説明

コンバイン

【課題】エンジンのメンテナンスの容易化、運転座席の移動構成の簡素化、キャビンを移動させて行うメンテナンス作業およびキャビンを移動させないで行う作業の容易化。
【解決手段】グレンタンクの前側にエンジンを設け、エンジンカバー9とキャビン12を一体に設ける。キャビン12はリンク機構により移動自在にする。リンク機構の外側アームとキャビン12内の作業者が乗るメインステップ88の下方との間の空間89内には不使用時の補助ステップ92を格納する。空間89内における補助ステップ92よりも内側の部位には、燃料ホース内のエアー抜き用の手動ポンプ90を設ける。手動ポンプ90は前記空間89内に格納状態の補助ステップ92越しに機体外側から操作可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、走行装置を有する機体フレームにエンジンを設け、該エンジンの上方に運転部の運転座席を設けたものにおいて、前記運転座席は縦軸の軸周りに外側方に向けて回動自在にした構成は、公知である(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−28941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例は、単に、運転座席は縦軸の軸周りに外側方に向けて回動させる構成のため、縦軸とキャビンの側面との部分は、外側方に向けて回動させても、機体フレーム上に残ってしまいエンジンの周辺の開放できる空間が狭く限られるという課題がある。
本願は、キャビンの移動支持構成を工夫し、エンジンの周辺を大きく開放すると共に、キャビンを移動させて行うメンテナンス作業およびキャビンを移動させないで行う作業も容易にできるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明では、下方に走行装置2を備えた機体フレーム1の上部に脱穀装置3を設け、該脱穀装置3の前側に刈取装置4を設け、前記脱穀装置3の横側にグレンタンク5を設け、該グレンタンク5の前側の機体フレーム1上にエンジン11を設け、該エンジン11を覆うエンジンカバー9と一体のキャビン12を設け、該キャビン12はグレンタンク5の前側に位置する閉鎖位置とキャビン12の一部または全部が機体フレーム1の外側方へ移動した開放位置との間にわたりリンク機構15により移動自在に支持し、該リンク機構15は、基部を固定側フレーム35に内側基部取付軸18と外側基部取付軸19で夫々回動自在に取付けた内側アーム16と外側アーム17の先端部を、内側先端取付軸21および外側先端取付軸22により前記キャビン12側に夫々取り付けて、前記内側基部取付軸18および外側基部取付軸19と内側先端取付軸21および外側先端取付軸22の四点を回動中心とする構成とし、前記外側アーム17とキャビン12内の作業者が乗るメインステップ88の下方との間の空間89内には不使用時の補助ステップ92を格納しうる構成とし、前記空間89内における補助ステップ92よりも内側の部位には、エンジン11に供給する燃料を貯留する燃料タンク85とエンジン11との間に設けた燃料ホース91内のエアー抜き用の手動ポンプ90を設け、該手動ポンプ90は前記空間89内に格納状態の補助ステップ92越しに機体外側から操作可能な構成としたことを特徴とするコンバインとしたものであり、リンク機構15は、内側アーム16と外側アーム17の二本のアームにより4点リンクに構成しているので、キャビン12はグレンタンク5の前側に位置する閉鎖位置と平面視キャビン12の一部または全部が機体フレーム1より側方にはみ出る開放位置に外側オープンし、エンジン11の周囲を大きく開放できて、エンジン11周辺のメンテナンス作業が容易になる。
また、内側アーム16および外側アーム17の基部はエンジン11よりも後方の機体フレーム1の任意の固定部に内側基部取付軸18と外側基部取付軸19で回動自在に取付け、内側アーム16と外側アーム17の先端は、それぞれ運転座席7よりも前方に位置させ、キャビン12の所定部分に内側先端取付軸21と外側先端取付軸22により回動自在に取付けているので、内側基部取付軸18および外側基部取付軸19と内側先端取付軸21および外側先端取付軸22の四点を回動中心とするリンク機構15によりキャビン12が移動し、エンジン11の周囲を大きく開放できて、メンテナンス作業が容易になる。
さらに、外側アーム17とキャビン12のメインステップ88の間の空間89内に補助ステップ92を格納しているが、補助ステップ92の内側の空間89内には、エンジン11に供給する燃料を貯留する燃料タンク85とエンジン11との間に設けた燃料ホース91内のエアー抜き用の手動ポンプ90を、空間89内に格納状態の補助ステップ92越しに機体外側から操作可能としているので、キャビン12をオープンさせず、しかも、補助ステップ92を空間89から引き出すことなく格納状態で手動ポンプ90を操作してエンジン11の始動(再始動)操作を行う。
請求項2記載の発明では、前記空間89内には少なくとも前記刈取装置4を上下させる刈取上下シリンダ等を作動させる油圧バルブ95を設け、該油圧バルブ95は前記空間89内に格納状態の補助ステップ92越しに機体外側から操作可能な構成としたことを特徴とするコンバインとしたものであり、空間89内の油圧バルブ95は空間89内に格納状態の補助ステップ92越しに機体外側から操作を行える。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明では、特許文献1に記載の従来技術に比較して、エンジン11の周辺をより大きく開放できて、メンテナンス作業を容易に行うことができるだけでなく、補助ステップ92の内側の空間89内の手動ポンプ90を、キャビン12をオープンさせず、しかも、補助ステップ92を空間89から引き出すことなく格納状態で機体外側から操作でき、エンジン11の始動(再始動)操作を容易にできる。
