説明

コンディショニングシャンプー組成物

アニオン性洗浄性界面活性剤ならびに(i)C12−C22脂肪アルコール、C12−C22脂肪酸、C12−C22脂肪アミドまたはそれらの混合物から選択される脂肪物質、および(ii)小板の形態および脂肪物質の融点を超える融点を有する粒子を含むゲル網状組織を含む水性コンディショニングシャンプー組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄性界面活性剤およびゲル網状組織を含む水性コンディショニングシャンプー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄性界面活性剤およびコンディショニング剤の様々な組合せを含むコンディショニングシャンプー組成物が知られている。これらの製品は、典型的には、アニオン性洗浄性界面活性剤をコンディショニング剤と組み合わせて含む。シャンプー組成物に使用される最も普及しているコンディショニング剤の中で、油性物質、例えば、鉱油、トリグリセリドなどの天然起源の油およびシリコーンポリマーがある。これらは、通常、分散された疎水性エマルジョン液滴としてシャンプー中に存在する。コンディショニングは、油性物質が毛髪上に付着し、被膜が形成されることによって達成される。このような組成物は、比較的低い粘度を有し、その結果、低品質であると感じられることが多い。
【0003】
他のコンディショニングシャンプー組成物は、脂肪アルコールを含むゲル網状組織を使用して、生成物を構造化または増粘させ、またコンディショニングの利益を与える。米国特許出願公開第2003/0223952号(P&G)は、洗浄性界面活性剤ならびに脂肪アルコールおよびカチオン性界面活性剤から作製されたゲル網状組織を含むコンディショニングシャンプーを開示している。
【0004】
コンディショニングシャンプー中への粒子材料の使用は一般的ではない。米国特許第6,617,292B2号(L’Oreal)は、酸化アルミニウム、両性または非イオン性界面活性剤、脂肪酸または脂肪アルコールおよびカチオン性界面活性剤を含むコンディショニングシャンプーを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0223952号明細書
【特許文献2】米国特許第6,617,292号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術において開示されたコンディショナーの多くで生じる問題は、毛髪が湿潤の場合、即ち、適用中および/または適用直後、さらにその後毛髪が乾燥された場合の両方で、優れた感覚的利益を付与しないことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
本発明者らは、アニオン性洗浄性界面活性剤および特別に構造化されたゲル網状組織を含むコンディショニングシャンプーの使用によって、湿潤時および次に乾燥された毛髪共に、優れた感覚的利益を付与することができることを見出した。これらのコンディショニングシャンプーはまた、濃厚なクリーム状の外観を有し、これらが高品質製品であるという認識を高める。
【0008】
本発明のコンディショニングシャンプー組成物は、良好な湿潤時感触および湿潤時櫛通りの容易さを付与する。さらにこれらは、良好な乾燥時の感触、乾燥時櫛通りの容易さ、および扱いやすさを付与する。
【0009】
本発明の第1の態様において、アニオン性洗浄性界面活性剤、ならびに
(i)C12−C22脂肪アルコール、C12−C22脂肪酸、C12−C22脂肪アミドまたはこれらの混合物から選択される脂肪物質;および
(ii)小板の形態および脂肪物質の融点を超える融点を有する粒子
を含むゲル網状組織を含む水性コンディショニングシャンプー組成物が提供される。
【0010】
本発明の第2の態様において、本発明の第1の態様による水性コンディショニングシャンプー組成物を適用することを含む、毛髪を洗浄およびコンディショニングする方法が提供される。
【0011】
本発明の第3の態様において、C12−C22脂肪アルコール、C12−C22脂肪酸、C12−C22脂肪アミドまたはこれらの混合物から選択される脂肪物質、ならびに小板の形態および脂肪物質の融点を超える融点を有する粒子を含むゲル網状組織を使用して、アニオン性洗浄性界面活性剤を含む水性シャンプー組成物に構造化および/またはコンディショニングの利益を付与することが提供される。
