説明

コンテンツ再生システムおよびシンク装置

【課題】コンテンツデータを暗号化して送信するソース装置と、前記コンテンツデータを復号化して再生するシンク装置が接続されたシステムにおいて、コンテンツデータの暗号鍵が切り替わる時に前記暗号鍵と復号鍵の不整合が発生して、復号に失敗したコンテンツデータの再生を防ぐことを目的とするものである。
【解決手段】暗号化コンテンツ再生システム40は、コンテンツデータを暗号化して送信するソース装置10と受信した暗号化コンテンツデータを復号化して再生するシンク装置20とを有し、前記ソース装置10は前記シンク装置20におけるコンテンツデータの再生についてのミュート処理を指示するためのミュート指示信号生成部を有し、前記シンク装置20は前記ソース装置10から前記ミュート指示信号を受信して、コンテンツデータの再生についてミュート処理を実行するためのミュート指示信号検出部からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソース装置からシンク装置に対して暗号化コンテンツデータを伝送して、シンク装置にて再生するシステムにおいて、特に、コンテンツデータの再生制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ソース装置からシンク装置に伝送されるデジタルのコンテンツデータについて、著作権の保護された状態で伝送するための技術としてDTCP(Digital Transmission Content Protection)がある(例えば、非特許文献1を参照)。
【0003】
ソース装置において、コンテンツデータに対してDTCPによる暗号化を行うためには、暗号鍵を生成して保有する必要がある。又、シンク装置において、暗号化されたコンテンツデータ(暗号化コンテンツデータ)に対して復号化を行うために、前記暗号鍵に対応した復号鍵を生成して保有する必要がある。
【0004】
前記暗号鍵又は前記復号鍵を生成するためのパラメータとして、コンテンツデータにおけるヘッダ情報の一部であるCCI(Copy Control Infomation:コピー制御情報)及び交換鍵(Exchange Key)及び前記暗号鍵と前記復号鍵を生成するための基となる値であるNonce Valueが必要である。いずれのパラメータが変更された場合においても暗号鍵及び復号鍵の値は変更される。
【0005】
コンテンツデータにおけるヘッダ情報の一部であるCCIに関しては、ソース装置及びシンク装置において伝送されるコンテンツデータから取得される。交換鍵に関しては、ソース装置及びシンク装置の間でDTCPの規格で定められたシーケンス処理を実行した後で共有される。Nonce Valueに関しては、定期的にソース装置からシンク装置に対して送信することによって、ソース装置及びシンク装置において共有される。
【0006】
以上のパラメータをソース装置及びシンク装置において共有された後に、暗号鍵をソース装置にて生成して、復号鍵をシンク装置にて生成することによって、ソース装置からシンク装置に対して暗号化コンテンツデータの伝送が行われる。
【0007】
暗号化コンテンツデータの伝送中に上記3つのパラメータいずれかが変更された場合には、再び前記パラメータに対応した暗号鍵をソース装置にて生成して、復号鍵をシンク装置にて生成する必要がある。
【0008】
ソース装置から暗号化コンテンツデータを送信している時に、前記コンテンツデータの変更に伴い、シンク装置における処理を変更する必要が生じた場合(例えば、CCIの変更に伴い暗号鍵及び復号鍵を変更する必要が生じた場合、又は非暗号化コンテンツデータの伝送が開始された場合)において、暗号化コンテンツデータを一定量だけ連続して受信したことを条件として、シンク装置における処理方法を変更するものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−271316号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Digital Transmission Content Protection Specification Volume1 (Infomational Version)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、暗号化コンテンツデータを受信するシンク装置において、シンク装置における処理を変更する必要のあるコンテンツデータを一定量だけ連続して受信してから、シンク装置における処理を変更する方法(例えば、復号鍵を再設定する、コンテンツデータの再生を停止する等)を適用した場合に、暗号化コンテンツデータとシンク装置の保有する復号鍵との間で不整合が生じる期間が発生してしまう。