請求項2記載の発明では、請求項1記載の発明の効果に加え、空間89内の油圧バルブ95は空間89内に格納状態の補助ステップ92越しに機体外側から操作を行えるので、油圧バルブ95のメンテナンス作業を容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】コンバインの側面図。
【図2】キャビンの開放状態平面図。
【図3】キャビンの側面図。
【図4】支持体付近の側面図。
【図5】同正面図。
【図6】キャビンの開放状態平面図。
【図7】同一部拡大図。
【図8】キャビンの開放状態の概略斜視図。
【図9】固定側フレームにリンク機構を組付たキャビンの側面図。
【図10】キャビンの組付状態側面図。
【図11】エアークリーナー付近の側面図。
【図12】支持体付近の側面図。
【図13】ドレン付近の側面図。
【図14】排風カバーを設けた平面図。
【図15】同正面図。
【図16】支持ローラの他の実施例の正面図。
【図17】同平面図。
【図18】同側面図。
【図19】同概略平面図。
【図20】一次フィルタ付近の平面図。
【図21】二次フィルタ付近の側面図。
【図22】移動補助ステップ部格納状態側面図。
【図23】二次フィルタ付近の平面図。
【図24】同平面図。
【図25】一次フィルタ付近の平面図。
【図26】同側面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施例を図面により説明すると、1はコンバインの機体フレーム、2は走行装置、3は走行装置2の上方の一側に設けた脱穀装置、4は刈取装置、5は脱穀装置3の側方に設けたグレンタンク、6は操縦部である。
操縦部6には作業者の立つステップ(図示省略)および作業者の着座する運転座席7および運転座席7の前側に設けたスイッチやレバー類を有する操作ボックス8等により構成する。
前記操縦部6は機体フレーム1の上方に設けたエンジン11の一部または全部を包囲するエンジンカバー(ラジエターカバー)9と一体の任意形状のキャビン12内に設ける。
即ち、キャビン12はエンジン11の上方に設けられ、エンジンカバー9と一体に構成されるが、本願はこのキャビン12の移動構成に関するものであり、キャビン12とエンジンカバー9との構成および形状は任意であり、実施例に限定されず、具体的構成の説明は省略する。
キャビン12は、グレンタンク5の前側に位置する閉鎖位置と平面視キャビン12の一部または全部が機体フレーム1の側部よりも側方にはみ出た開放位置との間、リンク機構15により移動自在に構成する。
【0009】
前記リンク機構15の一例を示すと、内側アーム16と外側アーム17の二本のアームにより構成し、内側アーム16および外側アーム17の基部は前記エンジン11よりも後方の機体フレーム1の任意の固定部に内側基部取付軸18と外側基部取付軸19で回動自在に取付ける。
内側アーム16と外側アーム17の先端は、それぞれ運転座席7よりも前方に位置させ、キャビン12の所定部分に内側先端取付軸21と外側先端取付軸22により回動自在に取付ける。
そのため、内側基部取付軸18および外側基部取付軸19と内側先端取付軸21および外側先端取付軸22の四点を回動中心とするリンク機構15によりキャビン12が移動するように構成されることになり、エンジン11の後側まで略開放できて、メンテナンス作業が容易になる。
この場合、内側アーム16の内側基部取付軸18はキャビン12の左端(内側部分)よりキャビン12の左右方向の中央部分までの中間位置に配置し、外側アーム17の外側基部取付軸19はキャビン12の左右方向の中央部分よりキャビン12の右端(外側部分)までの中間位置あるいはキャビン12の右端側に位置するように配置すると、キャビン12の移動範囲を大きくすることができ、好適である。
【0010】
前記外側アーム17は、前記機体フレーム1に出入り自在に設けた支持体30により支持するように構成する。
支持体30は、前記機体フレーム1の左右方向の横枠31内に左右方向に摺動自在に内蔵し、キャビン12が閉鎖位置のときは横枠31内に収納し、キャビン12を開放位置に外側回動させるとき、横枠31から支持体30を手作業により引き出して外側アーム17を支持する。
そのため、外側アーム17を下方から支持体30が支持するので、外側アーム17の変形を防止でき、キャビン12の外側オープン時の支持強度を向上させる。
また、支持体30は機体フレーム1の横枠31内に内蔵するので、支持体30の全長を長くすることができ、キャビン12の外側オープン量を大きくできる。
前記支持体30は、底板32Aと前後板32Bにより上面を開放した上向きコ型形状に形成し、前後板32Bの間には支持体30の長さ方向に長い支持ローラ33を設ける。支持ローラ33は前記外側アーム17の下面に当接して下方から支持する。
そのため、キャビン12の外側オープンを支持ローラ33により軽く行え、オープン作業を容易にする。
34は支持体30の先端に設けたストッパ部材、34Aは外側アーム17の外面に当接する当接部、34Bはボルト、34Cは機体フレーム1に固定状態に設けた取付部材である。
【0011】
