コンバインにおける穀粒搬出装置の操作装置
【課題】 無線式の指令手段での操作性の向上を図ったコンバインにおける穀粒排出用オーガの操作装置を提供する。
【解決手段】 穀粒排出用オーガ9の旋回操作を指令する無線式の指令手段42から無線送信された指令情報を受信して制御手段に伝えるための受信アンテナ57を設け、受信アンテナ57で受け取った受信情報に基づいて、指令情報が発信された方向を特定し、その方向に向けてオーガ9を旋回作動させるように、制御手段を作動させる近接旋回スイッチを指令手段42に備えている。
【解決手段】 穀粒排出用オーガ9の旋回操作を指令する無線式の指令手段42から無線送信された指令情報を受信して制御手段に伝えるための受信アンテナ57を設け、受信アンテナ57で受け取った受信情報に基づいて、指令情報が発信された方向を特定し、その方向に向けてオーガ9を旋回作動させるように、制御手段を作動させる近接旋回スイッチを指令手段42に備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、旋回用アクチュエータにより機体に対して旋回操作自在に構成してある穀粒搬出装置と、穀粒搬出装置に対する指令情報を発する手動操作式の指令手段と、指令情報に基づいて、アクチュエータの動作を制御する制御手段とを備えているコンバインにおける穀粒搬出装置の操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記構成のコンバインにおける穀粒搬出装置としての穀粒排出オーガの操作装置の従来技術としては、前記手動操作式の指令手段として、機体の操縦部に備えられる機体側の操作部とは別に、穀粒排出用オーガの先端部に備えられるオーガ側の操作部が設けられ、前記穀粒排出用オーガの旋回操作、昇降操作、及び、穀粒排出状態と排出停止状態との切り換え操作を指令することが可能な構成となっており、前記オーガ側の操作部は、穀粒排出用オーガの先端部に電線を介して接続された有線リモコン式に構成されていた(特許文献1)。
【0003】
このような構成の手動操作式の指令手段を有するものでは、操作位置が機体の操縦部と穀粒排出用オーガの先端部に限定されるところから、より自由な位置で操作が可能な無線式の指令手段を導入するものがある。この無線式の指令手段では、オーガを左旋回または右旋回指令を発する旋回用スイッチを装備して、人為的にオーガを旋回操作可能に構成していた(特許文献2)。
【0004】
【特許文献1】特開2000−270671号公報
【特許文献2】特開2003−325032号公報(段落番号〔0046〕〜〔0048〕、図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したように、手動操作式の指令手段を無線式にすると、操作位置として、機体の操作部やオーガの先端部に限定されないものではあるが、穀粒搬出装置から送り出されてくる穀粒を受ける運搬車の近傍に操縦者がいて、前記指令手段を操作する場合に、オーガの旋回方向を選定する際に、その選択に戸惑うことがあった。
つまり、オーガの旋回方向は機体の操縦部に着座した状態で操作することを前提に設定されているが、機体の操縦部から離れた位置では操縦者の左右感覚とオーガが旋回する左右方向とが食い違いを生ずることがあるために、咄嗟に判断できないことがあり、誤操作するおそれがあった。
【0006】
本発明の目的は、無線式の指令手段での操作性の向上を図った穀粒搬出装置の操作装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
〔構成〕
請求項1に記載のコンバインにおける穀粒搬出装置の操作装置は、前記指令手段を、前記指令情報を無線信号にして発する無線式指令手段として構成し、
前記無線信号を受け取る受信アンテナを設け、
前記受信アンテナで受け取った受信情報に基づいて、前記指令情報が発信された方向を特定し、その方向に向けて前記穀粒搬出装置を旋回作動させるように、前記制御手段を作動させる近接旋回スイッチを前記指令手段に備えていることを特徴とし、その作用効果は次の通りである。
【0008】
〔作用効果〕
つまり、前記手動操作式の指令手段に設けた近接旋回スイッチを操作すると、前記穀粒搬出装置は操縦者が操作した指令手段が位置する方向に向かって旋回作動する。
したがって、操縦者は穀粒搬出装置をいずれの方向に回転させるか、という指令手段の選択を行う必要がなく、操縦者が穀粒搬出装置を旋回作動させたい方向に位置しその位置で近接旋回スイッチを操作するだけで、穀粒搬出装置を所望の位置に旋回作動させることができる。
【0009】
〔構成〕
請求項2に記載のコンバインにおける穀粒搬出装置の操作装置は、請求項1において、前記指令手段に、左旋回または右旋回指令を発する旋回用スイッチを装備してあることを特徴とする。
【0010】
〔作用効果〕
つまり、近接旋回スイッチは穀粒搬出装置を左右のいずれの方向に旋回させるかが俄かには判断できない場合に有効に使用されるスイッチである。したがって、無線式の指令手段で操作する場合であっても、左右いずれの方向に旋回させることが判断できる場合には、左旋回または右旋回指令を発する旋回用スイッチを操作することが可能である。また、機体の操作部近傍で無線式の指令手段を操作する場合には、穀粒搬出装置の左右方向の判断が容易であるので、却って、左旋回または右旋回指令を発する旋回用スイッチを操作することが有用である場合もある。
このような点を考慮すると、近接旋回スイッチとともに左旋回または右旋回指令を発する旋回用スイッチを併設することの意味合いは十分であると考えられる。
【0011】
〔構成〕
請求項3記載のコンバインにおける穀粒搬出装置の操作装置の特徴構成は、請求項1又は2において、前記手動操作式の指令手段で、前記穀粒搬出装置の、昇降操作、及び、穀粒排出状態と排出停止状態との切り換え操作を行うべく、
前記指令手段に昇降操作スイッチ、及び、穀粒排出状態切換スイッチとを備えている点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0012】
〔作用効果〕
すなわち、前記手動操作式の指令手段が、旋回操作の開始及び停止を司るスイッチとともに、昇降操作の開始及び停止、穀粒排出状態の切り換え操作の開始及び停止の夫々を無線信号にて指令する無線式の指令手段として構成されているから、例えば、この穀粒搬出装置を用いて運搬車等に穀粒排出させるとき、穀粒搬出装置による穀粒排出用の対象箇所の近くにいる操縦者が、この無線式の指令手段を用いて指令すると、この無線式の指令手段から無線送信された無線信号が、機体側に備えられた受信アンテナにより受信されて制御手段に伝えられる。制御手段は、伝えられた信号に基づいて、旋回用アクチュエータ、昇降用アクチュエータ、又は、排出用アクチュエータのうち作動が指令されたものの動作を制御することになる。
【0013】
このように、穀粒搬出装置から運搬車等に穀粒を移載する際に、必要となる穀粒搬出装置の昇降作動、旋回作動、穀粒の搬出及び搬出停止操作を無線式の指令手段により行うことができ、操作性が向上するものである。
【0014】
〔構成〕
請求項4記載のコンバインにおける穀粒搬出装置の操作装置の特徴構成は、請求項1〜3において、前記受信アンテナを前記穀粒搬送装置の旋回中心またはその近傍に装備してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0015】
〔作用効果〕
すなわち、前記受信アンテナで受け取った受信情報に基づいて、前記指令情報が発信された方向を特定する際に、受信アンテナの設置位置と穀粒搬送装置の旋回中心とが近接した位置となるので、制御手段での信号処理が工夫を要することなく、受信情報をそのまま使用できるので、制御構成が容易である。
【0016】
〔構成〕
請求項5記載のコンバインにおける穀粒搬出装置の操作装置は、請求項1〜4のいずれかにおいて、前記受信アンテナが指向性の高いものであり、かつ、受信時には広角な範囲で旋回作動可能である点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0017】
〔作用効果〕
受信アンテナが指向性の高いものに設定してある。したがって、受信アンテナが向かっている方向に指令手段から情報が発せられると、受信感度が高く、受信アンテナが向かっている方向から外れた方向から指令手段からの情報が発せられると、受信感度が低い。
そこで、受信アンテナを旋回させることによって、指令手段の位置する方向で受信感度が高くなり、その他の方向では低くなり、前記指令情報が発信された方向を特定することが容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明のコンバインにおける穀粒排出用オーガ(穀粒搬出装置)の操作装置の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1、図2に示すように、コンバインは、左右一対のクローラ走行装置1の上部に設けた機体Vの前部に、刈取部3が横軸芯周りに揺動操作自在な状態で付設され、機体Vには、操縦部2、刈取穀稈を脱穀・選別する脱穀部4、脱穀部4にて選別回収された穀粒を貯留する穀粒タンク5、及び穀粒タンク5に貯留された穀粒を機外に排出するための穀粒搬出装置としての穀粒排出用オーガ9等が装備されている。
【0019】
穀粒タンク5の底部に前後方向に沿う状態で底部スクリューコンベア7が設けられ、その底部スクリューコンベア7の搬送終端部から上方に向けてベベルギア連動される状態で縦送りスクリューコンベア8が延設され、この縦送りスクリューコンベア8の上部には、ベベルギア連動される状態で前記穀粒排出用オーガ9が、横軸芯P1周りに揺動操作自在で、且つ、縦軸芯P2周りに旋回操作自在に装備されている。尚、図2には、穀粒排出用オーガ9が格納用の旋回位置HPに旋回した状態を示し、この格納用の旋回位置HPに旋回した状態で穀粒排出用オーガ9を下降させて格納用保持具としての受止具30に受け止めさせて、穀粒排出用オーガ9を格納することになる。
【0020】
底部スクリューコンベア7の搬送始端部には、機体右前部に設けたエンジンEから底部スクリューコンベア7への動力伝達を断続するベルトテンション式の排出クラッチ13の出力プーリ13Aが装着されている。さらに、縦送りスクリューコンベア8は、底部スクリューコンベア7にベベルギアを介して連動連結された縦コンベアスクリュー8Aと、それを覆うとともに穀粒タンク5に連通接続された円筒ケース8Bとからなる。
