説明

コンテンツ記録媒体

【課題】従来規格から最大格納コンテンツ数を拡大した場合に、機器に求められる処理能力も拡大する。
【解決手段】ユーザデータ領域11とプロテクト領域12を備えるコンテンツ記録媒体10において、ユーザデータ領域11には複数の第1のコンテンツデータベース15と1つのコンテンツデータベース管理部14を含む第2のコンテンツデータベース13を格納し、コンテンツデータベース管理部14では全ての複数の第1のコンテンツデータベース15で管理されるコンテンツの属性情報を当該コンテンツと対応付けた上で管理し、プロテクト領域12には暗号鍵16を格納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツデータとそのコンテンツデータを暗号化する暗号鍵を格納する記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子コンテンツ配信などのデジタルコンテンツを扱う事業が拡大しており、有料のデジタルコンテンツを流通させる技術に対する期待が高まっている。電子コンテンツ配信では、ユーザはインターネットなどのネットワークを通じてコンテンツを購入し、自身のパソコンなどにコンテンツデータをダウンロードし視聴が可能となる。購入したコンテンツデータは、ほとんどの場合パソコンから自由にコピーすることはできず、暗号化などの何らかのコピー防止機構が組み込まれている。
【0003】
音楽コンテンツや映像コンテンツなどを購入した場合は、それをリムーバブルの記録媒体に記録し、パソコンではなくポータブル機器で視聴するスタイルも一般的である。この際に用いられる記録媒体として代表的なのが半導体メモリカードである。
【0004】
半導体メモリカードは、フラッシュATAカードやSDメモリカードなどと呼ばれるものが知られている。これら半導体メモリカードは、フラッシュメモリ(EEPROM)と呼ばれる半導体デバイスを内蔵しており、MD、CD−R等と比較して、データの高速書き込みが可能であり、膨大なコンテンツデータの格納を短時間で完遂することができる。
【0005】
購入した音楽コンテンツや映像コンテンツを半導体メモリカードに格納する場合も同様に、暗号化などの不正コピー防止の手段がとられている。半導体メモリカードでのコンテンツの著作権保護を実現する手段の1つとしては次のようなものが提案されている(特許文献1参照)。半導体メモリカード内に、接続された機器の正当性が認証された場合のみ、当該機器によりアクセスが可能となるプロテクト領域と、機器の正当性が認証されるか否かに関わらず、当該機器によりアクセスが可能な非プロテクト領域の2つを備える。コンテンツデータは暗号化され、非プロテクト領域に格納し、暗号化に用いた暗号化鍵はプロテクト領域に格納する。これにより、正当な機器でなければ暗号化鍵を取得することができないため不正なコピーが防止できる。
【0006】
上記従来技術を用いた応用例として、半導体メモリカードへ格納するオーディオコンテンツの規格化を行い、その規格に対応した応用機器が考えられる。半導体メモリカードに格納したコンテンツは様々な対応機器間で再生できる必要があるため、機器として規格に準拠し、規格準拠機器間ではコンテンツ共有を可能とする。その際には、対応機器の処理能力が不足する問題を防ぐために、半導体メモリカードに格納できるコンテンツの最大数を規格で規定することが通常である。
【0007】
例えば、規格として想定する半導体メモリカードの最大のサイズを2GB(ギガバイト)とし、格納するオーディオコンテンツのビットレートを128kbps、1つのオーディオコンテンツの長さを4分とすると、2GB/128kbps/4分=546.1となるため、余裕をみて最大1000個程度までのオーディオコンテンツを格納可能な規格を規定することが考えられる。対応機器としては、最大でも1000個のコンテンツを扱えればよいように設計ができるため、不必要に高い処理能力を持つ必要がなくなる。
【0008】
ところが、近年、フラッシュメモリの大容量化、低価格化が進み、半導体メモリカードの容量が急速に拡大している。このため規格が当初想定していた容量を超える半導体メモリカードの出現が予測され、現状の規格ではまかない切れない状況になることは明らかである。
【特許文献1】特許第3425119号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この状況においては、上記の従来技術には以下の課題がある。上記従来技術を単純に用いて格納可能なコンテンツ数のみを拡張した新しい規格を規定すると、拡張した数に比例して機器に必要な処理能力が上昇する。