説明

コンテンツ再生装置及び代理再生機器特定方法

【課題】汎用的な通信メディアプロトコルを搭載した不特定の機器に対して、再生機器を特定してコンテンツを継続再生させるための操作を簡単に実現可能にする。
【解決手段】コンテンツ再生装置は、送信機110として機能し、再生中のコンテンツを他の機器(受信機220)に転送して継続再生を行う。この際、識別情報生成部111にて継続再生を行う代理再生機器を特定するための識別情報を生成し、コンテンツ送信部112にて識別情報を含む機器識別用コンテンツを受信機220へ送信し、カメラ部113またはマイク部114にて受信機220において再生される機器識別用コンテンツの再生情報を取得し、この機器識別用コンテンツの再生情報に基づき機器識別部115にて継続再生を行わせる代理再生機器を識別する。そして、コンテンツ送信部112にて代理再生機器として特定された機器(受信機220)に対して継続再生を行うコンテンツを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツ再生装置に関し、特にユーザが視聴しているコンテンツを別の機器で継続して再生させるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、近年の一般的な携帯電話端末、携帯型情報端末等の機器においては、コンテンツ再生機能を有しており、様々なコンテンツを必要に応じて再生することができる。例えば、TVチューナで受信したテレビ番組あるいは過去に録画した映像などの動画、写真などの静止画、電子書籍、音楽等の各種コンテンツをユーザが視聴するために再生することができる。
【0003】
一方、例えば動画等のコンテンツを携帯電話端末で再生し、ユーザがこのコンテンツを視聴している状態で、音声通話の着信等のイベントが発生する場合がある。この場合、ユーザは着信に応じた操作を行って音声通話を開始することになり、携帯電話端末の表示画面も通話用の表示モードに切り替わる。そのため、コンテンツの再生が中断され、ユーザはコンテンツの視聴ができない状態になる。
【0004】
従って、もしもユーザが音声通話を行いながらコンテンツの視聴を継続したい場合には、該当するコンテンツを再生可能な他の適当な機器をユーザ自身が見つけ出して、継続再生のために様々な操作を行わなければならない。
【0005】
例えば、ユーザが現在いる室内にコンテンツを再生可能な機器が複数存在する場合もあるし、隣の部屋の室内にもコンテンツを再生可能な機器が存在する場合がある。従って、他の機器を利用してコンテンツを継続再生しようとする場合には、継続再生のために使用する機器を特定するのが困難になる可能性があり、ユーザの操作も面倒になる。
【0006】
本発明と関連のある従来技術として、特許文献1及び特許文献2に開示された技術が知られている。
【0007】
特許文献1においては、携帯電話端末とデジタルカメラとが連携するための技術を開示している。具体的には、デジタルカメラで撮影した画像を携帯電話端末等の受信機器に送る際に、受信機器のアドレスを表すバーコードを受信機器にて表示し、表示されたバーコードをデジタルカメラで撮影し情報を読み取って送信先のアドレスを特定する。
【0008】
特許文献2においては、ネットワークを介して相互に通信可能な制御機器と被制御機器を有し、これらの機器間で相手機器を特定可能な機器特定システムを開示している。具体的には、専用の通信プロトコルを用いてコンテンツを送信する機器が、自機器のIDを受信機器に送信し、受信機器は送られてきたIDの機器に対して送信することにより相手機器を特定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−166660号公報
【特許文献2】特開2010−141816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1の技術では、ユーザが送信元のデジタルカメラと送信先の携帯電話端末とをそれぞれ手動で操作しなければ、送信先の相手を特定することができない。従って、面倒な操作を行わない限り、デジタルカメラから携帯電話端末に写真等のコンテンツを転送できない。
【0011】
また、特許文献2の技術では、送信側の機器と受信側の機器とがそれぞれ赤外線のような指向性を持った近傍通信モジュールを利用し、しかも専用の通信プロトコルを実行しなければならない。このため、専用の通信プロトコルとこれに対応する専用の機能が必要となる。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、汎用的な通信メディアプロトコルを搭載した不特定の機器に対して、再生機器を特定してコンテンツを継続再生させるための操作を簡単に実現可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、コンテンツを再生可能なコンテンツ再生装置であって、再生中のコンテンツを他の機器に転送して継続再生させるために、前記継続再生を行う代理再生機器を特定するための機器固有の識別情報を生成する識別情報生成部と、前記識別情報を含む機器識別用コンテンツを、通信可能な不特定の機器に対して送信する識別情報送信部と、前記機器識別用コンテンツを送信した機器のうちの所定の機器において再生される、前記機器識別用コンテンツの再生情報を取得する再生情報取得部と、前記再生情報取得部が取得した機器識別用コンテンツの再生情報に基づき、継続再生を行わせる代理再生機器を識別する機器識別部と、前記代理再生機器として特定された機器に対して継続再生を行うコンテンツを送信する再生コンテンツ送信部と、を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、汎用的な通信メディアプロトコルを搭載した不特定の機器に対して、再生機器を特定してコンテンツを継続再生させるための操作を簡単に実現可能になる。この際、汎用的な通信メディアプロトコルを搭載した様々な既存の機器をコンテンツ継続再生用の代理機器として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態のコンテンツ再生装置が使用される環境の具体例を示す図
【図2】本実施形態のコンテンツ再生装置及びコンテンツの継続再生を行う他の機器を含むコンテンツ再生システムの機能構成を示すブロック図
【図3】本実施形態のコンテンツ再生装置における動作の概要を示すフローチャート
【図4】図1に示した各機器の動作状態の遷移例を示す図
【図5】識別データ生成の第1例を示す図
【図6】識別データ生成の第2例を示す図
【図7】機器識別用コンテンツの配信例を示す図
【図8】受信側の機器で再生された機器識別用コンテンツをカメラで取得する例を示す図
【図9】図7及び図8に示した機器特定方法の具体例1における各機器の画面表示の状態遷移の例を示す図
【図10】継続再生する機器を特定する方法の具体例2を説明する図
【図11】図10に示した機器特定方法の具体例2における各機器の画面表示の状態遷移の例を示す図
【図12】継続再生する機器の性能を識別する方法の具体例1を説明する図
【図13】継続再生する機器の性能を識別する方法の具体例2を説明する図
【図14】図12に示した機器性能識別方法の具体例1における各機器の画面表示の状態遷移の例を示す図
【図15】本実施形態のコンテンツ再生装置に関する具体的な構成例を示すブロック図
【図16】本実施形態のコンテンツ再生装置における視聴中断検知処理の手順を示すフローチャート
【図17】本実施形態のコンテンツ再生装置における機器固有データ作成処理の手順を示すフローチャート
【図18】本実施形態のコンテンツ再生装置における機器固有データ送信処理の手順を示すフローチャート
【図19】本実施形態のコンテンツ再生装置における機器識別処理の手順を示すフローチャート
【図20】本実施形態のコンテンツ再生装置における機器選択処理の手順を示すフローチャート
【図21】本実施形態のコンテンツ再生装置におけるコンテンツ変換処理の手順を示すフローチャート
【図22】本実施形態のコンテンツ再生装置におけるコンテンツ送信処理の手順を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0016】
<本実施形態の概要説明>
本発明に係るコンテンツ再生装置の具体的な実施形態について説明する前に、本実施形態の概要について説明する。
【0017】
[本実施形態が適用される環境の具体例]
本実施形態では、コンテンツ再生装置として、携帯電話端末等の無線通信部を有する電子機器を使用しているときに、他の機器においてコンテンツの継続再生を行う場合を想定する。また、コンテンツ再生装置と、コンテンツの継続再生を行う他の機器との間で、例えばDLNA(Digital Living Network Alliance )のような汎用的な通信メディアプロトコルを使用する場合を想定する。
【0018】
図1は、本実施形態のコンテンツ再生装置が使用される環境の具体例を示す図である。
【0019】
