説明

コンテンツ表示装置

【課題】
コンテンツ表示装置における描画命令は、情報機器に組み込まれたソフトウエア上で実現されたタイマからのイベントとして実現されていることが多く、組み込まれた情報機器の処理資源によっては、安定した描画タイミングの通知がされないという課題が存在する。
【解決手段】
以上の課題を解決するために、本発明は以下のようなコンテンツ表示装置を提供する。第一に、計時部により、ハードウエア等で実現された正確な時刻を取得し、取得した時刻と、所定のルールにより描画タイミング通知の遅れに応じて、次画面を構成するコンテンツ表示装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動画像等を遅延なく、滑らかに動作しているように見せる映像処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
PCや携帯電話、PDA等の情報機器において、アニメーションやマーキー(画面上を字幕等が流れていく効果)等の動画像を表示する場合には、まず、動作させる文字または図形を特定し、次にその図形または文字を一定時間が経過するごとに所定の変化量だけ画面上を移動させ描画するという処理が行われている。
この一定時間の経過は通常、一定時間を計時するインターバルタイマや、アニメーションのコマごとに設定された遅延時間のタイマからの通知により取得する。
【0003】
図17にマーキーの動作例を示す。マーキーとは、画面上を文字または図形等が流れていく効果のことである。マーキーは、テレビや、インターネット上で公開されているHTML形式で作成されたコンテンツで見られる。
図17のマーキーは文字が画面の表示枠の右側から左側に等速度で流れるという効果を縦軸に時間をとり、時系列で示したものである。なお表示枠外の文字は画面上には表示されず、記憶領域内にて保持されている。
図17のマーキーをHTML言語で記述すると下記のような例となる。
【表1】

HTML言語ではマーキーを表示する要素として<MARQUEE>が定義されている。たとえば上記のように記述することで、幅350ピクセル縦100ピクセルの枠内を、指定された文字または画像等が、100msごとの描画タイミングが到来するたびに、50ピクセルごとに、右から左へ描画位置を移動させる。これにより、人間の目には画面上を右から左へと文字が流れる、という効果を生じさせることができる。
図18に従来技術によるコンテンツ表示装置の概略を示す。
図18は、従来技術のコンテンツ装置における機能ブロックの一例を表す図である。この図にあるように、「従来技術のコンテンツ表示装置」(1801)は、「ルール保持部A」(1802)と、「次画面取得部A」(1803)と、「トリガー部A」(1804)、「描画部A」(1805)を有する。
「ルール保持部A」とは、タイミングに応じて描画すべき画面を一意に定めるルールを保持する機能を有する。具体的には、文字又は図形等の動作を規定づけるルールであり、描画を指示される時刻に無関係のルールを記憶装置により保持する。前出の表1でみると、MARQUEEタグの引数となっている部分がルールに対応する。
「次画面取得部A」とは、前記ルールに基づいて、現在表示されている文字または図形の次の描画時期における表示位置を演算し、次の描画タイミングに表示すべき次画面を決定し、取得する機能を有する。
「トリガー部A」とは、次画面の描画開始のトリガーを描画部Aに出力する機能を有する。具体的には、ルール保持部Aに保持されているルールのうちの描画間隔(表1におけるMARQUEEタグ内において、「scrolldelay=100」 で示される100ms)を計時し、描画開始トリガーを描画部Aと次画面取得部Aに対して描画通知として通知する機能を有する。
「描画部A」とは、表示すべき画面を描画する機能を有する。具体的には、次画面取得部Aで取得された次画面を、トリガー部Aが通知する描画通知を受け取ったタイミングで表示する機能を有する。
【0004】
次に、従来技術による処理の流れを説明する。図19に従来技術における動作の流れを示す。
まず、「次画面取得部A」は「ルール保持部A」において保持されている、タイミングに応じて描画すべき画面を一意に定めるルールを取得する。
次に、一定時間が経過すると「トリガー部A」が次画面取得部Aと描画部Aに対し、描画開始トリガーを通知する(ステップS1901)。
通知に応じ、次画面取得部Aは、描画開始トリガーが生じた時刻に無関係のルールを元に次に描画すべき画面を取得する(ステップS1902)。
次いで、描画部Aが次画面取得部Aから、描画すべき画面を受け取り、描画を行う(ステップS1903)。
【0005】
しかし、前記トリガー部からの通知は、情報機器に組み込まれたソフトウエア上で実現されたタイマからのイベントとして実現されていることが多く、組み込まれた情報機器の処理資源によっては、安定した描画タイミングの通知がされないという課題が存在する。
一般的に、情報機器に組み込まれたソフトウエアは同時に複数動作し、オペレーティングシステム上ではそれぞれのソフトウエアが複数の処理を行っている場合が多い。このため、タイマの計時処理が他の処理からの影響を受けやすい。特に、多数の処理が同時に実行される場合には、タイマの計時処理より優先度が高い処理が先に実行される場合があり、情報機器に内蔵されたメモリやCPU、ディスク等の利用可能なハードウエアの処理資源が逼迫した状況下では、タイマの計時処理の実行が遅延し、トリガー部からの描画タイミングの通知が遅延するという問題が起こる場合がある。
とりわけ携帯電話やPDA等の小型情報機器の場合においては、ハードウエアの処理資源がさらに限定される場合が多いため、この処理の遅延は起こりやすくなる。
【0006】
そこで特許文献1には、ハードウエアの処理資源が限定した情報機器のために、以下のような技術が開示されている。該技術では、まず、再生すべきコンテンツのデータの評価が行なわれ、コンテンツの複雑度が計算する。計算された複雑度が端末の処理能力の上限を越えている場合には、コンテンツの一部を非表示とする。すなわち、表示すべきコンテンツの性質に応じて端末の処理能力を越えないようにコンテンツを選択し、再生するといった技術である。
【特許文献1】特開2003−330696号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
描画タイミングの通知が遅延すると、これに伴って、その時刻に本来表示すべき画面が表示されないという問題が生じる。
【0008】
