説明

コンバイン

【課題】排出オーガによる穀粒の排出状況を視認しながらオーガクラッチ操作具を操作しやすくする。
【解決手段】操縦部40の後方にグレンタンク60が配置され、グレンタンク60の後部と連通するように排出オーガ65が設けられたコンバインにおいて、排出オーガ65への動力伝達を断接するオーガクラッチ420を操作するためのレバー441を、グレンタンク60の機体外側の側面(右側面60y)であって操縦部40近傍に配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンバインに関し、より詳細には、排出オーガへの動力伝達を断接するオーガクラッチを操作するためのオーガクラッチ操作具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、排出オーガへの動力伝達を断接するオーガクラッチと、該オーガクラッチを操作するためのオーガクラッチ操作具と、を具備するコンバインが公知となっている。例えば特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載のコンバインの機体の前部には、操縦部が設けられ、該操縦部の後方には、脱穀後の穀粒を貯溜するためのグレンタンクが配置されている。そして、該グレンタンク内の穀粒を機外に排出するための排出オーガが、グレンタンクの後部と連通するように設けられている。排出オーガは、非作業時には、機体の右外側に突出するように設けられたオーガレストに載置されている。
また、特許文献1に記載のコンバインには、排出オーガへの動力伝達を断接するオーガクラッチが設けられており、該オーガクラッチを操作するためのオーガクラッチ操作具(手動操作レバー)が、操縦部における座席の左方に配置されている。
【0004】
このような構成のコンバインにおいて、収穫作業の途中でグレンタンクが満杯になった場合、収穫作業を中断して穀粒を機外に排出する必要がある。具体的には、例えばコンバインをダンプトラックの荷台の近傍に移動させるとともに、排出オーガを右方向に回動させて、該排出オーガの先端(排出口)をコンバインの機体の右側方または右後方に向ける。こうして、排出オーガの先端をダンプトラックの荷台の上に合わせた状態として、オーガクラッチ操作具によりオーガクラッチを入操作することにより、グレンタンク内の穀粒をダンプトラックの荷台に排出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−299063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のコンバインにおいては、オーガクラッチ操作具が操縦部における座席の左方に配置されていたため、オペレータがコンバインの機体の右側方または右後方に向けられた排出オーガの先端(排出口)を見ながらオーガクラッチ操作具を操作することは困難であった。すなわち、排出オーガによる穀粒の排出状況を視認しながらオーガクラッチ操作具を操作することが困難であった。
【0007】
本発明は、上記を考慮して、排出オーガによる穀粒の排出状況を視認しながらオーガクラッチ操作具を操作しやすくすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、操縦部の後方にグレンタンクが配置され、該グレンタンクの後部と連通するように排出オーガが設けられたコンバインにおいて、前記排出オーガへの動力伝達を断接するオーガクラッチを操作するためのオーガクラッチ操作具を、前記グレンタンクの機体外側の側面であって前記操縦部近傍に配置したことを特徴としている。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載のコンバインにおいて、前記オーガクラッチは前記グレンタンクの後方に配置され、前記オーガクラッチ操作具と前記オーガクラッチとを連結する操作ワイヤーは、前記グレンタンクの機体外側の側面に設けられた筒状の取っ手により案内されることを特徴としている。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のコンバインにおいて、前記オーガクラッチ操作具はレバーにより構成され、前記オーガクラッチ操作具により前記オーガクラッチを入操作した場合には、前記レバーが前記操縦部への乗降の障害となる方向に突出することを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、排出オーガによる穀粒の排出状況を視認しながらオーガクラッチ操作具を操作することが可能となる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、オペレータがグレンタンクの機体外側の側方で作業する際に使用する取っ手を利用(兼用)して、操作ワイヤーを案内することができ、部品点数の削減を図ることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、オーガクラッチが「入」の状態でオペレータが操縦部に乗り降りすることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の一形態に係るコンバインの全体的な構成を示す右側面図である。
