コンデンサ及びその製造方法
【課題】コンデンサの一対の導電体層間に設けられた誘電体層中の第1及び第2の内部電極を、前記一対の導電体層に振り分けるための絶縁キャップの絶縁性及び信頼性の向上を図る。
【解決手段】コンデンサ素子12は、一対の導電体層14,16間に誘電体層18が設けられ、該誘電体層18中に、前記導電体層14,16と略直交する方向に第1電極20,第2電極24が複数形成されている。第1電極端部20Bと導電体層16の間に絶縁キャップ22を設けることで、第1電極20は導電体層14のみに導通し、第2電極端部24Aと導電体層14の間に絶縁キャップ26を設けることで、第2電極20は導電体層16のみに導通する。絶縁キャップ22,26は、誘電体層18と導電体層14,16の間に設けた段差ないし隙間にGeを電解メッキにより埋め込み、次いで陽極酸化を行うことで得られるGeO2が利用される。
【解決手段】コンデンサ素子12は、一対の導電体層14,16間に誘電体層18が設けられ、該誘電体層18中に、前記導電体層14,16と略直交する方向に第1電極20,第2電極24が複数形成されている。第1電極端部20Bと導電体層16の間に絶縁キャップ22を設けることで、第1電極20は導電体層14のみに導通し、第2電極端部24Aと導電体層14の間に絶縁キャップ26を設けることで、第2電極20は導電体層16のみに導通する。絶縁キャップ22,26は、誘電体層18と導電体層14,16の間に設けた段差ないし隙間にGeを電解メッキにより埋め込み、次いで陽極酸化を行うことで得られるGeO2が利用される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンデンサ及びその製造方法に関し、更に具体的には、コンデンサの内部電極と引出電極の絶縁部分の絶縁性及び信頼性の向上に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在幅広く用いられているMLCCやAl電解コンデンサとは異なる構造を有するコンデンサとして、例えば、下記特許文献1及び特許文献2に示す陽極酸化ポーラスAl2O3を応用したコンデンサ(以下、「ポーラスAl2O3コンデンサ」とする)が提案されている。前記特許文献1には、金属基材を2段階で陽極酸化することにより、極性の異なる柱状の内部電極をランダムに振り分け、コンデンサの容量密度の向上と、電極金属及び誘電体材料の選択性の向上,製造プロセスの簡略化を図ることが記載されている。また、下記特許文献2には、金属基材を陽極酸化して得られた酸化物基材を加工して略チューブ状の誘電体を形成し、該チューブ状の誘電体の外側と内側に、極性の異なる内部電極を振り分けることで、容量密度の向上と、電極金属及び誘電体材料の選択性の向上,製造プロセスの簡略化を図ることが開示されている。このようなポーラスAl2O3コンデンサは、バイアス依存性・温度依存性がMLCCやAl電解コンデンサに比べて低く、次世代のコンデンサとして期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−088034号公報(第1図〜第4図)
【特許文献2】特開2009−049212号公報(第1図〜第8図)
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Kahn, M. N., Kahn, M. T., and Hogarth, C.A., Phys. Status Solidi(a), 61 (1980) 251-257.
【非特許文献2】M.Saitou, K.Sakae, and W.Oshikawa, Surface and Coatings Technology, 162 (2003) 101-105.
【非特許文献3】V. M. Demidovich, P. K. Kashikarov, S. N. Kozlov, and G. S. Plotnikov, Russian Physics Journal, 20 (1977) 1105-1106
【非特許文献4】Q. Huang, S. W. Bedell, K. L. Saenger, M. Copel, H. Deligianni, and L. T. Romankiw, Electrochem. Solid-State. Lett. 10 (11) D124-6, 2007
【非特許文献5】Robert D. Wales, J. Electrochem. Soc. 110 (8) 914-918, 1963
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1では、内部電極と引出電極(導電体層)を絶縁キャップで絶縁しており、前記絶縁キャップとして、金属酸化物,樹脂,SiO2,エアギャップを用いることが開示されている。前記金属酸化物の例としては、弁金属(Al,Ta,Nb,Ti,Zr,Hf,Zn,W,Sbなど)の酸化物が挙げられている。弁金属の酸化物(同公報の第1図の符号22,符号26参照)は、誘電体表面から任意の段差を付けて形成した内部電極上に、弁金属を充填(PVD,電解メッキなど)し、その後陽極酸化により酸化物を形成する。絶縁キャップ内に流れるリーク電流は、コンデンサの特性を劣化させるため、なるべく絶縁性の高い材料を充填することが好ましい。また、全孔に緻密な酸化物構造体を形成できるため、PVDよりも電解メッキによる金属の充填が好ましい。
【0006】
上述した弁金属の酸化物のバンドギャップエネルギーは、Al2O3で約8eV,Ta2O5で約4eV,Nb2O5で約4eV,TiO2で約3ev,ZrO2で約5eV,HfO2で約6eV,ZnOで約3eV,WO3で約3eV,Sb2O3で約4eVとなっている。Al2O3はバンドギャップエネルギーが広く高い絶縁性を有しているが、Alは電解メッキで充填することができないため、緻密な酸化物構造体を得ることは難しい。比較的高いバンドギャップエネルギーを持つZrO2,HfO2も、電解メッキの後に陽極酸化をすることで得ることはできない。一方、ZnとSbは電解メッキ可能であるが、酸化物の絶縁性は比較的低いため、絶縁キャップとしての機能は、Al2O3などに比べて劣る。すなわち、上述した特許文献1の手法において、弁金属を用いて電解メッキ→陽極酸化で絶縁性の高い緻密な酸化物を得て絶縁キャップとして利用することは難しい。しかしながら、エアギャップを用いた場合には、長期信頼性に不安がある。以上の課題は、上述した特許文献2についても同様である。
【0007】
本発明は、以上のような点に着目したもので、一対の導電体層間に設けられた誘電体層中の第1及び第2の内部電極を、前記一対の導電体層に振り分けるための絶縁部分の絶縁性及び信頼性の向上を図ることができるコンデンサ及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のコンデンサは、所定の間隔で対向する一対の導電体層,該一対の導電体層間に設けられた誘電体層,該誘電体層中に、前記一対の導電体層と略直交する方向に形成されており、一端が一方の導電体層に導通し、他端が絶縁キャップによって他方の導電体層と絶縁した第1の電極,前記誘電体層中に、前記一対の導電体層と略直交する方向に形成されており、一端が前記他方の導電体層に導通し、他端が絶縁キャップによって前記一方の導電体層と絶縁した第2の電極,を備えるとともに、前記絶縁キャップが、GeO2(二酸化ゲルマニウム)であることを特徴とする。
【0009】
主要な形態の一つは、前記誘電体層が、金属の基材を陽極酸化して得られた酸化物基材又はそれを加工した構造体,前記酸化物基材又は構造体を利用して第1及び第2の電極を形成した後に、該酸化物基材又は構造体を除去した空隙に充填された高誘電率材料,のいずれかであることを特徴とする。
【0010】
他の形態は、前記酸化物基材が、前記一対の導電体層と略直交する方向に形成された略柱状の複数の孔を有しているときに、前記複数の孔のうちの一部の孔に前記第1の電極が充填され、前記複数の孔のうち、前記第1の電極が充填されていない孔に前記第2の電極が充填されること,あるいは、前記酸化物基材が、前記一対の導電体層と略直交する方向に形成された略柱状の孔を複数有しており、該酸化物基材を加工した構造体が、前記孔を中空部とする略チューブ状であるときに、前記複数の構造体の中空部に、前記第1又は第2の電極の一方の電極が充填され、前記複数の構造体間の空隙部分に、前記第1又は第2の電極の他方の電極が充填されることを特徴とする。
【0011】
本発明のコンデンサの製造方法は、所定の間隔で対向する一対の導電体層と、該一対の導電体層間に設けられた誘電体層と、該誘電体層中に、前記一対の導電体層と略直交する方向に形成されており、一端が一方の導電体層に導通し、他端が他方の導電体層と絶縁した第1の電極と、前記誘電体層中に、前記一対の導電体層と略直交する方向に形成されており、一端が前記他方の導電体層に導通し、他端が前記一方の導電体層と絶縁した第2の電極と、を備えたコンデンサの製造方法であって、前記導電体層と絶縁する側の第1の電極の端部,あるいは、前記導電体層と絶縁する側の第2の電極の端部のうちの少なくとも一方の端部と前記誘電体層の主面との間に、段差を形成する工程,前記段差に、前記電極の端部と導電体層を絶縁するためのGeO2を形成する工程,前記GeO2の形成後に、前記誘電体層の主面に前記導電体層を形成する工程,を含むことを特徴とする。
【0012】
主要な形態の一つは、GeO2を形成する工程が、前記段差に、Geを電解メッキにより充填する工程と、該工程により充填されたGeを陽極酸化処理する工程と、を含むことを特徴とする。他の形態は、前記誘電体層が、金属の基材を陽極酸化して得られた酸化物基材又はそれを加工した構造体,前記酸化物基材又は構造体を利用して第1及び第2の電極を形成した後に、該酸化物基材又は構造体を除去した空隙に充填された高誘電率材料,のいずれかであることを特徴とする。
【0013】