そうすると、従来技術では、描画する処理が遅延しても、画面上の変化量はルール保持部に保持されているルールにより一定のため、遅延した時刻において本来表示すべき位置より手前に表示されていることとなり、図形又は文字の動作が一瞬滞って見える。
また、遅延が起こった後の次の描画タイミング通知が本来通知すべき時刻に通知された場合には、相対的に早いタイミングで通知が来ることとなり、結果として動作の表示はぎくしゃくしたものに見えるという課題が生じる。
【0009】
図20は上記で述べた、トリガー部からの描画タイミングの通知が本来の時刻より前後したことにより、マーキーの描画位置にゆらぎが生じた状態を図示したものである。理想的には図17のように一定時間間隔で描画が行われ、表示される文字(1701)の先端部分は点線で示された直線(1702)上に並ぶ。しかし、図20では100msで描画が行われた後、次の描画タイミング通知が遅れ、本来ならば、200msに描画が実行されるところ、225msに描画が実行されている。しかしながら、一回の描画における移動量は一定のため、本来描画すべき位置の直線(2002)上より右側に描画されてしまう。このため、視覚的には文字の移動が滞って見える。いっぽう、その次の描画は本来描画されるべき時刻である300msにされているため、相対的に前回描画からの経過時間が短くなる。この場合においても、移動量は一定のため、視覚的には文字の移動が相対的に速くなったように見える。上記のような事態が連鎖して起こると、文字の移動はぎくしゃくした動きに見えてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上の課題を解決するために、本発明は以下のようなコンテンツ表示装置を提供する。第一に、計時部により、ハードウエア等で実現された正確な時刻を取得し、取得した時刻と所定のルールとで判断される、描画タイミング通知の遅れに応じて次画面を構成するコンテンツ表示装置を提供する。
第二に、前記計時部により、前回トリガーが通知された時刻からの経過時間を取得し、所定のルールを使用して次表示画面を取得するコンテンツ表示装置を提供する。
【0011】
具体的には、従来技術の表示装置に加え、時刻を出力する計時部を有するコンテンツ表示装置であり、ルール保持部には、遷移タイミングを定める速度ルールを保持する速度ルール保持手段を有し、次画面取得部は、前回の描画開始トリガー時刻と今回の描画開始トリガー時刻との間の経過時間と、保持されている速度ルールと、に基づいて前記取得をする速度ルール依存取得手段を有するコンテンツ表示装置を提供する。
【0012】
第三に、次画面取得部は、従来技術の表示装置に加え、時刻を出力する計時部を有するコンテンツ表示装置であり、出力されたトリガーによって示される描画タイミングと、ルールによって定められる描画タイミングとの時間差分を計算する時間差分計算手段と、計算された時間差分にて生じる本来の描画画面からの画面差分を有する次画面を構成する次画面構成手段とを有するコンテンツ表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0013】
以上のような構成をとる第一の本発明によって、計時部から取得する正確な時刻と、所定のルールにより、描画タイミング通知の遅れに応じて、表示すべき画面を取得することができる。
【0014】
また、第二の本発明によって、計時部から取得する時刻により、次画面取得部において前回の描画開始トリガーが生じた時刻と今回の描画開始トリガーが生じた時刻の差分により前回の描画通知からの経過時間を求め、ルール保持部より取得した速度ルールにより、描画すべき画面を決定することができる。これにより、トリガー部からの描画通知が遅延したとしても、遅延した時点における描画すべき画面を決定できる。
【0015】
また、第三の本発明によって、計時部から取得する時刻により、ルールにより定められた描画タイミングの時刻と、今回の描画通知到来の時刻との差分を求め、ルール保持部より取得したルールにより、描画すべき画面を決定することができる。これにより、トリガー部からの描画通知が遅延したとしても、遅延した時点における描画すべき画面を決定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明はこれら実施の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施しうる。
なお、実施例1は、主に請求項1及び請求項8について説明する。実施例2は、主に請求項3、9及び請求項6について説明する。また、実施例3は、主に請求項4、10及び請求項2、5、7について説明する。
【0017】
≪実施例1≫
<概要>
図1は、本実施例のコンテンツ表示装置によって、マーキーの表示位置を調整し動きのぎくしゃく感が解消した場合の動作例である。本図は本実施例のコンテンツ表示装置による処理の一例を説明するための図である。この図にあるように、所定の描画間隔である100msごとに描画開始トリガーが通知されない場合でも、描画開始トリガーが通知された際の正確な時刻を計時部より取得し、これと所定のルールにより、描画トリガー通知が起こった時刻のマーキーの文字表示位置(0101)を算出し、遅れに応じて相対的に右方向または左方向に表示位置を調整することで、点線(0102)で示される理想的な位置にコンテンツを表示する処理を実行する。
【0018】
これにより、マーキーの文字の動きは、本来生ずべき時刻に描画開始トリガーが通知された場合と同じような滑らかな動きとして知覚される。
【0019】
<機能的構成>
図2は、本実施例のコンテンツ装置における機能ブロックの一例を表す図である。この図にあるように、本実施例の「コンテンツ表示装置」(0201)は、「ルール保持部」(0202)と、「次画面取得部」(0203)と、「トリガー部」(0204)、「描画部」(0205)、「計時部」(0206)とを有する。
【0020】
なお、以下に記載するコンテンツ表示装置の機能ブロックは、ハードウエア、ソフトウエア、又はハードウエア及びソフトウエアの両方として実現され得る。具体的には、コンピュータを利用するものであれば、CPUや主メモリ、バス、あるいは二次記録媒体(ハードディスクや不揮発性メモリ、CD−ROMやDVD−ROMなどの記憶メディアとそれらメディアの読取ドライブなど)、印刷機器や表示装置、その他の外部周辺装置などのハードウエア構成部やその外部周辺機器用のI/Oポート、それらハードウエアを制御するためのドライバプログラムやその他アプリケーションプログラム、情報入力に利用されるユーザーインターフェースなどが挙げられる。