支持体30は、キャビン12が閉鎖位置のとき、ストッパ部材34の当接部34Aが外側アーム17の外面に当接する。キャビン12を開放位置に外側オープンさせるとき、横枠31から支持体30を手作業により引き出し、図5の取付部材34Cは機体フレーム1に固定状態のまま位置し、ストッパ部材34の当接部34Aが図5の左側に移動し、外側アーム17の下方に支持ローラ33が位置し、支持ローラ33上に外側アーム17を支持させて、キャビン12を外側オープンさせる。
そのため、支持ローラ33は、支持体30内に回転自在に設ければよい。
なお、支持体30は機体フレーム1の横枠31に対して左右方向の中間所望位置にまで出し入れ自在に構成し、ジャッキアップおよび吊り治具と兼用する構成してもよい。
しかして、リンク機構15の内側アーム16と外側アーム17の基部を取付ける固定側フレーム35は機体フレーム1に取付け、固定側フレーム35に内側アーム16と外側アーム17の基部を取付けて、リンク機構15を予め固定側フレーム35側に取付け、固定側フレーム35に取付けた内側アーム16と外側アーム17にキャビン12のキャビンフレーム36を取付ける。
【0012】
即ち、キャビン12を支持する固定側フレーム35に予めリンク機構15を取り付けて組立品として構成し、固定側フレーム35とリンク機構15の組立品を機体フレーム1に取付け、リンク機構15にキャビン12のキャビンフレーム36を取付ける。
また、反対に、図9は、機体フレーム1に取付ける前の固定側フレーム35に、リンク機構15を介してキャビン12のキャビンフレーム36を予め取付けた状態を示し、この固定側フレーム35をキャビン12ごと機体フレーム1に組み付けてもよい(図10)。
そのため、移動するリンク機構15を固定側フレーム35に組み付けているので、組み付け誤差がなく、調整も不要で、組付性が良い。
また、リンク機構15にキャビン12のキャビンフレーム36を取付後に、各部に接続したハーネスをキャビン12の操作部に接続でき、ハーネスを固定側とキャビン12側とに分断する必要がなく、接続作業が容易であると共に、電気的故障の発生を防止する。
【0013】
固定側フレーム35の構成は、任意であるが、一例を示すと、左右一対(内外一対)の後側縦フレーム37、38を有し、内側後側縦フレーム37には前後方向の内側側部フレーム39を設ける。また、外側後側縦フレーム38には前後方向の外側側部フレーム40を設ける。
後側縦フレーム37と後側縦フレーム38の間に後側中間縦フレーム41を設け、後側中間縦フレーム41に内側アーム16の基部を取付ける。
また、前記内側側部フレーム39は、その後部を後側縦フレーム37に着脱自在に取付け、内側側部フレーム39の前部は機体フレーム1に着脱自在に取付け、エンジン11の内側周辺を開放できるように構成している。
また、内側側部フレーム39と外側側部フレーム40との間には支持フレーム42を設け、支持フレーム42の上面を前記内側アーム16が移動するようにし、内側アーム16の移動を支持フレーム42が支持するように構成する。
内側アーム16は支持フレーム42により前後中間部が支持されるので、内側アーム16の支持強度および取付強度を向上させ、内側アーム16の変形を抑制する。
前記内側アーム16には横軸回転のローラ45を設け、ローラ45を支持フレーム42の上面に当接させる。
【0014】
そのため、内側アーム16の移動が円滑になり、キャビン12のオープン作業を容易にする。
前記支持フレーム42は、内側アーム16を固定側フレーム35に取付ける内側基部取付軸18を略中心とする円弧形状に形成する。
この支持フレーム42も、固定側フレーム35側に対して着脱自在に構成すると、支持フレーム42を外すことによりエンジン11の上方周辺を開放させられ、エンジン11を吊り上げて行うメンテナンス作業が可能になり、エンジン11のメンテナンス作業を容易にする。
しかして、エンジン11の上方にはエアクリーナー50を設ける(図11)。エアクリーナー50は略閉塞したケース51A内に設け、ケース51A内の空間によりエアクリーナー室51を形成する。前記固定側フレーム35の後側縦フレーム38と後側中間縦フレーム41との間のエンジン11の上方には底板55を設け、底板55上にエアクリーナー50を内蔵したケース51Aを固定状態に設ける。底板55の内側には内側板56を設ける。
前記ケース51Aは、キャビン12のキャビンフレーム36側に設けた後板52と前板53と天板54と前記エンジンカバー9の防塵ネット57と、前記固定側フレーム35の底板55と内側板56とにより包囲され、清浄な二重の閉塞空間を形成している。
【0015】
このエアクリーナー室51内には、リレーやコントローラ等の電装品60を設ける。エアクリーナー室51内は、図示は省略するが、エアフィルタを通した清浄な空気が流入しているので、電装品60の劣化や故障発生を抑制し、耐久性を向上させる。
エアクリーナー50は前記底板55の上面に位置し、底板55と内側板56は固定側フレーム35側に設け、また、前記後板52と前板53と天板54は、キャビンフレーム36側に設け、エアクリーナー50(ケース51A)をエンジン11側に残してキャビン12のオープン可能に構成する。
エアクリーナー50をエンジン11側に残すので、キャビン12の移動作業に際し、エアクリーナー50のホース50Aを外す作業が不要となって、キャビン12のオープン作業を容易にする。
また、エアクリーナー50のホース50Aの脱着作業が不要となるため、ホース接続忘れも含めたエアクリーナー50のホース50Aの脱着の作業ミスを未然に防止できる。
【0016】
この場合、前板53には開口部61を形成し、該開口部61を点検用蓋62により塞いでいる(図8)。点検用蓋62はキャビン12内の運転座席7の後側に位置させ、運転座席7は点検用蓋62の前側位置から前方に倒す等の手段により移動可能に構成し、運転座席7を移動させて点検用蓋62を外してエアクリーナー室51内のメンテナンスを行う。