【0012】
この場合、その期間にシンク装置において暗号化コンテンツデータの復号に失敗して、乱れたコンテンツデータが再生されて、視聴者に不快感を与えてしまうという課題を有している。
【0013】
本発明は、以上の問題を解決するためになされたもので、コンテンツデータのCCIが変更される前後の区間において、復号に失敗したコンテンツデータの再生に対してミュートを実施することのできる再生システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために本発明は、コンテンツデータを暗号化して送信するソース装置と、前記ソース装置に接続された伝送路を経由して前記ソース装置から送信されたコンテンツデータを受信し、受信したコンテンツデータを復号化して表示するシンク装置とを備え、前記シンク装置は、前記ソース装置がコンテンツデータを送信する前に、前記シンク装置の処理性能に依存した装置固有の時間を示す時間情報を前記ソース装置へ通知し、前記ソース装置は、前記シンク装置から通知された時間情報に基づいて決定された時刻にミュートを開始させるための信号を前記シンク装置に送信することを特徴とする構成を採る。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、コンテンツデータのCCIが変更される前後の区間において、前記シンク装置における再生(表示)に対してミュートを実行することで、復号に失敗したコンテンツデータの再生を防ぐという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態1における暗号化コンテンツデータ再生システムのブロック図
【図2】暗号化コンテンツ再生システムにおいて伝送されるコンテンツデータを説明するための図
【図3】暗号化コンテンツデータ再生システムにおける信号のタイミングを示した図
【図4】本発明の実施の形態1におけるソース装置の動作説明のためのフローチャート
【図5】本発明の実施の形態1におけるシンク装置の動作説明のためのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1における暗号化コンテンツデータ再生システムについて図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1は本発明の実施の形態1における暗号化コンテンツ再生システムのブロック図である。本発明の実施形態1の暗号化コンテンツ再生システム40は、ソース装置10及びシンク装置20及び伝送路30から構成される。ソース装置10とシンク装置20は伝送路30で接続されており、伝送路30を経由してソース装置10からシンク装置20に対してコンテンツデータが送信される。
【0019】
ソース装置10は、内部にコンテンツデータを保有しており、前記コンテンツデータを暗号化して、シンク装置20に送信する。更に前記コンテンツデータの送信中にCCIが変更される場合においては、変更される前のタイミングにて「ミュート開始指示」を意図する信号をシンク装置20に対して送信して、変更される後のタイミングにて「ミュート解除指示」を意図する信号をシンク装置20に対して送信する。
【0020】
このような処理を行うことによって、コンテンツデータのCCIが変更される前後の期間での、シンク装置20における再生に対するミュート処理を行うことができる。
【0021】
ソース装置10が「ミュート開始指示」及び「ミュート解除指示」をシンク装置20に送信するタイミングは、シンク装置20から通知される時間情報を基に決定される。
【0022】
シンク装置20は、前記ソース装置10から前記コンテンツデータを受信して、そのコンテンツデータに対して復号化を施し、再生する機能を有する。
【0023】
更に、ソース装置10から「ミュート開始指示」を受信した時に、受信しているコンテンツデータの再生に対してミュートを開始して視聴できないようにする機能を有する。
【0024】
ここで、ミュートとは、シンク装置20がソース装置10からコンテンツデータを受信しているにも関わらず、シンク装置20における表示を意図的に行わないことである。
【0025】
例えば、コンテンツデータが音声データである場合は無音にすることであり、コンテンツデータが映像データである場合は黒色の画面だけを表示することである。
