説明

コンバイン

【課題】穀粒排出コンベヤの送出終端側を穀粒送出方向に簡単に延長できるものでありながら、グレンタンクから穀粒を排出しないときには、穀粒排出コンベヤの送出終端側の開口を簡単に閉塞できるようにしたコンバインを提供する。
【解決手段】穀粒排出コンベヤ8の送出終端部に筒体支点軸68を介して回動可能に支持する穀粒排出筒体69と、穀粒排出筒体69を穀粒排出姿勢と穀粒非排出姿勢とに移動させる穀粒排出操作体70とを備え、穀粒排出筒体69の一部によって排出口シッャタ69aを形成し、穀粒非排出姿勢に穀粒排出筒体69が支持されているときに、前記排出口シャッタ69aによって、穀粒排出コンベヤ8の送出終端部の排出口を閉塞可能に構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈取装置によって圃場の未刈り穀稈を刈取りながら、脱穀装置によってその刈取り穀稈を脱穀して、グレンタンクに穀粒を収穫するコンバインに係り、より詳しくは、トラック荷台又はコンテナ等にグレンタンク内の穀粒を排出する穀粒排出コンベヤを備えるコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のコンバインは、走行機体の前側に昇降可能に配設した刈取装置によって、圃場の未刈り穀稈を刈取り、刈取った穀稈を脱穀装置によって脱穀して、グレンタンク内に穀粒を収集するように構成している。穀粒排出コンベヤの先端側に穀粒投出口筒を設ける構造において、穀粒排出コンベヤの先端側に穀粒投出口筒を投げ出し方向変更可能に配置し、穀粒排出コンベヤと平行に穀粒投出口筒を折畳み自在に構成している(特許文献1参照)。穀粒排出コンベヤの軸支線回りに穀粒投出口筒を回動させる技術も公知である(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2001−78557号公報
【特許文献1】特開2006−14号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のコンバインでは、穀粒投出口筒によって穀粒排出コンベヤの送出終端側を穀粒送出方向に簡単に延長できるが、グレンタンクから穀粒を排出しないときにも、穀粒排出コンベヤの先端側の開口が穀粒投出口筒を介して外部に連通されているから、穀粒排出コンベヤの排出口から穀粒が漏れ出るのを防止できない等の問題がある。また、長期間格納状態で、ネズミ等が穀粒投出口筒から穀粒排出コンベヤ内に入り込むのを防止できない等の問題がある。したがって、穀粒排出コンベヤの送出終端側の開口を閉塞するには、特別に閉塞部材を設ける必要があり、穀粒排出コンベヤ又は穀粒投出口筒の構造が複雑になる等の問題がある。また、穀粒投出口筒を移動させるための電動モータを備える構造で、穀粒排出筒体の開閉位置を検出するリミットスイッチ等を設けた場合、前記電動モータの制御構造を簡単に構成できない等の問題がある。
【0004】
本発明の目的は、穀粒排出コンベヤの送出終端側を穀粒送出方向に簡単に延長できるものでありながら、グレンタンクから穀粒を排出しないときには、穀粒排出コンベヤの送出終端側の開口を簡単に閉塞できるようにしたコンバインを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、請求項1に係る発明のコンバインは、エンジンを搭載した走行機体と、刈取装置及び脱穀装置と、前記脱穀装置からの穀粒を溜めるグレンタンクと、前記グレンタンク内の穀粒を排出する穀粒排出コンベヤとを備えるコンバインにおいて、前記穀粒排出コンベヤの送出終端部に筒体支点軸を介して回動可能に支持する穀粒排出筒体と、前記穀粒排出筒体を穀粒排出姿勢と穀粒非排出姿勢とに移動させる穀粒排出操作体とを備え、前記穀粒排出筒体の一部によって排出口シッャタを形成し、穀粒非排出姿勢に前記穀粒排出筒体が支持されているときに、前記排出口シッャタによって、前記穀粒排出コンベヤの送出終端部の排出口を閉塞可能に構成したものである。