説明

コンテンツ提示装置及びコンテンツ提示方法等

【課題】コンテンツデータの転売等を有効に行うことを可能とするコンテンツ提示装置及びコンテンツ提示方法等を提供する。
【解決手段】コンテンツデータをユーザに提示するコンテンツ提示装置であって、前記コンテンツデータには、当該コンテンツデータの少なくとも一部の品質を劣化させるための品質劣化プログラムと、当該コンテンツデータが初回販売後に複製されたものであるか否かを示す複製情報と、が付加されており、前記コンテンツデータを取得する取得手段と、前記取得されたコンテンツデータを記憶するコンテンツ記憶手段と、前記記憶されたコンテンツデータに付加された前記複製情報に基づいて、当該コンテンツデータが初回販売後に複製されたものであるか否かを判別する複製判別手段と、前記初回販売後に複製されたものである場合には、前記コンテンツデータに付加された品質劣化プログラムを起動し、当該コンテンツデータを、少なくともその一部の品質を劣化させて前記ユーザに提示する劣化提示手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツデータをユーザに提示するコンテンツ提示装置及びコンテンツ提示方法等の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、情報通信手段の発達により、文字、音楽、画像等の情報による創作物が、例えば、インターネット等のネットワーク上におけるWebサーバ等からパーソナルコンピュータや携帯電話機等の端末装置に対するデジタルコンテンツの配信等といった形態で直接取引きされるようになっており、これにより、ユーザは、端末装置でデジタルコンテンツを視聴等することができるようになっている。
【0003】
近年では、著作権保護等の観点から、例えば、特許文献1及び2に開示されているように、デジタルコンテンツを暗号化等して端末装置に配信し、端末装置側においては、コンテンツ配信者等とコンテンツ視聴等に関する契約をした場合のみユーザによる視聴等が可能となるよう、その暗号化等を解除してユーザに提示(例えば、例えば、画面表示や音声再生等))する方法が一般的に用いられている。
【0004】
一方、上述したような創作物は、書籍、レコード、CD(Compact Disk)、ビデオテープ、DVD(Digital Versatile Disc)等といった物品に印刷や記録等され、これらの物品の所有権が移転等されることによっても流通している。
【0005】
これらの物品は、先ず、一次流通品として、製作者等から消費者の手に渡り、その一部は、後に二次流通品として、特定の流通業者を経る等して他の消費者に手に渡るようになっている。二次流通品は中古品などと呼ばれることもあり、一次流通品よりも一般的に価格が低いこと等の理由から、近年における不況やネットオークションの普及等とも相まって、そのニーズが増大している。特に、シリーズものの小説や、複数の楽曲が記録されたCDアルバム等、複数の創作物をまとめて入手したいような場合には、一次流通品との価格差が拡大することから、二次流通品に対するニーズはより強くなるものと考えられる。
【0006】
ネットワーク上におけるデジタルコンテンツの直接取引においても、転売や再販売等といったデジタルコンテンツの二次流通を視野に入れた技術が模索され始めている。
【0007】
例えば、引用文献3には、コンテンツ販売者の許諾する販売条件内でコンテンツを再販するための再販端末において、著作権保護管理端末からカプセル化の許諾があり、且つコンテンツ販売端末から再販の許諾があった場合に、指定されたコンテンツに新たな販売条件等を付して再カプセル化した上で、コンテンツの利用端末に転送するコンテンツ配信方法に係る発明が開示されている。
【0008】
また、引用文献4には、コンテンツに対するアクセス権が転売され、アクセス権を有するコンピュータに対してのみコンテンツが提供される権利転売システムに係る発明が開示されている。
【0009】
また、引用文献5には、購入を希望するユーザの端末Aから送信された当該コンテンツの情報及び購入属性情報をサーバが受信すると、当該サーバが、再販許可された端末Bを検索し、購入属性情報を端末Bに送信することにより、端末Bから端末Aにコンテンツを送信するコンテンツ再販方法に係る発明が開示されている。
【特許文献1】特開平7−231440号公報
【特許文献2】特開2003−143572号公報
【特許文献3】特開2003−256597号公報
【特許文献4】特開2001−325461号公報
【特許文献5】特開2006−039832号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述したような技術が提案されているにもかかわらず、今現在、ネットワーク上におけるデジタルコンテンツの転売等は有効に行われているとはいえない状況である。そもそもデジタルコンテンツに対しては、新品や中古品という概念が存在しないため、一次流通するコンテンツと二次流通するコンテンツとの間で販売価格に差を設けるというインセンティブが働きにくい。従って、デジタルコンテンツの製作者や販売者等は、二次流通を防止することに重点を置き、コンテンツ利用者は一次流通するデジタルコンテンツを購入するしかなかったのである。
【0011】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、コンテンツデータの転売等を有効に行うことを可能とするコンテンツ提示装置及びコンテンツ提示方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、コンテンツデータをユーザに提示するコンテンツ提示装置であって、前記コンテンツデータには、当該コンテンツデータの少なくとも一部の品質を劣化させるための品質劣化プログラムと、当該コンテンツデータが初回販売後に複製されたものであるか否かを示す複製情報と、が付加されており、前記コンテンツデータを取得する取得手段と、前記取得されたコンテンツデータを記憶するコンテンツ記憶手段と、前記記憶されたコンテンツデータに付加された前記複製情報に基づいて、当該コンテンツデータが初回販売後に複製されたものであるか否かを判別する複製判別手段と、前記初回販売後に複製されたものである場合には、前記コンテンツデータに付加された品質劣化プログラムを起動し、当該コンテンツデータを、少なくともその一部の品質を劣化させて前記ユーザに提示する劣化提示手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、初回販売後に複製されたコンテンツデータは、その品質が劣化されてユーザに提示されるので、こうしたコンテンツデータを中古品と同様の扱いで売買することができ、コンテンツデータの転売等を有効に行うことが可能となる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のコンテンツ提示装置において、前記品質劣化プログラムによる前記コンテンツデータの品質の劣化を低減させるための品質劣化低減データを、通信手段を介してサーバ装置から取得する品質劣化低減データ取得手段を更に備え、前記劣化提示手段は、前記初回販売後に複製されたものである場合には、前記コンテンツデータに付加された品質劣化プログラムを起動するとともに、前記取得された品質劣化低減データに基づいて、当該コンテンツデータを、前記品質の劣化を低減させて前記ユーザに提示することを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、複製されたコンテンツデータを気に入り、当該コンテンツデータのより品質の良いものを希望するユーザに対して、品質劣化低減データを販売等することができる。また、品質劣化低減データが取得されたコンテンツデータは、当該品質劣化低減データを取得する前のコンテンツデータよりも品質の劣化が低減されてはいるが、初回販売時よりも品質は劣化しているので、初回販売されたコンテンツデータと、複製されたコンテンツデータとの間で、品質を差別化することが出来る。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のコンテンツ提示装置において、前記劣化提示手段は、前記初回販売後に複製されたものでない場合には、前記品質劣化プログラムを起動せずに、前記コンテンツデータを前記ユーザに提示することを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、初回販売後にコピーされていないコンテンツデータを、音質が劣化しない状態でユーザに提示するので、転売時等におけるコンテンツデータの販売価格を初回販売時における価格よりも低くするというインセンティブが働きやすくなり、コンテンツデータの転売等をより有効に行うことが可能となる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のコンテンツ提示装置において、前記コンテンツデータが複製される場合に、当該コンテンツデータの前記複製情報を更新する更新手段を更に備えることを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、品質が劣化することなくユーザに提示されるコンテンツデータの不正な複製を確実に防止することができる。