他の発明のコンデンサは、請求項5〜7のいずれか一項に記載の製造方法によって形成されたことを特徴とする。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、所定の間隔で対向する一対の導電体層間に設けられた誘電体層中に、前記一対の導電体層と略直交する方向に第1及び第2の電極を形成し、これら第1及び第2の電極のそれぞれの一端と前記導電体層の間を、GeO2からなる絶縁キャップで絶縁して電極を振り分けることとしたので、絶縁性の高い絶縁キャップを有するコンデンサ素子が得られ、信頼性の向上を図ることができる。また、前記GeO2を、Geの電解メッキで内部電極と誘電体主面の間に設けた段差に埋め込み、それを陽極酸化してGeO2を形成することとしたので、緻密なGeの酸化物構造体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例1を示す図であり、(A)はコンデンサ素子の外観斜視図,(B)は前記(A)を#A−#A線に沿って切断し矢印方向に見た断面図,(C)は本実施例のコンデンサの断面図であり、前記(A)を#B−#B線に沿って切断し矢印方向に見た断面図に相当する。
【図2】前記実施例1の製造工程の一例を示す図である。
【図3】前記実施例1の製造工程の一例を示す図である。
【図4】前記実施例1の製造工程の一例を示す図である。
【図5】本発明の実施例2を示す図であり、(A)はコンデンサ素子の外観斜視図,(B)は前記(A)を#C−#C線に沿って切断し矢印方向に見た断面図,(C)は本実施例のコンデンサの断面であり、前記(A)を#D−#D線に沿って切断し矢印方向に見た断面図に相当する。
【図6】前記実施例2の製造工程の一例を示す図である。
【図7】前記実施例2の製造工程の一例を示す図である。
【図8】前記実施例2の製造工程の一例を示す図である。
【図9】本発明の実施例3を示す図であり、(A)はコンデンサ素子の主要断面図,(B)は前記(A)を#E−#E線に沿って切断し矢印方向に見た断面図である。
【図10】前記実施例3の製造工程の一例を示す図である。
【図11】前記実施例3の製造工程の一例を示す図である。
【図12】前記実施例3の製造工程の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0017】
最初に、図1〜図4を参照しながら本発明の実施例1を説明する。図1(A)は本実施例のコンデンサ素子の外観斜視図,図1(B)は前記(A)を#A−#A線に沿って切断し矢印方向に見た断面図,図1(C)は前記(A)を#B−#B線に沿って切断し矢印方向に見た断面図に相当する。図2〜図4は、本実施例の製造工程の一例を示す図である。
【0018】
本実施例のコンデンサ10は、図1に示すようにコンデンサ素子12を中心に構成されている。前記コンデンサ素子12は、所定の間隔で対向する一対の導電体層(引出電極)14,16と、該導電体層14,16間に挟まれた誘電体層18と、複数の第1電極20及び第2電極24により構成されている。前記第1電極20及び第2電極24は、前記導電体層14,16と略直交しており、縦横比が大きく(すなわち、アスペクト比が高く)なっている。前記第1電極20の一方の端部20Aは導電体層14に接続し、他方の端部20Bは絶縁キャップ22により導電体層16と絶縁している。また、第2電極24の一方の端部24Bは導電体層16に接続し、他方の端部24Aは絶縁キャップ26により導電体層14と絶縁している。このような第1電極20と第2電極24は、図1(B)に示すように、ランダム配置となっており、それぞれ正極と負極に振り分けられている。なお、ここでいうランダムとは不規則のことである。
【0019】
前記誘電体層18を形成する材料としては、弁金属(Al,Ta,Nb,Ti,Zr,Hf,Zn,W,Sbなど)の酸化物が用いられる。前記導電体層14,16としては、金属全般(Cu,Ni,Cr,Ag,Au,Pd,Fe,Sn,Pb,Pt,Ir,Rh,Ru,Alなど)が用いられる。また、第1電極20及び第2電極24としては、例えば、メッキ可能な金属全般(Cu,Ni,Co,Cr,Ag,Au,Pd,Fe,Sn,Pb,Ptなど)やこれらの合金などが用いられる。前記絶縁キャップ22及び26としては、GeO2が用いられる。GeO2は、バンドギャップエネルギーが約6eV(抵抗率:1E8〜1E9Ω・cm)(非特許文献1のFig.8から算出)であるため、比較的高い絶縁性を有する構造体を得ることができ、また、電解メッキでGeを埋め込むことができるため、緻密な酸化物構造体が得られる。
【0020】
また、前記コンデンサ素子12の各部の寸法の一例を示すと、導電体層14と導電体層16の間隔(誘電体層18の厚さ)が数100nm〜数100μm,導電体層14及び16の厚さが数10nm〜数μmである。また、第1電極20及び第2電極24は、径が数10nm〜数100nm,長さが数100nm〜数100μm,隣接する電極との間隔が数10nm〜数100nm程度となっている。また、前記絶縁キャップ22,26の厚みが数10nm〜数10μm程度となっている。
【0021】
以上のような構造のコンデンサ素子12は、図1(C)に示すように、全体が絶縁フィルム30(外装保護材)により被覆されており、該絶縁フィルム30の所定の位置に設けられた開口から、接続ランド32,34を介して、リード線などの引出部36,38に接続されている。なお、前記絶縁フィルム30としては、例えば、SiO2,SiN,樹脂,金属酸化物などが用いられ、その厚さは、数10nm〜数10μm程度に形成されている。
【0022】
次に、図2〜図4も参照して、本実施例のコンデンサ10の製造方法を説明する。まず、図2(A)に示すように、上述した弁金属からなる金属基材50を用意し、該金属基材50の表面50Aに、図2(B)に示すように、陽極酸化の基点となるピット52を、最密充填六方配列で形成する。次に、電圧を印加して陽極酸化処理を施すことにより、図2(C)に示すように、所望の深さ(ないし長さ)の第1の孔54を、金属基材50の厚み方向に形成する。引き続き、前記第1の孔54を形成したときよりも大きな印加電圧で陽極酸化処理を施し、図2(D)に示すように第2の孔56を形成し、酸化物基材53からなる誘電体層18を得る。陽極酸化で発生する孔のピッチ(孔同士の間隔)は電圧に比例するため、大きい電圧で処理された第2の孔56はピッチが大きくなり、前の工程で形成された第1の孔54の一部とランダムに接続される。
【0023】
前記陽極酸化処理の条件は、図2(C)に示す1段階目の陽極酸化の印加電圧を数V〜数100V,処理時間を数分〜数日とする。図2(D)に示す2段階目の陽極酸化では、電圧値を1段階目の数倍とし、処理時間を数分〜数十分とする。例えば、1段階目の印加電圧を40Vとすることにより径が約100nmの第1の孔54が得られ、2段階目の印加電圧を80Vとすることにより径が約200nmの第2の孔56が得られる。2段階目の電圧値を上述した範囲内とすることにより、第2の孔56に接続された第1の孔54と、接続されていない第1の孔54の数を概ね同等とすることができる。これにより、前記第2の孔56に接続された第1の孔54の内側に形成される第1電極20と、前記第2の孔56に接続されていない第1の孔54の内側に形成される第2電極24の割合が同等となるため、効率的に容量を取り出すことが可能となる。また、前記2段階目の処理時間を上述の範囲内とすることで、孔のピッチ変換が十分に完了しつつ、2段階目で形成される酸化物基材の厚さを小さくすることができる。該2段階目で形成される酸化物基材は、後の工程で除去されるため、できるだけ薄いことが好ましいため都合がよい。
【0024】
次に、前記図2(D)に示す状態から、金属基材50の地金部分を除去するとともに、図2(E)に点線で示すように、誘電体層18を所定の厚みで切除し、図2(F)に示すように、誘電体層18の裏面18Bにおいて、第2の孔56の閉口した端部を開口させる。そして、図2(G)に示すように、誘電体層表面18Aに、PVDなどの適宜手法により、導電体からなるシード層58を形成する。次に、図3(A)に示すように、前記シード層58をシードとして前記第2の孔56と接続された第1の孔54の内側にCuなどの内部電極材料を電解メッキにより充填し、第1の電極20を形成する。このとき、前記第2の孔56に接続されていない第1の孔54の端部は閉口しているため、前記メッキ導体が埋め込まれることがない。なお、前記メッキ導体の埋め込みは、第1電極20の端部20Bが、前記第2の孔56に達せず適度な隙間(ないし段差)60を形成する位置まで行われる。そして、前記隙間60の第1電極端部20B上に、図3(B)に示すようにGe21を電解メッキにより充填し、Ge21の形成後、図3(C)に示すように、陽極酸化処理によりGeO2の絶縁キャップ22を形成する。
【0025】
なお、前記Ge21の電解メッキ条件は、例えば、非特許文献2に記載の方法のように、浴組成:プロピレングリコール(5vol%GeCl4含有),陽極:グラファイト,陰極:Cu,電流密度(mA/cm2):100もしくは400とした。あるいは、非特許文献4に記載のように、浴組成:1,3−プロパンジオール(0.5M GeCl4含有),陰極:Si,電流密度(mA/cm2)400の条件で行うようにしてもよい。また、次のGeの陽極酸化の条件としては、例えば、非特許文献3に示すように、浴組成:酢酸(含有物不明),陽極:n−型Ge,電流密度(μA/cm2):20もしくは200として、GeO2の厚さが200〜1200Åとなるようにする。あるいは、非特許文献5に示すように、浴組成:無水酢酸(0.6mM LiNO3,0.105M酢酸,0.278M H2O,0.011mM GeO2含有),陽極:多結晶Ge,陰極:タンタル,電流密度(μA/cm2):25,100,もしくは、250として、GeO2の厚さが700〜2890Åとなるようにしてもよい。
【0026】
次に、図3(D)に示すように、前記シード層58を除去するとともに、同図に点線で示すように、誘電体層裏面18Bを第2の孔56に相当する厚みで切除することによって、図3(E)に示すように、前記第1電極20が形成されていない第1の孔54の端部54Bを開口させる。そして、図3(F)に示すように、前記誘電体層裏面18BにPVDなどの適宜手法によって導電体層16を形成し、該導電体層16をシードとして、図4(A)に示すように、前記第1電極20が形成されていない第1の孔54の内側にメッキ導体を埋め込み、第2電極24を形成する。このとき、前記メッキ導体の埋め込みは、第2電極24の端部24Aが、誘電体層表面18Aとの間に所定の隙間62を形成する位置まで行われる。そして、図4(B)に示すように、前記隙間62に、Ge25を電解メッキにより充填し、その後、陽極酸化することで、図4(C)に示すようにGeO2からなる絶縁キャップ26を形成する。このときのGe25の電解メッキの条件及びGeO2絶縁キャップ26の陽極酸化による形成の条件は、前記Ge21の電解メッキ及び絶縁キャップ22の陽極酸化の場合と同様である。その後、図4(D)に示すように、誘電体層表面18Aに導電体層14を形成することにより、第1電極20が導電体層14に導通し、第2電極24が導電体層16に導通したコンデンサ素子12が得られる。
