説明

コンビナトリアル潤滑油組成物ライブラリ

【課題】最終使用者が所望する特性に従って潤滑油組成物を選択するのに使用することができる、試験した潤滑油組成物の各々に関連した情報を含むコンビナトリアル潤滑油組成物ライブラリを提供する。
【解決手段】(a)主要量の潤滑粘度の基油と(b)少なくとも一種の潤滑油添加剤とからなる複数の異なる潤滑油組成物を含むコンビナトリアル潤滑油組成物ライブラリを提供する。その作製方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にはコンビナトリアル潤滑油組成物ライブラリに関するものである。
【背景技術】
【0002】
物質合成にコンビナトリアル(組み合わせ)合成を使用することは、迅速な合成及び審査方法を使用して高分子、無機又は固体物質のライブラリを構築することを目的とした、比較的新しい研究領域である。例えば、反応装置技術の進歩によって、化学者や技術者は、新規な薬品の発見を追求して別々の有機分子の大量ライブラリを迅速に作成する能力が与えられ、それによりコンビナトリアル・ケミストリと呼ばれる成長過程にある研究部門の発展に至っている。コンビナトリアル・ケミストリとは一般に、多様性のある物質または化合物の収集群(普通はライブラリとして知られている)を作成するための方法および物質、並びに所望の特性についてライブラリを評価または審査するための技術および機器を意味している。
【0003】
今日、潤滑剤産業における研究には、潤滑油組成物の候補を別個に製造すること、次に試験対象の候補を大量に用いて候補組成物の巨視的分析を行うことが含まれる。さらに、各候補組成物を試験するのに用いられる方法では人手による操作が要求される。これによって、試験して中心的な潤滑油組成物と確定することができる組成物の数は順次、著しく減少する。
【0004】
従来の審査操作に関連した欠点は、以下のように理解することができる。一例として、例えば客車用やヘビーデューティ用ディーゼルエンジン油として使用される潤滑油組成物のリン及び硫黄分を低減することに対する行政および自動車産業からの圧力が、例えば酸化試験、摩耗試験および混合性試験など一定の試験を満足しながら同時にリン及び硫黄を低レベルで含む油組成物を確定する新しい研究を導いている。例えば、米軍規格MIL−L−46152Eおよび日米自動車工業会が規定したILSAC規格は、現在、エンジン油のリン分を0.10重量%かそれ未満にするように要求していて、将来的にはリン分を更に低いレベル、例えば2004年1月には0.08重量%未満、2006年1月には0.05重量%未満にするように提案している。また、現在、エンジン油の硫黄分については工業規格要求が無いものの、2006年1月には硫黄分を0.2重量%未満にすることが提案されている。よって、潤滑油中のリン及び硫黄の量を更にもっと減少させ、それにより将来の工業規格が提案するエンジン油のリン及び硫黄分を満たしながら、同時に高リン及び硫黄分エンジン油が示す酸化又は腐食防止性および耐摩耗性をなお保持していることが望ましい。これを達成するためには、多数の提案された潤滑油組成物を試験してどの組成物が有用であるかを決定しなければならない。
【0005】
さらに、例えば変速機液、油圧作動液、ギヤ油、船用シリンダ油、圧縮機油および冷凍機潤滑剤等のような他の潤滑剤用途でも、同様の仕様の変化や変わる顧客要求が再配合に向けての努力を駆り立てている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したように、潤滑剤産業における今日の研究では再配合を迅速なやり方で行うことは不可能である。このように当該分野では、潤滑油組成物の実際の有用な特性と相関した情報を得るために、潤滑油組成物の製造およびそのような組成物の審査のためのより効率的で経済的で組織だった方法を必要としている。
【0007】
従って、多数の異なる候補潤滑油組成物を配合し、次いで各試料を少量で用いて複数の試料候補を迅速に試験することが望まれている。このようにして、膨大な数の多様性のある組成物を適時に評価し特徴づけて、中心的な潤滑油組成物を確定することができる。さらに、最終使用者が所望する特性に従って潤滑油組成物を選択するのに使用することができる、試験した潤滑油組成物の各々に関連した情報を含むコンビナトリアル潤滑油組成物ライブラリを提供することも望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に従って、(a)主要量の潤滑粘度の基油と(b)少なくとも一種の潤滑油添加剤とからなる複数の異なる潤滑油組成物を含んでいるコンビナトリアル潤滑油組成物ライブラリを提供する。
【0009】
本発明の第二の態様では、下記の工程からなるコンビナトリアル潤滑油組成物ライブラリの作製方法を提供する:(a)(i)主要量の少なくとも一種の潤滑粘度の基油と(ii)少量の少なくとも一種の潤滑油添加剤とからなる複数の異なる潤滑油組成物試料のライブラリを供給する工程、ただし、各試料は複数の試験容器のそれぞれに入っている、(b)各試料の潤滑油組成物特性を測定して、各試料についての潤滑油組成物特性データとする工程、そして(c)工程(b)の結果を出力する工程。
【発明の効果】
【0010】
このようにして、膨大な数の多様性のある組成物を適時に評価し特徴付けて、中心的な潤滑油組成物を確定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、様々な態様について図面を参照しながら説明する。
【0012】
本発明に従って、(a)主要量の潤滑粘度の基油と(b)少なくとも一種の潤滑油添加剤とからなる複数の異なる潤滑油組成物を含むコンビナトリアル潤滑油組成物ライブラリを提供する。コンビナトリアル・ライブラリは、本明細書で使用するとき、選択した手段で製造して、所望の性状又は特性について様々なフォーマット(例えば、潤滑油添加剤配合物のライブラリ、潤滑油組成物配合物のライブラリ、潤滑油添加剤配合物又は潤滑油組成物配合物の一部のライブラリ、貯蔵安定度データのライブラリ等)で審査することができる、複数の異なる分子の意図的に作製された収集群である。ライブラリは一般に、化合物の量が異なっているように作製される。ライブラリの審査方法は著しく変わり、所望とする性状又は特性、ライブラリの大きさおよびライブラリの化合物の部類に依存している。
【0013】
本発明のライブラリは如何なるタイプのものであってもよい。これらタイプとしては、以下に限定されるものではないが、混合物が挙げられる。混合物ライブラリは通常、同時に配合されて検定される化合物の混合物を含んでいる。その後、混合物を審査することにより最も活性な化合物の確定が行われる。
【0014】
本発明のライブラリは、複数の試験容器(受け器)のそれぞれに入っている複数の異なる潤滑油組成物試料を、例えば貯蔵安定度、酸化安定度および耐摩耗性の測定に掛けることにより、複数の異なる潤滑油組成物の潤滑剤性能を決定する高速大量処理製造及び審査方法によって与えられる。「高速大量処理」なる表現は、本明細書で使用するとき、多数の異なる潤滑油組成物を迅速に製造して分析することを意味すると理解されたい。本発明のライブラリ形成の第一工程では、少なくとも一種の潤滑粘度の基油と少なくとも一種の潤滑油添加剤の量を変えて試験容器それぞれに導入し、それにより各容器は、各容器内の潤滑粘度の基油と組み合わせた添加剤の量百分率及び/又は種類に応じて組成が違っている異なる潤滑油組成物を含んでいる。各試料の組成に関するデータはデータライブラリに保存される。操作は、プログラム制御下で有利に遂行され、例えばマイクロプロセッサ又は他のコンピュータ制御装置により自動制御される。「プログラム制御」なる表現は、本明細書で使用するとき、本発明で複数の潤滑油組成物を供給するのに使用される装置がコンピュータ制御により自動化され制御されることを意味すると理解されたい。
【0015】
本発明のライブラリの潤滑油組成物には、第一成分として潤滑粘度の基油が主要量で、例えば組成物の全重量に基づき50重量%以上、好ましくは約70重量%以上、より好ましくは約80乃至約99.5重量%、そして最も好ましくは約85乃至約98重量%の量で含まれる。「基油」なる表現は、本明細書で使用するとき、単一の製造者により同一の仕様で(供給原料や製造者の所在地とは無関係に)製造され、同一の製造者の仕様を満たし、そして独特の処方、製造物確認番号またはその両方により確認される潤滑剤成分である基材油または基材油のブレンドを意味すると理解されたい。本発明に使用される基油は、任意のあらゆる用途で、例えばエンジン油、船用シリンダ油、および油圧作動油、ギヤ油、変速機液などの機能液等として潤滑油組成物を配合するのに使用される、現在知られているか、もしくは後年発見される如何なる潤滑粘度の基油であってもよい。さらに、本発明に使用される基油は任意に、高分子量アルキルメタクリレートなどの粘度指数向上剤、エチレン−プロピレン共重合体またはスチレン−ブタジエン共重合体などのオレフィン系共重合体等、およびそれらの混合物を含有することができる。
【0016】
当該分野の熟練者であれば容易に理解できるように、基油の粘度は用途に依存する。よって、本発明に用いられる基油の粘度は通常は、摂氏100度(℃)で約2乃至約2000センチストークス(cSt)の範囲にある。エンジン油として用いられる個々の基油の動粘度範囲は100℃で、一般に約2cSt乃至約30cStであり、好ましくは約3cSt乃至約16cSt、最も好ましくは約4cSt乃至約12cStであり、そして所望とする最終使用および完成油の添加剤に応じて選択もしくはブレンドされて、所望のグレードのエンジン油、例えばSAE粘度グレードが0W、0W−20、0W−30、0W−40、0W−50、0W−60、5W、5W−20、5W−30、5W−40、5W−50、5W−60、10W、10W−20、10W−30、10W−40、10W−50、15W、15W−20、15W−30または15W−40である潤滑油組成物とされる。ギヤ油として用いられる油の粘度は、100℃で約2cSt乃至約2000cStの範囲にある。