【0021】
前記穀粒排出用オーガ9の構成について説明を加えると、この穀粒排出用オーガ9(以下、単にオーガという)は、縦コンベアスクリュー8Aにベベルギアを介して連動連結された基端側オーガ部分9Aと、この基端側オーガ部分9Aに対して出退自在に支持される先端側オーガ部分9Bとで構成されている。詳述すると、図3、図4に示すように、基端側オーガ部分9Aにおける円筒状の外装ケース31に、先端側オーガ部分9Bの外装ケース32がスクリュー軸芯方向にスライド自在に外嵌装着され、先端側オーガ部分9Bの回転スクリュー34が基端側オーガ部分9Aの回転スクリュー35の下方側に位置する状態で設けられている。又、基端側オーガ部分9Aにおける外装ケース31の下端側外周部にラックギア36が形成され、このラックギア36に噛み合うピニオンギア37とこのピニオンギア37を回転駆動する伸縮用電動モータM1(伸縮用アクチュエータの一例)とが、先端側オーガ部分9Bの外装ケース32に備えられている。
【0022】
一方、基端側オーガ部分9Aの回転軸38が筒軸で構成され、この回転軸38の6角形状の内面に嵌合する外形が六角形状の伝動軸39が、一体回転自在に且つ回転軸芯方向にスライド自在に設けられ、この伝動軸39と先端側オーガ部分9Bの回転スクリュー34とが、先端側オーガ部分9Bにおける外装ケース32の先端側部分に備えられたチェーン伝動機構40によって連動連結されている。又、先端側オーガ部分9Bの外装ケース32の先端側下方側箇所には下向きの穀粒排出口10が形成されている。
【0023】
前記伸縮用電動モータM1(以下、伸縮モータと略称する)を正逆方向に回転駆動することによって、図3に示すように、先端側オーガ部分9Bが、基端側オーガ部分9Aの回転駆動状態と連動して回転駆動される状態を維持しながら、コンベア軸芯方向にスライド移動して、オーガ9を伸縮操作させることができる構成となっている。
又、前記ピニオンギア37の回転に伴って回転操作される多回転型のポテンショメータを利用した伸縮量検出センサ41が設けられている。そして、予め伸縮操作可能範囲が設定され、伸縮量検出センサ41の検出情報に基づいて、伸縮操作の限界位置に達したときには、自動的に先端側オーガ部分9Bのスライド作動を停止するように伸縮モータM1が制御される構成となっている。
【0024】
又、基端側オーガ部分9Aの外装ケース31は、縦コンベアスクリュー8Aの円筒ケース8Bに回動ケース6を介して連通接続されており、回動ケース6が、縦送りスクリューコンベア8の円筒ケース8Bに縦軸芯P2周りに相対回動可能に接続されるとともに、基端側オーガ部分9Aの外装ケース31に横軸芯P1周りに相対回動可能に接続されている。
【0025】
図1及び図9に示すように、前記排出クラッチ13を入り状態と切り状態とに切り換え操作するためのクラッチ操作用の電動モータM2(排出用アクチュエータの一例)が備えられ、このクラッチ操作用の電動モータM2(以下、クラッチモータと略称する)を正転方向に駆動することで排出クラッチ13が入り状態に切り換えられ、クラッチモータM2を逆転方向に駆動することで排出クラッチ13が切り状態に切り換えられる構成となっている。
この排出クラッチ13を入り状態に切り換えると、底部スクリューコンベア7、縦スクリューコンベア8及びオーガ9が、排出クラッチ13を介して伝達されるエンジンEの動力で駆動されて、穀粒タンク5に貯留された穀粒がオーガ9の先端部の穀粒排出口10から排出される構成となっている。
【0026】
オーガ9の旋回操作の駆動構成について説明すると、図5に示すように、回動ケース6の外側面に、旋回駆動用の大径ギア11が固着され、その大径ギア11に咬合するピニオンギア12を回転駆動する旋回用電動モータ(旋回用アクチュエータの一例)M3が縦送りスクリューコンベヤ8に固定され、この旋回用電動モータM3(以下、旋回モータと略称する)を正逆転駆動するに伴って、オーガ9が縦軸芯P2周りに旋回操作され、かつ、旋回モータM3を作動停止させるに伴って旋回停止するように構成されている。図中、Ryはオーガ9の旋回位置を検出する多回転型のポテンショメータを利用した旋回位置検出センサであって、旋回モータM3で駆動されるギア12によって旋回駆動用ギア11と同時に回動操作されるようになっている。
尚、図2に示すように、予め旋回可能範囲が設定され、上記旋回位置検出センサRyの検出情報に基づいて、オーガ9がその旋回可能範囲の左限界位置LE及び右限界位置REに達したときには、自動的にオーガ9の旋回を停止するように、旋回モータM3が制御される構成となっている。
【0027】
次に、オーガ9の昇降操作の駆動手段について説明すると、図5に示すように、オーガ9の基端部と、回動ケース6との間に、昇降用油圧シリンダ(昇降用アクチュエータの一例)15が設けられ、この昇降用油圧シリンダ15を伸長させるに伴ってオーガ9が横軸芯P1周りで上昇操作され、かつ、昇降用油圧シリンダ15を短縮させるに伴ってオーガ9が横軸芯P1周りで下降操作されるように構成されている。尚、オーガ9が昇降操作範囲の上限位置にあるときにオン作動する上限スイッチ14が設けられている。
【0028】
操縦部2には、オーガ9を旋回及び昇降するための操作指令を指示するレバー式の操作部20が設けられている。この機体側の操作部20について説明を加えれば、図2に示すように、中央位置に復帰するように付勢されて前後方向並びに左右方向夫々に十字揺動操作自在な操作レバー20Aが備えられ、操作レバー20Aを前方側に倒した状態では上昇指令スイッチS1がオン作動して上昇指令が指令され、操作レバー20Aを手前側に倒した状態では下降指令スイッチS2がオン作動して下降指令が指令され、操作レバー20Aを左側に倒した状態では右旋回指令スイッチS3がオン作動して右旋回指令が指令され、操作レバー20Aを右側に倒した状態では左旋回指令スイッチS4がオン作動して左旋回指令が指令される(図9参照)。又、上記操作レバー20Aを中央位置に復帰させた状態では、オーガ9の旋回操作を停止させるための旋回停止指令と、オーガ9の昇降操作を停止させるための昇降停止指令が指令される。
【0029】
又、図2、図9に示すように、前記機体側の操作部20の近くには、オーガ9を自動的に格納位置または目標排出位置に移動させるための自動スイッチ21と、移動中においてオーガ9を停止させるための停止スイッチ22と、上記目標排出位置を設定するための排出位置設定ボリューム23と、前記排出クラッチ13を入り切りするためのクラッチ入切スイッチ24と、オーガ9を伸長させるための伸長スイッチ25、オーガ9を短縮させるための短縮スイッチ26とが設けられている。
【0030】
そして、このコンバインでは、前記オーガ9の旋回操作、昇降操作、及び、穀粒排出状態と排出停止状態との切り換え操作を指令する手動操作式の指令手段として、旋回操作、昇降操作、伸縮操作、及び、排出クラッチ13の切り換え操作の夫々を無線信号にて指令する無線式の指令手段としての無線式操作装置42が備えられている。この無線式操作装置42は、運搬車両への穀粒排出作業を行っているときに、運搬車両の近くにいる作業者が操作する場合に主に利用するものである。
【0031】
詳述すると、図8、図9に示すように、無線式操作装置42は、作業者が容易に持ち運び可能なように小型軽量の装置として構成され、又、互いに異なる周波数の電波を上記各操作の夫々に対応する無線信号として送信するように構成されており、このオーガ9の上昇を指令する上昇指令スイッチ43、オーガ9の下降を指令する下降指令スイッチ44、オーガ9を左方向に移動するように旋回させる左旋回指令スイッチ45、オーガ9を右方向に移動するように旋回させる右旋回指令スイッチ46、オーガ9を自動的に格納位置または目標排出位置に移動させるための自動スイッチ47、移動中においてオーガ9を停止させるための移動停止スイッチ48、前記排出クラッチ13をクラッチ入り状態にさせるための排出スイッチ49、前記排出クラッチ13をクラッチ切り状態にさせるための排出停止スイッチ50、オーガ9を伸長させるための伸長指令スイッチ51、オーガ9を短縮させるための短縮指令スイッチ52が夫々設けられている。
これらの各スイッチは、指で押し操作するとオンして指を離すとオフするようにオフ状態に復帰付勢される構成となっている。
【0032】
又、前記無線式操作装置42には、指令用の各スイッチの操作に対応させて、スイッチがオンすると、各スイッチ毎に異ならせて対応して設定された特定の周波数の信号を発振してその信号を一定出力の電波として送信する信号送信回路53及び送信アンテナ54と、それらに電力を供給するバッテリー55とが備えられている。尚、バッテリー55からの各部への電力供給の入切を行うためのスライド操作式の電源スイッチ56が設けられ、操作しないとき電源スイッチ56を切にしておくことで、誤操作によって意思に反して不測にオーガ9が作動することが無いようにしている。
【0033】
つまり、上昇指令スイッチ43を指で押し操作してオンすると、上昇指令に対応した上昇操作用の周波数の無線信号が送信されることで上昇操作の開始が指令され、上昇指令スイッチ43から指を離してオフすると、前記上昇操作用の周波数の無線信号の送信が終了して上昇操作の停止が指令されることになる。
下降指令スイッチ44を指で押し操作してオンすると、下降指令に対応した下降操作用の周波数の無線信号が送信されて下降操作の開始が指令され、下降指令スイッチ44から指を離してオフすると、下降操作用の周波数の無線信号の送信が終了して下降操作の停止が指令される。
従って、上昇指令スイッチ43と下降指令スイッチ44とにより昇降操作用の指令操作具を構成する。
【0034】
左旋回指令スイッチ45を指で押し操作してオンすると、左旋回指令に対応した左旋回操作用の周波数の無線信号が送信されることで左旋回操作の開始が指令され、左旋回指令スイッチ45から指を離してオフすると、前記左旋回操作用の周波数の無線信号の送信が終了して左旋回操作の停止が指令されることになる。
右旋回指令スイッチ46を指で押し操作してオンすると、右旋回指令に対応した右旋回操作用の周波数の無線信号が送信されて右旋回操作の開始が指令され、右旋回指令スイッチ46から指を離してオフすると、右旋回操作用の周波数の無線信号の送信が終了して右旋回操作の停止が指令される。