【0027】
このように、実施例1によれば、導電体層16と第1電極20の端部の間にGeO2からなる絶縁キャップ22を形成し、導電体層14と第2電極24の端部の間にGeO2からなる絶縁キャップ26を形成して、内部電極と導電体層(引出電極)の絶縁を図ることとした。本実施例で得られるGeO2のバンドギャップエネルギーは約6eVであり、上述した特許文献1において、電解メッキ→陽極酸化で得られる絶縁キャップ材料であるZnOやSb2O3と比べて、絶縁性の高い絶縁キャップ22,26を有するコンデンサ素子12が得られ、信頼性の向上を図ることもできるという効果がある。また、前記GeO2をGeの電解メッキで内部電極と誘電体主面の間に設けた段差に埋め込み、それを陽極酸化してGeO2を形成することとしたので、緻密なGeの酸化物構造体を得ることができる。
【実施例2】
【0028】
次に、図5〜図8を参照しながら本発明の実施例2を説明する。図5(A)は本実施例のコンデンサ素子の外観斜視図,図5(B)は前記(A)を#C−#C線に沿って切断し矢印方向に見た断面図,図5(C)は前記(A)を#D−#D線に沿って切断し矢印方向に見た断面図に相当する。図6〜図8は、本実施例の製造工程の一例を示す図である。
【0029】
本実施例のコンデンサ100は、図5に示すようにコンデンサ素子110を中心に構成されている。前記コンデンサ素子110は、所定の間隔で対向する一対の導電体層114,116と、複数の略チューブ状の誘電体118と、該複数の誘電体118間に充填された第1電極120と、前記誘電体118の内側に充填された第2電極124により構成されている。前記誘電体118は、前記導電体層114,116と略直交している。また、前記第1電極120の一方の端部は導電体層116に接続し、他方の端部は絶縁キャップ132により導電体層114と絶縁している。また、第2電極124の一方の端部は導電体層114に接続し、他方の端部は絶縁キャップ128により導電体層116と絶縁している。
【0030】
前記誘電体118,前記導電体層114及び116,第1電極120及び第2電極124,前記絶縁キャップ128,132としては、上述した実施例1と同様の材質が利用される。また、前記コンデンサ素子110の各部の寸法の一例を示すと、導電体層114と導電体層116の間隔(誘電体118の長さ)が数100nm〜数100μm,導電体層114及び116の厚みが数10nm〜数μm,チューブ状の誘電体118の径は、内径外径ともに数nm〜数100nm程度となっている。また、前記絶縁キャップ128,132の厚みは、数10nm〜数10μm,前記誘電体118間の間隔が、数10nm〜数100nm,誘電体118の厚さ(外径−内径)が、数nm〜数100nm程度となっている。
【0031】
以上のような構造のコンデンサ素子110は、図5(C)に示すように、全体が絶縁フィルム140(外装保護材)により被覆されており、該絶縁フィルム140の所定の位置に設けられた開口から、接続ランド142,144を介して、リード線などの引出部146,148に接続されている。なお、前記絶縁フィルム140としては、例えば、SiO2,SiN,樹脂,金属酸化物などが用いられる。
【0032】
次に、図6〜図8も参照して、本実施例のコンデンサ100の製造方法を説明する。まず、図6(A)に示すように、弁金属(Al,Ta,Nb,Ti,Zr,Hf,Zn,W,Sbなど)からなる金属基材150を用意する。そして、該金属基材150の表面150Aに、図6(B)に示すように、陽極酸化の基点となるピット151が、前記表面150Aと略直交する断面において、ハニカム構造を形成する六角形の頂点とその中央に配置するように形成される。次に、図6(C)に示すように、陽極酸化処理により、前記ピット151を基点とする複数の略柱状の孔(ホール)154を形成する。このような孔154の形成技術は公知である。図示の例では、前記孔154は、一方の端部が酸化物基材152の表面152Aで開口し、他方の端部が酸化物基材152の裏面152Bで閉口している。
【0033】
次に、図6(D)に示すように、酸化物基材表面152Aに導電体からなるシード層156を形成するとともに、金属基材150の地金部分を除去し、酸化物基材裏面152Bを露出させる。前記シード層156としては、金属全般(例えば、Cu,Ni,Cr,Ag,Au,Pd,Fe,Sn,Pb,Pt,Ir,Rh,Ru,Alなど)が用いられる。該シード層156は、メッキシードの機能とともに、以下の工程で形成する略チューブ状の構造体158(誘電体118)を支持する機能を有している。次に、前記酸化物基材152の界面をエッチングし、図6(E)に示すように、前記シード層156上に、前記孔154を中空部とする略チューブ状の複数の構造体158を形成する。このとき、複数の構造体158の間には空隙160が形成される。そして、前記シード層156をシードとしてメッキすることにより、図6(F)に示すように、前記空隙160に、第1電極120の一部を形成する。前記第1電極120の形成を途中で一端停止したら、前記図6(F)に点線で示すように、所定の厚みで前記構造体158の閉口端面158Aを切除し、図6(G)に示すように、開口端面158Bを形成する。本実施例では、この開口端面158Bが形成された構造体158を、略チューブ状の誘電体118として利用する。
【0034】
その後、引き続き、前記シード層156をシードとしてメッキすることにより、前記空隙160と、前記構造体158(誘電体118)の中空部である孔154へメッキ導体が同時に埋め込まれ、図7(A)に示すように、第1電極120と第2電極124が形成される。メッキ導体の埋め込みは、前記第1電極120の端面120B及び第2電極124の端面124Bがともに、構造体158の開口端面158Bに達する前に停止する。なお、前記第1電極120は、上述した工程で一部が事前に形成されているため、第1電極120と第2電極124との間に長さの差が生じる。すなわち、前記第1電極120が構造体158の開口端面158Bに達する前に導体の埋め込みを停止すれば、第1電極端面120Bと前記開口端面158Bとの間に段差126Aを、第2電極端面124Bと前記開口端面158Bとの間に前記段差126Aよりも深い段差126Bを形成することができる。
【0035】
次に、図7(B)に示すように、前記段差126A,126BにGe127を電解メッキにより充填し、充填されたGe127を陽極酸化することによって、図7(C)に示すように、GeO2からなる絶縁キャップ128を形成する。そして、同図7(C)に点線で示す位置で第1電極120,構造体158,GeO2の余分な部分を除去することにより、図7(D)に示すように、第2電極124の先端124Bのみに、GeO2からなる絶縁キャップ128が残る。なお、Ge127の電解メッキ及び陽極酸化の手法は、上述した実施例1と同様である。次に、図7(E)に示すように、前記シード層156を除去するとともに、図7(F)に示すように、前記シード層156と対向する側の主面に、導電体層116を形成する。該導電体層116は、前記第1の電極120の端面120Bと接続しているが、前記第2の電極124の端面124Bとは、前記絶縁キャップ128の存在により絶縁した状態となっている。
【0036】
続いて、前記導電体層116を給電層にして電解エッチングを施し、図8(A)に示すように、前記第1電極120の他方の端面120Aを選択的にエッチングし、該端面120Aと誘電体端面118Aの間に段差130を形成する。そして、前記段差130に、図8(B)に示すように、電解メッキによりGe131を充填し、続いて、陽極酸化処理を施すことにより、図8(C)に示すようにGeO2からなる絶縁キャップ132が形成される。該絶縁キャップ132を形成したのち、その表面に、図8(D)に示すように、PVDなどの手法により、導電体層114を形成する。該導電体層114は、前記第2の電極124の端面124Aと接続しているが、前記絶縁キャップ132の存在により、前記第1電極端面120Aとは絶縁した状態となっている。以上の手順により、導電体層114が誘電体118の内部の第2電極124に接続され、導電体層116が誘電体118の外部の第1電極120に接続された同軸構造のコンデンサ素子110が得られる。
【0037】
このように、実施例2によれば、金属の陽極酸化物からなる高アスペクト比を有する略チューブ状の誘電体118の外側に第1電極120を、内側に第2電極124を設けて、前記第1電極120と第2電極124のそれぞれの一方の端部に設けた絶縁キャップ128及び132によって電極の振り分けを行う。そして、前記絶縁キャップ128及び132を、電解メッキにより充填したGeの陽極酸化によって形成したGeO2としたので、内部電極と導電体層の絶縁性が高く、信頼性の向上を図ることができる。
【実施例3】
【0038】
次に、図9〜図12を参照しながら本発明の実施例3を説明する。本実施例のコンデンサ素子の構造は、基本的には、上述した実施例1と同様であるが、前記実施例1が弁金属の陽極酸化を2段階で行うことで内部電極の振り分けを行うのに対し、本実施例は、弁金属の陽極酸化により得られる酸化物基材に形成される孔の長さが異なるように陽極酸化を行うことにより、内部電極の振り分けを行う構成となっている。図9(A)は、本実施例のコンデンサ素子の主要断面図,図9(B)は前記(A)を#E−#E線に沿って切断し矢印方向に見た断面図である。図10〜図12は、本実施例の製造工程の一例を示す図である。図9(A)及び(B)に示すように、本実施例のコンデンサ素子200は、対向する一対の導電体層202,204間に誘電体層206が設けられており、該誘電体層206に形成された略柱状の複数の孔に、第1電極208と第2電極210が充填された構造となっている。
【0039】
本実施例では、図9(B)に示すように、前記第2電極210が、ハニカム構造を形成する六角形の頂点に位置し、前記第1電極208が、前記六角形の中心に位置するように配置されている。そして、前記第1電極208の一方の端面208Aと導電体層202の間には絶縁キャップ212が形成され、前記第2電極210の一方の端面210Bと導電体層204の間には絶縁キャップ214が存在している。このように、前記絶縁キャップ212及び214によって、第1電極208,第2電極210と、導電体層202,204との絶縁を図ることにより、電極の振り分けが行われている。