【0017】
基材油は、種々様々な方法を使用して製造することができ、その例としては、これらに限定されるものではないが、蒸留、溶剤精製、水素処理、オリゴマー化、エステル化および再精製を挙げることができる。再精製油は、製造中に、汚染により、あるいは以前の使用中に混入した物質を実質的に含むことはない。本発明の潤滑油組成物の基油は、任意の天然または合成の潤滑基油であってよい。好適な炭化水素合成油としては、これらに限定されるものではないが、エチレンの重合によりまたは1−オレフィンの重合により合成されてポリアルファオレフィン又はPAO油のような重合体とされた油、または一酸化炭素ガスと水素ガスを用いてフィッシャー・トロプシュ法などの炭化水素合成法により合成された油を挙げることができる。例えば、好適な基油は、重質留分を含む場合でもその量が僅かである、例えば100℃粘度が20cStか、それ以上である潤滑油留分を殆ど含むことのない油である。
【0018】
基油は、天然の潤滑油、合成の潤滑油またはそれらの混合物から誘導することができる。好適な基油としては、合成ろうおよび粗ろうの異性化により得られた基材油、並びに原油の芳香族及び極性成分を(好ましくは溶剤抽出ではなく)水素化分解して製造した水素化分解基材油を挙げることができる。好適な基油としては、API公報1509、第14版、補遺I、1998年12月に規定されている全API区分I、II、III、IV及びVに含まれるものが挙げられる。IV種基油はポリアルファオレフィン(PAO)である。V種基油には、I、II、III又はIV種に含まれなかったその他全ての基油が含まれる。II、III及びIV種の基油も本発明に使用するのに好ましいが、これら好ましい基油は、I、II、III、IV及びV種の基材油又は基油を一種以上混ぜ合わせることにより製造することができる。
【0019】
使用できる天然油としては、鉱油系潤滑油、例えば液体石油、パラフィン系、ナフテン系又は混合パラフィン−ナフテン系の溶剤処理又は酸処理した鉱油系潤滑油、石炭や頁岩から誘導された油、動物油および植物油(例えばナタネ油、ヒマシ油およびラード油)等を挙げることができる。
【0020】
使用できる合成潤滑油としては、これらに限定されるものではないが、炭化水素油およびハロ置換炭化水素油、具体的には重合及び共重合オレフィン、例えばポリブチレン、ポリプロピレン、プロピレン−イソブチレン共重合体、塩素化ポリブチレン、ポリ(1−ヘキセン)、ポリ(1−オクテン)、ポリ(1−デセン)等およびそれらの混合物;アルキルベンゼン、例えばドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ジノニルベンゼン、ジ(2−エチルヘキシル)−ベンゼン等;ポリフェニル、例えばビフェニル、ターフェニル、アルキル化ポリフェニル等;アルキル化ジフェニルエーテルおよびアルキル化ジフェニルスルフィド、並びにそれらの誘導体、類似物および同族体等を挙げることができる。
【0021】
他の使用できる合成潤滑油としては、これらに限定されるものではないが、炭素原子数5以下のオレフィン、例えばエチレン、プロピレン、ブチレン、イソブテン、ペンテンおよびそれらの混合物を重合することにより製造された油が挙げられる。そのような重合体油の製造方法も当該分野の熟練者にはよく知られている。
【0022】
別の使用できる合成炭化水素油としては、適正な粘度を有するアルファオレフィンの液体重合体が挙げられる。特に有用な合成炭化水素油は、C6−C12アルファオレフィンの水素化液体オリゴマー、例えば1−デセン三量体である。
【0023】
使用できる合成潤滑油の別の部類としては、これらに限定されるものではないが、アルキレンオキシド重合体、すなわち単独重合体、共重合体、および末端ヒドロキシル基が例えばエステル化またはエーテル化により変性したそれらの誘導体を挙げることができる。これらの油の例示としては、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドの重合により合成された油、これらポリオキシアルキレン重合体のアルキル及びフェニルエーテル(例えば、平均分子量1000のメチルポリプロピレングリコールエーテル、分子量500〜1000のポリエチレングリコールのジフェニルエーテル、分子量1000〜1500のポリプロピレングリコールのジエチルエーテル等)、またはそれらのモノ及びポリカルボン酸エステル、例えば酢酸エステル、混合C3−C8脂肪酸エステル、またはテトラエチレングリコールのC13オキソ酸ジエステルがある。
【0024】
使用できる合成潤滑油の別の部類としては、これらに限定されるものではないが、ジカルボン酸、例えばフタル酸、コハク酸、アルキルコハク酸、アルケニルコハク酸、マレイン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、アジピン酸、リノール酸二量体、マロン酸、アルキルマロン酸、アルケニルマロン酸等と、各種アルコール、例えばブチルアルコール、ヘキシルアルコール、ドデシルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエーテル、プロピレングリコール等とのエステルが挙げられる。これらエステルの特別な例としては、ジブチルアジペート、ジ(2−エチルヘキシル)セバケート、ジ−n−ヘキシルフマレート、ジオクチルセバケート、ジイソオクチルアゼレート、ジイソデシルアゼレート、ジオクチルフタレート、ジデシルフタレート、ジエイコシルセバケート、リノール酸二量体の2−エチルヘキシルジエステル、および1モルのセバシン酸を2モルのテトラエチレングリコールおよび2モルの2−エチルヘキサン酸と反応させて生成した複合エステル等を挙げることができる。
【0025】
また、合成油として使用できるエステルとしては、これらに限定されるものではないが、炭素原子数約5〜約12のカルボン酸と、アルコール、例えばメタノール、エタノール等、ポリオールおよびポリオールエーテル、例えばネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、トリペンタエリトリトール等とから製造されたものも挙げられる。
【0026】
ケイ素系の油、例えばポリアルキル、ポリアリール、ポリアルコキシ又はポリアリールオキシ−シロキサン油及びシリケート油は、合成潤滑油の別の有用な部類を構成する。これらの特別な例としては、以下に限定されるものではないが、テトラエチルシリケート、テトラ−イソプロピルシリケート、テトラ−(2−エチルヘキシル)シリケート、テトラ−(4−メチル−ヘキシル)シリケート、テトラ−(p−t−ブチルフェニル)シリケート、ヘキシル−(4−メチル−2−ペントキシ)ジシロキサン、ポリ(メチル)シロキサン、ポリ(メチルフェニル)シロキサン等を挙げることができる。更に別の使用できる合成潤滑油としては、これらに限定されるものではないが、リン含有酸の液体エステル、例えばリン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、デカンホスフィン酸のジエチルエステル等、および高分子量テトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0027】
潤滑油は、天然、合成または上に開示した種類のうちの任意の二種以上の混合物の未精製、精製及び再精製の油から誘導することができる。未精製油は、天然原料または合成原料(例えば、石炭、頁岩またはタール・サンド・ビチューメン)から直接に、それ以上の精製や処理無しに得られた油である。未精製油の例としては、これらに限定されるものではないが、レトルト操作により直接得られた頁岩油、蒸留により直接得られた石油、またはエステル化処理により直接得られたエステル油が挙げられ、各々その後それ以上の処理無しに使用される。精製油は、一以上の性状を改善するために一以上の精製工程で更に処理されたことを除いては、未精製油と同じである。これらの精製技術は、当該分野の熟練者には知られているが、例えば溶剤抽出、二次蒸留、酸又は塩基抽出、ろ過、パーコレート、水素化処理、脱ろう等が挙げられる。再精製油は、使用済の油を精製油を得るのに用いたのと同様の処理で処理することにより得られる。そのような再精製油は、再生又は再処理油としても知られていて、使用された添加剤や油分解生成物の除去を目的とする技術によりしばしば更に処理される。
【0028】
ろうの水素異性化から誘導された潤滑基材油も、単独で、あるいは前記天然及び/又は合成基材油と組み合わせて使用することができる。そのようなろう異性体油は、天然又は合成ろうまたはそれらの混合物を水素異性化触媒上で水素異性化することにより製造される。
【0029】
天然ろうは一般に、鉱油を溶剤脱ろうすることにより回収された粗ろうであり、合成ろうは一般に、フィッシャー・トロプシュ法により製造されたろうである。
【0030】
本発明に使用される潤滑油組成物の第二成分は、少なくとも一種の潤滑油添加剤である。そのような添加剤は、潤滑油組成物を配合するのに使用される現在知られているか、もしくは後年発見される任意の添加剤であってよい。本発明に使用される潤滑油添加剤としては、これらに限定されるものではないが、酸化防止剤、耐摩耗性添加剤、金属清浄剤などの清浄剤、さび止め添加剤、曇り除去剤、抗乳化剤、金属不活性化剤、摩擦緩和剤、流動点降下剤、消泡剤、補助溶剤、パッケージ混合剤、腐食防止剤、無灰分散剤、染料、極圧剤等、およびそれらの混合物を挙げることができる。グリースには、適当な増粘剤を添加する必要がある。各種の添加剤が知られていて市販されてもいる。本発明に係る種々の潤滑油組成物の製造にも、これらの添加剤またはその類似化合物を用いることができる。
