し出し一覧表として前記移動元記録媒体に記録するステップと、
前記コンテンツのコピーコントロール情報がコピーワンスの場合には、該コンテンツを前記移動元記録媒体から前記移動先記録媒体へコピーする際に、該移動元記録媒体に記録されているコンテンツを利用禁止状態にするとともに該移動先記録媒体の暗号鍵を用いて該コンテンツを暗号化するステップと、
前記移動先記録媒体にコピーされたコンテンツを前記移動元記録媒体へ返却する際に、該コンテンツのコンテンツIDと該移動先記録媒体のIDとを照合し、両者が一致する場合に該移動先記録媒体のコンテンツを利用禁止状態にするとともに該移動元記録媒体のコンテンツの利用禁止状態を解除するステップとを有することを特徴とする。
【0011】
従って、本発明によれば、画質劣化を伴うコンテンツのコピーの際に、画質一覧表を学習して表示しユーザーの画質を迷うことなく選択できるようにしている。また、コピーワンスコンテンツを記録媒体Aから記録媒体Bにムーブさせる場合に、記録媒体Bにムーブ後も記録媒体Aのデータは物理的には消去せず、記録媒体Aの利用権利を消去し、記録媒体Bへ利用権利を追加すると同時に、コンテンツの貸し出し情報を記録媒体Bへ記録するのではなく機器に記憶し、記録媒体Bのメディアキー及びコンテンツIDと一致しない限り記録媒体Aのコンテンツの利用を防止するようにして著作権者の権利を保護するようにした。
【発明の効果】
【0012】
本発明のコンテンツのコピー管理方法によれば、コンテンツの画質の劣化を管理するとともにコンテンツの貸し出し管理を行うことによりムーブバックを行うことができる。さらに、著作権者の権利を保護するとともにユーザーの利便性を損なわずにコピーワンスコンテンツを管理することができる。
【0013】
また、貸し出し中のコンテンツについては、単に機器でコンテンツを利用不可とするのではなく、アドレス情報を暗号化しているため、万が一機器から媒体を取り外されても解析されにくい仕組みになっており、コンテンツデータ全てを再暗号化するわけではないので、ユーザーの操作が中断することもない。
【0014】
さらに、画質一覧表を作成及び保存することにより、再圧縮を伴うコピー処理を行う際にユーザーが迷うことなく画質を選択することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0016】
本発明の実施形態におけるデジタル映像又は音声の記録機器では、コピーワンスコンテンツを媒体Aから媒体Bへムーブ記録する際に、媒体Aのコンテンツを削除するのではなく貸し出し(レンタル)する。すなわち、媒体Aのコンテンツの利用を禁止する一方、媒体Aのコンテンツ管理情報の対象コンテンツのアドレスを暗号化することにより、媒体Aのコンテンツは、媒体Bにレンタルしたコンテンツが媒体Aに返却(ムーブバック)されるまで、再生もムーブも不可能な状態に設定される。
【0017】
図1は、本発明の実施形態におけるコピー管理方法を示す説明図である。ここで、図1(a)は、コピーワンスコンテンツCTが媒体A(例えば、HDD)に記録されていることを示している。
【0018】
図1(b)は、図1(a)の状態から、媒体Aに記録されているコンテンツを媒体B(例えば、SD)に移動(以下、ムーブという)する場合を示している。この場合には、コンテンツが媒体Aから媒体Bに貸し出し(レンタル)されることにより、媒体Aには利用不可能なコンテンツデータが残る一方、媒体Bにはコンテンツが記録されることとなる。
【0019】
図1(c)は、図1(b)の状態から、媒体Bに記録されているコンテンツを媒体Aにムーブする場合を示している。この場合には、媒体Aに対してコンテンツデータをムーブすることなく媒体Aに残っていた利用不可能なコンテンツデータの利用禁止が解除される一方、媒体Bには利用不可能なコンテンツデータが残る。なお、コンテンツデータごと削除するようにしても構わない。
【0020】