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のコンバインにおいて、前記穀粒排出コンベヤの排出口縁のうち穀粒排出上手側の排出口縁に前記筒体支点軸を配置し、前記穀粒排出筒体の穀粒受入れ側開口縁のうち前記排出口シッャタ近傍の穀粒受入れ側開口縁を前記筒体支点軸にて回動可能に軸支するように構成したものである。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のコンバインにおいて、前記穀粒排出操作体を穀粒排出電動モータによって形成し、前記穀粒排出電動モータの作動時間によって前記穀粒排出筒体の開閉動作位置を設定し、前記穀粒排出電動モータによって前記穀粒排出操作体を開閉可能に構成したものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、エンジンを搭載した走行機体と、刈取装置及び脱穀装置と、前記脱穀装置からの穀粒を溜めるグレンタンクと、前記グレンタンク内の穀粒を排出する穀粒排出コンベヤとを備えるコンバインにおいて、前記穀粒排出コンベヤの送出終端部に筒体支点軸を介して回動可能に支持する穀粒排出筒体と、前記穀粒排出筒体を穀粒排出姿勢と穀粒非排出姿勢とに移動させる穀粒排出操作体とを備え、前記穀粒排出筒体の一部によって排出口シッャタを形成し、穀粒非排出姿勢に前記穀粒排出筒体が支持されているときに、前記排出口シッャタによって、前記穀粒排出コンベヤの送出終端部の排出口を閉塞可能に構成したものであるから、前記穀粒排出コンベヤの送出終端側を穀粒送出方向に簡単に延長できる。また、前記グレンタンクから穀粒を排出しないときには、穀粒排出コンベヤの送出終端側の開口を簡単に閉塞できる。例えば、収穫作業中(穀粒非排出時)、下向きに開口した前記穀粒排出コンベヤの排出口が前記排出口シッャタにて閉塞されることによって、前記穀粒排出コンベヤの排出口側から残留穀粒が漏れ出るのを防止できる。また、長期間格納状態で、ネズミ等が前記穀粒排出コンベヤの排出口側から前記穀粒排出コンベヤ内に入り込むのを防止できる。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、前記穀粒排出コンベヤの排出口縁のうち穀粒排出上手側の排出口縁に前記筒体支点軸を配置し、前記穀粒排出筒体の穀粒受入れ側開口縁のうち前記排出口シッャタ近傍の穀粒受入れ側開口縁を前記筒体支点軸にて回動可能に軸支するように構成したものであるから、前記穀粒排出コンベヤの軸心線の延長方向(穀粒送出方向)に前記穀粒排出筒体の排出側開口が回動する前記穀粒排出筒体の回動範囲を、90度以上に簡単に設定できる。即ち、下向きの穀粒の放出方向を中心に、前記穀粒排出筒体の前向き放出角度と、前記穀粒排出筒体の後向き放出角度を大きな放出角度にそれぞれ設定できる。トラックの荷台やコンテナ等への穀粒排出作業性を向上できる。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、前記穀粒排出操作体を穀粒排出電動モータによって形成し、前記穀粒排出電動モータの作動時間によって前記穀粒排出筒体の開閉動作位置を設定し、前記穀粒排出電動モータによって前記穀粒排出操作体を開閉可能に構成したものであるから、前記穀粒排出筒体の開閉位置を検出する必要がなく、前記穀粒排出筒体の開閉位置を検出するリミットスイッチやハーネス等が不要になり、前記穀粒排出電動モータの制御構造を簡単に構成できる。ハーネス等の設置数を低減して前記穀粒排出電動モータ等の組立作業性やメンテナンス作業性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係るコンバインを具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、走行機体1の前進方向に向かって左側を単に左側と称し、同じく前進方向に向かって右側を単に右側と称する。図1乃至図3を参照して、本実施形態のコンバインを説明する。図1乃至図3に示す如く、左右一対の走行クローラ2(走行部)にて支持された走行機体1を備えている。走行機体1の前部には、穀稈を刈取る4条刈り用の刈取装置3が、単動式の昇降用油圧シリンダ4によって刈取回動支点軸4a回りに昇降調節可能に装着されている。走行機体1には、フィードチェン6を有する脱穀装置5と、脱穀後の穀粒を貯留するグレンタンク7とが横並び状に搭載されている。なお、脱穀装置5が走行機体1の前進方向に向かって左側に配置され、グレンタンク7が走行機体1の前進方向に向かって右側に配置されている(図3参照)。