【0031】
あるいは、潤滑油添加剤(類)は更に希釈油を含むことにより添加剤濃縮物を形成することができる。これら濃縮物は通常、希釈油を少なくとも約90重量%乃至約10重量%、好ましくは約90重量%乃至約50重量%、および上記添加剤(類)を約10重量%乃至約90重量%、好ましくは約10乃至約50重量%含有している。濃縮物に適した希釈剤としては任意の不活性希釈剤、好ましくは潤滑粘度の油、例えば前述した基油が挙げられ、それにより濃縮物を容易に潤滑油と混合して潤滑油組成物を製造することができる。希釈剤として使用することができる好適な潤滑油は、任意の潤滑粘度の油であってよい。
【0032】
一般に、本発明の潤滑油組成物は少なくとも一種の酸化防止剤を含んでいる。酸化防止剤の例としては、これらに限定されるものではないが、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、第二級芳香族アミン系酸化防止剤、硫化フェノール系酸化防止剤、油溶性銅化合物、リン含有酸化防止剤、および有機硫化物、二硫化物及び多硫化物等を挙げることができる。酸化防止剤は通常、本発明の潤滑油組成物中に約0.1乃至約5重量%の範囲の濃度で存在する。
【0033】
立体障害のあるヒンダードフェノール系酸化防止剤の例としては、これらに限定されるものではないが、オルト−アルキル化フェノール系化合物、例えば2,6−ジ−t−ブチルフェノール、4−メチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、2−t−ブチルフェノール、2,6−ジイソプロピルフェノール、2−メチル−6−t−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、4−(N,N−ジメチルアミノメチル)−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、4−エチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2−メチル−6−スチリルフェノール、2,6−ジスチリル−4−ノニルフェノール、およびそれらの類似物及び同族体を挙げることができる。そのような単核フェノール系化合物の二種以上の混合物も適している。
【0034】
本発明の潤滑油組成物に使用される他のフェノール系酸化防止剤の例としては、これらに限定されるものではないが、一以上のメチレンで架橋したアルキルフェノール、一以上の立体障害のある非架橋フェノール系化合物、およびそれらの混合物を挙げることができる。メチレン架橋化合物の例としては、これらに限定されるものではないが、4,4’−メチレンビス(6−t−ブチル−o−クレゾール)、4,4’−メチレンビス(2−t−アミル−o−クレゾール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、および4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)等を挙げることができる。特に好ましいのは、メチレン架橋アルキルフェノールの混合物、例えば米国特許第3211652号明細書に記載されているものであり、その内容も参照として本明細書の記載とする。
【0035】
アミン系酸化防止剤も本発明の潤滑油組成物に使用することができる。その例としては、これらに限定されるものではないが、油溶性芳香族第二級アミン、芳香族第二級ポリアミン等、およびそれらの組合せが挙げられ、芳香族第二級アミンが好ましい。芳香族第二級モノアミンの例としては、ジフェニルアミン、アルキル置換基1又は2個を含み、各アルキル基の炭素原子数が約16までであるアルキルジフェニルアミン、フェニル−アルファ−ナフチルアミン、フェニル−ベータ−ナフチルアミン、アルキル又はアラルキル基を少なくとも1又は2個含み、各基の炭素原子数が約16までであるアルキル又はアラルキル置換フェニル−アルファ−ナフチルアミン、およびアルキル又はアラルキル基を少なくとも1又は2個含み、各基の炭素原子数が約16までであるアルキル又はアラルキル置換フェニル−ベータ−ナフチルアミン等を挙げることができる。
【0036】
芳香族アミン系酸化防止剤の好ましい種類は、下記一般式のアルキル化ジフェニルアミンである:

1−C6−H4−NH−C64−R2

式中、R1は、炭素原子数6〜12、好ましくは炭素原子数8又は9のアルキル基(好ましくは、分枝アルキル基)であり、そしてR2は、水素原子、または炭素原子数6〜12、好ましくは炭素原子数8又は9のアルキル基(好ましくは、分枝アルキル基)である。最も好ましくは、R1とR2は同じである。そのような好ましい一化合物は、ノーガルベ(Naugalube)438Lとして市販されていて、主としてノニル基が分枝である4,4’−ジノニルジフェニルアミン(すなわち、ビス(4−ノニルフェニル)アミン)であると理解されている物質である。
【0037】
本発明の潤滑油組成物に使用される別の酸化防止剤は、一種以上の部分硫化フェノール系液体化合物からなり、例えば一塩化硫黄をフェノールの液体混合物と反応させることにより製造されたものがある、ただし、フェノール混合物のうちの少なくとも約50重量%は一種以上の反応性ヒンダードフェノールからなり、そして液体生成物が生成するように、反応性ヒンダードフェノールモル当り一塩化硫黄約0.3乃至約0.7グラム原子となるような割合である。そのような液体生成物の組成物を製造するのに使用できる代表的なフェノール混合物としては、2,6−ジ−t−ブチルフェノール約75%、2−t−ブチルフェノール約10%、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール約13%、および2,4−ジ−t−ブチルフェノール約2%(重量で)を含む混合物が挙げられる。反応は発熱であり、約15℃乃至約70℃の範囲内に維持することが好ましく、最も好ましくは約40℃から約60℃の間に維持する。
【0038】
種々の酸化防止剤の混合物も本発明の潤滑油組成物に使用することができる。好適な一混合物は、(i)少なくとも三種の異なった立体障害のある第三級ブチル化一価フェノールの油溶性混合物であって、25℃で液体状態にあるもの、(ii)少なくとも三種の異なった立体障害のある第三級ブチル化メチレン架橋ポリフェノールの油溶性混合物、および(iii)アルキル基が炭素原子数8〜12の分枝アルキル基である少なくとも一種のビス(4−アルキルフェニル)アミンの組合せからなり、(i)、(ii)および(iii)の割合は重量に基づき、(iii)成分の重量部当り(i)成分約3.5乃至約5.0部、そして(ii)成分約0.9乃至約1.2部の範囲にある。そのような上記酸化防止剤の例は米国特許第5328619号明細書に開示されていて、その内容も参照事項として本明細書の記載とする。他の有用な酸化防止剤としては米国特許第4031023号明細書に開示されているものがあり、その内容も参照事項として本明細書の記載とする。
【0039】
酸化防止剤の例としては、これらに限定されるものではないが、アミン型のもの、例えばジフェニルアミン、フェニル−アルファ−ナフチル−アミン、N,N−ジ(アルキルフェニル)アミン;およびアルキル化フェニレン−ジアミン;フェノール型のもの、例えばBHT、立体障害のあるヒンダードアルキルフェノール、具体的には2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、および2,6−ジ−t−ブチル−4−(2−オクチル−3−プロパノイック)フェノール;硫黄含有物質、例えば硫化オレフィン又はエステル等、およびそれらの混合物を挙げることができる。
【0040】
耐摩耗性添加剤の例としては、これらに限定されるものではないが、ジアルキルジチオリン酸亜鉛およびジアリールジチオリン酸亜鉛、例えばボーン(Born)、外著、「種々の潤滑メカニズムにおけるある種の金属ジアルキル及びジアリールジチオリン酸塩の化学構造と有効性との関係」、ルブリケーション・サイエンス(Lubrication Science)、第4−2巻、1992年1月(例えばp.97−100参照)掲載の論文に記載されているもの;アリールリン酸エステル及び亜リン酸エステル、硫黄含有エステル、リン硫黄化合物、金属又は無灰ジチオカルバメート、キサントゲン酸エステル、硫化アルキル等、およびそれらの混合物を挙げることができる。
【0041】
清浄剤の例としては、これらに限定されるものではないが、スルホネート清浄剤のような過塩基性又は中性清浄剤、例えばアルキルベンゼンと発煙硫酸から製造されたもの;フェネート(高過塩基性又は低過塩基性)、高過塩基性フェネートステアレート、フェノレート、サリチレート、ホスホネート、チオホスホネート、イオン性界面活性剤等、およびそれらの混合物を挙げることができる。低過塩基性金属スルホネートは、一般に全塩基価(TBN)が約0乃至約30、好ましくは約10乃至約25である。低過塩基性金属スルホネートおよび中性金属スルホネートが当該分野ではよく知られている。
【0042】
さび止め添加剤の例としては、これらに限定されるものではないが、非イオン性ポリオキシアルキレン添加剤、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトールモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、およびポリエチレングリコールモノオレエート;ステアリン酸および他の脂肪酸;ジカルボン酸;金属石鹸;脂肪酸アミン塩;重質スルホン酸の金属塩;多価アルコールの部分カルボン酸エステル;リン酸エステル;(短鎖)アルケニルコハク酸;それらの部分エステルおよびそれらの窒素含有誘導体;合成アルカリールスルホネート、例えば金属ジノニルナフタレンスルホネート等;およびそれらの混合物を挙げることができる。