図1(d)は、図1(c)の状態から、媒体Bに記録されているコンテンツを媒体C(例えば、HDD)にムーブする場合を示している。この場合には、媒体Bに記録されているコンテンツは利用不可能な状態となっているから、媒体Cへのコンテンツの移動が禁止され、著作権者の権利を保護することができる。
【0021】
図2は、コンテンツを又貸し可能にするためのコピー管理方法を示している。ここで、図2(a)は、コピーワンスコンテンツが媒体A(例えば、HDD)に記録されていることを示している。
【0022】
図2(b)は、図2(a)の状態から、媒体Aに記録されているコンテンツを媒体B(例えば、SD)にムーブする場合を示している。この場合には、コンテンツが媒体Aから媒体Bにレンタルされることにより、媒体Aには利用不可能なコンテンツデータが残る一方、媒体Bにはコンテンツが記録されることとなる。
【0023】
このとき、媒体Bにはコンテンツをコピーワンス属性でムーブする一方、媒体Aに残っている利用不可能としたコンテンツを保存する時間を設定する。この設定した時間内にコンテンツが返却されない場合には、そのコンテンツの削除を行うか、又はコンテンツとともに貸し出し管理データを暗号化して移動させる。
【0024】
図2(c)は、図2(b)の状態から、媒体Bにムーブしたコンテンツを媒体C(例えば、HDD)に対してさらにムーブする場合を示している。この場合には、媒体Bには利用不可能なコンテンツデータが残る一方、媒体Cにはコンテンツが記録される。
【0025】
ここで、コンテンツを配信可能な親となり得る媒体Cが媒体Bからコピーワンス属性のコンテンツを受け取る場合には、媒体Bに残っている利用不可能としたコンテンツを保存する時間を設定してムーブする。この設定した時間内にコンテンツが返却されない場合には、媒体Bのコンテンツを削除して著作権を保護する。あるいは、コンテンツとともに貸し出し管理データを暗号化して移動させる。
【0026】
図2(d)は、図2(c)の状態から、媒体Cに記録されているコンテンツを媒体Bにムーブする場合を示している。図2(c)の状態から媒体Bのコンテンツを削除することなく利用不可とした場合には、媒体Bに対してコンテンツデータをムーブすることなく媒体Bに残っていた利用不可能なコンテンツデータの利用禁止が解除される一方、媒体Cには利用不可能なコンテンツデータが残る。さらに、先ほど設定された時間経過後に、媒体Cのコンテンツの削除を行うか、又は媒体Cを内蔵する機器の貸し出し管理データを暗号化して移動させる。
【0027】
図2(e)は、図2(d)の状態から、媒体Bに記録されているコンテンツを媒体Aにムーブする場合を示している。この場合には、媒体Aに対してコンテンツデータをムーブすることなく媒体Aに残っていた利用不可能なコンテンツデータの利用禁止が解除される一方、媒体Bには利用不可能なコンテンツが残る。なお、コンテンツデータごと削除するようにしても構わない。
【0028】
上述した媒体A〜Cを搭載した機器又は媒体A〜C自身は、コンテンツをムーブする際には、互いにコンテンツの著作権をCPRMで定められている認証方式で認証する。
【0029】
ここで、コンテンツのムーブ時には、そのコンテンツIDとムーブ先の媒体に記載されているコンテンツのIDとを照合し、一致しない場合にはそのコンテンツのコンテンツID及びコピー属性をネバーコピーとして移動し、移動元のコンテンツは消去する。
【0030】
また、一致する場合には、又貸しを禁止するコピー管理方法(図1参照)においては、コピー属性をネバーコピーとして貸し出し管理情報を作成し、又貸しを許可するコピー管理方法(図2参照)においては、コピー属性をコピーワンスとして貸し出し管理情報に貸し出し期限を設定するか、又は貸し出し管理情報ごと媒体Bへ移動させるようにする。
【0031】
ここで、前記コンテンツの移動の際には、移動元のコンテンツの利用権限をなくし、移動先の媒体における暗号鍵でコンテンツを暗号化して移動させる。
【0032】