例えばコンテンツ格納数を10倍にすると、今までの機器に求められていた処理能力の10倍が、新しい規格に対応する機器に求められることになる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によるコンテンツ記録媒体は、ユーザデータエリアとプロテクトエリアを備えるコンテンツ記録媒体であって、前記ユーザデータエリアは、接続される機器の正当性が認証されるか否かに拘らず、当該機器によりアクセスできる領域であり、前記プロテクトエリアは、接続される機器とコンテンツ記録媒体の間で互いの正当性が認証された場合にのみ、当該機器によりアクセスできる領域であり、前記ユーザデータエリアには複数の第1のコンテンツデータベースと1つのコンテンツデータベース管理部を含む第2のコンテンツデータベースを格納し、前記コンテンツデータベース管理部は、前記複数の第1のコンテンツデータベースで管理されるコンテンツの属性情報を当該コンテンツと対応付けた上で管理し、前記プロテクトエリアには、複数の暗号鍵を所定の構成で格納し、各暗号鍵は識別情報によって前記複数の第1のコンテンツデータベースで管理されるコンテンツと対応付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によるコンテンツ記録媒体を用いて新規格を規定し、対応機器に適用すれば、従来規格に求められた処理能力と同等の処理能力での処理が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明のコンテンツ記録媒体について、図面を用いて説明する。
【0013】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1におけるコンテンツ記録媒体の構成を概念的に示している。図1において、コンテンツ記録媒体10は、ユーザデータ領域11とプロテクト領域12を含んでいる。ユーザデータ領域11は、コンテンツ記録媒体10に接続される機器(図示せず)の正当性が認証されるか否かに拘らず、当該機器によりアクセスできる領域であり、プロテクト領域12は、接続される機器とコンテンツ記録媒体10との間で互いの正当性が認証された場合にのみ、当該機器によりアクセスできる領域である。
【0014】
ユーザデータ領域11には第2のコンテンツデータベース13を格納しており、第2のコンテンツデータベース13は、コンテンツデータベース管理部14と、複数の第1のコンテンツデータベース15を含んでいる。プロテクト領域12は、複数の暗号鍵16を格納している。
【0015】
図2は第1のコンテンツデータベース15を概念的に示している。第2のコンテンツデータベース13の中には複数の第1のコンテンツデータベース15を含んでおり、それぞれの第1のコンテンツデータベース15にはインデックスがつけられている。第1のコンテンツデータベース15は1つのディレクトリ下に格納されており、そのディレクトリ名にはそのインデックスから生成され001から開始される番号が含まれている。ディレクトリ下には、オーディオコンテンツの管理ファイルとしてSD_AUDIO.TKMと、オーディオコンテンツがAOB001.SA1から順に複数格納されている。複数の第1のコンテンツデータベースはそれぞれ同様の構造を持っている。
【0016】
図3は第1のコンテンツデータベース15に含まれるSD_AUDIO.TKMファイルの構成を示したものである。SD_AUDIO.TKMファイルは各オーディオコンテンツの情報を格納しており、各オーディオコンテンツの情報の中には、暗号鍵へのインデックスが含まれる。
【0017】
図4はコンテンツデータベース管理部14の構成を示したものである。コンテンツデータベース管理部14では、全ての第1のコンテンツデータベース15で管理されている全てのオーディオコンテンツに関する情報が含まれており、1つのオーディオコンテンツに対する情報としては、少なくともタイトル、データベースインデックス、コンテンツインデックスを格納したタイトルテーブル40を含む。データベースインデックスは第1のコンテンツデータベース15のインデックスを示し、コンテンツインデックスは第1のコンテンツデータベース15内で格納されているオーディオコンテンツのインデックスを示す。
【0018】
次にオーディオコンテンツを選択し、再生する場合の処理について説明する。まずコンテンツデータベース管理部14により再生するオーディオコンテンツを選択する。コンテンツデータベース管理部14ではタイトルテーブルで全てのコンテンツが管理されているため、所望のタイトルを見つけ出すことにより、データベースインデックスとコンテンツインデックスを得ることができる。得られたデータベースインデックスを用いて複数の第1のコンテンツデータベース15から所望のオーディオコンテンツが含まれている第1のコンテンツデータベース15を選択し、その後コンテンツインデックスを用いて第1のコンテンツデータベース15から所望のオーディオコンテンツと、SD_AUDIO.TKM内で管理されている所望のオーディオコンテンツの情報から暗号鍵16へのインデックスを取得する。最後に暗号鍵16へのインデックスを用いてプロテクト領域12に格納されている暗号鍵16から所望のオーディオコンテンツを暗号化している暗号鍵を取得し、オーディオコンテンツを復号して再生する。
【0019】
第1のコンテンツデータベース15の構造は、従来規格で規定されているコンテンツデータベースと同等のものであり、コンテンツの検索や再生処理に必要な能力は、従来規格に対応するのと同等ですむという効果が顕著に現われている。
