説明

コンテンツ再生装置、コンテンツ再生方法、コンテンツ再生プログラム、および該プログラムを記録した記録媒体

【課題】付加情報の情報量に応じて動画コンテンツの再生速度を設定するコンテンツ再生装置を提供する。
【解決手段】本発明に係るコンテンツ再生装置1は、例えば字幕などの付加情報と映像とが再生時刻を介して互いに関連付けられている構造の動画コンテンツを再生する際に、ユーザーがある付加情報の視聴に要する時間に対する、ある付加情報の再生時間の比率を、ある付加情報およびそれに関連付けられている映像の再生速度として設定する再生速度制御部10を備えている。表示制御部6は、設定した再生速度によりある付加情報およびそれに関連付けられている映像を表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば字幕などの付加情報と映像とが再生時刻を介して互いに関連付けられているコンテンツを再生する際に、付加情報を把握するためにユーザーが要する時間に応じてコンテンツの再生速度を変更するコンテンツ再生装置、コンテンツ再生方法、プログラム、および記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル放送サービスが開始されるに伴って、様々なデジタル放送受信装置が製品化されている。デジタル放送では、例えば、画像とともに字幕を表示するようなデータ放送サービスが可能である。これによって、コンテンツを視聴するユーザーは、動画の視聴だけでなく字幕を読むことによってもコンテンツの内容を把握することができる。
【0003】
また、データ放送サービスにおいて、動画の表示タイミングと字幕の表示タイミングとが再生時刻を介して互いに関連付けられた字幕データ付きのコンテンツを視聴する際には、字幕を確認した後は次の字幕の表示タイミングまで動画をスキップすることも可能である。このように視聴できるコンテンツを実現することによって、ユーザーは、自身に応じたペースで、かつ、短時間に視聴しているコンテンツの内容を把握することができる。このような視聴を実現する装置としては、例えば、フレームごとに字幕データを持つ動画コンテンツに対して、字幕データの表示タイミングをフレームの切れ目としてスキップ操作が行える再生装置などを挙げることができる。
【0004】
他にも、例えば、特許文献1には、放送データを構成する伝送フレームを順次受信し、伝送フレーム中の構成情報を参照することにより、コンテンツ内容に応じて再生速度を変更するデジタル放送受信装置が開示されている。具体的には、特許文献1に記載のデジタル放送受信装置は、音楽番組における音楽部分と合間のトーク部分とを識別する識別子を用いて、音楽部分は標準再生、トーク部分は高速再生となるように再生する。
【特許文献1】特開2002−84241号公報(平成14年3月22日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、字幕データの表示タイミングをフレームの切れ目としてスキップ操作が行える再生装置では、頻繁にスキップ操作をする必要があるため、コンテンツの視聴において煩雑な動作が必要となり、コンテンツの視聴に煩わしさを感じるおそれが非常に高い。また、スキップ操作に気をとられるため、視聴するコンテンツに集中することができないという問題を有している。さらに、このような再生装置では、スキップした動画を視聴することができない。
【0006】
また、特許文献1に開示されている装置では、フレーム中のコンテンツ内容を表す識別子の値に応じて再生速度を制御しているため、通常、フレームの再生速度は、一定である。そのため、コンテンツ内容が同種のフレームであっても字幕量が多いようなフレームでは、コンテンツの内容を把握することができないおそれがある。逆に、字幕量が少ないようなフレームでは、再生速度が遅く感じられ、次の字幕表示を待つ時間が煩わしく感じられるおそれがある。
【0007】
フレームごとに再生速度を変更するようにすることもできるが、その場合には、識別子のデータサイズが大きくなり、識別子を処理する際に装置にかかる負荷が大きくなるという問題を有している。また、字幕量が同じであっても、若者と高齢者など年齢の違いによって字幕を視聴に要する時間(すなわち、字幕内容の把握に要する時間)が異なるため、コンテンツの送信者側において、フレームごとに再生速度を設定することは非常に困難である。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、例えば字幕などの付加情報と映像とが再生時刻を介して互いに関連付けられている動画コンテンツを再生する際に、付加情報の表示されるシーンごとに、当該付加情報の情報量に基づいて動画コンテンツの再生速度を設定するコンテンツ再生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るコンテンツ再生装置は、上記課題を解決するために、
付加情報と映像とが再生時刻を介して互いに関連付けられている構造の動画コンテンツを再生することによって、当該付加情報および映像をいずれも表示装置に表示するコンテンツ再生装置であって、
上記動画コンテンツにおけるある付加情報の再生時刻から次の付加情報の再生時刻までの時間のうちの少なくとも一部の時間を、上記ある付加情報の再生時間として算出する再生時間算出手段と、
視聴者が上記ある付加情報を視聴するために要する視聴所要時間に対する、上記再生時間の比率を、上記ある付加情報および当該ある付加情報に関連付けられている映像を表示するときの再生速度として設定する再生速度制御手段と、
上記ある付加情報および当該ある付加情報に関連付けられている映像を、上記再生速度により上記表示装置に表示させる表示制御手段と、を備えていることを特徴としている。
【0010】
上記の構成によれば、ある付加情報および当該ある付加情報に関連付けられた映像を再生するときの再生速度は、動画コンテンツを視聴する視聴者がある付加情報の内容を理解するために要する視聴所要時間と、ある付加情報の再生時間との比率から算出される。