図3は、ユーザーがコンテンツを移動するときの形態を示す図である。図3において、DVR1(Digital Video Recorder)は、図示しないTV放送波を介して放送局から配信されるCGMS(コピー世代管理)情報が伴うコンテンツを受信して、HDD(又は記録型DVD)に記録することができる。
【0033】
前記CGMS情報がコピーワンス属性であるコンテンツは、DVR1内で暗号化されてからHDDに記録される。記録されたコンテンツは、DVR1を介して画質を変更してリムーバブルなメディアである記録型DVDやSDメモリカードにムーブすることができる。
【0034】
また、図3において、PDはSDメモリカード等のリムーバブルなメディアの差込口を備えた携帯電話機であり、リムーバブルなメディアにムーブされたコンテンツを再生することができるようになっている。
【0035】
本発明では、コンテンツを媒体Aから媒体Bへコピー及びムーブする際に画質のレベルを管理してユーザーの操作を補助している。図4は、図1のコピー管理方法によるユーザーの画質選択を補助するためのデータ構造を示す説明図であり、図3に示すDVR1が出荷時にあらかじめ設定されて保存している機器ごとの機器一覧表の例を示している。なお、機器一覧表は、機器認証、過去のユーザー入力履歴、又は過去の認証履歴に基づいて作成されたものであってもよい。
【0036】
前記機器一覧表は、機器製造メーカ名、機器名、再生可能な圧縮方式、再生可能な解像度、再生可能なビットレート、再生可能な可変か固定のビットレート割付種別、画質レベル等をデータとして含んでいる。
【0037】
図5は、図3に示すDVR1が保存しているコンテンツ及び機器ごとの画質一覧表の例を示している。この機器一覧データは、コンテンツ名、機器名、容量、再生可能な圧縮方式、再生可能な解像度、再生可能なビットレート、再生可能な可変か固定のビットレート割付種別、画質レベル等を含んでいる。
【0038】
図6〜図11は、放送波を記録した装置の媒体A(例えば、図3に示すDVR1内のHDD)から、装置(例えばDVR1)を介して媒体Bへコンテンツを移動させる処理を示している。
【0039】
図6は、コンテンツの移動処理を全体的に示すフローチャート図である。図6に示すように、ステップS600で、ユーザーが移動処理を実行する際に画質一覧表を作成するかのメッセージを表示する。次に、ステップS601で、ユーザーが画質一覧表を作成するかを判定する。ステップS601での判定が「NO」の場合には、ステップS607に分岐して、ステップS607で以前の画質一覧表を表示し、ステップS609に進む。
【0040】
ステップS601での判定が「YES」の場合には、ステップS602に分岐して、ステップS602で、例えばIEEE1394等で外部接続された機器が存在するかを検索する。
【0041】
ステップS603で、前記ステップS602で検索した機器名が機器の出荷時などあらかじめ保存されている画質一覧表に存在するかを検索する。次に、ステップS604で、画質一覧表に機器名が存在するかを判定する。
【0042】
ステップS604での判定が「YES」の場合には、ステップS606に分岐して、ステップS606で、接続機器認証によって画質一覧表を作成し、ステップS608に進む。
【0043】
ステップS604での判定が「NO」の場合には、ステップS605に分岐して、ステップS605で、ユーザー入力によって画質一覧表を作成し、ステップS608に進む
ステップS608で、更新された画質一覧表を表示する。そして、ステップS609で、コピー先媒体の容量を確認し、ステップS610でコピーを行う。
【0044】
図7は、図6に示すステップS605の詳細な処理を示すフローチャート図である。図7に示すように、ステップS700で、コピー元機器は圧縮可能な画質一覧表を表示してユーザーの入力をアシストする。ユーザーはステップS701〜S707でムーブしたコンテンツを閲覧する機器(機器2)の名前、利用可能な圧縮方式、解像度、平均ビットレート、ビットレートを固定(CBR)にするか可変(VBR)にするかのビットレート割付、ユーザーが評価した画質レベル等を入力する。
【0045】