【0026】
又、ソース装置10から「ミュート解除指示」を受信した場合においては、受信しているコンテンツデータの再生に対してミュートを解除して視聴できるようにする。
【0027】
コンテンツデータの受信中にCCIが変更された時には、変更後のCCIに対応した復号鍵を設定して復号化を開始する。シンク装置20が、CCIの変更を検出してから復号鍵を設定して復号化を開始するまでの期間においては、前記「ミュート開始指示」及び「ミュート解除指示」に従ったミュート処理を行い、コンテンツデータの再生を防ぐことによって、復号化失敗により乱れたコンテンツデータが視聴されることを防ぐことができる。
【0028】
ソース装置10は例えば、CDプレーヤ装置、DVDプレーヤ装置、BDプレーヤ装置、TVチューナなどであり、シンク装置20は例えば、テレビ、ディスプレイ、表示画面を持つナビゲーション装置などである。
【0029】
ソース装置10からシンク装置20に対して送信される「ミュート開始指示」及び「ミュート解除指示」は、コンテンツデータとは別のメッセージデータとして送信されることも、コンテンツデータ内の一部の領域に埋め込む形式で送信されることも許容される。
【0030】
以下に、本発明の実施の形態1の暗号化コンテンツ再生システム40を構成する各装置それぞれの内部構成について詳細を説明する。
【0031】
ソース装置10は、ソース装置制御部11と、コンテンツデータ格納部12と、コンテンツデータ暗号部13と、コンテンツ暗号鍵格納部14と、通信部15と、ミュート指示信号生成部16とを含んで構成される。
【0032】
ソース装置制御部11は、コンテンツデータ格納部12とコンテンツデータ暗号部13とコンテンツ暗号鍵格納部14と通信部15とミュート指示信号生成部16とに接続されており、それぞれとの間で通信を行う。
【0033】
ソース装置制御部11は、コンテンツデータ格納部12に格納されたコンテンツデータをコンテンツデータ暗号部13に送信して、コンテンツ暗号鍵格納部14に格納された鍵情報を利用して、コンテンツデータ暗号部13においてコンテンツデータに対して暗号化を施した上で、通信部15を経由してシンク装置20に暗号化コンテンツデータを送信するための制御を行う。
【0034】
更に、コンテンツデータのCCIが変更される一定期間前のタイミングにおいて「ミュート開始指示」をシンク装置20に送信するための制御を行う。更に、コンテンツデータのCCIが変更される一定期間後のタイミングにおいて「ミュート解除指示」をシンク装置に送信するための制御を行う。
【0035】
ソース装置制御部11は、例えばCPUであり、ROM及びRAMを含む。CPUは、ROMに格納されたコンピュータプログラムを、RAMを作業領域として使いながら実行する。
【0036】
本実施の形態においてソース装置制御部11のROMに格納されたプログラムとは、図4を用いて詳細後述するフロー処理をソース制御装置のCPUに実行させるためのプログラムである。
【0037】
コンテンツデータ格納部12は、シンク装置20に送信するためのコンテンツデータを格納しており、ソース装置制御部11からの制御によってコンテンツデータ暗号部13にコンテンツデータを送信する。
【0038】
ここで格納されるコンテンツデータは例えば、音声データ又は映像データ又は両方を含むデータである。コンテンツデータ格納部は例えば、HDD、CDディスクの挿入されたCDドライブ、DVDディスクの挿入されたDVDドライブ、BDディスクの挿入されたBDドライブなどの記憶媒体を有する処理部分である。
【0039】
コンテンツデータ暗号部13は、コンテンツデータ格納部12からコンテンツデータを受信して、暗号化を施した上で通信部15に送信する。コンテンツデータに対して暗号化を施す際には、コンテンツ暗号鍵格納部14から取得した鍵情報を利用する。
【0040】
更に、ミュート指示信号生成部16からの制御に応じて、シンク装置20においてのコンテンツデータの再生に対するミュートを開始又は解除するための信号である「ミュート開始指示」又は「ミュート解除指示」をシンク装置20に送信する機能を有している。
【0041】
コンテンツ暗号鍵格納部14は、コンテンツデータ暗号部13において、コンテンツデータに対して暗号化を施すための鍵情報を格納している。コンテンツ暗号鍵格納部14は例えば、RAMなどの書き換え可能な記憶媒体を有する処理部分である。
【0042】
通信部15は、コンテンツデータ暗号部13から受信した暗号化コンテンツデータを、