【0040】
次に、図10〜図12も参照して、本実施例の製造方法を説明する。まず、図10(A)に示すように、弁金属からなる金属基材220を用意し、該金属基材220の表面220Aに、図10(B)に示すように、陽極酸化の基点となるピット222を、ハニカムレイアウトで形成する。前記金属基材220としては、上述した実施例1と同様の弁金属が利用される。次に、図10(C)に示すように、陽極酸化処理により、複数の略柱状の孔226,228が形成された酸化物基材224を得る。該孔226,228は、一端が酸化物基材224の表面224Aで開口し、他端が酸化物基材裏面224Bで閉口するように形成されている。なお、図示の例では、孔226と228は長さが異なっており、短い方の孔228が、ハニカム構造を形成する六角形の頂点に位置し、長い方の孔226が、前記六角形の中心に位置するように形成されている。
【0041】
次に、前記図10(C)に示す状態から、金属基材220の地金を除去するとともに、同図に点線で示すように、酸化物基材224を所定の厚みで切除し、図10(D)に示すように、酸化物基材裏面224B側において、前記長い方の孔226の閉口した端部を開口させる。そして、図10(E)に示すように、酸化物基材表面224Aに、PVDなどの適宜手法により、導電体からなるシード層230を形成する。次に、図10(F)に示すように、前記シード層230をシードとして、前記孔226の内側を途中までメッキ導体で埋め込み、第1電極208の一部を形成する。前記第1電極208の一部を形成したら、一端、導体埋め込みを停止し、図10(G)に示すように、酸化物基材裏面224Bを所定の厚みで切除し、閉口した孔228の端部を開口する。本実施例では、以上のような酸化物基材224の加工体を、誘電体層206として利用する。
【0042】
その後、引き続き、前記シード層230をシードとしてメッキすることにより、前記孔226及び228にメッキ導体が同時に埋め込まれ、図11(A)に示すように、第1電極208と第2電極210が形成される。メッキ導体の埋め込みは、前記第1電極208の一方の端面208B及び第2電極210の一方の端部がともに、誘電体層裏面206Bに達する前に停止する。なお、前記第1電極208は、上述した工程で一部が事前に形成されているため、第1電極208と第2電極210の間に長さの差が生じる。すなわち、前記第1電極208の端面208Bが、誘電体層裏面206Bに達する前に導体の埋め込みを停止すれば、第1電極端面208Bと誘電体層裏面206Bとの間に段差229Aを、第2電極端面210Bと前記誘電体層裏面206Bとの間に、前記段差229Aよりも深い段差229Bを形成することができる。
【0043】
次に、図11(B)に示すように、前記段差229A,229BにGe213を電解メッキにより充填し、次いで該Ge213を陽極酸化処理することにより、図11(C)に示すように、GeO2からなる絶縁キャップ214を形成する。そして、同図11(C)に点線で示す位置で第1電極208,誘電体層206,GeO2の余分な部分を除去することにより、図11(D)に示すように、第2電極210の先端210Bのみに、GeO2からなる絶縁キャップ214が残る。Geの電解メッキによる充填及び陽極酸化処理は、上述した実施例1と同様に行われる。次に、図11(E)に示すように、前記シード層230を除去するとともに、図11(F)に示すように、前記シード層230と対向する側の誘電体層裏面206Bに、導電体層204を形成する。該導電体層204は、前記第1電極208の端面208Bと接続しているが、前記第2電極210の端面210Bとは、前記絶縁キャップ214の存在により絶縁した状態となっている。
【0044】
続いて、前記導電体層204を給電層にして電解エッチングを施し、図12(A)に示すように、前記第1電極208の他方の端面208Aを選択的にエッチングし、該端面208Aと誘電体層206の表面206Aの間に段差234を形成する。そして、前記段差234に、図12(B)に示すように、電解メッキによりGe211を充填し、該充電したGe211を陽極酸化することによって、図12(C)に示すように、GeO2からなる絶縁キャップ212を形成する。その後、前記絶縁キャップ212の表面に、図12(D)に示すように、PVDなどの適宜手法により、表面側の導電体層202を形成する。該導電体層202は、前記第2電極210の端面210Aと接続しているが、前記絶縁キャップ212の存在により、前記第1電極208の端面208Aとは絶縁した状態となっている。
【0045】
以上の手順により、導電体層202が、ハニカム構造を形成する六角形の頂点に配置された第2電極210に接続され、導電体層204が、前記六角形の中央に配置された第1電極208に接続されたハニカム構造のコンデンサ素子200が得られる。本実施例の基本的効果は、上述した実施例1と同様である。
【0046】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることができる。例えば、以下のものも含まれる。
(1)前記実施例で示した形状,寸法は一例であり、必要に応じて適宜変更してよい。
(2)絶縁キャップ以外の材料についても同様に、公知の各種の材料を使用してよい。例えば、前記実施例1〜3では、誘電体層を形成するための金属基材の具体例としてアルミニウムを挙げたが、陽極酸化が可能な金属であれば、公知の各種の金属が適用可能である。
(3)前記実施例1〜3では、金属基材を陽極酸化して得られた酸化物基材又はその加工物である構造体を誘電体層として利用することとしたが、該酸化物基材及びその構造物を利用して第1及び第2の電極を形成した後に、該酸化物基材を除去して、その空隙に、前記酸化物基材よりも高誘電率の材料を充填して誘電体層としてもよい。この場合、酸化物基材の除去は、例えば、エッチングにより行い、高誘電率材料の充填は、例えば、CVDやゾルゲル法などにより行われる。
(4)前記実施例1〜3で示した製造工程も一例であり、同様の効果を奏するように適宜変更してよい。例えば、表面電極と裏面電極のいずれを先に形成するかも一例であり、必要に応じて適宜変更してよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明によれば、所定の間隔で対向する一対の導電体層間に設けられた誘電体層中に、前記一対の導電体層と略直交する方向に第1及び第2の電極を形成し、これら第1及び第2の電極のそれぞれの一端と前記導電体層の間を、GeO2からなる絶縁キャップで絶縁して電極を振り分けることとしたので、コンデンサの用途に適用できる。
【符号の説明】
【0048】
10:コンデンサ
12:コンデンサ素子
14,16:導電体層
18:誘電体層
18A:表面
18B:裏面
20:第1電極
20A,20B,24A,24B:端部
21,25:Ge
22,28:絶縁キャップ(GeO2キャップ)
24:第2電極
30:絶縁フィルム
32,34:接続ランド
36,38:引出部
50:金属基材
50A:表面
52:ピット
53:酸化物基材
54:第1の孔
54A,54B:端部
56:第2の孔
58:シード層
60,62:隙間
100:コンデンサ
110:コンデンサ素子
114,116:導電体層
118:誘電体
118A,118B:端面
120:第1電極
120A,120B,124A,124B:端面
124:第2電極
126A,126B,130:段差
127,131:Ge
128,132:絶縁キャップ(GeO2キャップ)
140:絶縁フィルム
142,144:接続ランド
146,148:引出部
150:金属基材
150A:表面
151:ピット
152:酸化物基材
152A:表面
152B:裏面
154:孔(ホール)
156:シード層
158:構造体
158A:閉口端面
158B:開口端面
160:空隙
200:コンデンサ素子
202,204:導電体層
206:誘電体層
206A:表面
206B:裏面
208:第1電極
208A,208B,210A,210B:端部
210:第2電極
211,213:Ge
212,214:絶縁キャップ
220:金属基材
220A:表面
222:ピット
224:酸化物基材
224A:表面
224B:裏面
226,228:孔(ホール)
229A,229B,234:段差
230:シード層
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンデンサ及びその製造方法に関し、更に具体的には、コンデンサの内部電極と引出電極の絶縁部分の絶縁性及び信頼性の向上に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在幅広く用いられているMLCCやAl電解コンデンサとは異なる構造を有するコンデンサとして、例えば、下記特許文献1及び特許文献2に示す陽極酸化ポーラスAl2O3を応用したコンデンサ(以下、「ポーラスAl2O3コンデンサ」とする)が提案されている。前記特許文献1には、金属基材を2段階で陽極酸化することにより、極性の異なる柱状の内部電極をランダムに振り分け、コンデンサの容量密度の向上と、電極金属及び誘電体材料の選択性の向上,製造プロセスの簡略化を図ることが記載されている。また、下記特許文献2には、金属基材を陽極酸化して得られた酸化物基材を加工して略チューブ状の誘電体を形成し、該チューブ状の誘電体の外側と内側に、極性の異なる内部電極を振り分けることで、容量密度の向上と、電極金属及び誘電体材料の選択性の向上,製造プロセスの簡略化を図ることが開示されている。このようなポーラスAl2O3コンデンサは、バイアス依存性・温度依存性がMLCCやAl電解コンデンサに比べて低く、次世代のコンデンサとして期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−088034号公報(第1図〜第4図)
【特許文献2】特開2009−049212号公報(第1図〜第8図)
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Kahn, M. N., Kahn, M. T., and Hogarth, C.A., Phys. Status Solidi(a), 61 (1980) 251-257.
【非特許文献2】M.Saitou, K.Sakae, and W.Oshikawa, Surface and Coatings Technology, 162 (2003) 101-105.