【0020】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のコンテンツ提示装置において、前記コンテンツデータの内、他の前記コンテンツデータと一括して初回販売されたコンテンツデータは、単独で初回販売されたコンテンツデータよりも前記品質の劣化の程度が低いコンテンツデータであることを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、複数のコンテンツデータに対するユーザの一括購入等の意欲を向上させることが出来る。
【0022】
請求項6に記載の発明は、請求項2に記載のコンテンツ提示装置において、前記コンテンツデータは、音データを含み、前記音データには、ノイズ成分と、当該ノイズ成分の位相反転成分と、が付加されており、前記劣化提示手段は、前記品質劣化プログラムを起動することにより前記音データを、前記付加されたノイズ成分とともに再生し、前記品質劣化低減データに基づいて、当該音データを、前記付加された位相反転成分により前記ノイズ成分を除去させて再生することを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、コンテンツデータの品質を劣化させたり、その劣化を低減させることが容易になる。
【0024】
請求項7に記載の発明は、請求項2に記載のサーバ装置であって、前記品質劣化低減データを、前記通信手段を介して当該コンテンツ提示装置に配信する品質劣化低減データ配信手段を供えることを特徴とする。
【0025】
請求項8に記載の発明は、請求項1に記載のコンテンツデータを配信する配信サーバ装置であって、前記コンテンツデータを記憶するコンテンツ記憶手段と、
前記記憶されたコンテンツデータを、通信手段を介して前記コンテンツ提示装置に配信するコンテンツ配信手段と、を備えることを特徴とするコンテンツ配信サーバ装置。
【0026】
請求項9に記載の発明は、コンテンツデータをユーザに提示するコンテンツ提示方法であって、前記コンテンツデータには、当該コンテンツデータの少なくとも一部の品質を劣化させるための品質劣化プログラムと、当該コンテンツデータが初回販売後に複製されたものであるか否かを示す複製情報と、が付加されており、前記コンテンツデータを取得する取得工程と、前記取得されたコンテンツデータを記憶する記憶工程と、前記記憶されたコンテンツデータに付加された前記複製情報に基づいて、当該コンテンツデータが初回販売後に複製されたものであるか否かを判別する複製判別工程と、前記初回販売後に複製されたものである場合には、前記コンテンツデータに付加された品質劣化プログラムを起動し、当該コンテンツデータを、少なくともその一部の品質を劣化させて前記ユーザに提示する劣化提示工程と、を備えることを特徴とする。
【0027】
請求項10に記載の発明は、コンテンツデータをユーザに提示するコンテンツ提示装置であって、前記コンテンツデータには、当該コンテンツデータの少なくとも一部の品質を劣化させるための品質劣化プログラムと、当該コンテンツデータが初回販売後に複製されたものであるか否かを示す複製情報と、が付加されており、前記コンテンツデータを取得する取得手段と、前記取得されたコンテンツデータを記憶するコンテンツ記憶手段と、を備えるコンテンツ提示装置に含まれるコンピュータを、前記記憶されたコンテンツデータに付加された前記複製情報に基づいて、当該コンテンツデータが初回販売後に複製されたものであるか否かを判別する複製判別手段、前記初回販売後に複製されたものである場合には、前記コンテンツデータに付加された品質劣化プログラムを起動し、当該コンテンツデータを、少なくともその一部の品質を劣化させて前記ユーザに提示する劣化提示手段、として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、初回販売後に複製されたコンテンツデータは、その品質が劣化されてユーザに提示されるので、こうしたコンテンツデータを中古品と同様の扱いで売買することができ、コンテンツデータの転売等を有効に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明の最良の実施形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、楽曲配信システムに対して本発明を適用した場合の実施形態である。
【0030】
[1.楽曲配信システムの構成及び機能概要]
先ず、本実施形態に係る楽曲配信システムSの構成及び機能概要について、図1を用いて説明する。
【0031】
図1は、本実施形態に係る楽曲配信システムSの概要構成の一例を示す図である。
【0032】
図1に示すように、楽曲配信システムSは、コンテンツ提示装置の一例としての複数の携帯電話機Pk(k=1,2・・・n)と、楽曲DB(データベース)101を備えるコンテンツサーバCSと、アプリケーションDB111を備えるノイズサーバNSと、中古楽曲DBを備えるサーバ装置及びコンテンツ配信サーバ装置の一例としての中古コンテンツサーバUSと、を含んで構成されている。
【0033】
ここで、例えば、コンテンツサーバCS及びノイズサーバNSは、楽曲データ(コンテンツデータの一例)を制作・配信する配信業者により開設された楽曲配信サイトを構成するサーバであり、中古コンテンツサーバUSは、楽曲データを転売する転売業者により開設された楽曲転売サイトを構成するサーバである。もっとも、これらのサーバが同一の業者等により設置されたものであっても良い。
【0034】
携帯電話機Pkと、コンテンツサーバCS、ノイズサーバNS及び中古コンテンツサーバUSとは、ネットワークNWを介して相互にデータの送受信が可能(例えば、通信プロトコルにTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)を用いて、相互にデータの送受信が可能)になっている。なお、ネットワークNWは、例えば、インターネット、専用通信回線(例えば、CATV(Community Antenna Television)回線)、移動体通信網(無線基地局等を含む)、及びゲートウェイ等により構築されている。
【0035】
上述した構成を有する楽曲配信システムSにおいて、携帯電話機Pkは、楽曲データを再生し、当該楽曲データに対応した楽曲を拡声するようになっている。この楽曲データは、楽曲DB101に記憶されており、コンテンツサーバCSから購入を希望するユーザの携帯電話機Pkにダウンロードされる(楽曲データがコンテンツサーバCSにより携帯電話機Pkに配信される)ことにより、配信業者からユーザに対して初回販売されるようになっている。また、楽曲データを再生させるために携帯電話機Pkにより実行される再生アプリケーションプログラム(以下、単に再生アプリケーションと称する)が、アプリケーションDB111に記憶されており、ノイズサーバNSから携帯電話機Pkにダウンロードされるようになっている。
【0036】
初回販売された楽曲データの内、携帯電話機Pkのユーザにより不要と判断等された楽曲データは、対応する再生アプリケーションとともに中古コンテンツサーバUSにアップロード(送信)され、中古楽曲DB121に記憶されることにより、ユーザから転売業者に売却(本実施形態においては、金銭との交換ではなくサービスポイントと交換される)されるようになっている。このとき、売却された楽曲データは、なおも携帯電話機Pkに記憶されるが、当該楽曲データを再生すると、ノイズが重畳された状態、すなわち音質が劣化した状態(少なくとも視聴には耐える程度)で楽曲が拡声されるようになっている。その代替として、携帯電話機Pkのユーザに対しては、楽曲データの購入に利用することが出来るサービスポイントが付与されるようになっている。
【0037】
そして、中古楽曲DB121に記憶された楽曲データは、中古コンテンツサーバUSから、購入を希望するユーザの携帯電話機Pkにダウンロードされることにより、転売業者からユーザに対して転売されるようになっている。この転売された楽曲データを再生すると、売却された楽曲データの場合と同様に、ノイズが重畳された楽曲が拡声されるようになっている。このように、転売される楽曲データの音質は初回販売される楽曲データの音質よりも劣化するため、本実施形態においては、楽曲データの転売時における販売価格を、初回販売時の販売価格よりも低く設定することとした。
【0038】
更に、転売された楽曲データの内、ノイズが乗らない状態で楽曲を聴きたいと希望するユーザの携帯電話機Pkに、楽曲からノイズを除去するための解除キー(品質劣化低減データの一例)が中古コンテンツサーバUSからダウンロードされるようになっている。この解除キーは、ノイズサーバNSにより生成され、中古コンテンツサーバUSに送信されるようになっている。
【0039】
こうして、携帯電話機Pkにおいて解除キーが取得された楽曲データを再生すると、ノイズが除去された楽曲が拡声されるようになっている。ただし、この場合においては、初回販売されたときよりも若干音質が劣化された状態(音質が劣化していることを判別することが困難な程度)で拡声される。
【0040】
なお、以下の説明においては、転売業者に売却された楽曲データ及び転売された楽曲データ、すなわち音質が劣化した楽曲データを、初回販売された楽曲データと区別して、中古楽曲データとも称することとする。
【0041】
[2.楽曲データの構成]
次に、楽曲データの構成について、図2及び図3を用いて説明する。