従って、左旋回指令スイッチ45と右旋回指令スイッチ46とにより旋回操作用の指令操作具を構成する。
【0035】
伸長指令スイッチ51を指で押し操作してオンすると、伸長指令に対応した伸長操作用の周波数の無線信号が送信されることで伸長操作の開始が指令され、伸長指令スイッチ51から指を離してオフすると、前記伸長操作用の周波数の無線信号の送信が終了して伸長操作の停止が指令されることになる。
短縮指令スイッチ52を指で押し操作してオンすると、短縮指令に対応した短縮操作用の周波数の無線信号が送信されて短縮操作の開始が指令され、短縮指令スイッチ52から指を離してオフすると、短縮操作用の周波数の無線信号の送信が終了して短縮操作の停止が指令される。
従って、伸長指令スイッチ51と短縮指令スイッチ52とにより伸縮操作用の指令操作具を構成する。
【0036】
排出スイッチ49を指で押し操作してオンすると、排出指令に対応した排出用の周波数の無線信号が送信されることで排出用操作の開始が指令され、排出スイッチ49から指を離してオフすると、前記排出用の周波数の無線信号の送信が終了して排出用操作の停止が指令されることになる。
排出停止スイッチ50を指で押し操作してオンすると、排出停止指令に対応した排出停止用の周波数の無線信号が送信されて排出停止用操作の開始が指令され、排出停止スイッチ50から指を離してオフすると、排出停止用の周波数の無線信号の送信が終了して排出停止用操作の停止が指令される。
従って、排出スイッチ49と排出停止スイッチ50とにより切り換え操作用の指令操作具を構成する。
【0037】
尚、自動スイッチ47については、指で押し操作してオンすると、目標旋回位置に向けてオーガ9を自動で移動させる操作の開始が指令されるが、指を離してオフしても、オーガ9が目標旋回位置に移動するまでは自動移動操作の停止が指令されることはない。その移動中に移動停止させるときは、移動停止スイッチ48を指で押し操作してオンすることによって停止させることになる。
【0038】
そして、機体側には、前記無線式操作装置42から送信される電波による無線信号を受信する受信アンテナ57及び受信器58が備えられるとともに、受信した信号をその受信周波数に応じていずれの指令情報であるかを判別して、その指令情報に対応する制御用信号に変換する信号処理装置59が備えられている。
又、前記受信アンテナ57及び受信器58は、図1、図2に示すように、オーガ9の基端部で旋回中心(縦軸芯P2)の近傍に備えられている。
【0039】
図9に示すように、マイクロコンピュータ利用の制御装置Hが設けられ、その制御装置Hに、前記旋回位置検出センサRy、前記上限スイッチ14、前記機体側の操作部20の各指令スイッチS1、S2、S3、S4、前記自動スイッチ21、前記停止スイッチ22、前記排出位置設定ボリューム23、及び前記クラッチ入切スイッチ24の各信号が電線を通して入力され、前記各指令スイッチの操作に対応する制御を実行するように構成されている。
【0040】
オーガ9の異なる旋回作動に対する制御構造について説明する。
前記したオーガ9を旋回させる構成としては、無線式操作装置42に設けた左右旋回指令スイッチ45,46、または、運転部の操作部20に設けてある左右旋回指令スイッチS3、S4によって行う構成を採っていた。
【0041】
これに対して、本発明においては、次ぎのような制御を行い、その制御を行うためのスイッチ構成を採っていた。つまり、図7及び図8に示すように、近接旋回スイッチ61によって旋回指令情報が発せられた場合には、受信アンテナ57で受け取った受信情報に基づいて、前記指令情報が発信された方向を特定し、その方向に向けて前記オーガ9を近接旋回作動させ、穀粒排出口10を運搬車60等の荷台上に位置させるように制御する。
【0042】
上記のような制御を行わせるについて、無線式操作装置42に次ぎのような押ボタンスイッチを設けてある。つまり、図7及び図8に示すように、左右旋回操作スイッチ45,46の間に前記近接旋回作動を促す近接旋回スイッチ61を備えている。
つまり、無線式操作装置42を持った操縦者が運搬車60の近くに位置して前記した近接旋回スイッチ61を操作すると、オーガ9の基端部に設けた受信アンテナ57で指令情報を受取り、受信した情報に基づいて信号処理装置59及び制御装置Hによって操縦者(無線式操作装置)の位置する方向を特定する。操縦者が位置する方向が特定されると、その方向に旋回作動させるように、オーガ9を起動する。
【0043】
ここで、オーガ9を検出方向に向けて起動させる際に、操縦者の位置を検出する必要があるが、その検出構造は次ぎのようになっている。つまり、受信アンテナ57の性能を指向性の強いものにする。広範囲に亘って受信性能の高いアンテナであると、発信方向を特定でき難いからである。そして、図12に示すように、この指向性の強い受信アンテナ57であっても、広範囲に指令情報を検出すべく、受信アンテナ57を駆動モータ57Aで旋回作動させる。この受信アンテナ57に対しては、受信時の向きを検出する検出センサ62を設け、受信アンテナ57がどの回転位相にある状態で、指令情報を受信したかを検出することにする。
【0044】
以上のような構成により、オーガ9を旋回作動させるべく、無線式操作装置42から操作指令が発せられると、旋回中の受信アンテナ57が操作指令を受信し、その受信信号に基づいて検出センサ62の検出値から操縦者の位置する方向を特定する。この方向が特定できたならば、その方向に向けてオーガ9を旋回作動させる。ここに、検出センサ62としては、受信アンテナ57の回転位置を0°〜360°の角度として測定できる回転型ポテンショメータを使用する。
【0045】
オーガ9を旋回後停止させる制御を行うについては、次ぎのような方法がある。オーガ9を旋回作動させる前に受信アンテナ57を旋回作動させて操縦者の位置する方向を検出しているので、その検出値を利用して、その検出値とオーガ9の旋回位置検出センサRYからの検出値とから偏差を求め、その偏差を解消する位置(方向)まで、オーガ9を作動させればよい。
【0046】
別の停止制御を行う方法としては、前記受信アンテナ57は指向性の強いものであるので、オーガ9の軸芯方向と同一向きで固定し、オーガ9の旋回作動とともに受信アンテナ57が受信向きを変更するように構成する。これによって、旋回角が大きくなるにつれて受信強度が高くなり、最高の受信強度を示す方向で旋回作動を停止させるようにする。
このような制御形態を採ることによって、操縦者が前記オーガ9を旋回作動させるについて旋回させるべき方向の選択に迷いを生じなくなることとなる。
そして、制御装置Hには、無線式操作装置42から送信される指令情報が信号処理装置59を介して入力される構成となっており、制御装置Hは、無線式操作装置42からの指令に基づいて制御する場合に、旋回操作の開始に対応する信号が動作開始用の設定時間以上継続して入力されると旋回モータM3の動作を開始させ、前記旋回操作の停止に対応する信号が、前記動作開始用の設定時間よりも長い時間として設定された動作停止用の設定時間以上継続して入力されると、旋回モータM3の動作を停止させるように構成されている。
【0047】
又、前記制御装置Hは、昇降操作の開始に対応する信号が動作開始用の設定時間以上継続して入力されると昇降用油圧シリンダ15の動作を開始させ、前記昇降操作の停止に対応する信号が、前記動作開始用の設定時間よりも長い時間として設定された動作停止用の設定時間以上継続して入力されると、昇降用油圧シリンダ15の動作を停止させるように構成されている。
更に、伸縮操作の開始に対応する信号が動作開始用の設定時間以上継続して入力されると伸縮モータM1の動作を開始させ、前記伸縮操作の停止に対応する信号が、前記動作開始用の設定時間よりも長い時間として設定された動作停止用の設定時間以上継続して入力されると、伸縮モータM1の動作を停止させるように構成されている。
又、排出クラッチ13の切り換え操作の開始に対応する信号が動作開始用の設定時間以上継続して入力されるとクラッチモータM2の動作を開始させ、前記切り換え作の停止に対応する信号が、前記動作開始用の設定時間よりも長い時間として設定された動作停止用の設定時間以上継続して入力されると、クラッチモータM2の動作を停止させるように構成されている。
【0048】
以下、前記無線式操作装置42からの指令に基づく旋回操作、昇降操作、伸縮操作、及び、排出クラッチ13の切り換え操作についての制御装置Hの動作について具体的に説明する。
すなわち、制御装置Hは、前記信号処理装置59から入力される制御用信号に基づいて、無線式操作装置42に備えられる各スイッチの夫々について、図10及び図11に示すような状態判定処理を実行して、各スイッチの操作状態を判別する。このような状態判定処理は設定短時間(例えば、数msec)毎に繰り返し行われることになる。
【0049】
この状態判定処理について説明すると、該当するスイッチの操作に対応する周波数の信号が入力されているか否かを判別し(ステップ1)、前記信号が入力されていることが判別され、しかも、計時用のカウンタをカウントアップして、カウンタのカウント値が40msec以上になり、スイッチの操作に対応する周波数の信号が入力されている状態が40msec以上継続していれば、このスイッチはオンであると判別すると共に、計時用のカウンタをカウント値が240msecに対応する値になるようにセットする(ステップ2〜5)。
そして、前記信号が入力されていないことが判別されると、カウンタのカウント値が「0」でなければ、カウンタをカウントダウンして、カウント値が40msecより小さい値になると、スイッチがオフであると判別する(ステップ6〜9)。尚、初期状態等のようにカウント値が「0」であればカウントダウンすることなく、スイッチがオフであると判別することになる。
【0050】
そして、制御装置Hは、前記各スイッチの状態判定処理の判別結果に基づいて、その判別結果に対応する動作を実行する。
すなわち、上昇指令スイッチ43がオンであると判別すると昇降用油圧シリンダ15によるオーガ9の上昇操作を実行し、上昇指令スイッチ43がオフであると判別すると昇降用油圧シリンダ15による上昇操作を停止させ、下降指令スイッチ44がオンであると判別すると昇降用油圧シリンダ15によるオーガ9の下降操作を実行し、下降指令スイッチ44がオフであると判別すると昇降用油圧シリンダ15による下降操作を停止させる。