【0011】
これによって、付加情報と映像とが再生時刻を介して互いに関連付けられた構成の動画コンテンツを再生する際に、動画コンテンツの再生速度を、付加情報の表示されるシーンごとに、視聴者に適した再生速度となるように自動的に設定することができる効果を奏する。
【0012】
また、付加情報を視聴するごとにスキップ操作を行う必要がなくなるため、動画コンテンツを視聴する際の煩雑な操作を不要とし、動画コンテンツの視聴に集中することができる効果も併せて奏する。
【0013】
本発明に係るコンテンツ再生装置は、さらに、上記視聴者が単位時間あたりに視聴することができる付加情報における文字数を付加情報理解度として取得するとともに、上記動画コンテンツの上記ある付加情報における文字数を取得し、上記付加情報理解度に対する上記ある上記テキストデータの文字数の比率を、上記視聴所要時間として算出する視聴所要時間算出手段をさらに備えていることが好ましい。
【0014】
上記の構成によれば、単位時間あたりに視聴することができる付加情報における文字数と、上記動画コンテンツのある付加情報における文字数との比率から、視聴者が付加情報の視聴に要する視聴所要時間を算出することができる。
【0015】
これによって、視聴者自身が設定するよりも、より正確な値として視聴所要時間を設定することができる効果を奏する。また、視聴所要時間は自動で設定される、すなわち視聴者自身が視聴所要時間を手動で設定する必要がないため、視聴所要時間を設定するという煩雑な作業を不要とすることができる効果も併せて奏する。
【0016】
本発明に係るコンテンツ再生装置は、さらに、上記動画コンテンツを視聴した総視聴時間に対する、上記視聴者の視聴し終えた視聴済付加情報における文字数の比率を、上記付加情報理解度として算出する付加情報理解度算出手段をさらに備えていることが好ましい。
【0017】
上記の構成によれば、コンテンツの総視聴時間に対する視聴済付加情報における文字数の比率から、視聴者が単位時間あたりに視聴することができる付加情報における文字数を算出することができる。すなわち、視聴者が単位時間あたりに視聴することができる付加情報における文字数は、視聴者自身が把握しなくてもよい。視聴者が単位時間あたりに視聴することができる付加情報における文字数は、例えばスキップ動作などの操作により、自動で算出される。
【0018】
これによって、視聴者自身が、自らの単位時間あたりに視聴することができる付加情報における文字数を設定するという煩雑な作業を不要とすることができる効果を奏する。また、視聴者は、コンテンツを視聴する度に自らの単位時間あたりに視聴することができる付加情報における文字数を考えることなく、コンテンツを楽しむことができる効果も併せて奏する。
【0019】
本発明に係るコンテンツ再生装置は、さらに、上記付加情報は、字幕またはテキストデータをもつ画像データであることが好ましい。
【0020】
本発明に係るコンテンツ再生方法は、上記課題を解決するために、
付加情報と映像とが再生時刻を介して互いに関連付けられている構造の動画コンテンツを再生することによって、当該付加情報および映像をいずれも表示装置に表示するコンテンツ再生方法であって、
上記動画コンテンツにおけるある付加情報の再生時刻から次の付加情報の再生時刻までの時間を、上記ある付加情報の再生時間として算出する再生時間算出ステップと、
視聴者が上記ある付加情報を視聴するために要する視聴所要時間に対する、上記再生時間の比率を、上記ある付加情報および当該ある付加情報に関連付けられている映像を表示するときの再生速度として設定する再生速度制御ステップと、
上記ある付加情報および当該ある付加情報に関連付けられている映像を、上記再生速度により上記表示装置に表示させる表示制御ステップと、を含むことを特徴としている。
【0021】
上記の構成によれば、本発明に係るコンテンツ再生装置と同様の作用効果を奏する。
【0022】
なお、本発明に係るコンテンツ再生装置は、コンピュータによって実現してもよい。この場合、コンピュータを上記各手段として動作させることにより上記コンテンツ再生装置をコンピュータにおいて実現するコンテンツ再生プログラム、およびそのコンテンツ再生プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に含まれる。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明に係るコンテンツ再生装置は、ある付加情報に関連付けられた映像を再生するときの再生速度を、動画コンテンツを視聴する視聴者がある付加情報の内容を理解するために要する視聴所要時間と、ある付加情報の再生時間との比率から算出する。
【0024】
これによって、付加情報と映像とが再生時刻を介して互いに関連付けられた構成の動画コンテンツを再生する際に、動画コンテンツの再生速度を、付加情報の表示されるシーンごとに、視聴者に適した再生速度となるように自動的に設定することができる効果を奏する。
【0025】
また、付加情報を視聴するごとにスキップ操作を行う必要がなくなるため、動画コンテンツを視聴する際の煩雑な操作を不要とし、動画コンテンツの視聴に集中することができる効果も併せて奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
(コンテンツ再生装置1の構成)
本発明に係るコンテンツ再生装置について、図1を参照して以下に説明する。図1は、本発明に係るコンテンツ再生装置1の要部構成を示すブロック図である。コンテンツ再生装置1は、図1に示すように、制御部2、操作入力部3、コンテンツ蓄積部4、コンテンツ取得部5、および表示制御部6を備えている。なお、表示装置20は、コンテンツ再生装置1を構成する部材ではないが、便宜上、図1に図示している。なお、本実施形態では、付加情報が字幕(テキストデータ)である場合を例に挙げて説明する。
【0027】