伝送路30を経由してシンク装置20に送信するための機能を有する。
【0043】
ミュート指示信号生成部16は、シンク装置20におけるコンテンツデータの再生について、ミュートを開始するための指示信号である「ミュート開始指示」及びミュートを解除するための指示信号である「ミュート解除指示」をシンク装置20に送信するための制御を行う機能を有する。
【0044】
「ミュート開始指示」及び「ミュート解除指示」をシンク装置20に送信するタイミングは、コンテンツデータの伝送前に予めシンク装置20から通知される時間情報を基に決定される。
【0045】
前記時間情報とは、シンク装置20が「ミュート開始指示」及び「ミュート解除指示」を受信してから、所定の処理を実行するまでの時間である。
【0046】
シンク装置20は、シンク装置制御部21と通信部22とコンテンツデータ復号部23とコンテンツ復号鍵格納部24とコンテンツデータ表示部25とミュート指示信号検出部26を含んで構成される。
【0047】
シンク装置制御部21は、通信部22とコンテンツデータ復号部23とコンテンツ復号鍵格納部24とコンテンツデータ表示部25とミュート指示信号検出部26とに接続されており、それぞれとの間で通信を行う。
【0048】
シンク装置制御部21は、ソース装置10から通信部22を経由して暗号化コンテンツデータを受信して、コンテンツ復号鍵格納部24に格納された復号化のための鍵情報を利用してコンテンツデータ復号部23において復号化を施し、復号化されたコンテンツデータをコンテンツデータ表示部25で再生するための制御を行う。
【0049】
また、ミュート指示信号検出部26において、ソース装置10から「ミュート開始指示」又は「ミュート解除指示」を受信した時には、コンテンツデータ表示部25においてのコンテンツデータの再生に対してミュートを開始又は解除を行うための制御を行う。
【0050】
シンク装置制御部21は、例えばCPUであり、ROM及びRAMを含む。CPUは、ROMに格納されたコンピュータプログラムを、RAMを作業領域として使いながら実行する。
【0051】
本実施の形態においてシンク装置制御部21のROMに格納されたプログラムとは、図5を用いて詳細後述するフロー処理をソース制御装置のCPUに実行させるためのプログラムである。
【0052】
通信部22は、コンテンツデータをソース装置10から受信して、コンテンツデータ復号部23に送信するための機能を有する。
【0053】
コンテンツデータ復号部23は、通信部22から暗号化コンテンツデータを受信して、コンテンツ復号鍵格納部24から取得した鍵情報を利用して、暗号化コンテンツデータに対して復号化を行い、コンテンツデータ表示部25に送信する機能を有する。
【0054】
コンテンツ復号鍵格納部24は、コンテンツデータ復号部23において、暗号化コンテンツデータに対して復号化を施すための鍵情報を格納している。
【0055】
コンテンツ復号鍵格納部24は例えば、RAMなどの書き換え可能な記憶媒体を有する
処理部分である。
【0056】
コンテンツデータ表示部25は、コンテンツデータ復号部23からコンテンツデータを受信して、再生する。ミュート指示信号検出部26にて、「ミュート開始信号」又は「ミュート解除信号」が検出された時においては、コンテンツデータの再生についてミュートを開始又は解除する。
【0057】
ミュート指示信号検出部26は、ソース装置10から「ミュート開始指示」又は「ミュート解除指示」を受信した時に、コンテンツデータ表示部25におけるコンテンツデータの再生についてミュートを開始又は解除するための制御を行う。
【0058】
図2は、暗号化コンテンツ再生システム40において、ソース装置10からシンク装置20に伝送される暗号化コンテンツデータを示した図である。
【0059】
暗号化コンテンツデータは、Header410と、Infomation Block420と、Content Data430から構成される。Header410は、コンテンツデータに対して暗号化を施すための各パラメータ及び制御情報が格納されており、暗号化されない状態で伝送される。
【0060】
Infomation Block420は、コンテンツデータの属性情報(音声データか映像データかを区別するための情報など)が格納されており、暗号化された状態で伝送される。Content Data430は、音声データ又は映像データなどのコンテンツデータである。
【0061】
以上で説明される暗号化コンテンツデータにおいて、前記「ミュート開始指示」又は前記「ミュート解除指示」は、Header410の予約領域、又はInfomation