【非特許文献3】V. M. Demidovich, P. K. Kashikarov, S. N. Kozlov, and G. S. Plotnikov, Russian Physics Journal, 20 (1977) 1105-1106
【非特許文献4】Q. Huang, S. W. Bedell, K. L. Saenger, M. Copel, H. Deligianni, and L. T. Romankiw, Electrochem. Solid-State. Lett. 10 (11) D124-6, 2007
【非特許文献5】Robert D. Wales, J. Electrochem. Soc. 110 (8) 914-918, 1963
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1では、内部電極と引出電極(導電体層)を絶縁キャップで絶縁しており、前記絶縁キャップとして、金属酸化物,樹脂,SiO2,エアギャップを用いることが開示されている。前記金属酸化物の例としては、弁金属(Al,Ta,Nb,Ti,Zr,Hf,Zn,W,Sbなど)の酸化物が挙げられている。弁金属の酸化物(同公報の第1図の符号22,符号26参照)は、誘電体表面から任意の段差を付けて形成した内部電極上に、弁金属を充填(PVD,電解メッキなど)し、その後陽極酸化により酸化物を形成する。絶縁キャップ内に流れるリーク電流は、コンデンサの特性を劣化させるため、なるべく絶縁性の高い材料を充填することが好ましい。また、全孔に緻密な酸化物構造体を形成できるため、PVDよりも電解メッキによる金属の充填が好ましい。
【0006】
上述した弁金属の酸化物のバンドギャップエネルギーは、Al2O3で約8eV,Ta2O5で約4eV,Nb2O5で約4eV,TiO2で約3ev,ZrO2で約5eV,HfO2で約6eV,ZnOで約3eV,WO3で約3eV,Sb2O3で約4eVとなっている。Al2O3はバンドギャップエネルギーが広く高い絶縁性を有しているが、Alは電解メッキで充填することができないため、緻密な酸化物構造体を得ることは難しい。比較的高いバンドギャップエネルギーを持つZrO2,HfO2も、電解メッキの後に陽極酸化をすることで得ることはできない。一方、ZnとSbは電解メッキ可能であるが、酸化物の絶縁性は比較的低いため、絶縁キャップとしての機能は、Al2O3などに比べて劣る。すなわち、上述した特許文献1の手法において、弁金属を用いて電解メッキ→陽極酸化で絶縁性の高い緻密な酸化物を得て絶縁キャップとして利用することは難しい。しかしながら、エアギャップを用いた場合には、長期信頼性に不安がある。以上の課題は、上述した特許文献2についても同様である。
【0007】
本発明は、以上のような点に着目したもので、一対の導電体層間に設けられた誘電体層中の第1及び第2の内部電極を、前記一対の導電体層に振り分けるための絶縁部分の絶縁性及び信頼性の向上を図ることができるコンデンサ及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のコンデンサは、所定の間隔で対向する一対の導電体層,該一対の導電体層間に設けられた誘電体層,該誘電体層中に、前記一対の導電体層と略直交する方向に形成されており、一端が一方の導電体層に導通し、他端が絶縁キャップによって他方の導電体層と絶縁した第1の電極,前記誘電体層中に、前記一対の導電体層と略直交する方向に形成されており、一端が前記他方の導電体層に導通し、他端が絶縁キャップによって前記一方の導電体層と絶縁した第2の電極,を備えるとともに、前記絶縁キャップが、GeO2(二酸化ゲルマニウム)であることを特徴とする。
【0009】
主要な形態の一つは、前記誘電体層が、金属の基材を陽極酸化して得られた酸化物基材又はそれを加工した構造体,前記酸化物基材又は構造体を利用して第1及び第2の電極を形成した後に、該酸化物基材又は構造体を除去した空隙に充填された高誘電率材料,のいずれかであることを特徴とする。
【0010】
他の形態は、前記酸化物基材が、前記一対の導電体層と略直交する方向に形成された略柱状の複数の孔を有しているときに、前記複数の孔のうちの一部の孔に前記第1の電極が充填され、前記複数の孔のうち、前記第1の電極が充填されていない孔に前記第2の電極が充填されること,あるいは、前記酸化物基材が、前記一対の導電体層と略直交する方向に形成された略柱状の孔を複数有しており、該酸化物基材を加工した構造体が、前記孔を中空部とする略チューブ状であるときに、前記複数の構造体の中空部に、前記第1又は第2の電極の一方の電極が充填され、前記複数の構造体間の空隙部分に、前記第1又は第2の電極の他方の電極が充填されることを特徴とする。
【0011】
本発明のコンデンサの製造方法は、所定の間隔で対向する一対の導電体層と、該一対の導電体層間に設けられた誘電体層と、該誘電体層中に、前記一対の導電体層と略直交する方向に形成されており、一端が一方の導電体層に導通し、他端が他方の導電体層と絶縁した第1の電極と、前記誘電体層中に、前記一対の導電体層と略直交する方向に形成されており、一端が前記他方の導電体層に導通し、他端が前記一方の導電体層と絶縁した第2の電極と、を備えたコンデンサの製造方法であって、前記導電体層と絶縁する側の第1の電極の端部,あるいは、前記導電体層と絶縁する側の第2の電極の端部のうちの少なくとも一方の端部と前記誘電体層の主面との間に、段差を形成する工程,前記段差に、前記電極の端部と導電体層を絶縁するためのGeO2を形成する工程,前記GeO2の形成後に、前記誘電体層の主面に前記導電体層を形成する工程,を含むことを特徴とする。
【0012】
主要な形態の一つは、GeO2を形成する工程が、前記段差に、Geを電解メッキにより充填する工程と、該工程により充填されたGeを陽極酸化処理する工程と、を含むことを特徴とする。他の形態は、前記誘電体層が、金属の基材を陽極酸化して得られた酸化物基材又はそれを加工した構造体,前記酸化物基材又は構造体を利用して第1及び第2の電極を形成した後に、該酸化物基材又は構造体を除去した空隙に充填された高誘電率材料,のいずれかであることを特徴とする。
【0013】
他の発明のコンデンサは、請求項5〜7のいずれか一項に記載の製造方法によって形成されたことを特徴とする。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、所定の間隔で対向する一対の導電体層間に設けられた誘電体層中に、前記一対の導電体層と略直交する方向に第1及び第2の電極を形成し、これら第1及び第2の電極のそれぞれの一端と前記導電体層の間を、GeO2からなる絶縁キャップで絶縁して電極を振り分けることとしたので、絶縁性の高い絶縁キャップを有するコンデンサ素子が得られ、信頼性の向上を図ることができる。また、前記GeO2を、Geの電解メッキで内部電極と誘電体主面の間に設けた段差に埋め込み、それを陽極酸化してGeO2を形成することとしたので、緻密なGeの酸化物構造体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例1を示す図であり、(A)はコンデンサ素子の外観斜視図,(B)は前記(A)を#A−#A線に沿って切断し矢印方向に見た断面図,(C)は本実施例のコンデンサの断面図であり、前記(A)を#B−#B線に沿って切断し矢印方向に見た断面図に相当する。
【図2】前記実施例1の製造工程の一例を示す図である。
【図3】前記実施例1の製造工程の一例を示す図である。
【図4】前記実施例1の製造工程の一例を示す図である。
【図5】本発明の実施例2を示す図であり、(A)はコンデンサ素子の外観斜視図,(B)は前記(A)を#C−#C線に沿って切断し矢印方向に見た断面図,(C)は本実施例のコンデンサの断面であり、前記(A)を#D−#D線に沿って切断し矢印方向に見た断面図に相当する。
【図6】前記実施例2の製造工程の一例を示す図である。
【図7】前記実施例2の製造工程の一例を示す図である。
【図8】前記実施例2の製造工程の一例を示す図である。
【図9】本発明の実施例3を示す図であり、(A)はコンデンサ素子の主要断面図,(B)は前記(A)を#E−#E線に沿って切断し矢印方向に見た断面図である。
【図10】前記実施例3の製造工程の一例を示す図である。
【図11】前記実施例3の製造工程の一例を示す図である。
【図12】前記実施例3の製造工程の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0017】
最初に、図1〜図4を参照しながら本発明の実施例1を説明する。図1(A)は本実施例のコンデンサ素子の外観斜視図,図1(B)は前記(A)を#A−#A線に沿って切断し矢印方向に見た断面図,図1(C)は前記(A)を#B−#B線に沿って切断し矢印方向に見た断面図に相当する。図2〜図4は、本実施例の製造工程の一例を示す図である。
【0018】
本実施例のコンデンサ10は、図1に示すようにコンデンサ素子12を中心に構成されている。前記コンデンサ素子12は、所定の間隔で対向する一対の導電体層(引出電極)14,16と、該導電体層14,16間に挟まれた誘電体層18と、複数の第1電極20及び第2電極24により構成されている。前記第1電極20及び第2電極24は、前記導電体層14,16と略直交しており、縦横比が大きく(すなわち、アスペクト比が高く)なっている。前記第1電極20の一方の端部20Aは導電体層14に接続し、他方の端部20Bは絶縁キャップ22により導電体層16と絶縁している。また、第2電極24の一方の端部24Bは導電体層16に接続し、他方の端部24Aは絶縁キャップ26により導電体層14と絶縁している。このような第1電極20と第2電極24は、図1(B)に示すように、ランダム配置となっており、それぞれ正極と負極に振り分けられている。なお、ここでいうランダムとは不規則のことである。
【0019】
前記誘電体層18を形成する材料としては、弁金属(Al,Ta,Nb,Ti,Zr,Hf,Zn,W,Sbなど)の酸化物が用いられる。前記導電体層14,16としては、金属全般(Cu,Ni,Cr,Ag,Au,Pd,Fe,Sn,Pb,Pt,Ir,Rh,Ru,Alなど)が用いられる。また、第1電極20及び第2電極24としては、例えば、メッキ可能な金属全般(Cu,Ni,Co,Cr,Ag,Au,Pd,Fe,Sn,Pb,Ptなど)やこれらの合金などが用いられる。前記絶縁キャップ22及び26としては、GeO2が用いられる。GeO2は、バンドギャップエネルギーが約6eV(抵抗率:1E8〜1E9Ω・cm)(非特許文献1のFig.8から算出)であるため、比較的高い絶縁性を有する構造体を得ることができ、また、電解メッキでGeを埋め込むことができるため、緻密な酸化物構造体が得られる。
【0020】