【図2】本発明の実施の一形態に係るコンバインの全体的な構成を示す正面図である。
【図3】操縦部、グレンタンク、排出オーガ、及びオーガクラッチ操作部の配置を示す右側面図である。
【図4】操縦部、グレンタンク、排出オーガ、及びオーガクラッチ操作部の配置を示す斜視図である。
【図5】オーガクラッチの構成を示す後面模式図である。
【図6】オーガクラッチ操作部の構成を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は右側面断面図である。(b)において実線で示したレバーの位置は入位置を表し、二点鎖線で示したレバーの位置は切位置を表している。
【図7】別実施例に係るオーガクラッチ操作具の構成を示す右側面図である。図中において実線で示したレバーの位置は入位置を表し、二点鎖線で示したレバーの位置は切位置を表している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、本発明の実施の一形態に係るコンバイン1の全体的な構成について、図1及び図2を参照して説明する。
【0016】
コンバイン1は、稲や麦や蕎麦や小豆や大豆等の種々の収穫物を収穫するための汎用型のコンバインであり、本発明に係るコンバインの実施の一形態である。図1及び図2に示すように、コンバイン1は、機体フレーム2、走行装置10、刈取装置20、脱穀装置31を収容した筐体30、操縦部40、サンバイザ43、エンジン55を収容したエンジンルーム50、グレンタンク60、揚穀装置90、排出オーガ65、及び籾取出口71・72等を具備して構成される。
【0017】
機体フレーム2は、コンバイン1の骨格を成すものである。機体フレーム2の下部は、走行装置10により支持されている。走行装置10は、左右一対のクローラ17・17等を含んで構成される。
【0018】
機体フレーム2の前部には、圃場の未刈取の穀物を刈り取るための刈取装置20が具備される。刈取装置20は、往復動する刈刃等を備えて構成される。また、刈取装置20の前部には、未刈取の穀物を掻き込むための掻込リール22が具備される。
【0019】
機体フレーム2の左右一側(本実施形態では進行方向左側)には、筐体30が具備される。筐体30は、概ね直方体形状のケースである。筐体30内には脱穀装置31及び選別装置が収容される。脱穀装置31は、筐体30内の上部に配置され、扱胴等を備えて構成される。前記扱胴の下方には、受け網(またはコーンケーブ)が配置され、該受け網の下方には、前記選別装置が配置される。該選別装置は、揺動選別装置や唐箕等を備えて構成される。
【0020】
機体フレーム2の左右他側(本実施形態では進行方向右側)の前部には、操縦部40が設けられる。操縦部40には、オペレータが着座するための座席41や、コンバイン1の操向操作及び収穫作業に用いる種々の操作具等が備えられる。座席41の上方には、サンバイザ43が配置される。
【0021】
機体フレーム2の左右他側(本実施形態では進行方向右側)の後部には、エンジン55を収容したエンジンルーム50が設けられる。エンジンルーム50は、操縦部40の後方に配置される。エンジンルーム50は、筐体30の右後側方に隣接するように、該筐体30と横並びに設けられる。
【0022】
筐体30(脱穀装置31)及びエンジンルーム50の上方には、脱穀装置31で脱穀された後の穀粒を貯溜するグレンタンク60が配置される。グレンタンク60は、筐体30及びエンジンルーム50の上方に跨るように配置される。グレンタンク60の底部には、該グレンタンク60内の穀粒を排出オーガ65に送り出すための排出コンベアが設けられる。該排出コンベアは、螺旋羽根を有するコンベアであり、その長手方向を前後方向に向けた状態で設けられる。該排出コンベアの下流側の端部(後端部)は、排出オーガ65の上流側の端部に接続される。
【0023】
グレンタンク60の前後中央部には、脱穀装置31で脱穀されて前記選別装置で選別された後の一番穀粒をグレンタンク60内に送るための揚穀装置90が立設される。揚穀装置90は、機体フレーム2の左右略中央で筐体30の右側方に立設され、その長手方向を上下方向に向けた状態で設けられる。揚穀装置90の下端部は、前記選別装置の一番コンベアに連通し、揚穀装置90の上部はグレンタンク60内に連通している。揚穀装置90の揚穀筒(外郭を成す円筒状の部材)内には、螺旋羽根を有するコンベアが備えられていて、前記一番コンベアからの穀粒を上方に向かって送り出しグレンタンク60内に搬入することができるように構成されている。
【0024】
