コンバイン
【課題】防塵構造に吸着された塵埃を、操作タイミングに合せて除塵して、刈取り作業中におけるエンジンやオイルの冷却効率を向上する。
【解決手段】エンジンルーム11の中には、エンジン41と、該エンジン41の出力を受けて回転し、防塵構造12を通して外気を吸引し前記エンジンを冷却する冷却ファン42と、前記エンジン41の冷却水が循環するラジエータ43と、前記コンバイン1の油圧系統に供給されるオイルが循環するオイルクーラ45と、前記防塵構造12を通してエンジン室11内の空気を外部へ放出する除塵ファン47が配置される。コンバインの操作タイミング合せて、前記冷却ファン42を停止させると共に、駆動モータ46により除塵ファン47を作動させ、前記防塵構造12に付着する塵埃の除去を行う。
【解決手段】エンジンルーム11の中には、エンジン41と、該エンジン41の出力を受けて回転し、防塵構造12を通して外気を吸引し前記エンジンを冷却する冷却ファン42と、前記エンジン41の冷却水が循環するラジエータ43と、前記コンバイン1の油圧系統に供給されるオイルが循環するオイルクーラ45と、前記防塵構造12を通してエンジン室11内の空気を外部へ放出する除塵ファン47が配置される。コンバインの操作タイミング合せて、前記冷却ファン42を停止させると共に、駆動モータ46により除塵ファン47を作動させ、前記防塵構造12に付着する塵埃の除去を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、藁屑等の塵埃の多い環境で使用されるコンバインに係り、詳しくはエンジンに冷却風を供給する風路に介在させた防塵構造に吸着された塵埃を除去するようにしたコンバインにおける塵埃除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、網状のエンジンカバーで覆われたエンジンルーム内に、エンジン、吸気ファン、ラジエータ、オイルクーラ、電動ファンを配置し、前記吸気ファンの作動により前記エンジンカバーを通して前記エンジンルーム内に外気を取り込んで前記ラジエータ及びオイルクーラの冷却を行い、前記吸気ファンの停止に伴って、前記電動ファンを作動させ、前記エンジンカバーを通して前記エンジンルーム内の空気を外部に吹出させることにより、前記エンジンカバーに吸着された塵埃を除去するようにしたコンバインにおける塵埃除去装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、エンジンルームに、エンジン、ラジエータ、ファン、該ファンの回転方向を切換えるファン回転切換え機構、前記ラジエータへ供給する冷却風の風路に防塵網(エンジンカバー)を配置し、グレンタンクから穀粒を排出するタイミングで前記ファンの回転方向を切換えて、エンジンルーム内の空気を前記防塵網を通して外部に吹出させることにより、前記防塵網に付着する塵埃を除去するようにしたコンバインのエンジン冷却装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−153643号公報(第4−6頁、図2)
【特許文献2】特開2001−41038号公報(第5、6頁、図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コンバインは、穀稈の脱穀、選別、排藁処理を行うので、走行機体の後部から藁屑等多量の塵埃排出し、前記選別に利用される排塵風により排出した塵埃を巻き上げることが多い。前記各従来技術においては、オペレータの判断或いは一定時間ごとに電動ファン作動させ前記エンジンカバーの除塵を行っている。このため、コンバインの走行方向を変更する刈取りコーナ時における走行機体の後進時など、排塵風で巻き上げられた塵埃がエンジンカバーに吸着され易いタイミングで除塵できず、エンジンカバーの除塵を行った直後に、該エンジンカバーに除塵する前と同程度の塵埃を吸着させることがあり、刈取り作業中のエンジンやオイルの冷却効率を低下させることがあった。
【0006】
前記の事情に鑑み、本発明は、エンジンカバーに冷却風の風路に介在するように配置された防塵構造に冷却風によって吸着された塵埃を、コンバインの所定操作タイミングで除塵を行い、刈取り作業中におけるエンジンやオイルの冷却効率を向上させることができるコンバインを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、請求項1に係る本発明は、エンジン(41)及び脱穀装置(5)を搭載した走行機体(3)の前方に刈取り部(20)を昇降自在に支持し、前記エンジン(41)の動力を変速装置を介して走行装置(2、2)に伝達して前記走行機体(3)を走行すると共に、前記刈取り部を(20)を駆動してなる、コンバイン(1)において、
前記エンジン(41)に冷却風を供給する風路に防塵構造(12)を介在すると共に、該防塵構造(12)を除塵する除塵手段(47)を設け、
前記コンバインが作業状態か否かを判定する作業状態検出手段(82)を設け、
前記作業状態検出手段(82)により作業中であると判定されている間に、前記変速装置の所定操作タイミングに合せて前記除塵手段(47)を設定時間駆動してなる、
ことを特徴とするコンバインにある。
【0008】
請求項2に係る本発明は、前記変速装置の所定操作タイミングが、刈取り作業中における後進を検出した時である、
ことを特徴とする請求項1記載のコンバインにある。
【0009】
請求項3に係る本発明は、前記変速装置の所定操作タイミングが、刈取り作業中における後進を検出した後に前進を検出した時である、
ことを特徴とする請求項1記載のコンバインにある。
【0010】
請求項4に係る本発明は、エンジン(41)及び脱穀装置(5)を搭載した走行機体(3)の前方に刈取り部(20)を昇降自在に支持し、前記エンジン(41)の動力を変速装置を介して走行装置(2、2)に伝達して前記走行機体(3)を走行すると共に、前記刈取り部(20)を駆動してなる、コンバイン(1)において、
前記エンジン(41)に冷却風を供給する風路に防塵構造(12)を介在すると共に、該防塵構造(12)を除塵する除塵手段(47)を設け、
前記刈取り部(20)に設けた所定の穀稈センサ(25、26、27)を用いて刈取り作業の開始を判定する刈取り開始検出手段(82)を設け、
前記刈取り開始検出手段(82)により刈取り作業が開始されたと判定した時に、前記除塵手段を所定時間駆動してなる、
ことを特徴とするコンバインにある。
【0011】
なお、前記した括弧内の符号等は、図面を参照するためのものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る本発明によると、エンジンに冷却風を供給する風路に防塵構造を介在すると共に、該防塵構造を除塵する除塵手段を設け、コンバインが作業中である間に、変速装置の所定操作タイミングに合せて前記除塵手段を設定時間駆動するようにしたので、前記防塵構造に多量に塵埃が付着するタイミングで前記防塵構造の除塵を行うことができ、コンバインによる刈取り作業中におけるエンジンやオイルの冷却効率を向上させることができる。
【0013】
請求項2に係る本発明によると、変速装置の所定操作タイミングを、コンバインの刈取り作業中における後進を検出した時としたので、前記防塵構造に最も多量に塵埃が付着し易いタイミングで前記防塵構造の除塵を行うことができ、コンバインによる刈取り作業中におけるエンジンやオイルの冷却効率を向上させることができる。
【0014】
請求項3に係る本発明によると、変速装置の所定操作タイミングを、コンバインの刈取り作業中における後進を検出した後に前進を検出した時としたので、コンバインの後方から吹出す排塵風によって巻き上げられた塵埃が少なくなる位置で前記防塵構造の除塵を行うことができ、コンバインによる刈取り作業中におけるエンジンやオイルの冷却効率をより向上させることができる。
【0015】
請求項4に係る本発明によると、エンジンに冷却風を供給する風路に防塵構造を介在すると共に、該防塵構造を除塵する除塵手段を設け、刈取り部に設けた所定の穀稈センサの出力に基づいて刈取り作業の開始を検出した時に、前記除塵手段を所定時間駆動するようにしたので、コンバインの後部から吹出す排塵風に巻き上がられた塵埃の滞留が少ない位置で前記防塵構造の除塵を行うことができ、該防塵構造に対する塵埃の吸着を少なくして、コンバインによる刈取り作業中におけるエンジンやオイルの冷却効率をより一層向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
図1乃至図9は、本発明の実施の形態を示すもので、図1は、コンバインの側面図、図2は、コンバインの平面図、図3は、エンジンルーム内の機器の配置を示す背面図、図4は、冷却ファンの駆動系統を示すエンジンの右側面図、図5は、図4における伝動部の展開図、図6は、図4における冷却ファンの停止状態を示す動作説明図、図7は、図4における冷却ファンの駆動状態を示す動作説明図、図8は、制御装置のブロック線図、図9は、制御装置における制御手順を示すプログラムフローチャートである。