【0020】
なお、本実施の形態ではプロテクト領域12には複数の暗号鍵16を格納しているとしたが、図5に示すように、鍵データベース管理部51と複数の第1の鍵データベース52を含む第2の鍵データベース50を格納するものとしてもよい。またこの場合にはSD_AUDIO.TKMで管理されているオーディオコンテンツの情報の中に、暗号鍵のインデックスと共に第1の鍵データベース52のインデックスを格納するものとしてもよい。あるいは、あるオーディオコンテンツの含まれる第1のコンテンツデータベース15のインデックスをi、前記オーディオコンテンツの第1のコンテンツデータベース15内のインデックスをjとすると、前記オーディオコンテンツは、iをインデックスとする第1の鍵データベース52の中の、jをインデックスとする暗号鍵で暗号化されるものとしてもよい。
【0021】
また、コンテンツデータベース管理部14では、全ての第1のコンテンツデータベース15で管理されている全てのオーディオコンテンツに関する情報が含まれているとしたが、その際タイトルでソートした順序で格納したり、ソート順にタイトルを抽出できる情報を別途格納したり、タイトルのハッシュを用いて格納方法を決定したりしてもよい。これにより、タイトルが判明している際のオーディオコンテンツの検索性能を向上させることができる。また、全てのオーディオコンテンツに関する情報を含む必要はなく、一部のオーディオコンテンツに関する情報のみを含むものとしてもよい。
【0022】
また、コンテンツデータベース管理部14では、タイトルテーブルだけでなく、アーティスト、作曲者、アルバムといった、コンテンツに関する属性を用いたテーブルを別途格納することにより、よりユーザの検索性を向上させるものとしてもよい。
【0023】
また、本実施の形態ではオーディオコンテンツの例を示したが、コンテンツの種類を限定するものではない。例えば、ビデオや、電子ブックなど、電子的に扱えるデジタルコンテンツであれば本発明の対象に含めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明にかかるコンテンツ記録媒体は、格納コンテンツ数を拡大した後であっても、従来機器に求められていた処理能力と同等な範囲で実現可能な、著作権保護コンテンツの格納媒体に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態1によるコンテンツ記録媒体の構成を示す概念図
【図2】同コンテンツ記録媒体の第1のコンテンツデータベースの例を示す概念図
【図3】同コンテンツ記録媒体の管理ファイルSD_AUDIO.TKMの構成例を示す概念図
【図4】同コンテンツ記録媒体のコンテンツデータベース管理部の構成例を示す概念図
【図5】同コンテンツ記録媒体の他の構成例を示す概念図
【符号の説明】
【0026】
10 コンテンツ記録媒体
11 ユーザデータ領域
12 プロテクト領域
13 第2のコンテンツデータベース
14 コンテンツデータベース管理部
15 第1のコンテンツデータベース
16 暗号鍵

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザデータエリアとプロテクトエリアを備えるコンテンツ記録媒体であって、
前記ユーザデータエリアは、接続される機器の正当性が認証されるか否かに拘らず、当該機器によりアクセスできる領域であり、
前記プロテクトエリアは、接続される機器とコンテンツ記録媒体の間で互いの正当性が認証された場合にのみ、当該機器によりアクセスできる領域であり、
前記ユーザデータエリアには複数の第1のコンテンツデータベースと1つのコンテンツデータベース管理部を含む第2のコンテンツデータベースを格納し、
前記コンテンツデータベース管理部は、前記複数の第1のコンテンツデータベースで管理されるコンテンツの属性情報を当該コンテンツと対応付けた上で管理し、
前記プロテクトエリアには、複数の暗号鍵を所定の構成で格納し、
各暗号鍵は識別情報によって前記複数の第1のコンテンツデータベースで管理されるコンテンツと対応付けられている
ことを特徴とする、コンテンツ記録媒体。
【請求項2】
前記プロテクトエリアには複数の第1の鍵データベースと1つの鍵データベース管理部を含む第2の鍵データベースを格納し、
前記鍵データベース管理部は、前記複数の第1の鍵データベースで管理される暗号鍵の属性情報を当該暗号鍵と対応付けた上で管理し、
各暗号鍵は識別情報によって前記複数の第1のコンテンツデータベースで管理されるコンテンツと対応付けられている
ことを特徴とする、請求項1記載のコンテンツ記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−102450(P2007−102450A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−290941(P2005−290941)
【出願日】平成17年10月4日(2005.10.4)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】