排出オーガ65は、グレンタンク60内の穀粒を機外に排出するためのものであり、円筒状の部材の内部に螺旋羽根を有するコンベアを備えて構成される。排出オーガ65は、グレンタンク60の後部と連通するように設けられ、オーガレスト67により下方から支持されている。
【0025】
籾取出口71・72は、グレンタンク60内の穀粒を、排出オーガ65を通さずに機外に排出するためのものである。籾取出口71・72の下方に籾袋A・Aをセットすることにより、該籾袋A・Aに穀粒を直接取り出すことができる。
【0026】
以上の如き構成のコンバイン1は、操縦部40での操作具の操作に応じて、エンジン55の動力を各部の装置に伝達して、走行装置10で機体を走行させながら、刈取作業及び脱穀作業を行うことができるものである。より具体的には、掻込リール22により掻きこまれて刈取装置20で刈り取られた穀物は、搬送装置25によって筐体30内に搬送される。そして、筐体30内の脱穀装置31で脱穀されて、前記選別装置で藁屑等と選別される。藁屑等と選別された一番穀粒は、揚穀装置90の前記揚穀筒内を通ってグレンタンク60内に搬入される。グレンタンク60内の穀粒は、排出オーガ65を通してダンプトラックの荷台等に排出されるか、あるいは、籾取出口71・72を通して籾袋A・Aに排出される。
【0027】
以下では、排出オーガ65について、図3〜図6を参照して詳細に説明する。
排出オーガ65は、縦排出オーガ65A及び横排出オーガ65B等により構成される。
【0028】
図3及び図5に示すように、縦排出オーガ65Aは、コンバイン1の機体の上下方向に延在して、グレンタンク60からの穀粒を上方に搬送するものである。縦排出オーガ65Aは、中空筒状の縦排出オーガ筒、及び、該縦排出オーガ筒に内装される螺旋羽根付きの縦排出コンベア等により構成される。
縦排出オーガ65Aの下端部は、グレンタンク60の底部に設けられた前記排出コンベアの後端部に接続される。縦排出オーガ65Aの上端部は、横排出オーガ65Bの基端部(上流側の端部)に接続される。
【0029】
図3〜図5に示すように、横排出オーガ65Bは、コンバイン1の機体の概ね水平方向に延在して、縦排出オーガ65Aからの穀粒を搬送し、その先端(排出口)から機外に排出するものである。横排出オーガ65Bは、その基端部で縦排出オーガ65Aの上端部に旋回可能に支持される。横排出オーガ65Bは、中空筒状の横排出オーガ筒、及び、該横排出オーガ筒に内装される螺旋羽根付きの横排出コンベア等により構成される。
横排出オーガ65Bの前記横排出コンベアの基端部は、縦排出オーガ65Aの前記縦排出コンベアの上端部とベベルギヤ等を介して連動連結される。
【0030】
以下では、エンジン55から排出オーガ65への動力伝達経路について、図5を参照して説明する。
【0031】
図5に示すように、エンジンルーム50内にはコンバイン1の駆動源であるエンジン55が備えられる。該エンジン55の後方には出力軸55aが突出し、該出力軸55aと平行に第一の軸401が側方に配設されている。エンジン55の出力軸55aには第一のプーリ403が配設され、第一の軸401には第二のプーリ405が配設され、第一のプーリ403と第二のプーリ405との間には、第一の伝動ベルト407が巻回されている。そして、該第一の伝動ベルト407はテンションプーリ409により常に緊張されている。
【0032】
また、第一の軸401には第三のプーリ411が配設されている。さらに、第一の軸401と平行に第二の軸413が第一の軸401の上方に配設されている。第一の軸401と第二の軸413との間にはベルトテンション式のオーガクラッチ420が配設されている。つまり、第二の軸413には第四のプーリ415が配設され、第三のプーリ411と第四のプーリ415との間には、第二の伝動ベルト417が巻回されている。そして、該第二の伝動ベルト417を緊張・弛緩させるためのテンションプーリ422が、第三のプーリ411と第四のプーリ415との間に配置されている。
第二の軸413と同軸上の前方には前記排出コンベアが設けられており、第二の軸413が回転することにより前記排出コンベアに動力が伝達されるようになっている。
【0033】
また、第二の軸413には第一のスプロケット419が配設されている。さらに、第二の軸413と平行に第三の軸431が配設されている。該第三の軸431には第二のスプロケット433が配設され、第一のスプロケット419と第二のスプロケット433との間には、チェーン435が巻回されている。
第三の軸431の前端部は、ベベルギヤ等を介して、縦排出オーガ65Aの前記縦排出コンベアの下端部と連動連結されている。すなわち、第三の軸431が回転することにより縦排出オーガ65Aの前記縦排出コンベアに動力が伝達され、また、該縦排出コンベアに動力が伝達されることにより、ひいては横排出オーガ65Bの前記横排出コンベアにも動力が伝達されるようになっている。
【0034】
以下では、オーガクラッチ420について、図5を参照して説明する。