したがって、点検用蓋62を外すことにより、電装品60の点検・交換等のメンテナンスも行える。
前記内側アーム16の基部の内側基部取付軸18は後側中間縦フレーム41と固定側フレーム35のメインフレーム63とに取付け、メインフレーム63の上面側とキャビンフレーム36側の下面(例えば前記後板52の下部部分)との間に内側アーム16の基部を位置させる。
したがって、固定側フレーム35側とキャビンフレーム36側との干渉を避けて内側アーム16の基部を配置でき、そのため、内側アーム16の基部から先端までの距離を長くでき、キャビン12の回動オープン量を大きくでき、開放量を大きくできる。
【0017】
また、前記外側アーム17の下面68は、前記機体フレーム1の縦杆69の上面よりも下側に位置させる(図5,図12)。
したがって、キャビン12の支持位置を低くできるため、キャビン12の全高を低く支持できる。
即ち、外側アーム17の前後杆70は、縦杆69の外側に位置させ、縦杆69に対して外側に回動するように配置させ、機体フレーム1の縦杆69の上面よりも下側に位置する外側アーム17の前後杆70の外側回動を可能にしている。
また、外側アーム17の基部と機体フレーム1とを取付ける外側基部取付軸19の取付部分は、正面視において、外側アーム17の前後杆70よりも外側にはみ出さずに配置でき、リンク機構15とキャビン12をコンパクトに構成できる。
前記外側アーム17の下面68より下方の、前記機体フレーム1の縦杆69には、エンジン11のオイル排出用のドレン72を設け、ドレン72にはエンジン11に接続したドレンパイプ73を接続する(図13)。
そのため、ドレン72からエンジンオイルを排出させることができ、エンジン11のメンテナンスを容易にする。
【0018】
また、ドレン72の上方を外側アーム17はオープン回動するので、エンジン11のメンテナンス作業を確保したまま、キャビン12のオープンを可能にしている。
なお、図示は省略するが、ドレン72にはドレン72を閉塞させるドレンナットを螺合させてドレン72を閉塞する。
図14,図15は、エンジン11のエンジン冷却用ファン(図示省略)の冷却風を案内する排風カバー75の実施例であり、排風カバー75は、少なくとも、前記固定側フレーム35の内側側部フレーム39より内側の前記固定側フレーム35の所定部分に着脱自在に取付ける。
したがって、排風カバー75はキャビン12のオープン機構と干渉せずに、エンジン冷却用ファン(図示省略)の冷却風を案内する。
排風カバー75の形状は任意であるが、実施例ではエンジン11の内側上方に位置する天板76と前側に位置する前板77を有している。
即ち、エンジン冷却用ファンは右側のエンジンカバー9から吸引した冷却風を、エンジン11に当てて左側に送風してエンジン11を冷却するが、排風カバー75はこの冷却風を左側に案内する。
【0019】
また、排風カバー75は冷却風がキャビン12内に向けて吹き上がるのを防止する作用も期待し、エンジン11の熱気によるキャビン12内の室温上昇を抑制する。
そのため、エアクリーナー室51の底板55に続いて排風カバー75によりエンジン冷却用ファンの冷却風を案内するようにすると、冷却風のキャビン12内への侵入抑制効果を向上させられて、好適である。
図16〜図19は、前記外側アーム17のオープン回動を容易にする他の実施例であり、支持ローラ33を外側アーム17側に取付け、支持ローラ33の下面を支持体30の上面に当接するように配置する。
そのため、外側アーム17をオープン回動させると、支持ローラ33の下面が支持体30の上面を転動し、外側アーム17のオープン回動を容易にする。
また、機体側の各部とキャビン12とを接続するホース50A類、ハーネス類をエンジン11のエンジンルームの後壁の後側に出したうえで、位置規制部材により固定する。
そのため、ホース50A類、ハーネス類はある程度余裕を持って配索するが、キャビン12の後方はグレンタンク5が回動するため、この回動するグレンタンク5とホース50A類およびハーネス類とが干渉する虞があるが、位置規制部材により固定しているので、グレンタンク5と干渉せずに、キャビン12をオープンさせられる。
【0020】
しかして、前記エンジン11に供給する燃料を貯留する燃料タンク85とエンジン11との間には、一次フィルタ86と二次フィルタ87を設ける(図20)。
前記二次フィルタ87は、前記キャビン12内の作業者が乗るメインステップ88の下方の空間89内に設ける。二次フィルタ87には手動ポンプ90を設ける。所謂コモンレール型エンジン11を採用している本願では、エンジンストップ等の理由に起因して燃料タンク85とエンジン11とを接続する燃料ホース91内に空気泡(エアー)が発生し、この空気泡(エアー)を抜いて燃料をエンジン11に送る手動ポンプ90の設置が必要となるが、この手動ポンプ90および二次フィルタ87をメインステップ88の下方の空間89内に設ける。
したがって、手動ポンプ90を設けた二次フィルタ87を、キャビン12のメインステップ88の下方の空間89内に設けているので、燃料ホース91内に空気泡(エアー)が発生すると、手動ポンプ90の操作部材94を手動操作して、空気泡(エアー)を抜いて燃料をエンジン11に送れるようにする。
【0021】
前記空間89は側面視メインステップ88と外側アーム17との間に位置し、空間89には補助ステップ92を設ける(図21)。補助ステップ92のうち移動補助ステップ部93Aは不使用状態では空間89内に格納し、空間89から引き出して使用する。
93Bは空間89内に設けた固定補助ステップ部である。
