説明

コンテンツ送受信システムおよびコンテンツ送受信システムのセルフテスト方法

【課題】コンテンツ送受信システムにおいて、通信環境やネットワークの状態に起因する障害を検出することができ、新たな障害要因に対しても対処することが可能なコンテンツ送受信システムおよびコンテンツ送受信システムのセルフテスト方法を提供する。
【解決手段】セルフテストの実行対象の映像受信再生端末の識別情報をセンタ装置に登録し、映像受信再生端末が起動した時に当該映像受信再生端末の識別情報をセンタ装置に送信する。送信された識別情報が登録された識別情報と一致した場合にのみ、当該映像受信再生端末にセルフテストの実行内容を示すセルフテストプログラムを配信し、映像受信再生端末は、セルフテストプログラムに基づいて、センタ装置との間のデータ通信に関するセルフテストを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はVoDサービスの如きコンテンツ配信サービスに用いられるコンテンツ送受信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ADSLやFTTH等の通信技術を利用したアクセス網のブロードバンド化に伴い、電子メールや静止画像といった低容量のコンテンツに対する需要から、動画や音楽等の大容量のコンテンツに対する需要へと変化してきている。このような通信環境の発達に伴い、ユーザが視聴したいときにインターネット等のネットワークを介して映像コンテンツを受信してこれを視聴するVoD(Video on Demand)サービスが普及し始めている。VoDサービスの如きネットワークを介して映像コンテンツの配信サービスを受ける場合には、IPセットトップボックスと称する映像受信再生端末をユーザが所有するテレビに接続して、視聴するのが一般的である。IPセットトップボックスはネットワークに接続され、ネットワーク上のコンテンツ配信サーバから送信される映像データを受信し、これを復号して映像信号を生成する処理を行う。生成された映像信号はテレビ等の映像表示装置に供給され、ユーザは映像コンテンツを視聴することが可能となる。特許文献1は、IPセットトップボックス(IP−STB)を備えたホームネットワークの構成の一例について記載している(図10等)。
【特許文献1】特開2005−286703号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、従来のIPセットトップボックスの如き映像受信再生端末は、端末の起動時に自装置に内蔵されたセルフテストプログラムを実行し、自装置のハードウエア機能およびソフトウエア機能が正常に動作するか否かをチェックするセルフテスト機能を備えているものがある。しかしながら、従来のセルフテストの場合、自装置のハードウエア機能およびソフトウエア機能の障害を検出することが可能であるが、映像受信再生端末が設置された環境や、一時的なネットワークの状態に起因する障害については検出することができず、このような障害が発生した場合に適切に対処することが困難であった。また、実際に映像コンテンツの配信サービスを受けるに際して、映像受信再生端末自身のハードウエア機能及びソフトウエア機能に起因する障害が発生することは稀であり、むしろ通信環境やネットワークの状態に起因する障害がより高い頻度で発生している。また、近年のデータ通信技術の進化に伴い、提供されるサービス機能も多様化、高度化してきており、ネットワーク上で発生する障害の要因も多様化し、また複雑になってきている。従って、このような新たな障害要因に対しても対処することができるシステムの構築が望まれている。
【0004】
本発明は、上記した点に鑑みてなされたものであり、映像等のコンテンツ送受信システムにおいて、通信環境やネットワークの状態に起因する障害を検出することができ、更に新たな障害要因に対しても対処することが可能なコンテンツ送受信システムおよびコンテンツ送受信システムのセルフテスト方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のコンテンツ送受信システムは、ネットワークに接続された少なくとも1つの映像受信再生端末と、前記映像受信再生端末から供給される配信要求に応じて、前記ネットワークを介して当該映像受信再生端末に映像データを配信するセンタ装置とを含むコンテンツ送受信システムであって、前記映像受信再生端末は、前記映像受信端末のうちのセルフテスト実行対象とされた端末を示すセルフテスト対象端末情報を前記センタ装置に送信するセルフテスト対象端末情報送信手段と、前記配信要求を送信する前に当該映像受信再生端末の識別情報を前記センタ装置に送信する識別情報送信手段と、セルフテストの実行内容を示すセルフテストプログラムに基づいて前記センタ装置との間のデータ通信に関するセルフテストを実行するプログラム実行手段と、を含み、前記センタ装置は、前記セルフテスト対象端末情報を保持する保持手段と、前記識別情報が前記セルフテスト対象端末情報と一致した場合にのみ、当該映像受信再生端末に前記セルフテストプログラムを配信するプログラム配信手段と、を含むことを特徴としている。