【0042】
図2は、本実施形態に係る楽曲データの構成の一例を示す図である。また、図3は、楽曲音声データの構成の一例を示す図であり、(a)は正規楽曲データであり、(b)はノイズデータであり、(c)は逆相ノイズデータである。
【0043】
図2に示すように、楽曲データには、楽曲音声データとプロパティデータとが含まれている。
【0044】
楽曲音声データは、携帯電話機Pkにおいて楽曲を拡声するためのデータである。図3に示すように、楽曲音声データは、音データの一例としての正規楽曲データと(図3(a))、ノイズ成分の一例としてのノイズデータと(図3(b))、位相反転成分の一例としての逆相ノイズデータと(図3(a))、を含んでいる。
【0045】
正規楽曲データは、ノイズを含んでいない楽曲を拡声するための音声データであり、初回販売された楽曲データを再生する場合には、正規楽曲データのみが再生されるようになっている。
【0046】
ノイズデータは、一定時間長(t1)のピンクノイズを、所定時間間隔(t2)ごとに混入させて作成された音声データであり、転売業者に売却された楽曲データ及び転売された楽曲データを再生する場合には、正規楽曲データとともに再生されるようになっている。なお、ノイズ長(t1)及びノイズ間隔(t2)は、一定の時間ではなくランダムな時間であっても良いし、または、ノイズ間隔を設けなくても良い(楽曲に対して一様にノイズが重畳する状態となる)。
【0047】
逆相ノイズデータは、上記ノイズデータにおけるノイズの位相を反転させて作成された音声データであり、転売された楽曲データの内、対応する解除キーが取得された楽曲データを再生すると、正規楽曲データ及びノイズデータとともに再生される。これにより、ノイズデータに含まれるノイズ成分と逆相ノイズデータに含まれる逆相成分とが打ち消しあい、ノイズ成分が除去される。ただし、ノイズ成分の除去に伴い正規楽曲データから拡声される楽曲の音質は、本来拡声されるべき楽曲の音質よりも若干の劣化がみられる。
【0048】
携帯電話機Pkが、例えば、5.1チャンネル等の多チャンネル再生が可能な構成となっている場合であれば、正規楽曲データをチャンネル1及び2割り当て、ノイズデータをチャンネル3及び4に割り当て、逆相ノイズデータをチャンネル5及び6に割り当てるようにしても良い。この場合、携帯電話機Pkにおいて、初回販売された楽曲データに対しては、チャンネル1及び2の正規楽曲データのみを再生し、転売等された楽曲データに対しては、更にチャンネル3及び4のノイズデータも再生し、解除キーが取得された楽曲データに対しては、その上更にチャンネル5及び6の逆相ノイズデータも再生するように構成すれば良い。
【0049】
一方、携帯電話機Pkにおいて多チャンネル再生ができないような構成となっている場合であれば、例えば、上記各音声データを予めミックスダウン(トラックダウン)しておいても良い。この場合は、正規楽曲データとノイズデータとを合成してノイズ入り楽曲データを作成するとともに、正規楽曲データとノイズデータと逆相ノイズデータとを合成してノイズ除去済み楽曲データを作成する。そして、正規楽曲データ、ノイズ入り楽曲データ及びノイズ除去済み楽曲データを含んだ状態で楽曲音声データを作成する。携帯電話機Pkにおいては、初回販売された楽曲データに対しては、正規楽曲データのみを再生し、転売等された楽曲データに対してはノイズ入り楽曲データのみを再生し、解除キーが取得された楽曲データに対しては、ノイズ除去済み楽曲データのみを再生するように構成すれば良い。
【0050】
なお、楽曲データを上記いずれの構成とするかは任意であるが、例えば、予め2種類の構成の楽曲データを楽曲DB101に記憶させておき、コンテンツサーバCSにより楽曲データを配信する際に、携帯電話機Pkの端末種別等を参照して多チャンネル再生が可能か否かを判定し、当該判定結果に応じて配信し分けるようにしても良い。
【0051】
また、各音声データのデータ形式は任意であり、例えば、MLD(music for imode)、MIDI(Musical Instrument Digital Interface)、MP3(MPEG Audio Layer-3)等のデータ形式を用いることができる。
【0052】
図2に戻り、プロパティデータには、楽曲詳細情報と、複製情報の一例としてのコピー情報と、ダウンロード情報と、が含まれている。
【0053】
楽曲詳細情報には、例えば、楽曲ID(識別情報)、楽曲のタイトル、アーティストの名称、トラック番号、ジャンル、歌詞、当該楽曲データを再生するための再生アプリケーションを示すアプリケーションID等の楽曲に関する情報が含まれている。
【0054】
コピー情報は、楽曲データが初回販売された後に当該楽曲データがコピーされたか否かを示す情報であり、コピーされていない場合はコピーなしが設定され、コピーされた場合はコピー済みが設定されるようになっている。楽曲データがコンテンツサーバCSから携帯電話機Pkに配信されるとき、このコピー情報はコピーなしに設定されており、携帯電話機Pkにおいて、例えば、楽曲データを中古コンテンツサーバUSにアップロードする等の楽曲データに対するコピーを伴う操作が発生する際にコピー済みに設定されるようになっている。
【0055】
ダウンロード情報は、例えば、楽曲データが他の楽曲データと一括してコンテンツサーバCSからダウンロードされた(すなわち、一括して初回販売された)ものであるか否かを示すダウンロードフラグ情報と、当該楽曲データと一緒にダウンロードされた楽曲データを示す対応楽曲情報(例えば、楽曲ID、楽曲のタイトル、楽曲データのファイル名等)と、が含まれている。コンテンツサーバCSから単独で配信される楽曲データのダウンロードフラグ情報には一括ダウンロードなし(単独ダウンロード)が設定される一方、複数一括で配信される楽曲データ全てのダウンロードフラグ情報には一括ダウンロードありが設定されるとともに、各楽曲データの対応楽曲情報には残りの楽曲データを示す情報が設定される。例えば、楽曲データA、B、Cが一括で配信される場合、楽曲データAの対応楽曲情報には楽曲データB及びCのタイトル等が設定され、楽曲データBの対応楽曲情報には楽曲データA及びCのタイトル等が設定され、楽曲データCの対応楽曲情報には楽曲データA及びBのタイトル等が設定される。
【0056】
ダウンロードフラグ情報に一括ダウンロードありが設定されている楽曲データは、対応楽曲情報に示された楽曲データと一括でのみ、ダウンロード及びアップロードが可能となっている。
【0057】
[3.コンテンツサーバ、ノイズサーバ、中古コンテンツサーバの構成及び機能等]
次に、コンテンツサーバCS、ノイズサーバNS及び中古コンテンツサーバUSの構成及び機能について、図4乃至図7を用いて説明する。
【0058】
図4は、本実施形態に係るコンテンツサーバCS、ノイズサーバNS及び中古コンテンツサーバUSに共通する基本的な構成の概要例を示すブロック図である。
【0059】
図4に示すように、コンテンツサーバCS、ノイズサーバNS及び中古コンテンツサーバUSは、ネットワークNWに接続して携帯電話機Pkや他のサーバ装置との通信を制御する通信部11と、各種プログラム及びデータ等を記憶するとともに、各種データベースが構築されている記憶部12(例えば、ハードディスクドライブ等)と、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備えるシステム制御部13と、を備え、システム制御部13と各部とはシステムバス14を介して相互に接続されている。
【0060】
システム制御部13は、CPUが、ROMや記憶部12に記憶された各種プログラム(例えば、オペレーティングシステム、楽曲配信処理プログラム等)を読み出し実行することにより当該サーバ全体を制御するようになっている。なお、各種プログラム等は、例えば、他のサーバからダウンロードされるようにしても良いし、CD−ROM等の記録媒体に記録されてドライブを介して読み込まれるようにしても良い。
【0061】
はじめに、コンテンツサーバCSは、楽曲配信サイトとして、携帯電話機Pkに対して初回販売される楽曲データを配信するようになっている。このコンテンツサーバCSの記憶部12には、楽曲データが記憶される楽曲DB101が構築されている。
【0062】
図5は、楽曲DB101に記憶された楽曲データの一例を示す図である。
【0063】
図5に示すように、楽曲DB101には、複数の楽曲データ(図5の例では楽曲A〜楽曲Iの9曲)が、一つのグループ(以下、アルバムと称する)にまとめられてアルバム単位で記憶されるようになっている。そして、一つのアルバムに含まれる各楽曲データは、ダウンロードされる際の一括ダウンロード数に対応して複数種類記憶されるようになっている。例えば、図5(a)の例においては、一括ダウンロード数が1曲、すなわち単独でダウンロードされる楽曲データ、一括ダウンロード数が2曲の楽曲データ、一括ダウンロード数が全曲(9曲)、すなわちアルバム全体で一括ダウンロードされる楽曲データが、夫々各楽曲に対応して記憶されている。
【0064】
ここで、各楽曲データのコピー情報にはコピーなしが設定されている。また、単独でダウンロードされる楽曲データのダウンロードフラグ情報には一括ダウンロードなしが設定され、2曲で一括ダウンロードされる楽曲データ及びアルバム全体で一括ダウンロードされる楽曲データのダウンロードフラグ情報には一括ダウンロードありが設定されている。更に、アルバム全体で一括ダウンロードされる楽曲データの対応楽曲情報には、他の8曲のタイトル等が設定されている。