右旋回指令スイッチ46がオンであると判別すると旋回モータM3によるオーガの右旋回操作を実行し、右旋回指令スイッチ46がオフであると判別すると旋回モータM3による右旋回操作を停止させ、左旋回指令スイッチ45がオンであると判別すると旋回モータM3によるオーガの左旋回操作を実行し、左旋回指令スイッチ45がオフであると判別すると旋回モータM3による左旋回操作を停止させる。
【0051】
又、伸長指令スイッチ51がオンであると判別すると伸縮モータM1によるオーガ9の伸長操作を実行し、伸長指令スイッチ51がオフであると判別すると伸縮モータM1による伸長操作を停止させ、短縮指令スイッチ52がオンであると判別すると伸縮モータM1によるオーガ9の短縮操作を実行し、短縮指令スイッチ52がオフであると判別すると伸縮モータM1による短縮操作を停止させる。
そして、排出スイッチ49がオンであると判別するとクラッチモータM2による排出クラッチ13の入り状態への切り換え操作を実行し、排出スイッチ49がオフであると判別するとクラッチモータM2による排出クラッチ13の入り状態への切り換え操作を停止させ、排出停止スイッチ50がオンであると判別するとクラッチモータM2による排出クラッチ13の切り状態への切り換え操作を実行し、排出停止スイッチ51がオフであると判別するとクラッチモータM2による排出クラッチ13の切り状態への切り換え操作を停止させる。
【0052】
しかも、上記したような状態判定処理を実行することで、例えば、スイッチがオン操作されるときには、制御装置Hは、信号入力状態が40msec以上継続すると、スイッチがオンであると判別する。そして、スイッチがオフ操作されるときには、制御装置Hは、その信号が入力されない状態が約200msec以上継続すると、スイッチがオフであると判別することになる。従って、40msecが動作開始用の設定時間t1に対応し、200msecが動作停止用の設定時間t2に対応する。尚、このような40msec、200msecという数値は例示であって、動作開始用の設定時間t1及び動作停止用の設定時間t2としては、このような数値に限定されるものではない。
【0053】
その結果、図11に示すように、例えば右旋回指令スイッチ46がオン操作され、旋回モータM3が右旋回操作を実行しているときに、無線式操作装置42から送信される電波が一時的に途切れて入力信号が途絶える異常部分Gがあっても、それが200msec以上継続することがなければ、制御装置Hはスイッチがオフであると判別することはないので、作業者が右旋回指令スイッチ46を押し操作しているにもかかわらず、旋回モータM3が途中で停止する等のおそれがない。尚、図11では、右旋回指令スイッチ46だけを示しているが、他のスイッチの操作についても同様に、電波が一時的に途切れることがあっても、制御装置Hはスイッチがオフであると判別することはない。
【0054】
穀粒タンク70の別構造について説明する。図13(イ)(ロ)に示すように、穀粒タンク70の底部70Aで底部スクリュコンベア71の脱穀部存在側に外部に連通する内抜き孔を形成した底板70bを水平姿勢に設定した容量拡大部70Bを形成する。底板70bの上方で容量拡大部70B内に、上下一対の揺動開閉仕切板70c、70dを設けてある。
下揺動開閉仕切板70dは、下端を底板70bに前後軸回りで上下揺動自在に軸支されるとともに、バネ72によって上向きに付勢されている。一方、上揺動開閉仕切板70cは、上端を側板70eに前後軸周りで上下揺動自在に軸支されるとともに、先端部を下揺動開閉仕切板70dの先端部に重なる状態に配置されており、先端部にゴム板70fを取付けられて、上下揺動開閉仕切板70c、70dの先端部同士の重なり代の隙間からの漏れ出しを阻止する構成が採られている。
【0055】
上下揺動開閉仕切板70c、70dの先端部同士はバネ72によって互いに斜め向き姿勢に規制されて重なり代を持って配置してあり、貯留穀物の貯留量が少なく荷重が小さい場合には、上下揺動開閉仕切板70c、70dの先端部同士が重なり代を持った斜め姿勢に維持される。貯留量が多くなり重量が重くなると、バネ72付勢力に抗して上下揺動開閉仕切板70c、70dが下向きに揺動し、収納容量を拡大させる。
【0056】
穀粒タンク80の別構造について説明する。図14(イ)(ロ)に示すように、底部スクリュウコンベア81の上部に配置された庇部82の上方に中央仕切板80Aを立設するとともに、中央仕切板80Aで脱穀部側収納室aと横外側方側収納室bとに区分けし、中央仕切板80Aの上方に揺動弁体80Bを天井板80Cに取り付けてある。脱穀部側収納室aの上端近くには、脱穀部4から排出された穀粒を持ち上げ搬送する揚穀スクリュ83の上端部が連結してあり、揚穀スクリュ83で持ち上げられた穀粒は、揚穀スクリュ83の上端の回転羽根83Aによって収納室a内に放擲される構成となっている。
前記した揺動弁体80Bは、下端部を中央仕切板80Aの上端に持たせかけてあり、自重で中央仕切板80Aの上端と天井板80Cとの間に形成された連通開口部cを閉塞する状態に付勢されている。
【0057】
上記したような構成によって、図14(イ)に示すように、揺動弁体80Bで仕切られているために、回転羽根83Aで放擲される穀粒は、脱穀部側収納室aに収納される。収納が進んで穀粒が中央仕切板80Aの上端を越える位置までくると、図14(ロ)に示すように、回転羽根83Aから放擲された穀粒や中央仕切板80Aの上端を越えた穀粒が揺動弁体80Bを押し開いて横外側方側収納室bに貯留が行われるようになる。
【0058】
以上のように、中央に仕切板80Aを設け揺動弁体80Bを設けることによって、貯留量の少ない間は、先行して脱穀部側収納室aに収納されることとなり、機体の左右重量バランスを大きく崩さない構成とすることができる。つまり、脱穀部側収納室aは横外側方側収納室bに比べて機体の左右中心に近い方にあるところから、横外側方側収納室bに先行して貯留される場合に比べて機体の左右重量バランスを大きく崩すことの無い機能に貢献していることとなる。
【0059】
〔別実施形態〕
(1) 動作指令を発するのに、上記構成では、電波を利用したものを説明したが、ここでは、光を利用したものについて説明する。図15に示すように、受信アンテナ57の代わりに、複数個の受光素子90Aを円弧状に配置した受光センサ90をオーガ9の基端部に取り付ける。受光素子90Aの取付範囲としては、180°を超える位が適当であると考える。これに対して、操作装置42としては、LED、赤外線ランプ等の発光素子42Aを備えたものを準備する。
このような構成によって、受光した素子90Aから操作装置42の位置を割り出し、前記したオーガ9の回転位相の検出結果から、オーガ9を旋回作動させる。
このように、光を受光してセンサ機能を発揮するものも、本願発明においては、受信アンテナ57の技術的範囲に含まれると考える。
【0060】
(2)上記実施形態では、前記穀粒排出用オーガが、伸縮用アクチュエータとしての伸縮モータにより伸縮操作自在に構成され、無線式の指令手段が、穀粒排出用オーガの伸縮操作を無線信号にて指令するように構成されたものを例示したが、このような構成に代えて、伸縮用アクチュエータを備えない構成としてもよい。
【0061】
(3)上記実施形態では、旋回用アクチュエータ、伸縮用アクチュエータ、排出用アクチュエータを夫々電動モータにて構成し、昇降用アクチュエータを油圧シリンダにて構成したが、これに限るものではなく、例えば、旋回用アクチュエータ、伸縮用アクチュエータ、及び、排出用アクチュエータとして油圧モータを用いたり、昇降用アクチュエータとして電動モータや電動シリンダ等を用いる構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】コンバインの全体側面図
【図2】コンバインの全体平面図
【図3】オーガ先端側の縦断側面図
【図4】オーガの縦断正面図
【図5】オーガの旋回及び昇降の操作構成を示す要部拡大側面図
【図6】機体側の操作部の平面図
【図7】無線式操作装置の斜視図
【図8】無線式操作装置のブロック図
【図9】制御ブロック図
【図10】制御動作のフローチャート
【図11】タイミングチャート
【図12】受信アンテナの回転構造を示す斜視図
【図13】穀粒タンクの底部に容量拡大部を形成した別実施形態を示す縦断正面図
【図14】穀粒タンクの二段階収納構造を有する別実施形態を示す縦断正面図
【図15】受光センサをオーガの基端部に取り付けた別実施形態を示す平面図
【符号の説明】
【0063】
9 穀粒搬出装置
42 無線式操作装置
43、44 昇降操作スイッチ
45、46 旋回操作スイッチ
49、50 切り換え操作スイッチ
57 受信アンテナ
61 近接旋回スイッチ
H 制御手段
M3 旋回用アクチュエータ
V 機体
【技術分野】
【0001】
本発明は、旋回用アクチュエータにより機体に対して旋回操作自在に構成してある穀粒搬出装置と、穀粒搬出装置に対する指令情報を発する手動操作式の指令手段と、指令情報に基づいて、アクチュエータの動作を制御する制御手段とを備えているコンバインにおける穀粒搬出装置の操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記構成のコンバインにおける穀粒搬出装置としての穀粒排出オーガの操作装置の従来技術としては、前記手動操作式の指令手段として、機体の操縦部に備えられる機体側の操作部とは別に、穀粒排出用オーガの先端部に備えられるオーガ側の操作部が設けられ、前記穀粒排出用オーガの旋回操作、昇降操作、及び、穀粒排出状態と排出停止状態との切り換え操作を指令することが可能な構成となっており、前記オーガ側の操作部は、穀粒排出用オーガの先端部に電線を介して接続された有線リモコン式に構成されていた(特許文献1)。
【0003】
このような構成の手動操作式の指令手段を有するものでは、操作位置が機体の操縦部と穀粒排出用オーガの先端部に限定されるところから、より自由な位置で操作が可能な無線式の指令手段を導入するものがある。この無線式の指令手段では、オーガを左旋回または右旋回指令を発する旋回用スイッチを装備して、人為的にオーガを旋回操作可能に構成していた(特許文献2)。
【0004】
【特許文献1】特開2000−270671号公報