補助ステップ92の固定補助ステップ部93Bと格納した移動補助ステップ部93Aとの間には上下に間隔を有するように構成し、上下の固定補助ステップ部93Bと格納した移動補助ステップ部93Aとの間から前記手動ポンプ90の操作部材94の操作を行えるように配置する。
即ち、手動ポンプ90は、補助ステップ92が格納状態でも操作可能に設置する。
したがって、エンジン始動操作を容易にする。また、メインステップ88の下方の空間89に二次フィルタ87と手動ポンプ90と補助ステップ92とを設けているので、メインステップ88の下方の空間を有効利用できる。
【0022】
換言すると、前記空間89内における補助ステップ92よりも内側の部位には、エンジン11に供給する燃料を貯留する燃料タンク85とエンジン11との間に設けた燃料ホース91内のエアー抜き用の手動ポンプ90を設け、該手動ポンプ90は前記空間89内に格納状態の補助ステップ92越しに機体外側から操作可能な構成とする。
また、空間89の側面視メインステップ88と外側アーム17との間は、開放状態に開口させているので、カバーなどを着脱させずに手動ポンプ90の操作が可能となって、操作性を向上させられる。
また、二次フィルタ87はエンジン11に近く、二次フィルタ87とエンジン11との間の距離を短くできるので、燃料配管のゴミ詰まり等のリスクを小さくできる。
前記空間89内には、油圧バルブ95を設ける。油圧バルブ95は、刈取装置4を上下させる刈取上下シリンダ(図示省略)等を作動させる。
油圧バルブ95は、格納状態の補助ステップ92の内側の空間89内に設け、補助ステップ92が格納状態のであってもメンテナンス可能に設置する。
そのため、油圧バルブ95のメンテナンスを容易にする。
【0023】
しかして、前記一次フィルタ86は、脱穀装置3の二番コンベア(図示省略)の二番還元揚穀装置96と一番揚穀装置97の間に配置する(図20)。
即ち、左右に位置する脱穀装置3とグレンタンク5との間に前記二番還元揚穀装置96と一番揚穀装置97を前後に配置し、前後の二番還元揚穀装置96と一番揚穀装置97の間に一次フィルタ86を位置させる。
したがって、高さが高く設置スペースを必要とする一次フィルタ86を、二番還元揚穀装置96と一番揚穀装置97との間の空間を有効利用して効率よく配置でき、合理的な配置構成となる。
また、燃料タンク85と一次フィルタ86の間の距離を小さくでき、ガス欠等の場合の配管内にエアが入ることがあり、このエア抜き等の作業を容易にして、燃料供給が容易となる。
即ち、一次フィルタ86に設けた手動ポンプ86Aを操作してエア抜きを行い、これにより、一次フィルタ86迄燃料が供給され、一次フィルタ86迄燃料が供給されると、後は電磁フィードポンプ86Bで燃料がエンジン11まで供給される。
したがって、燃料タンク85と一次フィルタ86の間の距離を短くすることで、手動ポンプ86Aの操作によるエア抜き作業を容易にする。
【0024】
前記一次フィルタ86は、支持ステー105に取付け、支持ステー105は一部を機体フレーム1に固定状態に取付け、支持ステー105の他方はピッチングシリンダ用取付ステー106に取付ける。
即ち、ピッチング用シリンダ(図示省略)はロッドの伸縮方向を縦にすると、ピッチング用シリンダの設置スペースを小さくでき、全体の構成品の配置効率を向上させられ、このように配置したピッチング用シリンダのピッチングシリンダ用取付ステー106に支持ステー105を取付けるので、ピッチングシリンダ用取付ステー106および支持ステー105の支持剛性を向上させられる。
したがって、この支持ステー105に一次フィルタ86を取付けるので、高さが高く設置スペースを必要とする一次フィルタ86を空間を有効利用して効率よく配置でき、合理的な配置構成となる。
前記支持ステー105は後側横杆107と前側横杆108と前後杆109により平面視コの字形状に形成する。110は後側横杆107に連設した縦杆である。
支持ステー105は、一番揚穀装置97の前後側に後側横杆107と前側横杆108を位置させ、グレンタンク5側の側部に前後杆109を位置させて、一番揚穀装置97を迂回させて支持ステー105を配置する。
【0025】
そのため、前記一次フィルタ86の支持ステー105を、一番揚穀装置97の前側に設けたピッチングシリンダ用取付ステー106に一番揚穀装置97を迂回させて連結固定するので、脱穀装置3とグレンタンク5の間の空間を有効利用して効率よく配置でき、合理的な配置構成となる。
前記支持ステー105は、縦杆110の下部を機体フレーム1に固定し、縦杆110と後側横杆107に一次フィルタ86を取付け、前側横杆108をピッチングシリンダ用取付ステー106に固定している。
【0026】
(実施例の作用)
操縦部6の運転座席7に着座し、エンジン11を始動させ、走行装置2により機体を走行させ、刈取装置4で刈取り、刈り取った穀稈を脱穀装置により脱穀する。
所定期間作業を作業すると、キャビン12を移動させてエンジン11の周囲を開放し、メンテナンス作業を行う。
キャビン12は、グレンタンク5の前側に位置する閉鎖位置と平面視キャビン12の一部または全部が機体フレーム1より側方にはみ出るように移動する開放位置との間、リンク機構15により移動自在に構成しているから、エンジン11の後側まで略開放できて、メンテナンス作業が容易になる。