また、前記コンデンサ素子12の各部の寸法の一例を示すと、導電体層14と導電体層16の間隔(誘電体層18の厚さ)が数100nm〜数100μm,導電体層14及び16の厚さが数10nm〜数μmである。また、第1電極20及び第2電極24は、径が数10nm〜数100nm,長さが数100nm〜数100μm,隣接する電極との間隔が数10nm〜数100nm程度となっている。また、前記絶縁キャップ22,26の厚みが数10nm〜数10μm程度となっている。
【0021】
以上のような構造のコンデンサ素子12は、図1(C)に示すように、全体が絶縁フィルム30(外装保護材)により被覆されており、該絶縁フィルム30の所定の位置に設けられた開口から、接続ランド32,34を介して、リード線などの引出部36,38に接続されている。なお、前記絶縁フィルム30としては、例えば、SiO2,SiN,樹脂,金属酸化物などが用いられ、その厚さは、数10nm〜数10μm程度に形成されている。
【0022】
次に、図2〜図4も参照して、本実施例のコンデンサ10の製造方法を説明する。まず、図2(A)に示すように、上述した弁金属からなる金属基材50を用意し、該金属基材50の表面50Aに、図2(B)に示すように、陽極酸化の基点となるピット52を、最密充填六方配列で形成する。次に、電圧を印加して陽極酸化処理を施すことにより、図2(C)に示すように、所望の深さ(ないし長さ)の第1の孔54を、金属基材50の厚み方向に形成する。引き続き、前記第1の孔54を形成したときよりも大きな印加電圧で陽極酸化処理を施し、図2(D)に示すように第2の孔56を形成し、酸化物基材53からなる誘電体層18を得る。陽極酸化で発生する孔のピッチ(孔同士の間隔)は電圧に比例するため、大きい電圧で処理された第2の孔56はピッチが大きくなり、前の工程で形成された第1の孔54の一部とランダムに接続される。
【0023】
前記陽極酸化処理の条件は、図2(C)に示す1段階目の陽極酸化の印加電圧を数V〜数100V,処理時間を数分〜数日とする。図2(D)に示す2段階目の陽極酸化では、電圧値を1段階目の数倍とし、処理時間を数分〜数十分とする。例えば、1段階目の印加電圧を40Vとすることにより径が約100nmの第1の孔54が得られ、2段階目の印加電圧を80Vとすることにより径が約200nmの第2の孔56が得られる。2段階目の電圧値を上述した範囲内とすることにより、第2の孔56に接続された第1の孔54と、接続されていない第1の孔54の数を概ね同等とすることができる。これにより、前記第2の孔56に接続された第1の孔54の内側に形成される第1電極20と、前記第2の孔56に接続されていない第1の孔54の内側に形成される第2電極24の割合が同等となるため、効率的に容量を取り出すことが可能となる。また、前記2段階目の処理時間を上述の範囲内とすることで、孔のピッチ変換が十分に完了しつつ、2段階目で形成される酸化物基材の厚さを小さくすることができる。該2段階目で形成される酸化物基材は、後の工程で除去されるため、できるだけ薄いことが好ましいため都合がよい。
【0024】
次に、前記図2(D)に示す状態から、金属基材50の地金部分を除去するとともに、図2(E)に点線で示すように、誘電体層18を所定の厚みで切除し、図2(F)に示すように、誘電体層18の裏面18Bにおいて、第2の孔56の閉口した端部を開口させる。そして、図2(G)に示すように、誘電体層表面18Aに、PVDなどの適宜手法により、導電体からなるシード層58を形成する。次に、図3(A)に示すように、前記シード層58をシードとして前記第2の孔56と接続された第1の孔54の内側にCuなどの内部電極材料を電解メッキにより充填し、第1の電極20を形成する。このとき、前記第2の孔56に接続されていない第1の孔54の端部は閉口しているため、前記メッキ導体が埋め込まれることがない。なお、前記メッキ導体の埋め込みは、第1電極20の端部20Bが、前記第2の孔56に達せず適度な隙間(ないし段差)60を形成する位置まで行われる。そして、前記隙間60の第1電極端部20B上に、図3(B)に示すようにGe21を電解メッキにより充填し、Ge21の形成後、図3(C)に示すように、陽極酸化処理によりGeO2の絶縁キャップ22を形成する。
【0025】
なお、前記Ge21の電解メッキ条件は、例えば、非特許文献2に記載の方法のように、浴組成:プロピレングリコール(5vol%GeCl4含有),陽極:グラファイト,陰極:Cu,電流密度(mA/cm2):100もしくは400とした。あるいは、非特許文献4に記載のように、浴組成:1,3−プロパンジオール(0.5M GeCl4含有),陰極:Si,電流密度(mA/cm2)400の条件で行うようにしてもよい。また、次のGeの陽極酸化の条件としては、例えば、非特許文献3に示すように、浴組成:酢酸(含有物不明),陽極:n−型Ge,電流密度(μA/cm2):20もしくは200として、GeO2の厚さが200〜1200Åとなるようにする。あるいは、非特許文献5に示すように、浴組成:無水酢酸(0.6mM LiNO3,0.105M酢酸,0.278M H2O,0.011mM GeO2含有),陽極:多結晶Ge,陰極:タンタル,電流密度(μA/cm2):25,100,もしくは、250として、GeO2の厚さが700〜2890Åとなるようにしてもよい。
【0026】
次に、図3(D)に示すように、前記シード層58を除去するとともに、同図に点線で示すように、誘電体層裏面18Bを第2の孔56に相当する厚みで切除することによって、図3(E)に示すように、前記第1電極20が形成されていない第1の孔54の端部54Bを開口させる。そして、図3(F)に示すように、前記誘電体層裏面18BにPVDなどの適宜手法によって導電体層16を形成し、該導電体層16をシードとして、図4(A)に示すように、前記第1電極20が形成されていない第1の孔54の内側にメッキ導体を埋め込み、第2電極24を形成する。このとき、前記メッキ導体の埋め込みは、第2電極24の端部24Aが、誘電体層表面18Aとの間に所定の隙間62を形成する位置まで行われる。そして、図4(B)に示すように、前記隙間62に、Ge25を電解メッキにより充填し、その後、陽極酸化することで、図4(C)に示すようにGeO2からなる絶縁キャップ26を形成する。このときのGe25の電解メッキの条件及びGeO2絶縁キャップ26の陽極酸化による形成の条件は、前記Ge21の電解メッキ及び絶縁キャップ22の陽極酸化の場合と同様である。その後、図4(D)に示すように、誘電体層表面18Aに導電体層14を形成することにより、第1電極20が導電体層14に導通し、第2電極24が導電体層16に導通したコンデンサ素子12が得られる。
【0027】
このように、実施例1によれば、導電体層16と第1電極20の端部の間にGeO2からなる絶縁キャップ22を形成し、導電体層14と第2電極24の端部の間にGeO2からなる絶縁キャップ26を形成して、内部電極と導電体層(引出電極)の絶縁を図ることとした。本実施例で得られるGeO2のバンドギャップエネルギーは約6eVであり、上述した特許文献1において、電解メッキ→陽極酸化で得られる絶縁キャップ材料であるZnOやSb2O3と比べて、絶縁性の高い絶縁キャップ22,26を有するコンデンサ素子12が得られ、信頼性の向上を図ることもできるという効果がある。また、前記GeO2をGeの電解メッキで内部電極と誘電体主面の間に設けた段差に埋め込み、それを陽極酸化してGeO2を形成することとしたので、緻密なGeの酸化物構造体を得ることができる。
【実施例2】
【0028】
次に、図5〜図8を参照しながら本発明の実施例2を説明する。図5(A)は本実施例のコンデンサ素子の外観斜視図,図5(B)は前記(A)を#C−#C線に沿って切断し矢印方向に見た断面図,図5(C)は前記(A)を#D−#D線に沿って切断し矢印方向に見た断面図に相当する。図6〜図8は、本実施例の製造工程の一例を示す図である。
【0029】
本実施例のコンデンサ100は、図5に示すようにコンデンサ素子110を中心に構成されている。前記コンデンサ素子110は、所定の間隔で対向する一対の導電体層114,116と、複数の略チューブ状の誘電体118と、該複数の誘電体118間に充填された第1電極120と、前記誘電体118の内側に充填された第2電極124により構成されている。前記誘電体118は、前記導電体層114,116と略直交している。また、前記第1電極120の一方の端部は導電体層116に接続し、他方の端部は絶縁キャップ132により導電体層114と絶縁している。また、第2電極124の一方の端部は導電体層114に接続し、他方の端部は絶縁キャップ128により導電体層116と絶縁している。
【0030】
前記誘電体118,前記導電体層114及び116,第1電極120及び第2電極124,前記絶縁キャップ128,132としては、上述した実施例1と同様の材質が利用される。また、前記コンデンサ素子110の各部の寸法の一例を示すと、導電体層114と導電体層116の間隔(誘電体118の長さ)が数100nm〜数100μm,導電体層114及び116の厚みが数10nm〜数μm,チューブ状の誘電体118の径は、内径外径ともに数nm〜数100nm程度となっている。また、前記絶縁キャップ128,132の厚みは、数10nm〜数10μm,前記誘電体118間の間隔が、数10nm〜数100nm,誘電体118の厚さ(外径−内径)が、数nm〜数100nm程度となっている。
【0031】
以上のような構造のコンデンサ素子110は、図5(C)に示すように、全体が絶縁フィルム140(外装保護材)により被覆されており、該絶縁フィルム140の所定の位置に設けられた開口から、接続ランド142,144を介して、リード線などの引出部146,148に接続されている。なお、前記絶縁フィルム140としては、例えば、SiO2,SiN,樹脂,金属酸化物などが用いられる。
【0032】
次に、図6〜図8も参照して、本実施例のコンデンサ100の製造方法を説明する。まず、図6(A)に示すように、弁金属(Al,Ta,Nb,Ti,Zr,Hf,Zn,W,Sbなど)からなる金属基材150を用意する。そして、該金属基材150の表面150Aに、図6(B)に示すように、陽極酸化の基点となるピット151が、前記表面150Aと略直交する断面において、ハニカム構造を形成する六角形の頂点とその中央に配置するように形成される。次に、図6(C)に示すように、陽極酸化処理により、前記ピット151を基点とする複数の略柱状の孔(ホール)154を形成する。このような孔154の形成技術は公知である。図示の例では、前記孔154は、一方の端部が酸化物基材152の表面152Aで開口し、他方の端部が酸化物基材152の裏面152Bで閉口している。
【0033】