Block420の予約領域、又はHeader410以外で且つInfomation Bllock420以外の新規で拡張された領域において埋め込まれていることも許容される。
【0062】
その場合、前記「ミュート開始指示」及び前記「ミュート解除指示」の実体は、前記コンテンツデータに埋め込まれたメッセージであることもフラグであることも許容される。また、「ミュート開始指示」又は前記「ミュート解除指示」は、図2で示される暗号化コンテンツデータとは異なるメッセージデータであることも許容される。
【0063】
図3は、暗号化コンテンツ再生システム40においてコンテンツデータを伝送する時におけるソース装置の処理の制御タイミングを示した図である。特に、コンテンツデータにおけるCCIが変更される時における処理のタイミングについて示す。
【0064】
時刻T100は、ソース装置10においてコンテンツデータの送信を開始する時間である。時刻T100から時刻T110までの期間において、ソース装置10はシンク装置20に対して、特別な処理を施すことなくコンテンツデータを送信する。
【0065】
時刻T110のタイミングにおいて、ソース装置10は「ミュート開始指示」をシンク装置20に送信する。「ミュート開始指示」とは、シンク装置20におけるコンテンツデータの再生に対してのミュートを指示するための信号である。
【0066】
シンク装置20は、「ミュート開始指示」を受信すると、受信しているコンテンツデータの再生についてミュート処理を実施する。
【0067】
時刻T120のタイミングにおいて、ソース装置10の送信するコンテンツデータのCCIが変更される。
【0068】
ソース装置10が送信するコンテンツデータを、シンク装置20が受信している状態において、時刻T110から時刻T120の間に、シンク装置20は「ミュート開始指示」を検出して、コンテンツデータの再生に対してミュートを実施する。
【0069】
ソース装置10が「ミュート開始指示」を送信する時刻を決定するために、シンク装置20が起動してからコンテンツデータの送信を開始する前に、シンク装置20は、「ミュート開始指示」を検出してからコンテンツデータの再生についてミュートを実施するまでの時間(図2における時刻T120と時刻T110の差分の時間)をソース装置10に通知する。
【0070】
図2における時刻T120と時刻T110の差分の時間は、シンク装置20の処理性能に依存する装置固有の時間である。
【0071】
ソース装置10の起動直後において、前記差分時間についての情報をソース装置10が保有していないため、ソース装置10がコンテンツデータを送信する前に、シンク装置20からソース装置10に前記差分時間を通知する必要がある。
【0072】
ソース装置10は前記差分時間を基に、CCIが変更されるタイミングから前記差分時間だけ前のタイミングにおいて、コンテンツデータに対して「ミュート開始指示」をシンク装置20に送信する。
【0073】
時刻T130のタイミングにおいて、ソース装置10は「ミュート解除指示」をシンク装置20に送信する。
【0074】
時刻T130は、シンク装置20から通知される時間情報を基に決定される。前記時間情報とは、シンク装置20がCCI変更後のコンテンツデータを受信してからコンテンツデータに対するミュート解除をするまでの期間を表す情報である。
【0075】
この時間情報は、シンク装置20の処理性能に依存する装置固有の時間であり、ソース装置10の起動直後において、ソース装置10は前記時間の情報を保有していないため、シンク装置20が起動した時にソース装置10に通知される。
【0076】
時刻T130から時刻T140までの期間において、シンク装置20はソース装置10から受信したコンテンツデータを特別な処理を施すことなく再生する。
【0077】
以上で説明されるように、コンテンツデータのCCIが変更される時刻に関する情報をシンク装置20が保有していない場合においても、ソース装置10はCCIの変更される一定時間前の適切な時刻において「ミュート開始指示」をシンク装置20に送信して、シンク装置20はソース装置10が送信した「ミュート開始指示」を受信して、ミュートを開始することによって、シンク装置20はコンテンツデータのCCIが切り替わる時刻においてコンテンツデータの再生を防ぐことが可能になる。
【0078】
以上のように構成された暗号化コンテンツ再生システム40について、以下にその処理動作を説明する。
【0079】