【0012】
グレンタンク7の後方から上方にかけてグレンタンク7内の穀粒を機体外部に排出する穀粒排出コンベヤ8が配設されている。後述する穀粒排出コンベヤ8の縦送りオーガ12を中心として、グレンタンク8の前部を機体側方へ回動できるように構成されている。グレンタンク7の前方で走行機体1の右側前部には、運転部10が設けられている。運転部10には、オペレータが搭乗するステップ10a、運転座席10b、操向ハンドル10cや各種の操作レバーやスイッチ等を備えた操作装置を配置している。運転座席10bの下方の走行機体1には、動力源としてのエンジン20が配置されている。
【0013】
図1及び図2に示す如く、走行機体1の下面側に左右のトラックフレーム21を配置している。トラックフレーム21には、走行クローラ2にエンジン20の動力を伝える駆動スプロケット22と、走行クローラ2のテンションを維持するテンションローラ23と、走行クローラ2の接地側を接地状態に保持する複数のトラックローラ24とを設けている。駆動スプロケット22によって走行クローラ2の前側を支持し、テンションローラ23によって走行クローラ2の後側を支持し、トラックローラ24によって走行クローラ2の接地側を支持する。
【0014】
図1乃至図3に示す如く、刈取装置3には、圃場の未刈り穀稈を引起す4条分の穀稈引起装置31と、圃場の未刈り穀稈の株元を切断するバリカン式の刈刃装置32と、穀稈引起装置31からフィードチェン6の前端部(送り始端側)に刈取り穀稈を搬送する穀稈搬送装置33とが備えられている。穀稈引起装置31によって圃場の未刈り穀稈が引起され、刈刃装置32によって未刈り穀稈の株元が切断され、穀稈引起装置31によってフィードチェン6の前端部に刈取り穀稈が搬送される。
【0015】
脱穀装置5には、穀稈脱穀用の扱胴51と、扱胴51の下方に落下する脱粒物を選別する揺動選別機構としての揺動選別盤52と、揺動選別盤52に選別風を供給する唐箕ファン53と、扱胴51の後部から取出される脱穀排出物を再処理する処理胴54と、揺動選別盤52の後部の排塵を機外に排出する排塵ファン61とを備えている。
【0016】
図1及び図2に示す如く、フィードチェン6の後端側(送り終端側)には、排藁チェン62が配置されている。フィードチェン6の後端側から排藁チェン62に受け継がれた排藁(穀粒が脱粒された稈)は、長い状態で走行機体1の後方に排出されるか、又は脱穀装置5の後方側に設けた排藁カッタ63にて適宜長さに短く切断されたのち、走行機体1の後方下方に排出される。また、揺動選別盤52の下方側には、揺動選別盤52にて選別された穀粒(一番選別物)を取出す一番コンベヤ55と、穀粒や藁屑や枝梗付き穀粒等が混合した二番選別物を取出す二番コンベヤ56とが設けられている。なお、走行機体1の進行方向前側から一番コンベヤ55、二番コンベヤ56の順で、側面視において走行クローラ2の後部上方の走行機体1の上面側に横設されている。
【0017】
揺動選別盤52は、扱胴51の下方に落下した脱穀物を、揺動選別(比重選別)するように構成している。揺動選別盤52から落下した穀粒(一番選別物)は、その穀粒中の粉塵が唐箕ファン53からの選別風によって除去され、一番コンベヤ55に落下する。一番コンベヤ55のうち脱穀装置5におけるグレンタンク7寄りの一側壁(実施形態では右側壁)から外向きに突出した終端部には、上下方向に延びる一番揚穀筒57が連通接続されている。一番コンベヤ55から取出された穀粒は、一番揚穀筒57に内設された一番揚穀コンベヤ(図示省略)によってグレンタンク7に搬入され、グレンタンク7の内部に収集される。