図1においては、家庭内等において、無線LAN(WLAN)の通信可能圏内の中に隣接する部屋A及び部屋Bが存在し、部屋A内に存在する携帯電話端末100をユーザが使用している状況を想定している。ここで、携帯電話端末100がコンテンツを再生しているコンテンツ再生装置(第1の再生機器)に相当する。また、部屋A内には、携帯電話端末100の他にコンテンツを再生可能な機器(第2の再生機器)201及び202が存在し、部屋B内には、コンテンツを再生可能な機器203が存在している。これらの携帯電話端末100、機器201、202、203は、無線LANによって互いに無線通信可能である。
【0020】
例えば、携帯電話端末100が受信したテレビ番組のようなコンテンツを携帯電話端末100で再生し、携帯電話端末100の表示画面上でユーザがコンテンツを視聴している状況を想定する。ここで携帯電話端末100に対して電話の着信あるいは電子メールの着信が発生すると、ユーザは着信に対して応答しなければならないので、携帯電話端末100はコンテンツの再生を中断することになる。しかし、ユーザはコンテンツの視聴を継続した状態のままで音声通話を行ったり着信メールを閲覧したいと考える場合もある。
【0021】
図1に示す例では、機器201が現在視聴中のコンテンツを再生する機能を搭載しているものとする。この場合、ユーザが視聴しているコンテンツのデータを携帯電話端末100から機器201に対して適当な操作を行って転送すれば、機器201にて該当するコンテンツを継続して再生することが可能であり、ユーザはコンテンツの視聴を継続可能である。
【0022】
しかし、携帯電話端末100及びコンテンツを再生可能な機器201、202、203が汎用性の高いDLNA規格のような通信メディアプロトコルだけしか搭載していない場合には、コンテンツの視聴を継続するために特別な手段及び面倒な操作が必要になる。すなわち、複数の機器201、202、203の中でユーザが希望する機器201を選択して携帯電話端末100の代わりにコンテンツを再生する機器として指定するために様々な操作をユーザが行わざるを得ない。
【0023】
このようなコンテンツの視聴継続のためのユーザの操作を容易にするために、本実施形態のコンテンツ再生装置の機能が図1に示す携帯電話端末100に搭載される。勿論、携帯電話端末100以外の装置に本実施形態のコンテンツ再生装置の機能を搭載することも想定される。
【0024】
[動作の概要の説明]
図2は、本実施形態のコンテンツ再生装置及びコンテンツの継続再生を行う他の機器(代理再生機器)を含むコンテンツ再生システムの機能構成を示すブロック図である。
【0025】
コンテンツ再生システムは、コンテンツ再生装置(第1の再生機器、携帯電話端末100等が該当)としての送信機110と、コンテンツの継続再生を行う代理再生機器(第2の再生機器、機器201が該当)としての受信機220とを有する。
【0026】
送信機110は、識別情報生成部111、コンテンツ送信部112、カメラ部113、マイク部114、機器識別部115を有する。識別情報生成部111は、コンテンツの継続再生を行うためにコンテンツのデータを転送する送信先の代理再生機器を識別するための、事前に決定した機器固有の識別データ(識別情報とも言う)を作成する。コンテンツ送信部112は、識別データを含む機器識別用コンテンツのデータを受信機220に送信する。
【0027】
受信機220は、コンテンツ受信部221、コンテンツ再生部222を有する。コンテンツ受信部221は、送信機110から送信されたコンテンツのデータを受信する。コンテンツ再生部222は、コンテンツ受信部221にて受信したコンテンツを再生する。受信機220は、識別データを含む機器識別用コンテンツを受信した場合、この機器識別用コンテンツを再生する。
【0028】
カメラ部113は、受信機220において再生された機器識別用コンテンツの画像情報を撮影して取得する。マイク部114は、受信機220において再生された機器識別用コンテンツの音声情報を収音して取得する。これらのカメラ部113とマイク部114の少なくとも一方を含む情報入力デバイスが、再生情報取得部の機能を実現する。機器識別部115は、カメラ部113またはマイク部114にて取得された機器識別用のコンテンツの情報に基づき、現在送信機110において再生中のコンテンツを再生可能であって、継続再生を行わせる対象の代理再生機器を識別する。また、機器識別部115は、コンテンツの継続再生を行う機器の機器識別情報をコンテンツ送信部112に出力する。コンテンツ送信部112は、機器識別部115からの機器識別情報に応じて、対象機器に対して継続再生するコンテンツのデータを送信する。ここで、コンテンツ送信部112は、識別情報送信部、再生コンテンツ送信部の機能を実現する。
【0029】
図3は、本実施形態のコンテンツ再生装置における動作の概要を示すフローチャートである。図4は、図1に示した各機器の動作状態の遷移例を示す図である。ここでは、図1の携帯電話端末100が図2における送信機110、図1の機器201が図2における受信機220にそれぞれ相当するものとする。
【0030】
携帯電話端末100(送信機110に相当)において、電話やメール等の着信が発生した場合、携帯電話端末100にて着信を確認する(ステップS101)。ここで、図4に示す表示画面101のように、携帯電話端末100がコンテンツを再生中であった場合には、コンテンツの再生を中断するかまたは他の機器で継続再生する必要がある。
【0031】
コンテンツを継続再生しようとする場合には、携帯電話端末100は、事前に決定した機器固有の識別データを含む機器識別用コンテンツのデータを通信可能な機器201(受信機220に相当)に配信する(ステップS102)。この際、識別情報生成部111にて受信側機器の識別データを生成、保持し、コンテンツ送信部112にて識別データを含む機器識別用コンテンツを送信する。なお、無線LAN通信可能圏内に複数の機器が存在する場合など、通信可能な機器が複数ある場合は、各機器毎に機器固有の識別データを用意し、それぞれの機器に対して配信する。
【0032】
この場合のデータの配信については、プッシュ(PUSH)型情報配信(push-based information delivery )により行う。プッシュ型情報配信(PUSH送信)は、送信側の機器の制御下において、受信側の対象機器に対してデータを送りつけるものである。これにより、ユーザが特別な操作を行わなくても、携帯電話端末100から機器201に対して情報を直接送り届けることができる。受信側の機器では、PUSH再生機能を搭載しているものとする。PUSH再生機能は、送信側の機器の制御下において、PUSH送信により送りつけられたデータを受信して自動再生を行う機能である。この際、コンテンツ受信部221にてコンテンツを受信し、コンテンツ再生部222にて識別データを含む機器識別用コンテンツを再生する。これにより、機器201において携帯電話端末100から受け取った機器識別用コンテンツを自動的に再生することができる。
【0033】
識別データを含む機器識別用コンテンツとしては、画像情報、音情報のうちの少なくとも一つを含むものを使用でき、例えば表示可能な静止画、動画等の映像や音響などが想定される。受信側の機器201に要求される機能については、コンテンツを再生する機能と、汎用的な通信機能と、PUSH再生機能だけであり、既存の様々な機器を利用できる。
【0034】
携帯電話端末100は、情報入力デバイスであるカメラ部113やマイク部114を使用できるように起動する(ステップS103)。そして、カメラ部113やマイク部114から機器201において再生された機器識別用コンテンツの情報を入力する(ステップS104)。つまり、図4に示す機器201が再生している機器識別用コンテンツの映像や音響を、カメラ部113やマイク部114を用いて取得する。
【0035】
機器201が再生する機器識別用コンテンツには、機器固有の識別データが含まれている。従って、携帯電話端末100は、ステップS104でカメラ部113やマイク部114から入力した情報に識別データが含まれているか否かを識別し(ステップS105)、含まれている場合は次のステップS106に進む。
【0036】
携帯電話端末100は、機器識別部115により、ステップS102で送出した機器識別用コンテンツの識別データと、ステップS105で検出した識別データとを比較し、相手側の機器を識別して特定する(ステップS106)。例えば、携帯電話端末100が機器201に対応する識別データを取得した場合、機器識別部115において識別データを取得した機器が機器201であることを特定し、この機器201に対して継続再生用のコンテンツを送信可能と判断する。この場合、コンテンツの継続再生用の機器としてユーザが機器201を選択したものとみなす。
【0037】
そして、携帯電話端末100は、ステップS106で特定した代理再生機器、例えば図4に示す機器201に対して、継続再生すべきコンテンツのデータの配信を開始する(ステップS107)。この場合のデータの配信についてはプッシュ型情報配信(PUSH送信)により行う。
【0038】
以上の動作により、ユーザが特別な操作を行わなくても、携帯電話端末100から機器201に対して情報を直接伝送される。機器201はPUSH再生機能を搭載しているので、機器201において携帯電話端末100から受け取ったコンテンツの再生が自動的に開始される。従って、図4に示す表示画面101で再生されているコンテンツと同じ内容を、機器201の表示画面201aにおいて継続再生することができる。