【0012】
本発明の第4の態様において、C12−C22脂肪アルコール、C12−C22脂肪酸、C12−C22脂肪アミドまたはこれらの混合物から選択される脂肪物質、ならびに小板の形態および脂肪物質の融点を超える融点を有する粒子を含むゲル網状組織の調製を含み、次に、このゲル網状組織は、アニオン性洗浄性界面活性剤の水溶液に添加される水性コンディショニングシャンプー組成物を製造する方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明の詳細な説明
本発明の組成物は、ヒト毛髪に適用するのに適している。これらは、典型的には洗い流す製品として使用される。即ち、これらの適用後、通常、水ですすぐ段階が行われる。
【0014】
本発明は、後述の通りゲル網状組織を使用して、アニオン性洗浄性界面活性剤を含むシャンプー組成物に構造化およびコンディショニングの利益を付与する。「構造化」という用語は、本文脈で使用される場合、「増粘する」、即ち、シャンプー組成物の粘度を増加することを意味するものと理解される。
【0015】
本発明による生成物に対する好ましい粘度は、5番RVTピンを備えたブルックフィールド粘度計で20rpmの測定速度で測定して、30℃において、3000から9000cP(mPa.s)、より好ましくは5000から7000cP(mPa.s)、最も好ましくは5500から6500cP(mPa.s)である。
【0016】
「水性コンディショニングシャンプー組成物」とは、その主な成分として、水または水性溶液またはリオトロピック液晶相を有する組成物を意味する。典型的には、この組成物は、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、最も好ましくは少なくとも75重量%の水を含む。
【0017】
アニオン性洗浄性界面活性剤
本発明によるコンディショニングシャンプー組成物は、化粧品として許容され、毛髪への局所適用に適している、1種または複数のアニオン性洗浄性界面活性剤を含む。
【0018】
適したアニオン性洗浄性界面活性剤の例には、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルカリールスルホネート、アルカノイルイセチオネート、アルキルサクシネート、アルキルスルフォサクシネート、アルキルエーテルスルホサクシネート、N−アルキルサルコシネート、アルキルホスフェート、アルキルエーテルホスフェートおよびアルキルエーテルカルボン酸ならびにこれらの塩、特にこれらのナトリウム、マグネシウム、アンモニウムおよびモノ−、ジ−およびトリエタノールアミン塩がある。このアルキルおよびアシル基は、一般に8から18、好ましくは10から16個の炭素原子を含み、不飽和であってもよい。アルキルエーテルスルフェート、アルキルエーテルスルホサクシネート、アルキルエーテルホスフェートおよびアルキルエーテルカルボン酸およびそれらの塩は、1分子当たり1から20のエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド単位を含んでいてよい。
【0019】
本発明のシャンプー組成物中に使用するための典型的なアニオン性洗浄性界面活性剤には、コハク酸オレイルナトリウム、スルホコハク酸ラウリルアンモニウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ナトリウムラウリルエーテルスルフェート、ナトリウムラウリルエーテルスルホサクシネート、ラウリル硫酸アンモニウム、アンモニウムラウリルエーテルスルフェート、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、トリエタノールアミンドデシルベンゼンスルホネート、ココイルイセチオン酸ナトリウム、ラウリルイセチオン酸ナトリウム、ラウリルエーテルカルボン酸およびN−ラウリルサルコシネートナトリウムが含まれる。
【0020】
好ましいアニオン性洗浄性界面活性剤には、ラウリル硫酸ナトリウム、ナトリウムラウリルエーテルスルフェート(n)EO(ここで、nは1から3である。)、ナトリウムラウリルエーテルスルホサクシネート(n)EO(ここで、nは1から3である。)、ラウリル硫酸アンモニウム、アンモニウムラウリルエーテルスルフェート(n)EO、(ここで、nは1から3である。)、ココイルイセチオン酸ナトリウムおよびラウリルエーテルカルボン酸(n)EO(ここで、nは10から20である。)がある。
