説明

コンバイン

【課題】簡単な構成で穀粒タンク自体を上昇させて、穀粒タンクに貯溜された穀粒を傷つけることなく外部に排出できるようにする。
【解決手段】機体フレーム2上に穀粒を貯溜する穀粒タンク4を備えたコンバインにおいて、前記穀粒タンク4の底部に開閉式の排出口4bを設けるとともに、該穀粒タンク4の前後両側にガイドフレーム26・26を配設し、該ガイドフレーム26・26に沿って穀粒タンク4をアクチュエータ29により上下昇降可能に構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収穫機、特に、コンバインに搭載される穀粒タンク自体を上昇させて穀粒を傷つけることなく排出できるようにする構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバインにおいては、機体フレーム上に穀粒タンクとともに穀粒強制排出装置が設けられ、該穀粒強制排出装置により穀粒タンクに貯溜された脱穀済みの穀粒を外部に排出するように構成されていた。しかし、前記穀粒強制排出装置を用いての排出作業では、スクリュー式で搬送距離も長い排出オーガが用いられるため、排出時間が長くなるとともに、大豆のように、穀粒が軟らかい上に土などの異物が混入しやすい豆類の場合には、穀粒が傷つきやすく、穀粒品質の低下を招くといった問題もあった。そこで、穀粒強制排出装置を設けずに、穀粒タンクを機体フレームから上方に持ち上げて、側板に設けた排出口から穀粒を自然流下させて外部に排出する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−61452号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、前記特許文献1に示される技術では、排出作業時に穀粒で満杯になった穀粒タンクを機体フレーム上方へ高く上昇させる必要があるため、機体の重心が上方へ移動して左右一側へ偏るため、傾斜地での排出作業や排出時に側方へ力を加えるだけで機体が転倒する恐れがあった。また、穀粒タンクを昇降させる構成が複雑なものとなっていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0005】
即ち、請求項1においては、機体フレーム上に穀粒を貯溜する穀粒タンクを備えたコンバインにおいて、前記穀粒タンクの底部に開閉式の排出口を設けるとともに、該穀粒タンクの前後両側にガイドフレームを配設し、該ガイドフレームに沿って穀粒タンクをアクチュエータにより上下昇降可能に構成したものである。
【0006】
請求項2においては、前記グレンタンクを回動しながら略直上方に移動可能に構成した請求項1に記載のコンバインものである。
【0007】
請求項3においては、前記グレンタンクの底板を開閉可能に構成したものである。
【0008】
請求項4においては、前記グレンタンクの底板の下方に回動可能に排出口桶を枢支して配置し、該排出口桶を穀粒タンク外側と底板下方とに回動可能に構成したものである。
【0009】
請求項5においては、前記機体フレームにアウトリガを備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0011】
請求項1においては、機体フレーム上に穀粒を貯溜する穀粒タンクを備えたコンバインにおいて、前記穀粒タンクの底部に開閉式の排出口を設けるとともに、該穀粒タンクの前後両側にガイドフレームを配設し、該ガイドフレームに沿って穀粒タンクをアクチュエータにより上下昇降可能に構成したことから、穀粒タンクに穀粒が貯溜された状態において、穀粒タンクを上昇させることで、排出口から穀粒を外部に排出することができる。したがって、排出オーガを備える穀粒排出装置が不要となり、穀粒の搬送時に生じる恐れのある穀粒の損傷を防止することができる。また、簡単な構成で、転倒防止を図りながら穀粒タンクを上昇させて、穀粒の排出作業を行うことができる。
【0012】