【0065】
そして、単独でダウンロードされる楽曲データとしては、前記図3(b)に示したノイズ長(t1)が3秒のノイズデータ等を含む楽曲データが記憶され、2曲で一括ダウンロードの楽曲データとしては、ノイズ長が2秒のノイズデータ等を含む楽曲データが記憶され、アルバム全体で一括ダウンロードされる楽曲データとしては、ノイズ長が1秒のノイズデータ等を含む楽曲データが記憶される。このように、本実施形態においては、一括ダウンロードする楽曲データの数が多いほど、楽曲にノイズを混入させる割合を低下させ、複数の楽曲データをまとめて購入するユーザに対しては、より音質の良い楽曲データを配信することとした。
【0066】
なお、上記のようにノイズ長を変える以外にも、例えば、図5(b)に示すように、一括ダウンロード数に応じてノイズ間隔(t2)を変えても良いし、ノイズの音量を変えるようにしても良い。
【0067】
コンテンツサーバCSの記憶部12には、また、ユーザDBが構築されている(図示せず)。ユーザDBには、楽曲配信サイトに登録されている携帯電話機Pkのユーザに関する情報(例えば、ユーザの氏名、年齢、性別、住所、電話番号、メールアドレス、携帯電話機Pkの種別、クレジットカードの番号、楽曲の購入履歴等)が、例えば、ユーザIDに対応付けて記憶されている。
【0068】
コンテンツサーバCSのシステム制御部13は、携帯電話機Pkからのリクエストに応じて、楽曲の検索ページや楽曲リストのページ等に対応するWebコンテンツデータ(例えば、HTML(eXtensible HyperText Markup Language)データ、画像データ、音声データ等により構成されている)を生成し、当該Webコンテンツデータを携帯電話機Pkに配信するようになっている。
【0069】
また、コンテンツサーバCSのシステム制御部13は、携帯電話機Pkにより送信された楽曲購入リクエストに応じて、楽曲DB101に記憶されている楽曲データを単独で、または複数一括して当該携帯電話機Pkに配信するようになっている。このとき、2曲分の楽曲データを一括して配信する場合には、楽曲DB101から読み出した各楽曲データの対応楽曲情報に他方の楽曲データのタイトル等を設定した上で、当該楽曲データを配信するようになっている。
【0070】
次に、ノイズサーバNSは、携帯電話機Pkに対して再生アプリケーションを配信する一方、中古コンテンツサーバUSに対して解除キーを送信するようになっている。このノイズサーバNSの記憶部12には、再生アプリケーションが記憶されるアプリケーションDB111が構築されている。
【0071】
図6は、アプリケーションDB111に記憶された再生アプリケーションの一例を示す図である。
【0072】
図6に示すように、アプリケーションDB111には、例えば、各楽曲データに対応した再生アプリケーションが、各再生アプリケーションに固有に付与されたアプリケーションIDに対応付けて記憶されている。各再生アプリケーションには、対応する楽曲データの楽曲音声データ等にアクセスして、楽曲データを再生するための再生プログラム部分が含まれている。そして、楽曲データを再生する際、当該楽曲データが初回販売後にコピーされたもの(コピー情報がコピー済み)である場合には、正規楽曲データを、ノイズデータ等とともに再生するための劣化再生プログラム部分(品質劣化プログラムの一例)が含まれている。更に、各再生アプリケーションには、対応する楽曲データを中古コンテンツサーバUSにアップロードするための送信プログラム部分も含まれている。各楽曲データは、例えば、対応する再生アプリケーションのみにより再生することが可能となっている。
【0073】
ノイズサーバNSのシステム制御部13は、携帯電話機Pkにより送信された再生アプリケーションリクエストに応じて、アプリケーションDB111に記憶されている再生アプリケーションを当該携帯電話機Pkに配信するようになっている。
【0074】
また、ノイズサーバNSのシステム制御部13は、中古コンテンツサーバUSにより送信された解除キーリクエストに応じて、ノイズを除去する楽曲データに対応した解除キーを生成し、当該解除キーを中古コンテンツサーバUSに送信するようになっている。なお、解除キーは、例えば、携帯電話機Pkにおいて再生アプリケーションが実行されたときに参照される情報であっても良いし、当該再生アプリケーションから呼び出されるノイズ除去用の追加プログラム等であっても良い。また、解除キーは、必ずしも解除キーリクエストを受信する都度生成しなければならないというものではなく、例えば、楽曲データに対応した解除キーを、楽曲ID等に対応付けて予めデータベース等に登録しておき、解除キーリクエストに応じて、データベース等から読み出すようにしても良い。
【0075】
次に、中古コンテンツサーバUSは、楽曲転売サイトとして、携帯電話機Pkから中古楽曲データを、対応する再生アプリケーションとともに受信する一方、当該中古楽曲データ及び再生アプリケーションを、購入を希望するユーザの携帯電話機Pkに配信するようになっている。この中古コンテンツサーバUSの記憶部12には、中古楽曲データ及び再生アプリケーションが記憶される中古楽曲DB121が構築されている。
【0076】
図7は、中古楽曲DB121に記憶された中古楽曲データ及び再生アプリケーションの一例を示す図である。
【0077】
図7に示すように、中古楽曲DB121には、例えば、携帯電話機Pkによりアップロードされた中古楽曲データと、当該中古楽曲データに対応する再生アプリケーションと、が、アップロードされた順番等に応じて付与されたIDに対応付けて記憶されている。また、携帯電話機Pkから一括でアップロードされた中古楽曲データ(ダウンロードフラグが一括ダウンロードありの中古楽曲データ)及び再生アプリケーションに対しては、まとめて一つのIDが付与されるようになっている。
【0078】
中古コンテンツサーバUSの記憶部12には、また、楽曲転売サイトに登録されている携帯電話機Pkのユーザに関する情報が記憶されるユーザDBが構築されている(図示せず)。
【0079】
中古コンテンツサーバUSのシステム制御部13は、携帯電話機Pkからのリクエストに応じて、中古の楽曲の検索ページや楽曲リストのページ等に対応するWebコンテンツデータを生成し、当該Webコンテンツデータを携帯電話機Pkに配信するようになっている。
【0080】
また、中古コンテンツサーバUSのシステム制御部13は、携帯電話機Pkにより送信された中古楽曲データ及び再生アプリケーションを受信し、コンテンツ記憶手段として、当該中古楽曲データ及び再生アプリケーションを中古楽曲DB121に記憶するようになっている。
【0081】
更に、中古コンテンツサーバUSのシステム制御部13は、コンテンツ配信手段として、携帯電話機Pkにより送信された中古楽曲購入リクエストに応じて、中古楽曲DB121に記憶されている中古楽曲データ及び対応する再生アプリケーションを、付与されたID単位(単独でアップロードされたものは単独、一括でアップロードされたものは一括)で読み出し、当該読み出した中古楽曲データに再生アプリケーションを付加して帯電話機Pkに配信するようになっている。
【0082】
また更に、中古コンテンツサーバUSのシステム制御部13は、品質劣化低減データ配信手段として、携帯電話機Pkにより送信された解除キー購入リクエストに応じて、ノイズサーバNSから解除キーを取得し、当該解除キーを携帯電話機Pkに配信するようになっている。
【0083】
[4.携帯電話機の構成及び機能等]
次に、携帯電話機Pkの構成及び機能について、図8及び図9を用いて説明する。
【0084】
図8は、本実施形態に係る携帯電話機Pkの概要構成の一例を示すブロック図である。
【0085】
図8に示すように、携帯電話機Pkは、無線基地局との電波送受信によりネットワークNWに接続して、他の携帯電話機Pkやサーバ等との通信を制御する無線通信部21と、例えば、マイクロホン、A/D変換器等を有し、ユーザの発話音声等をマイクロホンから入力すると当該音声に対応した音声データを生成して無線通信部21に出力する音声入力部22と、例えば、スピーカ、増幅回路等を有し、無線通信部21から供給された音声データに対応する音声や、記憶部26に記憶された楽曲データ等に対応する音声等を生成してスピーカにより拡声する音声出力部23と、を備え、他の携帯電話機との通話やサーバ等とのデータ通信が可能となっている。かかる通信方式には、例えば、PDC(Personal Digital Cellular)方式や、IMT(International Mobile Telecommunication)方式、PHS(Personal Handyphone System)方式等が採用されている。
【0086】
また、携帯電話機Pkは、文字や画像等の情報を画面に表示する表示部24(例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等)と、ユーザからの操作指示の入力を受け付け、その指示内容を指示信号としてシステム制御部27に出力する操作部25(例えば、テンキー、操作ボタン等)と、を備えている。
【0087】
更に、携帯電話機Pkは、各種プログラム及びデータ等を記憶する記憶部26(例えば、フラッシュメモリ等)を備えている。