【0043】
摩擦緩和剤の例としては、これらに限定されるものではないが、アルコキシル化脂肪アミン;ホウ酸化脂肪エポキシド;脂肪亜リン酸エステル;脂肪エポキシド;脂肪アミン;ホウ酸化アルコキシル化脂肪アミン;脂肪酸の金属塩;脂肪酸アミド;グリセロールエステル;ホウ酸化グリセロールエステル;および米国特許第6372696号明細書に開示されている脂肪イミダゾリン(その開示内容も参照として本明細書の記載とする);C4−C75、好ましくはC6−C24、最も好ましくはC6−C20の脂肪酸エステルと、アンモニアおよびアルカノールアミン、例えば米国特許出願第10/402170号(2003年3月28日出願)の明細書に開示されているもの(その開示内容も参照事項として本明細書の記載とする)からなる群より選ばれた窒素含有化合物との反応生成物から得られた摩擦緩和剤等、およびそれらの混合物を挙げることできる。
【0044】
消泡剤の例としては、これらに限定されるものではないが、アルキルメタクリレートの重合体;ジメチルシリコーンの重合体等、およびそれらの混合物を挙げることができる。
【0045】
無灰分散剤の例としては、これらに限定されるものではないが、ポリアルキレンコハク酸無水物;ポリアルキレンコハク酸無水物の非窒素含有誘導体;コハク酸イミド、カルボン酸アミド、炭化水素モノアミン、炭化水素ポリアミン、マンニッヒ塩基、ホスホンアミド、チオホスホンアミドおよびリンアミドからなる群より選ばれる塩基性窒素化合物;チアゾール、例えば2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、メルカプトベンゾチアゾールおよびそれらの誘導体;トリアゾール、例えばアルキルトリアゾールおよびベンゾトリアゾール;アミン、アミド、イミン、イミド、ヒドロキシル、カルボキシル等を含む一以上の付加極性官能基を持つカルボン酸エステルを含む共重合体、例えば長鎖アルキルアクリレート又はメタクリレートと上記官能基を持つ単量体との共重合により製造された生成物等、およびそれらの混合物を挙げることができる。これらの分散剤の誘導体、例えばホウ酸化コハク酸イミドなどのホウ酸化分散剤も使用することができる。分散剤は、ポリアルキレンコハク酸無水物をポリアルキレンポリアミンでアミノ化して誘導されたポリアルキレンコハク酸イミドであることが好ましい。
【0046】
所望により、後述するように少なくとも一種の基油と少なくとも一種の潤滑油添加剤を分配して本発明に係る組成物とする前に、組成物(すなわち配合物)に使用することが提案された化合物の分子モデリングを行って、どの化合物が可能性のある中心的な候補組成物をもたらすかを判断することが有利であると言える。例えば、化合物の遷移状態、結合の長さ、結合角、双極子モーメント、疎水性等のような因子を含む計算を実施することができる。よって、提案された化合物を審査して、例えば、どの化合物が中間体の過酸化物を捕捉する能力が乏しいために酸化防止過程で不充分にしか機能しないかを判断することができる。これは、例えばアクセルリス(Accelrys)社(カリフォルニア州サンディエゴ)製のクアンタム・メカニックス(Quantum Mechanics)のような公知のソフトウェアを使用して実施することができる。
【0047】
上記の実験プログラム(群)の入力に基づいて最初の化合物試験ライブラリを設計するのに、試験ライブラリの設計用ソフトウェアを使用することができる。このソフトウェアを使用して、所望の実験空間を包含し統計実験設計法を利用する試験ライブラリを効率的に設計することができる。次に、別のソフトウェアを使用して実験のデータを解析し、そしてそのデータを化合物の構造および/または化合物処理条件および/または反応条件と相関させることができる。そのような相関関係はしばしば、アクセルリス社(カリフォルニア州サンディエゴ)製のQSARソフトウェア(定量的構造活性相関)と呼ばれている。次に、ソフトウェアによりそのようなQSARプログラムを使用して、それ以後の化合物試験ライブラリを更なる審査に向けて設計することができる。
【0048】
そのようなQSARプログラムの使用によって審査の効率を高めることができる。より多くのデータが集まるにつれて、これらQSARプログラムは化合物ライブラリを発展させる効率がもっと良くなり、所望の化合物を見つける確率も高まる。例えば、後述するように解析した化合物を種々の潤滑油組成物に配合することができ、その後、例えば回帰及び解析技術により、アクセルリス社(カリフォルニア州サンディエゴ)製のC2−QSARなど公知のソフトウェアを使用して更に解析することができる。このように、分子モデリングから得られたデータの確認を遂行することができ、次いでこのデータもデータ収集装置に保存することができる。このようにして、当該分野の熟練者が考えた新規な化合物を、化合物の実際の合成に先立ってQSARソフトウェアで調べてその活性度を予測することができる。さらに、そのようなソフトウェアツールを利用して、合成を考えている可能な化合物の一覧表に当該分野の熟練者が成功する確率が高い順に優先順位を付けることが可能である。
【0049】
ここで図1に言及すると、複数の試験容器それぞれに入った前記組成物を供給するシステムの例を、システム100として概括的に図示している。複数の試験容器それぞれに入った前記組成物を供給するこのシステムと方法の代表的なものとしては、同時係属出願中の米国特許出願第10/699510号明細書(ウォレンベルグ、外、2003年10月31日出願、題名「コンビナトリアル・ライブラリのための潤滑油組成物の高速大量処理製造」、(ドケット第T−6298A号、(538−60))、譲受人は本出願と共通)に開示されているものがあり、その内容も参照事項として本明細書の記載とする。一般に容器110は、前記潤滑粘度の基油Bの供給物を含んでいる。容器120は、添加剤Aの供給物を含んでいて、基油の性状を改良するのに有用な前記添加剤のうちのいずれかであってよい。当該分野の熟練者であれば容易に理解できるように、一種以上の基油および/または一種以上の添加剤をそれぞれ分配するときは、一個以上の容器110および容器120を使用することができる。
【0050】
管路111は、基油Bをノズル部分113まで導く導管であり、後述するようにノズル部分から基油Bを選択した試験溜めに分配することができる。分配する基油の量は計量ポンプ112で決められるが、コンピュータで制御することができる。
【0051】
管路121は、潤滑油添加剤Aをノズル部分123まで導く導管であり、後述するようにノズル部分から添加剤Aを選択した試験容器に分配することができる。分配される潤滑油添加剤の量は計量ポンプ122で決められるが、これもコンピュータで制御することができる。予め選択したプロトコルに従って予め決めた量の物質を自動的に計量するためのコンピュータプログラムとシステムが当該分野では知られているが、本発明でも使用することができる。
【0052】
ノズル113及び123は極めて接近していることが好ましく、それにより基油Bと添加剤Aを同時に試験容器(溜め)に分配することができる。あるいは、基油Bと添加剤Aを順次試験容器に添加することもできる。ノズル113及び123は、多チャンネルピペットまたは一個以上の注射針から構成することができる。
【0053】
容器110及び120は加圧することができる。任意に、二個以上の容器を用いることができる。本発明に使用するのに適した計量ポンプも知られていて市販されてもいる。粘性の高い潤滑基材油または添加剤を使用する場合には、容器110及び120および/または管路111及び121、計量ポンプ112及び122、および/またはノズル113及び123を加熱して液流の通過を容易にすることができる。
【0054】
試験フレーム130は、分配した添加剤または基油と添加剤を受け入れる複数のくぼみ132を有する透明な材料(例えば、ガラス)でできたブロック131を包含している。くぼみは試験容器になり、各容器には予め決めた異なる組成の潤滑油組成物が入る、すなわち各組成物の基油及び/又は添加剤の百分率及び/又は種類は溜め毎に互いに異なる。任意に溜めは、ブロックに設けられたくぼみ代わりにラックに取り付けられた別個の容器(例えば、試験管)であってもよい。試験容器は透明なガラス管から構成されることが好ましい。図1には5個の溜め、すなわちくぼみ132a、132b、132c、132d、132eが図示されているが、本発明には任意の個数の溜めを用いることができる。例えば、要求次第でシステムは20個、50個、100個又はそれ以上の試験容器と試料を用いることができる。
【0055】
個々の溜めは、比較的少量の潤滑油試料を保持するように作られている。各溜めの試料サイズは、一般には約20mL以下であってよく、好ましくは約15mL以下、より好ましくは約10mL以下、そして更に好ましくは約5mL以下である。
【0056】
試験フレーム130および分配ノズル113及び123は、互いに相対的に移動できる。装置操作者による手動での装置移動も本発明の範囲に含まれるが、プログラム可能な移動を伴うロボット機構が好ましい。ある態様では試験フレーム130は、選択したくぼみが分配ノズル113及び123の下に順次位置するように、横及び/又は縦方向に移動できる滑り移動可能なキャリジに取り付けられている。別の態様では、ノズル113及び123および任意に容器110及び120が横及び/又は縦に滑り移動できて、ノズル113及び123の位置決めを遂行する。
【0057】