請求項2においては、前記グレンタンクを回動しながら略直上方に移動可能に構成したことから、穀粒タンクを上昇させたときに、穀粒タンクを横方向に配置することができるので、機体の全高を抑えることができる。また、重心移動量が比較的小さくなり、穀粒タンク上昇時における機体の転倒を防止できる。
【0013】
請求項3においては、前記グレンタンクの底板を開閉可能に構成したことから、穀粒タンクの底部を排出口として、穀粒の排出時間の短縮を図ることができる。
【0014】
請求項4においては、前記グレンタンクの底板の下方に回動可能に排出口桶を枢支して配置し、該排出口桶を穀粒タンク外側と底板下方とに回動可能に構成したことから、穀粒タンクを上昇させて排出作業を行う場合には、底板上から流下する穀粒を桶で漏れ落ちないように案内しながら搬送用容器に排出できる。また、走行時や収穫作業時などには、桶はグレンタンク下方に収納できるので、邪魔になることがない。
【0015】
請求項5においては、前記機体フレームにアウトリガを備えたことから、穀粒タンクを上昇させて排出作業を行う場合に、該アウトリガによる固定状態に移行して、機体の転倒防止を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の一実施例に係るコンバインの側面図、図2は同じく後面図、図3は制御回路図、図4は別実施例のコンバインの後面図、図5は別実施例のコンバインの後面図、図6は排出口桶の構成を示す図、図7は別実施例のコンバインの後面図である。
【0017】
まず、本発明の一実施例に係るコンバインの全体構成について説明する。
図1、図2に示すように、クローラ式走行装置1上には機体フレーム2が戴置され、該機体フレーム2上に脱穀部3が搭載されている。脱穀部3の側方には穀粒タンク4が搭載され、該穀粒タンク4の前方に運転部5が配設されている。
【0018】
また、脱穀部3の前方には刈取部6がフィーダハウス7を介して連設されている。刈取部6においては、前記フィーダハウス7の前部に連結されたプラットホーム8やプラットホーム8内部に左右方向に支承された横送りオーガ9、横送りオーガ9の前下部に横設された刈刃10、プラットホーム8の左右両側前端に配設された分草板11、プラットホーム8上方に設けられた掻込リール12などが備えられ、掻込リール12で掻き込まれ、刈刃10により刈り取られた穀稈が、横送りオーガ9によりプラットホーム8に連結されたフィーダハウス7へ送られた後、フィーダハウス7内に配設されたコンベアを介して脱穀部3に搬送されて脱穀処理されるように構成されている。
【0019】
さらに、前記脱穀部3の下方には、揺動選別装置13が配置されている。揺動選別装置13の下方には一番コンベア14が横設され、該一番コンベア14の終端部に揚穀コンベア15が連通されて脱穀部3と穀粒タンク4との間において立設されている。
【0020】
前記揚穀コンベア15においては、その上下部に軸支されたスプロケット16・17間にコンベアチェーン18が巻回され、該コンベアチェーン18上に複数のバケット19・19・・・が列設されている。前記揺動選別装置13で選別された一番物などの穀粒は揚穀コンベア15下部の円弧状の受部に収納され、該受部に収納された穀粒がコンベアチェーン18上のバケット19により掬い上げられ、そのまま揚穀コンベア15の上部まで搬送されるようになっている。
【0021】
前記揚穀コンベア15の上部は連結パイプ20を介して穀粒タンク4に連通され、該穀粒タンク4に搬送されてきた穀粒が、回転するレベリングディスク(図示せず)などで弾き飛ばされて、穀粒タンク4内に均一に分散され均等に貯留されるようになっている。
【0022】
次に、穀粒タンクの構成について、図1と図2を用いて説明する。
前記穀粒タンク4は略直方体形状に形成されており、その機体左右中央側の側板の上部に前記連結パイプ20に接続された投入口4aが設けられ、前後摺動可能に構成された開閉板21により開閉可能に構成されている。すなわち、側板の投入口4aの近傍にアクチュエータとしてシリンダ(又はモータ)22が配設され、該シリンダ22に前記開閉板21が接続されて、該シリンダ22の伸縮作動により開閉板21が摺動して投入口4aが開閉されるようになっている。
【0023】