【0018】
図1及び図2に示すように、コンバイン1は、左右一対のクローラ走行装置2、2に支持された走行機体3を有し、該走行機体3の前方には、穀稈の刈り取りを行う刈取り部20が昇降自在に支持されている。前記走行機体3の左側には、前記刈取り部20で刈取られた穀稈から脱穀された脱穀物の中から穀粒を選別する揺動選別装置(図示せず)が設置され、その上部に前記刈取り部20で刈取られた穀稈の脱穀を行う脱穀装置5が支持され、該脱穀装置5に沿って穀稈を搬送するフィードチェーン6が配置されている。
【0019】
また、前記走行機体3の右側には、該走行機体の中央部から後部に向けて前記揺動選別装置で選別された穀粒を一時的に貯留するグレンタンク7と、該グレンタンク7内の穀粒を排出するオーガ8が配置されている。前記走行機体3の後部には、穀粒が脱穀された排藁を細断して圃場に排出する排藁処理装置10が配置されている。
【0020】
前記走行機体3の右側前記グレンタンク7の前方には、エンジンルーム11が配置され、その右側面に形成された開口部には、防塵網等で形成される防塵構造12を有するエンジンカバー13が開閉自在に支持されている。また、前記走行機体3の右側前部には、前記エンジンルーム11と前記刈取り部20の間に位置するように運転席30が配置されている。
【0021】
前記刈取り部20には、圃場に植付けられた穀稈の分草を行う複数のデバイダ21と、分草された穀稈の引起しを行う引起し装置22と、穀稈の刈り取りを行う刈刃23等のほか、前記引起し装置22に導入された穀稈の検出を行う穀稈(方向)センサ25と、前記引起し装置22の排出側で穀稈の株元側を検出する穀稈(株元)センサ26と、前記引起し装置22と前記フィードチェーン6との間で穀稈の長さを検出する穀稈(稈長検出)センサ27とが設置されている。
【0022】
前記運転室30には、前記コンバイン1の変速装置(図示せず)を操作して、該コンバイン1の前後進、速度等を操作する主変速レバー31と、前記刈取り部20の作動を切換える作業機・刈取りクラッチレバー32と、前記コンバイン1の走行方向と前記刈取り部20の昇降を操作する操向レバー33の他、前記コンバイン1の操作に必要な各種のレバー、スイッチ、ペダル等が配置されている。前記主変速レバー31の支持部には、該主変速レバー31の操作位置を検出する主変速レバーポテンショメータ83(図8参照)が設置されている。また、前記作業機・刈取りクラッチレバー32の支持部には、該作業機・刈取りクラッチレバー32の操作位置を検出する作業機クラッチスイッチ85(図8参照)が設置されている。
【0023】
図3に示すように、前記エンジンルーム11の中には、エンジン41と、該エンジン41の出力を受けて回転し、前記防塵構造12を通して外気を吸引し前記エンジンを冷却する冷却ファン42と、前記エンジン41の冷却水が循環するラジエータ43と、前記コンバイン1の油圧系統に供給されるオイルが循環するオイルクーラ45と、除塵ファン駆動モータ46に支持され、前記防塵構造12を通してエンジン室11内の空気を外部へ放出する除塵ファン47が配置されている。
【0024】
前記除塵ファン47を停止させた状態で、前記冷却ファン42が回転すると、前記防塵構造12を通して前記エンジンルーム11内に外気が吸入され前記オイルクーラ45、ラジエータ43を冷却し、更に前記エンジン41の外側を冷却する。また、前記冷却ファン42を停止させた状態で、前記除塵ファン47が回転すると、前記防塵構造12を通して前記エンジンルーム11内の空気を外部に放出することにより、前記冷却ファン42の吸引力により前記防塵構造12に付着した塵埃を吹飛ばし、該防塵構造12の除塵を行うことができる。即ち、前記除塵ファン47は、除塵手段を構成している。
【0025】
図4及び図5に示すように、前記エンジン41の外側には、オルタネータ50が配置され、その入力軸にはオルタネータプーリ51が固定されている。また、前記エンジン41の外側には、ウオータポンプ52が配置され、その入力軸にはウオータポンププーリ53が固定されている。また、前記エンジン41の外側には、前記ウオータポンプ52の駆動軸を中心として揺動自在に支持されたテンションアーム55に一対のクラッチプーリ56、57が軸58を介して回転自在に支持されている。前記エンジン41の下部に配置されたブラケット60と前記テンションアーム55の間には、テンションスプリング61が掛け渡され、前記テンションアーム55を図4で時計回り方向(図5では上方)に向けて付勢している。
【0026】
前記冷却ファン42の駆動系統は、前記エンジン41のクランク軸62を駆動源としている。前記クランク軸62には、クランクプーリ63が固定されている。前記オイルネータプーリ51、ウオータポンププーリ53、クラッチプーリ56及びクランクプーリ63の間には、ベルト65が掛け渡され、前記クランクプーリ63の回転を、前記オイルネータプーリ51、クラッチプーリ56及びウオータポンププーリ53に伝達するように構成されている。
【0027】
前記クランク軸62に揺動自在に支持されたテンションアーム66の一端には、軸67を介してテンションプーリ68が回転自在に支持ざれている。前記軸67と前記テンションアーム55の間には、テンションスプリング70が掛け渡され、前記テンションプーリ68を前記ベルト65の外周面に接触するように、図4で時計回り方向に付勢している。
【0028】
前記冷却ファン42には、冷却ファンプーリ71が一体に固定されている。前記クラッチプーリ57と冷却ファンプーリ71の間には、ベルト72が掛け渡され、前記クラッチプーリ56の回転により前記冷却ファン42を回転させるように構成されている。
【0029】
前記テンションアーム55を駆動する駆動機構は、冷却ファン制御モータ75と、該冷却ファン制御モータ75の出力軸に固定されたピニオン76により揺動駆動される扇形ギヤ77と、該扇形ギヤ77に一体に固定されたアーム78と、該アーム78と前記テンションアーム55を連結するワイヤ80とにより構成されている。
【0030】
図6に示すように、前記冷却ファン制御モータ75が作動して、前記扇形ギヤ77を図4の状態から反時計回り方向に揺動させると、前記アーム78及びワイヤ80を介して前記テンションアーム55を前記テンションスプリング61及びテンションスプリング70の抗張力に抗して反時計回り方向に回動させる。すると、前記クラッチプーリ56が前記ベルト65から外れ、該ベルト65からの動力の伝達が遮断される。従って、前記クラッチプーリ56、57の回転が停止して、前記冷却ファン42の回転も停止される。
【0031】
この時、前記テンションスプリング70の抗張力により前記テンションプーリ68が前記ベルト65を前記オイルネータプーリ51と前記クランクプーリ63に押し付ける方向に押すため、前記オイルネータプーリ51と前記ウオータポンププーリ53の回転は継続され、前記オイルネータ50(図4参照)とウオータポンプ52の駆動は継続される。
【0032】
図7に示すように、前記冷却ファン制御モータ75が作動して、前記扇形ギヤ77を図6の状態から時計回り方向に揺動させると、前記ワイヤ80による前記テンションアーム55への引っ張り力が解放されるので、前記テンションスプリング61及びテンションスプリング70の抗張力により前記テンションアーム55を時計回り方向に回動させる。すると、前記クラッチプーリ56が前記ベルト65に接触し、該ベルト65からの動力の伝達を受けて回転する。従って、前記クラッチプーリ56、57が回転して、前記冷却ファン42を回転させることができる。
【0033】
この時、前記テンションスプリング70の抗張力により前記テンションプーリ68が前記ベルト65を前記オイルネータプーリ51と前記クランクプーリ63に押し付ける方向に押し続けるため、前記オイルネータプーリ51と前記ウオータポンププーリ53の回転は継続され、前記オイルネータ50(図4参照)とウオータポンプ52の駆動は継続される。前記のように、前記クラッチプーリ56、57は、前記冷却ファン42の駆動系における動力伝達の入り、切りを行うクラッチの作用を果たす。
【0034】
図8に示すように、前記コンバイン1の制御装置81は、マイコン(マイクロコンピュータ)で形成される制御部82を有し、該制御部82の入力側には、前記主変速レバー31の操作位置を検出する主変速レバーポテンショメータ83と、前記作業機・刈取り部クラッチレバー32の操作位置を検出する作業機クラッチスイッチ85と、穀稈センサ25(及び/又は、穀稈センサ26、穀稈センサ27)が接続されている。また、前記制御部82の出力側には、前記冷却ファン制御モータ75及び除塵ファン駆動モータ46が接続されている。
【0035】
前記制御装置81における制御手順を図9に示すプログラムフローチャートに従って説明する。前記主変速レバー31の操作位置が前進位置から後進位置へ操作されたか否かを判定する(図9のステップS1、以下、単にステップS○という)。前記ステップS1で、前記主変速レバー31が前進位置から後進位置へ操作されていた場合、除塵フラグがセットされているか否かを判定する(ステップS2)。