【0006】
また、本発明のコンテンツ送受信システムのセルフテスト方法は、ネットワークに接続された少なくとも1つの映像受信再生端末と、前記映像受信再生端末から供給される配信要求に応じて、前記ネットワークを介して当該映像受信再生端末に映像データを配信するセンタ装置とを含むコンテンツ送受信システムのセルフテスト方法であって、前記映像受信端末のうちのセルフテスト実行対象とされた端末を示すセルフテスト対象端末情報を前記センタ装置に送信するステップと、前記セルフテスト対象端末情報を保持する保持ステップと、前記配信要求を送信する前に当該映像受信再生端末の識別情報を前記センタ装置に送信する識別情報送信ステップと、前記識別情報が前記セルフテスト対象端末情報と一致した場合にのみ、当該映像受信再生端末に前記セルフテストプログラムを配信するプログラム配信ステップと、前記セルフテストプログラムに基づいて、当該映像受信再生端末と前記センタ装置との間のデータ通信に関するセルフテストを実行するプログラム実行ステップと、を含むことを特徴としている。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施例について図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明のコンテンツ送受信システムの全体構成を示す図である。コンテンツ送受信システムは、ネットワーク01を介して映像コンテンツの配信、ユーザ認証、課金等のサービス提供および運用に関する処理を行うセンタ装置10と、ネットワーク01を介してセンタ装置10から映像データを受信して、映像信号を生成しこれをテレビ等の映像表示装置に出力する映像受信再生端末としてのIPセットトップボックス(以下IP−STBと表記する)20−1〜20−nとを含む構成となっている。本発明のコンテンツ送受信システムは、ユーザに煩雑な操作を強いることなく、各IP−STBとセンタ装置10との間のデータ通信に関連するセルフテストを実行し、更にそのセルフテストの実行内容を適宜更新することできるようにしたものである。以下にその構成について詳細に説明する。
【0008】
ネットワーク01は、インターネット等のIPネットワークであり、センタ装置10およびIP−STB20−1〜20−nは、IPネットワーク01を介して映像データや認証データ等の送受信を行う。
【0009】
IP−STB20−1〜20−nは映像コンテンツの視聴者(ユーザ)により使用される装置であり、ユーザ登録を行った複数のユーザ毎に設置される。すなわち、図1に示す如くユーザ登録された複数のIP−STB20−1〜20−nがネットワーク01に接続され、それぞれ個別にセンタ装置10と通信可能となっている。
【0010】
図2は、IP−STB20−1〜20−nの概略の機能ブロック図である。LANインターフェース54は、ネットワーク01とIP−STBとの間に設置された図示しないルータとの間でデータ通信を行うためのインターフェースである。CPU51は、ネットワーク01からパケット化された映像データを受信し、パケット毎に分割された映像データを再構成し、MPEG信号としてDSP55へ出力する。フラッシュメモリ53は、CPU51が実行するプログラムを保持する不揮発性メモリであり、後述するセンタ装置10に備えられた各サーバとの間の通信制御プログラム、センタ装置10から送信される後述するコンテンツメニューページおよびセルフテスト案内ページを表示するためのWebブラウザ、セルフテストの実行を制御するための制御プログラムおよび従来の自装置のハードウエア機能およびソフトウエア機能をチェックするセルフテストプログラム等が格納されている。SDRAM52は、受信したパケットのバッファリングや、CPU51の処理内容を一時的に保持するワークメモリとして機能する。DSP55は、CPU51から供給されたMPEG信号を復号して映像信号を生成し、これをD/A変換器56に供給する。D/A変換器56は、受信した映像信号をアナログ映像信号に変換し、映像出力インターフェース57を介してこれをテレビ等の映像表示装置に送信する。
【0011】
尚、センタ装置10から映像データを受信してこれを再生するための構成としては、上記したIP−STBとテレビの組み合わせに限らず、ブラウザや映像再生用のプログラム等の必要なアプリケーションを備えたネットワーク01に接続可能なPC等であってもよい。
【0012】
センタ装置10は、例えばコンテンツ配信事業者により管理運用される装置であり、複数のサーバとデータベースにより構成され、これらが連携することによりユーザの認証、映像コンテンツの配信、課金、コンテンツメニューの配信およびセルフテストプログラムの配信等の処理を行う。すなわち、センタ装置10は、運用管理サーバ11、データベース12、サービス管理サーバ13、障害管理サーバ14、コンテンツ配信サーバ15を備え、これらは相互に通信可能に接続されている。