(コンテンツ再生装置1による動画再生)
コンテンツ再生装置1による動画再生の概略について、図2および3を参照して以下に説明する。図2は、再生時刻と字幕と関連付けた字幕データ30を示す図である。図2に示す字幕データ30は、動画コンテンツを構成するデータである。すなわち、字幕データ30内に含まれる各再生時刻には、それぞれ対応する映像が関連付けられている。
【0028】
図3は、動画コンテンツにおける字幕の表示例を示す図である。図3に示すように、字幕データ30において再生時刻が0秒である「こんにちは」の字幕は、再生時刻が3秒である「お元気ですか?」の字幕が表示されるまでの3秒間、画像と共に表示される。言い換えれば、「こんにちは」の字幕が表示されている3秒間に画像40、41および42の3フレームの画像が表示される。
【0029】
ここで、本実施形態において、ある字幕およびある字幕に関連つけられている映像を併せて「シーン」と称する。例えば、図3に示すように、「こんにちは」の字幕および「こんにちは」の字幕に関連付けられている画像40、41および42は、シーン50となる。そして、「お元気ですか?」の字幕および「お元気ですか?」の字幕に関連付けられている画像43は、シーン51となる。
【0030】
以下に、図1に示す各部材の詳細について説明する。
【0031】
(操作入力部3)
操作入力部3は、ユーザー(視聴者)からの再生する動画コンテンツの選択、および再生している動画コンテンツに対するなどの操作入力を受け付けるものである。操作入力部3は、キー入力などの入力インターフェースを備えている。例えば、操作入力部3に備えられている入力インターフェースとしては、例えば、動画コンテンツの再生を指示する再生キー、再生している動画コンテンツを早送り(スキップ)するスキップキー、再生している動画コンテンツの巻き戻し(バックスキップ)をするバックステップキー、および再生している動画コンテンツの再生を停止する停止キーなど、従来公知の入力インターフェースを挙げることができる。
【0032】
(コンテンツ蓄積部4、コンテンツ取得部5)
コンテンツ蓄積部4は、コンテンツ取得部5において取得されたコンテンツを記録(録画、保存)する記録媒体である。また、コンテンツ取得部5は、動画コンテンツを取得するためのものである。コンテンツ取得部5としては、例えば、デジタル放送の受信するためのアンテナ、またはSDカード、および光ディスクなどの記録媒体から動画コンテンツを取得する読取手段を挙げることができる。
【0033】
(表示制御部6)
表示制御部6は、表示装置20に対する動画コンテンツの表示を制御するためのものである。具体的には、ある字幕に関連付けられたシーンを制御部2において設定された再生速度により、表示装置20に表示させるためのものである。
【0034】
(制御部2)
制御部2は、例えば動画コンテンツを再生する際の再生速度など、動画コンテンツの再生を制御するためのものである。制御部2は、図1に示すように、再生速度制御部10、再生時間算出部11、視聴所要時間算出部12、字幕理解度算出部(付加情報理解度算出手段)13、および記憶部14を備えている。これらの部材について、以下に説明する。
【0035】
(再生速度制御部10)
再生速度制御部10は、動画コンテンツにおける各シーンの再生速度を算出するためのものである。図4を参照して具体的に説明すると、ユーザーがシーンiにおいて表示されている字幕iを視聴するために要する視聴所要時間Ritに対する、字幕iの再生時間の比率を再生速度Piとして算出する。
【0036】
(再生時間算出部11)
再生時間算出部11は、ある字幕の再生時間を算出するためのものである。図4を参照して具体的に説明すると、字幕iの再生時間は、字幕iの次の字幕i+1の再生時刻C(i+1)tから、字幕iの再生時刻Citを減じることにより算出される。より具体的には、図3に示すシーン50における「こんにちは」の再生時間は、「お元気ですか?」の再生時刻3秒から「こんにちは」の字幕の再生時刻0秒を減じた3秒間となる。
【0037】
(視聴所要時間算出部12)
視聴所要時間算出部12は、ユーザーがある字幕を視聴するために要する視聴所要時間を算出するためのものである。図4を参照して具体的に説明すると、ユーザーが単位時間あたりに視聴することができる字幕iの文字数(以下、ユーザーが単位時間あたりに視聴することができるある字幕の文字数を字幕理解度と称する)に対する字幕iの文字数Nciの比率を、視聴所要時間Ritとして算出する。したがって、視聴所要時間算出部12は、字幕理解度Ncを取得する字幕理解度取得部(図示しない)と、字幕データ30から字幕iの文字数を取得する文字数取得部(図示しない)とを備えている。
【0038】
ここで、「単位時間」とは、字幕の再生時刻と同じ単位の単位時間である。すなわち、字幕データにおいて定義されている再生時刻が「秒」であるのであれば、字幕理解度における単位時間は「1秒あたり」ということになる。
【0039】
なお、図4は、シーンiの再生速度Piを設定する各パラメータについて示した図である。
【0040】
(字幕理解度算出部13)
字幕理解度算出部13は、字幕理解度を算出するためのものである。具体的には、動画コンテンツを視聴した総視聴時間Twに対するユーザーの視聴し終えた視聴済字幕文字数Scの比率を、字幕理解度Ncとして算出する。すなわち、字幕理解度算出部13は、動画コンテンツの総視聴時間Twをカウントするタイマー(図示しない)と、視聴済字幕文字数Scをカウントするカウンター(図示しない)とを備えている。
【0041】
なお、動画コンテンツを視聴した総視聴時間は、字幕理解度と同様に、字幕の再生時刻と同じ単位であることが好ましい。すなわち、字幕データにおいて定義されている再生時刻が「秒」であるのであれば、動画コンテンツを視聴した総視聴時間は、単位を「秒」で記録する。
【0042】
(記憶部14)
記憶部14は、再生速度制御部10において算出された再生速度、および字幕理解度算出部13において算出された字幕理解度を記録するとともに、各部材において取得または算出されたパラメータを一時的に記録するものである。