【0036】
前記ステップS2で、除塵フラグがセット(除塵操作中)されていた場合には、前記除塵ファンモータ46への通電を遮断する(前記除塵ファン47を停止させる)と共に、前記冷却ファン制御モータ75を作動させ、冷却ファン42を駆動する制御を行い(ステップS3)、除塵フラグをリセットすると共に、遅延フラグをリセットする(ステップS4)。前記ステップS1から前記ステップS4までの手順では、後述する遅延タイマーの時間設定の関係で、前記コンバイン1の進行方向が前進に移行した後も除塵操作を継続している中で前記主変速レバー31が前進位置から後進位置へ操作された場合、除塵操作をキャンセルして前記エンジン41の冷却状態に戻す操作を行うことになる。
【0037】
前記ステップS1で、前記主変速レバー31が前進位置から後進位置へ変更操作されていない場合、遅延フラグがセットされているか否かを判定する(ステップS5)。前記ステップS5で、遅延フラグがセットされていない場合、前記作業機クラッチスイッチ85がONになっているか否かを判定する(ステップS6)。前記ステップS6で、作業機クラッチスイッチ85がONになっていた場合、前回の前記ステップS1の判定で、前記主変速レバー31の操作位置が後進位置になっていたか否かを判定する(ステップS7)。
【0038】
前記ステップS6とステップS7で、前記コンバイン1が作業状態であるか否かを判定することができ、前記主変速レバー31の操作が、作業中に(作業状態で)行われた後進操作か否かを検出することができる。即ち、前記制御部82は、作業状態検出手段を兼ねている。
【0039】
前記ステップS7で、前回のステップS1での判定が、前記主変速レバー31の操作位置が後進位置であった場合、予め前記制御部82内に設定された遅延タイマーをセットすると共に、遅延フラグをセットする(ステップS8)。前記遅延タイマーは、前記主変速レバー31を後進位置へ操作してから除塵操作を開始するまでの遅延時間を設定する。前記遅延タイマーは、セットされると遅延時間の計測を開始する。なお、前記遅延タイマーを設けることなく、前記ステップS7で前記主変速レバー31の後進操作を検出した時、除塵操作を開始するようにしても良い。
【0040】
前記ステップS5で遅延フラグがセットされていた場合、或いは前記ステップS8で遅延タイマーをセットし、遅延フラグをセットした場合、除塵フラグがセットされているか否かを判定する(ステップS9)。前記ステップS9で、除塵フラグがセットされていない場合、遅延タイマーにセットされた遅延時間の残り時間を判定する(ステップS10)。
【0041】
前記ステップS10で、前記遅延タイマーによる遅延時間の計測が終了した(遅延時間の残り時間が0になった)場合、予め前記制御部82内に設定された停止タイマーをセットすると共に、除塵フラグをセットする(ステップS11)。前記停止タイマーは、前記除塵操作を開始してから停止するまでの除塵操作時間を設定する。前記停止タイマーは、セットされると除塵時間の計測を開始する。
【0042】
前記ステップ9で除塵フラグがセットされていた場合、或いは前記ステップS11で停止タイマーをセットし、除塵フラグをセットした場合、前記冷却ファン制御モータ75を作動させ、冷却ファンを停止させる制御を行い(ステップS12)、前記除塵ファン駆動モータ46に通電して前記除塵ファン47を駆動する(ステップS13)。前記停止タイマーに設定された時間だけ前記除塵ファン47を回転させることにより、前記エンジンルーム11内の空気を前記エンジンカバー13の防塵構造12を通して機外に排出し、前記防塵構造12に吸着された塵埃の除塵を行う。
【0043】
前記停止タイマーの計測による残り時間を判定する(ステップS14)。前記ステップS14で、前記停止タイマーの残り時間が0になった場合、前記除塵ファンモータ46への通電を遮断する(前記除塵ファン47を停止させる)と共に、前記冷却ファン制御モータ75を作動させ、冷却ファン42を駆動する制御を行い(ステップS15)、除塵フラグをリセットすると共に、遅延フラグをリセットする(ステップS16)。
【0044】
前記のように、前記主変速レバー31が刈取り→後進へ操作されたのを検出したタイミング、或いは前記主変速レバー31の後進位置への操作を検出した後、所定の遅延時間経過後に、前記冷却ファン42を停止させると共に、前記除塵ファン47を駆動して前記エンジンカバー13の防塵構造12に吸引され付着する塵埃の除塵を行うようにしたので、前記防塵構造12に多量に塵埃が付着し易いタイミングで前記防塵構造12の除塵を行うことができ前記コンバイン1による刈取り作業中におけるエンジン41やオイルの冷却効率を向上させることができる。
【0045】
図10は、制御装置における他の制御手順を示すプログラムフローチャートである。なお、図10に示す制御手順で、前記図9に示す制御手順と同じステップは、同じ符号をつけて示してある。
【0046】
前記主変速レバー31の操作位置が後進位置にあるか否かを判定する(図10のステップS21、以下、単にステップS○という)。前記ステップS21で、前記主変速レバー31が後進位置にある場合、除塵フラグがセットされているか否かを判定する(ステップS2)。
【0047】
前記ステップS2で、除塵フラグがセット(除塵操作中)されていた場合には、前記除塵ファンモータ46への通電を遮断する(前記除塵ファン47を停止させる)と共に、前記冷却ファン制御モータ75を作動させ、冷却ファン42を駆動する制御を行い(ステップS3)、除塵フラグをリセットすると共に、遅延フラグをリセットする(ステップS4)。前記ステップS21から前記ステップS4までの手順では、前記コンバイン1の進行方向が前進に移行し除塵操作を継続している中で前記主変速レバー31が前進位置から後進位置へ操作された場合、除塵操作をキャンセルして前記エンジン41の冷却状態に戻す操作を行うことになる。
【0048】
前記ステップS21で、前記主変速レバー31が後進位置へ操作されていない場合、遅延フラグがセットされているか否かを判定する(ステップS5)。前記ステップS5で、遅延フラグがセットされていない場合、前記作業機クラッチスイッチ85がONになっているか否かを判定する(ステップS6)。前記ステップS6で、作業機クラッチスイッチ85がONになっていた場合、前記主変速レバー31が後進位置から前進位置へ操作されたか否かを判定する(ステップS27)。
【0049】
前記ステップS6とステップS27で、前記コンバイン1が作業状態であるか否かを判定することができ、前記主変速レバー31の操作が、作業中に(作業状態で)行われた後進操作か否かを検出することができる。即ち、前記制御部82は、作業状態検出手段を兼ねている。
【0050】
前記ステップS27で、前記主変速レバー31が後進位置から前進位置へ操作された場合、予め前記制御部82内に設定された遅延タイマーをセットすると共に、遅延フラグをセットする(ステップS8)。前記遅延タイマーは、前記主変速レバー31を前進位置へ操作してから除塵操作を開始するまでの遅延時間を設定する。前記遅延タイマーは、セットされると遅延時間の計測を開始する。なお、前記遅延タイマーを設けることなく、前記ステップS7で前記主変速レバー31の前進操作を検出した時、除塵操作を開始するようにしても良い。
【0051】
前記ステップS5で遅延フラグがセットされていた場合、或いは前記ステップS8で遅延タイマーをセットし、遅延フラグをセットした場合、除塵フラグがセットされているか否かを判定する(ステップS9)。前記ステップS9で、除塵フラグがセットされていない場合、遅延タイマーにセットされた遅延時間の残り時間を判定する(ステップS10)。
【0052】
前記ステップS10で、前記遅延タイマーによる遅延時間の計測が終了した(遅延時間の残り時間が0になった)場合、予め前記制御部82内に設定された停止タイマーをセットすると共に、除塵フラグをセットする(ステップS11)。前記停止タイマーは、前記除塵操作を開始してから停止するまでの除塵操作時間を設定する。前記停止タイマーは、セットされると除塵時間の計測を開始する。
【0053】
前記ステップS9で除塵フラグがセットされていた場合、或いは前記ステップS11で停止タイマーをセットし、除塵フラグをセットした場合、前記冷却ファン制御モータ75を作動させ、冷却ファンを停止させる制御を行い(ステップS12)、前記除塵ファン駆動モータ46に通電して前記除塵ファン47を駆動する(ステップS13)。前記停止タイマーに設定された時間だけ前記除塵ファン47を回転させることにより、前記エンジンルーム11内の空気を前記エンジンカバー13の防塵構造12を通して機外に排出し、前記防塵構造12に吸着された塵埃の除塵を行う。
【0054】