【特許文献2】特開2003−325032号公報(段落番号〔0046〕〜〔0048〕、図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したように、手動操作式の指令手段を無線式にすると、操作位置として、機体の操作部やオーガの先端部に限定されないものではあるが、穀粒搬出装置から送り出されてくる穀粒を受ける運搬車の近傍に操縦者がいて、前記指令手段を操作する場合に、オーガの旋回方向を選定する際に、その選択に戸惑うことがあった。
つまり、オーガの旋回方向は機体の操縦部に着座した状態で操作することを前提に設定されているが、機体の操縦部から離れた位置では操縦者の左右感覚とオーガが旋回する左右方向とが食い違いを生ずることがあるために、咄嗟に判断できないことがあり、誤操作するおそれがあった。
【0006】
本発明の目的は、無線式の指令手段での操作性の向上を図った穀粒搬出装置の操作装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
〔構成〕
請求項1に記載のコンバインにおける穀粒搬出装置の操作装置は、前記指令手段を、前記指令情報を無線信号にして発する無線式指令手段として構成し、
前記無線信号を受け取る受信アンテナを設け、
前記受信アンテナで受け取った受信情報に基づいて、前記指令情報が発信された方向を特定し、その方向に向けて前記穀粒搬出装置を旋回作動させるように、前記制御手段を作動させる近接旋回スイッチを前記指令手段に備えていることを特徴とし、その作用効果は次の通りである。
【0008】
〔作用効果〕
つまり、前記手動操作式の指令手段に設けた近接旋回スイッチを操作すると、前記穀粒搬出装置は操縦者が操作した指令手段が位置する方向に向かって旋回作動する。
したがって、操縦者は穀粒搬出装置をいずれの方向に回転させるか、という指令手段の選択を行う必要がなく、操縦者が穀粒搬出装置を旋回作動させたい方向に位置しその位置で近接旋回スイッチを操作するだけで、穀粒搬出装置を所望の位置に旋回作動させることができる。
【0009】
〔構成〕
請求項2に記載のコンバインにおける穀粒搬出装置の操作装置は、請求項1において、前記指令手段に、左旋回または右旋回指令を発する旋回用スイッチを装備してあることを特徴とする。
【0010】
〔作用効果〕
つまり、近接旋回スイッチは穀粒搬出装置を左右のいずれの方向に旋回させるかが俄かには判断できない場合に有効に使用されるスイッチである。したがって、無線式の指令手段で操作する場合であっても、左右いずれの方向に旋回させることが判断できる場合には、左旋回または右旋回指令を発する旋回用スイッチを操作することが可能である。また、機体の操作部近傍で無線式の指令手段を操作する場合には、穀粒搬出装置の左右方向の判断が容易であるので、却って、左旋回または右旋回指令を発する旋回用スイッチを操作することが有用である場合もある。
このような点を考慮すると、近接旋回スイッチとともに左旋回または右旋回指令を発する旋回用スイッチを併設することの意味合いは十分であると考えられる。
【0011】
〔構成〕
請求項3記載のコンバインにおける穀粒搬出装置の操作装置の特徴構成は、請求項1又は2において、前記手動操作式の指令手段で、前記穀粒搬出装置の、昇降操作、及び、穀粒排出状態と排出停止状態との切り換え操作を行うべく、
前記指令手段に昇降操作スイッチ、及び、穀粒排出状態切換スイッチとを備えている点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0012】
〔作用効果〕
すなわち、前記手動操作式の指令手段が、旋回操作の開始及び停止を司るスイッチとともに、昇降操作の開始及び停止、穀粒排出状態の切り換え操作の開始及び停止の夫々を無線信号にて指令する無線式の指令手段として構成されているから、例えば、この穀粒搬出装置を用いて運搬車等に穀粒排出させるとき、穀粒搬出装置による穀粒排出用の対象箇所の近くにいる操縦者が、この無線式の指令手段を用いて指令すると、この無線式の指令手段から無線送信された無線信号が、機体側に備えられた受信アンテナにより受信されて制御手段に伝えられる。制御手段は、伝えられた信号に基づいて、旋回用アクチュエータ、昇降用アクチュエータ、又は、排出用アクチュエータのうち作動が指令されたものの動作を制御することになる。
【0013】
このように、穀粒搬出装置から運搬車等に穀粒を移載する際に、必要となる穀粒搬出装置の昇降作動、旋回作動、穀粒の搬出及び搬出停止操作を無線式の指令手段により行うことができ、操作性が向上するものである。
【0014】
〔構成〕
請求項4記載のコンバインにおける穀粒搬出装置の操作装置の特徴構成は、請求項1〜3において、前記受信アンテナを前記穀粒搬送装置の旋回中心またはその近傍に装備してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0015】
〔作用効果〕
すなわち、前記受信アンテナで受け取った受信情報に基づいて、前記指令情報が発信された方向を特定する際に、受信アンテナの設置位置と穀粒搬送装置の旋回中心とが近接した位置となるので、制御手段での信号処理が工夫を要することなく、受信情報をそのまま使用できるので、制御構成が容易である。
【0016】
〔構成〕
請求項5記載のコンバインにおける穀粒搬出装置の操作装置は、請求項1〜4のいずれかにおいて、前記受信アンテナが指向性の高いものであり、かつ、受信時には広角な範囲で旋回作動可能である点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0017】
〔作用効果〕
受信アンテナが指向性の高いものに設定してある。したがって、受信アンテナが向かっている方向に指令手段から情報が発せられると、受信感度が高く、受信アンテナが向かっている方向から外れた方向から指令手段からの情報が発せられると、受信感度が低い。
そこで、受信アンテナを旋回させることによって、指令手段の位置する方向で受信感度が高くなり、その他の方向では低くなり、前記指令情報が発信された方向を特定することが容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明のコンバインにおける穀粒排出用オーガ(穀粒搬出装置)の操作装置の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1、図2に示すように、コンバインは、左右一対のクローラ走行装置1の上部に設けた機体Vの前部に、刈取部3が横軸芯周りに揺動操作自在な状態で付設され、機体Vには、操縦部2、刈取穀稈を脱穀・選別する脱穀部4、脱穀部4にて選別回収された穀粒を貯留する穀粒タンク5、及び穀粒タンク5に貯留された穀粒を機外に排出するための穀粒搬出装置としての穀粒排出用オーガ9等が装備されている。
【0019】
穀粒タンク5の底部に前後方向に沿う状態で底部スクリューコンベア7が設けられ、その底部スクリューコンベア7の搬送終端部から上方に向けてベベルギア連動される状態で縦送りスクリューコンベア8が延設され、この縦送りスクリューコンベア8の上部には、ベベルギア連動される状態で前記穀粒排出用オーガ9が、横軸芯P1周りに揺動操作自在で、且つ、縦軸芯P2周りに旋回操作自在に装備されている。尚、図2には、穀粒排出用オーガ9が格納用の旋回位置HPに旋回した状態を示し、この格納用の旋回位置HPに旋回した状態で穀粒排出用オーガ9を下降させて格納用保持具としての受止具30に受け止めさせて、穀粒排出用オーガ9を格納することになる。
【0020】
底部スクリューコンベア7の搬送始端部には、機体右前部に設けたエンジンEから底部スクリューコンベア7への動力伝達を断続するベルトテンション式の排出クラッチ13の出力プーリ13Aが装着されている。さらに、縦送りスクリューコンベア8は、底部スクリューコンベア7にベベルギアを介して連動連結された縦コンベアスクリュー8Aと、それを覆うとともに穀粒タンク5に連通接続された円筒ケース8Bとからなる。
【0021】
前記穀粒排出用オーガ9の構成について説明を加えると、この穀粒排出用オーガ9(以下、単にオーガという)は、縦コンベアスクリュー8Aにベベルギアを介して連動連結された基端側オーガ部分9Aと、この基端側オーガ部分9Aに対して出退自在に支持される先端側オーガ部分9Bとで構成されている。詳述すると、図3、図4に示すように、基端側オーガ部分9Aにおける円筒状の外装ケース31に、先端側オーガ部分9Bの外装ケース32がスクリュー軸芯方向にスライド自在に外嵌装着され、先端側オーガ部分9Bの回転スクリュー34が基端側オーガ部分9Aの回転スクリュー35の下方側に位置する状態で設けられている。又、基端側オーガ部分9Aにおける外装ケース31の下端側外周部にラックギア36が形成され、このラックギア36に噛み合うピニオンギア37とこのピニオンギア37を回転駆動する伸縮用電動モータM1(伸縮用アクチュエータの一例)とが、先端側オーガ部分9Bの外装ケース32に備えられている。
【0022】
一方、基端側オーガ部分9Aの回転軸38が筒軸で構成され、この回転軸38の6角形状の内面に嵌合する外形が六角形状の伝動軸39が、一体回転自在に且つ回転軸芯方向にスライド自在に設けられ、この伝動軸39と先端側オーガ部分9Bの回転スクリュー34とが、先端側オーガ部分9Bにおける外装ケース32の先端側部分に備えられたチェーン伝動機構40によって連動連結されている。又、先端側オーガ部分9Bの外装ケース32の先端側下方側箇所には下向きの穀粒排出口10が形成されている。
【0023】
前記伸縮用電動モータM1(以下、伸縮モータと略称する)を正逆方向に回転駆動することによって、図3に示すように、先端側オーガ部分9Bが、基端側オーガ部分9Aの回転駆動状態と連動して回転駆動される状態を維持しながら、コンベア軸芯方向にスライド移動して、オーガ9を伸縮操作させることができる構成となっている。
又、前記ピニオンギア37の回転に伴って回転操作される多回転型のポテンショメータを利用した伸縮量検出センサ41が設けられている。そして、予め伸縮操作可能範囲が設定され、伸縮量検出センサ41の検出情報に基づいて、伸縮操作の限界位置に達したときには、自動的に先端側オーガ部分9Bのスライド作動を停止するように伸縮モータM1が制御される構成となっている。
【0024】