【0043】
(表示装置20)
表示装置20は、動画コンテンツを再生する際に、動画コンテンツの各シーンを再生速度制御部10において設定された再生速度により表示する。表示装置は、映像および字幕を同時に表示することができる装置であれば特に限定されるものではなく、従来公知の動画コンテンツの表示装置を用いることができる。
【0044】
(動画コンテンツ再生の概要)
次に、動画コンテンツを再生する際の再生方法の概要について、図4を参照して以下に説明する。図4は、動画コンテンツを再生する再生方法の概要を示すフローチャートである。
【0045】
まず、コンテンツ取得部5は、例えばSDカードまたは光ディスクなどの記録媒体から動画コンテンツを取得し、コンテンツ蓄積部4へ保存する(ステップS1)。続いて、操作入力部3は、動画コンテンツの再生指示を制御部2へと送る(ステップS2)このとき、操作入力部3は、動画コンテンツの再生指示とともに、コンテンツ蓄積部4に保存されている動画コンテンツのうち、どの動画コンテンツを再生するのかというユーザーからの指示も併せて送る。
【0046】
操作入力部3から再生指示を受けた制御部2は、ユーザーから指示された再生対象の動画コンテンツをコンテンツ蓄積部4から読み出す(ステップS3)。そして、読み出された再生対象の動画コンテンツの再生を開始する(ステップS4)。
【0047】
動画コンテンツの再生が開始されると、再生速度制御部10は、動画コンテンツの各シーンの再生速度を算出し、設定する(ステップS5)。このとき、再生速度の初期値は、等倍速(1倍速)とすることが好ましい。しかし、既に字幕理解度の指定がある場合には、指定された字幕理解度に基づいて再生速度を算出し、設定してもよい。また、以前に算出した再生速度が記憶部14に記録されている場合には、その値を再生速度として設定してもよい。
【0048】
そして、表示制御部6は、設定された再生速度により動画コンテンツを表示装置20に表示させる(ステップS6)。
【0049】
なお、本実施形態では、コンテンツ蓄積部4に保存された動画コンテンツを再生する場合を例に挙げて説明しているが、これに限定されるものではない。例えば、コンテンツ取得部5がSDカードまたは光ディスクなどの記録媒体から動画コンテンツを取得する場合には、取得した動画コンテンツをコンテンツ蓄積部4に保存せずにそのまま再生してもよい。この場合、動画コンテンツを記録している記録媒体がコンテンツ蓄積部4の代わりとなる。
【0050】
(再生速度の算出方法の詳細)
再生速度の算出方法について、図6を参照して以下に説明する。図6は、各シーンにおける再生速度の算出方法を示すフローチャートである。なお、本実施形態では、図4に示したシーンiにおける再生速度Piを算出する場合を例に挙げて説明する。
【0051】
まず、視聴所要時間算出部12は、記憶部14に記憶されている字幕理解度Ncを取得する(ステップS10)。なお、字幕理解度Ncは、ユーザーが入力した任意の値であってもよいし、また字幕理解度算出部13において算出されてもよい。字幕理解度Ncの算出方法の詳細については、下記に説明する。続いて、視聴所要時間算出部12は、コンテンツ蓄積部4に保存されている動画コンテンツの字幕データ30から字幕iの文字数Nciを取得する(ステップS11)。そして、視聴所要時間算出部12は、取得した字幕理解度Ncおよび字幕iの文字数Nciより、式(1)を用いて視聴所要時間Ritを算出する(ステップS12)。
Nci/Nc=Rit・・・(1)
視聴所要時間算出部12は、算出した視聴所要時間Ritを記憶部14に記憶させるとともに、再生速度制御部10へ送る。
【0052】
次に、再生時間算出部11は、コンテンツ蓄積部4に保存されている動画コンテンツの字幕データ30から、字幕iの再生時刻Citおよび字幕iの次の字幕i+1の再生時刻C(i+1)tを取得する。そして、再生時間算出部11は、再生時刻C(i+1)tと再生時刻Citとの差分値を字幕iの再生時間として算出し(ステップS13)、再生速度制御部10へ送る。なお、字幕iの再生時間は、再生時刻C(i+1)tと再生時刻Citとの差分値の絶対値とすることが好ましい。
【0053】
再生速度制御部10は、字幕iの再生時間と視聴所要時間算出部12より送られた視聴所要時間Ritとから、式(2)にしたがい字幕iの再生速度Piを算出する(ステップS13)。
(C(i+1)t−Cit)/Rit=Pi・・・(2)
再生速度制御部10は、算出した再生速度Piを記憶部14に記憶させるとともに、字幕iにおける再生速度として設定する。
【0054】
表示制御部6は、設定された再生速度Piによりシーンiを表示装置20に表示させる。すなわち、表示装置20は、字幕iの再生時間に再生速度Piを乗じた時間だけ、字幕iおよび字幕iに関連付けられた映像を表示する。
【0055】
なお、上記では、再生速度Piのみを記憶部14に記憶させているが、これに限定されるものではない。再生速度を算出するために用いられる各部材において取得および算出した全てのパラメータを、記憶部14に一時的に記憶させておいてもよい。
【0056】
再生速度Piの算出を具体的な数値を用いて説明する。例えば、字幕理解度Ncを10文字毎秒とし、字幕iにおける文字数を20文字とし、字幕iの再生時間を4秒とする。以上のパラメータから再生速度Piを算出すると、再生速度Piは、4/(20/10)=2(倍)となる。すなわち、上記のパラメータである場合、シーンiは通常の2倍の速さで表示されることとなる。
【0057】
ここで、本発明に係るコンテンツ再生装置1において、再生速度を速くするため(または遅くするため)の方法は、従来公知の方法を用いることができる。再生速度を速くするための方法としては、例えば、単位時間あたりに表示するフレーム数(一般的にフレームレートと称する)を増やすか、または表示するフレームを間引くなどの方法を挙げることができる。また、フレームレートの増加およびフレームの間引きを組み合わせてもよい。再生速度を遅くするための方法については、例えば再生速度を速くするときと逆にフレームレートを減少させればよい。音声についても画像と同様に再生速度を速くする(または遅くする)ことが好ましい。