また、前記穀粒タンク4の底板の機体左右中央側に排出口4bが設けられ、前後摺動可能に構成された開閉板23により開閉可能に構成されている。すなわち、底板の排出口4bの近傍にアクチュエータとしてシリンダ(又はモータ)24が配設され、該シリンダ24に前記開閉板23が接続され、該シリンダ24の伸縮作動により開閉板23が摺動して排出口4bが開閉されるように構成されている。なお、前記シリンダ22・24の伸縮作動による投入口4a及び排出口4bの開閉は、運転部5に配設される開閉スイッチ(レバー)の操作により行われる。また、排出口4bには案内樋を配置してもよい。
【0024】
また、前記穀粒タンク4は、ガイドフレーム26・26で案内されながら昇降するように構成されている。ガイドフレーム26・26は穀粒タンク4の機体左右中央側の前後両側に配置され、機体フレーム2上に鉛直方向に立設されている。前後の各ガイドフレーム26の上部は、穀粒タンク4の投入口4a付近で僅か、つまり、上昇時に穀粒タンク4への投入口4aと干渉しない長さ、更に詳しくは、連通パイプ20が側方に突出した長さだけ外側上方に折曲され、次に鉛直上方向に延出された後、揚穀コンベア15上端よりも上方で機体左右中央側上方に折曲されている。そして、該ガイドフレーム26の上部において、フレームの外形状に沿って長孔(又は溝)26aが開口され、前側のガイドフレーム26の長孔26aに穀粒タンク4の前側の側板の上部から前方に上下平行に突出された支軸27・28が摺動可能に挿入され、同様に後側のガイドフレーム26の長孔26aに穀粒タンク4の後側の側板の上部から後方に上下平行に突出された支軸27・28が摺動可能に挿入されて、穀粒タンク4の機体左右中央側の上部がガイドフレーム26・26に支持されている。穀粒タンク4の下部は図示しないタンク台上に支持されている。
【0025】
さらに、前記穀粒タンク4と機体フレーム2との間には、アクチュエータとして油圧シリンダ29・29が穀粒タンク4の前後両側に配置され、各油圧シリンダ29の一端部が機体フレーム2に固設されたブラケットに取り付けられ、該油圧シリンダ29のピストンロッドの一端部が穀粒タンク4の前後両側の側板の左右方向外側(進行方向右側)に取り付けられている。
【0026】
前記油圧シリンダ29は、図3に示すように、油路を介して切換バルブ31と接続され、該切換バルブ31が油圧ポンプ32と接続されている。切換バルブ31は電磁バルブより構成されており、該切換バルブ31を構成するソレノイド31aが制御装置33と接続されている。そして、制御装置33に運転部5に配置された操作スイッチ34が接続されて、該操作スイッチ34の操作により切換バルブ31を切り換えて油圧シリンダ29を伸縮作動させるように構成されている。
【0027】
このように構成することにより、操作スイッチ34を操作して油圧シリンダ29・29を伸長作動させると、穀粒タンク4の支軸27・28がガイドフレーム26に開口された長孔26aに沿って上方へと摺動する。このときシリンダ22を作動して開閉板21を閉じ、上昇初期は、穀粒タンク4は連通パイプ20との干渉を回避するべく僅かに外側上方に移動し、その後鉛直方向に上昇する。そして更に、支軸27が長孔26aに沿って機体左右中央側上方に摺動して上部の折り曲げ部に達すると、斜め機体中央側上方へ移動して、穀粒タンク4は図2において反時計回りに回動しながら上昇して、最上昇位置まで上昇すると穀粒タンク4は横に倒された状態、厳密には外側(右側)下がりの傾斜した状態となり、底板に開口した排出口4bが機体側方を向き最下位置となる。そして、搬送車81上に戴置した搬送用容器82を排出口4b下方に位置させ、この状態で開閉レバーを操作して開閉板23を摺動し、排出口4bを開くことで、穀粒タンク4内の穀粒が排出口4bから自然に流下し、排出用容器82に排出される。
【0028】