図4は本発明の実施の形態1におけるソース装置10の処理動作を示したフローチャート図である。以下に暗号化コンテンツ再生システム40を起動した時の、ソース装置10
の動作を示す。
【0080】
暗号化コンテンツ再生システム40を起動すると、ソース装置10が起動して、動作を開始する(ステップS200)。
【0081】
次にシンク装置20が起動している時は、前記シンク装置20からミュート制御を行うタイミングを示した情報を受信する(ステップS201)。
ミュート制御を行うタイミングを示した情報とは、シンク装置20が「ミュート開始指示」を受信してからコンテンツデータに対してミュートを開始する期間(図3における時刻T110〜時刻T120までの期間)、及びシンク装置20がCCIの変更後のコンテンツデータを受信して、変更後のCCIに対応した復号鍵を設定して、コンテンツデータに対するミュート処理を解除するまでの期間(図3における時刻T120〜時刻T130までの期間)である。
【0082】
以上の情報を基に、ソース装置10は「ミュート開始指示」及び「ミュート解除指示」をシンク装置20に送信するタイミングを決定する。
【0083】
次にソース装置10はシンク装置20に対して、暗号化コンテンツデータの送信を開始する(ステップS202)。
【0084】
この時、ソース装置10はコンテンツデータを暗号化してシンク装置20に送信する。すると、時刻T110に到達したか否かが判断される(ステップS203)。
【0085】
次にソース装置10は、コンテンツデータのCCIが変更される時刻から、シンク装置20から通知された「時刻T110〜時刻T120までの期間」だけ差し引いた時刻に到達した時において(ステップS203におけるYes)、ソース装置10は「ミュート開始指示」をシンク装置20に送信する(ステップS204)。
【0086】
「ミュート開始指示」を受信したシンク装置20は、コンテンツデータの再生に対してミュート処理を行う。
【0087】
ソース装置10は、時刻T110に到達しない場合において(ステップS203におけるNo)、シンク装置20に対する暗号化コンテンツデータの送信を継続する(ステップS202)。
【0088】
ソース装置10の送信するコンテンツデータのCCIが変更されると(ステップS205)、変更後のCCIに対応した暗号鍵を設定して、前記暗号鍵を利用してコンテンツデータに対して暗号化を施した上でシンク装置20に送信する(ステップS206)。
【0089】
コンテンツデータのCCIが変更された時は、ソース装置10の保有する暗号鍵(この鍵情報は変更後のCCIに対応している)と、シンク装置20の保有する復号鍵(この鍵情報は変更前のCCIに対応している)の間に不整合が起きてしまい、シンク装置20におけるコンテンツデータの復号化に失敗する可能性がある。
【0090】
しかしながら、CCIの変更に先立ってソース装置10がシンク装置20に対して、ミュート制御を行うことによって、復号化に失敗したコンテンツデータの再生を防ぐことが可能になる。
【0091】
その後、コンテンツデータのCCIが変更されてから「時刻T130〜時刻T140までの期間」が経過したか否かが判断される(ステップS207)。
【0092】
時刻T130〜時刻T140までの期間」が経過した時に(ステップS207におけるYes)、ソース装置10はシンク装置20に対して「ミュート解除指示」を送信する(ステップS208)。
【0093】
コンテンツデータのCCIが変更されてから「時刻T130〜時刻T140までの期間」が経過していない時には(ステップS207におけるNo)、シンク装置20に対して、CCIが変更された後の暗号化コンテンツデータの送信を継続する(ステップS206)。
【0094】
次にシンク装置20に対して、CCIが変更された後のコンテンツデータを送信する(ステップS209)。この時送信されるコンテンツデータは、シンク装置20において、ミュート処理を施されることなく再生される。
【0095】
最後にソース装置10から暗号化コンテンツデータの送信を停止し(ステップS210)ソース装置10での処理を完了する(ステップS211)。
【0096】
図5は本発明の実施の形態1におけるシンク装置20の処理動作を示したフローチャート図である。以下に暗号化コンテンツ再生システム40を起動した時の、シンク装置20の動作を示す。
【0097】
暗号化コンテンツ再生システム40を起動すると、シンク装置20が起動して、動作を開始する(ステップS300)。
【0098】