【0058】
なお、字幕理解度Ncをユーザーの能力の最大値に設定した場合、例えばユーザーが疲れている状態などでは、設定した字幕理解度Ncでは字幕の内容を把握できないことも予想される、したがって、式(3)に示すように、再生速度Piの値に少し余裕がでるように再生速度Piを算出するようにしてもよい。
(C(i+1)t−Cit+α)/Rit=Pi・・・(3)
ここで、αは任意の値である。
【0059】
また、本実施形態では、コンテンツ再生装置1における再生速度Piの算出方法をステップS10〜S13の順に説明したが、これに限定されるものではなく、本発明を実施できる範囲において変更可能である。例えば、それぞれの部材が、字幕iの文字数Nciと再生時刻Citおよび再生時刻C(i+1)tとを、字幕データ30から同時に取得するようにしてもよい。
【0060】
本実施形態では、再生速度制御部10は、字幕の表示ごとに再生速度を算出するようにしているが、これに限定されるものではない。例えば、字幕表示量が一定に近いような動画コンテンツに対しては、再生速度をシーンごとに算出することはせず、初めに算出した値を使用し続けるようにしてもよい。これにより、再生速度の算出に要する処理負荷を軽減することができる。
【0061】
(字幕理解度Ncの算出方法の詳細)
続いて、字幕理解度Ncの算出方法の詳細について、図7を参照して以下に説明する。図7は、字幕理解度Ncの算出方法を示すフローチャートである。なお、本実施形態では、再生速度Piの算出方法について説明した場合と同様に、図4に示したシーンiを再生する場合を例に挙げて説明する。
【0062】
まず、字幕理解度算出部13に備えられているタイマー(図示しない)は、シーンiの視聴時間tを初期化する(ステップS20)。すなわち、シーンiおけるユーザーの視聴時間を「0秒」とする。続いて、再生速度制御部10は、再生速度Piを設定する(ステップS21)。このとき、再生速度Piは、上述したように、等倍速としてもよいし、記憶部14に記憶されている再生速度を設定してもよい。
【0063】
次に、表示装置20が再生速度Piによりシーンiを再生している間、すなわち字幕iが表示されている間、タイマーは、定期的(例えば、1msごと、10msごとなど)に操作入力部3からスキップの指示があったか否かをチェックする(ステップS22)。シーンiを再生している間に操作入力部3からスキップ操作の指示があった場合(ステップS22においてYes)、タイマーは、視聴時間tをスキップ操作のあった時間で停止し、この時点の時間を視聴時間tとして設定する(ステップS23)。シーンiを再生している間に操作入力部3からスキップ操作の指示がなかった場合(ステップS22においてNo)、タイマーはシーンiの再生を終了した時間、すなわち字幕iの再生時間を視聴時間tとして設定する(ステップS24)。続いて、タイマーは、設定した視聴時間tを動画コンテンツの総視聴時間Twに加算する(ステップS25)。
【0064】
次に、字幕理解度算出部13に備えられているカウンター(図示しない)は、コンテンツ蓄積部4に保存されている字幕データ30から字幕iの文字数Nciを取得し、視聴済字幕文字数Scに加算する(ステップS26)。なお、記憶部14に文字数Nciを記憶させている場合には、記憶部14から文字数Nciを取得するようにしてもよい。
【0065】
最後に、字幕理解度算出部13は、算出された総視聴時間Twと視聴済字幕文字数Scとから、式(4)にしたがい字幕理解度Ncを算出する(ステップS27)。
Sc/Tw=Nc・・・(4)
字幕理解度算出部13は、算出した字幕理解度Ncを記憶部14に記憶させる。
【0066】
なお、本実施形態では、コンテンツ再生装置1における字幕理解度Ncの算出方法をステップS20〜S27の順に説明したが、これに限定されるものではなく、本発明を実施できる範囲において変更可能である。
【0067】
(再生速度が遅くなる可能性を考慮した字幕理解度の設定の詳細)
上記の字幕理解度Ncの算出方法は、再生速度が速くなる場合についてのみ説明している。しかし、例えば高齢者または子供など字幕を理解する能力が低いユーザーの場合には、速い速度で動画コンテンツの再生を行うと、字幕を見逃してしまったり、字幕の内容を把握する前に次の字幕が表示されてしまったりすることが考えられる。
【0068】
このような場合、動画コンテンツの再生速度を等倍速よりも遅くする必要がある。ここで、再生速度が等倍速よりも遅くなる可能性も考慮した場合の字幕理解度の算出について、図8を参照して以下に説明する。図8は、再生速度が等倍速よりも遅くなる可能性も考慮した場合の字幕理解度の設定を示すフローチャートである。なお、本実施形態では、これまでと同様に、図4に示したシーンiを再生する場合を例に挙げて説明する。
【0069】
まず、字幕理解度算出部13に備えられているタイマーは、シーンiの視聴時間t1を初期化する(ステップS30)。続いて、再生速度制御部10は、再生速度Piを設定する(ステップS31)。このときの再生速度Piの設定方法は、上記のとおりである。
【0070】
次に、タイマーは、シーンiを再生してから所定の時間が経過するまでに操作入力部3からバックスキップの指示があったか否かをチェックする(ステップS32)、操作入力部3からバックスキップ操作の指示は、ユーザーが字幕iの内容を把握しきれなかったために再度字幕iを表示させたい場合のおいて生じる指示である。すなわち、バックスキップ操作の指示は、字幕iの次の字幕である字幕i+1が表示されている際に生じる。そのため、所定の時間は、字幕iの再生時間に任意の値を加算した時間とすることが好ましい。
【0071】