【0039】
ここで、機器固有の識別データの生成例について説明する。図5は、識別データ生成の第1例を示す図であり、通信可能な他の機器を認識したときに対象機器の識別データを生成する例を示している。この場合、無線LANによる無線通信が可能な領域がWLAN圏内として形成されている状態で、携帯電話端末100が圏外からWLAN圏内に移動した時に、これをトリガとして通信可能な機器を検出し、各機器に対応する識別データの生成を行う。
【0040】
この際、図5のようにWLAN圏内に複数の機器701、702が存在する場合には、それぞれの機器について、認識した機器を特定する機器情報(例えば機器の名称、ID、IPアドレス、MACアドレスなど)を取得し、機器リスト151を作成する。そして、各機器に対応する識別データ152を生成し、機器リスト151と識別データ152とを対応付けて保持することで、内部管理する。
【0041】
図6は、識別データ生成の第2例を示す図であり、継続再生が必要なイベントとして、電話等の着信があったときに対象機器の識別データを生成する例を示している。この場合、携帯電話端末100に電話の着信あるいは電子メールの着信が発生した時に、これをトリガとして通信可能な機器を検出し、各機器に対応する識別データの生成を行う。
【0042】
この際、図6のように複数の機器701、702を認識した場合は、それぞれの機器対応する識別データを生成し、当該機器を特定する機器情報と対応付けて保持する。
【0043】
次に、本実施形態のコンテンツ再生装置及びコンテンツの継続再生を行う他の機器における処理の具体例をいくつか示す。
【0044】
[継続再生する機器を特定する方法の具体例1(画像の識別データ)]
図7及び図8は、継続再生する機器を特定する方法の具体例1を説明する図であり、図7は機器識別用コンテンツの配信例を示す図、図8は、受信側の機器で再生された機器識別用コンテンツをカメラで取得する例を示す図である。
【0045】
本例では、図7及び図8に示すように、送信側の機器として携帯電話端末100が存在し、受信側の機器としてコンテンツを再生可能な機器301、302、303、304が存在する場合を想定する。
【0046】
ここで、図7に示すように、4種類の機器301、302、303、304を識別できるように、携帯電話端末100から機器301、302、303、304に対して、機器固有の識別データを含む機器識別用コンテンツとして、それぞれ異なる画像のコンテンツをPUSH送信により配信する。
【0047】
これにより、機器301、302、303、304はそれぞれ配信された画像のコンテンツを自動的に再生する。例えば、機器301、302、303、304の画面には、それぞれ内容の異なる画像が図7、図8に示すように表示される。ここで、ユーザが携帯電話端末100に搭載されたカメラの撮影方向を機器301、302、303、304のいずれかの画面に向けることにより、1つの画像を撮影して入力することができる。
【0048】
図8に示す例では、携帯電話端末100が受信側の機器302の画面に表示された画像をカメラで撮影しているので、機器302に配信された機器識別用コンテンツの識別データを携帯電話端末100が取得することになる。つまり、携帯電話端末100のカメラで撮影された画像に含まれる識別データを携帯電話端末100が認識し、コンテンツの継続再生先として機器302を特定して選択する。
【0049】
[画面表示の具体例1]
図9は、図7及び図8に示した機器特定方法の具体例1における各機器の画面表示の状態遷移の例を示す図である。図9に示した動作例について以下に説明する。
【0050】
携帯電話端末100の表示画面101には、再生中のコンテンツの画像が表示されている。ここで携帯電話端末100に対して電話の着信が発生すると、コンテンツの再生が中断され、表示画面102のように着信に関する情報が表示される。
【0051】
このとき、携帯電話端末100は、通信可能な機器301、302に対して、それぞれ機器毎に異なる機器固有の識別データを含む機器識別用コンテンツをPUSH送信により配信する。各機器301、302は、PUSH再生機能により、配信された機器識別用コンテンツをそれぞれ自動的に再生し画面に表示する。
【0052】
携帯電話端末100は、機器301、302のいずれかが再生している機器識別用コンテンツの情報をカメラ部やマイク部で取得し、取得した機器識別用コンテンツに含まれる識別データの情報を表示画面103に表示する。図9に示す例では、機器302の画面の表示内容を携帯電話端末100のカメラ部で撮影しているので、携帯電話端末100は選択すべき機器として機器302を認識し特定することができる。但し、最終的な選択の確認をユーザに求めるために、機器302を表す名称(図9の例では「TVモニタ」)を含むメッセージを表示画面104に表示する。
【0053】
ここで、表示画面104上の「OK」のボタンをユーザが操作すると、選択された機器302に対して、携帯電話端末100が再生しているコンテンツのPUSH送信を開始する。これにより、受信側の機器302はコンテンツの継続再生を自動的に開始する。
【0054】
[継続再生する機器を特定する方法の具体例2(音響の識別データ)]
図10は、継続再生する機器を特定する方法の具体例2を説明する図であり、受信側の機器で再生された機器識別用コンテンツをマイクで取得する例を示す模式図である。
【0055】
本例では、図10に示すように、送信側の機器として携帯電話端末100が存在し、受信側の機器としてコンテンツを再生可能な機器401、402が存在する場合を想定する。
【0056】
ここで、図10に示すように、2種類の機器401、402を識別できるように、携帯電話端末100から機器401、402に対して、機器固有の識別データを含む機器識別用コンテンツとして、それぞれ異なる音響のコンテンツをPUSH送信する。
【0057】
これにより、機器401、402はそれぞれ配信された音響のコンテンツを自動的に再生する。例えば、図10に示すように機器401からは「ピピピ」の音響がスピーカから出力され、機器402からは「ガーガー」の音響がスピーカから出力される。
【0058】
ここで、ユーザが携帯電話端末100に搭載されたマイク部を機器401、402に向けることにより、「ピピピ」の音響及び「ガーガー」の音響を入力することができる。携帯電話端末100では、入力された音響の特徴(例えば周波数の違い)により、各機器の識別データを認識し、機器401、402を識別できる。なお、同時に複数の機器401、402の識別データを検出した場合には、各音響を再生するタイミングの違いや、集音するマイクの指向性及び音量等の違いを利用して、機器401、402を区別することができる。
【0059】
[画面表示の具体例2]
図11は、図10に示した機器特定方法の具体例2における各機器の画面表示の状態遷移の例を示す図である。図11に示した動作例について以下に説明する。
【0060】
携帯電話端末100の表示画面101には、再生中のコンテンツの画像が表示されている。ここで携帯電話端末100に対して電話の着信が発生すると、コンテンツの再生が中断され、表示画面102のように着信に関する情報が表示される。
【0061】
このとき、携帯電話端末100は、通信可能な機器501、502に対して、それぞれ機器毎に異なる機器固有の識別データを含む機器識別用コンテンツをPUSH送信する。各機器501、502は、PUSH再生機能により、配信された機器識別用コンテンツをそれぞれ自動的に再生しスピーカから音響として出力する。例えば、識別データに基づき、機器501は「ピピピ」を出力し、機器502は「ガーガー」を出力する。
【0062】
携帯電話端末100は、機器501、502のそれぞれが再生している機器識別用コンテンツの音響情報をマイク部で取得し、取得した機器識別用コンテンツに含まれる識別データの情報を検出し、機器501、502のそれぞれを認識する。図11に示す例では、携帯電話端末100が2つの機器501、502をそれぞれ認識しているため、その認識結果が表示画面103Bに表示される。例えば、認識した機器501に対応する名称「TVモニタ」と、機器502に対応する名称「レコーダ」とが表示画面103Bに表示される。
【0063】
ユーザは、表示画面103Bが表示された状態において、認識された2つの機器のいずれかを選択することができる。表示画面103Bにおいて、ユーザが「1.TVモニタ」を選択した場合には、最終的な選択の確認をユーザに求めるために、機器501を表す名称(図11の例では「TVモニタ」)を含むメッセージを表示画面104に表示する。ここで、表示画面104上の「OK」のボタンをユーザが操作すると、選択された機器501に対して、携帯電話端末100が再生しているコンテンツのPUSH送信を開始する。これにより、受信側の機器501はコンテンツの継続再生を自動的に開始する。
【0064】
[継続再生する機器の性能を識別する方法]