【0088】
図9は、携帯電話機Pkの記憶部26における記憶領域の割り当て例を示す図である。
【0089】
記憶部26には、ダウンロードされた楽曲データ、再生アプリケーション及び解除キーが記憶されるようになっている。図8に示すように、記憶部26には、再生アプリケーションが格納されるプログラム格納領域1,2・・・nと、楽曲データが格納される楽曲格納領域1,2・・・nと、解除キーが格納される解除キー格納領域1,2・・・nと、が設けられている。ここで、プログラム格納領域1,2・・・nには、楽曲格納領域1,2・・・nに格納された楽曲データに夫々対応した再生アプリケーションが夫々格納され、解除キー格納領域1,2・・・nには、楽曲格納領域1,2・・・nに格納された楽曲データに夫々対応した解除キーが夫々格納されるようになっている。
【0090】
なお、不正コピー等を防止する観点から、各楽曲格納領域は、対応するプログラム格納領域に格納されたプログラムのみからアクセス可能となっていることが望ましい。
【0091】
携帯電話機Pkは、また更に、CPU、RAM、ROM等を備える更新手段、取得手段、複製判別手段、品質劣化低減データ取得手段及び劣化提示手段の一例としてのシステム制御部27を備え、システム制御部27と各部とはシステムバス28を介して相互に接続されている。
【0092】
システム制御部27は、CPUが、ROMや記憶部26に記憶された各種プログラムを読み出し実行することにより携帯電話機Pk全体を制御するとともに、更新手段、取得手段、複製判別手段、品質劣化低減データ取得手段及び劣化提示手段として機能するようになっている。
【0093】
具体的に、システム制御部27は、操作部25を介してユーザにより選択された楽曲に対応する楽曲データの購入リクエストをコンテンツサーバCSに送信するとともに、コンテンツサーバCSから配信された楽曲データを受信し、記憶部26に記憶するようになっている。
【0094】
また、システム制御部27は、コンテンツサーバCSから楽曲データを受信したときに、当該楽曲データに対応する再生アプリケーションのリクエストをノイズサーバNSに送信するとともに、ノイズサーバNSから配信された再生プリケーションを受信し、記憶部26に記憶するようになっている。
【0095】
更に、システム制御部27は、記憶部26に記憶された楽曲データ及び再生アプリケーションの内、操作部25を介してユーザにより選択された楽曲に対応する楽曲データ及び再生アプリケーションを、当該再生アプリケーションを実行することにより中古コンテンツサーバUSにアップロードするようになっている。その際、システム制御部27は、ダウンロードフラグ情報に一括ダウンロードありが設定されている楽曲データについては、対応楽曲情報に示された楽曲データと一括してアップロードするようになっている。また、システム制御部27は、更新手段として、楽曲データをアップロードする前に、当該楽曲データのコピー情報をコピー済みに設定するようになっている。
【0096】
更にまた、システム制御部27は、取得手段として、操作部25を介してユーザにより選択された楽曲に対応する中古楽曲データの購入リクエストを中古コンテンツサーバUSに送信するとともに、中古コンテンツサーバUSから配信された中古楽曲データ及び当該中古楽曲データに付加された再生アプリケーションを受信し、コンテンツ記憶手段として、記憶部26に記憶するようになっている。
【0097】
また更に、システム制御部27は、品質劣化低減データ取得手段として、記憶部26に記憶された中古楽曲データの内、操作部25を介してユーザにより選択された楽曲に対応する中古楽曲データに対応する解除キーの購入リクエストを中古コンテンツサーバUSに送信するとともに、中古コンテンツサーバUSから配信された解除キーを受信し、記憶部26に記憶するようになっている。
【0098】
また更に、システム制御部27は、劣化提示手段として、記憶部26に記憶された再生アプリケーションを実行することにより、当該再生アプリケーションに対応して記憶部26に記憶されている楽曲データを再生し、音声出力部23を制御して、当該楽曲データに対応する楽曲を拡声させるようになっている。このとき、システム制御部27は、楽曲データがコピーされたものでない(コピー情報がコピーなし)場合は、劣化再生プログラム部分を起動させずに、正規の楽曲のみが拡声されるように楽曲データを再生するようになっている。また、楽曲データがコピーされたものであって(コピー情報がコピー済み)、且つ当該楽曲データに対応する解除キーが記憶部26に記憶されていない場合、システム制御部27は、劣化再生プログラム部分を起動し、ノイズが重畳された楽曲が拡声されるように楽曲データを再生するようになっている。また、楽曲データがコピーされたものであって、且つ当該楽曲データに対応する解除キーが記憶部26に記憶されている場合、システム制御部27は、劣化再生プログラム部分を起動するとともに、逆相ノイズによりノイズが除去された楽曲が拡声されるように楽曲データを再生するようになっている。
【0099】
[5.楽曲配信システムSの動作]
次に、楽曲配信システムSの動作について、図10乃至図14を用いて説明する。
【0100】
はじめに、楽曲データの初回販売時における動作について説明する。
【0101】
図10は、本実施形態に係る楽曲配信システムSの楽曲データ初回販売時における処理の一例を示すシーケンス図である。
【0102】
先ず、ユーザが携帯電話機Pkの操作部25を操作することにより、記憶部26等に記憶されたWebブラウザプログラムを起動し、楽曲配信サイトのURL(Uniform Resource Locator)等を指定する。そうすると、携帯電話機Pkのシステム制御部27は、図10に示すように、コンテンツサーバCSに検索ページリクエストを送信する(ステップS1)。
【0103】
検索ページリクエストを受信したコンテンツサーバCSのシステム制御部13は、楽曲データを検索するためのページデータ(Webコンテンツデータ)を生成し(ステップS2)、当該検索ページデータを携帯電話機Pkに送信する(ステップS3)。
【0104】
ページデータを受信した携帯電話機Pkのシステム制御部27は、当該ページデータに基づいて楽曲検索ページを画面に表示し、ユーザによる検索条件(例えば、楽曲のタイトル、アーティストの名称等)の入力の受付を開始する(ステップS4)。そしてユーザにより検索条件が入力されると、システム制御部27は、検索リクエストをコンテンツサーバCSに送信する(ステップS5)。
【0105】
検索リクエストを受信したコンテンツサーバCSのシステム制御部13は、検索条件に合致する楽曲データを楽曲DB101から検索した後(ステップS6)、その検索結果を示すページデータ生成し、当該ページデータを携帯電話機Pkに送信する(ステップS7)。
【0106】
ページデータを受信した携帯電話機Pkのシステム制御部27は、当該ページデータに基づいて検索結果ページを画面に表示し、ユーザによる楽曲データの選択入力の受付を開始する(ステップS8)。そして、検索結果ページに表示された楽曲データのリストの中から、1曲、または複数曲、あるいはアルバム全体等、購入したい楽曲データが選択されると、システム制御部27は、楽曲購入リクエストをコンテンツサーバCSに送信する(ステップS9)。
【0107】
楽曲購入リクエストを受信したコンテンツサーバCSのシステム制御部13は、携帯電話機Pkのユーザに対して課金処理を実行する(ステップS10)。具体的には、例えば、ユーザIDとパスワードを入力するためのページデータを携帯電話機Pkに送信し、携帯電話機Pkにおいて入力されたユーザID及びパスワードとユーザDBに記憶されている情報とに基づいてユーザIDを特定して認証処理を実行し、ユーザIDに対応してユーザDBに記憶されているクレジットカード情報(例えば、カード番号、有効期限等)を用いて課金を行っても良いし、クレジットカード情報を入力するためのページデータを携帯電話機Pkに送信し携帯電話機Pkにおいて入力されたクレジットカード情報に用いて課金を行うようにしても良い。
【0108】
次いで、コンテンツサーバCSのシステム制御部13は、選択された楽曲データを楽曲DB101から読み出し、当該楽曲データを携帯電話機Pkに配信する(ステップS11)。ここで、複数の楽曲データが配信される場合には、各楽曲データのダウンロードフラグ情報は一括ダウンロードありに設定されている。
【0109】
楽曲データを受信した携帯電話機Pkのシステム制御部27は、当該楽曲データを記憶部26に格納し(ステップS12)、当該楽曲データに対応する再生アプリケーションのリクエストをノイズサーバNSに送信する(ステップS13)。具体的には、例えば、楽曲データに対応する再生アプリケーションのアプリケーションIDを、当該楽曲データの楽曲詳細情報から読み出し、当該アプリケーションIDを含んだリクエストをノイズサーバNSに送信する。
【0110】
再生アプリケーションリクエストを受信したノイズサーバNSは、アプリケーションID等により指定された再生アプリケーションをアプリケーションDB111から読み出し、当該再生アプリケーションを携帯電話機Pkに配信する(ステップS14)。
【0111】
再生アプリケーションを受信した携帯電話機Pkのシステム制御部27は、当該再生アプリケーションを記憶部26に格納し(ステップS15)、処理を終了する。
【0112】