シーンiを再生している間に操作入力部3からバックスキップ操作の指示があった場合(ステップS32においてYes)、タイマーはバックスキップ操作を行ったことを示すバックスキップフラグbflagに「1」を加算する(ステップS33)。そして、視聴時間t1を初期化し(ステップS34)、再びシーンiの再生を行う。シーンiを再生している間に操作入力部3からバックスキップ操作の指示がなかった場合(ステップS32においてNo)、タイマーはシーンiを再生している間にスキップ操作があったか否かを判定する(ステップS35)。
【0072】
シーンiを再生している間にスキップ操作があった場合(ステップS35においてYes)、タイマーは、スキップ操作の行われた時間を視聴時間t1と設定する。そして、タイマーは、シーンiを再生していた総視聴時間を算出する。すなわち、タイマーは、(bflagの値×字幕iの再生時間+視聴時間t1)をシーンiの視聴時間t2として設定する(ステップS36)。
【0073】
シーンiを再生している間にスキップ操作がなかった場合(ステップS35においてYes)、タイマーは、字幕iの再生時間を視聴時間t1として設定する。そして、タイマーは、シーンiを再生していた総視聴時間を算出する。すなわち、タイマーは、{(bflagの値+1)×字幕iの再生時間}をシーンiの視聴時間t2として設定する(ステップS37)。
【0074】
続いて、タイマーは、設定したシーンiの視聴時間t2を動画コンテンツの総視聴時間Twに加算する(ステップS38)。
【0075】
次に、字幕理解度算出部13に備えられているカウンター(図示しない)は、コンテンツ蓄積部4に保存されている字幕データ30から字幕iの文字数Nciを取得し、視聴済字幕文字数Scに加算する(ステップS39)。なお、記憶部14に文字数Nciを記憶させている場合には、文字数Nciを記憶部14から取得するようにしてもよい。
【0076】
最後に、字幕理解度算出部13は、算出された総視聴時間Twと視聴済字幕文字数Scとから、式(4)にしたがい、字幕理解度Ncを算出する(ステップS40)。
Sc/Tw=Nc・・・(4)
字幕理解度算出部13は、算出した字幕理解度Ncを記憶部14に記憶させる。最後に、タイマーは、バックスキップフラグbflagの値を初期化する(ステップS41)。
【0077】
なお、本実施形態では、コンテンツ再生装置1における字幕理解度Ncの算出方法をステップS30〜S41の順に説明したが、これに限定されるものではなく、本発明を実施できる範囲において変更可能である。
【0078】
また、字幕理解度Ncは、一度算出した値を使用し続けてもよいが、スキップ操作が行われるごとに新たな字幕理解度Ncを算出するようにしてもよい。この場合には、例えば家族で一台のコンテンツ再生装置1を使う際の、家族構成員ごとの字幕理解度Ncの違いを考慮することができる。もちろん、家族の構成員ごとの字幕理解度Ncを記憶しておき、動画コンテンツの再生の際にどの字幕理解度Ncを用いるかを設定できるようにしてもよい。
【0079】
以上説明したように、本実施形態では、視聴する動画コンテンツから字幕理解度Ncを算出する方法について説明したが、これに限定されるものではなく、他のアプリケーションから取得するようにしてもよい。例えば、コンテンツ再生装置1がテキストビューアまたは電子ブックリーダを備えている場合には、これらにおいて1画面に表示される文字列における文字数をN、文字列の表示されている時間をtとし、字幕理解度NcをN/tから算出してもよい。なお、文字列の表示されている時間tは、1画面に文字列を表示してから、これらのアプリケーション上でページ送りまたはスクロール操作がなされるまでの時間として算出すればよい。
【0080】
(バックスキップ操作)
一般的なコンテンツ再生装置の操作入力部では、1度のバックスキップ操作で現在表示している字幕の表示開始位置に動画コンテンツの再生位置を移動する。したがって、1つ前の字幕を表示するためには、バックスキップ操作を2度行う必要があり、非常に煩わしい。本発明に係るコンテンツ再生装置1では、バックスキップ操作における煩わしさを軽減するために、ある字幕の表示開始後、一定時間内(例えば、1秒以内)にバックスキップ操作が行われた場合には、1つ前の字幕の表示開始位置に動画コンテンツの再生位置を移動することが好ましい。
【0081】
図9を参照して具体的に説明する。なお、図9において、現在表示されている字幕がシーンiに関連付けられている字幕iであるとする。したがって、操作入力部3からスキップ操作の指示を受けると、制御部2は、動画コンテンツの再生位置を字幕iの次の字幕である字幕i+1の再生時刻C(i+1)tに移動する。また、操作入力部3からバックスキップ操作の指示を受けると、制御部2は、動画コンテンツの再生位置を字幕iの再生時刻Citに移動する。しかし、制御部2は、字幕iの再生開始から一定時間内の再生時刻Cit+Δtまでにバックスキップ操作の指示を受けた場合、動画コンテンツの再生位置を字幕iの一つ前の字幕である字幕i−1の再生時刻C(i−1)tに移動する。
【0082】
(動画コンテンツ製作者からの再生速度の指定)
本発明に係るコンテンツ再生装置1は、上述したように、動画コンテンツの再生速度を表示されるシーンにおける字幕の文字数に応じて設定することができる。しかし、動画コンテンツの製作者(または送信者)の意図として、字幕を等倍速で再生させたいシーンが存在する場合もある。その場合には、等倍速での再生を促すことを示す文字列をあらかじめ字幕データ中に含ませておくことが好ましい。
【0083】
しかし、一般的なコンテンツ再生装置において動画コンテンツを視聴するとき、等倍速での再生を促すことを示す文字列が等倍速での再生を促していることを認識できず、意味のない文字列が字幕として表示されてしまうおそれがある。そのため、等倍速での再生を促すことを示す文字列としては、スペースなどの空文字を含めることが好ましい。例えば、スペースが3文字連続している場合には、その文字列を含む字幕のシーンを等倍速で再生すると認識するようにすればよい。