オーガクラッチ420は、前記排出コンベア及び排出オーガ65への動力伝達を断接するためのものである。図5に示すように、オーガクラッチ420はグレンタンク60の後方に配置される。オーガクラッチ420は、いわゆるベルトテンション式のクラッチであり、アーム421、テンションプーリ422、及びアーム423等により構成される。
アーム421は棒状の部材であり、その一端部がコンバイン1の機体に対して回動可能に支持される。アーム421の他端部には、テンションプーリ422が回転自在に支持される。アーム421の中途部は、アーム423及びスプリングを介して、操作ワイヤー425の一端部に連結される。操作ワイヤー425の他端部は、後述するオーガクラッチ操作部440に具備されるレバー441に連結される。
但し、本発明に係るオーガクラッチはベルトテンション式のものに限定するものではなく、摩擦板式のもの等であってもよい。すなわち、本発明に係るオーガクラッチは、操作ワイヤーの押し引き操作により断接できるクラッチであればよく、その構成を本実施形態のものに限定するものではない。
【0035】
このような構成のオーガクラッチ420において、操作ワイヤー425の他端部(前端部)が前方へ引っ張られていない場合、テンションプーリ422が第二の伝動ベルト417に押し出されることによりアーム421が図5における反時計回りに回動して第二の伝動ベルト417の張力が減少し、該第二の伝動ベルト417が弛緩した状態となる。したがって、第三のプーリ411から第四のプーリ415に動力が伝達されない状態となる。すなわち、前記排出コンベア及び排出オーガ65への動力伝達が不能な状態となる。この状態が、オーガクラッチ420が「切」(断)の状態である。
【0036】
一方、操作ワイヤー425の他端部(前端部)が前方へ引っ張られている場合、アーム423を介してアーム421が図5における時計回りに回動してテンションプーリ422が第二の伝動ベルト417に押し付けられることにより、第二の伝動ベルト417の張力が増大し、該第二の伝動ベルト417が緊張した状態となる。したがって、第三のプーリ411から第四のプーリ415に動力が伝達される状態となる。すなわち、前記排出コンベア及び排出オーガ65への動力伝達が可能な状態となる。この状態が、オーガクラッチ420が「入」(接)の状態である。
【0037】
以下では、オーガクラッチ操作部440について、図6を参照して説明する。
オーガクラッチ操作部440は、オペレータがオーガクラッチ420(図5参照)を人為的に入切操作するためのものである。オーガクラッチ操作部440は、ボックス442、支持軸443、プレート444、レバー441、及びストッパ445等により構成される。
【0038】
図6(a)に示すように、ボックス442はレバー441の下端部(基端部)を収容するものである。ボックス442は、右側面視略五角形状の中空の箱状の部材であり、グレンタンク60の機体外側の側面(脱穀装置31が配置される側とは反対側の側面)に固定される。より詳細には、本実施形態のボックス442は、グレンタンク60の右側面60yに、ボルト446・447等を用いて固定されている。ボックス442は、グレンタンク60の前部、すなわち操縦部40の近傍、より具体的には座席41の右後側部に配置されている。
ボックス442は、板面がコンバイン1の機体の前上方を向くように配置される傾斜面442aを有し、該傾斜面442aにはレバー441の操作方向を案内するための溝であるレバーガイド442bが形成される。レバーガイド442bには、レバー441を入位置に係止するための係止部442cが形成される。
【0039】
図6(b)に示すように、支持軸443は、レバー441を入切操作する際に該レバー441の回動支点となるものである。支持軸443は、その軸線をコンバイン1の機体の左右方向に向けた状態でボックス442内に収容されるとともに、該ボックス442に固定されている。
【0040】
プレート444は、長方形状の板状の部材であり、ボックス442内に収容される。プレート444の一端部には貫通孔が形成される。該貫通孔に支持軸443が挿入されることにより、プレート444が支持軸443に回動自在に支持される。プレート444の他端部には、操作ワイヤー425の他端部を連結する操作ワイヤー軸444bが形成される。該操作ワイヤー軸444bは、支持軸443の上方に配置される。プレート444の中途部には、ストッパ片444cが形成される。
【0041】
レバー441は、長い棒状の部材であり、オーガクラッチ420を入切操作するときにオペレータが操作するものである。レバー441は、本発明に係るオーガクラッチ操作具の実施の一形態である。レバー441は、その下端部がボックス442内に収容されるとともに、その上部がレバーガイド442bからボックス442外に突出するように配置される。レバー441の上端部には、オペレータが手で握るグリップ441aが設けられる。レバー441は、溶接等の方法により、プレート444に固設されている。したがって、レバー441とプレート444とは、支持軸443を回動支点として一体化して回動する。また、レバー441の中途部は、プレート444を介して、操作ワイヤー425の他端部に連結される。