【0021】
前述のアニオン性洗浄性界面活性剤のいずれかの混合物も適し得る。
【0022】
アニオン性洗浄性界面活性剤の総量は、組成物の総重量の、好ましくは0.5から45重量%、より好ましくは1から30重量%、最も好ましくは5から20重量%の範囲である。
【0023】
ゲル網状組織
このゲル網状組織は、水の存在下、脂肪物質の融点を超える温度において成分を組み合わせることによって形成される。本発明の第4の態様による好ましい製造方法において、脂肪物質を水中で溶融し、次いで粒子材料を添加する。より好ましい製造方法において、四級アンモニウム化合物も好ましくは粒子材料の後に添加される。液晶相の液滴の分散液が典型的に生成される。実際、このゲル網状組織は、別の成分:水を有することが分かる。好ましい実施形態において、このゲル網状組織は、25℃においてLβラメラ相分散液を含む。
【0024】
本発明による組成物は、独立して作製されたゲル網状組織でのみ形成することができる。予混合およびに加熱なしで、ゲル網状組織の成分を一緒に混合してもゲル網状組織は形成されない。
【0025】
脂肪物質
脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪アミドまたはこれらの混合物から選択される脂肪物質は、ゲル網状組織の必須成分である。好ましくは、この脂肪物質は、C12−C22脂肪アルコールを含む。この脂肪アルコールは、好ましくは一級アルコールである。この脂肪アルコールおよび/または脂肪酸および/または脂肪アミドは、好ましくは直鎖(即ち、非分枝)C12−C22炭化水素鎖を有する。好ましくは前記鎖は飽和である。好ましくは、この脂肪アルコールおよび/または脂肪酸は、C16−C22であり、より好ましくはC16−C18である。最も好ましくは、この脂肪物質は、セチルアルコールおよび/またはステアリルアルコールである。
【0026】
12−C22脂肪アルコール、C12−C22脂肪酸またはこれらの混合物から選択される脂肪物質の総量は、総組成物の、好ましくは0.01から20重量%、より好ましくは0.1から10重量%、および最も好ましくは0.5から5重量%である。好ましい実施形態において、これらの好ましい量は、総組成物中のC12−C22脂肪アルコールの濃度に適用される。
【0027】
小板の形態を有する粒子
小板の形態を有する粒子は、ゲル網状組織の第2の必須成分である。理論にこだわることは好まないが、このような粒子は、アニオン性界面活性剤がその中に存在するにもかかわらず、シャンプー組成物中でゲル網状組織の秩序構造を維持するのに役立つテンプレートとしての役割を果たすものと考えられる。その結果、この粒子は、ゲル網状組織の安定性および性能を増強するものと考えられる。
【0028】
これらの粒子は、固体であり、脂肪物質の融点を超える融点を有するものと理解される。ゲル網状組織が、四級アンモニウム化合物(下記参照)も含む場合、これらの粒子はまた、この四級アンモニウム化合物成分より高い融点を有する。典型的には、これらの固体粒子は、無機コアを有し、有機基(下記参照)で表面修飾されていてよい。好ましくは、これらの粒子は、150℃を超える融点を有する。
【0029】
「小板の形態」とは、粒子が「小板様」の形状(即ち、直交する2方向のこれらの長さが、第3の直交方向のこれらの長さよりかなり長い。)を有することを意味するものと理解される。典型的には、これらの粒子は、これらの深さより少なくとも10倍の大きさの長さおよび幅をそれぞれが独立に有する(ここで「長さ」、「幅」および「深さ」は、3つの直交方向について表現である。)。
【0030】
好ましくは、全体として組成物中に存在する任意の粒子の少なくとも50%は、上記の小板の形態を有する。より好ましくは、この数値は、少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%である。
【0031】
適した材料には、粘土(モンモリロナイト、ヘクトライト、ベントナイト)、変性粘土、ジンクピリチオン、フルオロシリケート(マグネシウムナトリウムフルオロシリケート、ナトリウムマグネシウムフルオロシリケート)、シリケート(マグネシウムアルミニウムシリケート)、メタシリケート(アルミナマグネシウムメタシリケート)、雲母、アルミニウムマグネシウムオキサイド、マグネシウムアルミニウムオキサイド、アルミニウム亜鉛オキサイド、オキシ塩化ビスマス、窒化ホウ素、タルク、チョーク、カオリン、酸化スズ、炭酸マグネシウム、アルミニウムカルシウムナトリウムシリケートおよびこれらの混合物が含まれる。