【0013】
運用管理サーバ11は、ユーザ登録や課金等のシステムの運用管理を担い、また、本発明に関連して、障害監視対象となるIP−STBを登録する処理を行う。すなわち、障害監視対象として登録されたIP−STBのみが本発明に係るセルフテストの実行対象となり、運用管理サーバ11は、セルフテストを実行すべきIP−STBのIPアドレスをセルフテスト対象端末情報としてデータベース12に格納する処理を行う。障害監視対象として登録されるIP−STBは、例えばユーザ登録された全てのIP−STBを対象とするようにしてもよいし、ネットワーク01を介してユーザから障害監視対象として登録要求のあったIP−STBを対象とするようにしてもよい。尚、セルフテスト対象端末情報としてはIP−STBのIPアドレスに限定されず、IP−STBを一意的に特定することが可能なユーザの会員番号等の他の識別情報であってもよい。
【0014】
サービス管理サーバ13は、IP−STBが起動したときに、当該IP−STBが最初にアクセスするサーバであり、ユーザの認証処理を行う。サービス管理サーバ13は認証処理を行った後、当該IP−STBが障害監視対象として登録されている場合には、後述するセルフテストを実行するためのセルフテスト案内ページをIP−STBに送信する。一方、当該IP−STBが障害監視対象として登録されていない場合には、セルフテストは実行されず、コンテンツメニューページを当該IP−STBに送信する。コンテンツメニューページは、例えば視聴可能な映像コンテンツのサムネイル等を一覧表示したページであり、ユーザは、このコンテンツメニューページから所望のコンテンツを選択することができるようになっている。
【0015】
障害管理サーバ14は、IP−STBからの配信要求に応じて、セルフテストの具体的な処理内容を記述するセルフテストプログラムをデータベース12から抽出し、当該IP−STBに配信する処理を行う。IP−STBはセルフテストプログラムをダウンロードすると、このセルフテストプログラムに従ってセルフテストを実行する。また、障害管理サーバ14は、実行されたセルフテストの結果をデータベース12に登録する処理を行う。
【0016】
コンテンツ配信サーバ15は、上記したサービス管理サーバ13により提示された映像コンテンツメニューの中からユーザが選択した映像コンテンツに対応する映像データをデータベース12から抽出し、これを配信する処理を行う。また、コンテンツ配信サーバ15は、本発明に係るセルフテストの対象となるサーバである。すなわち、IP−STBによりセルフテストが実行されると、コンテンツ配信サーバと当該IP−STBとの間に通信が確立され、双方のデータ通信に関連する様々なチェックが行われる。つまり、IP−STBとコンテンツ配信サーバ15との間のデータ通信において障害が発生すると、受信映像が乱れたり受信できないといった深刻な不具合が発生することとなる。そこで、IP−STBとコンテンツ配信サーバ15との間のデータ通信に関連するセルフテストを実施することにより、障害の有無やその原因を明らかにすることができ、適切かつ迅速な対応をとることができるのである。
【0017】
データベース12は、上記した各サーバ共有の記録媒体であり、セルフテスト対象端末情報、セルフテストプログラム、セルフテスト結果、映像コンテンツデータ、ユーザ情報等のシステム運用に供される種々の情報を格納する。
【0018】
次に、本発明のコンテンツ送受信システムによる、障害監視対象としてIP−STBを登録する処理およびこれに基づいて、センタ装置10がセルフテストを実行するかどうかを判断する処理までを図3のシーケンス図を参照しつつ説明する
ユーザ登録が完了したIP−STBが初めて起動されると、IP−STBは運用管理サーバ11にアクセスし、自装置を障害監視対象として登録する(ステップS01)。この際、例えばIP−STBのIPアドレスがセルフテスト対象端末情報として運用管理サーバ11に通知される。
【0019】
次に運用管理サーバ11は、通知されたセルフテスト対象端末情報をデータベースに格納する(ステップS02)。以上の処理により、障害監視対象としてIP−STBの登録が完了する。障害監視対象として登録されたIP−STBは、次回起動時にセルフテストが実行されることとなる。上記した登録処理は例えば、サーバとクライアント(IP−STBに搭載されたWebブラウザ)がデータを送受信する場合に利用されるHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)を使用することにより実現することができる。尚、障害監視対象としての登録処理は、ユーザの操作により、ネットワーク01を介して運用管理サーバ11にアクセスして行うことも可能である。また、セルフテスト対象端末情報としてはIPアドレスに限らずIP−STB等を一意的に特定することが可能なユーザの会員番号等の他の識別情報であってもよい。