なお、上記のように、楽曲データを再生アプリケーションより先に配信する以外にも、例えば、再生アプリケーションを先に配信するようにしても良いし、双方を同時にコンテンツサーバCS等から配信するようにしても良い。
【0113】
次に、楽曲データが転売業者に売却される場合の動作について説明する。
【0114】
図11は、本実施形態に係る楽曲配信システムSの楽曲データの転売業者への売却時における処理の一例を示すシーケンス図である。
【0115】
先ず、ユーザが携帯電話機Pkの操作部25を操作することにより、システム制御部27は、図11に示すように、売却可能な楽曲データのリストを画面に表示し、ユーザによる楽曲データの選択入力の受付を開始する(ステップS21)。このとき、コピー情報がコピー済みに設定されている楽曲データは既に売却済みであるため、これらの楽曲データは選択することは出来ないようになっている。また、ダウンロードフラグ情報が一括ダウンロードありに設定されている楽曲データは、対応楽曲情報に示された楽曲データと一括でのみ選択可能なように画面に表示される。そして、ユーザにより売却を希望する楽曲データが選択されると、システム制御部27は、中古コンテンツサーバUSにアップロードリクエストを送信する(ステップS22)。
【0116】
アップロードリクエストを受信した中古コンテンツサーバUSのシステム制御部13は、アップロード許可応答を携帯電話機Pkに送信する(ステップS23)。
【0117】
アップロード許可応答を受信した携帯電話機Pkのシステム制御部27は、選択された楽曲データに対応する再生アプリケーションを起動し、コピー情報をコピー済みに設定した後(ステップS24)、当該楽曲データと対応する再生アプリケーションとを記憶部26から読み出して、中古コンテンツサーバUSにアップロードする(ステップS25)。
【0118】
楽曲データと再生アプリケーションとを受信した中古コンテンツサーバUSのシステム制御部13は、これらに対して1のIDを付与し、中古楽曲DB121に記憶する(ステップS26)。そして、システム制御部13は、携帯電話機Pkのユーザに対してサービスポイントの加算処理を実行し(ステップS27)、処理を終了する。
【0119】
なお、楽曲データ等のアップロード方法としては、上記以外にも、例えば、が曲データを中古コンテンツサーバUS宛ての電子メールに添付して、所定のメールサーバに送信するようにしても良い。この場合においても、再生アプリケーションにより楽曲データのコピー情報がコピー済みに設定される。
【0120】
次に、楽曲データの転売時における動作について説明する。
【0121】
図12は、本実施形態に係る楽曲配信システムSの楽曲データの転売時における処理の一例を示すシーケンス図である。
【0122】
先ず、ユーザが携帯電話機Pkの操作部25を操作することにより、記憶部26等に記憶されたWebブラウザプログラムを起動し、楽曲転売サイトのURL等を指定する。そうすると、携帯電話機Pkのシステム制御部27は、図12に示すように、中古コンテンツサーバUSに検索ページリクエストを送信する(ステップS41)。
【0123】
検索ページリクエストを受信した中古コンテンツサーバUSのシステム制御部13は、楽曲データを検索するためのページデータを生成し(ステップS42)、当該検索ページデータを携帯電話機Pkに送信する(ステップS43)。
【0124】
ページデータを受信した携帯電話機Pkのシステム制御部27は、当該ページデータに基づいて楽曲検索ページを画面に表示し、ユーザによる検索条件の入力の受付を開始する(ステップS44)。そしてユーザにより検索条件が入力されると、システム制御部27は、検索リクエストを中古コンテンツサーバUSに送信する(ステップS45)。
【0125】
検索リクエストを受信した中古コンテンツサーバUSのシステム制御部13は、検索条件に合致する楽曲データを中古楽曲DB121から検索した後(ステップS46)、その検索結果を示すページデータ生成し、当該ページデータを携帯電話機Pkに送信する(ステップS47)。
【0126】
ページデータを受信した携帯電話機Pkのシステム制御部27は、当該ページデータに基づいて検索結果ページを画面に表示し、ユーザによる楽曲データの選択入力の受付を開始する(ステップS48)。そして、検索結果ページに表示された楽曲データのリストの中から、購入したい楽曲データが選択されると、システム制御部27は、楽曲購入リクエストを中古コンテンツサーバUSに送信する(ステップS49)。
【0127】
中古楽曲購入リクエストを受信した中古コンテンツサーバUSのシステム制御部13は、携帯電話機Pkのユーザに対して課金処理を実行し(ステップS50)、選択された楽曲データと対応する再生アプリケーションとを中古楽曲DB121から読み出し、これらを携帯電話機Pkに配信する(ステップS51)。
【0128】
楽曲データと再生アプリとを受信した携帯電話機Pkのシステム制御部27は、これらを記憶部26に格納し(ステップS52)、処理を終了する。
【0129】
次に、解除キー販売時における動作について説明する。
【0130】
図13は、本実施形態に係る楽曲配信システムSの解除キー販売時における処理の一例を示すシーケンス図である。
【0131】
先ず、ユーザが携帯電話機Pkの操作部25を操作することにより、システム制御部27は、図13に示すように、記憶部26に記憶されている楽曲データのリストを画面に表示し、ユーザによる楽曲データの選択入力の受付を開始する(ステップS61)。このとき、コピー情報がコピー済みに設定され、且つ対応する解除キーが記憶部26に記憶されていない楽曲データのみがリスト表示される。また、ダウンロードフラグ情報が一括ダウンロードありに設定されている楽曲データは、対応楽曲情報に示された楽曲データと一括でのみ選択可能なように画面に表示される。
【0132】
そして、ユーザにより解除キーの購入を希望する楽曲データが選択されると、システム制御部27は、中古コンテンツサーバUSに解除キー購入リクエストを送信する(ステップS62)。
【0133】
解除キー購入リクエストを受信した中古コンテンツサーバUSのシステム制御部13は、ノイズサーバNSに解除キーリクエストを送信する(ステップS63)。
【0134】
一方、解除キーリクエストを受信したノイズサーバNSは、対応する解除キーを生成し(ステップS64)、当該解除キーを中古コンテンツサーバUSに送信する(ステップS65)。
【0135】
そして、解除キーを受信した中古コンテンツサーバUSは、当該携帯電話機Pkのユーザに対して課金処理を実行し(ステップS66)、受信した解除キーを携帯電話機Pkに送信する(ステップS67)。
【0136】
解除キーを受信した携帯電話機Pkのシステム制御部27は、当解除キーを記憶部26に格納し(ステップS68)、処理を終了する。
【0137】
なお、解除キーは、ノイズサーバNSから直接携帯電話機Pkに配信されるようにしても良い。
【0138】
次に、携帯電話機Pkの楽曲データ再生時における動作について説明する。
【0139】
図14は、本実施形態に係る携帯電話機Pkのシステム制御部27の楽曲データ再生処理の一例を示すシーケンス図である。
【0140】
先ず、ユーザが携帯電話機Pkの操作部25を操作することにより、再生したい楽曲データを選択すると、システム制御部27は、選択された楽曲データに対応する再生アプリケーションを起動する。
【0141】
そして、システム制御部27は、図14に示すように、選択された楽曲データのコピー情報がコピー済みであるか否かを判定し(ステップS101)、コピーなしである場合、すなわち、選択された楽曲データが、コンテンツサーバCSからダウンロードされた後に中古コンテンツサーバUSにアップロードされていない場合は(ステップS101:NO)、音声出力部23を制御して、選択された楽曲データの正規楽曲データのみを再生し、ノイズのない楽曲をスピーカから拡声させる(ステップS102)。
【0142】
一方、コピー情報がコピー済みである場合(ステップS101:YES)、システム制御部27は、劣化再生プログラムを起動し、選択された楽曲データに対応する解除キーが記憶部26に記憶されているか否かを判定する(ステップS103)。
【0143】
そして、対応する解除キーが記憶されていない場合、すなわち、選択された楽曲データが、中古コンテンツサーバUSにアップロードされたものであるか、中古コンテンツサーバUSからダウンロードされたものであり、対応する解除キーを購入していない場合(ステップS103:NO)、システム制御部27は、音声出力部23を制御して、選択された楽曲データの正規楽曲データとノイズデータとを再生し(または、ノイズ入り楽曲データを再生し)、ノイズが混入した楽曲をスピーカから拡声させる(ステップS104)。
【0144】
一方、対応する解除キーが記憶されている場合(ステップS103:YES)、システム制御部27は、音声出力部23を制御して、選択された楽曲データの正規楽曲データとノイズデータと逆相ノイズデータを再生し(または、ノイズ除去済み楽曲データを再生し)、ノイズが除去された楽曲をスピーカから拡声させる(ステップS105)。
【0145】