【0018】
揺動選別盤52は、揺動選別(比重選別)によって、枝梗付き穀粒等の二番選別物(穀粒と藁屑等が混在した再選別用の還元再処理物)を二番コンベヤ56に落下させるように構成されている。二番コンベヤ56によって取出された二番選別物は、二番還元筒58及び二番処理部59を介して揺動選別盤52の上面側に戻されて再選別される。また、扱胴51からの脱粒物中の藁屑及び粉塵等は、唐箕ファン53からの選別風と排塵ファン61の吸排塵作用とによって、走行機体1の後部から圃場に向けて排出される。
【0019】
図2に示す如く、穀粒排出コンベヤ8は、グレンタンク7内の底部に配置する横送りオーガ11と、グレンタンク7の後部の外側に立設する縦送りオーガ12及び縦送りオーガ筒13と、縦送りオーガ12の上端側に連結する排出オーガ14及び排出オーガ筒15とを有する。縦送りオーガ12の略垂直なオーガ軸心線(縦軸)回りに排出オーガ筒15の先端側を旋回させるオーガ旋回用電動モータ16と、排出オーガ筒15の基端側を支点に排出オーガ筒15の先端側を昇降させるオーガ昇降用油圧シリンダ17とを備える。オーガ旋回用電動モータ16又はオーガ昇降用油圧シリンダ17を作動させて、排出オーガ筒15の先端側を任意位置に旋回又は昇降させる。
【0020】
図1乃至図3に示す如く、グレンタンク7内の前後方向に横送りオーガ11を延長し、グレンタンク7の前部から後部に横送りオーガ11によってグレンタンク7内の穀粒を移動させる。走行機体1の上面側に縦送りオーガ12を直立させ、グレンタンク7の後部の横送りオーガ11の送り終端側から縦送りオーガ12の下端側の送り始端に、グレンタンク7内の穀粒を移動させる。刈取装置3及び脱穀装置5の上面側で前後方向に排出オーガ14を横架させ、縦送りオーガ12の上端側の送り終端側から排出オーガ14の後端側の送り始端に穀粒を移動させる。なお、横送りオーガ11から縦送りオーガ12を介して排出オーガ14にエンジン20の回転力が伝達される。
【0021】
図1乃至図3に示す如く、脱穀装置5の上面側にオーガスタンド18を設け、オーガスタンド18を介して収納位置(非排出位置)に排出オーガ筒15を支持する。排出オーガ14及び排出オーガ筒15は、前側排出オーガ14a及び前側排出オーガ筒15aと、後側排出オーガ14b及び後側排出オーガ筒15bとを有する。収穫作業中、後側排出オーガ筒15bにロックレバー19を介して前側排出オーガ筒15aが連結されて、コンバイン機体の右側後部から左側前部に向けて排出オーガ筒15が延長された姿勢で支持される。一方、トラックでのコンバインの運搬や納屋へのコンバインの格納等、非収穫作業のときに、ロックレバー19の連結を解除して、後側排出オーガ筒15bの左側方に前側排出オーガ筒15aを二つ折り状に折畳み、脱穀装置5の上面側に前側排出オーガ筒15aをコンパクトに収納させる。
【0022】
次に、図4乃至図6を参照して、穀粒排出コンベヤ8の穀粒排出構造を説明する。図4乃至図6に示す如く、穀粒排出コンベヤ8の送出終端部である前側排出オーガ筒15aの先端部に投出口体66を配置する。前側排出オーガ筒15aの先端部に投出口体66の一端側の入口開口66aが一体的に固着されている。投出口体66の他端側の投出口66bは下向きに開口した形状に形成されている。投出口体66の投出口前側壁66cにベアリング軸受67を介して前側排出オーガ14aのオーガ軸先端が回転自在に軸支されている。なお、投出口体66は、四角筒をL形に折り曲げた形状に形成され、入口開口66aと投出口66bとがL形通路66dによって連通されている。
【0023】
図4乃至図6に示す如く、穀粒排出コンベヤ8の送出終端部に筒体支点軸68を介して回動可能に支持する四角筒形状の穀粒排出筒体69と、穀粒排出筒体69を穀粒排出姿勢と穀粒非排出姿勢とに移動させる穀粒排出操作体としての穀粒排出電動モータ70とを備える。投出口体66の投出口後側壁66eの外側に、入口開口66a縁の下端側の延長部分によって軸受フック66fを形成する。投出口後側壁66eにボルト71にて抜止めアーム72を締結し、抜止めアーム72を介して軸受フック66fに筒体支点軸68を回動可能に支持させている。