【0032】
小板の形態を有する好ましい粒子は、層状構造を有する粘土である。このような粘土は、アニオン性またはカチオン性であってもよく、即ちこれらは、粘土の表面上に、それぞれ、マイナスまたはプラスでの正味電荷を有し得る。
【0033】
小板の形態を有する好ましい粒子は、スメクタイト粘土などのアニオン性粘土である。
【0034】
スメクタイト粘土は、例えば、米国特許第3,862,058号、同第3,948,790号、同第3,954,632号および同第4,062,647号および欧州特許出願公開第299,575号および同第313,146号(すべてProcter & Gamble社の名前で)中に開示されている。
【0035】
典型的なスメクタイト粘土には、一般式A1(Si(OH).nHO有する化合物および一般式Mg(Si(OH).nHOを有する化合物ならびにこれらの誘導体(例えば、アルミニウムイオンのある割合は、マグネシウムイオンで置換されており、またはマグネシウムイオンのある割合は、リチウムイオンで置換されておりおよび/またはヒドロキシルイオンの一部はフルオライドイオンで置換されている。)が含まれ;これらの誘導体は、他の金属イオンを含んでいて、全体的な電荷の平衡を保っていてもよい。
【0036】
適したスメクタイト粘土の具体例は、モンモリロナイト、ボルコンスコイト、ノントロナイト、サポナイト、バイデライトおよびソーコナイト、特に、結晶格子構造中にアルカリまたはアルカリ土類金属イオンを有するものがある。好ましいスメクタイト粘土は、モンモリロナイト、ノントロナイト、サポナイト、バイデライト、ソーコナイトおよびこれらの混合物である。特に好ましいものは、モンモリロナイト、例えば、ベントナイトおよびヘクトライトであり、ベントナイトは特に好ましい。
【0037】
小板の形態を有する特に好ましい粒子は、疎水性に変性されたアニオン性粘土、特に疎水性に変性されたベントナイト粘土である。
【0038】
使用される場合、疎水性に変性された粘土は、典型的には、未変性粘土の無機金属イオンの少なくともある割合が置換された有機カチオンを有する。この目的のための好ましい有機カチオンは、1つまたは複数のC−C30アルキル基を含む。このカチオン性基は、好ましくは四級アンモニウム基である。特に好ましい有機カチオンは、2つのC−C30アルキル基を有し、例えば:
ジステアリルジメチルアンモニウム;
ジセチルジメチルアンモニウム;
ジメチルジ(水素化タロウ)アンモニウム;
ジセチルメチルベンジルアンモニウム;
ジココジメチルアンモニウム;
ジベヘニル/ジアラキジルジメチルアンモニウム;
ヒドロキシプロピルビス−ステアリルアンモニウム;
ジベヘニルジメチルアンモニウム;
ジベヘニルメチルベンジルアンモニウム;および
ジミリスチルジメチルアンモニウム
である。
【0039】
特に好ましい小板の形態を有する粒子物質は、クオタニウム−18ベントナイト(即ち、ジメチルジ(水素化タロウ)アンモニウムカチオンによって疎水性に変性されたベントナイト)およびクオタニウム−90ベントナイト(2種の野菜から誘導される脂肪鎖を有する類似の物質)である。このような粘土の例には、Sud Chemie製Tixogel MP 100(商標)およびTixogel MP 100V(商標)がある。他の類似の物質には、クオタニウムベンザルコニウムベントナイト、クオタニウム−18ヘクトライト、ステアラルコニウムベントナイト、ステアラルコニウムヘクトライトおよびジ水素化タロウベンジルモニウムヘクトライトが含まれる。
【0040】
小板の形態を有するこの粒子は、好ましくはこれらの少なくとも50%、より好ましくは少なくとも80%が、90ミクロンスクリーン、例えば当技術分野で一般的に使用されている気流式ふるいを通過することができるものである粒径を有する。
【0041】
小板の形態を有する粒子の総量は、総組成物の、好ましくは0.005から10重量%、より好ましくは0.01から5重量%、最も好ましくは0.01から1重量%である。
【0042】
脂肪物質に対する小板の形態を有する粒子の重量比は、好ましくは1:100から1:2、より好ましく1:50から1:5、最も好ましくは1:30から1:10である。
【0043】
四級アンモニウム化合物