以上説明したように、本実施形態によれば、中古コンテンツサーバUSから携帯電話機Pkに配信される楽曲データには、当該楽曲データを再生させるための再生アプリケーションと、当該楽曲データが初回販売後にコピーされたものであるかを示すコピー情報が付加されている。そして、携帯電話機Pkのシステム制御部27は、中古コンテンツサーバUSから配信された楽曲データを付加された再生アプリケーション(楽曲データと同時に配信された再生アプリケーション)とともに受信し、記憶部26に記憶するようになっている。また、携帯電話機Pkのシステム制御部27は、記憶された楽曲データが初回販売後にコピーされたものであるか否かをコピー情報に基づいて判別し、初回販売後にコピーされたものである場合には、再生アプリケーションの楽曲データの音質を劣化させるための劣化再生プログラム部分を起動し、当該楽曲データの少なくとも一部の音質を劣化させて再生するようになっている。
【0146】
従って、初回販売後に一度コピーされた楽曲データは、再生時にその音質が劣化するので、音質が劣化した楽曲データを中古品と同様の扱いで売買することが出来る。このように、楽曲データに対して中古という概念を導入することにより、楽曲データの転売を有効に行うことが可能となる。
【0147】
また、携帯電話機Pkのシステム制御部27は、記憶部26に記憶された楽曲データが初回販売後にコピーされたものではない場合には、劣化再生プログラム部分を起動せずに、楽曲データを再生することにより、初回販売後にコピーされていない楽曲データを、音質が劣化しない状態で再生するので、転売時における販売価格を初回販売時における価格よりも低くするというインセンティブが働きやすくなり、コンテンツデータの転売をより有効に行うことが可能となる。
【0148】
更に、携帯電話機Pkのシステム制御部27は、楽曲データの音質の劣化を低減するための解除キーを、ネットワークNWを介してノイズサーバNSから受信し、記憶部26に記憶された楽曲データが初回販売後にコピーされたものである場合には、劣化再生プログラム部分を起動するとともに、受信された解除キーに基づいて、楽曲データの音質の劣化を低減させて再生するので、転売された楽曲データを気に入り、当該楽曲データのより音質の良いものを希望するユーザに対して、転売業者(あるいは、配信業者)は、解除キーを販売することが出来る。
【0149】
更にまた、この楽曲データは、転売時よりも音質の劣化が低減されているが、初回販売時よりも若干音質は劣化しているので、初回販売された楽曲データと、転売後に対応する解除キーが購入された楽曲データとの間で、音質を差別化することが出来る。
【0150】
しかも、楽曲データは、正規楽曲データと、ノイズデータと、逆相ノイズデータとが含まれ(または、正規楽曲データと、ノイズ入り楽曲データと、ノイズ除去済み楽曲データとが含まれ)、楽曲データが初回販売後にコピーされたものではない場合には、正規楽曲データのみを再生し、初回販売後にコピーされたものである場合には、正規楽曲データ及びイズデータ(または、ノイズ入り楽曲データのみ)を再生し、対応する解除キーが存在する場合には、正規楽曲データ、ノイズデータ及び逆相ノイズデータ(または、ノイズ除去済み楽曲データのみ)を再生するので、例え携帯電話機Pkの各部の処理能力等が低い場合であっても、楽曲データの音質を劣化させたり、その劣化を低減させることが容易に可能となり、また、各楽曲データに適したノイズを重畳させることが出来る。
【0151】
また更に、携帯電話機Pkのシステム制御部27は、購入された楽曲データを中古業者に売却する際、記憶部26に記憶された楽曲データを中古コンテンツサーバUSにアップロードする前に、当該楽曲データのコピー情報をコピー済みに設定し、転売された楽曲データだけではなく、売却の対象となった楽曲データの音質も劣化させるので、初回販売された楽曲データと、売却対象となった楽曲データと、の間で、音質を差別化することが出来る。
【0152】
更にまた、同一内容の楽曲に対して、単独でダウンロードされる楽曲データと、他の楽曲データと一括してダウンロードされる楽曲データとがコンテンツサーバCSの楽曲DB101に記憶されており、各楽曲データは、一括してダウンロードされる曲数が多いほど、音質の劣化する程度が低くなっている。そして、コンテンツサーバCSのシステム制御部13は、単独でダウンロードされる楽曲データを単独で携帯電話機Pkに配信する一方、一括でダウンロードされる楽曲データを複数一括して携帯電話機Pkに配信するので、例えば、アルバム等、複数の楽曲データに対するユーザの一括購入の意欲を向上させることが出来る。
【0153】
また更に、楽曲データには、当該楽曲データが一括でダウンロードされたものであるかを示すダウンロード情報が付加されており、携帯電話機Pkのシステム制御部27は、楽曲データが一括してダウンロードされたものであるか否かをダウンロード情報に基づいて判別し、一括してダウンロードされたものである場合には、ダウンロード情報に示される楽曲データと一括で中古コンテンツサーバUSにアップロードするので、一括で初回販売された複数の楽曲データを、その一括販売された単位で、その後流通させることが出来る。
【0154】
なお、上記説明した実施形態においては、正規楽曲データ以外にもノイズを重畳するためのデータ(例えば、ノイズデータ、ノイズ入り楽曲データ等)やノイズを除去するデータ(例えば、逆相ノイズデータ、ノイズ除去済み楽曲データ等)を含めて楽曲データを構成していたが、必ずしもこれらのデータを楽曲データに含ませる必要はなく、再生アプリケーションによる制御のみでノイズを重畳させたり、ノイズを除去するようにしても良い。また、例えば、逆相ノイズデータ等を含めずに楽曲データを構成する一方、逆相ノイズデータ等を、解除データとしてノイズサーバNSの記憶部12に構築されたデータベース等に記憶しておき、解除データとしての逆相ノイズデータ等を、ノイズサーバNS等から携帯電話機Pkにダウンロードされるようにしても良い。
【0155】
また、再生アプリケーションは、必ずしも楽曲データと一対一に対応したものを用意する必要はなく、例えば、一つの再生アプリケーションで複数の楽曲データが再生可能なように楽曲データを作成等し、一つのアルバムに含まれる複数の楽曲データに対応したものを用意しても良いし、または、全楽曲データに対応した一つのアプリケーションを用意しても良い。また、再生アプリケーションから劣化再生プログラムを分離し、一つの再生アプリケーションで複数の楽曲データが再生可能にし、劣化再生プログラムは楽曲データと一対一または一つのアルバム等に対応したものを用意してもよい。この場合は、例えば、アプリケーションDB111に劣化制御プログラムを記憶させ、携帯電話機Pkにおいて楽曲データのダウンロードとは無関係にノイズサーバNS等から再生プログラムをダウンロードしておき、または、予めして携帯電話機Pkにて記憶させておき、楽曲データのダウンロード時に、対応する劣化制御プログラムをノイズサーバNSからダウンロードするようにしても良い。また、この場合の再生アプリケーションは、劣化制御プログラムをダウンロードしなければ、対応する楽曲データを再生できないようにしておくことが望ましい。
【0156】
また、楽曲データを再生する際のノイズの低減方法としては、逆相ノイズを重畳するような、ほぼ完全なノイズ除去を目的とする方法でなくても良く、例えば、ある程度ノイズを低減させるような方法を用いても良い。
【0157】
また、楽曲データの音質を劣化させる方法としては、ノイズを重畳する方法以外にも、あらゆる方法を用いることが出来るが、例えば、所定時間間隔に無音となるような方法を用いても良い。
【0158】
また、上記実施形態においては、携帯電話機Pkから楽曲データを中古コンテンツサーバUSにアップロードした後も、当該楽曲データは携帯電話機Pkの記憶部26に記憶されるようにしていたが、例えば、アップロードする際に、この楽曲データを削除するようにしても良い。
【0159】
また、上記実施形態においては、本発明のコンテンツデータに楽曲データを適用した場合について説明したが、例えば、その他の音声データ、映画等の動画データ、電子コミック等の画像データ、電子ブック等のテキストデータ等、あらゆるコンテンツデータに適用することが出来る。これらのコンテンツデータに対してその品質を劣化させる方法は任意に選択することが出来る。例えば、動画データの場合であれば、上記実施形態のように音質を劣化させるようにしても良いし、動画にノイズを重畳させたり、所定時間間隔で空白が表示されるようにしても良い。また、電子コミックの場合であれば、例えば、画質を劣化させるようにしても良いし、特定のマスが空白で表示されるようにしても良い。また、電子ブックの場合であれば、例えば、特定の文字や文章等の部分を空白で表示しても良い。
【0160】
また、上記実施形態においては、本発明のコンテンツ提示装置に携帯電話機を適用した場合について説明したが、例えば、パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistant)、STB(Set Top Box)、テレビゲーム機等に適用することが出来る。
【0161】