試験の操作では、容器110及び120をそれぞれ選択した潤滑基油と添加剤(類)で満たす。システム100の装置が、分配ノズル113及び123がくぼみ132aの上部一直線上に位置するように移動する。計量した量の基油Bと計量した量の添加剤Aが同時にくぼみ132aに分配される。その後、分配ノズル113及び123は次のくぼみ132bの一直線上に再び位置して、そして予め決めた変動計画に従ってくぼみ132bの潤滑油がくぼみ132aの潤滑油とは添加剤の組成百分率が異なるように、添加剤Aおよび/または基油Bの計量する量が変わる。ノズル113及び123は順次、連続したくぼみ132c、132d及び132eの一直線上になるようにしながらこのパターンを繰り返して、各くぼみに予め決めた組成の潤滑油が含まれるようにする。
【0058】
成分AとBは、混合することにより、例えばフレーム131の撹拌、静的混合、溜めの内容物の個々の撹拌(機械的または磁気的撹拌)により、および/または溜めに窒素などのガスを吹き込むことにより、容器内で組み合わせることが好ましい。任意に、基油Bと添加剤(類)Aを容器(溜め)それぞれに分配する前に組み合わせることもできる。例えば、混合室を有する単一の分配ノズルを使用することができ、基油Bと添加剤(類)Aは計量されて混合室に入ったのちノズルより溜めに分配される。
【0059】
一旦潤滑油添加剤組成物および/または潤滑油組成物を含む複数の容器が用意されたなら、例えば貯蔵安定度について潤滑油添加剤および潤滑油組成物を分析することにより、具体的には沈降データ、色データおよび粘度データを得ることにより、あるいは酸化安定度、耐摩耗性等について分析することにより、複数の液体試料を分析することができる。ここで図2に言及すると、貯蔵安定度について複数の液体試料を順次分析するためのシステムを概略的に図示している。複数の試験容器それぞれに入った上記組成物を貯蔵安定度データについて審査するこのシステムと方法の代表的なものとしては、同時係属出願中の米国特許出願第10/699507号明細書(ウォレンベルグ、外、2003年10月31日出願、題名「潤滑油組成物の高速大量処理審査方法」、(ドケット第T−6298D号、(538−63))、譲受人は本出願と共通)に開示されているものがあり、その内容も参照事項として本明細書の記載とする。一般に、貯蔵安定度について審査するとき、試料としては、少なくとも一種の潤滑油添加剤を含む潤滑油添加剤組成物、または一種以上の基油と一種以上の潤滑油添加剤を含む潤滑油組成物、例えば本明細書に記載したようなものが挙げられる。
【0060】
例えば、システム200は、フレーム211に取り付けられた複数の試験容器212を保持して任意に移動させる手段210を含んでいる。ある態様では、フレーム211の片側に光源221が配置され、そしてフレーム211の反対側には光電セル222が配置されて、光源221より発せられた光ビームが光電セル222で検出測定できるように光源と一直線上にある。この態様では、試料を透過した光が光電セル222で測定される。別の態様では、光電セル222は光源221からの入射光ビームと好適な角度、好ましくは90度で位置が合うように取り付けられる。この第二の態様では、試料で散乱された光が光電セル222で測定される。光電セルは受け取った光を電気信号に変換し、次いで電気信号は回線223を介してコンピュータ制御装置230に送られ、制御装置は信号をデータ入力として受け取る。コンピュータ制御装置230は信号回線231を介して試料の移動も制御し、それにより試料を順次、コンピュータ・コマンドで光源221と光電セル222の間の位置に移動させることができる。
【0061】
試料を予め決めた温度で予め決めた時間、そして任意に予め決めた湿度で維持して、貯蔵安定度について例えば沈降物の形成により測定して試験する。予め決めた温度は、一般には約20℃乃至約80℃の範囲にあってよく、加熱は例えば試料を保管したり通過させるオーブンにより行う。温度が高いほど不安定性の割合が増す傾向にある。予め決めた湿度は、利用するなら、通常は約10%相対湿度乃至100%相対湿度の範囲にある。予め決めた時間は、少なくとも約1日であることが好ましい。一般的には試料を30日間にわたって毎日試験する。所望によりもっと長い試験時間、例えば60日、90日、365日等を選択することもできる。
【0062】
一般に、試料は最初は澄んで透明である。試料は、例えば薄褐色から濃い茶色までの範囲のどんな色でもありうるが、最初は光を透過させることができる。沈降は曇りや凝集塊を形成しがちで、それが試料の不透明度や光散乱を増加させる。よって、貯蔵安定度の測定手段には、どの位の量の光が試料を通過できるか、あるいは試料で散乱されるかを測定することが含まれる。図2に図示したシステムでは、光源221と光電セル222が試験ステーション220で用いられてこの試験操作が遂行される。試料が、光源221と光電セル222の間の試験ステーション220の位置に移動し、そして光電セルで、どの位の量の光が試料を透過したか、あるいは試料で散乱されたかが測定され、この測定値は電気信号に変換され、次いで電気信号は回線223によりコンピュータ制御装置230に送られる。コンピュータ制御装置では信号はデータとして記録され、データは後述するように保存されてデータライブラリの一部となる。あるいはコンピュータでは、公知のソフトウェアを使用して透過率測定値がセイボルト色又はASTM色値に変換され、例えばその色値が試料の既知の色範囲と比較されることにより試料の貯蔵安定度を決定することができる。
【0063】
コンピュータ制御装置は、試料の移動および位置決めも制御できることが好ましく、それにより試料を別個に試験することができる。図2に示したように、試験容器212を例えば可動キャリジ211に取り付けることができ、キャリジが試験容器を順次、光源221と光電セル222の間の位置に移動させる。あるいは、光源221と光電セル222が移動することもできる。また別の変形として、後述するように試料をロボットアームでしっかり掴んで別個に移動させることもできる。
【0064】
比較用の基線読取りを得るために、試料を予め決めた温度で任意に予め決めた湿度で予め決めた時間維持する工程に先立って、最初に試料に例えば沈降測定または色測定により貯蔵安定度の試験を行う。この初期データをコンピュータ・ライブラリに保存して、その後の貯蔵安定度データを評価することができる基準点を確立する。試験容器の底に沈んでいる如何なる沈降物であれ少なくとも一時的に再懸濁させるために、貯蔵安定度測定を行う直前に、例えば試験容器を振動したり、試験容器を一回以上逆さにしたり、試験容器の内容物をかき混ぜたり、あるいは他の任意の好適な手段により試料を撹拌することが好ましい。この工程により、試料全体に渡って沈降物のより均一な分布が達成され、よってより均一な不透明度が達成され、その結果、光電セルが間違った読取りをすることがない。
【0065】
ここで図3に言及すると、任意にバーコード313を、個々の各試験容器212とその中に含まれる試料に付与することができる。バーコード313は、測定毎に標準バーコード読取装置325で読み取ることができて、沈降測定で得られたデータが適切な試料に対応することを保証する。これによって、試料の測定の順番を変えることも容易になる。
【0066】
ここで図4に言及すると、整列した試験容器312がホルダ315に取り付けられているシステム300を図示している。各試験容器312は任意に、その外側表面に付けられた識別バーコード313を有する。バーコード読取装置325は、試験容器312それぞれの個々のバーコードを読み取って、バーコードデータ信号をデータ送信回線326を介してコンピュータ制御装置330に送ることができるような位置にある。バーコード読取装置325は、選択した個々の試験容器312と一直線上に位置できるようにホルダ315に対して移動できることが好ましい。
【0067】
ロボット組立装置350は、少なくとも把握機構352を備えた可動アーム351を含んでいる。ロボット組立装置は、個々の試験容器312をしっかり掴んで、試験容器を光源321と光電セル322の間にある試験ステーション320の位置に移動させるように作られていて、それにより沈降測定を行うことができる。また、ロボットアームは、試験容器312を試験の位置に置く前に、例えば試験容器を繰り返し逆さにすることにより試験容器内の試料を撹拌するように作られていることが好ましい。光電セルでは、試料を通過した光の測定値が得られ、その光透過データはデータ送信回線323によりコンピュータ制御装置330に送られる。コンピュータ制御装置330は、制御信号送信回線331を介してロボット組立装置の制御に操作的に関与して、測定することを予め決めた試験容器を選択的に取り出したのちホルダ315の定められた位置それぞれに再び置くようにする。
【0068】
好ましい方法では、「合格/不合格」決定のために指定沈降値をコンピュータ制御装置にプログラムしておく。長い試験期間中、例えば30日間毎日、貯蔵安定度測定を行う。長い試験期間の過程で不合格になった試料には電子的に印を付け、それにより再び試験をすることがない。不合格試料を再試験しないことによって、システムを更に効率良く稼働させて、所望の製品仕様を満たすと予測される試料だけにエネルギーと時間を費やすことができる。
【0069】
あるいは、複数の試料に粘度試験を実施して貯蔵安定度を決定してもよい。例えば、試験容器312に羽根車(図示なし)を挿入し、最初に予め決めた力を掛けて回転させ、そして毎分回転数を測定して比較用の基線読取りを得てもよい。次に、予め決めた時間間隔で羽根車を再び予め決めた同じ力を掛けて回転させ、毎分回転数を測定する。羽根車の毎分回転数が予め決めた時刻にて予め決めた対照試料の値よりも高いまたは低いときに、「合格/不合格」決定をデータベースに入力することができる。
【0070】