したがって、簡単な構成で穀粒タンク4を昇降させて該穀粒タンク4内の穀粒を短時間で排出することができ、従来穀粒タンクに使用されていた排出オーガを備える穀粒強制排出装置を不要として、排出オーガにより搬送時に生じる恐れのある穀粒の損傷を防止することができる。また、穀粒タンク4を上昇させて穀粒の排出作業を行うときに、穀粒タンク4は機体左右方向において、できるだけ機体から外側へ移動することなく上昇され、機体の左右方向の重心移動量が小さくなるので、転倒防止を図ることができる。さらに、前記穀粒タンク4は最上位置(排出位置)で、略横方向に回動されるため、排出作業時においても、機体の全高を抑えて機体の転倒を防止できる。
【0029】
ところで、前記穀粒タンク4の構成においては、図3に示すように、前記油圧シリンダ29と切換バルブ31とを接続する油路に油圧シリンダ29の油圧を検出する手段となる圧力センサ35が接続されている。また、油圧シリンダ29の伸縮作動を検出する手段となるストロークセンサ36が設けられ、これらの圧力センサ35とストロークセンサ36とがそれぞれ前記制御装置33に接続されている。そして、圧力センサ35とストロークセンサ36の検出値に基づいて得られる穀粒タンク4の移動量とタンク荷重とから機体の重心位置が測定され演算されるように構成されている。
【0030】
さらに、前記制御装置33には機体フレーム2上に設けた傾斜センサ37と警報器38とが接続され、該傾斜センサ37の検出値及び機体の重心位置から機体の転倒角が演算して比較されるように構成されている。そして、穀粒タンク4の上昇時において、このときの機体の転倒角になる前に警報器38により警報を発して穀粒タンク4の上昇を停止するように構成されて、機体の転倒防止が図られている。
【0031】
また、図4に示される構成では、機体左右外側の穀粒タンク4の前後両側において、機体フレーム2上に支持フレーム41・41がそれぞれ立設され、支持フレーム41・41の上部に穀粒タンク4の前後両側が支軸42により回動自在に枢支される。そして、穀粒タンク4と機体フレーム2との間において油圧シリンダ29・29が配置され、各油圧シリンダ29・29の一端部が機体フレーム2に固設されたブラケットに取り付けられ、該油圧シリンダ29・29のピストンロッドの一端部が穀粒タンク4の前側の側板、及び、後側の側板の機体左右外側端に取り付けられている。
【0032】
このように構成することにより、油圧シリンダ29を伸長作動させると、支軸42を中心として穀粒タンク4が図4において反時計回りに回動される。なおこのとき、穀粒タンク4底面と機体フレーム2の間に配置するタンク台は取り外すか、または、穀粒タンク4を一端上昇させてから回動する。そして、穀粒タンク4を略水平に回動した状態で、底板に開口した排出口4bの下方に、搬送用容器82を配置させ、この状態で開閉レバーを操作して開閉板23を回動し、穀粒タンクの排出口4bを開くことで、穀粒タンク4内の穀粒は排出口4bから自然に流下し、排出用容器82に排出されることになる。したがって、穀粒タンク4を上昇させて穀粒の排出作業を行うときに、機体の全高を抑えて転倒を防止することができる。
【0033】
また、図5に示される構成では、前記穀粒タンク4はその底板40を上下回動可能に構成して下部を開閉可能とすることで排出口4cを構成している。すなわち、穀粒タンク4の底板40は機体左右中央側、つまり、進行方向左側端に位置する前後方向の辺の部分が支軸52により回動自在に枢支されるとともに、アクチュエータとしてシリンダ51の一端が穀粒タンク4の前後の側板に配設され、該シリンダ51の他端が前記底板40の前後の下面に接続されて、該シリンダ51の伸縮作動により、支軸52を中心として底板40が上下方向に回動して、穀粒タンク4の機体左右外側、つまり、右側の下端が開閉して排出口4cが形成されるようになっている。該底板40の前後両側は穀粒タンク4の前後の側板の外面に合わせて上方に折り曲げられて遮蔽板40a・40aとし、底板40が下方に回動して排出口4cが開放された際に、穀粒タンク4内の穀粒が前後両側から漏れ落ちることなく、機体外側に配置された搬送用容器82に排出口桶55を介して流下するように構成されている。なお、排出口4cから流下する穀粒の流量は、底板40の回動量を調節することで可能となっており、シリンダ51の伸縮作動による底板40の回動は、運転部5に配設される開閉レバーの操作により行われる。