【0020】
障害監視対象としての登録が完了後、IP−STBの電源が投入され起動を開始した後、IP−STBは、サービス管理サーバ13に認証データを送信する(ステップS03)。認証データは、例えばユーザの会員番号やパスワードおよびIP−STBのIPアドレス等であり、これらの認証データは暗号化された後サービス管理サーバ13に送信される。認証データを暗号化して送信する方法としては、例えば、HTTPにSSLによるデータの暗号化機能を付加したHTTPS(Hypertext Transfer Protocol Security)を使用することにより実現することが可能である。尚、IP−STBの電源起動時に、従来の自装置のハードウエア機能およびソフトウエア機能に対するセルフテストを実行するようにしてもよい。尚、上記した実施例においては認証データの送信は、IP−STBの起動時に行うこととしたが、これに限定されずセンタ装置から映像データが配信される前に行うようにすればよい。
【0021】
認証データを受信したサービス管理サーバ13は、ユーザの認証処理を行い、正規のユーザであるかを確認した後、データベース12を検索し、ステップS03にて通知されたIP−STBのIPアドレスが、障害監視対象として登録されているか否かを判断する。(ステップS04)。尚、セルフテスト対象端末情報として、IPアドレス以外の識別情報を使用する場合には、ステップS03においては、これに対応した識別情報が認証データとしてサービス管理サーバ13に通知される。
【0022】
サービス管理サーバ13は、データベースに格納されたセルフテスト対象端末情報とIP−STBより通知されたIPアドレスとの照合を行った結果、当該アクセスのあったIP−STBが障害監視対象として登録されていない場合には、コンテンツメニューページを当該IP−STBに送信する。すなわち、この場合にはセルフテストは実行されない。サービス管理サーバ13から送信されたコンテンツメニューページは、当該IP−STBに接続されたテレビ画面に表示され、ユーザはこれを見ながら所望のコンテンツを選択することができるようになっており、ユーザがコンテンツメニューページから見たい番組を選択すると、コンテンツ配信サーバ15からその番組の映像データが配信される。
【0023】
一方、当該IP−STBが障害監視対象としてデータベース12に登録されている場合には、サービス管理サーバ13は、セルフテスト案内ページを当該IP−STBに送信する(ステップS05)。セルフテスト案内ページは、セルフテストの実行をユーザに通知するとともにセルフテストの実行状況およびテスト結果を表示するためのページある。上記したコンテンツメニューページおよびセルフテスト案内ページも、HTTPを使用してIP−STBに搭載されたWebブラウザによって受信および表示される。
【0024】
以上のように、センタ装置10は、アクセスのあったIP−STBに対して障害監視対象となっているか否かを判断し、セルフテストを実行のための案内ページを配信するか又は、セルフテストを実行せずにコンテンツメニューページを配信する処理を行う。
【0025】
続いて、本発明のコンテンツ送受信システムによる、セルフテストプログラムのダウンロード、実行および結果の表示および保存までの処理を図4のシーケンス図を参照しつつ説明する。
【0026】
上記したサービス管理サーバ13からIP−STBに送信されたセルフテスト案内ページは、例えばJavaスクリプトを埋め込んだHTML形式により記述されており、IP−STBに備えられたWebブラウザがセルフテスト案内ページを受信すると(ステップS05)、IP−STB内のフラッシュメモリ53に保持されている制御プログラムが起動するようになっている。制御プログラムはセルフテストの実行を制御するためのプログラムである。尚、制御プログラムは、IP−STB内に予め搭載することとしてもよいし、センタ装置10からダウンロードして取得するようにしてもよい。また、セルフテスト案内ページには、セルフテストプログラムを格納する障害管理サーバ14のURL情報を含んでいる。
【0027】
上記したようにIP−STBがセルフテスト案内ページを受信すると、IP−STBのフラッシュメモリ53に保持されている制御プログラムが起動する。制御プログラムは、セルフテスト案内ページに記述されたURL情報に基づいて、障害管理サーバ14にアクセスし、テストプログラムの配信要求を送信する(ステップS06)。テストプログラムは、IP−STBとコンテンツ配信サーバ15との間のデータ通信に関連して行われる種々のテスト内容を記述するプログラムである。
【0028】