長さC12−C30の少なくとも1つの炭素鎖を有する四級アンモニウム化合物は、このゲル網状組織の非常に好ましい成分である。好ましい実施形態において、この四級アンモニウム化合物は、長さC12−C30の1つのみの炭素鎖を有する。典型的には、長さC12−C30の1つの炭素鎖は直鎖(即ち、非分枝)炭化水素鎖である。好ましくは、長さC12−C30の1つの炭素鎖は飽和である。好ましくは、長さC12−C30の1つの炭素鎖は、鎖長C12−C22であり、より好ましくは鎖長C16−C22である。
【0044】
長さC12−C30の少なくとも1つの炭素鎖を有する四級アンモニウム化合物は、四級窒素原子に結合した他の3つの炭素含有置換基を有する。これらは、典型的にはC−Cアルキル基、好ましくはメチルおよび/またはエチル基であり;最も好ましくはこれらはメチル基である。
【0045】
長さC12−C30の少なくとも1つの炭素鎖を有する四級アンモニウム化合物は、最も好ましくは、塩化セチルトリメチルアンモニウムまたは塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムである。
【0046】
存在する場合、長さC12−C30の少なくとも1つの炭素鎖を有する四級アンモニウム化合物の総量は、総組成物の、好ましくは0.005から10重量%、より好ましくは0.01から5重量%、最も好ましくは0.01から1重量%である。
【0047】
小板の形態を有する粒子に対する長さC12−C30の少なくとも1つの炭素鎖を有する四級アンモニウム化合物の重量比は、好ましくは30:1から5:1である。
【0048】
12−C22脂肪アルコール、C12−C22脂肪酸またはこれらの混合物から選択される脂肪物質に対する、長さC12−C30の少なくとも1つの炭素鎖を有する四級アンモニウム化合物のモル比は、好ましくは1:100から5:1、より好ましくは1:50から1:2、最も好ましくは1:30から1:10である。これらのモル比は、この四級アンモニウム化合物が長さC12−C30の1つのみの炭素鎖を有し、脂肪物質がC12−C22脂肪アルコールである場合に特に当てはまる。
【0049】
シリコーン油
本発明によるコンディショニングシャンプー組成物中の好ましい追加の成分はシリコーン油である。シリコーン油は、本発明の組成物で見られるコンディショニングの利益を増強することができる。
【0050】
使用される場合、シリコーン油は、典型的に、4マイクロメートル以下の平均滴径(D3,2)を有する乳化した液滴として存在する。好ましくは、平均滴径(D3,2)は1マイクロメートル以下、より好ましくは0.5マイクロメートル以下、最も好ましくは0.25マイクロメートル以下である。
【0051】
平均滴径(D3,2)を測定するのに適した方法は、Malvern Mastersizerなどの計測器を用いてレーザ光散乱法による。
【0052】
好ましくは、このシリコーン油は、不揮発性であり、これは25℃において1000Pa未満の蒸気圧を有することを意味する。
【0053】
適したシリコーン油には、ポリジオルガノシロキサン、特に、ポリジメチルシロキサン(ジメチコン)、ヒドロキシル末端基を有するポリジメチルシロキサン(ジメチコノール)およびアミノ官能性ポリジメチルシロキサン(アモジメチコン)がある。
【0054】
適したシリコーンは、好ましくは100,000を超える分子量、より好ましくは250,000を超える分子量を有する。
【0055】
適したシリコーンは、好ましくは50,000cS(mm.s−1)を超える動粘度、より好ましくは500,000cS(mm.s−1)を超える動粘度を有する。この明細書で言及されるシリコーン油の動粘度は、25℃において測定され、Dow Corning Corporate Test Method CTM004 1970年7月20日にさらに説明されているガラスキャピラリー粘度計によって測定することができる。
【0056】
本発明の組成物に使用するのに適したシリコーンは、Dow CorningおよびGE Siliconesなどの供給業者から予備形成されたシリコーンエマルジョンとして入手可能である。このような予備形成されたシリコーンエマルジョンの使用は、処理およびシリコーン粒径の制御の容易さのために好ましい。このような予備形成されたシリコーンエマルジョンは、典型的には適した乳化剤をさらに含み、乳化重合などの化学的乳化方法または高せん断ミキサーを用いて機械的乳化によって調製してよい。0.15マイクロメートル未満のザウタ平均滴径(D3,2)を有する予備形成されたシリコーンエマルジョンは、一般にマイクロエマルジョンと称される。