【0042】
ストッパ445は、ボックス442内の所定の位置に固定される。ストッパ445は、プレート444のストッパ片444cと当接可能に設けられる。すなわち、プレート444がレバー441と一体化して支持軸443を回動支点として所定の位置(レバー441における切位置)まで回動したときに、ストッパ片444cがストッパ445に当接することにより、それ以上のプレート444(レバー441)の回動が規制されるように構成されている。
【0043】
以上の如く構成されるオーガクラッチ操作部440において、レバー441の回動位置は、切位置または入位置に静止可能である。
本実施形態では、係止部442cに係止されたときのレバー441の位置が入位置であり、レバーガイド442bの後上端まで到達したときのレバー441の位置が切位置である。なお、切位置においてはストッパ片444cがストッパ445に当接することにより、レバー441のそれ以上の切方向への回動が規制される。
【0044】
レバー441を切位置から入位置に切り替えたとき、ワイヤー軸444bの位置が前方へ移動して操作ワイヤー425の他端部(前端部)が前方へ引っ張られ、これに伴ってアーム421が図5における時計回りに回動し、テンションプーリ422が第二の伝動ベルト417に押し付けられてオーガクラッチ420が「入」となる。
一方、レバー441を入位置から切位置に切り替えたとき、ワイヤー軸444bの位置が後方へ移動して操作ワイヤー425の他端部(前端部)が前方に引っ張られなくなり、これに伴ってテンションプーリ422が第二の伝動ベルト417に押し出されてアーム421が図5における反時計回りに回動し、テンションプーリ422が第二の伝動ベルト417に押し付けられない状態となってオーガクラッチ420が「切」となる。
【0045】
レバー441とオーガクラッチ420とを連結する操作ワイヤー425の中途部は、筒状の取っ手450に貫装されることより、その操作方向が適宜の方向に案内されている。
以下では、取っ手450について、図3、図4、及び図6を参照して説明する
【0046】
取っ手450は、長い円筒形状の部材である。取っ手450の長手方向の両端部は開放されていて、その一側(前端側)の端部がボックス442の後面に固定されている(図6(b)参照)。ボックス442内と取っ手450内とは連通している。操作ワイヤー425の一端部は、ボックス442内から取っ手450内に通されて該取っ手450の他側(後端側)から引き出された後、グレンタンク60の後方においてアーム423に連結されている。
取っ手450は、その軸線をコンバイン1の機体の前後方向に向けた状態で、グレンタンク60の機体外側の側面(脱穀装置31が配置される側とは反対側の側面)に取り付けられる(図3及び図4参照)。より詳細には、本実施形態の取っ手450は、グレンタンク60の右側面60yに、ステー等を介して固定されており、グレンタンク60の右外側に突出するように配置されている。つまり、取っ手450は、右側面60yと取っ手450の間に指を挿入することにより握れるようになっている。
【0047】
取っ手450は、籾取出口71・72の上方に配置されている。また、図1及び図4に示すように、取っ手450及び籾取出口71・72の下方には、籾受け台80が折り畳み可能に設けられている。
【0048】
籾受け台80は板状の部材であり、その板面の上にオペレータが搭乗することができるものである。オペレータは、籾受け台80の上に搭乗して、籾取出口71・72の下方に籾袋A・Aをセットして、穀粒を籾取出口71・72から籾袋A・Aに排出する作業を行うことができる。その際、オペレータは取っ手450を掴みながら当該作業を行うことが可能である。すなわち、取っ手450は、操作ワイヤー425の操作方向を適宜の方向に案内する部材としての機能だけではなく、オペレータがグレンタンク60の機体外側の側方で作業する際に手で掴む部材としての機能も担っている。
【0049】
このような構成のコンバイン1において、(穀粒を籾袋に取り出さない場合において)収穫作業の途中でグレンタンク60が満杯になった場合、収穫作業を中断して穀粒を機外に排出する必要がある。具体的には、例えばコンバイン1をダンプトラックの荷台の近傍に移動させるとともに、排出オーガ65を右方向に回動させて、該排出オーガ65の先端(排出口)をコンバイン1の機体の右側方または右後方に向ける。こうして、排出オーガ65の先端をダンプトラックの荷台の上に合わせた状態として、レバー441の操作にてオーガクラッチ420を入操作することにより、グレンタンク60内の穀粒をダンプトラックの荷台に排出することができる。このとき、本実施形態のコンバイン1では、レバー441(オーガクラッチ操作部440)がグレンタンク60の右側面60yであって操縦部40の近傍に配置されているので、オペレータは、容易に排出オーガ65の先端(排出口)を見ながらレバー441を操作することができる。つまり、座席41に着座しているオペレータが排出オーガ65の先端(排出口)を見るときに、オペレータの視界がグレンタンク60により遮られ難いので、排出オーガ65による穀粒の排出状況を視認しながらレバー441を操作しやすい。