リンク機構15は、内側アーム16と外側アーム17の二本のアームにより構成し、内側アーム16および外側アーム17の基部はエンジン11よりも後方の機体フレーム1の任意の固定部に内側基部取付軸18と外側基部取付軸19で回動自在に取付け、内側アーム16と外側アーム17の先端は、それぞれ運転座席7よりも前方に位置させ、キャビン12の所定部分に内側先端取付軸21と外側先端取付軸22により回動自在に取付けているので、内側基部取付軸18および外側基部取付軸19と内側先端取付軸21および外側先端取付軸22の四点を回動中心とするリンク機構15によりキャビン12が移動し、エンジン11の後側まで略開放できて、メンテナンス作業が容易になる。
【0027】
この場合、内側アーム16の内側基部取付軸18はキャビン12の左端(内側部分)よりキャビン12の左右方向の中央部分までの中間位置に配置し、外側アーム17の外側基部取付軸19はキャビン12の左右方向の中央部分よりキャビン12の右端(外側部分)までの中間位置あるいはキャビン12の右端側に位置するように配置しているので、キャビン12の移動範囲を大きくすることができる。
しかして、リンク機構15の外側アーム17は、前記機体フレーム1に出入り自在に設けた支持体30により支持するように構成しているので、外側アーム17を支持体30が支持するので、外側アーム17の変形を防止でき、キャビン12の外側オープン時の支持強度を向上させる。
支持体30は、機体フレーム1の左右方向の横枠横枠31内に左右方向に摺動自在に内蔵し、キャビン12が閉鎖位置のときは横枠31内に収納し、キャビン12を開放位置に外側回動させるとき、横枠31から支持体30を手作業により引き出して外側アーム17を支持するように構成しているので、支持体30は外側アーム17を下方から支持でき、支持強度を向上させられるので、外側アーム17の変形を防止でき、キャビン12の外側オープン時の支持強度を向上させる。
【0028】
また、支持体30は機体フレーム1の横枠31内に内蔵して格納しているので、支持体30の全長を長くすることができ、キャビン12の外側オープン量を大きくできる。
前記支持体30は、底板32Aと前後板32Bを有して形成し、前後板32Bの間には支持体30の長さ方向に長い支持ローラ33を設けているので、キャビン12を開放位置に外側回動させるとき、横枠31から支持体30を手作業により引き出すと、支持ローラ33は外側アーム17の下面に当接して下方から支持する。
そのため、キャビン12の外側オープンするとき、外側アーム17の下面と支持体30との接触抵抗を支持ローラ33が減少させるので、オープン作業を軽く行え、オープン作業を容易にする。
なお、図16〜図19の前記外側アーム17のオープン回動を容易にする他の実施例では、支持ローラ33を外側アーム17側に取付けているので、支持ローラ33の下面が支持体30の上面を転動しながら荷重を支持する。
そのため、外側アーム17のオープン回動を容易にする。
【0029】
しかして、内側側部フレーム39と外側側部フレーム40との間には支持フレーム42を設け、支持フレーム42の上面を前記内側アーム16が移動するようにし、内側アーム16の移動を支持フレーム42が支持するように構成しているので、内側アーム16は支持フレーム42により前後中間部が支持されるので、内側アーム16の支持強度および取付強度を向上させ、内側アーム16の変形を抑制する。
前記内側アーム16には横軸回転のローラ45を設け、ローラ45を支持フレーム42の上面に当接させるので、内側アーム16の移動が円滑になり、キャビン12のオープン作業を容易にする。
そのため、キャビン12は、リンク機構15の内側アーム16と外側アーム17に支持されて外側オープンするが、キャビン12の外側オープンするとき、内側アーム16と外側アーム17は、夫々ローラ45と支持ローラ33により夫々移動抵抗を減少させるので、キャビン12の左右側が内側アーム16と外側アーム17により支持して外側オープンすることができ、荷重を分散させ、しかも移動抵抗を軽減させてオープン作業を軽く行え、オープン作業を容易にする。
【0030】
しかして、リンク機構15の内側アーム16と外側アーム17の基部を取付ける固定側フレーム35は機体フレーム1に取付け、固定側フレーム35に内側アーム16と外側アーム17の基部を取付けて、リンク機構15を固定側フレーム35側に取付け、固定側フレーム35に取付けた内側アーム16と外側アーム17にキャビン12のキャビンフレーム36を取付けるので、組み付け誤差がなく、調整も不要で、組付性が良い。
したがって、キャビン12を支持する固定側フレーム35にリンク機構15を取り付けて組立品として構成しているので、固定側フレーム35とリンク機構15の組立品を機体フレーム1に取付け、リンク機構15にキャビン12のキャビンフレーム36を取付けられ、組付・組立作業を容易にする。
また、リンク機構15にキャビン12のキャビンフレーム36を取付ることができるので、キャビン12をリンク機構15に取付けた後に、各部に接続したハーネスをキャビン12の操作部に接続すれば良く、ハーネスを固定側とキャビン12側とに分断する必要がなく、接続作業が容易であると共に、電気的故障の発生を防止する。
【0031】
また、図9のキャビン12は固定側フレーム35に、リンク機構15を介してキャビン12のキャビンフレーム36を取付け、図10のように固定側フレーム35をキャビン12ごと機体フレーム1に組み付けてもよく、組付・組立作業を容易にする。
固定側フレーム35の構成は、任意であるが、一例を示すと、左右一対(内外一対)の後側縦フレーム37、38を有し、内側後側縦フレーム37には前後方向の内側側部フレーム39を設け、また、外側後側縦フレーム38には前後方向の外側側部フレーム40を設け、内側側部フレーム39は、その後部を後側縦フレーム37に着脱自在に取付け、内側側部フレーム39の前部は機体フレーム1に着脱自在に取付け、エンジン11の内側周辺を開放できるように構成しているので、エンジン11のメンテナンス作業を容易にする。