【0024】
図4乃至図6に示す如く、穀粒排出筒体69の一部によって排出口シッャタ69aを形成する。穀粒非排出姿勢に穀粒排出筒体69が支持されているときに、排出口シッャタ69aによって、穀粒排出コンベヤ8の送出終端部の排出口である投出口66bを閉塞可能に構成している。即ち、穀粒排出筒体69の四角筒形の四面の側壁のうち、閉塞姿勢で下側に位置し且つ穀粒排出姿勢で穀粒排出上手側に位置する穀粒排出筒体69の後面側の側壁によって、排出口シッャタ69aが形成されている。
【0025】
図4乃至図6に示す如く、穀粒排出コンベヤ8の排出口縁のうち、投出口体66の穀粒排出上手側の排出口縁(投出口66b縁)に、筒体支点軸68が配置される。穀粒排出筒体69の穀粒受入れ側開口69b縁のうち、排出口シッャタ69a近傍の穀粒受入れ側開口69b縁が、投出口体66に筒体支点軸68を介して回動可能に軸支されるように構成している。また、排出口シッャタ69aによって投出口66bを閉塞しているときに、穀粒排出コンベヤ8の穀粒排出方向に投出口体66から穀粒排出筒体69の穀粒放出側開口69c縁が突出するように構成している。穀粒放出側開口69c縁に締結バンド73を介して軟質樹脂製筒状体74が連結されている。
【0026】
図5に示す如く、筒体支点軸68を中心にした円周方向に延長する形状に、投出口体66の側壁のうち筒体支点軸68が設置された投出口後側壁66eに対向した投出口前側壁66cの上部角隅部66gを形成している。その結果、投出口体66の側壁のうち投出口上側壁66hと穀粒排出筒体69の側壁との間隔を縮小できる。また、筒体支点軸68を中心にした円周方向に延長する形状に、穀粒排出筒体69の側壁のうち、投出口前側壁66cに対向した穀粒排出筒体69の前側壁69dを形成している。その結果、穀粒排出筒体69の穀粒受入れ側開口69b縁と、前側排出オーガ筒15aの上面又は投出口前側壁66cとの間隔を縮小できる。
【0027】
図4及び図6に示す如く、投出口体66の一部又は全部が被嵌された状態で、投出口体66を配置した穀粒排出コンベヤ8の延長方向に、穀粒排出筒体69の穀粒放出側開口69cを移動可能に構成している。即ち、穀粒非排出姿勢に穀粒排出筒体69が支持されているとき、換言すると、排出口シッャタ69aによって投出口66bが閉塞されているときに、投出口体66の全部が穀粒排出筒体69に内包される(図4参照)。その結果、穀粒非排出姿勢に穀粒排出筒体69が支持されているときは、穀粒排出コンベヤ8の延長方向に突出する穀粒排出筒体69の長さを短く形成できる。
【0028】
一方、穀粒排出筒体69が穀粒排出姿勢に支持されているとき、換言すると、排出口シッャタ69aが投出口66b閉塞位置から後方に移動して、投出口66bが開放されているときに、投出口体66の一部(投出口66b縁)に穀粒排出筒体69の穀粒受入れ側開口69b縁が被嵌される(図6参照)。その結果、穀粒排出筒体69が穀粒排出姿勢に支持されているときは、投出口体66の下方に突出する穀粒排出筒体69の長さを長く形成できる。
【0029】
図1乃至図6に示す如く、エンジン20を搭載した走行機体1と、刈取装置3及び脱穀装置4と、脱穀装置4からの穀粒を溜めるグレンタンク7と、グレンタンク7内の穀粒を排出する穀粒排出コンベヤ8とを備えるコンバインにおいて、穀粒排出コンベヤ8の送出終端部に筒体支点軸68を介して回動可能に支持する穀粒排出筒体69と、穀粒排出筒体69を穀粒排出姿勢と穀粒非排出姿勢とに移動させる穀粒排出操作体としての穀粒排出電動モータ70とを備え、穀粒排出筒体69の一部によって排出口シッャタ69aを形成し、穀粒非排出姿勢に穀粒排出筒体69が支持されているときに、前記排出口シッャタ69aによって、穀粒排出コンベヤ8の送出終端部の排出口を閉塞可能に構成している。したがって、穀粒排出コンベヤ8の送出終端側を穀粒送出方向に簡単に延長できる。また、グレンタンク7から穀粒を排出しないときには、穀粒排出コンベヤ8の送出終端側の開口を簡単に閉塞できる。例えば、収穫作業中(穀粒非排出時)、下向きに開口した穀粒排出コンベヤ8の排出口が前記排出口シッャタ69aにて閉塞されることによって、穀粒排出コンベヤ8の排出口側から残留穀粒が漏れ出るのを防止できる。また、長期間格納状態で、ネズミ等が穀粒排出コンベヤ8の排出口側から穀粒排出コンベヤ8内に入り込むのを防止できる。