【0057】
適した予備形成されたシリコーンエマルジョンの例には、エマルジョンDC2−1766、DC2−1784、DC−1785、DC−1786、DC−1788、DC−1310、DC−7123およびマイクロエマルジョンDC2−1865およびDC2−1870(すべてのものはDow Corningから入手可能である。)が含まれる。これらは、すべてジメチコノールのエマルジョン/マイクロエマルジョンである。また、適しているものには、DC939(Dow Corning製)およびSME253(GE Silicones製)などのアモジメチコンエマルジョンがある。
【0058】
また、適したものには、例えば国際公開第03/094874号パンフレットに記載の、特定のタイプの高分子量の表面活性ブロックコポリマーが、このシリコーンエマルジョン液滴と混合されたシリコーンエマルジョンがある。
【0059】
上記シリコーンエマルジョンの任意の混合物を使用してよい。
【0060】
本発明の組成物中のシリコーン油の総量は、組成物の、適切には0.05から10重量%、特に0.2から8重量%、とりわけ0.5から5重量%の範囲であってよい。
【0061】
炭化水素油およびエステル油
本発明の組成物中に使用してもよい他の成分には、炭化水素油またはエステル油がある。シリコーン油と同様に、これらの物質は、本発明の組成物に見られるコンディショニングの利益を増強することができる。
【0062】
適した炭化水素油は、少なくとも12個の炭素原子を有し、パラフィン油、鉱油、飽和および不飽和ドデカン、飽和および不飽和トリデカン、飽和および不飽和テトラデカン、飽和および不飽和ペンタデカン、飽和および不飽和ヘキサデカンならびにこれらの混合物が含まれる。これらの化合物の分枝鎖異性体および高級鎖長炭化水素も使用することができる。また、適したものには、ポリイソブチレンなどのC2−6アルケニルモノマーのポリマー炭化水素がある。
【0063】
適したエステル油は、少なくとも10個の炭素原子を有し、脂肪酸または脂肪アルコールから誘導されるヒドロカルビル鎖を有するエステルを含む。典型的なエステル油は、式R’COOR(式中、R’およびRは、独立にアルキルまたはアルケニル基を表し、R’およびRの炭素原子の合計は少なくとも10個、好ましくは少なくとも20個である。)である。カルボン酸のジ−およびトリアルキルおよびアルケニルエステルも使用することができる。好ましい脂肪エステルには、モノ−、ジ−およびトリグリセリド、より特にC1−22カルボン酸などの長鎖カルボン酸を有するグリセロールのモノ−、ジ−およびトリ−エステルがある。このような物質の例には、カカオバター、パームステアリン、ヒマワリ油、ダイズ油およびヤシ油が含まれる。
【0064】
上記炭化水素油/エステル油の任意の混合物も使用される。
【0065】
本発明の組成物中の炭化水素油とエステル油の総計量は、組成物の、適切には0.05から10重量%、特に0.2から5%重量%、とりわけ0.5から3重量%の範囲であってよい。
【0066】
カチオン性ポリマー
本発明によるコンディショニングシャンプー組成物中の好ましい追加の成分には、カチオン性ポリマーがある。このような成分は、コンディショニング剤の送達を促進して、得られるコンディショニングの利益を改良することができる。
【0067】
カチオン性ポリマーは、典型的には、四級アンモニウムまたはプロトン化アミノ基などのカチオン性窒素含有基を含む。このカチオン性プロトン化アミンは、一級、二級または三級アミン(好ましくは二級または三級)であることができる。このカチオン性ポリマーの平均分子量は、好ましくは5,000から10,000,000である。このカチオン性ポリマーは、好ましくは0.2ミリ当量/gmから7ミリ当量/gmのカチオン性電荷密度を有する。
【0068】
このカチオン性ポリマーのカチオン性窒素含有部分は、一般にそれらの繰返し単位のすべての上の、またはより典型的には一部の上の置換基として存在する。このカチオン性ポリマーは、四級アンモニウムまたはカチオン性アミン置換繰返し単位のホモポリマーまたは、場合により非カチオン性繰返し単位との組合せのコポリマーであってよい。このようなポリマーの非限定的な例は、CTFA Cosmetic Ingredient Dictionary、第6版、Wenninger,JAおよびMcEwen Jr、GN編集、(化粧品、トイレタリー、および芳香製品協会、1995)に記載されている。この組成物中に使用するのに特に適したカチオン性ポリマーには、カチオン性セルロース誘導体、カチオン性デンプン誘導体およびカチオン性グアーなどの多糖類ポリマーが含まれる。