前記停止タイマーの計測による残り時間を判定する(ステップS14)。前記ステップS14で、前記停止タイマーの残り時間が0になった場合、前記除塵ファンモータ46への通電を遮断する(前記除塵ファン47を停止させる)と共に、前記冷却ファン制御モータ75を作動させ、冷却ファン42を駆動する制御を行い(ステップS15)、除塵フラグをリセットすると共に、遅延フラグをリセットする(ステップS16)。
【0055】
前記のように、前記主変速レバー31の刈取り→後進→前進への操作が検出されたタイミング、或いは、前記主変速レバー31の刈取り→後進→前進への操作を検出した後、所定の遅延時間経過後に、前記冷却ファン42を停止させると共に、前記除塵ファン47を駆動して前記エンジンカバー13の防塵構造12に吸引され付着する塵埃の除塵を行うようにしたので、前記防塵構造12に最も多量に塵埃が付着し易いタイミングで前記防塵構造12の除塵を行うことができ、前記コンバイン1による刈取り作業中におけるエンジン41やオイルの冷却効率を向上させることができる。
【0056】
図11は、制御装置における更に他の制御手順を示すプログラムフローチャートである。なお、図11に示す制御手順で、前記図9に示す制御手順と同じステップは、同じ符号をつけて示してある。
【0057】
前記穀稈センサ25、26、27(の何れか一個又は二個又は全て、以下、全ての穀稈センサ25、26、27を用いた場合について説明する)のOFF時間を判定する(図11のステップS31、以下、単にステップS○という)。前記ステップS31で、前記穀稈センサ25、26、27のOFF時間が設定時間以上であった場合、未刈取フラグをセットし(ステップS32)、除塵フラグがセットされているか否かを判定する(ステップS2)。
【0058】
前記ステップS2で、除塵フラグがセット(除塵操作中)されていた場合には、前記除塵ファンモータ46への通電を遮断する(前記除塵ファン47を停止させる)と共に、前記冷却ファン制御モータ75を作動させ、冷却ファン42を駆動する制御を行い(ステップS3)、除塵フラグをリセットすると共に、遅延フラグをリセットする(ステップS4)。前記ステップS31から前記ステップS4の手順では、除塵操作中に前記穀稈センサ25、26、27が設定時間以上OFF状態になると、除塵操作をキャンセルして前記エンジン41の冷却状態に戻す操作を行うことになる。
【0059】
前記ステップS31で、前記穀稈センサ25、26、27のうち少なくとも一個の穀稈センサ25(又は26、又は27)が設定時間内にON状態になった場合、遅延フラグがセットされているか否かを判定する(ステップS5)。前記ステップS5で、遅延フラグがセットされていない場合、前記作業機クラッチスイッチ85がONになっているか否かを判定する(ステップS6)。前記ステップS6で、作業機クラッチスイッチ85がONになっていた場合、前記穀稈センサ25、26、27がOFFからONになったか否かを判定する(ステップS33)。
【0060】
前記ステップS6とステップS33で、穀稈の刈り始め、即ち、前記コンバイン1の前進開始を検出することができる。即ち、前記制御部82は、刈取り開始検出手段を兼ねている。
【0061】
前記ステップS33で、前記コンバイン1の前進が検出された場合、予め前記制御部82内に設定された遅延タイマーをセットすると共に、遅延フラグをセットする(ステップS8)。前記遅延タイマーは、前記穀稈センサ25、26、27がONになってから除塵操作を開始するまでの遅延時間を設定する。前記遅延タイマーは、セットされると遅延時間の計測を開始する。
【0062】
前記ステップS5で遅延フラグがセットされていた場合、或いは前記ステップS8で遅延タイマーをセットし、遅延フラグをセットした場合、除塵フラグがセットされているか否かを判定する(ステップS9)。前記ステップS9で、除塵フラグがセットされていない場合、遅延タイマーにセットされた遅延時間の残り時間を判定する(ステップS10)。
【0063】
前記ステップS10で、前記遅延タイマーによる遅延時間の計測が終了した(遅延時間の残り時間が0になった)場合、予め前記制御部82内に設定された停止タイマーをセットすると共に、除塵フラグをセットする(ステップS11)。前記停止タイマーは、前記除塵操作を開始してから停止するまでの除塵操作時間を設定する。前記停止タイマーは、セットされると除塵時間の計測を開始する。
【0064】
前記ステップ9で除塵フラグがセットされていた場合、或いは前記ステップS11で停止タイマーをセットし、除塵フラグをセットした場合、前記冷却ファン制御モータ75を作動させ、冷却ファンを停止させる制御を行い(ステップS12)、前記除塵ファン駆動モータ46に通電して前記除塵ファン47を駆動する(ステップS13)。前記停止タイマーに設定された時間だけ前記除塵ファン47を回転させることにより、前記エンジンルーム11内の空気を前記エンジンカバー13の防塵構造12を通して機外に排出し、前記防塵構造12に吸着された塵埃の除塵を行う。
【0065】
前記停止タイマーの計測による残り時間を判定する(ステップS14)。前記ステップS14で、前記停止タイマーの残り時間が0になった場合、前記除塵ファンモータ46への通電を遮断する(前記除塵ファン47を停止させる)と共に、前記冷却ファン制御モータ75を作動させ、冷却ファン42を駆動する制御を行い(ステップS15)、除塵フラグをリセットすると共に、遅延フラグをリセットする(ステップS16)。
【0066】
前記のように、前記穀稈センサ25、26、27のON状態、即ち、前記コンバイン1が前進して穀稈の刈取を開始したことが検出されたタイミング、或いは、前記穀稈の刈取りが検出された後、所定の遅延時間経過後に、前記冷却ファン42を停止させると共に、前記除塵ファン47を駆動して前記エンジンカバー13の防塵構造12に吸引され付着する塵埃の除塵を行うようにしたので、前記防塵構造12に塵埃を吸着し難い位置で前記防塵構造12の除塵を行うことができ、前記防塵構造12への塵埃の吸着を少なくして、前記コンバイン1による刈取り作業中におけるエンジン41やオイルの冷却効率を向上させることができる。
【0067】
なお、前記各実施の形態においては、冷却ファン42と除塵ファン47を交互に作動させ、エンジン41の冷却と防塵構造12の除塵を交互に行う場合について説明したが、冷却ファン42を逆転させて、エンジン41の冷却と防塵構造12の除塵を交互に行うようにしても良い。また、冷却ファン42の羽根の角度を調整することにより、その送風方向を切換えるようにして、エンジン41の冷却と防塵構造12の除塵を交互に行うようにしても良い。また、除塵操作は、送風だけでなく、ブラシで掃き落とすようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】コンバインの側面図である。
【図2】コンバインの平面図である。
【図3】エンジンルーム内の機器の配置を示す背面図である。
【図4】冷却ファンの駆動系統を示すエンジンの右側面図である。
【図5】図4における伝動部の展開図である。
【図6】図4における冷却ファンの停止状態を示す動作説明図である。
【図7】図4における冷却ファンの駆動状態を示す動作説明図である。
【図8】制御装置のブロック線図である。
【図9】制御装置における制御手順を示すプログラムフローチャートである。
【図10】制御装置における他の制御手順を示すプログラムフローチャートである。
【図11】制御装置における更に他の制御手順を示すプログラムフローチャートである。
【符号の説明】
【0069】
1 コンバイン
2 走行装置(クローラ走行装置)
3 走行機体
5 脱穀装置
12 防塵構造
20 刈取り部
41 エンジン
47 除塵手段(除塵ファン)
82 作業状態検出手段(制御部)
82 刈取り開始検出手段(制御部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、藁屑等の塵埃の多い環境で使用されるコンバインに係り、詳しくはエンジンに冷却風を供給する風路に介在させた防塵構造に吸着された塵埃を除去するようにしたコンバインにおける塵埃除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、網状のエンジンカバーで覆われたエンジンルーム内に、エンジン、吸気ファン、ラジエータ、オイルクーラ、電動ファンを配置し、前記吸気ファンの作動により前記エンジンカバーを通して前記エンジンルーム内に外気を取り込んで前記ラジエータ及びオイルクーラの冷却を行い、前記吸気ファンの停止に伴って、前記電動ファンを作動させ、前記エンジンカバーを通して前記エンジンルーム内の空気を外部に吹出させることにより、前記エンジンカバーに吸着された塵埃を除去するようにしたコンバインにおける塵埃除去装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、エンジンルームに、エンジン、ラジエータ、ファン、該ファンの回転方向を切換えるファン回転切換え機構、前記ラジエータへ供給する冷却風の風路に防塵網(エンジンカバー)を配置し、グレンタンクから穀粒を排出するタイミングで前記ファンの回転方向を切換えて、エンジンルーム内の空気を前記防塵網を通して外部に吹出させることにより、前記防塵網に付着する塵埃を除去するようにしたコンバインのエンジン冷却装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−153643号公報(第4−6頁、図2)