ステップS708で、入力された情報を確定してもよいかどうかのメッセージを表示し、ステップS709で、入力された情報を確定するかを判定する。
【0046】
ステップS709での判定が「NO」の場合には、ステップS701に分岐して処理を繰り返す。ステップS709での判定が「YES」の場合には、ステップS710に分岐して、ステップS710で、ステップS701〜S707で入力された情報を画質一覧表に保存する。
【0047】
図8は、図6に示すステップS609におけるムーブ先の媒体の空き容量を確認する詳細な処理を示すフローチャート図である。図8に示すように、ステップS800で、ムーブを行うコンテンツの容量(Capa1)をコンテンツの平均ビットレート、解像度、時間から算出する。
【0048】
次に、ステップS801で、ムーブ先の媒体の空き容量(Capa2)を取得する。そして、ステップS802で、Capa2の容量の方がCapa2の容量よりも大きいかを判定する。
【0049】
ステップS802での判定が「YES」の場合には、ステップS806に分岐する。ステップS802での判定が「NO」の場合には、ステップS803に分岐して、ステップS803で再圧縮するか否かの表示を出力し、ステップS804で再圧縮するかを判定する。
【0050】
ステップS804での判定が「NO」の場合には、ステップS805に分岐して、ステップS805で、ムーブ先媒体にムーブできないというメッセージを表示してユーザーに注意を喚起し続ける。ステップS804での判定が「YES」の場合には、ステップS806に分岐して、ステップS806で画質選択ステップを行う。
【0051】
図9は、図8に示すステップS806におけるユーザーがムーブを行う際に画質を選択するステップの詳細な処理を示すフローチャート図である。図9に示すように、ステップS900で、ムーブ元のコンテンツの画質一覧表を表示する。
【0052】
次に、ステップS901で、ムーブ先のコンテンツを再生する機器(機器2)を選択し、ステップS902で、この機器2が利用可能な画質一覧表を表示する。そして、ステップS903〜S906で、ユーザーが画質パラメータを設定する。
【0053】
そして、ステップS907で、設定されたパラメータから再圧縮後の容量(Capa3)を算出し、ステップS908で、Capa3がムーブ先媒体の空き容量(Capa2)より小さいかを判定する。
【0054】
ステップS908での判定が「NO」の場合には、ステップS901に分岐して再度処理を繰り返す。ステップS908での判定が「YES」の場合には、ステップS909に分岐し、ステップS909で、設定されたパラメータが一致するような設定が画質一覧表にあればその画質レベルを表示し、一致しなければプレビューを行いユーザーが画質レベルを入力しその画質レベルを表示する。
【0055】
次に、ステップS910で、画質を決定するかどうかを判定する。ステップS910での判定が「NO」の場合には、ステップS901に分岐して再度処理を繰り返す。ステップS910での判定が「YES」の場合には、ステップS911に分岐して、ステップS911で、設定されたパラメータを履歴として画質一覧表に保存する。
【0056】
図10は、図6に示すステップS610におけるユーザーがムーブを行う際にコピー処理を行うステップの詳細な処理を示すフローチャート図である。ムーブ先の媒体Bが著作権保護技術(例えば、CPRM)に対応していない媒体へのコピーワンスコンテンツのコピー管理方法については後述するので、著作権保護に対応しているとして以下の説明を行う。
【0057】
図10に示すように、ステップS1000で、ムーブを行うコンテンツのアドレス管理情報を機器に保存する。次に、ステップS1001で、ムーブ元コンテンツを管理しているテーブルのムーブ対象コンテンツの利用を禁止するとともに、コンテンツのアドレス管理情報を暗号化する。このような暗号化は、例えば、図3に示すDVR1の機器固有の暗号鍵を用いて行うことができる。
【0058】