テストプログラムの配信要求を受信した障害管理サーバ14は、データベース12を検索して、最新のセルフテストプログラムを抽出する(ステップS07)。障害管理サーバ14は、抽出したテストプログラムを当該IP−STBの制御プログラム宛に送信する(ステップS08)。
【0029】
制御プログラムは、受信したテストプログラムをIP−STB内のフラッシュメモリ53に格納した後、テストプログラムを実行する(ステップS09)。テストプログラムが実行されると、そのプログラムに記述されたテスト項目に従ってIP−STBとコンテンツ配信サーバ15との間のデータ通信に関するセルフテストが開始される。すなわち、テストプログラムに基づいて、IP−STBとコンテンツ配信サーバ15との間に通信が確立され、例えばビットエラー率および通信ビットレートの測定や、FEC方式によるパケットロス回復処理の動作チェック等、IP−STBとコンテンツ配信サーバ15における種々のデータ通信機能についてテストが行われる。
【0030】
セルフテストプログラムに従った一連のテストが完了すると、制御プログラムは収集したテストデータ又はログをセルフテスト結果として、当該IP−STBのIPアドレス(又は会員番号等の識別情報)とともに障害管理サーバ14に送信する(ステップS10)。
【0031】
障害管理サーバ14は受信したテストデータ又はログを当該IP−STBのIPアドレスに対応付けてデータベース12に格納する(ステップS11)。そして、障害管理サーバ14は、データベース12に格納されている当該IP−STBに対応するセルフテスト対象端末情報を消去する処理を行う(ステップS12)。この処理は、セルフテストの完了後、IP−STBがサービス管理サーバ13からコンテンツメニューページをダウンロードするために行われるものである。
【0032】
次に制御プログラムは収集したテストデータを解析し、ユーザのテレビ画面上に表示されているセルフテスト案内ページに判定結果を表示させる。すなわち、セルフテストを実行した結果、障害が発見されなかった場合には、制御プログラムは異常がないことを報知するメッセージをセルフテスト案内ページに表示する。続いて、制御プログラムはIP−STBを再起動させる。再起動されたIP−STBはステップS03の処理に戻る。すなわち、IP−STBはサービス管理サーバ13に対して認証データを送信し、サービス管理サーバ13により認証処理が行われる。そして、サービス管理サーバ13により当該IP−STBが障害監視対象としてデータベース12に登録されているか否が判断される。セルフテスト対象端末情報はステップS12の処理によりデータベース12から消去されているため、サービス管理サーバ13は当該IP−STBにコンテンツメニューページを配信し、ユーザがコンテンツメニューページから所望の映像コンテンツを選択することにより、コンテンツ配信サーバ15から映像データのダウンロードが開始される。
【0033】
尚、再度セルフテストを実行する場合には、ユーザの操作により管理運用サーバ11に障害監視対象として再度登録処理を行えばよい。尚、上記した実施例においては、セルフテストが実行された後、ステップS12においてデータベース12から当該IP−STBに対応するセルフテスト対象端末情報を消去する処理を行い、IP−STBを再起動させ、ステップS03の処理に戻ることにより、コンテンツメニューページを受信するようにしたが、セルフテスト対象端末情報をデータベースから消去することなく、障害が発生していない場合には、制御プログラムがサービス管理サーバ13に配信要求を送信することによりコンテンツメニューページをIP−STBにダウンロードするようにしてもよい。この場合、次回IP−STBが起動されたときに上記した如き処理を経てセルフテストが実行されることとなり、障害監視対称として管理運用サーバ11への再登録が不要となる。
【0034】
一方、セルフテストを実行した結果、障害が発見された場合には、制御プログラムは、その異常発生の要因に対応したエラーコードとともに、例えば、サービスセンターに問い合わせをすべきメッセージや再起動を促す等の対応方法を示すメッセージをセルフテスト案内ページに表示する。ユーザは、画面上に表示されたメッセージにより、障害の原因や対応方法を知ることができ、迅速かつ適切に対処することができる。
【0035】
以上の説明から明らかな如く、本発明のコンテンツ送受信システムによれば、従来の自装置のハードウエア機能およびソフトウエア機能に対するセルフテストのみならず、実際に映像データを配信するサーバとの間のデータ通信機能に関するテストを行うことが可能となる。これにより、ネットワーク上で発生する障害についても検出することができ、またその障害の原因も明らかとなるので迅速且つ適切な対応をとることができる。
【0036】
また、本発明のコンテンツ送受信システムは、データベースに格納されたセルフテストプログラムを映像受信再生端末にダウンロードすることにより、セルフテストを実行するためデータベース内のプログラムを更新することにより、新たな障害要因にも対応することが可能となる。また、セルフテストプログラムのダウンロード、実行、およびテスト結果の通知等は、制御プログラムが行うため、ユーザに煩雑な操作を強いることなくセルフテストを実行することができる。