【0084】
(字幕データ30の変形例1)
また、本発明に係るコンテンツ再生装置1において好適に用いることができる字幕データは、字幕をテキストデータとしてもつ字幕データ30に限定されるものではなく、字幕の文字数が認識できるものであれば他の形態であってもよい。字幕データ30以外の字幕データとしては、例えば、図10に示すような、字幕データ(テキストデータ)を画像データとしてもつ字幕データ30bを挙げることができる。図10に示す字幕データ30bは、再生時刻と表示する画像データ(字幕)と当該画像データにおける字幕文字数とを関連付けた字幕データである。なお、字幕データ30bも字幕データ30と同様に、各再生時刻には、それぞれ対応する映像が関連付けられている。
【0085】
すなわち、字幕データ30bは、動画コンテンツの再生開始から3秒間、「caption1」で表される5文字の画像データ(字幕)を表示する。そして、次に「caption2」で表される7文字の画像データ(字幕)を表示する。なお、図9において、「caption1」および「caption2」は、画像ファイルの名称を意味している。
【0086】
(字幕データ30の変形例2)
また、字幕データ30は、図11に示すような字幕データ30cであってもよい。字幕データ30cでは、字幕の再生時間は、それぞれt1およびt2となる(ただし、t1<5)。この場合、字幕の再生開示後、0〜t1秒までは「この間」という字幕が表示され、t1〜5秒までの間は字幕が表示されない状態となる。
【0087】
字幕データ30cのような字幕データを有する場合、再生速度は、0〜5秒までの間制御していてもよいし、また字幕の再生されている間のみ(すなわち、0〜t1秒までの間)制御してもよい。字幕の再生されている間のみ再生速度を制御する場合、t1〜5秒の間はスキップするようにしてもよいし、等倍速として再生するようにしてもよい。
【0088】
(作用効果)
以上説明したように、本発明に係るコンテンツ再生装置1は、あるシーンを再生するときの再生速度を、ユーザーがあるシーンにおいて表示されるある字幕の内容を理解するために要する視聴所要時間と、ある字幕の再生時間との比率から算出する。
【0089】
これによって、動画コンテンツを再生する際に、動画コンテンツの再生速度を、字幕の表示されるシーンごとに、視聴者に適した再生速度となるように自動的に設定することができる。また、字幕を視聴するごとにスキップ操作を行う必要がなくなるため、動画コンテンツを視聴する際の煩雑な操作を不要とし、動画コンテンツの視聴に集中することができる。
【0090】
また、本発明に係るコンテンツ再生装置1は、単位時間あたりに視聴することができる字幕の文字数と、ある字幕における字幕文字数との比率から、視聴者が字幕の視聴に要する視聴所要時間を算出する。これによって、視聴者自身が設定するよりも、より正確な値として視聴所要時間を設定することができる。さらには、視聴所要時間を設定するという煩雑な作業を不要とすることができる。
【0091】
また、本発明に係るコンテンツ再生装置1は、動画コンテンツの総視聴時間に対する視聴済字幕文字数の比率から、視聴者が単位時間あたりに視聴することができる字幕の文字数を算出する。これによって視聴者自身が、自らの単位時間あたりに視聴することができる字幕の文字数を設定するという煩雑な作業を不要とすることができる。さらには、視聴者は、動画コンテンツを視聴する度に自らの単位時間あたりに視聴することができる字幕の文字数を考えることなく、動画コンテンツを楽しむことができる。
【0092】
(プログラムおよび記録媒体)
最後に、コンテンツ再生装置1に含まれている各ブロックは、ハードウェアロジックによって構成すればよい。または、次のように、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0093】
すなわちコンテンツ再生装置1は、各機能を実現するプログラムの命令を実行するCPU、このプログラムを格納したROM(Read Only Memory)、上記プログラムを実行可能な形式に展開するRAM(Random Access Memory)、および、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)を備えている。この構成により、本発明の目的は、所定の記録媒体によっても、達成できる。
【0094】
この記録媒体は、上述した機能を実現するソフトウェアであるコンテンツ再生装置1のプログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録していればよい。コンテンツ再生装置1に、この記録媒体を供給する。これにより、コンピュータとしてのコンテンツ再生装置1(またはCPUやMPU)が、供給された記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し、実行すればよい。
【0095】
プログラムコードをコンテンツ再生装置1に供給する記録媒体は、特定の構造または種類のものに限定されない。すなわちこの記録媒体は、たとえば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などとすることができる。
【0096】
また、コンテンツ再生装置1を通信ネットワークと接続可能に構成しても、本発明の目的を達成できる。この場合、上記のプログラムコードを、通信ネットワークを介してコンテンツ再生装置1に供給する。この通信ネットワークはコンテンツ再生装置1にプログラムコードを供給できるものであればよく、特定の種類または形態に限定されない。たとえばインターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(Virtual Private Network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等であればよい。
【0097】