ソース装置10及びシンク装置20が起動した後に、シンク装置20はソース装置10に対して、図3の「時刻T110から時刻T120までの期間」及び「時刻T120から時刻T130までの期間」を送信する(ステップS301)。
【0099】
「時刻T110から時刻T120までの期間」とは、シンク装置20がソース装置10から「ミュート開始指示」を受信して、前記コンテンツデータの再生についてミュート処理を開始するまでの期間である。
【0100】
この期間中にコンテンツデータの再生に対するミュートを開始することによって、コンテンツデータのCCI変更に伴う暗号鍵及び復号鍵の不整合が起きた場合においても、復号に失敗したコンテンツデータの再生を防ぐことが可能になる。
【0101】
「時刻T120から時刻T130までの期間」とは、コンテンツデータの中のCCIが変更されたことをシンク装置20が検出してから、変更後のCCIに対応した復号鍵を設定して復号を開始するまでの期間である。
【0102】
この期間中、シンク装置20においては、ソース装置10が変更後のCCIに対応した暗号鍵でコンテンツデータを暗号化しているにも関わらず、シンク装置20において変更前のCCIに対応した復号鍵を利用してコンテンツデータを復号してしまい、復号化に失敗したコンテンツデータが再生されてしまう可能性がある。
【0103】
復号化に失敗したコンテンツデータの再生を防ぐために、シンク装置20においてミュート処理を実行する。
【0104】
次にソース装置10から暗号化されたコンテンツデータを受信する(ステップS302)。この時は、ミュートを実施せずコンテンツデータを再生する。すると、「ミュート開
始指示」が受信されたか否かの判定が行なわれる(ステップS303)
ソース装置10から「ミュート開始指示」を受信した時(ステップS303におけるYes)、シンク装置20は前記暗号化コンテンツデータの再生についてミュート処理を開始する(ステップS304)。
【0105】
ソース装置10から「ミュート開始指示」を受信していない時(ステップS303におけるNo)は、ソース装置10から受信した暗号化コンテンツデータの再生を継続する(ステップS302)。
【0106】
以降、「ミュート解除指示」を受信するまでは、ソース装置10から受信したコンテンツデータの再生についてミュート処理を継続する。
【0107】
次に、コンテンツデータにおけるCCIが変更されたことをシンク機器において検出された時には(ステップS305)、変更後のCCIに対応した復号鍵を設定してコンテンツデータの復号を開始する(ステップS306)。変更後のCCIに対応した新たな復号鍵を設定する期間中はコンテンツデータの再生に関してミュートを継続する。
【0108】
ミュートが継続されている間は「ミュート解除指示」が受信されたか否かの判定が行なわれる(ステップS307)。
【0109】
その後、「ミュート解除指示」の監視を行い(ステップS307)、「ミュート解除指示」が検出された場合においては(ステップS307におけるYes)、コンテンツデータの再生についてミュートを解除する(ステップS308)。
【0110】
「ミュート解除指示」が検出されない場合においては(ステップS307におけるNo)、受信したコンテンツデータの再生に対するミュート処理を継続する(ステップS306)。
【0111】
ミュートを解除した後は、ソース装置10から受信したコンテンツデータを通常通り再生する(ステップS309)。
【0112】
ソース装置10から送信されたコンテンツデータの受信が完了した時には、シンク装置20におけるコンテンツデータの再生を停止し(ステップS310)、シンク装置20での処理を完了する(ステップS311)。
【0113】
以上説明したとおり、本実施の形態のコンテンツ再生システムは、暗号化コンテンツデータ再生システムが、暗号化コンテンツデータを送信するソース装置と、受信した暗号化コンテンツデータを復号化して再生するシンク装置から構成され、前記ソース装置が、前記シンク装置におけるコンテンツデータの再生に対してミュートを開始するための指示信号である「ミュート開始指示」、及びコンテンツデータの再生に対してミュートを解除するための指示信号である「ミュート解除指示」を前記シンク装置に送信する機能を備える。
【0114】
さらに、前記シンク装置は、前記「ミュート開始指示」を受信した時にコンテンツデータの再生についてミュートを開始する機能と、前記「ミュート解除指示」を受信した時にコンテンツデータの再生についてミュートを解除する機能とを備える構成とした。
【0115】