【0030】
図4乃至図6に示す如く、穀粒排出コンベヤ8の排出口縁のうち穀粒排出上手側の排出口縁に筒体支点軸68を配置し、穀粒排出筒体69の穀粒受入れ側開口縁のうち排出口シッャタ69a近傍の穀粒受入れ側開口縁を筒体支点軸68にて回動可能に軸支するように構成している。したがって、穀粒排出コンベヤ8の軸心線の延長方向(穀粒送出方向)に穀粒排出筒体69の排出側開口が回動する穀粒排出筒体69の回動範囲を、90度以上に簡単に設定できる。即ち、下向きの穀粒の放出方向を中心に、穀粒排出筒体69の前向き放出角度と、穀粒排出筒体69の後向き放出角度を大きな放出角度にそれぞれ設定できる。トラックの荷台やコンテナ等への穀粒排出作業性を向上できる。
【0031】
図4乃至図6に示す如く、穀粒排出コンベヤ8の送出終端部に投出口体66を設け、筒体支点軸68を中心にした円周方向に延長する形状(多角形、円弧形)に、投出口体66の側壁のうち筒体支点軸68が設置された投出口後側壁66eに対向した投出口前側壁66cの上部角隅部66gを形成し、筒体支点軸68を中心にした円周方向に延長する形状(多角形又は円弧形)に、投出口前側壁66cに対向した穀粒排出筒体69の排出筒前側壁69dを形成している。したがって、穀粒排出コンベヤ8の延長方向に穀粒排出筒体69を収納したときに、穀粒排出筒体69内に穀粒排出コンベヤ8の排出口部(投出口体66)をコンパクトに内包できる。穀粒排出コンベヤ8の上下方向や左右方向に大きく張出すことなく、穀粒排出コンベヤ8の延長方向に穀粒排出筒体69を収納できる。
【0032】
図4乃至図6に示す如く、穀粒排出コンベヤ8の送出終端部に投出口体66を設け、投出口体66の排出口縁のうち穀粒排出上手側の排出口縁に筒体支点軸68を配置し、穀粒排出筒体69の穀粒受入れ側開口縁69bのうち排出口シッャタ69a近傍の穀粒受入れ側開口縁69bを筒体支点軸68にて回動可能に軸支し、投出口体66の一部又は全部が被嵌された状態で、投出口体66を配置した穀粒排出コンベヤ8の延長方向に、穀粒排出筒体69の穀粒放出側開口69cを移動可能に構成している。したがって、穀粒排出コンベヤ8の延長方向(穀粒送出方向)に穀粒排出筒体69をコンパクトに収納できる。穀粒排出筒体69の折畳み上下幅寸法、即ち穀粒排出筒体69の収納状態で、穀粒排出コンベヤ8の下面側に穀粒排出筒体69の下面側が突出する寸法を小さく形成でき、脱穀装置5の上面側カバー等に穀粒排出筒体69の下面側が接触するのを防止できる。脱穀装置5の上面側カバー等に穀粒排出コンベヤ8を接近させて収納できる。コンバイン機体の上下幅寸法をコンパクトに形成できるから、運搬作業性や格納作業性を向上できる。
【0033】
次に、図5、図7及び図8を参照して、穀粒排出筒体69の開閉構造と、穀粒排出電動モータ70を用いた穀粒排出筒体69の開閉制御を説明する。図5に示す如く、穀粒排出電動モータ70は、前側排出オーガ筒15aの右外側面にボルト81にて締結されている。前側排出オーガ筒15aの右外側面には、扇形開閉ギヤ82がギヤ支軸83を介して回動可能に軸支されている。穀粒排出電動モータ70の出力軸84に出力ギヤ85を介して開閉ギヤ82を歯合させている。開閉ギヤ82には、長さ調節可能なターンバックル付きロッド86の一端側がピン軸87にて連結されている。筒体支点軸68に設けた開閉リンク88にターンバックル付きロッド86の他端側を連結している。穀粒排出電動モータ70の正逆転操作によって穀粒排出筒体69が開閉作動するように構成している。
【0034】