又、基端側オーガ部分9Aの外装ケース31は、縦コンベアスクリュー8Aの円筒ケース8Bに回動ケース6を介して連通接続されており、回動ケース6が、縦送りスクリューコンベア8の円筒ケース8Bに縦軸芯P2周りに相対回動可能に接続されるとともに、基端側オーガ部分9Aの外装ケース31に横軸芯P1周りに相対回動可能に接続されている。
【0025】
図1及び図9に示すように、前記排出クラッチ13を入り状態と切り状態とに切り換え操作するためのクラッチ操作用の電動モータM2(排出用アクチュエータの一例)が備えられ、このクラッチ操作用の電動モータM2(以下、クラッチモータと略称する)を正転方向に駆動することで排出クラッチ13が入り状態に切り換えられ、クラッチモータM2を逆転方向に駆動することで排出クラッチ13が切り状態に切り換えられる構成となっている。
この排出クラッチ13を入り状態に切り換えると、底部スクリューコンベア7、縦スクリューコンベア8及びオーガ9が、排出クラッチ13を介して伝達されるエンジンEの動力で駆動されて、穀粒タンク5に貯留された穀粒がオーガ9の先端部の穀粒排出口10から排出される構成となっている。
【0026】
オーガ9の旋回操作の駆動構成について説明すると、図5に示すように、回動ケース6の外側面に、旋回駆動用の大径ギア11が固着され、その大径ギア11に咬合するピニオンギア12を回転駆動する旋回用電動モータ(旋回用アクチュエータの一例)M3が縦送りスクリューコンベヤ8に固定され、この旋回用電動モータM3(以下、旋回モータと略称する)を正逆転駆動するに伴って、オーガ9が縦軸芯P2周りに旋回操作され、かつ、旋回モータM3を作動停止させるに伴って旋回停止するように構成されている。図中、Ryはオーガ9の旋回位置を検出する多回転型のポテンショメータを利用した旋回位置検出センサであって、旋回モータM3で駆動されるギア12によって旋回駆動用ギア11と同時に回動操作されるようになっている。
尚、図2に示すように、予め旋回可能範囲が設定され、上記旋回位置検出センサRyの検出情報に基づいて、オーガ9がその旋回可能範囲の左限界位置LE及び右限界位置REに達したときには、自動的にオーガ9の旋回を停止するように、旋回モータM3が制御される構成となっている。
【0027】
次に、オーガ9の昇降操作の駆動手段について説明すると、図5に示すように、オーガ9の基端部と、回動ケース6との間に、昇降用油圧シリンダ(昇降用アクチュエータの一例)15が設けられ、この昇降用油圧シリンダ15を伸長させるに伴ってオーガ9が横軸芯P1周りで上昇操作され、かつ、昇降用油圧シリンダ15を短縮させるに伴ってオーガ9が横軸芯P1周りで下降操作されるように構成されている。尚、オーガ9が昇降操作範囲の上限位置にあるときにオン作動する上限スイッチ14が設けられている。
【0028】
操縦部2には、オーガ9を旋回及び昇降するための操作指令を指示するレバー式の操作部20が設けられている。この機体側の操作部20について説明を加えれば、図2に示すように、中央位置に復帰するように付勢されて前後方向並びに左右方向夫々に十字揺動操作自在な操作レバー20Aが備えられ、操作レバー20Aを前方側に倒した状態では上昇指令スイッチS1がオン作動して上昇指令が指令され、操作レバー20Aを手前側に倒した状態では下降指令スイッチS2がオン作動して下降指令が指令され、操作レバー20Aを左側に倒した状態では右旋回指令スイッチS3がオン作動して右旋回指令が指令され、操作レバー20Aを右側に倒した状態では左旋回指令スイッチS4がオン作動して左旋回指令が指令される(図9参照)。又、上記操作レバー20Aを中央位置に復帰させた状態では、オーガ9の旋回操作を停止させるための旋回停止指令と、オーガ9の昇降操作を停止させるための昇降停止指令が指令される。
【0029】
又、図2、図9に示すように、前記機体側の操作部20の近くには、オーガ9を自動的に格納位置または目標排出位置に移動させるための自動スイッチ21と、移動中においてオーガ9を停止させるための停止スイッチ22と、上記目標排出位置を設定するための排出位置設定ボリューム23と、前記排出クラッチ13を入り切りするためのクラッチ入切スイッチ24と、オーガ9を伸長させるための伸長スイッチ25、オーガ9を短縮させるための短縮スイッチ26とが設けられている。
【0030】
そして、このコンバインでは、前記オーガ9の旋回操作、昇降操作、及び、穀粒排出状態と排出停止状態との切り換え操作を指令する手動操作式の指令手段として、旋回操作、昇降操作、伸縮操作、及び、排出クラッチ13の切り換え操作の夫々を無線信号にて指令する無線式の指令手段としての無線式操作装置42が備えられている。この無線式操作装置42は、運搬車両への穀粒排出作業を行っているときに、運搬車両の近くにいる作業者が操作する場合に主に利用するものである。
【0031】
詳述すると、図8、図9に示すように、無線式操作装置42は、作業者が容易に持ち運び可能なように小型軽量の装置として構成され、又、互いに異なる周波数の電波を上記各操作の夫々に対応する無線信号として送信するように構成されており、このオーガ9の上昇を指令する上昇指令スイッチ43、オーガ9の下降を指令する下降指令スイッチ44、オーガ9を左方向に移動するように旋回させる左旋回指令スイッチ45、オーガ9を右方向に移動するように旋回させる右旋回指令スイッチ46、オーガ9を自動的に格納位置または目標排出位置に移動させるための自動スイッチ47、移動中においてオーガ9を停止させるための移動停止スイッチ48、前記排出クラッチ13をクラッチ入り状態にさせるための排出スイッチ49、前記排出クラッチ13をクラッチ切り状態にさせるための排出停止スイッチ50、オーガ9を伸長させるための伸長指令スイッチ51、オーガ9を短縮させるための短縮指令スイッチ52が夫々設けられている。
これらの各スイッチは、指で押し操作するとオンして指を離すとオフするようにオフ状態に復帰付勢される構成となっている。
【0032】
又、前記無線式操作装置42には、指令用の各スイッチの操作に対応させて、スイッチがオンすると、各スイッチ毎に異ならせて対応して設定された特定の周波数の信号を発振してその信号を一定出力の電波として送信する信号送信回路53及び送信アンテナ54と、それらに電力を供給するバッテリー55とが備えられている。尚、バッテリー55からの各部への電力供給の入切を行うためのスライド操作式の電源スイッチ56が設けられ、操作しないとき電源スイッチ56を切にしておくことで、誤操作によって意思に反して不測にオーガ9が作動することが無いようにしている。
【0033】
つまり、上昇指令スイッチ43を指で押し操作してオンすると、上昇指令に対応した上昇操作用の周波数の無線信号が送信されることで上昇操作の開始が指令され、上昇指令スイッチ43から指を離してオフすると、前記上昇操作用の周波数の無線信号の送信が終了して上昇操作の停止が指令されることになる。
下降指令スイッチ44を指で押し操作してオンすると、下降指令に対応した下降操作用の周波数の無線信号が送信されて下降操作の開始が指令され、下降指令スイッチ44から指を離してオフすると、下降操作用の周波数の無線信号の送信が終了して下降操作の停止が指令される。
従って、上昇指令スイッチ43と下降指令スイッチ44とにより昇降操作用の指令操作具を構成する。
【0034】
左旋回指令スイッチ45を指で押し操作してオンすると、左旋回指令に対応した左旋回操作用の周波数の無線信号が送信されることで左旋回操作の開始が指令され、左旋回指令スイッチ45から指を離してオフすると、前記左旋回操作用の周波数の無線信号の送信が終了して左旋回操作の停止が指令されることになる。
右旋回指令スイッチ46を指で押し操作してオンすると、右旋回指令に対応した右旋回操作用の周波数の無線信号が送信されて右旋回操作の開始が指令され、右旋回指令スイッチ46から指を離してオフすると、右旋回操作用の周波数の無線信号の送信が終了して右旋回操作の停止が指令される。
従って、左旋回指令スイッチ45と右旋回指令スイッチ46とにより旋回操作用の指令操作具を構成する。
【0035】
伸長指令スイッチ51を指で押し操作してオンすると、伸長指令に対応した伸長操作用の周波数の無線信号が送信されることで伸長操作の開始が指令され、伸長指令スイッチ51から指を離してオフすると、前記伸長操作用の周波数の無線信号の送信が終了して伸長操作の停止が指令されることになる。
短縮指令スイッチ52を指で押し操作してオンすると、短縮指令に対応した短縮操作用の周波数の無線信号が送信されて短縮操作の開始が指令され、短縮指令スイッチ52から指を離してオフすると、短縮操作用の周波数の無線信号の送信が終了して短縮操作の停止が指令される。
従って、伸長指令スイッチ51と短縮指令スイッチ52とにより伸縮操作用の指令操作具を構成する。
【0036】
排出スイッチ49を指で押し操作してオンすると、排出指令に対応した排出用の周波数の無線信号が送信されることで排出用操作の開始が指令され、排出スイッチ49から指を離してオフすると、前記排出用の周波数の無線信号の送信が終了して排出用操作の停止が指令されることになる。
排出停止スイッチ50を指で押し操作してオンすると、排出停止指令に対応した排出停止用の周波数の無線信号が送信されて排出停止用操作の開始が指令され、排出停止スイッチ50から指を離してオフすると、排出停止用の周波数の無線信号の送信が終了して排出停止用操作の停止が指令される。
従って、排出スイッチ49と排出停止スイッチ50とにより切り換え操作用の指令操作具を構成する。
【0037】
尚、自動スイッチ47については、指で押し操作してオンすると、目標旋回位置に向けてオーガ9を自動で移動させる操作の開始が指令されるが、指を離してオフしても、オーガ9が目標旋回位置に移動するまでは自動移動操作の停止が指令されることはない。その移動中に移動停止させるときは、移動停止スイッチ48を指で押し操作してオンすることによって停止させることになる。
【0038】
そして、機体側には、前記無線式操作装置42から送信される電波による無線信号を受信する受信アンテナ57及び受信器58が備えられるとともに、受信した信号をその受信周波数に応じていずれの指令情報であるかを判別して、その指令情報に対応する制御用信号に変換する信号処理装置59が備えられている。
又、前記受信アンテナ57及び受信器58は、図1、図2に示すように、オーガ9の基端部で旋回中心(縦軸芯P2)の近傍に備えられている。
【0039】