【0034】
前記排出口桶55は、穀粒タンク4の外側と底板40下方とに回動可能に構成して取り付けられている。即ち、図6に示すように、排出口桶55は断面視凹状となるように前後両側を上方に折り曲げ、平面視台形状となるように排出口4cから先細り状として、排出口4cから流下する穀粒を前後中央側集めるようにして排出できるように構成されている。
【0035】
そして、穀粒タンク4下方において、底板40の裏面の機体左右外側に支軸57が前後方向に配置され、該支軸57に排出口桶55の一端が回動可能に支持されている。また、該排出口桶55の前側板及び後側板と穀粒タンク4の前後の側板との間にそれぞれバネ58・58が設けられ、該バネ58の付勢力により排出口桶55が穀粒タンク4側に回動するように付勢されている。つまり、排出作業時においては、排出口桶55を支軸57を中心として、図6(a)において反時計回りに回動すると、その底板が穀粒タンク4の底板40に当接して保持される。こうして排出口4cを開けると、排出口4cから底板40及び排出口樋55に沿って流下し、穀粒を搬送用容器82に案内することができる。逆に、排出作業時が終了すると、排出口4cを閉じて、排出口桶55を支軸57を中心として時計回りに回動して、底板40に当接してバネ58の付勢力で保持される。この状態では、排出口桶55は側方に突出せず、邪魔にならないように穀粒タンク4の下方に収納される。但し、排出口樋55は底板40に沿って外側方にスライドさせる構成することも可能である。また、排出口樋55は図2、図4の実施例に適用することも可能である。
【0036】
そして、前記穀粒タンク4は、上下一対のガイドフレーム60で案内されながら昇降するように構成されている。上下一対のガイドフレーム60・60は、穀粒タンク4の前後両側にそれぞれ配置され、それぞれ機体フレーム2上に立設された支持フレーム61・61に固設され、その先端部が外側上方に延出されている。また、ガイドフレーム60にはフレームの外形状に沿って長孔(又は溝)60aが開口され、該長孔60aに穀粒タンク4の前側及び後側の側板に突設された支軸62・63がそれぞれ摺動可能に挿入されている。こうして、穀粒タンク4がガイドフレーム60に支持されている。
【0037】
前記穀粒タンク4と機体フレーム2(又は前後のガイドフレーム60・60)との間には、それぞれアクチュエータとして油圧シリンダ29・29が配置され、該油圧シリンダ29の一端部が機体フレーム2に固設されたブラケットに取り付けられ、該油圧シリンダ29のピストンロッドの一端部が前後の側板に取り付けられている。なお、油圧シリンダ29の伸縮作動による穀粒タンク4の昇降は、前述のごとく操作スイッチ34の操作により行われる。
【0038】
また、機体フレーム2にはアウトリガ65が左右方向に摺動可能に設けられている。該アウトリガ65は、油圧シリンダ29の前記制御装置33に接続され、油圧シリンダ29が伸長作動する前に、傾斜センサ37の検出値に基づいて所定量外側側方に延出されて、機体の姿勢を制御するように構成されている。こうして、穀粒タンク4の上昇時における機体の転倒防止が図られている。
【0039】
このように構成することにより、操作スイッチ34を操作して油圧シリンダ29を伸長作動させると、穀粒タンク4の支軸62・63がガイドフレーム60に開口された長孔60a内を摺動して、穀粒タンク4がガイドフレーム60に沿って外側上方に上昇させる。そして、搬送用容器82を排出口4cの下方に位置させ、この状態で排出口4cの開閉レバーを操作して底板40を下方に回動し、排出口4cを開くことで、穀粒タンク4内の穀粒は排出口4bから自然に流下し、排出口桶55を介して排出用容器82に排出される。なお、底板40の回動量を調節することで、排出口4cから流下する穀粒の流量は調整可能とされている
【0040】
したがって、簡単な構成で穀粒タンク4を昇降させて該穀粒タンク4内の穀粒を傷つけることなく排出することができる。また、前記穀粒タンク4の底板40を回動して、底部から穀粒を排出可能に構成したので、穀粒を穀粒タンク4から更に短時間で外部に排出することができる。
【0041】