【0021】
またこれらハードウエアやソフトウエアは、主メモリ上に展開したプログラムをCPUで演算処理したり、メモリやハードディスク上に保持されているデータや、インターフェースを介して入力されたデータなどを加工、蓄積、出力処理したり、あるいは各ハードウエア構成部の制御を行ったりするために利用される。また、この発明は装置として実現できるのみでなく、方法としても実現可能である。また、このような発明の一部をソフトウエアとして構成することができる。さらに、そのようなソフトウエアをコンピュータに実行させるために用いるソフトウエア製品、及び同製品を記録媒体に固定した記録媒体も、当然にこの発明の技術的な範囲に含まれる(本明細書の全体を通じて同様である)。
【0022】
「ルール保持部」(0202)とは、タイミングに応じて描画すべき画面を一意に定めるルールを保持する機能を有する。具体的には、取得されたコンテンツデータより文字又は図形等の動作を規定づけるルールを取得し、記憶装置により保持する。
【0023】
なお、ルールは、変化の内容が時刻の関数として求まり、任意の時刻を与えることでその時点での描画内容が一意に決定できるものであればよい。任意の時刻とは、必ずしも連続値を取るものでなくてよく、離散値を取るものでもよい。ルールは表1においてMARQUEEタグの中では、
「behavior="scroll"」,「direction="left "」,「scrollamount=50」,「scrolldelay=100」,「width=350」,「height=100」で定義されている。
【0024】
「次画面取得部」(0203)とは、前記ルールに基づいて、現在表示されている文字または図形の次の描画時期における表示態様を決定し、次の描画タイミングに表示すべき次画面を取得する機能を有する。具体的には、ルール保持部より取得したルールと、計時部より取得した描画トリガー通知が生じた正確な時刻により、前記表示態様を算出し、描画すべき次画面として描画部に対し転送する機能を有する。
【0025】
「トリガー部」(0204)とは、次画面の描画開始のトリガーを描画部に出力する機能を有する。具体的には、ルール保持部に保持されているルールのうちの描画間隔を計時し、描画開始トリガーを描画部と次画面取得部に対して描画通知として通知する機能を有する。
【0026】
「描画部」(0205)とは、表示すべき画面を描画する機能を有する。具体的には、次画面取得部で取得された次画面を、トリガー部が通知する描画トリガー通知を受け取ったタイミングで表示する機能を有する。
【0027】
「計時部」(0206)とは、時刻を出力する機能を有する。具体的には、次画面取得部に対し、現在の正確な時刻を通知する機能を有する。
ここで時刻は、ある複数の任意の時点で計測した時刻の差分を取ることで、経過時間が求まるものであればよい。また、計時部は、正確な時刻を取得できるものであれば、CPUのリソースに依存しないハードウエアで実現されたタイマであってもよいし、ソフトウエアで実現されたタイマであってタスク優先度が高く設定されているものでもよい。
【0028】
<処理の流れ>
図3は、本実施例のコンテンツ表示装置における処理の流れの一例を表すフローチャートである。なお、以下に示すステップは、媒体に記録され計算機を制御するためのプログラムを構成する処理ステップであっても構わない。この図にあるように、まず、トリガーステップ(ステップS0301)において次画面の描画開始のトリガー出力がなされる。すると計時ステップ(ステップS0302)において現在の時刻を取得する。さらに、次画面取得ステップ(ステップS0303)において、取得した時刻と、タイミングに応じて描画すべき画面を一意に定めるルールに基づいて次画面を取得する。その後取得した画面を描画ステップ(ステップS0304)にて描画する。
【0029】
そして、上記本実施例のコンテンツ表示装置は、計時ステップ(ステップS0302)にて現在の正確な時刻を取得し、次画面取得ステップ(ステップS0303)において、保持されているルールと、前記取得した時刻に基づいて次画面を構成することを特徴とする。これにより、描画開始トリガーが遅延しても、トリガーが通知された正確な時刻を計時ステップにて取得し、保持されている速度ルールに基づいて次画面を取得可能とする。このため、描画開始トリガーの遅延に応じて次画面を定めることができるため、遅延が生じても、コンテンツの文字及び図形等がぎくしゃくした動きとなる問題の発生を抑えることができる。
【0030】
本発明の実施形態であるが、一定のルールを有する表示内容が表示できる装置であればどのようなものでも実施が可能である。例えば動画表示機能を有する携帯電話でもよいし、PDAのような携帯型の端末でもよい。また、街頭や競技場に設置された大型の画像表示装置や広告塔のようなものでもよい。
【0031】
<ハードウエア的構成>
図4は、上記機能的な各構成要件をハードウエアとして実現した際の、コンテンツ表示装置における構成の一例を表す概略図である。この図を利用してコンテンツ表示処理におけるそれぞれのハードウエア構成部の働きについて説明する。この図にあるように、コンテンツ表示装置は、各種演算処理を行う「CPU(中央演算装置)」(0401)と、「主メモリ」(0402)と、「二次記憶装置」(0403)を有している。また、インターネット上のHTMLコンテンツ等を、電気通信回線等を介して取得する「通信I/F」(0406)と、正確な時刻を計時する「ハードウエアタイマー」(0404)と、画素データを画素ごとのメモリアドレスに格納する「VRAM」(0405)も備えている。そしてそれらが「システムバス」などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。なお、図示していないが、「VRAM」(0405)はディスプレイや発光ダイオードアレイ等の表示装置に接続されている。
【0032】
また、「主メモリ」(0402)は、各種処理を行うプログラムをCPUに実行させるために読み出すと同時にそのプログラムの作業領域でもあるワーク領域を提供する。また、この「主メモリ」(0402)には複数のアドレスが割り当てられており、「CPU」(0401)で実行されるプログラムは、そのメモリアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやりとりを行い、処理を行うことが可能になっている。
【0033】