【0050】
以上で説明したように、本実施形態に係るコンバイン1は、操縦部40の後方にグレンタンク60が配置され、グレンタンク60の後部と連通するように排出オーガ65が設けられたコンバインにおいて、排出オーガ65への動力伝達を断接するオーガクラッチ420を操作するためのレバー441を、グレンタンク60の機体外側の側面(右側面60y)であって操縦部40近傍に配置したものである。
よって、排出オーガ65による穀粒の排出状況を視認しながらレバー441を操作することが可能である。
【0051】
また、本実施形態に係るコンバイン1は、オーガクラッチ420はグレンタンク60の後方に配置され、レバー441とオーガクラッチ420とを連結する操作ワイヤー425は、グレンタンク60の機体外側の側面(右側面60y)に設けられた筒状の取っ手450により案内されるものである。
よって、オペレータがグレンタンク60の機体外側の側方で作業する際に使用する取っ手450を利用(兼用)して、操作ワイヤー425を案内することができ、部品点数の削減を図ることができる。
【0052】
また、図7に示すように、レバー441を支持して該レバー441の回動を案内するボックス442は、座席41の着座位置よりも高く、背もたれの上部位置の外側方に配置され、レバー441は、切位置の時上方に回動され、入位置の時前方へ回動され、それぞれの位置が保持されるように構成することができる。このような構成とすることにより、オーガクラッチ420を操作する場合には、オペレータは搭乗口(ステップ)456上に立ち後ろを向いた状態となる。そして、オーガクラッチ420を入操作すると、レバー441は搭乗口456側の前方へ回動され、レバー441は操縦部40の搭乗口456からの乗降に際して邪魔になる。したがって、オペレータがオーガクラッチ420を「入」の状態としたまま降りることが防止され、穀粒がトラックの荷台から溢れ出ることを防止できる。また、レバー441が切位置では、座席41の側方で上方に回動されているので、オペレータが着座した状態で作業操作の邪魔にならず、搭乗口456に立って乗降する際にも障害とになることがない。
【0053】
以上で説明したように、本実施形態に係るコンバイン1は、前記オーガクラッチ操作具はレバー441により構成され、レバー4441によりオーガクラッチ420を入操作した場合には、レバー441が操縦部40の搭乗口456への乗降の障害となる方向に突出するものである。
よって、オーガクラッチ420が「入」の状態でオペレータが操縦部40に乗り降りすることを防止することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 コンバイン
40 操縦部
60 グレンタンク
60y (グレンタンクの)右側面
65 排出オーガ
420 オーガクラッチ
425 操作ワイヤー
441 レバー(オーガクラッチ操作具)
450 取っ手
460 レバー(別実施形態に係るオーガクラッチ操作具)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操縦部の後方にグレンタンクが配置され、該グレンタンクの後部と連通するように排出オーガが設けられたコンバインにおいて、
前記排出オーガへの動力伝達を断接するオーガクラッチを操作するためのオーガクラッチ操作具を、前記グレンタンクの機体外側の側面であって前記操縦部近傍に配置したことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
請求項1に記載のコンバインにおいて、
前記オーガクラッチは前記グレンタンクの後方に配置され、
前記オーガクラッチ操作具と前記オーガクラッチとを連結する操作ワイヤーは、前記グレンタンクの機体外側の側面に設けられた筒状の取っ手により案内されることを特徴とするコンバイン。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のコンバインにおいて、
前記オーガクラッチ操作具はレバーにより構成され、
前記オーガクラッチ操作具により前記オーガクラッチを入操作した場合には、前記レバーが前記操縦部への乗降の障害となる方向に突出することを特徴とするコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−183001(P2012−183001A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46892(P2011−46892)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】