次に、図6(D)に示すように、酸化物基材表面152Aに導電体からなるシード層156を形成するとともに、金属基材150の地金部分を除去し、酸化物基材裏面152Bを露出させる。前記シード層156としては、金属全般(例えば、Cu,Ni,Cr,Ag,Au,Pd,Fe,Sn,Pb,Pt,Ir,Rh,Ru,Alなど)が用いられる。該シード層156は、メッキシードの機能とともに、以下の工程で形成する略チューブ状の構造体158(誘電体118)を支持する機能を有している。次に、前記酸化物基材152の界面をエッチングし、図6(E)に示すように、前記シード層156上に、前記孔154を中空部とする略チューブ状の複数の構造体158を形成する。このとき、複数の構造体158の間には空隙160が形成される。そして、前記シード層156をシードとしてメッキすることにより、図6(F)に示すように、前記空隙160に、第1電極120の一部を形成する。前記第1電極120の形成を途中で一端停止したら、前記図6(F)に点線で示すように、所定の厚みで前記構造体158の閉口端面158Aを切除し、図6(G)に示すように、開口端面158Bを形成する。本実施例では、この開口端面158Bが形成された構造体158を、略チューブ状の誘電体118として利用する。
【0034】
その後、引き続き、前記シード層156をシードとしてメッキすることにより、前記空隙160と、前記構造体158(誘電体118)の中空部である孔154へメッキ導体が同時に埋め込まれ、図7(A)に示すように、第1電極120と第2電極124が形成される。メッキ導体の埋め込みは、前記第1電極120の端面120B及び第2電極124の端面124Bがともに、構造体158の開口端面158Bに達する前に停止する。なお、前記第1電極120は、上述した工程で一部が事前に形成されているため、第1電極120と第2電極124との間に長さの差が生じる。すなわち、前記第1電極120が構造体158の開口端面158Bに達する前に導体の埋め込みを停止すれば、第1電極端面120Bと前記開口端面158Bとの間に段差126Aを、第2電極端面124Bと前記開口端面158Bとの間に前記段差126Aよりも深い段差126Bを形成することができる。
【0035】
次に、図7(B)に示すように、前記段差126A,126BにGe127を電解メッキにより充填し、充填されたGe127を陽極酸化することによって、図7(C)に示すように、GeO2からなる絶縁キャップ128を形成する。そして、同図7(C)に点線で示す位置で第1電極120,構造体158,GeO2の余分な部分を除去することにより、図7(D)に示すように、第2電極124の先端124Bのみに、GeO2からなる絶縁キャップ128が残る。なお、Ge127の電解メッキ及び陽極酸化の手法は、上述した実施例1と同様である。次に、図7(E)に示すように、前記シード層156を除去するとともに、図7(F)に示すように、前記シード層156と対向する側の主面に、導電体層116を形成する。該導電体層116は、前記第1の電極120の端面120Bと接続しているが、前記第2の電極124の端面124Bとは、前記絶縁キャップ128の存在により絶縁した状態となっている。
【0036】
続いて、前記導電体層116を給電層にして電解エッチングを施し、図8(A)に示すように、前記第1電極120の他方の端面120Aを選択的にエッチングし、該端面120Aと誘電体端面118Aの間に段差130を形成する。そして、前記段差130に、図8(B)に示すように、電解メッキによりGe131を充填し、続いて、陽極酸化処理を施すことにより、図8(C)に示すようにGeO2からなる絶縁キャップ132が形成される。該絶縁キャップ132を形成したのち、その表面に、図8(D)に示すように、PVDなどの手法により、導電体層114を形成する。該導電体層114は、前記第2の電極124の端面124Aと接続しているが、前記絶縁キャップ132の存在により、前記第1電極端面120Aとは絶縁した状態となっている。以上の手順により、導電体層114が誘電体118の内部の第2電極124に接続され、導電体層116が誘電体118の外部の第1電極120に接続された同軸構造のコンデンサ素子110が得られる。
【0037】
このように、実施例2によれば、金属の陽極酸化物からなる高アスペクト比を有する略チューブ状の誘電体118の外側に第1電極120を、内側に第2電極124を設けて、前記第1電極120と第2電極124のそれぞれの一方の端部に設けた絶縁キャップ128及び132によって電極の振り分けを行う。そして、前記絶縁キャップ128及び132を、電解メッキにより充填したGeの陽極酸化によって形成したGeO2としたので、内部電極と導電体層の絶縁性が高く、信頼性の向上を図ることができる。
【実施例3】
【0038】
次に、図9〜図12を参照しながら本発明の実施例3を説明する。本実施例のコンデンサ素子の構造は、基本的には、上述した実施例1と同様であるが、前記実施例1が弁金属の陽極酸化を2段階で行うことで内部電極の振り分けを行うのに対し、本実施例は、弁金属の陽極酸化により得られる酸化物基材に形成される孔の長さが異なるように陽極酸化を行うことにより、内部電極の振り分けを行う構成となっている。図9(A)は、本実施例のコンデンサ素子の主要断面図,図9(B)は前記(A)を#E−#E線に沿って切断し矢印方向に見た断面図である。図10〜図12は、本実施例の製造工程の一例を示す図である。図9(A)及び(B)に示すように、本実施例のコンデンサ素子200は、対向する一対の導電体層202,204間に誘電体層206が設けられており、該誘電体層206に形成された略柱状の複数の孔に、第1電極208と第2電極210が充填された構造となっている。
【0039】
本実施例では、図9(B)に示すように、前記第2電極210が、ハニカム構造を形成する六角形の頂点に位置し、前記第1電極208が、前記六角形の中心に位置するように配置されている。そして、前記第1電極208の一方の端面208Aと導電体層202の間には絶縁キャップ212が形成され、前記第2電極210の一方の端面210Bと導電体層204の間には絶縁キャップ214が存在している。このように、前記絶縁キャップ212及び214によって、第1電極208,第2電極210と、導電体層202,204との絶縁を図ることにより、電極の振り分けが行われている。
【0040】
次に、図10〜図12も参照して、本実施例の製造方法を説明する。まず、図10(A)に示すように、弁金属からなる金属基材220を用意し、該金属基材220の表面220Aに、図10(B)に示すように、陽極酸化の基点となるピット222を、ハニカムレイアウトで形成する。前記金属基材220としては、上述した実施例1と同様の弁金属が利用される。次に、図10(C)に示すように、陽極酸化処理により、複数の略柱状の孔226,228が形成された酸化物基材224を得る。該孔226,228は、一端が酸化物基材224の表面224Aで開口し、他端が酸化物基材裏面224Bで閉口するように形成されている。なお、図示の例では、孔226と228は長さが異なっており、短い方の孔228が、ハニカム構造を形成する六角形の頂点に位置し、長い方の孔226が、前記六角形の中心に位置するように形成されている。
【0041】
次に、前記図10(C)に示す状態から、金属基材220の地金を除去するとともに、同図に点線で示すように、酸化物基材224を所定の厚みで切除し、図10(D)に示すように、酸化物基材裏面224B側において、前記長い方の孔226の閉口した端部を開口させる。そして、図10(E)に示すように、酸化物基材表面224Aに、PVDなどの適宜手法により、導電体からなるシード層230を形成する。次に、図10(F)に示すように、前記シード層230をシードとして、前記孔226の内側を途中までメッキ導体で埋め込み、第1電極208の一部を形成する。前記第1電極208の一部を形成したら、一端、導体埋め込みを停止し、図10(G)に示すように、酸化物基材裏面224Bを所定の厚みで切除し、閉口した孔228の端部を開口する。本実施例では、以上のような酸化物基材224の加工体を、誘電体層206として利用する。
【0042】
その後、引き続き、前記シード層230をシードとしてメッキすることにより、前記孔226及び228にメッキ導体が同時に埋め込まれ、図11(A)に示すように、第1電極208と第2電極210が形成される。メッキ導体の埋め込みは、前記第1電極208の一方の端面208B及び第2電極210の一方の端部がともに、誘電体層裏面206Bに達する前に停止する。なお、前記第1電極208は、上述した工程で一部が事前に形成されているため、第1電極208と第2電極210の間に長さの差が生じる。すなわち、前記第1電極208の端面208Bが、誘電体層裏面206Bに達する前に導体の埋め込みを停止すれば、第1電極端面208Bと誘電体層裏面206Bとの間に段差229Aを、第2電極端面210Bと前記誘電体層裏面206Bとの間に、前記段差229Aよりも深い段差229Bを形成することができる。
【0043】
次に、図11(B)に示すように、前記段差229A,229BにGe213を電解メッキにより充填し、次いで該Ge213を陽極酸化処理することにより、図11(C)に示すように、GeO2からなる絶縁キャップ214を形成する。そして、同図11(C)に点線で示す位置で第1電極208,誘電体層206,GeO2の余分な部分を除去することにより、図11(D)に示すように、第2電極210の先端210Bのみに、GeO2からなる絶縁キャップ214が残る。Geの電解メッキによる充填及び陽極酸化処理は、上述した実施例1と同様に行われる。次に、図11(E)に示すように、前記シード層230を除去するとともに、図11(F)に示すように、前記シード層230と対向する側の誘電体層裏面206Bに、導電体層204を形成する。該導電体層204は、前記第1電極208の端面208Bと接続しているが、前記第2電極210の端面210Bとは、前記絶縁キャップ214の存在により絶縁した状態となっている。
【0044】
続いて、前記導電体層204を給電層にして電解エッチングを施し、図12(A)に示すように、前記第1電極208の他方の端面208Aを選択的にエッチングし、該端面208Aと誘電体層206の表面206Aの間に段差234を形成する。そして、前記段差234に、図12(B)に示すように、電解メッキによりGe211を充填し、該充電したGe211を陽極酸化することによって、図12(C)に示すように、GeO2からなる絶縁キャップ212を形成する。その後、前記絶縁キャップ212の表面に、図12(D)に示すように、PVDなどの適宜手法により、表面側の導電体層202を形成する。該導電体層202は、前記第2電極210の端面210Aと接続しているが、前記絶縁キャップ212の存在により、前記第1電極208の端面208Aとは絶縁した状態となっている。
【0045】
以上の手順により、導電体層202が、ハニカム構造を形成する六角形の頂点に配置された第2電極210に接続され、導電体層204が、前記六角形の中央に配置された第1電極208に接続されたハニカム構造のコンデンサ素子200が得られる。本実施例の基本的効果は、上述した実施例1と同様である。
【0046】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることができる。例えば、以下のものも含まれる。
(1)前記実施例で示した形状,寸法は一例であり、必要に応じて適宜変更してよい。