ここで、「通信I/F」(0406)を介してコンテンツデータ(例えば表1で示すようなHTMLデータ)が入力されると、「主メモリ」(0402)と「二次記憶装置」(0403)にデータが格納される。ルール(表1のMARQUEEタグ中の「behavior="scroll"」,「direction="left "」,「scrollamount=50」,「scrolldelay=100」,「width=350」,「height=100」)は、「CPU」(0401)により、「主メモリ」(0402)上のコンテンツデータより抽出され、「主メモリ」(0402)上に格納される。また、前回の描画開始トリガーが通知された時刻(例えば図1における100ms)も「主メモリ」(0402)上に保持されている。「CPU」(0401)上で描画開始トリガーが実行されると、「CPU」(0401)は「ハードウエアタイマー」(0404)上の時刻(例えば図1における225ms)を取得し、「主メモリ」(0402)に格納する。同時に、「CPU」(0401)は、取得した時刻とルールを用いて、次画面(図1の225msにおける文字列の表示)を構成する。次画面はシステムバス等を介して、「VRAM」(0405)へ転送され、描画される。
【0034】
<効果の簡単な説明>
以上のような本実施例のコンテンツ表示装置によって、描画開始トリガーが一定時間間隔に生じない場合においても、描画開始トリガーが生じた正確な時刻を、計時部より取得することが可能である。これにより、あらかじめ保持されているルールと前記時刻により、描画開始トリガーの遅延に応じた次画面の状態を求めることができる。このため、画面上で文字又は図形等がぎくしゃくした動きに見えるという問題の発生を防止することができる。
【0035】
≪実施例2≫
<概要>
実施例2では、実施例1の処理を基本として、さらに、前回の描画開始トリガー通知が起こった時刻からの正確な経過時間を求め、これと所定の速度ルールにより、描画トリガー通知が起こった時刻の文字や図形などのグラフィック表示位置を算出し、遅れ等に応じて表示位置を調整する処理について説明する。
【0036】
これにより、図1におけるマーキーの例において、描画開始トリガー通知が起こった時刻のマーキーの文字表示位置を算出し、遅れに応じて相対的に右方向または左方向に表示位置を調整することで、文字列(0101)の先頭を点線で示される理想的な位置(0102)に表示する処理を実行することができる。このため、所定の描画間隔で描画開始トリガーが通知されない場合においても、マーキーの文字の動きは、本来生ずべき時刻に描画開始トリガーが通知された場合と同じような滑らかな動作として知覚される。
【0037】
<機能的構成>
図5は、本実施例のコンテンツ装置における機能ブロックの一例を表す図である。この図にあるように、本実施例の「コンテンツ表示装置」(0501)は、実施例1の構成を基本として、
「ルール保持部」(0502)において「速度ルール保持手段」(0511)を有し、「次画面取得部」(0503)において、「速度ルール依存取得手段」(0513)を新たに有する。
なお本装置は、「HTMLコンテンツ取得部」(0507)と、「次画面取得部」(0503)において「HTMLコンテンツ構成手段」(0512)とを有していてもよい。
【0038】
「速度ルール保持手段」(0511)は、遷移タイミングを定める速度ルールを保持する機能を有する。速度ルールとは、描画される文字又は図形の変化の内容を規定しているルールであり、任意の時刻を与えればその時刻における文字又は図形の位置や形態等が一意に決定されるルールのことである。具体的には、ルール保持部により取得し、保持されているルールから、遷移のタイミングを定める速度ルールを抽出して記憶装置内で保持し、次画面取得部が取得可能とする機能を有する。
なお、速度ルールは、変化の内容が時刻の関数として求まり、任意の時刻を与えることでその時点での描画内容が一意に決定できるものであればよい。任意の時刻とは、必ずしも連続値を取るものでなくてよく、離散値を取るものでもよい。
【0039】
「速度ルール依存取得手段」(0513)は、前回の描画開始トリガー時刻と今回の描画開始トリガー時刻との間の経過時間と、保持されている速度ルールとに基づいて次画面の取得をする機能を有する。
具体的には、トリガー部(0504)より描画開始トリガーの通知を受け、計時部(0506)より現在時刻を取得する。そして、前回描画開始トリガーの通知を受けた際に取得した時刻と今回取得した現在時刻との差をとり、前回通知からの経過時間を算出する。経過時間と、速度ルール保持手段(0511)より取得し、保持されている速度ルールによって、表示すべき画面を取得する。
速度ルールの例は、前記表1でみると、MARQUEEタグ内の「direction="Left"」,「scrollamount=50」および「scrolldelay=100」が該当する。これは50ピクセルずつ、100msで左側に移動するという速度ルールを示している。
【0040】
「HTMLコンテンツ取得部」(0507)は、インターネット上のHTMLコンテンツを取得する機能を有する。具体的には、電気通信回線等を介してインターネットに接続し、インターネット上のHTML形式のコンテンツを取得する。取得したコンテンツはコンテンツデータとして、メモリ及びその他の記憶媒体に格納され、次画面取得部およびルール保持部が取得可能とされる。
【0041】
「HTMLコンテンツ構成手段」(0512)は、HTMLコンテンツ取得部にて取得したHTMLコンテンツに含まれるデータに基づいて次画面を取得する機能を有する。具体的には、HTMLコンテンツ取得部により取得したコンテンツデータを使用し、次に表示すべき画面を取得し、描画部が利用可能な形でメモリ及びその他の記憶媒体に格納する。
【0042】
また、図示していないが、図5の構成において、「HTMLコンテンツ取得部」(0507)に代えて後述する「地上デジタルテレビジョンデータ放送取得部」を有していてもよい。「次画面取得部」(0503)における「HTMLコンテンツ構成手段」(0512)は、これに代えて後述する「地上デジタルデータ放送構成手段」を有していても良い。
あるいは、図5の構成に加えて「地上デジタルテレビジョンデータ放送取得部」と、「次画面取得部」(0503)において「地上デジタルデータ放送構成手段」とをさらに有する構成でもよい。
【0043】
<処理の流れ>