この通信ネットワークを構成する伝送媒体も、プログラムコードを伝送可能な任意の媒体であればよく、特定の構成または種類のものに限定されない。たとえばIEEE1394、USB(Universal Serial Bus)、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、字幕と動画とが再生時刻ごとに互いに関連付けられた構造のコンテンツ、例えば地上デジタル放送などのデジタル放送番組を再生するコンテンツ再生装置として好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明に係るコンテンツ再生装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】再生時刻と字幕とを関連付けた字幕データを示す図である。
【図3】動画コンテンツにおける字幕の表示例を示す図である。
【図4】あるシーンにおける再生速度を設定する各パラメータを示す図である。
【図5】動画コンテンツを再生する再生方法の概要を示すフローチャートである。
【図6】あるシーンにおける再生速度の算出方法を示すフローチャートである。
【図7】字幕理解度の算出方法を示すフローチャートである。
【図8】再生速度が等倍速よりも遅くなる可能性を考慮した場合における字幕理解度の設定を示すフローチャートである。
【図9】あるシーンにおいてバックスキップ操作が行われた場合の字幕再生時刻を示す図である。
【図10】再生時刻と字幕とを関連付けた字幕データの他の例を示す図である。
【図11】再生時刻と字幕とを関連付けた字幕データのさらに他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0100】
1 コンテンツ再生装置
2 制御部
3 操作入力部
4 コンテンツ蓄積部
5 コンテンツ取得部
6 表示制御部
10 再生速度制御部
11 再生時間算出部
12 視聴所要時間算出部
13 字幕理解度算出部(付加情報理解度算出手段)
14 記憶部
20 表示装置
30、30b、30c 字幕データ(付加情報)
40、41、42、43 画像
50、51 シーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
付加情報と映像とが再生時刻を介して互いに関連付けられている構造の動画コンテンツを再生することによって、当該付加情報および映像をいずれも表示装置に表示するコンテンツ再生装置であって、
上記動画コンテンツにおけるある付加情報の再生時刻から次の付加情報の再生時刻までの時間のうちの少なくとも一部の時間を、上記ある付加情報の再生時間として算出する再生時間算出手段と、
視聴者が上記ある付加情報を視聴するために要する視聴所要時間に対する、上記再生時間の比率を、上記ある付加情報および当該ある付加情報に関連付けられている映像を表示するときの再生速度として設定する再生速度制御手段と、
上記ある付加情報および当該ある付加情報に関連付けられている映像を、上記再生速度により上記表示装置に表示させる表示制御手段と、を備えていることを特徴とするコンテンツ再生装置。
【請求項2】
上記視聴者が単位時間あたりに視聴することができる付加情報における文字数を付加情報理解度として取得するとともに、上記動画コンテンツの上記ある付加情報における文字数を取得し、上記付加情報理解度に対する上記ある上記テキストデータの文字数の比率を、上記視聴所要時間として算出する視聴所要時間算出手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項3】
上記動画コンテンツを視聴した総視聴時間に対する、上記視聴者の視聴し終えた視聴済付加情報における文字数の比率を、上記付加情報理解度として算出する付加情報理解度算出手段をさらに備えていることを特徴とする請求項2に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項4】
上記付加情報は、字幕であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項5】
上記付加情報は、テキストデータをもつ画像データであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項6】
付加情報と映像とが再生時刻を介して互いに関連付けられている構造の動画コンテンツを再生することによって、当該付加情報および映像をいずれも表示装置に表示するコンテンツ再生方法であって、
上記動画コンテンツにおけるある付加情報の再生時刻から次の付加情報の再生時刻までの時間を、上記ある付加情報の再生時間として算出する再生時間算出ステップと、
視聴者が上記ある付加情報を視聴するために要する視聴所要時間に対する、上記再生時間の比率を、上記ある付加情報および当該ある付加情報に関連付けられている映像を表示するときの再生速度として設定する再生速度制御ステップと、
上記ある付加情報および当該ある付加情報に関連付けられている映像を、上記再生速度により上記表示装置に表示させる表示制御ステップと、を含むことを特徴とするコンテンツ再生方法。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか1項に記載のコンテンツ再生装置を動作させるプログラムであって、コンピュータを上記の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムを記録しているコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−164969(P2009−164969A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−1635(P2008−1635)
【出願日】平成20年1月8日(2008.1.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】