次に、ステップS1002で、ステップS1000で記憶した情報を元に、ムーブを行うコンテンツを媒体Bのメディア暗号鍵を用いて暗号化しながらコピーする。この段階で、ユーザーが故意に媒体Bを機器から強制的に取り出したとしても、コピー元のコンテンツは利用不可になっているとともにコンテンツのアドレスが暗号化されているため、機器を分解して他の機器で解読しようとしても容易には解読できなくなっている。
【0059】
ステップS1003で、ムーブ元の媒体のコンテンツを削除するかどうかのメッセージを表示する。そして、ステップS1004で、ムーブ元のコンテンツを削除するかを判定する。ステップS1004での判定が「YES」の場合には、ステップS1005に分岐して、ステップS1005で、ステップS1000で記憶したアドレスを元にコンテンツを削除し、アドレス管理情報を復号化して元に戻す。
【0060】
ステップS1004での判定が「NO」の場合には、ステップS1006に分岐して、ステップS1006で貸し出し一覧表を作成する。
【0061】
図11は、機器(例えば、図3に示すDVR1)の媒体A(例えば、HDD)からリムーバブルな媒体B(例えば、SD)に一度ムーブされたコンテンツを媒体Aにムーブバックする際の詳細な処理を示すフローチャート図である。
【0062】
図11に示すように、ステップS1100で、図10に示すステップS1006で作成した貸し出し一覧表とリムーバブルな媒体にムーブされたコンテンツのIDを認証する。この認証の結果、機器から過去にムーブされたコンテンツであれば、以後の処理を行う。
【0063】
ステップS1101で、媒体Bに記録された対象コンテンツのアドレス管理情報を機器に記憶する。次に、ステップS1102で、媒体Bのアドレス管理情報を例えば媒体Bの固有暗号鍵を用いて暗号化する。
【0064】
そして、ステップS1103で、図10に示すステップS1001で暗号化した媒体Aのアドレス管理情報を復号化する。この段階では、ユーザーが故意に媒体Bを機器から強制的に取り出したとしても、ムーブバック元のコンテンツは利用不可になっているとともにコンテンツのアドレス情報が暗号化されているため、媒体Bを他の機器で解読しようとしても容易には解読できなくなっている。
【0065】
次に、ステップS1104で、媒体Bに記憶されたコンテンツを削除するかどうかのメッセージを表示する。そして、ステップS1105で、このコンテンツを削除するかを判定する。ステップS1105での判定が「YES」の場合には、ステップS1106に分岐して、ステップS1106で媒体Bのコンテンツを削除し、媒体Bのアドレス情報を復号化する。
【0066】
ステップS1105での判定が「NO」の場合にはそのまま処理を終了するため、媒体Bのコンテンツの属性は利用不可のままとなる。
【0067】
図13は、本発明の実施形態における記録再生装置の構成を示すブロック図である。図13において、UI部(1302)からシステム制御部(1303)を介して録画コマンドを受け取ると、放送波の映像・音声入力信号(1300)は入力部(1304)でコンテンツの著作権を判別し、エンコーダ部(1305)で圧縮され、ストリームバッファ部(1306)のバッファに一度蓄積される。
【0068】
前記ストリームバッファ部(1306)に蓄積されたデータは、コンテンツの著作権に応じてコンテンツを暗号化し、一定容量ごとに例えばHDD等の内部記録媒体(1309)に記録される。
【0069】
前記システム制御部(1303)は、図12に示すような貸し出し管理表を作成し、コンテンツはタイトルごとに装置内の書き換え可能な記憶領域に保存される。
【0070】
そして、前記UI部(1302)からシステム制御部(1303)を介して再生コマンドを受け取ると、コンテンツは内部記録媒体(1309)から読み出されストリームバッファ部(1306)のバッファに一度蓄積される。
【0071】
前記ストリームバッファ部(1306)に蓄積されたデータは著作権に応じてコンテンツを復号化し、一定容量ごとにデコーダ部(1307)で伸張され、出力部(1308)でコンテンツの著作権に応じて著作権情報を設定し、映像・音声出力信号(1301)として外部に出力される。