図6は、本実施例のコンテンツ表示装置における処理の流れの一例を表すフローチャートである。なお、以下に示すステップは、媒体に記録され計算機を制御するためのプログラムを構成する処理ステップであっても構わない。この図にあるように、まず、トリガーステップ(ステップS0601)において次画面の描画開始のトリガー出力がなされる。すると次画面取得ステップ(ステップS0603)中の、計時ステップ(ステップS0602)において描画開始トリガーが生じた時刻を取得する。さらに、速度ルール依存取得サブステップ(ステップS0611)において、取得した時刻と、タイミングに応じて描画すべき画面を一意に定める速度ルールに基づいて、次画面を取得する。その後取得した画面を描画ステップ(ステップS0604)にて描画する。
【0044】
そして、上記本実施例のコンテンツ表示装置は、次画面取得ステップ(ステップS0603)において、前回の描画開始トリガー時刻と今回の描画開始トリガー時刻との間の経過時間と、保持されている速度ルールに基づいて次画面を構成する速度依存取得サブステップ(ステップS0611)を有することを特徴とする。これにより、描画開始トリガーが遅延しても、トリガーが通知された正確な時刻を計時ステップ(ステップS0602)にて取得し、前回描画開始トリガーからの経過時間を算出し、保持されている速度ルールに基づいて次画面を取得可能とする。このため、描画開始トリガーの遅延に応じて次画面を定めることができるため、遅延が生じても、コンテンツの文字及び図形等がぎくしゃくした動きとなる問題の発生を抑えることができる。
【0045】
図7は次画面取得ステップにおける、さらに詳細な処理の流れの一例を表すフローチャートである。まず、描画開始トリガー通知を検出するステップ(ステップS0701)において、当該通知の有無を検出する。通知を検出すると、現在時刻として計時ステップにて取得した描画トリガーが生じた時刻を取得し(ステップS0702)、例えば変数T_presentに代入する。次に、前回描画通知を検出して取得した時刻、例えばT_lasttimeの設定の有無を判断し(ステップS0703)、設定されていなければ描画開始トリガーが生じた時刻を、例えばTmで示される変数に代入する(ステップS0704)。T_lasttimeの値の設定がある場合には、T_presentとT_lasttimeの時刻の差を求め、前回の描画通知が検出された時刻からの経過時間Tmを算出する(ステップS0705)。算出したTmと速度ルールの一例である単位時間当たりの移動量とで前回の描画トリガー通知がなされた時刻からの移動量Mを計算する(ステップS0706)。その移動量Mに基づき、次画面が取得され、描画ステップに送られる(ステップS0707)。T_lasttime はT_presentの値が代入されて更新され(ステップS0708)、再びトリガー通知を検出するステップ(ステップS0701)に戻る。
【0046】
<ハードウエア的構成>
図8は、上記機能的な各構成要件をハードウエアとして実現した際の、コンテンツ表示装置における構成の一例を表す概略図である。この図を利用してコンテンツ表示処理におけるそれぞれのハードウエア構成部の働きについて説明する。この図にあるように、コンテンツ表示装置は、各種演算処理を行う「CPU(中央演算装置)」(0801)と、「主メモリ」(0802)と、「二次記憶装置」(0803)を有している。また、インターネット上のHTMLコンテンツを、電気通信回線等を介して取得する「通信I/F」(0806)と、正確な時刻を計時する「ハードウエアタイマー」(0804)と、画素データを画素ごとのメモリアドレスに格納する「VRAM」(0805)も備えている。そしてそれらが「システムバス」などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。なお、図示していないが、「VRAM」(0805)はディスプレイや発光ダイオードアレイ等の表示装置に接続されている。
【0047】
また、「主メモリ」(0802)は、各種処理を行うプログラムをCPUに実行させるために読み出すと同時にそのプログラムの作業領域でもあるワーク領域を提供する。また、この「主メモリ」(0802)には複数のアドレスが割り当てられており、「CPU」(0801)で実行されるプログラムは、そのメモリアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやりとりを行い、処理を行うことが可能になっている。
【0048】
ここで、「通信I/F」(0806)を介してHTML形式のコンテンツデータが入力されると、「主メモリ」(0802)と「二次記憶装置」(0803)にデータが格納される。前記表1で表される速度ルール(MARQUEEタグ内の「direction="Left"」,「scrollamount=50」および「scrolldelay=100」)は、「CPU」(0801)により、「主メモリ」(0802)上のコンテンツデータより抽出され、「主メモリ」(0802)上に格納される。また、前回の描画開始トリガーが通知された時刻(例えば図1における100ms)、も「主メモリ」(0802)上に保持されている。「CPU」(0801)上で描画開始トリガーが実行されると、「CPU」(0801)は「ハードウエアタイマー」(0804)上の時刻(例えば図1における225ms)を取得し、「主メモリ」(0802)に格納する。同時に、取得した時刻と前回の描画開始トリガーが通知された時刻から、経過時間(125ms)を算出し、この経過時間と速度ルールを用いて、次画面における表示位置を算出(125ms×0.5pix/ms=62.5pix分左に移動)し、次画面が決定される。次画面はシステムバス等を介して、「VRAM」(0805)へ転送され、描画される。
【0049】
<効果の簡単な説明>
以上のような本実施例のコンテンツ表示装置によって、描画開始トリガーが一定時間間隔に生じない場合においても、描画開始トリガーが生じた正確な時刻を、計時部より取得することで、前回の描画開始トリガーが生じた時刻から今回生じた時刻までの経過時間を求めることができる。これにより、あらかじめ保持されている速度ルールと経過時間により、描画開始トリガーの遅延に応じた次画面の状態を求めることができ、画面上で文字又は図形等がぎくしゃくした動きに見えるという問題の発生を防止することができる。
【0050】
≪実施例3≫
<概要>
本実施例では、次画面取得部における次画面取得が、描画開始トリガーが生じた時刻と、あらかじめルールとして保持されている本来描画開始トリガーの通知が起こるべき想定時刻との差分を計算し、その差分と所定のルールにより、本来の描画画面からの画面差分を有する次画面を取得する方法を有するコンテンツ表示装置を例示する。