図2、図3、図7に示す如く、運転部10に設ける運転側開閉スイッチ91及びタイマ設定器92及びモード切換スイッチ93と、穀粒排出コンベヤ8の送出終端部に設ける先端側開閉スイッチ94と、コンピュータによって形成した穀粒排出コントローラ95とを備える。穀粒排出コントローラ95に、運転側開閉スイッチ91及びタイマ設定器92及びモード切換スイッチ93と、先端側開閉スイッチ94を入力接続させる。穀粒排出コントローラ95に穀粒排出電動モータ70を出力接続させる。運転側開閉スイッチ91の操作又は先端側開閉スイッチ94の操作によって穀粒排出電動モータ70が正転又は逆転作動する。タイマ設定器92によって設定された時間だけ穀粒排出電動モータ70が正転又は逆転作動する。モード切換スイッチ93の操作によって、穀粒排出電動モータ70が正転又は逆転作動して穀粒排出筒体69が所定位置に所定姿勢で停止したり、穀粒排出電動モータ70が繰返し正転又は逆転作動して穀粒排出筒体69が所定範囲内(穀粒排出範囲内)で往復(首振り)揺動するように構成している。
【0035】
図8に示す如く、穀粒排出電動モータ70の穀粒排出制御が実行される。即ち、タイマ設定器92のタイマ設定値が読込まれ、運転部10のオペレータによって運転側開閉スイッチ91がオン操作され、穀粒排出電動モータ70が開動したときに、タイマ設定器92のタイマ設定値に基づき設定時間だけ穀粒排出電動モータ70が開動作する。その結果、図6に示す如く、穀粒排出筒体69が閉位置Aから斜め前方位置Bに移行し、穀粒排出コンベヤ8の穀粒送り方向で斜め前方に向けて穀粒排出筒体69から穀粒が排出される。なお、穀粒排出電動モータ70の穀粒排出制御は、図示しないトラックの荷台又はコンテナの上方に穀粒排出筒体69を支持している状態で実行されることはいうまでもまい。
【0036】
また、運転側開閉スイッチ91のオン操作によって、穀粒排出電動モータ70が再び開動したときに、タイマ設定器92のタイマ設定値に基づき設定時間だけ穀粒排出電動モータ70がさらに開動作し、穀粒排出筒体69が斜め前方位置Bから下向き位置Cに移行し、穀粒排出コンベヤ8の穀粒送り方向と直交する下向き方向に穀粒排出筒体69から穀粒が排出される。
【0037】
さらに、運転側開閉スイッチ91のオン操作によって、穀粒排出電動モータ70が再び開動したときに、タイマ設定器92のタイマ設定値に基づき設定時間だけ穀粒排出電動モータ70がさらに開動作し、穀粒排出筒体69が下向き位置Cから斜め後方位置Dに移行し、穀粒排出コンベヤ8の穀粒送り方向で斜め後方に向けて穀粒排出筒体69から穀粒が排出される。
【0038】
即ち、穀粒排出電動モータ70が開動する運転側開閉スイッチ91のオン操作回数によって、穀粒排出筒体69が、閉位置Aから斜め前方位置Bに移行し、斜め前方位置Bから下向き位置Cに移行し、下向き位置Cから斜め後方位置Dに移行することによって、穀粒排出筒体69から穀粒が広範囲にばら撒かれるように排出される。
【0039】
一方、運転側開閉スイッチ91のオン操作によって、穀粒排出電動モータ70が閉動したときに、タイマ設定器92のタイマ設定値に基づき設定時間だけ穀粒排出電動モータ70が閉動作し、穀粒排出筒体69が斜め後方位置Dから下向き位置Cに移行する。また、運転側開閉スイッチ91のオン操作によって、穀粒排出電動モータ70が再び閉動したときに、タイマ設定器92のタイマ設定値に基づき設定時間だけ穀粒排出電動モータ70がさらに閉動作し、穀粒排出筒体69が下向き位置Cから斜め前方位置Bに移行する。さらに、運転側開閉スイッチ91のオン操作によって、穀粒排出電動モータ70が再び閉動したときに、タイマ設定器92のタイマ設定値に基づき設定時間だけ穀粒排出電動モータ70が再び閉動作し、穀粒排出筒体69が斜め前方位置Bから閉位置Aに移行し、穀粒の排出作業を終了する。
【0040】
他方、運転側開閉スイッチ91のオン操作と同様に、先端側開閉スイッチ94のオン操作によって、穀粒排出電動モータ70が開動し、タイマ設定器92のタイマ設定値に基づき設定時間だけ穀粒排出電動モータ70が開動作した場合、穀粒排出筒体69が、閉位置Aから斜め前方位置Bに移行したり、斜め前方位置Bから下向き位置Cに移行したり、下向き位置Cから斜め後方位置Dに移行し、穀粒排出筒体69から穀粒が広範囲にばら撒かれるように排出される。また、穀粒排出電動モータ70が閉動し、タイマ設定器92のタイマ設定値に基づき設定時間だけ穀粒排出電動モータ70が閉動作した場合、穀粒排出筒体69が、斜め後方位置Dから下向き位置Cに移行したり、下向き位置Cから斜め前方位置Bに移行したり、斜め前方位置Bから閉位置Aに移行し、穀粒の排出作業を終了する。