図12は、継続再生する機器の性能を識別する方法の具体例1を説明する図である。携帯電話端末100が再生中のコンテンツをそのまま他の機器において再生できるとは限らない。すなわち、ユーザが使用可能な様々な機器の性能が一様でないため、所望のコンテンツをそのまま他の機器にて再生できる場合もあるし、再生できない場合もある。従って、携帯電話端末100の代わりにコンテンツを継続再生しようとする他の機器について、コンテンツ再生に関する性能を特定する必要がある。
【0065】
図12に示す例では、携帯電話端末100が再生中のコンテンツを、代わりに他の機器600上で継続再生しようとする場合を想定している。この場合、携帯電話端末100は、継続再生を行おうとしている機器600の性能を把握するために、前述の機器識別用コンテンツとして、静止画のコンテンツと、音声のコンテンツと、動画のコンテンツとを順番に機器600に対して配信する。
【0066】
そして、携帯電話端末100は、送信した機器識別用コンテンツに対して実際に機器600が再生したコンテンツの情報を、カメラ部やマイク部を用いて取得することにより、機器600のコンテンツ再生能力を認識できる。例えば、機器600がフォトフレーム装置のように静止画再生のみに対応した機器であれば、音声のコンテンツ及び動画のコンテンツは再生されないので、携帯電話端末100は機器600が静止画対応機器であると認識できる。
【0067】
図13は、継続再生する機器の性能を識別する方法の具体例2を説明する図である。図13に示す例では、携帯電話端末100の近傍に、2つの機器601、602が存在している場合を想定している。機器601は映像対応機器であり、機器602は音声対応機器である。
【0068】
この場合、携帯電話端末100は、上記と同様、継続再生を行おうとしている機器601、602の性能を把握するために、前述の機器識別用コンテンツとして、静止画のコンテンツと、音声のコンテンツと、動画のコンテンツとを順番に機器601、602に対して配信する。そして、携帯電話端末100は、送信した機器識別用コンテンツに対して実際に機器601、602が再生したコンテンツの情報を、カメラ部やマイク部を用いて取得することにより、各機器のコンテンツ再生能力を認識する。本例では、機器601が動画の再生ができる能力を有し、機器602が音声のみ再生できる能力を有することを認識できる。
【0069】
[画面表示の具体例3]
図14は、図12に示した機器性能識別方法の具体例1における各機器の画面表示の状態遷移の例を示す図である。図14に示した動作例について以下に説明する。
【0070】
携帯電話端末100の表示画面101には、再生中のコンテンツの画像が表示されている。ここで携帯電話端末100に対して電話の着信が発生すると、コンテンツの再生が中断され、表示画面102のように着信に関する情報が表示される。
【0071】
このとき、携帯電話端末100は、通信可能な機器600に対して、機器の識別データを含む1番目の機器識別用コンテンツとして動画のコンテンツをPUSH送信する。図14の例では、機器600が配信された動画のコンテンツを再生する能力を有しないため、このコンテンツは表示画面600aでは再生されない。
【0072】
携帯電話端末100は、表示画面600aの出力をカメラ部にて撮影して入力し、正常にコンテンツが再生されていないことを認識する。表示画面105の状態では、携帯電話端末100は機器600が動画再生不可であることを認識する。
【0073】
続いて、携帯電話端末100は、機器600に対して、機器の識別データを含む2番目の機器識別用コンテンツとして静止画のコンテンツをPUSH送信する。図14の例では、機器600が配信された静止画のコンテンツを再生する能力を有しているので、PUSH再生機能により、静止画のコンテンツが表示画面600bにて再生される。
【0074】
携帯電話端末100は、表示画面600bの出力をカメラ部にて撮影して入力し、正常にコンテンツが再生されていることを認識する。表示画面106の状態では、携帯電話端末100は機器600が静止画再生可能であることを認識する。
【0075】
この場合、携帯電話端末100は、機器600の能力に合わせてスライドショーとしてコンテンツを継続再生するかどうかの確認をユーザに求めるために、表示画面107において該当するメッセージを表示する。ここで、表示画面107上の「OK」のボタンをユーザが操作すると、選択された機器600に対して、携帯電話端末100が再生しているコンテンツをスライドショーとしてPUSH送信する。この際、携帯電話端末100は動画のコンテンツを時系列順に並ぶ複数の静止画の集合に変換し、これらの静止画のデータを順次に送信する。これにより、機器600は、静止画のスライドショー、つまり順次に切り替わる静止画群として、表示画面600cにおいてコンテンツを継続再生する。
【0076】
<具体的なコンテンツ再生装置の構成例の説明>
[コンテンツ再生装置の構成]
図15は、本実施形態のコンテンツ再生装置に関する具体的な構成例を示すブロック図である。このコンテンツ再生装置は、図2に示した送信機110の具体例の一つであり、例えば前述の携帯電話端末100等に搭載されるものである。ここでは携帯電話端末100に適用した場合について説明する。
【0077】
コンテンツ再生装置は、メール部11、電話通信部12、マイク部13、カメラ部14、GUI部15、チューナ部16、ファイルシステム部17、スピーカ部18、ディスプレイ部19、機器管理部20、コンテンツ管理部30、WLAN受信部41、WLAN送信部42、DEMUX部43、音声処理部44、映像処理部45を有している。
【0078】
機器管理部20は、視聴中断検知部21、機器識別部22、機器選択部23、機器固有データ作成部24、機器固有データ送信部25を有する。コンテンツ管理部30は、コンテンツ送信部31、コンテンツ変換部32を有する。
【0079】
なお、図15に示した各構成要素のうち、制御系の各機能に関する機能ブロックは、図示しないマイクロコンピュータとそれが実行するプログラムによって実現される。勿論、専用のハードウェアを用いて実現することもできる。
【0080】
メール部11は、インターネット等のネットワーク上に存在するサーバとの間で通信を行い、電子メールのメッセージに関する送信や受信の処理を行う。電子メールを受信した場合にはメール着信のイベントがメール部11により検出される。
【0081】
電話通信部12は、無線通信により携帯電話の通信網との間で回線を接続し、ユーザの音声通話に関する機能を実現する。本コンテンツ再生装置に相当する携帯電話端末100に対して任意の端末から呼び出しがあると、音声通話の着信を表すイベントが電話通信部12により検出される。
【0082】
マイク部13は、音響すなわち空気振動の波形を電気信号に変換するマイクロホン等の音響入力デバイスと、この電気信号を処理する信号処理部とを内蔵している。つまり、マイク部13は携帯電話端末100の筐体の外側で発生した音声等の音響波形を入力し処理に適したデジタル音声信号に変換して出力する。
【0083】
カメラ部14は、例えばCMOS型またはCCD型イメージセンサのような撮像デバイスと、撮像信号を処理する信号処理部とを内蔵している。つまり、カメラ部14は任意の被写体を撮影して静止画や動画の映像信号を生成し、この映像信号を処理に適したデジタル画像信号に変換して出力する。ここで、マイク部13、カメラ部14の少なくとも一方が再生情報取得部としての機能を実現する。
【0084】
GUI(グラフィカルユーザインタフェース)部15は、ユーザの操作入力、及びユーザに対する出力に関する画像オブジェクトの生成、実行処理を行うためのインタフェースである。例えば、その時の状況に応じて適当な操作ボタンをディスプレイ部19の画面上にグラフィック表示したり適当なメッセージを表示し、ユーザの操作入力に対して適切な入力処理を実行する。
【0085】
チューナ部16は、テレビ放送のコンテンツを電波を受信して、受信した信号から再生可能な動画像や音声等のコンテンツのデータを生成、出力するための処理を行う。
【0086】
ファイルシステム(File System )部17は、チューナ部16が過去に受信して得たコンテンツのデータを再生可能なファイルとして保持したり、予めユーザが用意したコンテンツのデータを再生可能なファイルとして保持するための機能を有する。
【0087】
スピーカ部18は、音声等の電気信号を音響に変換して出力する。例えば、携帯電話端末100が再生するコンテンツに含まれる音声等の音響情報や、音声通話時に受信した通話相手の音声等がスピーカ部18から音として出力される。
【0088】
ディスプレイ部19は、例えば液晶表示器等により構成された表示画面を有しており、文字、図形、画像等を可視情報として表示することができる。ディスプレイ部19は、携帯電話端末100が再生するコンテンツに含まれる静止画、動画や、ユーザに対するメッセージなどの情報を表示するために利用される。
【0089】
WLAN受信部41は、携帯電話端末100に備わった無線LAN通信インタフェースを介して無線LANの通信圏内に存在する他の機器との間で通信を行い、受信した信号を機器管理部20に入力する。同様に、WLAN送信部42は、無線LANの通信圏内に存在する他の機器に対してデータを送信する。