【特許文献2】特開2001−41038号公報(第5、6頁、図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コンバインは、穀稈の脱穀、選別、排藁処理を行うので、走行機体の後部から藁屑等多量の塵埃排出し、前記選別に利用される排塵風により排出した塵埃を巻き上げることが多い。前記各従来技術においては、オペレータの判断或いは一定時間ごとに電動ファン作動させ前記エンジンカバーの除塵を行っている。このため、コンバインの走行方向を変更する刈取りコーナ時における走行機体の後進時など、排塵風で巻き上げられた塵埃がエンジンカバーに吸着され易いタイミングで除塵できず、エンジンカバーの除塵を行った直後に、該エンジンカバーに除塵する前と同程度の塵埃を吸着させることがあり、刈取り作業中のエンジンやオイルの冷却効率を低下させることがあった。
【0006】
前記の事情に鑑み、本発明は、エンジンカバーに冷却風の風路に介在するように配置された防塵構造に冷却風によって吸着された塵埃を、コンバインの所定操作タイミングで除塵を行い、刈取り作業中におけるエンジンやオイルの冷却効率を向上させることができるコンバインを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、請求項1に係る本発明は、エンジン(41)及び脱穀装置(5)を搭載した走行機体(3)の前方に刈取り部(20)を昇降自在に支持し、前記エンジン(41)の動力を変速装置を介して走行装置(2、2)に伝達して前記走行機体(3)を走行すると共に、前記刈取り部を(20)を駆動してなる、コンバイン(1)において、
前記エンジン(41)に冷却風を供給する風路に防塵構造(12)を介在すると共に、該防塵構造(12)を除塵する除塵手段(47)を設け、
前記コンバインが作業状態か否かを判定する作業状態検出手段(82)を設け、
前記作業状態検出手段(82)により作業中であると判定されている間に、前記変速装置の所定操作タイミングに合せて前記除塵手段(47)を設定時間駆動してなる、
ことを特徴とするコンバインにある。
【0008】
請求項2に係る本発明は、前記変速装置の所定操作タイミングが、刈取り作業中における後進を検出した時である、
ことを特徴とする請求項1記載のコンバインにある。
【0009】
請求項3に係る本発明は、前記変速装置の所定操作タイミングが、刈取り作業中における後進を検出した後に前進を検出した時である、
ことを特徴とする請求項1記載のコンバインにある。
【0010】
請求項4に係る本発明は、エンジン(41)及び脱穀装置(5)を搭載した走行機体(3)の前方に刈取り部(20)を昇降自在に支持し、前記エンジン(41)の動力を変速装置を介して走行装置(2、2)に伝達して前記走行機体(3)を走行すると共に、前記刈取り部(20)を駆動してなる、コンバイン(1)において、
前記エンジン(41)に冷却風を供給する風路に防塵構造(12)を介在すると共に、該防塵構造(12)を除塵する除塵手段(47)を設け、
前記刈取り部(20)に設けた所定の穀稈センサ(25、26、27)を用いて刈取り作業の開始を判定する刈取り開始検出手段(82)を設け、
前記刈取り開始検出手段(82)により刈取り作業が開始されたと判定した時に、前記除塵手段を所定時間駆動してなる、
ことを特徴とするコンバインにある。
【0011】
なお、前記した括弧内の符号等は、図面を参照するためのものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る本発明によると、エンジンに冷却風を供給する風路に防塵構造を介在すると共に、該防塵構造を除塵する除塵手段を設け、コンバインが作業中である間に、変速装置の所定操作タイミングに合せて前記除塵手段を設定時間駆動するようにしたので、前記防塵構造に多量に塵埃が付着するタイミングで前記防塵構造の除塵を行うことができ、コンバインによる刈取り作業中におけるエンジンやオイルの冷却効率を向上させることができる。
【0013】
請求項2に係る本発明によると、変速装置の所定操作タイミングを、コンバインの刈取り作業中における後進を検出した時としたので、前記防塵構造に最も多量に塵埃が付着し易いタイミングで前記防塵構造の除塵を行うことができ、コンバインによる刈取り作業中におけるエンジンやオイルの冷却効率を向上させることができる。
【0014】
請求項3に係る本発明によると、変速装置の所定操作タイミングを、コンバインの刈取り作業中における後進を検出した後に前進を検出した時としたので、コンバインの後方から吹出す排塵風によって巻き上げられた塵埃が少なくなる位置で前記防塵構造の除塵を行うことができ、コンバインによる刈取り作業中におけるエンジンやオイルの冷却効率をより向上させることができる。
【0015】
請求項4に係る本発明によると、エンジンに冷却風を供給する風路に防塵構造を介在すると共に、該防塵構造を除塵する除塵手段を設け、刈取り部に設けた所定の穀稈センサの出力に基づいて刈取り作業の開始を検出した時に、前記除塵手段を所定時間駆動するようにしたので、コンバインの後部から吹出す排塵風に巻き上がられた塵埃の滞留が少ない位置で前記防塵構造の除塵を行うことができ、該防塵構造に対する塵埃の吸着を少なくして、コンバインによる刈取り作業中におけるエンジンやオイルの冷却効率をより一層向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
図1乃至図9は、本発明の実施の形態を示すもので、図1は、コンバインの側面図、図2は、コンバインの平面図、図3は、エンジンルーム内の機器の配置を示す背面図、図4は、冷却ファンの駆動系統を示すエンジンの右側面図、図5は、図4における伝動部の展開図、図6は、図4における冷却ファンの停止状態を示す動作説明図、図7は、図4における冷却ファンの駆動状態を示す動作説明図、図8は、制御装置のブロック線図、図9は、制御装置における制御手順を示すプログラムフローチャートである。
【0018】
図1及び図2に示すように、コンバイン1は、左右一対のクローラ走行装置2、2に支持された走行機体3を有し、該走行機体3の前方には、穀稈の刈り取りを行う刈取り部20が昇降自在に支持されている。前記走行機体3の左側には、前記刈取り部20で刈取られた穀稈から脱穀された脱穀物の中から穀粒を選別する揺動選別装置(図示せず)が設置され、その上部に前記刈取り部20で刈取られた穀稈の脱穀を行う脱穀装置5が支持され、該脱穀装置5に沿って穀稈を搬送するフィードチェーン6が配置されている。
【0019】
また、前記走行機体3の右側には、該走行機体の中央部から後部に向けて前記揺動選別装置で選別された穀粒を一時的に貯留するグレンタンク7と、該グレンタンク7内の穀粒を排出するオーガ8が配置されている。前記走行機体3の後部には、穀粒が脱穀された排藁を細断して圃場に排出する排藁処理装置10が配置されている。
【0020】
前記走行機体3の右側前記グレンタンク7の前方には、エンジンルーム11が配置され、その右側面に形成された開口部には、防塵網等で形成される防塵構造12を有するエンジンカバー13が開閉自在に支持されている。また、前記走行機体3の右側前部には、前記エンジンルーム11と前記刈取り部20の間に位置するように運転席30が配置されている。
【0021】
前記刈取り部20には、圃場に植付けられた穀稈の分草を行う複数のデバイダ21と、分草された穀稈の引起しを行う引起し装置22と、穀稈の刈り取りを行う刈刃23等のほか、前記引起し装置22に導入された穀稈の検出を行う穀稈(方向)センサ25と、前記引起し装置22の排出側で穀稈の株元側を検出する穀稈(株元)センサ26と、前記引起し装置22と前記フィードチェーン6との間で穀稈の長さを検出する穀稈(稈長検出)センサ27とが設置されている。
【0022】
前記運転室30には、前記コンバイン1の変速装置(図示せず)を操作して、該コンバイン1の前後進、速度等を操作する主変速レバー31と、前記刈取り部20の作動を切換える作業機・刈取りクラッチレバー32と、前記コンバイン1の走行方向と前記刈取り部20の昇降を操作する操向レバー33の他、前記コンバイン1の操作に必要な各種のレバー、スイッチ、ペダル等が配置されている。前記主変速レバー31の支持部には、該主変速レバー31の操作位置を検出する主変速レバーポテンショメータ83(図8参照)が設置されている。また、前記作業機・刈取りクラッチレバー32の支持部には、該作業機・刈取りクラッチレバー32の操作位置を検出する作業機クラッチスイッチ85(図8参照)が設置されている。
【0023】