【0037】
また、本発明のコンテンツ送受信システムは、既存のHTTPを利用した各サーバと映像受信再生端末とのデータ通信よりセルフテストを実行するので、既存のシステムにも容易に導入することができ、安価に構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施例であるコンテンツ送受信システムの構成の一例を示す図である。
【図2】本発明の実施例であるコンテンツ送受信システムの一構成をなすIPセットトップボックスの機能ブロックを示す図である。
【図3】本発明の実施例であるコンテンツ送受信システムによる処理を示すシーケンス図である。
【図4】本発明の実施例であるコンテンツ送受信システムによる処理を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0039】
01 ネットワーク
10 センタ装置
11 管理運用サーバ
12 データベース
13 サービス管理サーバ
14 障害管理サーバ
15 コンテンツ配信サーバ
20−1〜20−n IPセットトップボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続された少なくとも1つの映像受信再生端末と、前記映像受信再生端末から供給される配信要求に応じて、前記ネットワークを介して当該映像受信再生端末に映像データを配信するセンタ装置とを含むコンテンツ送受信システムであって、
前記映像受信再生端末は、
前記映像受信端末のうちのセルフテスト実行対象とされた端末を示すセルフテスト対象端末情報を前記センタ装置に送信するセルフテスト対象端末情報送信手段と、
前記配信要求を送信する前に当該映像受信再生端末の識別情報を前記センタ装置に送信する識別情報送信手段と、
セルフテストの実行内容を示すセルフテストプログラムに基づいて前記センタ装置との間のデータ通信に関するセルフテストを実行するプログラム実行手段と、を含み、
前記センタ装置は、
前記セルフテスト対象端末情報を保持する保持手段と、
前記識別情報が前記セルフテスト対象端末情報と一致した場合にのみ、当該映像受信再生端末に前記セルフテストプログラムを配信するプログラム配信手段と、を含むことを特徴とするコンテンツ送受信システム。
【請求項2】
前記プログラム配信手段は、前記センタ装置に設けられたサーバであり、
前記セルフテスト対象端末情報送信手段および前記識別情報送信手段は前記映像受信再生端末に備えられたWebブラウザを含むことを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ送受信システム。
【請求項3】
前記セルフテストの結果を前記映像受信再生端末に接続された映像表示装置に表示するテスト結果通知手段を更に含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のコンテンツ送受信システム。
【請求項4】
前記映像受信端末は、IPセットトップボックスであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のコンテンツ送受信システム。
【請求項5】
ネットワークに接続された少なくとも1つの映像受信再生端末と、前記映像受信再生端末から供給される配信要求に応じて、前記ネットワークを介して当該映像受信再生端末に映像データを配信するセンタ装置とを含むコンテンツ送受信システムのセルフテスト方法であって、
前記映像受信端末のうちのセルフテスト実行対象とされた端末を示すセルフテスト対象端末情報を前記センタ装置に送信するステップと、
前記セルフテスト対象端末情報を保持する保持ステップと、
前記配信要求を送信する前に当該映像受信再生端末の識別情報を前記センタ装置に送信する識別情報送信ステップと、
前記識別情報が前記セルフテスト対象端末情報と一致した場合にのみ、当該映像受信再生端末に前記セルフテストプログラムを配信するプログラム配信ステップと
前記セルフテストプログラムに基づいて、当該映像受信再生端末と前記センタ装置との間のデータ通信に関するセルフテストを実行するプログラム実行ステップと、を含むことを特徴とするコンテンツ送受信システムのセルフテスト方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−10965(P2008−10965A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−176904(P2006−176904)
【出願日】平成18年6月27日(2006.6.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】