【0090】
なお、WLAN受信部41、WLAN送信部42は、DLNAガイドラインの仕様に従った通信を行う機能を有している。すなわち、無線LANを用いて、DLNAを含む既にある標準規格や汎用プロトコルの組み合わせによる通信が行われる。従って、コンテンツの継続再生に関して、特有の通信プロトコルは採用しておらず、DLNA規格に適合した既存の様々な機器との間で通信が可能である。
【0091】
機器管理部20は、本コンテンツ再生装置(携帯電話端末100)と連携して動作可能な他の機器を管理するための処理を行う。
【0092】
機器管理部20の視聴中断検知部21は、携帯電話端末100において再生中のコンテンツに関する視聴中断を検出する。例えば、メール部11でメール着信のイベントが発生した時や、電話通信部12で電話の着信イベントが発生した時に、コンテンツの再生が中断されるので、それを視聴中断検知部21が検出する。
【0093】
機器識別部22は、マイク部13やカメラ部14が取得した識別データの情報に基づいて、継続再生を行わせる代理再生機器を含む通信可能な相手機器の識別を行う。相手機器とは、例えば図8に示した各機器301〜304のそれぞれに相当する。
【0094】
機器選択部23は、携帯電話端末100の代わりにコンテンツを再生可能な他の機器が1つ以上存在する場合に、その中からコンテンツの継続再生に使用する代理再生機器を選択して特定する。使用する代理再生機器を決定する際に、機器選択部23はGUI部15に対するユーザの入力操作を受け付ける。
【0095】
機器固有データ作成部24は、識別情報生成部の機能を実現するものであり、識別データとしての機器固有データを作成する。機器固有データ作成部24は、コンテンツを再生可能な他の機器と携帯電話端末100との間で通信できる場合に、機器毎にそれを特定可能な機器固有データを作成する。
【0096】
機器固有データ送信部25は、識別情報送信部の機能を実現するものであり、識別データとしての機器固有データを送信する。機器固有データ送信部25は、機器管理部20がコンテンツの継続再生に使用する機器を特定しようとする時に、それぞれの機器に対して、機器固有データ作成部24が作成した該当する機器固有データを含む機器識別用コンテンツを送信する。この場合のコンテンツデータの送信は、WLAN送信部42を利用してプッシュ型情報配信により行う。
【0097】
コンテンツ管理部30は、再生中のコンテンツを他の機器を利用して継続再生する場合に、該当するコンテンツの管理を行う。
【0098】
コンテンツ管理部30のコンテンツ送信部31は、再生コンテンツ送信部の機能を実現するものであり、継続再生するコンテンツのデータを機器選択部23が選択した機器に対して送信する。この場合のコンテンツデータの送信は、WLAN送信部42を利用してプッシュ型情報配信により行う。
【0099】
コンテンツ変換部32は、コンテンツの継続再生に使用する機器の再生能力に応じて、必要な場合に送信するコンテンツの変換を行う。コンテンツ変換部32は、該当する機器がコンテンツを再生できるように、動画をダイジェストの静止画群に変換したり、コンテンツのコーデックの種類やデータ形式を変換したり、画像のフレームサイズを変換したり、音声の有無等を変更する。
【0100】
DEMUX(デマルチプレクサ)部43は、複数の信号が多重化された状態で入力される入力信号からそれぞれの信号成分を分離して出力する。例えば、動画コンテンツのデータのように、映像の信号と音声の信号とが多重化されたコンテンツの場合には、DEMUX部43からは映像のデータと音声のデータとを互いに分離されて出力される。
【0101】
音声処理部44は、音声等の音響を含むコンテンツを再生する時に、DEMUX部43から出力される音声のデータを入力し、復号処理した後、デジタル/アナログ変換を行って音声信号を生成する。この音声信号がスピーカ部18に出力される。
【0102】
映像処理部45は、静止画や動画の映像を含むコンテンツを再生する時に、DEMUX部43から出力される映像のデータを入力し、復号処理した画像信号をディスプレイ部19に出力する。
【0103】
チューナ部16またはファイルシステム部17から出力されるコンテンツを携帯電話端末100にて再生する場合には、コンテンツの映像がディスプレイ部19の画面に表示され、コンテンツの音声がスピーカ部18から音響として出力される。また、コンテンツの継続再生を行う場合に、コンテンツ管理部30のコンテンツ送信部31が他の機器に送信するコンテンツについては、DEMUX部43の出力または音声処理部44及び映像処理部45の出力から取り出され、コンテンツ変換部32にて変換処理されてから送信される。
【0104】
[コンテンツ再生装置の動作]
図15に示したコンテンツ再生装置が、コンテンツの再生を中断して他の機器において同じコンテンツを継続再生させる場合の動作の概要については前述の通りである。より詳細な動作について以下に説明する。
【0105】
(視聴中断検知の動作)
図16は、本実施形態のコンテンツ再生装置における視聴中断検知処理の手順を示すフローチャートである。この視聴中断検知処理は、機器管理部20の視聴中断検知部21が実行する。
【0106】
視聴中断検知部21は、メール部11、電話通信部12、GUI部15のそれぞれの状態を監視し、視聴中断要因に関する何らかのイベントの発生を確認する(ステップS11)。そして、視聴中断検知部21は、視聴中断要因の有無を判定し(ステップS12)、視聴中断要因があった場合はそれを検知する。
【0107】
例えば、電子メールの着信が発生した場合や、電話の着信が発生した場合や、ユーザの入力操作によって視聴中断が発生した場合には、ステップS11の監視及びステップS12の判断の結果、視聴中断要因有とみなされるので、ステップS13に進む。
【0108】
そして、視聴中断検知部21は、「視聴中断要因有」を表す情報を機器固有データ送信部25に通知する(ステップS13)。
【0109】
(機器固有データ作成処理)
図17は、本実施形態のコンテンツ再生装置における機器固有データ作成処理の手順を示すフローチャートである。この機器固有データ作成処理は、機器管理部20の機器固有データ作成部24が実行する。
【0110】
機器固有データ作成部24は、WLAN受信部41の状態を監視して、DLNAにより接続された通信可能な機器の有無を確認し、接続機器を検出する(ステップS21)。例えば図1に示す状況では、携帯電話端末100と同じWLAN圏内に他の機器201、202、203が存在しているので、これらがDLNA規格に対応している場合には、機器201〜203は通信可能な機器として検出される。
【0111】
そして、機器固有データ作成部24は、識別データとしての機器固有データを既に作成した機器の他に、ステップS21で新たな機器を検出したか否かを識別する(ステップS22)。ステップS23に進む。
【0112】
次いで、機器固有データ作成部24は、ステップS22にて新規機器有と判定した場合、各々の機器に対してそれを識別するため識別情報を含む機器固有データを作成し、この機器固有データを該当する機器に割り当てる(ステップS23)。機器固有データ作成部24が作成する機器固有データは、各機器が再生できるように、音声、静止画、動画等のコンテンツとする。
【0113】
機器識別用コンテンツに含める識別情報の具体例としては、静止画や動画等の画像情報の場合、表示色、表示輝度、QRコード、バーコードなどが想定される。すなわち、画像情報としては、色、輝度、濃淡分布などの要素のうち、少なくともいずれか一つを利用する。表示色の違いを識別情報として利用する場合には、例えば図7のように映像を再生表示可能な機器として4つの機器301〜304が存在する場合に、機器301、302、303、及び304に、それぞれ黄色、ピンク、青色、及び緑色などのコンテンツ表示色を割り当てることが考えられる。濃淡分布を識別情報として利用する場合には、例えばQRコードやバーコードなどによって各機器の識別情報を設定する。
【0114】
これにより、コンテンツの継続再生に使用可能な機器が複数存在する場合であっても、各機器に表示される機器識別用コンテンツの違い(異なる画像情報による識別情報)を、コンテンツ再生装置側で容易に区別することが可能になる。
【0115】
また、機器識別用コンテンツに含める識別情報の具体例として、音声(音響)情報の場合、音の周波数の違いで表現することも考えられるし、該当する機器の特徴を表す特別なシグナル音(例えば音のエンべローブ、発音リズム等が異なるものなど)を用いることも考えられる。また、音の周波数軸特性と時間軸特性の組合せで特徴を持たせてもよい。例えば、図10に示す例のように、機器401に対しては「ピピピ」の音を割り当て、機器402に対しては「ガーガー」の音を割り当てることが考えられる。
【0116】
これにより、コンテンツの継続再生に使用可能な機器が複数存在する場合であっても、各機器にて再生される機器識別用コンテンツの違い(異なる音響情報による識別情報)を、コンテンツ再生装置側で容易に区別することが可能になる。
【0117】