【0072】
ここで、外部機器の画質情報を取得する際には、IEEE1394部(1312)を介して図示しない外部機器のIEEE1394部から外部機器の情報(例えば、機器名)をIEEE1394データ(1313)として取得し、内部記録媒体(1309)に保存されている例えば図4に示すような機器一覧表とシステム制御部(1303)で照合し、例えば図5に示すような画質一覧表を作成する。
【0073】
コピーを行う際には、図12に示すような貸し出し管理表を作成し、内部記録媒体(1309)のコンテンツをストリームバッファ部(1306)で再暗号化し外部記録媒体(1310)へ記録する。録画予約やコンテンツの保存期間はタイマー部(1311)によって管理する。
【0074】
ここで、再圧縮は、再生を行うことで出力部(1308)から出力される映像・音声出力信号(1301)を映像・音声入力信号(1300)として再エンコード録画を行う。なお、システム制御部(1303)を用いてトランスエンコード圧縮を行ってもよい。
【0075】
次に、前記コンテンツのコピー管理方法を有する記録再生装置でタイマー予約記録を行う場合について説明すると、まず、ユーザーは録画予約の際に録画開始時間と録画画質を設定する。ここで、タイマー録画予約が行われると、記録媒体の空き容量と、予約された番組を記録するのに必要な容量を算出し、空き容量の方が大きければ予約を受け付ける。
【0076】
空き容量の方が小さい場合には、貸し出し管理情報を参照し、貸し出し中のコンテンツが存在する場合にはその容量を空き容量に加算し、記録に必要な容量と比較する。ここで、貸し出し中のコンテンツを削除すれば記録容量が足りる場合には、貸し出し中のコンテンツを返却するようにユーザーに注意を促す。
【0077】
図14は、コンテンツの暗号化の方法の一例を示す説明図である。通常、コンテンツを暗号化する際には、コンテンツを記録する媒体Bのメディア鍵とIDとを用いて暗号鍵を生成するが、ここではコンテンツを記録する媒体Bではなく他の媒体Aのメディア鍵とIDとを用いて暗号鍵を生成する。このようにして暗号化を行ったコンテンツは、2つのメディアが同時に機器に存在しない限り利用することができなくなる。
【0078】
また、媒体Aとセットでなければ媒体Bのコンテンツを復号化することができないので、媒体Bのデータはデータコピーして媒体Cへバックアップすることができ、利用可能な組み合わせは唯一つとなるので、著作権者の権利を保護しつつ、ユーザーの私的な複製の権利を保証することができる。
【0079】
さらには、媒体B(例えば、DVD−R)が暗号鍵を持たない場合にも、媒体Aの暗号鍵を用いてコンテンツを暗号化することができる。
【0080】
以上のように、本発明の実施形態におけるコンテンツのコピー管理方法によれば、著作権者の権利を保護するとともにユーザーの利便性を損なわずにコピーワンスコンテンツを管理することができる。
【0081】
また、貸し出し中のコンテンツについては、単に機器でコンテンツを利用不可とするのではなく、アドレス情報を暗号化しているため、万が一機器から媒体を取り外されても解析されにくい仕組みになっており、コンテンツデータ全てを再暗号化するわけではないので、ユーザーの操作が中断することもない。
【0082】
さらに、画質一覧表を作成及び保存することにより、再圧縮を伴うコピー処理を行う際にユーザーが迷うことなく画質を選択することができる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明のコンテンツのコピー管理方法は、デジタルコンテンツのコピー管理において、高画質で記録されたコピーワンス属性のコンテンツを容量の小さいリムーバブルな媒体へ低画質でムーブ記録した場合にも、元の高画質で記録したコンテンツを削除せず利用禁止とし、さらにはコンテンツの貸し出し管理を行うことでムーブバックを可能としているため、デジタルコンテンツを記録再生する装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の実施形態に係るコピー管理方法を示す説明図である。