図3に示すように、前記エンジンルーム11の中には、エンジン41と、該エンジン41の出力を受けて回転し、前記防塵構造12を通して外気を吸引し前記エンジンを冷却する冷却ファン42と、前記エンジン41の冷却水が循環するラジエータ43と、前記コンバイン1の油圧系統に供給されるオイルが循環するオイルクーラ45と、除塵ファン駆動モータ46に支持され、前記防塵構造12を通してエンジン室11内の空気を外部へ放出する除塵ファン47が配置されている。
【0024】
前記除塵ファン47を停止させた状態で、前記冷却ファン42が回転すると、前記防塵構造12を通して前記エンジンルーム11内に外気が吸入され前記オイルクーラ45、ラジエータ43を冷却し、更に前記エンジン41の外側を冷却する。また、前記冷却ファン42を停止させた状態で、前記除塵ファン47が回転すると、前記防塵構造12を通して前記エンジンルーム11内の空気を外部に放出することにより、前記冷却ファン42の吸引力により前記防塵構造12に付着した塵埃を吹飛ばし、該防塵構造12の除塵を行うことができる。即ち、前記除塵ファン47は、除塵手段を構成している。
【0025】
図4及び図5に示すように、前記エンジン41の外側には、オルタネータ50が配置され、その入力軸にはオルタネータプーリ51が固定されている。また、前記エンジン41の外側には、ウオータポンプ52が配置され、その入力軸にはウオータポンププーリ53が固定されている。また、前記エンジン41の外側には、前記ウオータポンプ52の駆動軸を中心として揺動自在に支持されたテンションアーム55に一対のクラッチプーリ56、57が軸58を介して回転自在に支持されている。前記エンジン41の下部に配置されたブラケット60と前記テンションアーム55の間には、テンションスプリング61が掛け渡され、前記テンションアーム55を図4で時計回り方向(図5では上方)に向けて付勢している。
【0026】
前記冷却ファン42の駆動系統は、前記エンジン41のクランク軸62を駆動源としている。前記クランク軸62には、クランクプーリ63が固定されている。前記オイルネータプーリ51、ウオータポンププーリ53、クラッチプーリ56及びクランクプーリ63の間には、ベルト65が掛け渡され、前記クランクプーリ63の回転を、前記オイルネータプーリ51、クラッチプーリ56及びウオータポンププーリ53に伝達するように構成されている。
【0027】
前記クランク軸62に揺動自在に支持されたテンションアーム66の一端には、軸67を介してテンションプーリ68が回転自在に支持ざれている。前記軸67と前記テンションアーム55の間には、テンションスプリング70が掛け渡され、前記テンションプーリ68を前記ベルト65の外周面に接触するように、図4で時計回り方向に付勢している。
【0028】
前記冷却ファン42には、冷却ファンプーリ71が一体に固定されている。前記クラッチプーリ57と冷却ファンプーリ71の間には、ベルト72が掛け渡され、前記クラッチプーリ56の回転により前記冷却ファン42を回転させるように構成されている。
【0029】
前記テンションアーム55を駆動する駆動機構は、冷却ファン制御モータ75と、該冷却ファン制御モータ75の出力軸に固定されたピニオン76により揺動駆動される扇形ギヤ77と、該扇形ギヤ77に一体に固定されたアーム78と、該アーム78と前記テンションアーム55を連結するワイヤ80とにより構成されている。
【0030】
図6に示すように、前記冷却ファン制御モータ75が作動して、前記扇形ギヤ77を図4の状態から反時計回り方向に揺動させると、前記アーム78及びワイヤ80を介して前記テンションアーム55を前記テンションスプリング61及びテンションスプリング70の抗張力に抗して反時計回り方向に回動させる。すると、前記クラッチプーリ56が前記ベルト65から外れ、該ベルト65からの動力の伝達が遮断される。従って、前記クラッチプーリ56、57の回転が停止して、前記冷却ファン42の回転も停止される。
【0031】
この時、前記テンションスプリング70の抗張力により前記テンションプーリ68が前記ベルト65を前記オイルネータプーリ51と前記クランクプーリ63に押し付ける方向に押すため、前記オイルネータプーリ51と前記ウオータポンププーリ53の回転は継続され、前記オイルネータ50(図4参照)とウオータポンプ52の駆動は継続される。
【0032】
図7に示すように、前記冷却ファン制御モータ75が作動して、前記扇形ギヤ77を図6の状態から時計回り方向に揺動させると、前記ワイヤ80による前記テンションアーム55への引っ張り力が解放されるので、前記テンションスプリング61及びテンションスプリング70の抗張力により前記テンションアーム55を時計回り方向に回動させる。すると、前記クラッチプーリ56が前記ベルト65に接触し、該ベルト65からの動力の伝達を受けて回転する。従って、前記クラッチプーリ56、57が回転して、前記冷却ファン42を回転させることができる。
【0033】
この時、前記テンションスプリング70の抗張力により前記テンションプーリ68が前記ベルト65を前記オイルネータプーリ51と前記クランクプーリ63に押し付ける方向に押し続けるため、前記オイルネータプーリ51と前記ウオータポンププーリ53の回転は継続され、前記オイルネータ50(図4参照)とウオータポンプ52の駆動は継続される。前記のように、前記クラッチプーリ56、57は、前記冷却ファン42の駆動系における動力伝達の入り、切りを行うクラッチの作用を果たす。
【0034】
図8に示すように、前記コンバイン1の制御装置81は、マイコン(マイクロコンピュータ)で形成される制御部82を有し、該制御部82の入力側には、前記主変速レバー31の操作位置を検出する主変速レバーポテンショメータ83と、前記作業機・刈取り部クラッチレバー32の操作位置を検出する作業機クラッチスイッチ85と、穀稈センサ25(及び/又は、穀稈センサ26、穀稈センサ27)が接続されている。また、前記制御部82の出力側には、前記冷却ファン制御モータ75及び除塵ファン駆動モータ46が接続されている。
【0035】
前記制御装置81における制御手順を図9に示すプログラムフローチャートに従って説明する。前記主変速レバー31の操作位置が前進位置から後進位置へ操作されたか否かを判定する(図9のステップS1、以下、単にステップS○という)。前記ステップS1で、前記主変速レバー31が前進位置から後進位置へ操作されていた場合、除塵フラグがセットされているか否かを判定する(ステップS2)。
【0036】
前記ステップS2で、除塵フラグがセット(除塵操作中)されていた場合には、前記除塵ファンモータ46への通電を遮断する(前記除塵ファン47を停止させる)と共に、前記冷却ファン制御モータ75を作動させ、冷却ファン42を駆動する制御を行い(ステップS3)、除塵フラグをリセットすると共に、遅延フラグをリセットする(ステップS4)。前記ステップS1から前記ステップS4までの手順では、後述する遅延タイマーの時間設定の関係で、前記コンバイン1の進行方向が前進に移行した後も除塵操作を継続している中で前記主変速レバー31が前進位置から後進位置へ操作された場合、除塵操作をキャンセルして前記エンジン41の冷却状態に戻す操作を行うことになる。
【0037】
前記ステップS1で、前記主変速レバー31が前進位置から後進位置へ変更操作されていない場合、遅延フラグがセットされているか否かを判定する(ステップS5)。前記ステップS5で、遅延フラグがセットされていない場合、前記作業機クラッチスイッチ85がONになっているか否かを判定する(ステップS6)。前記ステップS6で、作業機クラッチスイッチ85がONになっていた場合、前回の前記ステップS1の判定で、前記主変速レバー31の操作位置が後進位置になっていたか否かを判定する(ステップS7)。
【0038】
前記ステップS6とステップS7で、前記コンバイン1が作業状態であるか否かを判定することができ、前記主変速レバー31の操作が、作業中に(作業状態で)行われた後進操作か否かを検出することができる。即ち、前記制御部82は、作業状態検出手段を兼ねている。
【0039】
前記ステップS7で、前回のステップS1での判定が、前記主変速レバー31の操作位置が後進位置であった場合、予め前記制御部82内に設定された遅延タイマーをセットすると共に、遅延フラグをセットする(ステップS8)。前記遅延タイマーは、前記主変速レバー31を後進位置へ操作してから除塵操作を開始するまでの遅延時間を設定する。前記遅延タイマーは、セットされると遅延時間の計測を開始する。なお、前記遅延タイマーを設けることなく、前記ステップS7で前記主変速レバー31の後進操作を検出した時、除塵操作を開始するようにしても良い。
【0040】
前記ステップS5で遅延フラグがセットされていた場合、或いは前記ステップS8で遅延タイマーをセットし、遅延フラグをセットした場合、除塵フラグがセットされているか否かを判定する(ステップS9)。前記ステップS9で、除塵フラグがセットされていない場合、遅延タイマーにセットされた遅延時間の残り時間を判定する(ステップS10)。
【0041】