また、コンテンツ提示装置によるコンテンツデータや再生アプリケーション、解除キーの取得方法は、サーバ装置からのダウンロードする方法にのみ限定されるのではなく、例えば、CDやメモリカード等の記録媒体からドライブ装置等を介して読み込まれるようにしても良いし、通信ケーブルやネットワーク等の通信手段を介して他のコンテンツ提示装置から直接取得するようにしても良い。この場合、中古コンテンツサーバUS等を介した転売ルートがなくなることもあるが、再生アプリケーション以外のプログラムからコンテンツデータをアクセスできないようにコンテンツ提示装置を構成しておけば、再生アプリケーションによりコンテンツデータのコピー(送信を含む)を制御することが出来るので、初回販売後にコピーされたコンテンツデータは必ず品質が劣化したものとなる。従って、コンテンツの配信業者等は解除キーを販売することにより利益を上げることが出来る。また、解除キーについては、例えば、再生アプリケーションのみからアクセス可能なようにコンテンツ提示装置を構成したり、当該解除キーを購入したユーザのコンテンツ提示装置のみでしか有効とはならないように再生アプリケーションをプログラムすること等により、解除キーの悪用を防止することができる。
【0162】
また、コンテンツサーバCS、ノイズサーバNS、中古コンテンツサーバUSを別個に構成するのではなく、例えば、その一部または全部を一体のサーバ装置として構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0163】
【図1】本実施形態に係る楽曲配信システムSの概要構成の一例を示す図である。
【図2】本実施形態に係る楽曲データの構成の一例を示す図である。
【図3】楽曲音声データの構成の一例を示す図であり、(a)は正規楽曲データであり、(b)はノイズデータであり、(c)は逆相ノイズデータである。
【図4】本実施形態に係るコンテンツサーバCS、ノイズサーバNS及び中古コンテンツサーバUSに共通する基本的な構成の概要例を示すブロック図である。
【図5】楽曲DB101に記憶された楽曲データの一例を示す図である。
【図6】アプリケーションDB111に記憶された再生アプリケーションの一例を示す図である。
【図7】中古楽曲DB121に記憶された中古楽曲データ及び再生アプリケーションの一例を示す図である。
【図8】本実施形態に係る携帯電話機Pkの概要構成の一例を示すブロック図である。
【図9】携帯電話機Pkの記憶部26における記憶領域の割り当て例を示す図である。
【図10】本実施形態に係る楽曲配信システムSの楽曲データ初回販売時における処理の一例を示すシーケンス図である。
【図11】本実施形態に係る楽曲配信システムSの楽曲データの転売業者への売却時における処理の一例を示すシーケンス図である。
【図12】本実施形態に係る楽曲配信システムSの楽曲データの転売時における処理の一例を示すシーケンス図である。
【図13】本実施形態に係る楽曲配信システムSの解除キー販売時における処理の一例を示すシーケンス図である。
【図14】本実施形態に係る携帯電話機Pkのシステム制御部27の楽曲データ再生処理の一例を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0164】
11 通信部
12 記憶部
13 システム制御部
14 システムバス
21 無線通信部
22 音声入力部
23 音声出力部
24 表示部
25 操作部
26 記憶部
27 システム制御部
28 システムバス
101 楽曲DB
111 アプリケーションDB
121 中古楽曲DB
Pk 携帯電話機
CS コンテンツサーバ
NS ノイズサーバ
US 中古コンテンツサーバ
NW ネットワーク
S 楽曲配信システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツデータをユーザに提示するコンテンツ提示装置であって、
前記コンテンツデータには、当該コンテンツデータの少なくとも一部の品質を劣化させるための品質劣化プログラムと、当該コンテンツデータが初回販売後に複製されたものであるか否かを示す複製情報と、が付加されており、
前記コンテンツデータを取得する取得手段と、
前記取得されたコンテンツデータを記憶するコンテンツ記憶手段と、
前記記憶されたコンテンツデータに付加された前記複製情報に基づいて、当該コンテンツデータが初回販売後に複製されたものであるか否かを判別する複製判別手段と、
前記初回販売後に複製されたものである場合には、前記コンテンツデータに付加された品質劣化プログラムを起動し、当該コンテンツデータを、少なくともその一部の品質を劣化させて前記ユーザに提示する劣化提示手段と、
を備えることを特徴とするコンテンツ提示装置。
【請求項2】
請求項1に記載のコンテンツ提示装置において、
前記品質劣化プログラムによる前記コンテンツデータの品質の劣化を低減させるための品質劣化低減データを、通信手段を介してサーバ装置から取得する品質劣化低減データ取得手段を更に備え、
前記劣化提示手段は、前記初回販売後に複製されたものである場合には、前記コンテンツデータに付加された品質劣化プログラムを起動するとともに、前記取得された品質劣化低減データに基づいて、当該コンテンツデータを、前記品質の劣化を低減させて前記ユーザに提示することを特徴とするコンテンツ提示装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のコンテンツ提示装置において、
前記劣化提示手段は、前記初回販売後に複製されたものでない場合には、前記品質劣化プログラムを起動せずに、前記コンテンツデータを前記ユーザに提示することを特徴とするコンテンツ提示装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のコンテンツ提示装置において、
前記コンテンツデータが複製される場合に、当該コンテンツデータの前記複製情報を更新する更新手段を更に備えることを特徴とするコンテンツ提示装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のコンテンツ提示装置において、
前記コンテンツデータの内、他の前記コンテンツデータと一括して初回販売されたコンテンツデータは、単独で初回販売されたコンテンツデータよりも前記品質の劣化の程度が低いコンテンツデータであることを特徴とするコンテンツ提示装置。
【請求項6】
請求項2に記載のコンテンツ提示装置において、
前記コンテンツデータは、音データを含み、
前記音データには、ノイズ成分と、当該ノイズ成分の位相反転成分と、が付加されており、
前記劣化提示手段は、前記品質劣化プログラムを起動することにより前記音データを、前記付加されたノイズ成分とともに再生し、前記品質劣化低減データに基づいて、当該音データを、前記付加された位相反転成分により前記ノイズ成分を除去させて再生することを特徴とするコンテンツ提示装置。
【請求項7】
請求項2に記載のサーバ装置であって、
前記品質劣化低減データを、前記通信手段を介して当該コンテンツ提示装置に配信する品質劣化低減データ配信手段を供えることを特徴とするサーバ装置。
【請求項8】
請求項1に記載のコンテンツデータを配信する配信サーバ装置であって、
前記コンテンツデータを記憶するコンテンツ記憶手段と、
前記記憶されたコンテンツデータを、通信手段を介して前記コンテンツ提示装置に配信するコンテンツ配信手段と、
を備えることを特徴とするコンテンツ配信サーバ装置。
【請求項9】
コンテンツデータをユーザに提示するコンテンツ提示方法であって、
前記コンテンツデータには、当該コンテンツデータの少なくとも一部の品質を劣化させるための品質劣化プログラムと、当該コンテンツデータが初回販売後に複製されたものであるか否かを示す複製情報と、が付加されており、
前記コンテンツデータを取得する取得工程と、
前記取得されたコンテンツデータを記憶する記憶工程と、
前記記憶されたコンテンツデータに付加された前記複製情報に基づいて、当該コンテンツデータが初回販売後に複製されたものであるか否かを判別する複製判別工程と、
前記初回販売後に複製されたものである場合には、前記コンテンツデータに付加された品質劣化プログラムを起動し、当該コンテンツデータを、少なくともその一部の品質を劣化させて前記ユーザに提示する劣化提示工程と、
を備えることを特徴とするコンテンツ提示方法。
【請求項10】
コンテンツデータをユーザに提示するコンテンツ提示装置であって、前記コンテンツデータには、当該コンテンツデータの少なくとも一部の品質を劣化させるための品質劣化プログラムと、当該コンテンツデータが初回販売後に複製されたものであるか否かを示す複製情報と、が付加されており、前記コンテンツデータを取得する取得手段と、前記取得されたコンテンツデータを記憶するコンテンツ記憶手段と、を備えるコンテンツ提示装置に含まれるコンピュータを、
前記記憶されたコンテンツデータに付加された前記複製情報に基づいて、当該コンテンツデータが初回販売後に複製されたものであるか否かを判別する複製判別手段、
前記初回販売後に複製されたものである場合には、前記コンテンツデータに付加された品質劣化プログラムを起動し、当該コンテンツデータを、少なくともその一部の品質を劣化させて前記ユーザに提示する劣化提示手段、
として機能させることを特徴とするコンテンツ提示処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−305083(P2007−305083A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−135834(P2006−135834)
【出願日】平成18年5月15日(2006.5.15)
【出願人】(396004833)株式会社エクシング (394)
【Fターム(参考)】