(2)絶縁キャップ以外の材料についても同様に、公知の各種の材料を使用してよい。例えば、前記実施例1〜3では、誘電体層を形成するための金属基材の具体例としてアルミニウムを挙げたが、陽極酸化が可能な金属であれば、公知の各種の金属が適用可能である。
(3)前記実施例1〜3では、金属基材を陽極酸化して得られた酸化物基材又はその加工物である構造体を誘電体層として利用することとしたが、該酸化物基材及びその構造物を利用して第1及び第2の電極を形成した後に、該酸化物基材を除去して、その空隙に、前記酸化物基材よりも高誘電率の材料を充填して誘電体層としてもよい。この場合、酸化物基材の除去は、例えば、エッチングにより行い、高誘電率材料の充填は、例えば、CVDやゾルゲル法などにより行われる。
(4)前記実施例1〜3で示した製造工程も一例であり、同様の効果を奏するように適宜変更してよい。例えば、表面電極と裏面電極のいずれを先に形成するかも一例であり、必要に応じて適宜変更してよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明によれば、所定の間隔で対向する一対の導電体層間に設けられた誘電体層中に、前記一対の導電体層と略直交する方向に第1及び第2の電極を形成し、これら第1及び第2の電極のそれぞれの一端と前記導電体層の間を、GeO2からなる絶縁キャップで絶縁して電極を振り分けることとしたので、コンデンサの用途に適用できる。
【符号の説明】
【0048】
10:コンデンサ
12:コンデンサ素子
14,16:導電体層
18:誘電体層
18A:表面
18B:裏面
20:第1電極
20A,20B,24A,24B:端部
21,25:Ge
22,28:絶縁キャップ(GeO2キャップ)
24:第2電極
30:絶縁フィルム
32,34:接続ランド
36,38:引出部
50:金属基材
50A:表面
52:ピット
53:酸化物基材
54:第1の孔
54A,54B:端部
56:第2の孔
58:シード層
60,62:隙間
100:コンデンサ
110:コンデンサ素子
114,116:導電体層
118:誘電体
118A,118B:端面
120:第1電極
120A,120B,124A,124B:端面
124:第2電極
126A,126B,130:段差
127,131:Ge
128,132:絶縁キャップ(GeO2キャップ)
140:絶縁フィルム
142,144:接続ランド
146,148:引出部
150:金属基材
150A:表面
151:ピット
152:酸化物基材
152A:表面
152B:裏面
154:孔(ホール)
156:シード層
158:構造体
158A:閉口端面
158B:開口端面
160:空隙
200:コンデンサ素子
202,204:導電体層
206:誘電体層
206A:表面
206B:裏面
208:第1電極
208A,208B,210A,210B:端部
210:第2電極
211,213:Ge
212,214:絶縁キャップ
220:金属基材
220A:表面
222:ピット
224:酸化物基材
224A:表面
224B:裏面
226,228:孔(ホール)
229A,229B,234:段差
230:シード層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の間隔で対向する一対の導電体層,
該一対の導電体層間に設けられた誘電体層,
該誘電体層中に、前記一対の導電体層と略直交する方向に形成されており、一端が一方の導電体層に導通し、他端が絶縁キャップによって他方の導電体層と絶縁した第1の電極,
前記誘電体層中に、前記一対の導電体層と略直交する方向に形成されており、一端が前記他方の導電体層に導通し、他端が絶縁キャップによって前記一方の導電体層と絶縁した第2の電極,
を備えるとともに、
前記絶縁キャップが、GeO2(二酸化ゲルマニウム)であることを特徴とするコンデンサ。
【請求項2】
前記誘電体層が、
金属の基材を陽極酸化して得られた酸化物基材又はそれを加工した構造体,
前記酸化物基材又は構造体を利用して第1及び第2の電極を形成した後に、該酸化物基材又は構造体を除去した空隙に充填された高誘電率材料,
のいずれかであることを特徴とする請求項1記載のコンデンサ。
【請求項3】
前記酸化物基材が、前記一対の導電体層と略直交する方向に形成された略柱状の複数の孔を有しているときに、
前記複数の孔のうちの一部の孔に前記第1の電極が充填され、
前記複数の孔のうち、前記第1の電極が充填されていない孔に前記第2の電極が充填されることを特徴とする請求項2記載のコンデンサ。
【請求項4】
前記酸化物基材が、前記一対の導電体層と略直交する方向に形成された略柱状の孔を複数有しており、該酸化物基材を加工した構造体が、前記孔を中空部とする略チューブ状であるときに、
前記複数の構造体の中空部に、前記第1又は第2の電極の一方の電極が充填され、
前記複数の構造体間の空隙部分に、前記第1又は第2の電極の他方の電極が充填されることを特徴とする請求項2記載のコンデンサ。
【請求項5】
所定の間隔で対向する一対の導電体層と、
該一対の導電体層間に設けられた誘電体層と、
該誘電体層中に、前記一対の導電体層と略直交する方向に形成されており、一端が一方の導電体層に導通し、他端が他方の導電体層と絶縁した第1の電極と、
前記誘電体層中に、前記一対の導電体層と略直交する方向に形成されており、一端が前記他方の導電体層に導通し、他端が前記一方の導電体層と絶縁した第2の電極と、
を備えたコンデンサの製造方法であって、
前記導電体層と絶縁する側の第1の電極の端部,あるいは、前記導電体層と絶縁する側の第2の電極の端部のうちの少なくとも一方の端部と前記誘電体層の主面との間に、段差を形成する工程,
前記段差に、前記電極の端部と導電体層を絶縁するためのGeO2を形成する工程,
前記GeO2の形成後に、前記誘電体層の主面に前記導電体層を形成する工程,
を含むことを特徴とするコンデンサの製造方法。
【請求項6】
GeO2を形成する工程が、
前記段差に、Geを電解メッキにより充填する工程と、
該工程により充填されたGeを陽極酸化処理する工程と、
を含むことを特徴とする請求項5記載のコンデンサの製造方法。
【請求項7】
前記誘電体層が、
金属の基材を陽極酸化して得られた酸化物基材又はそれを加工した構造体,
前記酸化物基材又は構造体を利用して第1及び第2の電極を形成した後に、該酸化物基材又は構造体を除去した空隙に充填された高誘電率材料,
のいずれかであることを特徴とする請求項5又は6記載のコンデンサの製造方法。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか一項に記載の製造方法によって形成されたことを特徴とするコンデンサ。
【請求項1】
所定の間隔で対向する一対の導電体層,
該一対の導電体層間に設けられた誘電体層,
該誘電体層中に、前記一対の導電体層と略直交する方向に形成されており、一端が一方の導電体層に導通し、他端が絶縁キャップによって他方の導電体層と絶縁した第1の電極,
前記誘電体層中に、前記一対の導電体層と略直交する方向に形成されており、一端が前記他方の導電体層に導通し、他端が絶縁キャップによって前記一方の導電体層と絶縁した第2の電極,
を備えるとともに、
前記絶縁キャップが、GeO2(二酸化ゲルマニウム)であることを特徴とするコンデンサ。
【請求項2】
前記誘電体層が、
金属の基材を陽極酸化して得られた酸化物基材又はそれを加工した構造体,
前記酸化物基材又は構造体を利用して第1及び第2の電極を形成した後に、該酸化物基材又は構造体を除去した空隙に充填された高誘電率材料,
のいずれかであることを特徴とする請求項1記載のコンデンサ。
【請求項3】
前記酸化物基材が、前記一対の導電体層と略直交する方向に形成された略柱状の複数の孔を有しているときに、
前記複数の孔のうちの一部の孔に前記第1の電極が充填され、
前記複数の孔のうち、前記第1の電極が充填されていない孔に前記第2の電極が充填されることを特徴とする請求項2記載のコンデンサ。
【請求項4】
前記酸化物基材が、前記一対の導電体層と略直交する方向に形成された略柱状の孔を複数有しており、該酸化物基材を加工した構造体が、前記孔を中空部とする略チューブ状であるときに、
前記複数の構造体の中空部に、前記第1又は第2の電極の一方の電極が充填され、
前記複数の構造体間の空隙部分に、前記第1又は第2の電極の他方の電極が充填されることを特徴とする請求項2記載のコンデンサ。
【請求項5】
所定の間隔で対向する一対の導電体層と、
該一対の導電体層間に設けられた誘電体層と、
該誘電体層中に、前記一対の導電体層と略直交する方向に形成されており、一端が一方の導電体層に導通し、他端が他方の導電体層と絶縁した第1の電極と、
前記誘電体層中に、前記一対の導電体層と略直交する方向に形成されており、一端が前記他方の導電体層に導通し、他端が前記一方の導電体層と絶縁した第2の電極と、
を備えたコンデンサの製造方法であって、
前記導電体層と絶縁する側の第1の電極の端部,あるいは、前記導電体層と絶縁する側の第2の電極の端部のうちの少なくとも一方の端部と前記誘電体層の主面との間に、段差を形成する工程,
前記段差に、前記電極の端部と導電体層を絶縁するためのGeO2を形成する工程,
前記GeO2の形成後に、前記誘電体層の主面に前記導電体層を形成する工程,
を含むことを特徴とするコンデンサの製造方法。
【請求項6】
GeO2を形成する工程が、
前記段差に、Geを電解メッキにより充填する工程と、
該工程により充填されたGeを陽極酸化処理する工程と、
を含むことを特徴とする請求項5記載のコンデンサの製造方法。
【請求項7】
前記誘電体層が、
金属の基材を陽極酸化して得られた酸化物基材又はそれを加工した構造体,
前記酸化物基材又は構造体を利用して第1及び第2の電極を形成した後に、該酸化物基材又は構造体を除去した空隙に充填された高誘電率材料,
のいずれかであることを特徴とする請求項5又は6記載のコンデンサの製造方法。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか一項に記載の製造方法によって形成されたことを特徴とするコンデンサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−114121(P2012−114121A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259417(P2010−259417)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(000204284)太陽誘電株式会社 (964)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(000204284)太陽誘電株式会社 (964)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]