また、図7に示される構成では、前記穀粒タンク4は、多段式に構成された支持フレーム70に沿って昇降可能に構成されている。支持フレーム70は、本実施例では、第一フレーム71と第二フレーム72と第三フレーム73とから三段式に構成され、機体フレーム2に立設される第三フレーム73に第一フレーム71及び第二フレーム72が収納可能とされている。即ち、第一フレーム71と第二フレーム72と第三フレーム73をそれぞれパイプ状に構成して、第一フレーム71は第二フレーム72より若干小径として収納できるようにし、第二フレーム72は第三フレーム73より若干小径として収納できるようにするのである。支持フレーム70は穀粒タンク4の前後左右両側にそれぞれ配置され、前後の支持フレーム70・70が第一フレーム71上端に固設された連結フレーム74で連結されている。そして、該連結フレーム74の中央に穀粒タンク4が固定され、前後両端と機体フレーム2との間に油圧シリンダ29・29が設けられている。但し、四隅に油圧シリンダ29を配置する構成とすることもできる。
【0042】
これにより、油圧シリンダ29を伸長作動させると、支持フレーム70が第三フレーム73から第二フレーム72、第一フレーム71の順に上方に延出し、該支持フレーム70に沿って穀粒タンク4は直上方に上昇する。そして、排出口4cに設けた排出口樋55を側方に突出させることで、穀粒タンク4内の穀粒を排出口桶55を介してその下側方に配置した搬送用容器82に排出することが可能となる。また、油圧シリンダ29を収縮作動させると、第三フレーム73に第二フレーム72が収納されると同時に、該第二フレーム72に第一フレーム71が収納されて、支持フレーム70は収縮して穀粒タンク4と略同じ高さとなる。つまり、支持フレーム70は穀粒タンク4よりも上方に突出することがないので、走行時における機体の高さを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施例に係るコンバインの側面図。
【図2】同じく後面図。
【図3】制御回路図。
【図4】別実施例のコンバインの後面図。
【図5】別実施例のコンバインの後面図。
【図6】排出口桶の構成を示す図。(a)後面図。(b)側面図。
【図7】別実施例のコンバインの後面図。
【符号の説明】
【0044】
2 機体フレーム
4 穀粒タンク
4b 排出口
26 ガイドフレーム
28 油圧シリンダ
40 底板
55 排出口桶
65 アウトリガ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体フレーム上に穀粒を貯溜する穀粒タンクを備えたコンバインにおいて、前記穀粒タンクの底部に開閉式の排出口を設けるとともに、該穀粒タンクの前後両側にガイドフレームを配設し、該ガイドフレームに沿って穀粒タンクをアクチュエータにより上下昇降可能に構成したことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記グレンタンクを回動しながら略直上方に移動可能に構成した請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記グレンタンクの底板を開閉可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記グレンタンクの底板の下方に回動可能に排出口桶を枢支して配置し、該排出口桶を穀粒タンク外側と底板下方とに回動可能に構成したことを特徴とする請求項3に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記機体フレームにアウトリガを備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−14667(P2006−14667A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−195953(P2004−195953)
【出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】