また、機器識別用コンテンツとして、機器固有の識別情報を含む映像と、機器固有の識別情報を含む音響とを組み合わせて利用してもよい。
【0118】
(機器固有データを作成するタイミング)
機器管理部20の機器固有データ作成部24が図17に示した機器固有データ作成処理を実行するタイミングについては、格別に規定する必要はないが、現実的には以下に示す例のようなタイミングで処理することが想定される。
【0119】
(例1)
図5に示したように、無線LANの通信可能な領域がWLAN圏内として形成されている状態で、携帯電話端末100が圏外からWLAN圏内に移動した時に、これをトリガとして検出し、機器固有データ作成処理を実行する。この際、図5のようにWLAN圏内に複数の機器701、702が存在する場合には、それぞれの機器について固有の識別データを作成し、機器リストを作成する。
【0120】
(例2)
図6に示したように、携帯電話端末100に電話の着信あるいは電子メールの着信が発生した時に、これをトリガとして検出し、機器固有データ作成処理を実行する。また、着信が発生した場合はコンテンツの視聴中断が発生する可能性があり、中断が発生した場合には、機器固有データ作成処理を実行した後で次に説明する機器固有データ送信処理を実行し、各機器701、702に対して個別に機器固有データを含む機器識別用コンテンツを送信する。
【0121】
上記のように、コンテンツ再生装置の機器固有データ作成部(識別情報生成部)24は、新たな通信可能な機器を検出する毎に、機器毎に独立した固有の識別情報を作成し、作成した識別情報を当該機器に対応付けるように動作する。
【0122】
従って、コンテンツの継続再生に使用する候補の機器として複数の機器が存在する場合であっても、コンテンツ再生装置側で複数の機器をそれぞれ別々に認識することができる。また、コンテンツ再生装置側で識別情報を作成するので、相手側の機器に特別な機能を搭載する必要がないため、既存の機器をコンテンツの継続再生に利用できる。更に、相手側の機器に対してユーザが特別な入力操作を行う必要もない。
【0123】
(機器固有データ送信処理)
図18は、本実施形態のコンテンツ再生装置における機器固有データ送信処理の手順を示すフローチャートである。この機器固有データ送信処理は、機器管理部20の機器固有データ送信部25が実行する。
【0124】
機器固有データ送信部25は、視聴中断検知部21から送信される視聴中断要因有の通知を確認する(ステップS31)。次に、機器固有データ送信部25は、携帯電話端末100との間で通信可能な機器に対して、該当する機器向けに作成され割り当てられた機器固有データを機器識別用コンテンツとして送信する(ステップS32)。この場合のコンテンツデータの送信は、WLAN送信部42を利用してプッシュ型情報配信により行う。
【0125】
そして、機器固有データ送信部25は、通信可能な機器の中に機器固有データを未送信の機器が存在するか否かを判定する(ステップS33)。ここで、未送信の機器が存在する場合は、ステップS32に戻り該当する機器に対して機器固有データを送信する。
【0126】
つまり、携帯電話端末100との間で通信可能な全ての機器のそれぞれに対して機器固有データを機器識別用コンテンツとして送信する。例えば図7に示す状況においては、この機器固有データ送信処理によって、携帯電話端末100から機器301〜304のそれぞれに対して、機器毎に異なる機器固有データ(識別情報)を含む機器識別用コンテンツが配信される。
【0127】
なお、機器固有データ送信部25が機器固有データ送信処理において各機器に送信する機器識別用コンテンツについては1種類に限らない。それぞれの機器のコンテンツ再生能力がまちまちであるため、送信したコンテンツを該当する機器が実際に再生できるか否かは不明である。そこで、各機器の再生能力を知るために、機器固有データとして様々な種類の機器識別用コンテンツを送信する。例えば、図12に示した例では、静止画と、音声と、動画の3種類の機器識別用コンテンツを順番に送信する場合を想定している。
【0128】
(機器識別処理)
図19は、本実施形態のコンテンツ再生装置における機器識別処理の手順を示すフローチャートである。この機器識別処理は、機器管理部20の機器識別部22が実行する。
【0129】
機器識別処理は、機器固有データ送信部25による機器固有データ送信処理が終了した後で実行される。例えば、例えば図7に示す状況で機器301〜304のそれぞれに機器固有データを含む機器識別用コンテンツを配信すると、それぞれの機器301〜304が配信された機器識別用コンテンツをそれぞれ自動的に再生(PUSH再生)し、図8に示すような状況になる。この状態で図19の機器識別処理が実行される。
【0130】
機器識別部22は、マイク部13及びカメラ部14を用いて機器固有データを取得する(ステップS41)。
【0131】
例えば図8に示す状況において、機器301〜304に配信された機器識別用コンテンツが画像を含む場合には、機器301〜304で再生された画像をそれぞれ携帯電話端末100のカメラ部14で撮影し、取得した情報を機器識別部22に入力することができる。この場合、機器301〜304が再生する機器識別用コンテンツには、各々の機器を特定可能な機器固有データ(識別情報)が例えば画像の表示色の違い等として含まれており、これらの機器固有データを取得できる。
【0132】
次いで、機器識別部22は、取得した機器固有データに基づき、この機器固有データを再生した対象機器、すなわち継続再生用のコンテンツの受信機器(コンテンツ送信対象機器)を特定する(ステップS42)。この際、機器固有データ送信部25が各機器に送信した機器固有データと、機器識別部22が取得した機器固有データとを比較して、一致する機器を特定する。
【0133】
例えば図8に示す状況において、機器301〜304に表示された機器識別用コンテンツの表示色がそれぞれ黄色、ピンク、青色、及び緑色であった場合を想定する。ここで、ユーザが携帯電話端末100のカメラを所望の機器の画面に向けることにより、黄色、ピンク、青色、及び緑色のいずれかを含む表示画像を撮影することができる。撮影された画像の表示色がピンクであった場合には、機器固有データ送信部25が機器302に送信した機器固有データ(ピンク)と、機器識別部22が取得した機器固有データ(ピンク)とが一致するので、受信機器(コンテンツ送信対象機器)が機器302であると特定される。
【0134】
そして、機器識別部22は、取得した機器固有データの種別を識別する(ステップS43)。
【0135】
例えば、図12に示すように、静止画、音声、動画の機器識別用コンテンツを順番に配信した場合には、これらの機器識別用コンテンツのデータをステップS41で取得可能である。しかし、実際には該当する機器の能力の違いにより再生されない場合もあり、全ての種類の機器識別用コンテンツの機器固有データを取得できるとは限らない。そこで、実際に取得した機器固有データの種別をステップS43で識別する。
【0136】
ここで、動画のデータを取得した場合は、機器識別部22は該当する機器が動画対応である、すなわち動画のコンテンツを再生する能力を有していると認識する(ステップS44)。また、静止画のデータを受信した場合は、機器識別部22は該当する機器が静止画対応である、すなわち静止画のコンテンツを再生する能力を有していると認識する(ステップS45)。また、音声のデータを受信した場合は、機器識別部22は該当する機器が音声対応である、すなわち音声のコンテンツを再生する能力を有していると認識する(ステップS46)。
【0137】
このように、コンテンツ再生装置の機器識別部22は、情報入力デバイスとして、画像を撮影して電気信号に変換する撮像デバイス(カメラ部14)と、音響を電気信号に変換する音響入力デバイス(マイク部13)の少なくとも一方を使用する。これらの撮像デバイスと音響入力デバイスの少なくとも一方を含む情報入力デバイスが、再生情報取得部としての機能を実現する。
【0138】
撮像デバイスを利用することにより、静止画や動画の映像のコンテンツを再生可能な機器を、その機器の再生画面に表示された映像に含まれる識別情報に基づき、認識することができる。また、音響入力デバイスを利用することにより、音声や音楽等の音響のコンテンツを再生可能な機器を、その機器のスピーカ部等から再生出力される音響に含まれる識別情報に基づき、認識することができる。
【0139】
上記のように、コンテンツ再生装置の機器固有データ送信部(識別情報送信部)25は、機器識別用コンテンツとして、音声情報の有無、静止画/動画の区分、画像サイズ、コーデックの種別、ファイルフォーマットの種別などを示す再生能力識別用データを含むコンテンツを送信する。例えば、これらの再生能力識別用データの種別のうちの少なくとも1つが違う、種類の異なる複数の再生能力識別用のコンテンツを各々の機器に対して送信する。そして、機器識別部22は、情報入力デバイスを用いて取得した機器識別用コンテンツの再生情報に基づいて、該当する機器の再生能力の違いを自動的に識別する。例えば、図12に示す例のように、静止画の機器識別用コンテンツと、音声の機器識別用コンテンツと、動画の機器識別用コンテンツとをそれぞれ送信し、再生されたコンテンツを取得することにより、相手側の機器がいずれの種類のコンテンツに対応しているのかを、コンテンツ再生装置側で認識可能になる。