【0041】
また、運転側開閉スイッチ91とモード切換スイッチ93がオン操作された場合、穀粒排出電動モータ70の開動と閉動の各動作が連続的に繰返し行われる。即ち、穀粒排出筒体69が、斜め前方位置Bと斜め後方位置Dとの間を往復するように揺動し、図示しないトラックの荷台又はコンテナ等の内部に穀粒排出筒体69から穀粒が広範囲にばら撒かれるように排出される。
【0042】
図6乃至図8に示す如く、穀粒排出操作体を穀粒排出電動モータ70によって形成し、穀粒排出電動モータ70の作動時間によって穀粒排出筒体69の開閉動作位置を設定し、穀粒排出電動モータ70によって穀粒排出操作体69を開閉可能に構成している。したがって、穀粒排出筒体69の開閉位置を検出する必要がなく、前記穀粒排出筒体69の開閉位置を検出するリミットスイッチやハーネス等が不要になり、穀粒排出電動モータ70の制御構造を簡単に構成できる。ハーネス等の設置数を低減して穀粒排出電動モータ70等の組立作業性やメンテナンス作業性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の4条刈り用のコンバインの左側面図である。
【図2】コンバインの右側面図である。
【図3】コンバインの平面図である。
【図4】穀粒排出コンベヤと穀粒排出筒体の拡大断面図である。
【図5】投出口体と穀粒排出筒体の拡大断面図である。
【図6】穀粒排出筒体の作動説明図である。
【図7】穀粒排出電動モータの制御回路図である。
【図8】穀粒排出制御のフローチャートである。
【符号の説明】
【0044】
1走行機体
3刈取装置
5脱穀装置
7グレンタンク
8穀粒排出コンベヤ
20エンジン
66投出口体
68筒体支点軸
69穀粒排出筒体
69a排出口シッャタ
70穀粒排出電動モータ(穀粒排出操作体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンを搭載した走行機体と、刈取装置及び脱穀装置と、前記脱穀装置からの穀粒を溜めるグレンタンクと、前記グレンタンク内の穀粒を排出する穀粒排出コンベヤとを備えるコンバインにおいて、
前記穀粒排出コンベヤの送出終端部に筒体支点軸を介して回動可能に支持する穀粒排出筒体と、前記穀粒排出筒体を穀粒排出姿勢と穀粒非排出姿勢とに移動させる穀粒排出操作体とを備え、
前記穀粒排出筒体の一部によって排出口シッャタを形成し、穀粒非排出姿勢に前記穀粒排出筒体が支持されているときに、前記排出口シッャタによって、前記穀粒排出コンベヤの送出終端部の排出口を閉塞可能に構成したことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記穀粒排出コンベヤの排出口縁のうち穀粒排出上手側の排出口縁に前記筒体支点軸を配置し、前記穀粒排出筒体の穀粒受入れ側開口縁のうち前記排出口シッャタ近傍の穀粒受入れ側開口縁を前記筒体支点軸にて回動可能に軸支するように構成したことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記穀粒排出操作体を穀粒排出電動モータによって形成し、前記穀粒排出電動モータの作動時間によって前記穀粒排出筒体の開閉動作位置を設定し、前記穀粒排出電動モータによって前記穀粒排出操作体を開閉可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−81911(P2010−81911A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−257341(P2008−257341)
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】