図9,図10,及び図11は、本実施例における装置の動作を示す例である。図9中の実線は、10msごとに、25mmずつの大きさで表示する同心円の半径を広げて行き、水面で広がる波紋のように動作をするアニメーションの一部である。図9のように、10msごとの一定間隔の描画では滑らかな動きとして知覚され、鎖線で示した接線上(0901)に各時刻の同心円が並ぶ。しかし、図10では、本来20msで描画がされるところを22.5msで描画がされており(1011)、また、40msで描画がされるところ37.5msで描画されている(1012)。このため、波紋の広がりがぎくしゃくしたものとして知覚される。そこで、図11のように、描画トリガー通知の想定時刻と実際に描画トリガーが生じた時刻の差分と、所定のルールにより、表示すべき円の半径を調整し(1113)、滑らかな波紋の広がりとして知覚されるようにする。なお、図11の詳細は後述する。
【0051】
<機能的構成>
図12は、本実施例のコンテンツ表示装置における機能ブロックの一例を表す図である。この図にあるように、本実施例の「コンテンツ表示装置」(1201)は、実施例1を基本として、さらに「次画面取得部」(1203)において「時間差分計算手段」(1214)と、「次画面構成手段」(1213)とを有する。
なお、図にあるように、上記構成に加えてさらに「地上デジタルテレビジョンデータ放送取得部」(1207)と、「次画面取得部」(1203)において「地上デジタルデータ放送構成手段」(1212)を有する構成でもよい。
【0052】
また、図示していないが、図12の構成は、「地上デジタルテレビジョンデータ放送取得部」(1207)に代えて「HTMLコンテンツ取得部」を有していてもよい。「次画面取得部」(1203)における「地上デジタルデータ放送構成手段」(1212)は、これに代えて「HTMLコンテンツ構成手段」を有していても良い。
あるいは、図6の構成に加えて「HTMLコンテンツ取得部」と、「次画面取得部」(1203)において「HTMLコンテンツ構成手段」をさらに有する構成でもよい。
なお、これら構成要件については実施例2にて既に記載済みであるので説明は省略する。そして、本実施例のコンテンツ表示装置の特徴点は、「次画面取得部」(1203)が、「時間差分計算手段」(1214)と、「次画面構成手段」(1213)を有する点である。
【0053】
「時間差分計算手段」(1214)は、出力されたトリガーによって示される描画タイミングと、ルールによって定められる描画タイミングとの時間差分を計算する機能を有する。具体的には、所定の周期により定められた描画タイミングからなるルールをルール保持部より取得し、計時部より取得した描画開始トリガーが通知された時刻との差分を計算する。計算された差分は、メモリ及びその他の記憶装置に格納され、保持される。
【0054】
「次画面構成手段」(1213)は、計算された時間差分にて生じる本来の描画画面からの画面差分を有する次画面を構成する機能を有する。具体的には、時間差分計算手段で計算した時間差分を取得し、この時間差分とルールを用いて本来の描画画面からの画面の差分を有する次画面を構成する。本過程を図11で見ると、例えば、ルールで定められた描画タイミングである20msで描画開始トリガーの通知がされるべきところ、22.5msで通知がされた場合(1111)、まず、時間差分計算手段にて遅延した時間差分2.5msを求める。次に、ルールで定められた2.5mm/msの速度と時間差分2.5msにより6.25mmを算出し、本来のタイミングで描画通知がされたならば半径50mmの円である次画面を取得するところ、6.25mm半径を広げて半径56.25mmの円を表示する(1113)。これにより、遅延に応じて滑らかな動きに見える表示をすることができる。
【0055】
「地上デジタルテレビジョンデータ放送取得部」(1207)とは、地上デジタルテレビジョン放送のデータ放送を受信する機能を有する。具体的には、有線又は無線その他の媒体を使用し、地上デジタルテレビジョン放送のデータ放送のBML形式コンテンツを受信取得する。取得したコンテンツはコンテンツデータとして、メモリ及びその他の記憶媒体に格納され、次画面取得部およびルール保持部が取得可能とされる。
【0056】
「地上デジタルデータ放送構成手段」(1212)は、地上デジタルテレビジョンデータ放送取得部にて取得したBMLコンテンツに含まれるデータに基づいて次画面を取得する機能を有する。具体的には、地上デジタルテレビジョンデータ放送取得部により取得したコンテンツデータを使用し、次に表示すべき画面を取得する。
【0057】
<処理の流れ>
図13は、本実施例のコンテンツ表示装置における処理の流れの一例を表すフローチャートである。なお、以下に示すステップは、媒体に記録され計算機を制御するためのプログラムを構成する処理ステップであっても構わない。この図にあるように、まず、トリガーステップ(ステップS1301)において、次画面の描画開始のトリガー出力がなされる。すると、計時ステップ(ステップS1302)において描画開始トリガーが生じた時刻を取得する。そして、次画面取得ステップ(ステップS1303)内の時間差分計算サブステップ(ステップS1311)にて、取得した時刻と、ルール保持部に保持されているルールによって定められている本来描画すべき時刻との差分を計算する。この差分を用いて、次画面構成サブステップ(ステップS1312)にて本来の描画画面との差分を求めることにより、次画面を取得する。その後取得した画面を描画ステップ(ステップS1304)にて描画する。
このため、描画開始トリガーの遅延に応じて次画面を定めることが可能となるため、遅延が生じても、コンテンツの文字及び図形等がぎくしゃくした動きとなる問題の発生を抑えることができる。
【0058】
図14は次画面取得ステップにおける、さらに詳細な処理の流れの一例を表すフローチャートである。まず、描画開始トリガー通知を検出するステップ(ステップS1401)において、当該通知の有無を検出する。通知を検出すると、計時ステップにて現在時刻として取得した描画トリガーが生じた時刻を取得して、(ステップS1402)例えば変数T_presentに代入する。次に、n回目の描画通知を表すnの有無を判断し(ステップS1403)、n=0であれば例えばTdで表される時間差分に現在時刻の値を代入する(ステップS1404)。n=0でない場合には、n番目の描画通知に対して本来描画トリガー通知が生ずべき時刻のT_nとT_presentの時刻の差を求め、時間差分Tdを算出する(ステップS1405)。算出したTdとルールの一例である単位時間当たりの移動量とで前回の描画トリガー通知がなされた時刻からの画面差分である差分量Dを計算する(ステップS1406)。その差分量Dに基づき、次画面が取得され、描画ステップに送られる(ステップS1407)。nの値を更新し(ステップS1408)、再びトリガー通知を検出するステップ(ステップS1401)に戻る。