前記支持フレーム42も、内側側部フレーム39に対して着脱自在に構成すると、支持フレーム42を外すことによりエンジン11の上方周辺を開放させられ、エンジン11を吊り上げて行うメンテナンス作業が可能になり、エンジン11のメンテナンス作業を容易にする。
【0032】
前記支持フレーム42は、内側側部フレーム39と共に取り外すと、エンジン11の上方周辺のみならず、エンジン11の内側付近空間を開放でき、エンジン11を吊り上げて行うメンテナンス作業を一層容易にする。
しかして、エンジン11の上方にはエアクリーナー50を設け、エアクリーナー50は周囲を閉塞したエアクリーナー室51内に設け、エアクリーナー室51内にリレーやコントローラ等の電装品60を設置しており、エアクリーナー室51内はエアフィルタにより清浄な空気が流入しているので、電装品60の劣化や故障発生を抑制し、耐久性を向上させる。
エアクリーナー室51はケース51A内に設けられ、ケース51Aは固定側フレーム35の底板55上に取付けられ、ケース51Aはキャビンフレーム36側の後板52と前板53と天板54と防塵ネット57を有するエンジンカバー9によっても二重に閉塞されて設置されているので、一層、エアクリーナー室51内への塵埃等の侵入を防止する。
【0033】
そして、エアクリーナー50(ケース51A)は底板55に取付け、底板55は固定側フレーム35側に設け、また、エアクリーナー室51の後板52と前板53と天板54は、キャビンフレーム36側に設けているので、エアクリーナー50をエンジン11側に残したままキャビン12のオープン可能となる。
したがって、キャビン12のオープン移動作業に際し、エアクリーナー50とエンジン11とを結ぶホース50Aを外す作業が不要となって、キャビン12のオープン作業を容易にする。また、エアクリーナー50のホース50Aの脱着作業が不要となるため、ホース接続忘れも含めたエアクリーナー50のホース50Aの脱着の作業ミスを未然に防止できる。
この場合、キャビンフレーム36の前板53には開口部61を形成し、開口部61を点検用蓋62により塞いでいるので、運転座席7を移動させて点検用蓋62を外してエアクリーナー室51内のメンテナンスを行う。
したがって、点検用蓋62を外すことにより、電装品60の点検・交換等のメンテナンスも行える。
【0034】
内側アーム16の基部の内側基部取付軸18は後側中間縦フレーム41と固定側フレーム35のメインフレーム63とに取付け、メインフレーム63側の上面とキャビンフレーム36側の下面との間に内側アーム16の基部を位置させているので、固定側フレーム35側とキャビンフレーム36側との干渉を避けて内側アーム16の基部を配置でき、そのため、内側アーム16の基部から先端までの距離を長くでき、キャビン12の回動オープン量を大きくでき、開放量を大きくできる。
また、前記外側アーム17の下面68は、前記機体フレーム1の縦杆69の上面よりも下側に位置させているので、キャビン12の支持位置を低くでき、キャビン12の全高を低く支持できる。
即ち、外側アーム17の前後杆70は、縦杆69の外側に位置させているので、縦杆69の上面よりも低い外側アーム17であっても縦杆69に対して外側に回動し、キャビン12を外側オープンさせる。
【0035】
また、外側アーム17の基部と機体フレーム1とを取付ける外側基部取付軸19の取付部分は、正面視において、外側アーム17の前後杆70よりも外側にはみ出さずに配置でき、外側アーム17の基部取付部分が路上走行時等における接触を防止して破損を防止する。
前記外側アーム17の下面68より下方の、前記機体フレーム1の縦杆69には、エンジン11のオイル排出用のドレンドレン72を設けているので、ドレン72からエンジンオイルを排出させることができ、エンジン11のメンテナンスを容易にする。
また、ドレン72の上方を外側アーム17はオープン回動するので、エンジン11のメンテナンス作業を確保したまま、キャビン12のオープンを可能にしている。
図14,図15の実施例では、エンジン11のエンジン冷却用ファン(図示省略)の冷却風を案内する排風カバー排風カバー75を、少なくとも、前記固定側フレーム35の内側側部フレーム39より内側の前記固定側フレーム35の所定部分に取付けているので、排風カバー75はキャビン12のオープン機構と干渉せずに、エンジン冷却用ファン(図示省略)の冷却風を案内する。
【0036】
しかして、エンジン11に供給する燃料を貯留する燃料タンク85とエンジン11との間には、一次フィルタ86と二次フィルタ87を設け、二次フィルタ87は、前記キャビン12内の作業者が乗るメインステップ88の下方の空間89内に設け、二次フィルタ87には手動ポンプ90を設けているので、所謂コモンレール型エンジン11を採用した場合のエンジンストップ等の理由に起因した燃料ホース91内のエアー抜きを手動ポンプ90より行う。
即ち、エンジンストップ等の理由に起因した燃料ホース91内のエアー発生は、エンジン11と二次フィルタ87との間に起こるので、二次フィルタ87の手動ポンプ90により行う。
この手動ポンプ90を設けた二次フィルタ87は、キャビン12のメインステップ88の下方の空間89内に設けているので、キャビン12の近傍で手動ポンプ90の手動操作によりエアー抜きでき、エンジン11の再始動を容易にする。
この場合、空間89は側面視メインステップ88と外側アーム17との間に形成され、空間89には不使用時の移動補助ステップ部93Aを格納し、手動ポンプ90は、移動補助ステップ部93Aが格納状態でも操作可能に設置しているので、一々補助ステップ92を引出格納することなく、手動ポンプ90の操作を行え、手動ポンプ90の操作性を向上させられる。