【図2】コンテンツを又貸し可能にするためのコピー管理方法を示す説明図である。
【図3】図1及び図2のコピー管理方法によるコピー形態を示す説明図である。
【図4】図1及び図2のコピー管理方法による機器の再生可能な画質一覧を管理する画質一覧表のデータ構造を示す説明図である。
【図5】図1及び図2のコピー管理方法による画質一覧を管理する画質一覧表のデータ構造を示す説明図である。
【図6】本発明に係るコピー管理方法によるコピー処理を説明するためのフローチャート図である。
【図7】本発明に係るコピー管理方法によるコピー処理を説明するためのフローチャート図である。
【図8】本発明に係るコピー管理方法によるコピー処理を説明するためのフローチャート図である。
【図9】本発明に係るコピー管理方法によるコピー処理を説明するためのフローチャート図である。
【図10】本発明に係るコピー管理方法によるコピー処理を説明するためのフローチャート図である。
【図11】本発明に係るコピー管理方法によるコピー処理を説明するためのフローチャート図である。
【図12】本発明に係るコピー管理方法による貸し出し履歴とコンテンツを管理する貸し出し管理表のデータ構造を示す説明図である。
【図13】本発明に係る記録再生装置を示すブロック図である。
【図14】本発明に係るコンテンツの暗号化の方法を示す説明図である。
【符号の説明】
【0085】
CT コンテンツデータ
RM リムーバブルメディア
PD 再生装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動元記録媒体に記録されているコンテンツを移動先記録媒体へコピーする際に、該コンテンツのコンテンツIDと、コピーコントロール情報と、前記移動先記録媒体のIDとを貸し出し一覧表として前記移動元記録媒体に記録するステップと、
前記コンテンツのコピーコントロール情報がコピーワンスの場合には、該コンテンツを前記移動元記録媒体から前記移動先記録媒体へコピーする際に、該移動元記録媒体に記録されているコンテンツを利用禁止状態にするとともに該移動先記録媒体の暗号鍵を用いて該コンテンツを暗号化するステップと、
前記移動先記録媒体にコピーされたコンテンツを前記移動元記録媒体へ返却する際に、該コンテンツのコンテンツIDと該移動先記録媒体のIDとを照合し、両者が一致する場合に該移動先記録媒体のコンテンツを利用禁止状態にするとともに該移動元記録媒体のコンテンツの利用禁止状態を解除するステップとを有することを特徴とするコンテンツのコピー管理方法。
【請求項2】
請求項1に記載されたコンテンツのコピー管理方法において、
前記コンテンツの利用を禁止する際に、前記移動元記録媒体のコンテンツ管理情報のコンテンツを指し示すアドレス情報を記憶するステップと、
前記アドレス情報を前記移動先記録媒体の暗号鍵を用いて暗号化するステップと、
前記アドレス情報を参照してコピーを行うステップとをさらに有することを特徴とするコンテンツのコピー管理方法。
【請求項3】
請求項2に記載されたコンテンツのコピー管理方法において、
前記コンテンツの利用禁止状態を解除する際に、前記移動先記録媒体に記録されたコンテンツIDと該移動先記録媒体のIDとを前記貸し出し一覧表の情報と照合し、これらの情報が一致した場合に該移動先記録媒体のコンテンツを該移動先記録媒体のIDを用いて暗号化するステップと、
前記暗号化されたアドレス情報を復号化するステップとをさらに有することを特徴とするコンテンツのコピー管理方法。
【請求項4】
請求項1に記載されたコンテンツのコピー管理方法において、
前記移動元記録媒体に記録されているコンテンツを前記移動先記録媒体へコピーする際に、該コンテンツの容量と平均ビットレートとを算出するステップと、
前記コンテンツの容量と平均ビットレートとを表示するステップと、