潤滑油組成物を含んでいる複数の容器は、例えば酸化消費データ、堆積物データ、粘度データ等のような酸化安定度測定値についても分析することができる。ここで図5に言及すると、複数の液体試料の酸化防止性を順次分析するためのシステムを概略的に図示している。複数の試験容器それぞれに入った前記組成物を酸化安定度について審査するためのこのシステムと方法の代表的なものとしては、同時係属出願中の米国特許出願第10/699508号明細書(ウォレンベルグ、外、2003年10月31日出願、題名「潤滑油組成物の高速大量処理審査方法」、(ドケット第T−6298C号、(538−62))、譲受人は本出願と共通)に開示されているものがあり、その内容も参照事項として本明細書の記載とする。例えば、図5に言及すると、整列した試験容器512がホルダ515に取り付けられているシステム500を概略的に図示している。システム500は、任意の数の試験容器212(と試料)を収納できるように作られている。各試料は、例えばホルダ515内に規則正しく整列したその試験容器の位置によって、より好ましくは試料に関連した識別印を有することにより識別できる。例えば、各試験容器512は、その外側表面に付けられた識別バーコード513を有することができる。バーコード読取装置525は、試験容器512それぞれの個々のバーコードを読み取り、バーコードデータ信号をデータ送信回線526を介してコンピュータ制御装置530に送って、試料を電子的に識別することができるような位置にある。バーコード読取装置525は、選択した個々の試験容器512と一直線上に位置できるように、コンピュータ制御装置530からの信号に応答してホルダ515に対して移動できることが好ましい。
【0071】
ロボット組立装置550は、把握機構552を備えた可動アーム551を含んでいる。ロボット組立装置は、コンピュータ制御装置530からの選択命令に従って個々の試験容器512をしっかり掴んで、試験容器を試験ステーション520の位置に移動させるように作られていて、それにより容器内の試料の酸化防止性を測定することができる。コンピュータ制御装置530は、制御信号送信回線531を介してロボット組立装置の制御に操作的に関与して、予め測定の決まった試験容器を選択的に取り出したのちホルダ515の定められた位置それぞれに再び置くようにする。
【0072】
試験ステーション520は、試料の酸化安定度、すなわち耐酸化性を試験する手段を含んでいる。試験の酸化安定度データ結果は、電気又は光信号に変換され、信号送信回線523を介してコンピュータ制御装置530に送られる。酸化安定度を試験する種々の手段が知られているが、一般には、試料を酸素環境に処して予め決めた期間にわたって試料に対する酸化の影響を測定することが挙げられる。
【0073】
例えば、本発明に使用される一酸化安定度試験法(潤滑油酸化試験法)では、油試料を計量してガラスなどの酸化セルに入れる。セルにガラス製撹拌器を挿入し、セルを密封する。一般に、撹拌器は酸化セルの外部にある撹拌用モーターと磁気的に連係している。油試料の上部領域には、試験潤滑油の酸化過程で遊離する二酸化炭素ガスを吸収するのに適した充分な固体物質、例えば水酸化カリウムを置くことができる。任意に、酸化を加速するのを助けるために潤滑油に触媒を添加してもよく、触媒は内燃機関内で一般に認められる金属イオンの種類をシミュレートするように選択される。
【0074】
次に、セルを予め決めた温度、例えば約250°F乃至約400°F、好ましくは約300°F乃至約350°Fの範囲の温度に維持した油浴内に静置して、酸素供給に接続する。充分な量の酸素をセルに供給しながら撹拌器で油試料を撹拌する。充分な量の酸素が試料で消費されるまで試験を実施し、そして試料の全実施時間を例えば時間で報告する。一般的に、大規模な操作では通常、試料25グラムに対して酸素1リットルが必要である。よって、試料が少量であればそれに比例して酸素の容量も少なくて済み、当該分野の熟練者の範囲内にある。所望により、後の解析のために、潤滑油粘度と共に消費された酸素流量の測定結果を予め決めた時間間隔でコンピュータ・データベースに記録することができる。この試験の変形では、予め決めた期間、例えば約10時間試験の後に消費された酸素の量を測定しながら、同時に酸素消費容量と潤滑油粘度をある時間間隔でコンピュータ・データベースに記録する。好適な高速大量処理粘度測定法については、欧州特許第1158290号明細書、国際公開第99/18431号パンフレット、米国特許出願公開第2003/0037601号明細書、米国特許第6383898号明細書及び国際公開第03/019150号パンフレットに開示されている。
【0075】
本発明に使用される別の酸化安定度試験法としては、試験油の酸化が進んで透明な管などに堆積物を形成する温度を測定する方法がある。この方法では、透明なガラス管をアルミニウム製加熱ブロックなどの金属製加熱ブロックの内部に静置し、ガラス管の底のホルダに小さな空気ホースを取り付ける。次に、約5mL注射器などの好適なノズルおよび約12インチの柔軟な管などの好適なホースを油試料で満たす。
【0076】
管を空気ホースより上部にあるガラス管のホルダに取り付け、油をノズルよりガラス管に着実に導入する。試験期間中に加熱ブロックにより空気が試験油をガラス管の上方に押し上げる。予め決めた時間内、例えば16時間内に試料全部が注入されるように、空気流の速度および試料導入の速度を制御する。油の酸化によって徐々にガラス管の内壁に濃い色の堆積物が形成される。加熱ブロックを狭い制限内で温度制御し、一般に試験条件を例えば約230℃乃至約330℃の温度範囲で選択し、そして種々の温度で試験を実施して温度の変動範囲に渡って堆積物形成を測定することができる。予め決めた期間(例えば、16時間)後に試験装置からガラス管を取り除いて適当な溶剤ですすぎ、そして管内の堆積物の色の濃さによって堆積物の量を測定する。濃さは堆積物の量および酸化の量を示す。測定値を予め決めた標準管セットと比較する。
【0077】
試験管を目視により検査し、標準管セットと比較し、堆積物形成率を見積もることにより手動でも堆積物形成の決定を行うことができるが、本発明の方法は自動化されていて好ましくは光源と光電セルを用いる。光源からの光ビームが管を通過するようにし、管を透過した光の量を光電セルで測定することにより、堆積物の量を測定することができる。管の不透明度は堆積物の量を示し、よって試料の酸化の量を示す。
【0078】
例えば図6に言及すると、コマツ・ホットチューブ試験装置の試験管624を光源621と光電セル622の間の位置に置く。光源からの光ビームが試験管624を通過して光電セル622で測定され、光電セルでは透過光の量が測定されてこの読取値は電気信号に変換され、そして信号は回線623を介してコンピュータ制御装置630に送られる。コンピュータ制御装置630には、標準管セットの光透過率(または不透明度)の値が保存されていて、標準セットとの比較で試験試料の酸化の値が見積もられる。酸化評点が試験試料(バーコードで識別できる)に帰属され、そしてその情報はデータライブラリの構成部分として保存される。その後、コンピュータ制御装置は選択命令を変更することができる。コンピュータ制御装置630の種々の機能を遂行するためのプログラミングも当該分野の熟練者の範囲内にある。
【0079】
本発明に使用される別の酸化安定度試験法では、上記試料の各々を酸化容器に入れて予め決めた温度で予め決めた時間維持する。酸化容器は、赤外透過に適した材料、例えばホウケイ酸塩ガラスでできていてよい。予め決めた温度は、通常は約100℃乃至約200℃の範囲にあり、好ましくは約140℃乃至約180℃の範囲にある。予め決めた時間は、最大約40時間まで変えることができる。さらに、試験油に金属系酸化触媒、例えば銅、鉛およびアルミニウムなどの金属イオンの組合せを存在させて、空気を一定流速で吹き込む。空気の流速は、当該分野の熟練者が決めることができる(例えば、試験油試料200gに対して13.9L/hr±0.5L/hrを使用している)。次に、1710cm-1のカルボニルピークの赤外吸光度を例えばフーリエ変換赤外分光計(例えば、ブルカーIFS48赤外装置)を使用して測定することにより、酸化度を決定する。酸化が起きるにつれて、試験油の酸化のためにカルボニル含有官能基が生成するので1710cm-1の吸光度ピークが増大する。次に、データをコンピュータ・データベースに記録する。好適な高速大量処理による赤外吸光度測定法は、米国特許出願公開第2002/0197731号明細書に教示されている。
【0080】
本発明に使用される別の酸化安定度試験法には、走査型示差熱量法を利用するものがある。一般に走査型示差熱量法は、試験油試料を加熱しながらその酸化安定度を測定する技術である。この方法では、試料を10ml気密ガラスびんのような好適な容器に入れ、そしてオーブンなどの熱源を使用して予め決めた温度、例えば約120℃乃至約200℃で保持する。実験の間中、自動化されたコンピュータデータ収集が起こって、個々のデータ点は温度および試料と対照間の熱流を表し、そして各回の測定が記録される。従って、この試験の目的は、気密モデル系における予め決めた温度での油試料の熱的安定性を測定して発熱を決定することにある。発熱が観測される温度は酸化開始温度と呼ばれ、油の酸化安定度の測定値である。
【0081】
本発明に使用される酸化安定度試験法の別の態様(薄膜酸素消費試験(TFOUT)法、例えばASTM D4742として知られている)では、油試料を計量して適当な量の燃料留分試料、液体金属触媒および水試料と一緒にTFOUT用ガラス皿に入れる。試料を鋼鉄製ボンベなどの適当な容器内に静置し、そして予め決めた量、例えば約30psi乃至約90psiの酸素を室温で充填する。次いで、容器を予め決めた温度、例えば120℃乃至約200℃に維持した油浴に沈め、そして予め決めた速度、例えば約50rpm乃至約140rpmで回転する。チャート式記録計が酸素圧を絶えず監視でき、急速な圧力降下があった時点で試験を終了する。試験の開始から急速な圧力降下までの時間を記録する。その時間が予め決めた値を上回るかまたは下回れば、試料に合格/不合格決定を下す。