したがって、この点でも、エンジン始動操作を容易にする。
【0037】
また、メインステップ88の下方の空間89に二次フィルタ87と手動ポンプ90と補助ステップ92とを設けているので、メインステップ88の下方の空間を有効利用できる。
また、空間89の側面視メインステップ88と外側アーム17との間は、開放状態に開口させているので、カバーなどを着脱させずに手動ポンプ90の操作が可能となって、操作性を向上させられる。
また、二次フィルタ87はエンジン11に近く、二次フィルタ87とエンジン11との間の距離を短くできるので、燃料配管のゴミ詰まり等のリスクを小さくできる。
空間89内には刈取装置4を上下させる刈取上下シリンダ(図示省略)等を作動させる油圧バルブ油圧バルブ95を設け、油圧バルブ95は、格納状態の補助ステップ92の内側の空間89内に設け、補助ステップ92が格納状態であってもメンテナンス可能にしているので、油圧バルブ95のメンテナンスを容易にする。
なお、前記した各実施例は、理解を容易にするために、個別または混在させて図示および説明しているが、これらの実施例は夫々種々組合せ可能であり、これらの表現.によって、構成・作用等が限定されるものではなく、また、相乗効果を奏する場合も勿論存在する。
【符号の説明】
【0038】
1…機体フレーム、2…走行装置、3…脱穀装置、4…刈取装置、5…グレンタンク、6…操縦部、7…運転座席、8…操作ボックス、9…エンジンカバー、11…エンジン、12…キャビン、15…リンク機構、16…内側アーム、17…外側アーム、18…内側基部取付軸、19…外側基部取付軸、21…内側先端取付軸、22…外側先端取付軸、30…支持アーム、31…横枠、32A…底板32A、32B…前後板32B、33…支持ローラ33、34…ストッパ部材、34A…当接部、34B…ボルト、34C…取付部材、35…固定側フレーム、36…キャビンフレーム、37…後側縦フレーム、38…後側縦フレーム、39…内側側部フレーム、40…外側側部フレーム、50…エアクリーナー、51…エアクリーナー室、51A…ケース、52…後板、53…前板、54…天板、55…底板、56…内側板、57…防塵ネット、60…電装品、60…開口部、61…点検用蓋、63…メインフレーム、68…下面、69…縦杆、70…前後杆、72…ドレン、73…ドレンパイプ、75…排風カバー、76…天板、77…前板、85…燃料タンク、86…一次フィルタ、87…二次フィルタ、88…メインステップ、89…空間、90…手動ポンプ、91…燃料ホース、92…補助ステップ、93A…移動補助ステップ部、93B…移動補助ステップ部、95…油圧バルブ、96…二番還元揚穀装置、97…一番揚穀装置、105…支持ステー、106…ピッチングシリンダ用取付ステー、107…後側横杆、108…前側横杆、109…前後杆。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方に走行装置(2)を備えた機体フレーム(1)の上部に脱穀装置(3)を設け、該脱穀装置(3)の前側に刈取装置(4)を設け、前記脱穀装置(3)の横側にグレンタンク(5)を設け、該グレンタンク(5)の前側の機体フレーム(1)上にエンジン(11)を設け、該エンジン(11)を覆うエンジンカバー(9)と一体のキャビン(12)を設け、該キャビン(12)はグレンタンク(5)の前側に位置する閉鎖位置とキャビン(12)の一部または全部が機体フレーム(1)の外側方へ移動した開放位置との間にわたりリンク機構(15)により移動自在に支持し、該リンク機構(15)は、基部を固定側フレーム(35)に内側基部取付軸(18)と外側基部取付軸(19)で夫々回動自在に取付けた内側アーム(16)と外側アーム(17)の先端部を、内側先端取付軸(21)および外側先端取付軸(22)により前記キャビン(12)側に夫々取り付けて、前記内側基部取付軸(18)および外側基部取付軸(19)と内側先端取付軸(21)および外側先端取付軸(22)の四点を回動中心とする構成とし、前記外側アーム(17)とキャビン(12)内の作業者が乗るメインステップ(88)の下方との間の空間(89)内には不使用時の補助ステップ(92)を格納しうる構成とし、前記空間(89)内における補助ステップ(92)よりも内側の部位には、エンジン(11)に供給する燃料を貯留する燃料タンク(85)とエンジン(11)との間に設けた燃料ホース(91)内のエアー抜き用の手動ポンプ(90)を設け、該手動ポンプ(90)は前記空間(89)内に格納状態の補助ステップ(92)越しに機体外側から操作可能な構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
請求項1において、前記空間(89)内には少なくとも前記刈取装置(4)を上下させる刈取上下シリンダ等を作動させる油圧バルブ(95)を設け、該油圧バルブ(95)は前記空間(89)内に格納状態の補助ステップ(92)越しに機体外側から操作可能な構成としたことを特徴とするコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2011−177054(P2011−177054A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−42322(P2010−42322)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】