【0059】
<ハードウエア構成>
図15は、上記の機能的な各構成要件をハードウエアとして実現した際の、コンテンツ表示装置における構成の一例を表す概略図である。この図を利用してコンテンツ表示処理におけるそれぞれのハードウエア構成部の働きについて説明する。この図にあるように、コンテンツ表示装置は、各種演算処理を行う「CPU(中央演算装置)」(1501)と、「主メモリ」(1502)と、「二次記憶装置」(1503)を有している。また、地上デジタル放送のデータ放送を受信して、BMLコンテンツを取得する「地上デジタル放送チューナ」(1506)と、正確な時刻を計時する「ハードウエアタイマー」(1504)と、画素データを画素ごとのメモリアドレスに格納する「VRAM」(1505)も備えている。そしてそれらがシステムバスなどのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。なお、図示していないが、「VRAM」(1505)はディスプレイや発光ダイオードアレイ等の表示装置に接続されている。
【0060】
ここで、実施例1で説明したような処理により、 ここで、「地上デジタル放送チューナ」(1506)を介してコンテンツデータ(波紋が広がるアニメーションのBMLデータ)が入力されると、「主メモリ」(1502)と「二次記憶装置」(1503)にデータが格納される。ルール(10msごとに、25mmずつの大きさで表示する同心円の半径を広げる)は、「主メモリ」(1502)上のコンテンツデータより「CPU」(1501)によって抽出され、「主メモリ」(1502)上に格納される。「CPU」(1501)上で描画開始トリガーが実行されると、「CPU」は「ハードウエアタイマー」(1504)上の時刻(図11で例えば22.5ms)を取得し、「主メモリ」(1502)に格納する。次に、格納された時刻は、ルールに格納されている本来描画トリガー通知が来るべき時刻(図11で例えば20ms)との時間差分を算出(22.5ms-20ms=2.5ms)する。この差とルールを用いて次画面において表示すべき円の大きささを算出(2.5ms×2.5mm/ms=6.25mm)する。ルールに保持されている本来表示すべき画面(半径50mmの円)と、算出された画面差分(6.25mm)により、次画面(半径56.25mmの円)を決定する。決定された次画面は描画すべき画面としてシステムバス等を介して、「VRAM」(1505)へ転送され、描画される。
【0061】
<別のハードウエア構成>
図16は、本実施例の別のハードウエア構成として、本発明のコンテンツ表示装置を有した携帯電話のハードウエア構成の一例を表す概略図である。この図にあるように、本発明のコンテンツ表示装置を有する「携帯電話機」(1621)は、各種演算処理を行う「CPU(中央演算装置)」(1601)と、「主メモリ」(1602)と「ROM」(1603)などを有している。また、地上デジタル放送のデータ放送を受信して、BMLコンテンツを取得する「地上デジタル放送チューナ」(1606)と、正確な時刻を計時する「ハードウエアタイマー」(1604)と、主メモリ上で構成された表示すべき画面の画素データを表示する「映像表示部」(1605)も備えている。
さらに、携帯電話の回線電波を送受信して、音声やデータ通信を送受信する「回線通信部」(1607)と、通話音声や、着信音などを取り扱う「音声入出力部」(1608)を有する。それらが「システムバス」などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。「回線通信部」は、例えば、アンテナや、復調器、A/D変換器等からなる。「音声入出力部」は、例えば、通話用マイク、通話用スピーカ等からなる。「映像表示部」は、例えば、液晶ディスプレイや発光ダイオードなどからなる。
【0062】
ここで、上記構成の携帯電話機(1621)において、地上デジタル放送チューナ(1606)により地上デジタル放送が受信され、コンテンツデータが入力されると、主メモリにBMLコンテンツデータが格納される。BMLコンテンツ中のルールは、CPU(1601)により主メモリ上のコンテンツデータより取得され、主メモリ上に格納される。CPU上で描画開始トリガーが実行されると、CPU(1601)はハードウエアタイマー(1604)上の時刻を取得し、主メモリ(1602)に格納する。次に、格納された時刻と、ルールに格納されている本来描画トリガー通知が来るべき時刻との差を算出し、この差とルールを用いて本来の描画画面からの差分を有する次画面が構成される。次画面は主メモリ上で構成され、システムバス等を介して、映像表示部(1605)へ転送され、描画される。
【0063】
上記処理は、HTMLコンテンツの場合でも同様となる。ただし、データの受信は回線通信部(1607)により行われる点が異なる。
【0064】
通常の携帯電話は小型軽量であり、内部の機器配置が高集積であるため、搭載できる主メモリや、CPU等においても省スペースのものが要求される。同時に、電源等の制約により、低消費電力のものが要求される。したがって、限定されたハードウエア資源の中で通話、インターネット、音楽再生等の複数のソフトウエアを実行する状況が多く、おのずと各ソフトウエアの処理も、輻輳した状況が多発する。このため、動きのある映像を表示する場合には描画通知が本来行われるべきタイミングでされないという問題が頻発する。このような問題に対し、本発明のコンテンツ表示装置は描画通知の揺らぎに応じて、表示すべき画面を取得できるため、携帯電話をはじめとする小型軽量の装置に対して高い効果をもたらす。
【0065】
<効果の簡単な説明>
このようにして、以上のような本実施例のコンテンツ表示装置によって、CPUが発する描画開始トリガーが一定時間間隔に生じない場合においても、描画開始トリガーが生じた正確な時刻を、計時部より取得することで、あらかじめルールとして保持されている本来描画すべき時刻と、今回描画開始トリガー生じた時刻の差分を求めることができる。
これにより、第一に、あらかじめ保持されているルールと時刻の差分より、描画開始トリガーの遅延に応じ、本来の描画画面からの画面差分を求めることができ、画面上で文字又は図形等がぎくしゃくした動きに見えるという問題の発生を防止することができる。