図9に示すように、マイクロコンピュータ利用の制御装置Hが設けられ、その制御装置Hに、前記旋回位置検出センサRy、前記上限スイッチ14、前記機体側の操作部20の各指令スイッチS1、S2、S3、S4、前記自動スイッチ21、前記停止スイッチ22、前記排出位置設定ボリューム23、及び前記クラッチ入切スイッチ24の各信号が電線を通して入力され、前記各指令スイッチの操作に対応する制御を実行するように構成されている。
【0040】
オーガ9の異なる旋回作動に対する制御構造について説明する。
前記したオーガ9を旋回させる構成としては、無線式操作装置42に設けた左右旋回指令スイッチ45,46、または、運転部の操作部20に設けてある左右旋回指令スイッチS3、S4によって行う構成を採っていた。
【0041】
これに対して、本発明においては、次ぎのような制御を行い、その制御を行うためのスイッチ構成を採っていた。つまり、図7及び図8に示すように、近接旋回スイッチ61によって旋回指令情報が発せられた場合には、受信アンテナ57で受け取った受信情報に基づいて、前記指令情報が発信された方向を特定し、その方向に向けて前記オーガ9を近接旋回作動させ、穀粒排出口10を運搬車60等の荷台上に位置させるように制御する。
【0042】
上記のような制御を行わせるについて、無線式操作装置42に次ぎのような押ボタンスイッチを設けてある。つまり、図7及び図8に示すように、左右旋回操作スイッチ45,46の間に前記近接旋回作動を促す近接旋回スイッチ61を備えている。
つまり、無線式操作装置42を持った操縦者が運搬車60の近くに位置して前記した近接旋回スイッチ61を操作すると、オーガ9の基端部に設けた受信アンテナ57で指令情報を受取り、受信した情報に基づいて信号処理装置59及び制御装置Hによって操縦者(無線式操作装置)の位置する方向を特定する。操縦者が位置する方向が特定されると、その方向に旋回作動させるように、オーガ9を起動する。
【0043】
ここで、オーガ9を検出方向に向けて起動させる際に、操縦者の位置を検出する必要があるが、その検出構造は次ぎのようになっている。つまり、受信アンテナ57の性能を指向性の強いものにする。広範囲に亘って受信性能の高いアンテナであると、発信方向を特定でき難いからである。そして、図12に示すように、この指向性の強い受信アンテナ57であっても、広範囲に指令情報を検出すべく、受信アンテナ57を駆動モータ57Aで旋回作動させる。この受信アンテナ57に対しては、受信時の向きを検出する検出センサ62を設け、受信アンテナ57がどの回転位相にある状態で、指令情報を受信したかを検出することにする。
【0044】
以上のような構成により、オーガ9を旋回作動させるべく、無線式操作装置42から操作指令が発せられると、旋回中の受信アンテナ57が操作指令を受信し、その受信信号に基づいて検出センサ62の検出値から操縦者の位置する方向を特定する。この方向が特定できたならば、その方向に向けてオーガ9を旋回作動させる。ここに、検出センサ62としては、受信アンテナ57の回転位置を0°〜360°の角度として測定できる回転型ポテンショメータを使用する。
【0045】
オーガ9を旋回後停止させる制御を行うについては、次ぎのような方法がある。オーガ9を旋回作動させる前に受信アンテナ57を旋回作動させて操縦者の位置する方向を検出しているので、その検出値を利用して、その検出値とオーガ9の旋回位置検出センサRYからの検出値とから偏差を求め、その偏差を解消する位置(方向)まで、オーガ9を作動させればよい。
【0046】
別の停止制御を行う方法としては、前記受信アンテナ57は指向性の強いものであるので、オーガ9の軸芯方向と同一向きで固定し、オーガ9の旋回作動とともに受信アンテナ57が受信向きを変更するように構成する。これによって、旋回角が大きくなるにつれて受信強度が高くなり、最高の受信強度を示す方向で旋回作動を停止させるようにする。
このような制御形態を採ることによって、操縦者が前記オーガ9を旋回作動させるについて旋回させるべき方向の選択に迷いを生じなくなることとなる。
そして、制御装置Hには、無線式操作装置42から送信される指令情報が信号処理装置59を介して入力される構成となっており、制御装置Hは、無線式操作装置42からの指令に基づいて制御する場合に、旋回操作の開始に対応する信号が動作開始用の設定時間以上継続して入力されると旋回モータM3の動作を開始させ、前記旋回操作の停止に対応する信号が、前記動作開始用の設定時間よりも長い時間として設定された動作停止用の設定時間以上継続して入力されると、旋回モータM3の動作を停止させるように構成されている。
【0047】
又、前記制御装置Hは、昇降操作の開始に対応する信号が動作開始用の設定時間以上継続して入力されると昇降用油圧シリンダ15の動作を開始させ、前記昇降操作の停止に対応する信号が、前記動作開始用の設定時間よりも長い時間として設定された動作停止用の設定時間以上継続して入力されると、昇降用油圧シリンダ15の動作を停止させるように構成されている。
更に、伸縮操作の開始に対応する信号が動作開始用の設定時間以上継続して入力されると伸縮モータM1の動作を開始させ、前記伸縮操作の停止に対応する信号が、前記動作開始用の設定時間よりも長い時間として設定された動作停止用の設定時間以上継続して入力されると、伸縮モータM1の動作を停止させるように構成されている。
又、排出クラッチ13の切り換え操作の開始に対応する信号が動作開始用の設定時間以上継続して入力されるとクラッチモータM2の動作を開始させ、前記切り換え作の停止に対応する信号が、前記動作開始用の設定時間よりも長い時間として設定された動作停止用の設定時間以上継続して入力されると、クラッチモータM2の動作を停止させるように構成されている。
【0048】
以下、前記無線式操作装置42からの指令に基づく旋回操作、昇降操作、伸縮操作、及び、排出クラッチ13の切り換え操作についての制御装置Hの動作について具体的に説明する。
すなわち、制御装置Hは、前記信号処理装置59から入力される制御用信号に基づいて、無線式操作装置42に備えられる各スイッチの夫々について、図10及び図11に示すような状態判定処理を実行して、各スイッチの操作状態を判別する。このような状態判定処理は設定短時間(例えば、数msec)毎に繰り返し行われることになる。
【0049】
この状態判定処理について説明すると、該当するスイッチの操作に対応する周波数の信号が入力されているか否かを判別し(ステップ1)、前記信号が入力されていることが判別され、しかも、計時用のカウンタをカウントアップして、カウンタのカウント値が40msec以上になり、スイッチの操作に対応する周波数の信号が入力されている状態が40msec以上継続していれば、このスイッチはオンであると判別すると共に、計時用のカウンタをカウント値が240msecに対応する値になるようにセットする(ステップ2〜5)。
そして、前記信号が入力されていないことが判別されると、カウンタのカウント値が「0」でなければ、カウンタをカウントダウンして、カウント値が40msecより小さい値になると、スイッチがオフであると判別する(ステップ6〜9)。尚、初期状態等のようにカウント値が「0」であればカウントダウンすることなく、スイッチがオフであると判別することになる。
【0050】
そして、制御装置Hは、前記各スイッチの状態判定処理の判別結果に基づいて、その判別結果に対応する動作を実行する。
すなわち、上昇指令スイッチ43がオンであると判別すると昇降用油圧シリンダ15によるオーガ9の上昇操作を実行し、上昇指令スイッチ43がオフであると判別すると昇降用油圧シリンダ15による上昇操作を停止させ、下降指令スイッチ44がオンであると判別すると昇降用油圧シリンダ15によるオーガ9の下降操作を実行し、下降指令スイッチ44がオフであると判別すると昇降用油圧シリンダ15による下降操作を停止させる。
右旋回指令スイッチ46がオンであると判別すると旋回モータM3によるオーガの右旋回操作を実行し、右旋回指令スイッチ46がオフであると判別すると旋回モータM3による右旋回操作を停止させ、左旋回指令スイッチ45がオンであると判別すると旋回モータM3によるオーガの左旋回操作を実行し、左旋回指令スイッチ45がオフであると判別すると旋回モータM3による左旋回操作を停止させる。
【0051】
又、伸長指令スイッチ51がオンであると判別すると伸縮モータM1によるオーガ9の伸長操作を実行し、伸長指令スイッチ51がオフであると判別すると伸縮モータM1による伸長操作を停止させ、短縮指令スイッチ52がオンであると判別すると伸縮モータM1によるオーガ9の短縮操作を実行し、短縮指令スイッチ52がオフであると判別すると伸縮モータM1による短縮操作を停止させる。
そして、排出スイッチ49がオンであると判別するとクラッチモータM2による排出クラッチ13の入り状態への切り換え操作を実行し、排出スイッチ49がオフであると判別するとクラッチモータM2による排出クラッチ13の入り状態への切り換え操作を停止させ、排出停止スイッチ50がオンであると判別するとクラッチモータM2による排出クラッチ13の切り状態への切り換え操作を実行し、排出停止スイッチ51がオフであると判別するとクラッチモータM2による排出クラッチ13の切り状態への切り換え操作を停止させる。
【0052】
しかも、上記したような状態判定処理を実行することで、例えば、スイッチがオン操作されるときには、制御装置Hは、信号入力状態が40msec以上継続すると、スイッチがオンであると判別する。そして、スイッチがオフ操作されるときには、制御装置Hは、その信号が入力されない状態が約200msec以上継続すると、スイッチがオフであると判別することになる。従って、40msecが動作開始用の設定時間t1に対応し、200msecが動作停止用の設定時間t2に対応する。尚、このような40msec、200msecという数値は例示であって、動作開始用の設定時間t1及び動作停止用の設定時間t2としては、このような数値に限定されるものではない。
【0053】
その結果、図11に示すように、例えば右旋回指令スイッチ46がオン操作され、旋回モータM3が右旋回操作を実行しているときに、無線式操作装置42から送信される電波が一時的に途切れて入力信号が途絶える異常部分Gがあっても、それが200msec以上継続することがなければ、制御装置Hはスイッチがオフであると判別することはないので、作業者が右旋回指令スイッチ46を押し操作しているにもかかわらず、旋回モータM3が途中で停止する等のおそれがない。尚、図11では、右旋回指令スイッチ46だけを示しているが、他のスイッチの操作についても同様に、電波が一時的に途切れることがあっても、制御装置Hはスイッチがオフであると判別することはない。