前記ステップS10で、前記遅延タイマーによる遅延時間の計測が終了した(遅延時間の残り時間が0になった)場合、予め前記制御部82内に設定された停止タイマーをセットすると共に、除塵フラグをセットする(ステップS11)。前記停止タイマーは、前記除塵操作を開始してから停止するまでの除塵操作時間を設定する。前記停止タイマーは、セットされると除塵時間の計測を開始する。
【0042】
前記ステップ9で除塵フラグがセットされていた場合、或いは前記ステップS11で停止タイマーをセットし、除塵フラグをセットした場合、前記冷却ファン制御モータ75を作動させ、冷却ファンを停止させる制御を行い(ステップS12)、前記除塵ファン駆動モータ46に通電して前記除塵ファン47を駆動する(ステップS13)。前記停止タイマーに設定された時間だけ前記除塵ファン47を回転させることにより、前記エンジンルーム11内の空気を前記エンジンカバー13の防塵構造12を通して機外に排出し、前記防塵構造12に吸着された塵埃の除塵を行う。
【0043】
前記停止タイマーの計測による残り時間を判定する(ステップS14)。前記ステップS14で、前記停止タイマーの残り時間が0になった場合、前記除塵ファンモータ46への通電を遮断する(前記除塵ファン47を停止させる)と共に、前記冷却ファン制御モータ75を作動させ、冷却ファン42を駆動する制御を行い(ステップS15)、除塵フラグをリセットすると共に、遅延フラグをリセットする(ステップS16)。
【0044】
前記のように、前記主変速レバー31が刈取り→後進へ操作されたのを検出したタイミング、或いは前記主変速レバー31の後進位置への操作を検出した後、所定の遅延時間経過後に、前記冷却ファン42を停止させると共に、前記除塵ファン47を駆動して前記エンジンカバー13の防塵構造12に吸引され付着する塵埃の除塵を行うようにしたので、前記防塵構造12に多量に塵埃が付着し易いタイミングで前記防塵構造12の除塵を行うことができ前記コンバイン1による刈取り作業中におけるエンジン41やオイルの冷却効率を向上させることができる。
【0045】
図10は、制御装置における他の制御手順を示すプログラムフローチャートである。なお、図10に示す制御手順で、前記図9に示す制御手順と同じステップは、同じ符号をつけて示してある。
【0046】
前記主変速レバー31の操作位置が後進位置にあるか否かを判定する(図10のステップS21、以下、単にステップS○という)。前記ステップS21で、前記主変速レバー31が後進位置にある場合、除塵フラグがセットされているか否かを判定する(ステップS2)。
【0047】
前記ステップS2で、除塵フラグがセット(除塵操作中)されていた場合には、前記除塵ファンモータ46への通電を遮断する(前記除塵ファン47を停止させる)と共に、前記冷却ファン制御モータ75を作動させ、冷却ファン42を駆動する制御を行い(ステップS3)、除塵フラグをリセットすると共に、遅延フラグをリセットする(ステップS4)。前記ステップS21から前記ステップS4までの手順では、前記コンバイン1の進行方向が前進に移行し除塵操作を継続している中で前記主変速レバー31が前進位置から後進位置へ操作された場合、除塵操作をキャンセルして前記エンジン41の冷却状態に戻す操作を行うことになる。
【0048】
前記ステップS21で、前記主変速レバー31が後進位置へ操作されていない場合、遅延フラグがセットされているか否かを判定する(ステップS5)。前記ステップS5で、遅延フラグがセットされていない場合、前記作業機クラッチスイッチ85がONになっているか否かを判定する(ステップS6)。前記ステップS6で、作業機クラッチスイッチ85がONになっていた場合、前記主変速レバー31が後進位置から前進位置へ操作されたか否かを判定する(ステップS27)。
【0049】
前記ステップS6とステップS27で、前記コンバイン1が作業状態であるか否かを判定することができ、前記主変速レバー31の操作が、作業中に(作業状態で)行われた後進操作か否かを検出することができる。即ち、前記制御部82は、作業状態検出手段を兼ねている。
【0050】
前記ステップS27で、前記主変速レバー31が後進位置から前進位置へ操作された場合、予め前記制御部82内に設定された遅延タイマーをセットすると共に、遅延フラグをセットする(ステップS8)。前記遅延タイマーは、前記主変速レバー31を前進位置へ操作してから除塵操作を開始するまでの遅延時間を設定する。前記遅延タイマーは、セットされると遅延時間の計測を開始する。なお、前記遅延タイマーを設けることなく、前記ステップS7で前記主変速レバー31の前進操作を検出した時、除塵操作を開始するようにしても良い。
【0051】
前記ステップS5で遅延フラグがセットされていた場合、或いは前記ステップS8で遅延タイマーをセットし、遅延フラグをセットした場合、除塵フラグがセットされているか否かを判定する(ステップS9)。前記ステップS9で、除塵フラグがセットされていない場合、遅延タイマーにセットされた遅延時間の残り時間を判定する(ステップS10)。
【0052】
前記ステップS10で、前記遅延タイマーによる遅延時間の計測が終了した(遅延時間の残り時間が0になった)場合、予め前記制御部82内に設定された停止タイマーをセットすると共に、除塵フラグをセットする(ステップS11)。前記停止タイマーは、前記除塵操作を開始してから停止するまでの除塵操作時間を設定する。前記停止タイマーは、セットされると除塵時間の計測を開始する。
【0053】
前記ステップS9で除塵フラグがセットされていた場合、或いは前記ステップS11で停止タイマーをセットし、除塵フラグをセットした場合、前記冷却ファン制御モータ75を作動させ、冷却ファンを停止させる制御を行い(ステップS12)、前記除塵ファン駆動モータ46に通電して前記除塵ファン47を駆動する(ステップS13)。前記停止タイマーに設定された時間だけ前記除塵ファン47を回転させることにより、前記エンジンルーム11内の空気を前記エンジンカバー13の防塵構造12を通して機外に排出し、前記防塵構造12に吸着された塵埃の除塵を行う。
【0054】
前記停止タイマーの計測による残り時間を判定する(ステップS14)。前記ステップS14で、前記停止タイマーの残り時間が0になった場合、前記除塵ファンモータ46への通電を遮断する(前記除塵ファン47を停止させる)と共に、前記冷却ファン制御モータ75を作動させ、冷却ファン42を駆動する制御を行い(ステップS15)、除塵フラグをリセットすると共に、遅延フラグをリセットする(ステップS16)。
【0055】
前記のように、前記主変速レバー31の刈取り→後進→前進への操作が検出されたタイミング、或いは、前記主変速レバー31の刈取り→後進→前進への操作を検出した後、所定の遅延時間経過後に、前記冷却ファン42を停止させると共に、前記除塵ファン47を駆動して前記エンジンカバー13の防塵構造12に吸引され付着する塵埃の除塵を行うようにしたので、前記防塵構造12に最も多量に塵埃が付着し易いタイミングで前記防塵構造12の除塵を行うことができ、前記コンバイン1による刈取り作業中におけるエンジン41やオイルの冷却効率を向上させることができる。
【0056】
図11は、制御装置における更に他の制御手順を示すプログラムフローチャートである。なお、図11に示す制御手順で、前記図9に示す制御手順と同じステップは、同じ符号をつけて示してある。
【0057】
前記穀稈センサ25、26、27(の何れか一個又は二個又は全て、以下、全ての穀稈センサ25、26、27を用いた場合について説明する)のOFF時間を判定する(図11のステップS31、以下、単にステップS○という)。前記ステップS31で、前記穀稈センサ25、26、27のOFF時間が設定時間以上であった場合、未刈取フラグをセットし(ステップS32)、除塵フラグがセットされているか否かを判定する(ステップS2)。
【0058】
前記ステップS2で、除塵フラグがセット(除塵操作中)されていた場合には、前記除塵ファンモータ46への通電を遮断する(前記除塵ファン47を停止させる)と共に、前記冷却ファン制御モータ75を作動させ、冷却ファン42を駆動する制御を行い(ステップS3)、除塵フラグをリセットすると共に、遅延フラグをリセットする(ステップS4)。前記ステップS31から前記ステップS4の手順では、除塵操作中に前記穀稈センサ25、26、27が設定時間以上OFF状態になると、除塵操作をキャンセルして前記エンジン41の冷却状態に戻す操作を行うことになる。
【0059】
前記ステップS31で、前記穀稈センサ25、26、27のうち少なくとも一個の穀稈センサ25(又は26、又は27)が設定時間内にON状態になった場合、遅延フラグがセットされているか否かを判定する(ステップS5)。前記ステップS5で、遅延フラグがセットされていない場合、前記作業機クラッチスイッチ85がONになっているか否かを判定する(ステップS6)。前記ステップS6で、作業機クラッチスイッチ85がONになっていた場合、前記穀稈センサ25、26、27がOFFからONになったか否かを判定する(ステップS33)。