前記移動先記録媒体の空き容量を算出するステップと、
前記移動先記録媒体にコピーする際のコンテンツの圧縮方式を選択するステップと、
前記移動先記録媒体にコピーする際のコンテンツのビットレートを選択するステップと、
前記選択された圧縮方式とビットレートとに基づいて、前記移動元記録媒体のコンテンツを再圧縮するステップとをさらに有することを特徴とするコンテンツのコピー管理方法。
【請求項5】
請求項1に記載されたコンテンツのコピー管理方法において、
前記移動元記録媒体に記録されたコンテンツを前記移動先記録媒体にコピーする際に、貸し出し制限時間を設定するステップと、
前記貸し出し時間内に前記コンテンツが前記移動元記録媒体に返却されない場合には、該移動元記録媒体に記録されている利用禁止状態のコンテンツを削除するステップとをさらに有することを特徴とするコンテンツのコピー管理方法。
【請求項6】
請求項1に記載されたコンテンツのコピー管理方法において、
前記移動元記録媒体に記録されているコンテンツを前記移動先記録媒体にコピーする際に、前記コンテンツとともに貸し出し一覧表を暗号化してコピーするステップをさらに有することを特徴とするコンテンツのコピー管理方法。
【請求項7】
請求項1に記載されたコンテンツのコピー管理方法において、
前記移動元記録媒体のコンテンツを再圧縮する際に、予め画質の優劣を設定した圧縮方式とビットレートとの相関表を元に、前記移動元記録媒体のコンテンツ容量と、平均ビットレートと、前記移動先記録媒体の空き容量とから最適な圧縮方式及びビットレートを選択するステップと、
前記選択した圧縮方式及びビットレートに基づいて前記コンテンツを再圧縮するステップとをさらに有することを特徴とするコンテンツのコピー管理方法。
【請求項8】
請求項1に記載されたコンテンツのコピー管理方法において、
前記移動元記録媒体のコンテンツを再圧縮する際に、ユーザーが保有する他の記録再生装置の名前を画質一覧表に入力するステップと、
前記ユーザーが選択した圧縮方式及びビットレートの履歴を管理テーブルに保存するステップと、
前記管理テーブルに保存された履歴を前記ユーザーが使用している他の記録再生装置ごとに整理するステップと、
前記整理された情報を管理するテーブルを作成するステップとをさらに有することを特徴とするコンテンツのコピー管理方法。
【請求項9】
請求項1に記載されたコンテンツのコピー管理方法において、
前記移動元記録媒体のコンテンツが格納されている記録再生装置と、機器認証が可能なケーブルで接続された他の記録再生装置の名前と、再生可能な圧縮方式と、ビットレートとを取得するステップと、
前記取得した圧縮方式とビットレートとを管理する画質一覧表を作成するステップとをさらに有することを特徴とするコンテンツのコピー管理方法。
【請求項10】
請求項1に記載されたコンテンツのコピー管理方法において、
前記移動元記録媒体に記録されているコピーワンス属性のコンテンツを前記移動先記録媒体へコピーする際に、前記移動元及び移動先記録媒体と異なる記録媒体の暗号鍵を用いて前記コンテンツを暗号化するステップと、
前記移動先記録媒体のコンテンツを前記移動元及び移動先記録媒体と異なる記録媒体のIDを用いて復号化するステップとをさらに有することを特徴とするコンテンツのコピー管理方法。
【請求項11】
請求項1に記載されたコンテンツのコピー管理方法において、
前記コンテンツの予約録画を行う際に、該コンテンツを記録する記録媒体の空き容量を算出するステップと、
前記コンテンツを記録するのに必要な容量を算出するステップと、
前記貸し出し一覧表に存在するコンテンツの容量を照合するステップと、
前記貸し出し一覧表に存在するコンテンツを削除する必要がある場合に、前記ユーザーに返却の要請依頼を表示するステップとを有することを特徴とするコンテンツのコピー管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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