【0054】
穀粒タンク70の別構造について説明する。図13(イ)(ロ)に示すように、穀粒タンク70の底部70Aで底部スクリュコンベア71の脱穀部存在側に外部に連通する内抜き孔を形成した底板70bを水平姿勢に設定した容量拡大部70Bを形成する。底板70bの上方で容量拡大部70B内に、上下一対の揺動開閉仕切板70c、70dを設けてある。
下揺動開閉仕切板70dは、下端を底板70bに前後軸回りで上下揺動自在に軸支されるとともに、バネ72によって上向きに付勢されている。一方、上揺動開閉仕切板70cは、上端を側板70eに前後軸周りで上下揺動自在に軸支されるとともに、先端部を下揺動開閉仕切板70dの先端部に重なる状態に配置されており、先端部にゴム板70fを取付けられて、上下揺動開閉仕切板70c、70dの先端部同士の重なり代の隙間からの漏れ出しを阻止する構成が採られている。
【0055】
上下揺動開閉仕切板70c、70dの先端部同士はバネ72によって互いに斜め向き姿勢に規制されて重なり代を持って配置してあり、貯留穀物の貯留量が少なく荷重が小さい場合には、上下揺動開閉仕切板70c、70dの先端部同士が重なり代を持った斜め姿勢に維持される。貯留量が多くなり重量が重くなると、バネ72付勢力に抗して上下揺動開閉仕切板70c、70dが下向きに揺動し、収納容量を拡大させる。
【0056】
穀粒タンク80の別構造について説明する。図14(イ)(ロ)に示すように、底部スクリュウコンベア81の上部に配置された庇部82の上方に中央仕切板80Aを立設するとともに、中央仕切板80Aで脱穀部側収納室aと横外側方側収納室bとに区分けし、中央仕切板80Aの上方に揺動弁体80Bを天井板80Cに取り付けてある。脱穀部側収納室aの上端近くには、脱穀部4から排出された穀粒を持ち上げ搬送する揚穀スクリュ83の上端部が連結してあり、揚穀スクリュ83で持ち上げられた穀粒は、揚穀スクリュ83の上端の回転羽根83Aによって収納室a内に放擲される構成となっている。
前記した揺動弁体80Bは、下端部を中央仕切板80Aの上端に持たせかけてあり、自重で中央仕切板80Aの上端と天井板80Cとの間に形成された連通開口部cを閉塞する状態に付勢されている。
【0057】
上記したような構成によって、図14(イ)に示すように、揺動弁体80Bで仕切られているために、回転羽根83Aで放擲される穀粒は、脱穀部側収納室aに収納される。収納が進んで穀粒が中央仕切板80Aの上端を越える位置までくると、図14(ロ)に示すように、回転羽根83Aから放擲された穀粒や中央仕切板80Aの上端を越えた穀粒が揺動弁体80Bを押し開いて横外側方側収納室bに貯留が行われるようになる。
【0058】
以上のように、中央に仕切板80Aを設け揺動弁体80Bを設けることによって、貯留量の少ない間は、先行して脱穀部側収納室aに収納されることとなり、機体の左右重量バランスを大きく崩さない構成とすることができる。つまり、脱穀部側収納室aは横外側方側収納室bに比べて機体の左右中心に近い方にあるところから、横外側方側収納室bに先行して貯留される場合に比べて機体の左右重量バランスを大きく崩すことの無い機能に貢献していることとなる。
【0059】
〔別実施形態〕
(1) 動作指令を発するのに、上記構成では、電波を利用したものを説明したが、ここでは、光を利用したものについて説明する。図15に示すように、受信アンテナ57の代わりに、複数個の受光素子90Aを円弧状に配置した受光センサ90をオーガ9の基端部に取り付ける。受光素子90Aの取付範囲としては、180°を超える位が適当であると考える。これに対して、操作装置42としては、LED、赤外線ランプ等の発光素子42Aを備えたものを準備する。
このような構成によって、受光した素子90Aから操作装置42の位置を割り出し、前記したオーガ9の回転位相の検出結果から、オーガ9を旋回作動させる。
このように、光を受光してセンサ機能を発揮するものも、本願発明においては、受信アンテナ57の技術的範囲に含まれると考える。
【0060】
(2)上記実施形態では、前記穀粒排出用オーガが、伸縮用アクチュエータとしての伸縮モータにより伸縮操作自在に構成され、無線式の指令手段が、穀粒排出用オーガの伸縮操作を無線信号にて指令するように構成されたものを例示したが、このような構成に代えて、伸縮用アクチュエータを備えない構成としてもよい。
【0061】
(3)上記実施形態では、旋回用アクチュエータ、伸縮用アクチュエータ、排出用アクチュエータを夫々電動モータにて構成し、昇降用アクチュエータを油圧シリンダにて構成したが、これに限るものではなく、例えば、旋回用アクチュエータ、伸縮用アクチュエータ、及び、排出用アクチュエータとして油圧モータを用いたり、昇降用アクチュエータとして電動モータや電動シリンダ等を用いる構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】コンバインの全体側面図
【図2】コンバインの全体平面図
【図3】オーガ先端側の縦断側面図
【図4】オーガの縦断正面図
【図5】オーガの旋回及び昇降の操作構成を示す要部拡大側面図
【図6】機体側の操作部の平面図
【図7】無線式操作装置の斜視図
【図8】無線式操作装置のブロック図
【図9】制御ブロック図
【図10】制御動作のフローチャート
【図11】タイミングチャート
【図12】受信アンテナの回転構造を示す斜視図
【図13】穀粒タンクの底部に容量拡大部を形成した別実施形態を示す縦断正面図
【図14】穀粒タンクの二段階収納構造を有する別実施形態を示す縦断正面図
【図15】受光センサをオーガの基端部に取り付けた別実施形態を示す平面図
【符号の説明】
【0063】
9 穀粒搬出装置
42 無線式操作装置
43、44 昇降操作スイッチ
45、46 旋回操作スイッチ
49、50 切り換え操作スイッチ
57 受信アンテナ
61 近接旋回スイッチ
H 制御手段
M3 旋回用アクチュエータ
V 機体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回用アクチュエータにより機体に対して旋回操作自在に構成してある穀粒搬出装置と、
前記穀粒搬出装置に対する指令情報を発する手動操作式の指令手段と、
前記指令情報に基づいて、前記アクチュエータの動作を制御する制御手段とを備えているコンバインにおける穀粒搬出装置の操作装置であって、
前記指令手段を、前記指令情報を無線信号にして発する無線式指令手段として構成し、
前記無線信号を受け取る受信アンテナを設け、
前記受信アンテナで受け取った受信情報に基づいて、前記指令情報が発信された方向を特定し、その方向に向けて前記穀粒搬出装置を旋回作動させるように、前記制御手段を作動させる近接旋回スイッチを前記指令手段に備えているコンバインにおける穀粒搬出装置の操作装置。
【請求項2】
前記指令手段に、左旋回または右旋回指令を発する旋回用スイッチを装備してある請求項1記載のコンバインにおける穀粒搬出装置の操作装置。
【請求項3】
前記手動操作式の指令手段で、前記穀粒搬出装置の、昇降操作、及び、穀粒排出状態と排出停止状態との切り換え操作を行うべく、
前記指令手段に昇降操作スイッチ、及び、穀粒排出状態切換スイッチとを備えている請求項1または2記載のコンバインにおける穀粒搬出装置の操作装置。
【請求項4】
前記受信アンテナを前記穀粒搬送装置の旋回中心またはその近傍に装備してある請求項1〜3のうちのいずれか一つに記載のコンバインにおける穀粒搬出装置の操作装置。
【請求項5】
前記受信アンテナが指向性の高いものであり、かつ、受信時には広角な範囲で旋回作動可能である請求項1〜4のうちのいずれか一つに記載のコンバインにおける穀粒搬出装置の操作装置。
【請求項1】
旋回用アクチュエータにより機体に対して旋回操作自在に構成してある穀粒搬出装置と、
前記穀粒搬出装置に対する指令情報を発する手動操作式の指令手段と、
前記指令情報に基づいて、前記アクチュエータの動作を制御する制御手段とを備えているコンバインにおける穀粒搬出装置の操作装置であって、
前記指令手段を、前記指令情報を無線信号にして発する無線式指令手段として構成し、
前記無線信号を受け取る受信アンテナを設け、
前記受信アンテナで受け取った受信情報に基づいて、前記指令情報が発信された方向を特定し、その方向に向けて前記穀粒搬出装置を旋回作動させるように、前記制御手段を作動させる近接旋回スイッチを前記指令手段に備えているコンバインにおける穀粒搬出装置の操作装置。
【請求項2】
前記指令手段に、左旋回または右旋回指令を発する旋回用スイッチを装備してある請求項1記載のコンバインにおける穀粒搬出装置の操作装置。
【請求項3】
前記手動操作式の指令手段で、前記穀粒搬出装置の、昇降操作、及び、穀粒排出状態と排出停止状態との切り換え操作を行うべく、
前記指令手段に昇降操作スイッチ、及び、穀粒排出状態切換スイッチとを備えている請求項1または2記載のコンバインにおける穀粒搬出装置の操作装置。
【請求項4】
前記受信アンテナを前記穀粒搬送装置の旋回中心またはその近傍に装備してある請求項1〜3のうちのいずれか一つに記載のコンバインにおける穀粒搬出装置の操作装置。
【請求項5】
前記受信アンテナが指向性の高いものであり、かつ、受信時には広角な範囲で旋回作動可能である請求項1〜4のうちのいずれか一つに記載のコンバインにおける穀粒搬出装置の操作装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−43939(P2007−43939A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−230905(P2005−230905)
【出願日】平成17年8月9日(2005.8.9)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月9日(2005.8.9)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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