【0140】
(機器選択処理)
図20は、本実施形態のコンテンツ再生装置における機器選択処理の手順を示すフローチャートである。この機器選択処理は、機器管理部20の機器選択部23が実行する。
【0141】
機器選択部23は、GUI部15に対するユーザの入力操作を監視して決定キーの操作入力を確認し、選択された機器を決定する(ステップS51)。図19に示した機器識別処理によってコンテンツの継続再生に使用する候補の機器が1つまたは複数特定されるので、候補の機器の中から選択された最終的に使用する機器を、ステップS51にて確認する。
【0142】
例えば、1つの機器だけが候補として検出された場合には、図9のようなユーザの最終確認を求める画面104を表示して、「OK」ボタンがユーザによって操作された操作入力を受け付ける。また、複数の機器が候補として検出された場合には、図11の画面103Bのように候補の機器を一覧表示してユーザの選択操作入力を受け付ける。
【0143】
次いで、機器選択部23は、決定された特定の受信機器(代理再生機器)について、コンテンツ再生能力に関する情報を取得し、コンテンツの対応状況を確認する(ステップS52)。この際、該当する機器について、図19の各ステップS44、S45、S46で認識された結果を表す情報を取得する。
【0144】
そして、機器選択部23は、上記選択された受信機器を表す受信機器情報をコンテンツ管理部30に通知する(ステップS53)。通知する受信機器情報の具体例としては、例えば機器のIPアドレス等が想定される。
【0145】
また、機器選択部23は、上記選択された受信機器のコンテンツ対応状況(コンテンツ再生能力)に関する情報をコンテンツ管理部30に通知する(ステップS54)。例えば、該当する機器が動画、静止画、音声のそれぞれのコンテンツを再生する能力を有しているか否かを表す情報、機器が対応しているデータのフォーマットなどを通知する。
【0146】
(コンテンツ変換処理)
図21は、本実施形態のコンテンツ再生装置におけるコンテンツ変換処理の手順を示すフローチャートである。このコンテンツ変換処理は、コンテンツ管理部30のコンテンツ変換部32が実行する。
【0147】
コンテンツ変換部32は、機器管理部20から通知されるコンテンツ対応状況の情報を確認し、コンテンツの継続再生に使用する機器のコンテンツ再生能力を認識する(ステップS61)。この際、送信先として選択された機器が、例えば動画、静止画、音声の各コンテンツに対応した再生能力を有しているか否かを把握する。
【0148】
次いで、コンテンツ変換部32は、継続再生するコンテンツのデータをDEMUX部43の出力または音声処理部44、映像処理部45の出力から取得する(ステップS62)。
【0149】
そして、コンテンツ変換部32は、処理対象のコンテンツが例えば映像と音声とで構成される動画であるような場合に、コンテンツを構成する映像と音声とを分離する必要があるか否かを判定する(ステップS63)。コンテンツ変換部32は、コンテンツを分離する必要がある場合には、入力されたコンテンツを映像と音声とに分離する(ステップS64)。
【0150】
また、コンテンツ変換部32は、選択された機器上で継続再生するコンテンツを送信前にデータ変換する必要があるか否かを判定する(ステップS65)。この際、該当するコンテンツの種類と送信先の機器のコンテンツ再生能力とを比較する。例えば、継続再生するコンテンツの種類が動画である場合に、継続再生に使用する送信先の機器が静止画の再生だけにしか対応していない場合は、動画のコンテンツを再生できないのでコンテンツ変換の必要性ありと認識する。
【0151】
コンテンツ変換部32は、コンテンツを変換する必要がある場合には、送信先の機器のコンテンツ再生能力に合わせてコンテンツのデータを変換する(ステップS66)。例えば、継続再生するコンテンツが動画の場合に、送信先の機器が静止画の再生だけにしか対応していない場合は、動画の代わりにスライドショーとして再生可能な複数の静止画を含むダイジェストのコンテンツを生成する。つまり、動画のコンテンツデータを入力し、この動画の代表的なシーンをそれぞれ表す静止画の集合に変換する。
【0152】
次に、コンテンツ変換部32は、処理後のコンテンツのデータをコンテンツ送信部31に受け渡す(ステップS67)。
【0153】
上記のように、コンテンツ再生装置のコンテンツ変換部32は、代理再生機器として選択した機器の再生能力の違いに応じて送信対象のコンテンツのデータを変換する。これにより、再生能力の異なる様々な機器を利用して、コンテンツの継続再生を望ましい状態で行うことが可能になる。
【0154】
(コンテンツ送信処理)
図22は、本実施形態のコンテンツ再生装置におけるコンテンツ送信処理の手順を示すフローチャートである。このコンテンツ送信処理は、コンテンツ管理部30のコンテンツ送信部31が実行する。
【0155】
コンテンツ送信部31は、機器管理部20から通知される受信機器情報を確認し、コンテンツの継続再生に使用する送信先の機器を特定する情報、例えば該当する機器のIPアドレスを取得する(ステップS71)。
【0156】
次いで、コンテンツ送信部31は、継続再生するコンテンツのデータをコンテンツ変換部32から受け取る(ステップS72)。
【0157】
そして、コンテンツ送信部31は、ステップS72で受け取ったコンテンツのデータを、ステップS71で特定した送信先の代理再生機器(受信機器)に対して送信する(ステップS73)。この場合のコンテンツデータの送信は、WLAN送信部42を利用してプッシュ型情報配信により行う。
【0158】
このように、コンテンツ再生装置は、機器固有データ送信部25が機器識別用定コンテンツを不特定の通信可能な各機器に送信する場合、プッシュ型情報配信によって送信する。また、コンテンツ送信部31が継続再生を行うコンテンツを代理再生機器として選択された特定の機器に対して送信する場合、プッシュ型情報配信によって送信する。この際、DLNA等の汎用的な通信規格におけるプッシュ型情報配信プロトコルを用いてデータを送りつける(PUSH送信する)。これにより、ユーザが相手側の機器に対して特別な操作を行わなくても、該当する機器はPUSH再生機能により受け取ったコンテンツを自動的に再生することができる。従って、コンテンツを他の機器で継続再生させる場合のユーザの操作性が大幅に向上する。
【0159】
上述したように、本実施形態によれば、DLNA等の汎用性の高い通信メディアプロトコルを搭載した不特定の機器の中から、代理再生を行う機器を特定し、コンテンツを転送して継続再生することができる。この際、相手側の機器において特別な機能及び構成を備える必要がなく、またユーザの操作を簡単にでき、継続再生する機器の特定、コンテンツの転送を行うことができる。また、相手側の機器においては、ユーザの操作が不要である。よって、汎用性の高い通信メディアプロトコルを搭載した様々な既存の機器を代理再生機器の候補として利用できる。
【0160】
本発明に係る実施形態の種々の態様として、以下のものが含まれる。
【0161】
コンテンツを再生可能なコンテンツ再生装置であって、再生中のコンテンツを他の機器に転送して継続再生させるために、前記継続再生を行う代理再生機器を特定するための機器固有の識別情報を生成する識別情報生成部と、前記識別情報を含む機器識別用コンテンツを、通信可能な不特定の機器に対して送信する識別情報送信部と、前記機器識別用コンテンツを送信した機器のうちの所定の機器において再生される、前記機器識別用コンテンツの再生情報を取得する再生情報取得部と、前記再生情報取得部が取得した機器識別用コンテンツの再生情報に基づき、継続再生を行わせる代理再生機器を識別する機器識別部と、前記代理再生機器として特定された機器に対して継続再生を行うコンテンツを送信する再生コンテンツ送信部と、を備えるコンテンツ再生装置。
上記構成により、相手機器において特別な機能及び構成を備える必要がなく、汎用的な通信メディアプロトコルを搭載した不特定の機器に対して、代理再生機器を特定してコンテンツを継続再生させるための操作を簡単に実現可能になる。
【0162】
上記のコンテンツ再生装置であって、前記機器識別部は、それぞれの機器に対して送信した機器識別用コンテンツの識別情報と、前記再生情報取得部が取得した機器識別用コンテンツの再生情報とを比較し、前記代理再生機器を識別する、コンテンツ再生装置。
上記構成により、自装置が相手機器へ送信した機器識別用コンテンツの識別情報と、対象の相手機器にて再生され自装置にて取得した機器識別用コンテンツの再生情報とを比較することで、継続再生を行わせる代理再生機器を識別し、特定することが可能となる。
【0163】
上記のコンテンツ再生装置であって、前記識別情報生成部は、通信可能な他の機器を検出した場合、あるいは継続再生が必要なイベントが発生した場合の少なくともいずれか一方において、機器毎に前記識別情報を生成する、コンテンツ再生装置。
上記構成により、必要に応じて各機器の識別情報を生成し、継続再生を行う際に対象機器へ識別情報を含む機器識別用コンテンツを送信することが可能となる。