【0060】
前記ステップS6とステップS33で、穀稈の刈り始め、即ち、前記コンバイン1の前進開始を検出することができる。即ち、前記制御部82は、刈取り開始検出手段を兼ねている。
【0061】
前記ステップS33で、前記コンバイン1の前進が検出された場合、予め前記制御部82内に設定された遅延タイマーをセットすると共に、遅延フラグをセットする(ステップS8)。前記遅延タイマーは、前記穀稈センサ25、26、27がONになってから除塵操作を開始するまでの遅延時間を設定する。前記遅延タイマーは、セットされると遅延時間の計測を開始する。
【0062】
前記ステップS5で遅延フラグがセットされていた場合、或いは前記ステップS8で遅延タイマーをセットし、遅延フラグをセットした場合、除塵フラグがセットされているか否かを判定する(ステップS9)。前記ステップS9で、除塵フラグがセットされていない場合、遅延タイマーにセットされた遅延時間の残り時間を判定する(ステップS10)。
【0063】
前記ステップS10で、前記遅延タイマーによる遅延時間の計測が終了した(遅延時間の残り時間が0になった)場合、予め前記制御部82内に設定された停止タイマーをセットすると共に、除塵フラグをセットする(ステップS11)。前記停止タイマーは、前記除塵操作を開始してから停止するまでの除塵操作時間を設定する。前記停止タイマーは、セットされると除塵時間の計測を開始する。
【0064】
前記ステップ9で除塵フラグがセットされていた場合、或いは前記ステップS11で停止タイマーをセットし、除塵フラグをセットした場合、前記冷却ファン制御モータ75を作動させ、冷却ファンを停止させる制御を行い(ステップS12)、前記除塵ファン駆動モータ46に通電して前記除塵ファン47を駆動する(ステップS13)。前記停止タイマーに設定された時間だけ前記除塵ファン47を回転させることにより、前記エンジンルーム11内の空気を前記エンジンカバー13の防塵構造12を通して機外に排出し、前記防塵構造12に吸着された塵埃の除塵を行う。
【0065】
前記停止タイマーの計測による残り時間を判定する(ステップS14)。前記ステップS14で、前記停止タイマーの残り時間が0になった場合、前記除塵ファンモータ46への通電を遮断する(前記除塵ファン47を停止させる)と共に、前記冷却ファン制御モータ75を作動させ、冷却ファン42を駆動する制御を行い(ステップS15)、除塵フラグをリセットすると共に、遅延フラグをリセットする(ステップS16)。
【0066】
前記のように、前記穀稈センサ25、26、27のON状態、即ち、前記コンバイン1が前進して穀稈の刈取を開始したことが検出されたタイミング、或いは、前記穀稈の刈取りが検出された後、所定の遅延時間経過後に、前記冷却ファン42を停止させると共に、前記除塵ファン47を駆動して前記エンジンカバー13の防塵構造12に吸引され付着する塵埃の除塵を行うようにしたので、前記防塵構造12に塵埃を吸着し難い位置で前記防塵構造12の除塵を行うことができ、前記防塵構造12への塵埃の吸着を少なくして、前記コンバイン1による刈取り作業中におけるエンジン41やオイルの冷却効率を向上させることができる。
【0067】
なお、前記各実施の形態においては、冷却ファン42と除塵ファン47を交互に作動させ、エンジン41の冷却と防塵構造12の除塵を交互に行う場合について説明したが、冷却ファン42を逆転させて、エンジン41の冷却と防塵構造12の除塵を交互に行うようにしても良い。また、冷却ファン42の羽根の角度を調整することにより、その送風方向を切換えるようにして、エンジン41の冷却と防塵構造12の除塵を交互に行うようにしても良い。また、除塵操作は、送風だけでなく、ブラシで掃き落とすようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】コンバインの側面図である。
【図2】コンバインの平面図である。
【図3】エンジンルーム内の機器の配置を示す背面図である。
【図4】冷却ファンの駆動系統を示すエンジンの右側面図である。
【図5】図4における伝動部の展開図である。
【図6】図4における冷却ファンの停止状態を示す動作説明図である。
【図7】図4における冷却ファンの駆動状態を示す動作説明図である。
【図8】制御装置のブロック線図である。
【図9】制御装置における制御手順を示すプログラムフローチャートである。
【図10】制御装置における他の制御手順を示すプログラムフローチャートである。
【図11】制御装置における更に他の制御手順を示すプログラムフローチャートである。
【符号の説明】
【0069】
1 コンバイン
2 走行装置(クローラ走行装置)
3 走行機体
5 脱穀装置
12 防塵構造
20 刈取り部
41 エンジン
47 除塵手段(除塵ファン)
82 作業状態検出手段(制御部)
82 刈取り開始検出手段(制御部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン及び脱穀装置を搭載した走行機体の前方に刈取り部を昇降自在に支持し、前記エンジンの動力を変速装置を介して走行装置に伝達して前記走行機体を走行すると共に、前記刈取り部を駆動してなる、コンバインにおいて、
前記エンジンに冷却風を供給する風路に防塵構造を介在すると共に、該防塵構造を除塵する除塵手段を設け、
前記コンバインが作業状態か否かを判定する作業状態検出手段を設け、
前記作業状態検出手段により作業中であると判定されている間に、前記変速装置の所定操作タイミングに合せて前記除塵手段を設定時間駆動してなる、
コンバイン。
【請求項2】
前記変速装置の所定操作タイミングが、刈取り作業中における後進を検出した時である、
請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記変速装置の所定操作タイミングが、刈取り作業中における後進を検出した後に前進を検出した時である、
請求項1記載のコンバイン。
【請求項4】
エンジン及び脱穀装置を搭載した走行機体の前方に刈取り部を昇降自在に支持し、前記エンジンの動力を変速装置を介して走行装置に伝達して前記走行機体を走行すると共に、前記刈取り部を駆動してなる、コンバインにおいて、
前記エンジンに冷却風を供給する風路に防塵構造を介在すると共に、該防塵構造を除塵する除塵手段を設け、
前記刈取り部に設けた所定の穀稈センサを用いて刈取り作業の開始を判定する刈取り開始検出手段を設け、
前記刈取り開始検出手段により刈取り作業が開始されたと判定した時に、前記除塵手段を所定時間駆動してなる、
コンバイン。
【請求項1】
エンジン及び脱穀装置を搭載した走行機体の前方に刈取り部を昇降自在に支持し、前記エンジンの動力を変速装置を介して走行装置に伝達して前記走行機体を走行すると共に、前記刈取り部を駆動してなる、コンバインにおいて、
前記エンジンに冷却風を供給する風路に防塵構造を介在すると共に、該防塵構造を除塵する除塵手段を設け、
前記コンバインが作業状態か否かを判定する作業状態検出手段を設け、
前記作業状態検出手段により作業中であると判定されている間に、前記変速装置の所定操作タイミングに合せて前記除塵手段を設定時間駆動してなる、
コンバイン。
【請求項2】
前記変速装置の所定操作タイミングが、刈取り作業中における後進を検出した時である、
請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記変速装置の所定操作タイミングが、刈取り作業中における後進を検出した後に前進を検出した時である、
請求項1記載のコンバイン。
【請求項4】
エンジン及び脱穀装置を搭載した走行機体の前方に刈取り部を昇降自在に支持し、前記エンジンの動力を変速装置を介して走行装置に伝達して前記走行機体を走行すると共に、前記刈取り部を駆動してなる、コンバインにおいて、
前記エンジンに冷却風を供給する風路に防塵構造を介在すると共に、該防塵構造を除塵する除塵手段を設け、
前記刈取り部に設けた所定の穀稈センサを用いて刈取り作業の開始を判定する刈取り開始検出手段を設け、
前記刈取り開始検出手段により刈取り作業が開始されたと判定した時に、前記除塵手段を所定時間駆動してなる、
コンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−253212(P2008−253212A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−100589(P2007−100589)
【出願日】平成19年4月6日(2007.4.6)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月6日(2007.4.6)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
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