【0069】
カチオン性セルロース誘導体の例には、この業界(CTFA)においてポリクオタニウム10と称される、トリメチルアンモニウム置換エポキシドと反応したヒドロキシエチルセルロースの塩がある。カチオン性セルロース誘導体の他の例は、ヒドロキシエチルセルロースおよびラウリルジメチルアンモニウム置換エポキシドから調製され、この業界(CTFA)においてポリクオタニウム24と称される。
【0070】
特に好ましいカチオン性ポリマーは、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロライドなどのカチオン性グアーガム誘導体であり、この具体例には、Rhodia Corp.から市販されているJAGUAR系列(例えば、JAGUAR C17またはJAGUAR C13S)が含まれる。
【0071】
他の適したカチオン性ポリマーには、四級窒素含有セルロースエーテルが含まれ、この例は、米国特許第3,962,418号に記載されている。他の適したカチオン性ポリマーには、エーテル化したセルロース、グアーおよびデンプンが含まれ、このいくつかの例が米国特許第3,958,581号に記載されている。
【0072】
合成カチオン性ポリマーを使用してもよい。例には、カチオン性プロトン化アミンまたは四級アンモニウム官能基を有するビニルモノマーと、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルおよびN,N−ジアルキルアクリルアミドおよびメタクリルアミド、アルキルアクリレート、アリルメタクリレート、ビニルカプロラクトン、ビニルアセテート、/アルコールなどのモノマーから典型的に誘導された水溶性スペーサー繰返し単位とのコポリマーが含まれる。他のスペーサー繰返し単位は、無水マレイン酸、プロピレングリコール、またはエチレングリコールから誘導され得る。
【0073】
他の適した合成カチオン性ポリマーには、1−ビニル−2−ピロリドンと1−ビニル−3−メチルイミダゾリウム塩(例えば、クロライド塩)のコポリマー(この業界(CTFA)においてポリクオタニウム−16と称される。);1−ビニル−2−ピロリドンとジメチルアミノエチルメタクリレートのコポリマー(この業界(CTFA)においてポリクオタニウム−11と称される。);例えば、塩化ジメチルジアリルアンモニウムホモポリマーおよびアクリルアミドと塩化ジメチルジアリルアンモニウムのコポリマー(この業界(CTFA)において、それぞれポリクオタニウム6およびポリクオタニウム7と称される。)を含むカチオン性ジアリル四級アンモニウム含有ポリマー;および3から5個の炭素原子を有する不飽和カルボン酸のホモポリマーおよびコポリマーのアミノ−アルキルエステルの無機酸塩が含まれる。
【0074】
この組成物中のカチオン性ポリマーの総量は、この組成物の、好ましくは0.05重量%から2重量%、より好ましくは0.1から0.5重量%である。
【0075】
両性界面活性剤
両性界面活性剤は、本発明の組成物中の好ましい追加の成分である。適した両性界面活性剤は、一般式R(CHCHCO(式中、Rはアルキルまたはアルキルアミドアルキル基であり、このアルキル基は、好ましくは10−16個の炭素原子を有する。)を有するものなどのベタインである。特に適したベタインは、オレイルベタイン、カプリルアミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、イソステアリルアミドプロピルベタインおよびココアミドプロピルベタインである。
【0076】
他の適したベタイン両性界面活性剤は、一般式R’(CHCHCH(OH)CHSO(式中、R’は、アルキルまたはアルキルアミドアルキル基であり、このアルキル基は好ましくは10−16個の炭素原子を有する。)を有するものなどのスルホベタインである。特に適したスルホベタインには、ラウリルアミドプロピルヒドロキシスルタインおよびココアミドプロピルヒドロキシスルタインがある。
【0077】
他の適した両性界面活性剤は、ラウリルジメチルアミンオキシドなどの脂肪アミンオキシドである。
【0078】