【0164】
上記のコンテンツ再生装置であって、前記識別情報送信部は、前記機器識別用コンテンツをプッシュ型情報配信プロトコルによって送信し、前記再生コンテンツ送信部は、前記継続再生を行うコンテンツをプッシュ型情報配信プロトコルによって送信する、コンテンツ再生装置。
上記構成により、機器識別用コンテンツ及び継続再生を行うコンテンツを、プッシュ型情報配信プロトコルによって送信することで、受信側の相手機器ではPUSH再生機能により配信されたコンテンツを自動的に再生可能である。
【0165】
上記のコンテンツ再生装置であって、前記識別情報は、画像情報、音情報のうちの少なくとも一つを含む、コンテンツ再生装置。
上記構成により、画像情報、音情報等を含む機器識別用コンテンツによって代理再生機器を識別し、特定することが可能である。
【0166】
上記のコンテンツ再生装置であって、前記再生情報取得部は、前記識別情報の画像情報を取得する撮像デバイスと、前記識別情報の音情報を取得する音響入力デバイスとのうちの、少なくとも一方を含む情報入力デバイスを有する、コンテンツ再生装置。
上記構成により、相手機器にて再生された画像情報または音情報を含む機器識別用コンテンツの再生情報を取得可能である。
【0167】
上記のコンテンツ再生装置であって、前記機器識別部は、前記再生情報取得部が取得した機器識別用コンテンツの再生情報に基づき、前記代理再生機器として選択する機器におけるコンテンツの再生能力を認識する、コンテンツ再生装置。
上記構成により、相手機器にて再生された機器識別用コンテンツによって、再生可能なコンテンツを識別し、相手機器のコンテンツ再生能力を認識可能となる。例えば、複数の種別やデータ形式の異なる機器識別用コンテンツを送信し、再生可能なコンテンツを認識することにより、コンテンツの再生能力を認識できる。
【0168】
上記のコンテンツ再生装置であって、前記機器識別部にて認識された前記代理再生機器におけるコンテンツの再生能力に応じて、前記継続再生するコンテンツの変換を行うコンテンツ変換部を有する、コンテンツ再生装置。
上記構成により、代理再生機器においてコンテンツ再生能力に応じて変換されたコンテンツを再生可能となる。
【0169】
コンテンツを再生可能なコンテンツ再生装置において、再生中のコンテンツを他の機器に転送して継続再生させる代理再生機器を特定するための代理再生機器特定方法であって、前記継続再生を行う代理再生機器を特定するための機器固有の識別情報を生成するステップと、前記識別情報を含む機器識別用コンテンツを、通信可能な不特定の機器に対して送信するステップと、前記機器識別用コンテンツを送信した機器のうちの所定の機器において再生される、前記機器識別用コンテンツの再生情報を取得するステップと、前記再生情報取得部が取得した機器識別用コンテンツの再生情報に基づき、継続再生を行わせる代理再生機器を識別するステップと、前記代理再生機器として特定された機器に対して継続再生を行うコンテンツを送信するステップと、を有する代理再生機器特定方法。
【0170】
上記の代理再生機器特定方法の各ステップを、コンピュータにより実行させるプログラム。
【0171】
なお、本発明は、本発明の趣旨ならびに範囲を逸脱することなく、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が様々な変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0172】
本発明は、汎用的な通信メディアプロトコルを搭載した不特定の機器に対して、再生機器を特定してコンテンツを継続再生させるための操作を簡単に実現可能になる効果を有し、ユーザが視聴している画像、音楽等のコンテンツを別の機器で継続して再生させる機能を持つコンテンツ再生装置、及び代理再生機器特定方法等として有用である。
【符号の説明】
【0173】
11 メール部
12 電話通信部
13 マイク部
14 カメラ部
15 GUI部
16 チューナ部
17 ファイルシステム部
18 スピーカ部
19 ディスプレイ部
20 機器管理部
21 視聴中断検知部
22 機器識別部
23 機器選択部
24 機器固有データ作成部(識別情報生成部)
25 機器固有データ送信部(識別情報送信部)
30 コンテンツ管理部
31 コンテンツ送信部
32 コンテンツ変換部
41 WLAN受信部
42 WLAN送信部
43 DEMUX部
44 音声処理部
45 映像処理部
100 携帯電話端末(第1の再生機器、コンテンツ再生装置)
110 送信機
111 識別情報生成部
112 コンテンツ送信部(識別情報送信部、再生コンテンツ送信部)
113 カメラ部(再生情報取得部)
114 マイク部(再生情報取得部)
115 機器識別部
201、202、203、301、302、303、304、401、402、501、502、600、601、602 機器(第2の再生機器)
220 受信機
221 コンテンツ受信部
222 コンテンツ再生部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツを再生可能なコンテンツ再生装置であって、
再生中のコンテンツを他の機器に転送して継続再生させるために、前記継続再生を行う代理再生機器を特定するための機器固有の識別情報を生成する識別情報生成部と、
前記識別情報を含む機器識別用コンテンツを、通信可能な不特定の機器に対して送信する識別情報送信部と、
前記機器識別用コンテンツを送信した機器のうちの所定の機器において再生される、前記機器識別用コンテンツの再生情報を取得する再生情報取得部と、
前記再生情報取得部が取得した機器識別用コンテンツの再生情報に基づき、継続再生を行わせる代理再生機器を識別する機器識別部と、
前記代理再生機器として特定された機器に対して継続再生を行うコンテンツを送信する再生コンテンツ送信部と、
を備えるコンテンツ再生装置。
【請求項2】
請求項1に記載のコンテンツ再生装置であって、
前記機器識別部は、それぞれの機器に対して送信した機器識別用コンテンツの識別情報と、前記再生情報取得部が取得した機器識別用コンテンツの再生情報とを比較し、前記代理再生機器を識別する、コンテンツ再生装置。
【請求項3】
請求項1に記載のコンテンツ再生装置であって、
前記識別情報生成部は、通信可能な他の機器を検出した場合、あるいは継続再生が必要なイベントが発生した場合の少なくともいずれか一方において、機器毎に前記識別情報を生成する、コンテンツ再生装置。
【請求項4】
請求項1に記載のコンテンツ再生装置であって、
前記識別情報送信部は、前記機器識別用コンテンツをプッシュ型情報配信プロトコルによって送信し、
前記再生コンテンツ送信部は、前記継続再生を行うコンテンツをプッシュ型情報配信プロトコルによって送信する、コンテンツ再生装置。
【請求項5】
請求項1に記載のコンテンツ再生装置であって、
前記識別情報は、画像情報、音情報のうちの少なくとも一つを含む、コンテンツ再生装置。
【請求項6】
請求項5に記載のコンテンツ再生装置であって、
前記再生情報取得部は、前記識別情報の画像情報を取得する撮像デバイスと、前記識別情報の音情報を取得する音響入力デバイスとのうちの、少なくとも一方を含む情報入力デバイスを有する、コンテンツ再生装置。
【請求項7】
請求項1に記載のコンテンツ再生装置であって、
前記機器識別部は、前記再生情報取得部が取得した機器識別用コンテンツの再生情報に基づき、前記代理再生機器として選択する機器におけるコンテンツの再生能力を認識する、コンテンツ再生装置。
【請求項8】
請求項7に記載のコンテンツ再生装置であって、
前記機器識別部にて認識された前記代理再生機器におけるコンテンツの再生能力に応じて、前記継続再生するコンテンツの変換を行うコンテンツ変換部を有する、コンテンツ再生装置。
【請求項9】
コンテンツを再生可能なコンテンツ再生装置において、再生中のコンテンツを他の機器に転送して継続再生させる代理再生機器を特定するための代理再生機器特定方法であって、
前記継続再生を行う代理再生機器を特定するための機器固有の識別情報を生成するステップと、
前記識別情報を含む機器識別用コンテンツを、通信可能な不特定の機器に対して送信するステップと、
前記機器識別用コンテンツを送信した機器のうちの所定の機器において再生される、前記機器識別用コンテンツの再生情報を取得するステップと、
前記再生情報取得部が取得した機器識別用コンテンツの再生情報に基づき、継続再生を行わせる代理再生機器を識別するステップと、
前記代理再生機器として特定された機器に対して継続再生を行うコンテンツを送信するステップと、
を有する代理再生機器特定方法。
【請求項10】
請求項9に記載の代理再生機器特定方法の各ステップを、コンピュータにより実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−249023(P2012−249023A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118381(P2011−118381)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】