【0066】
第二に、携帯電話のようなハードウエア資源が限られている表示装置を有する機器でも、ハードウエア資源の不足に起因する描画の遅れに応じて描画すべき次画面を取得することにより、滑らかな文字又は図形等の動作として表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】実施例1のコンテンツ表示装置を使用した場合のマーキーの動作例を表す図
【図2】実施例1のコンテンツ表示装置における機能ブロックの一例を表す図
【図3】実施例1のコンテンツ表示装置における処理の流れの一例を表すフローチャート
【図4】実施例1のコンテンツ表示装置におけるハードウエア構成の一例を表す概略図
【図5】実施例2のコンテンツ表示装置における機能ブロックの一例を表す図
【図6】実施例2のコンテンツ表示装置における処理の流れの一例を表すフローチャート
【図7】実施例2のコンテンツ表示装置の次画面取得部における処理の流れの一例を表すフローチャート
【図8】実施例2のコンテンツ表示装置におけるハードウエア構成の一例を表す概略図
【図9】アニメーション表示の動作例
【図10】アニメーション表示の描画位置に揺らぎが生じた例
【図11】実施例1のコンテンツ表示装置を使用した場合のアニメーションの動作例を表す図
【図12】実施例3のコンテンツ表示装置における機能ブロックの一例を表す図
【図13】実施例3のコンテンツ表示装置における処理の流れの一例を表すフローチャート
【図14】実施例3のコンテンツ表示装置の次画面取得部における処理の流れの一例を表すフローチャート
【図15】実施例2のコンテンツ表示装置におけるハードウエア構成の一例を表す概略図
【図16】実施例2のコンテンツ表示装置におけるハードウエア構成の別の一例を表す概略図
【図17】マーキーの動作例
【図18】従来技術による表示装置の機能ブロック図の一例
【図19】従来技術による表示装置の動作の流れ
【図20】マーキー表示の描画位置に揺らぎが生じた例
【符号の説明】
【0068】
0201 コンテンツ表示装置
0202 ルール保持部
0203 次画面取得部
0204 トリガー部
0205 描画部
0206 計時部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイミングに応じて描画すべき画面を一意に定めるルールを保持するルール保持部と、
表示すべき画面を描画するための描画部と、
次画面の描画開始のトリガーを描画部に出力するトリガー部と、
時刻を出力する計時部と、
出力されたトリガーによって描画すべき次画面を保持されているルールとトリガーが出力された時刻とに基づいて取得する次画面取得部と、
を有するコンテンツ表示装置。
【請求項2】
トリガー部はCPUリソースを用いて機能し、計時部はCPUリソースを用いないで機能する請求項1に記載のコンテンツ表示装置。
【請求項3】
ルール保持部は、
画面内で文字や図形などのグラフィックを移動させる遷移タイミングを定める速度ルールを保持する速度ルール保持手段を有し、
次画面取得部は、
前回の描画開始トリガー時刻と今回の描画開始トリガー時刻との間の経過時間と、保持されている速度ルールと、に基づいて前記取得をする速度ルール依存取得手段を有する請求項1又は2に記載のコンテンツ表示装置。
【請求項4】
次画面取得部は、
出力されたトリガーによって示される描画タイミングと、ルールによって定められる描画タイミングとの時間差分を計算する時間差分計算手段と、
計算された時間差分にて生じる本来の描画画面からの画面差分を有する次画面を構成する次画面構成手段と、
を有する請求項1又は2に記載のコンテンツ表示装置。
【請求項5】
地上デジタルテレビジョン放送のデータ放送を受信する地上デジタルテレビジョンデータ放送受信部をさらに有し、
次画面取得部は、
地上デジタルテレビジョンデータ放送受信部にて受信した地上デジタルテレビジョンデータ放送に含まれるデータに基づいて次画面を取得する地上デジタルデータ放送構成手段を有する請求項3又は4に記載のコンテンツ表示装置。
【請求項6】
インターネット上のHTMLコンテンツを取得するHTMLコンテンツ取得部をさらに有し、
次画面取得部は、
HTMLコンテンツ取得部にて取得したHTMLコンテンツに含まれるデータに基づいて次画面を取得するHTMLコンテンツ構成手段を有する請求項3又は4に記載のコンテンツ表示装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一記載のコンテンツ表示装置を有する携帯電話。
【請求項8】
タイミングに応じて描画すべき画面を一意に定めるルールを保持するルール保持部を有するコンテンツ表示装置の動作方法であって、
表示部に表示されている画面から次画面の描画開始のトリガーを描画部に出力するトリガーステップと、
トリガーステップにてトリガーが出力された時刻を出力する計時ステップと、
前記保持されているルールと計時ステップにて出力されたトリガーが出力された時刻とに基づいて次画面を取得する次画面取得ステップと、
を有するコンテンツ表示装置の動作方法。
【請求項9】
ルール保持部は、遷移タイミングを定める速度ルールを保持する速度ルール保持手段を有し、
次画面取得ステップは、前回の描画開始トリガー時刻と今回の描画開始トリガー時刻との間の経過時間と、保持されている速度ルールと、に基づいて前記取得をする速度ルール依存取得サブステップを有する請求項8に記載のコンテンツ表示装置の動作方法。
【請求項10】
次画面取得ステップは、
出力されたトリガーによって示される描画タイミングと、保持されているルールによって定められる描画タイミングとの時間差分を計算する時間差分計算サブステップと、
時間差分計算サブステップにて計算された時間差分にて生じる本来の描画画面からの画面差分を有する次画面を構成する次画面構成サブステップと、を有する請求項8に記載のコンテンツ表示装置の動作方法。

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図1】
image rotate

【図17】
image rotate

【図20】
image rotate


【公開番号】特開2008−164894(P2008−164894A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−353807(P2006−353807)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】