含まれる場合、両性界面活性剤の総濃度は、この組成物の、好ましくは0.1重量%から20重量%、より好ましくは1重量%から10重量%、最も好ましくは1重量%から5重量%である。
【0079】
カルボマー
カルボマーは、本発明の特定の実施形態に使用することが有利であり得る。カルボマーは、ペンタエリスリトールのアリルエーテルまたはスクロースのアリルエーテルで架橋されたアクリル酸のホモポリマーである。このような物質は、懸濁剤としての機能を果たし得る。
【0080】
含まれる場合、カルボマーの総濃度は、この組成物の、好ましくは0.01重量%から10重量%、より好ましくは0.1重量%から5重量%、最も好ましくは0.25重量%から1重量%である。
【0081】
他の場合による成分
本発明による組成物は、毛髪洗浄およびコンディショニング組成物中に使用するのに適した他の成分を含み得る。このような成分には、限定するものではないが、芳香剤、懸濁剤、アミノ酸およびタンパク質誘導体、粘度調整剤、防腐剤、着色剤ならびにパール光沢剤が含まれる。
【実施例】
【0082】
表1に示したように実施例1を以下の通り調製した。
【0083】
水の少なくとも10%をサイドポット中で65℃に加熱した。これに、セチルアルコールを高速攪拌しながら添加した。すべてのセチルアルコールが融解したとき、同様に高速攪拌しながらクオタニウム−18ベントナイトを、続いて塩化セチルトリメチルアンモニウムを添加した。得られた均一な分散液を、依然として65℃のうちに、周囲温度のラウレス硫酸ナトリウムの水溶液に加えた。生成物の空気混入を引き起こすことなく、均一な分散液が得られるように適度の速度の攪拌を使用した。次いで、適度の速度の攪拌を継続しながら、残りの成分を添加した。
【0084】
比較例Aを当技術分野で既知の方法で調製した。
【0085】
【表1】

【0086】
比較例Aおよび実施例1を、美容師(n=36)によって評価した美容院の半頭髪試験で比較した。実施例1は、指通りの容易さ(湿潤時);滑らかな感触(湿潤時);柔らかな感触(湿潤時);湿潤時の櫛通りの容易さ;滑らかな感触(乾燥時);柔らかな感触(乾燥時);より弾性圧縮された;重い毛髪;およびスタイルの保持を含む広範なコンディショニングの利益が有意に優れていることが判明した。
【0087】
次の試験において、実施例1を、クオタニウム−18ベントナイトが含まれていない類似の組成物と比較した。この試験において、実施例1は再び、柔らかな感触(湿潤時);滑らかな感触(乾燥時);真っ直ぐで重い(乾燥時);弾力がある(乾燥時);扱いやすさの保持(翌日)を含む広範なコンディショニングの利益が有意に優れていることが判明した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アニオン性洗浄性界面活性剤ならびに
(i)C12−C22脂肪アルコール、C12−C22脂肪酸、C12−C22脂肪アミドまたはこれらの混合物から選択される脂肪物質;および
(ii)小板の形態および脂肪物質の融点を超える融点を有する粒子
を含むゲル網状組織を含む水性コンディショニングシャンプー組成物。
【請求項2】
ゲル網状組織が、長さC12−C30の少なくとも1つの炭素鎖を有する四級アンモニウム化合物を含み、小板の形態を有する粒子が、前記四級アンモニウム化合物より高い融点を有する、請求項1に記載の水性コンディショニングシャンプー組成物。
【請求項3】
ゲル網状組織が、C12−C22脂肪アルコールを含む、請求項1または2に記載の水性コンディショニングシャンプー組成物。
【請求項4】
ゲル網状組織が、長さC12−C30の1つのみの炭素鎖を有する四級アンモニウム化合物を含み、小板の形態を有する粒子が、前記四級アンモニウム化合物より高い融点を有する、請求項1から3のいずれかに記載の水性コンディショニングシャンプー組成物。

【公表番号】特表2010−509261(P2010−509261A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535673(P2009−535673)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【国際出願番号】PCT/EP2007/061677
【国際公開番号】WO2008/055815
【国際公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】