このような構成とすることにより、ソース装置から送信されるコンテンツデータのCCIが変更される場合において、コンテンツデータのCCIが変更される前に、ソース装置はシンク装置に対して「ミュート開始指示」を送信し、前記「ミュート開始指示」を受信
したシンク装置は、受信中のコンテンツデータの再生についてミュート処理を開始する。その後、コンテンツデータのCCIが変更されて、変更後のCCIに対応した暗号鍵がソース装置に設定されて、変更後のCCIに対応した復号鍵がシンク装置に設定されて、暗号化及び復号化が開始された時において、前記ソース装置は「ミュート解除指示」を前記シンク装置に送信する処理を行う。
【0116】
前記ソース装置が、「ミュート開始指示」及び「ミュート解除指示」をシンク装置に対して送信するタイミングについては、前記タイミングの基となる情報を暗号化コンテンツデータの伝送前にシンク装置からソース装置に対して通知する。
【0117】
このように構成され動作する本実施の形態のコンテンツ再生システムにより、コンテンツデータのCCIが変更される前後の区間において、復号に失敗したコンテンツデータの再生に対してミュートを実施することができるため、シンク装置において、暗号化コンテンツデータの復号に失敗して乱れたコンテンツデータが再生されることによって視聴者に不快感を与えてしまうということを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明の暗号化コンテンツ再生システムは、著作権の保護されたコンテンツを暗号化伝送して、復号に失敗する時のコンテンツデータの再生を防ぐシステムに好例である。
【符号の説明】
【0119】
10 ソース装置
11 ソース装置制御部
12 コンテンツデータ格納部
13 コンテンツデータ暗号部
14 コンテンツ暗号鍵格納部
15 通信部
16 ミュート指示信号生成部
20 シンク装置
21 シンク装置制御部
22 通信部
23 コンテンツデータ復号部
24 コンテンツ復号鍵格納部
25 コンテンツデータ表示部
26 ミュート指示信号検出部
30 伝送路
40 暗号化コンテンツ再生システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツデータを暗号化して送信するソース装置と、前記ソース装置に接続された伝送路を経由して前記ソース装置から送信されたコンテンツデータを受信し、受信したコンテンツデータを復号化して表示するシンク装置とを備え、
前記シンク装置は、前記ソース装置がコンテンツデータを送信する前に、前記シンク装置の処理性能に依存した装置固有の時間を示す時間情報を前記ソース装置へ通知し、前記ソース装置は、前記シンク装置から通知された時間情報に基づいて決定された時刻にミュートを開始させるための信号を前記シンク装置に送信することを特徴とするコンテンツ再生システム。
【請求項2】
前記コンテンツデータにおけるヘッダ情報の一部が変更された場合に前記ソース装置が前記シンク装置から通知された時間情報に基づいて決定された時刻にミュートを開始させるための信号を前記シンク装置に送信し、前記シンク装置が該信号に基づいてミュートを実施することを特徴とする請求項1記載のコンテンツ再生システム。
【請求項3】
コンテンツデータを暗号化して送信するソース装置と、前記ソース装置に接続された伝送路を経由して前記ソース装置から送信されたコンテンツデータを受信し、受信したコンテンツデータを復号化して表示するシンク装置とを備えたコンテンツ再生システムに用いられるシンク装置であって、
前記ソース装置がコンテンツデータを送信する前に、自装置の処理性能に依存した装置固有の時間を示す時間情報を前記ソース装置へ通知し、通知された時間情報に基づいて決定された時刻にミュートを開始させるための信号を前記ソース装置から受信してミュート動作を実行することを特徴とするシンク装置。
【請求項4】
前記コンテンツデータにおけるヘッダ情報の一部が変更された場合に、前記ソース装置が自装置から通知された時間情報に基づいて決定された時刻にミュートを開始させるための信号を自装置に送信し、前記シンク装置が該信号に基づいてミュートを実施することを特徴とする請求項3記載のシンク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−191396(P2012−191396A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52673(P2011−52673)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】