【0082】
所望により、「合格/不合格」決定のためにコンピュータ制御装置に酸化の指定値をプログラムしておく。合格/不合格指定値は、特定の潤滑剤用途のための性能要求条件および予測される作動環境に基づいて選択することができる。試験試料が過度に高い酸化値を示すことにより不合格であるなら、試験試料に電子的な印を付すことができ、そしてその試料と同じ組成を有する潤滑油配合物を他の性能特性についてそれ以上試験することから除去することができる。不合格試料を再試験しないことで、システムを更に効率良く稼働させて、所望の製品仕様を満たすと予測される試料だけにエネルギーと時間を費やすことができる。
【0083】
所望により、本発明の方法の結果を遠隔地、すなわち本発明の方法を実施するシステムと直接の接触がない、あるいは少なくとも目に見える接触がない場所から監視することができる。遠隔地は、例えば本発明に使用されるシステム全体の一部として、実施する試験の結果の各々の出力を記録すると共にシステムを監視し制御する中央プロセス制御システム又は室であってよい。このようにして、システムの場所に配置された職員とあまり相互接触がなくても監視することが可能になる。制御コマンド並びに出力結果を送信できる好適なデータ回線も知られている。
【0084】
また、潤滑油組成物を含んでいる複数の容器を耐摩耗性、すなわち摩耗安定度それぞれについても分析することができる。摩耗の種類の分類としては、これらに限定されるものではないが、凝着摩耗、アブレシブ摩耗、疲れ摩耗および研磨摩耗が挙げられ、一般に次のものが三大摩耗試験である:極圧摩耗試験、流体摩耗試験および腐食摩耗試験。耐摩耗性データのために複数の試験容器それぞれに入った前記組成物を審査するシステムと方法の代表的なものとしては、同時係属出願中の米国特許出願第10/699509号明細書(ウォレンベルグ、外、2003年10月31日出願、題名「潤滑油組成物の高速大量処理審査方法」、譲受人は本出願と共通(ドケット第T−6298B号、(538−61)))に開示されているものがあり、その内容も参照事項として本明細書の記載とする。
【0085】
極圧摩耗試験は、潤滑油組成物が例えばエンジンから絞り出されて、相互作用しているエンジン表面に化学的に結合した試験組成物の耐摩耗性添加剤の非液膜しか残っていない状況に関係している。例えば、極圧摩耗条件は、稼働している内燃機関のピストンリングとシリンダ壁の間で、ピストンが上死点に達して燃料燃焼爆発力を受けながら瞬間的に滑り移動していないときに生じる。
【0086】
流体試験は、液体潤滑剤膜が相互作用面の間に残っているような状態で、潤滑油組成物が摩耗を防ぐ能力を試験するように設計されている。一般に流体潤滑条件は、内燃機関のピストンリングとシリンダ壁の間で、ピストンがストローク過程で滑り移動しているときに生じる。
【0087】
最後に、腐食摩耗試験は、潤滑油組成物が腐食環境下で相互作用面を摩耗から防護する能力を試験するように設計されている。後者の腐食環境は、燃焼すべき燃料または潤滑油組成物の成分の酸化のために、例えば硫黄が硫酸を発生する場合に、内燃機関内で観察することができる。
【0088】
ここで図7及び図8に言及すると、図1に従ってライブラリに保存された複数の潤滑油組成物の耐摩耗性を順次分析するための本発明の方法とシステムを図示している。保存された潤滑油組成物の各々の耐摩耗性に関係した情報を加えることにより、所望の作動条件または法定要求条件下で極圧、流体及び腐食摩耗安定度試験を行ってうまくいくことが可能な候補組成物の選択が実質的に容易になる。
【0089】
710(図7)で複数の潤滑油組成物が供給されているので、ロボット組立装置800(図8)は、試験容器810を選択的に試験ステーション820に届けることにより試験の各々を実施するように作られている。ここで、各試験容器は試料をそれぞれ含み、識別バーコード850を有する。ロボット組立装置は一つ以上の可動アーム812を有するように構成され、各アームには把握機構814が設けられ、把握機構はコンピュータ制御装置816からの命令に従って個々の試験容器810を掴む。
【0090】
試験ステーション820は、一度に一つの試験を行う単一の試験装置を含んでいてもよいが、好ましくはこのステーションは同時に作動する多重の装置で組み立てられ、それにより各装置は制御装置816からの命令720(図7)に従ってそれぞれの試験を実施する。多重装置の場合には、試験する潤滑油組成物を極圧試験装置822、流体試験装置824および腐食試験装置826に分配することができ、あるいは多数の同一潤滑油組成物を上記試験装置のいずれかで別個に試験してもよい。試験装置の各々は所望の制御条件下で動作するが、その条件としては数ある中でも、現行の又は提案された法定要求条件に明示された条件に対応したり、稼働エンジンの多数部分又は全部に対応する予め決めた温度、荷重および酸濃度が挙げられる。よって、例えば極圧試験装置822を、時間を制御しながら掛けた荷重が例えば約200lbsから約300lbs、約400lbsまで順次増加するように作動させてもよい。流体試験装置824を、荷重が例えば約50lbsから約100lbs、約150lbsまで、極圧荷重装置824の荷重増加に関係した間隔と同じかまたは違う間隔で増加するように制御してもよい。最後に、例えば硫酸のような腐食要素をコンピュータ制御した濃度で腐食試験装置826に送って、予め決めた荷重と酸濃度に対応した所望の腐食環境を再び作り、そして潤滑油組成物の腐食摩耗安定度を決定することができる。特定の荷重と酸濃度条件が、試験装置の各々に関連して制御可能で作られ変更される唯一のパラメータではないことを理解すべきである。
【0091】
図7の730に示すように、潤滑油組成物の各々又はその一部を上記試験(群)に掛けると、740にてコンピュータ制御装置816(図7)は試験結果それぞれを処理して出力し、試験結果の各々はライブラリに加えられる。従って、ライブラリに保存された潤滑油組成物の耐摩耗性に関する情報は、例えば目録に載った組成物の貯蔵安定度や酸化安定度に加えて、情報の別の断片となる。
【0092】
上述した試験を実施するための各種の潤滑剤及び摩耗試験機械又は装置が知られている。例えば、図9及び図10に図示するように、試験ピンとV形ブロック900および四球組立試験機1000はそれぞれ、極圧、流体及び腐食摩耗試験を別個にもしくは組み合わせて行うことが可能である。例えば、図9の試験ピン構造では、2個のV形ブロック910を回転ジャーナル920に対して制御可能で加圧でき、ジャーナルは試験する潤滑油組成物を含むカップ930の中に沈められている。従って、荷重を制御可能で増加させることにより、潤滑油組成物の各々について流体及び極圧試験を順次行うことができる。測った濃度の酸化媒体をジャーナルに送ることにより、前二つの試験の各々と同時にもしくは別個に腐食試験を実施することができる。そのような配送は、例えばジャーナルのある箇所に絶えず硫酸を注入することにより実行することができる。勿論、酸濃度が増加するにつれて摩耗および/または摩耗速度も増加する。
【0093】
四球試験装置1000は、図10に示したように、3個の底部試験球1030が据え付けのホルダ1040に置かれ、その場所に固定され、そして潤滑油組成物の各一種1020で覆われるように組み立てられている。上球1010をチャックに入れて上球1010をスピンドル1050に取り付けると直ちに、上述したようにコンピュータ制御しながら荷重を掛ける。流体試験と極圧試験のどちらを実施しようとするかによって、試験実施による摩耗痕径に相当する荷重摩耗指数または融着点を決定することができる。
【0094】
所望により、得られたデータ結果を遠隔地、すなわち本発明の方法を操作するシステムと直接の接触がない、あるいは少なくとも目に見える接触がない場所から監視することができる。遠隔地は、例えば本発明に使用されるシステム全体の一部として、実施した試験の結果の各々の出力を記録すると共にシステムを監視し制御する中央プロセス制御システム又は室であってよい。このようにして、システムの場所に配置された職員とあまり相互連絡がなくても監視することが可能になる。制御コマンド並びに出力結果を送信できる好適なデータ回線も知られている。
【0095】
また、潤滑油添加剤または潤滑油組成物に関する貯蔵安定度データ、酸化データおよび耐摩耗性データを関係データベースに保存して、本発明のコンビナトリアル潤滑油組成物ライブラリとすることができる。あるいは、システム操作と制御用のコンピュータ・マイクロプロセッサを含む信号データ収集装置にシステムを電気的に接続して、長期間に渡って種々の試験のデータを収集し、コンビナトリアル潤滑油組成物ライブラリにコンパイルしてもよい。データベースは、所望する製品の動向に対して最適な組合せを見つけるのに使用することができ、特に所望する製品の動向が市場要因によって変わる場合に有用であると言える。製品要求条件が変更になったときに、適切な組合せを選択して所望の製品を製造することができる。
【0096】
添加剤(類)および潤滑油組成物の同一性とそれらから得られた貯蔵安定度の解析データとを相関させるのに、関係データベース・ソフトウェアを使用することができる。多数の市販の関係データベース・ソフトウェア・プログラムは、例えばオラクル(Oracle)、トリポス(Tripos)、MDL、オックスフォード・モレキュラー(Oxford Molecular)(「ケミカル・デザイン」)、IDBS(「アクティビティ・ベース」)、および他のソフトウェア業者から入手できる。
【0097】
関係データベース・ソフトウェアは、本明細書に記載した方法の過程で得られたデータを管理するための好ましいタイプのソフトウェアである。しかし、潤滑油添加剤および潤滑油組成物の「メモリマップ」を作製して、その情報を貯蔵安定度測定から得られた情報と相関させることができる任意のソフトウェアを使用することができる。このタイプのソフトウェアも当該分野の熟練者にはよく知られている。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】複数の異なる潤滑油組成物を製造するためのシステムを示す概略図である。
【図2】複数の異なる潤滑油添加剤組成物及び/又は潤滑油組成物の試料の貯蔵安定度を測定するためのシステムを示す概略図である。
【図3】バーコード読取装置と関連したバーコードを有する試験容器を示す。
【図4】試験容器を別個に取り出すロボット組立装置を用いるシステムを示す概略図である。
【図5】種々の潤滑油組成物の高速大量処理酸化審査をするためのシステムを示す概略図である。
【図6】基板上の堆積物形成を測定するための光電セル装置を示す概略図である。
【図7】図1のシステムに従って供給された複数の潤滑油組成物の耐摩耗性を決定して保存するための流れ図である。
【図8】図7の方法を実施することが可能な本発明のシステムの例を示す略図である。
【図9】本発明の方法とシステムに従って複数の摩耗試験を実施することが可能な機構部分の例として示す試験ピンとV形ブロックの拡大図である。
【図10】本発明の方法とシステムに従って複数の摩耗試験を実施することが可能な機構部分の別の例として示す四球ブロック試験800の等角図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)主要量の潤滑粘度の基油と(b)少なくとも一種の潤滑油添加剤とからなる複数の異なる潤滑油組成物を含んでいるコンビナトリアル潤滑油組成物ライブラリ。
【請求項2】
少なくとも一種の基油が、エンジン油、変速機液、油圧作動液、ギヤ油、船用シリンダ油、圧縮機油、冷凍機潤滑剤およびそれらの混合物からなる群より選ばれる請求項1に記載のコンビナトリアル潤滑油組成物ライブラリ。
【請求項3】
少なくとも一種の基油の粘度が100℃で約2乃至約2000センチストークス(cSt)である請求項1に記載のコンビナトリアル潤滑油組成物ライブラリ。
【請求項4】
少なくとも一種の基油の動粘度が100℃で約2cSt乃至約30cStである請求項1に記載のコンビナトリアル潤滑油組成物ライブラリ。
【請求項5】
少なくとも一種の基油の動粘度が100℃で約3cSt乃至約16cStである請求項1に記載のコンビナトリアル潤滑油組成物ライブラリ。
【請求項6】
少なくとも一種の基油の動粘度が100℃で約4cSt乃至約12cStである請求項1に記載のコンビナトリアル潤滑油組成物ライブラリ。
【請求項7】
少なくとも一種の基油のSAE粘度グレードが、0W、0W−20、0W−30、0W−40、0W−50、0W−60、5W、5W−20、5W−30、5W−40、5W−50、5W−60、10W、10W−20、10W−30、10W−40、10W−50、15W、15W−20、15W−30または15W−40である請求項1に記載のコンビナトリアル潤滑油組成物ライブラリ。
【請求項8】
少なくとも一種の基油が天然油または合成油である請求項1に記載のコンビナトリアル潤滑油組成物ライブラリ。
【請求項9】
少なくとも一種の潤滑油添加剤が、酸化防止剤、耐摩耗性添加剤、清浄剤、さび止め添加剤、曇り除去剤、抗乳化剤、金属不活性化剤、摩擦緩和剤、流動点降下剤、消泡剤、補助溶剤、パッケージ混合剤、腐食防止剤、無灰分散剤、染料、極圧剤およびそれらの混合物からなる群より選ばれる請求項1に記載のコンビナトリアル潤滑油組成物ライブラリ。
【請求項10】
少なくとも一種の潤滑油添加剤が、酸化防止剤、耐摩耗性添加剤、清浄剤、さび止め添加剤、曇り除去剤、抗乳化剤、金属不活性化剤、摩擦緩和剤、流動点降下剤、消泡剤、補助溶剤、パッケージ混合剤、腐食防止剤、無灰分散剤、染料、極圧剤およびそれらの混合物からなる群より選ばれる請求項2に記載のコンビナトリアル潤滑油組成物ライブラリ。
【請求項11】
少なくとも一種の潤滑油添加剤が、酸化防止剤、耐摩耗性添加剤、清浄剤、さび止め添加剤、曇り除去剤、抗乳化剤、金属不活性化剤、摩擦緩和剤、流動点降下剤、消泡剤、補助溶剤、パッケージ混合剤、腐食防止剤、無灰分散剤、染料、極圧剤およびそれらの混合物からなる群より選ばれる請求項3に記載のコンビナトリアル潤滑油組成物ライブラリ。
【請求項12】
少なくとも一種の潤滑油添加剤が、酸化防止剤、耐摩耗性添加剤、清浄剤、さび止め添加剤、曇り除去剤、抗乳化剤、金属不活性化剤、摩擦緩和剤、流動点降下剤、消泡剤、補助溶剤、パッケージ混合剤、腐食防止剤、無灰分散剤、染料、極圧剤およびそれらの混合物からなる群より選ばれる請求項4に記載のコンビナトリアル潤滑油組成物ライブラリ。
【請求項13】
少なくとも一種の潤滑油添加剤が、酸化防止剤、耐摩耗性添加剤、清浄剤、さび止め添加剤、曇り除去剤、抗乳化剤、金属不活性化剤、摩擦緩和剤、流動点降下剤、消泡剤、補助溶剤、パッケージ混合剤、腐食防止剤、無灰分散剤、染料、極圧剤およびそれらの混合物からなる群より選ばれる請求項5に記載のコンビナトリアル潤滑油組成物ライブラリ。
【請求項14】
少なくとも一種の潤滑油添加剤が、酸化防止剤、耐摩耗性添加剤、清浄剤、さび止め添加剤、曇り除去剤、抗乳化剤、金属不活性化剤、摩擦緩和剤、流動点降下剤、消泡剤、補助溶剤、パッケージ混合剤、腐食防止剤、無灰分散剤、染料、極圧剤およびそれらの混合物からなる群より選ばれる請求項6に記載のコンビナトリアル潤滑油組成物ライブラリ。
【請求項15】
少なくとも一種の潤滑油添加剤が、酸化防止剤、耐摩耗性添加剤、清浄剤、さび止め添加剤、曇り除去剤、抗乳化剤、金属不活性化剤、摩擦緩和剤、流動点降下剤、消泡剤、補助溶剤、パッケージ混合剤、腐食防止剤、無灰分散剤、染料、極圧剤およびそれらの混合物からなる群より選ばれる請求項7に記載のコンビナトリアル潤滑油組成物ライブラリ。
【請求項16】
少なくとも一種の潤滑油添加剤が、酸化防止剤、耐摩耗性添加剤、清浄剤、さび止め添加剤、曇り除去剤、抗乳化剤、金属不活性化剤、摩擦緩和剤、流動点降下剤、消泡剤、補助溶剤、パッケージ混合剤、腐食防止剤、無灰分散剤、染料、極圧剤およびそれらの混合物からなる群より選ばれる請求項8に記載のコンビナトリアル潤滑油組成物ライブラリ。
【請求項17】
さらに、異なる潤滑油組成物の各々についての潤滑油組成物特性データを含んでいる請求項1に記載のコンビナトリアル潤滑油組成物ライブラリ。
【請求項18】
潤滑油組成物特性データが、貯蔵安定度データ、酸化安定度データ、耐摩耗性データおよびそれらの混合物からなる群より選ばれる請求項17に記載のコンビナトリアル潤滑油組成物ライブラリ。
【請求項19】
貯蔵安定度データが、沈降測定値、色測定値または粘度測定値からなる請求項18に記載のコンビナトリアル潤滑油組成物ライブラリ。
【請求項20】
下記の工程からなるコンビナトリアル潤滑油組成物ライブラリの作製方法:
(a)(i)主要量の少なくとも一種の潤滑粘度の基油と(ii)少量の少なくとも一種の潤滑油添加剤とからなる複数の異なる潤滑油組成物試料のライブラリを供給する工程、ただし、各試料は複数の試験容器のそれぞれに入っている、
(b)各試料の潤滑油組成物特性を測定して、各試料についての潤滑油組成物特性データとする工程、そして
(c)工程(b)の結果を出力する工程。
【請求項21】
少なくとも一種の基油が、エンジン油、変速機液、油圧作動液、ギヤ油、船用シリンダ油、圧縮機油、冷凍機潤滑剤およびそれらの混合物からなる群より選ばれる請求項20に記載の方法。
【請求項22】
少なくとも一種の基油が天然油または合成油である請求項20に記載の方法。
【請求項23】
少なくとも一種の潤滑油添加剤が、酸化防止剤、耐摩耗性添加剤、清浄剤、さび止め添加剤、曇り除去剤、抗乳化剤、金属不活性化剤、摩擦緩和剤、流動点降下剤、消泡剤、補助溶剤、パッケージ混合剤、腐食防止剤、無灰分散剤、染料、極圧剤およびそれらの混合物からなる群より選ばれる請求項20に記載の方法。
【請求項24】
(b)の測定工程が、貯蔵安定度測定、酸化安定度測定または耐摩耗性測定を含む請求項20に記載の方法。
【請求項25】
貯蔵安定度測定が、沈降測定、色測定または粘度測定からなる請求項24に記載の方法。
【請求項26】
工程(c)において、各試料についての工程(b)の結果をコンピュータに送り、コンピュータではその結果を予め決めた値と比較して結果の不合格又は合格を定め、そしてコンピュータでは不合格試料を確定して不合格試料をそれ以上試験しないようにする請求項20に記載の方法。
【請求項27】
(c)の出力工程が、工程(b)の結果をデータ媒体に保存することを含む請求項20に記載の方法。
【請求項28】
さらに、工程(b)の結果を更なる算定の結果を得るための基礎として使用する工程を含む請求項20に記載の方法。
【請求項29】
さらに、工程(b)の結果を遠隔地に転送する工程を含む請求項27に記載の方法。
【請求項30】
さらに、更なる算定の結果を遠隔地に転送する工程を含む請求項28に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−514800(P2007−514800A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538247(P2006−538247)
【出願日】平成16年10月27日(2004.10.27)
【国際出願番号】PCT/US2004/035809
【国際公開番号】WO2005/045205
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(598037547)シェブロン・オロナイト・カンパニー・エルエルシー (135)
【Fターム(参考)】