説明

コンピュータ用入力装置

【課題】コンピュータの表示装置の画面に表示されたポインタの移動やコンピュータの本体に対する文字等のデータの入力作業を足の指先による操作で容易に行うことが可能なコンピュータ用入力装置を提供する。
【解決手段】机3の上に置かれたコンピュータ本体1に無線接続され、コンピュータ本体1に文字等を入力する文字入力用キーボード4と,表示装置2の画面に表示されたポインタの位置を移動させるポインタ操作用キーボード5とを備え、文字入力用キーボード4及びポインタ操作用キーボード5は、平面視した場合に輪郭の一部をなす2本の同心円弧4b,4c及び5b,5cの中心が操作者側に向くように机3の脚元に設置され、文字入力用キーボード4の上面4aには円弧4b,4cに沿って12個の円形の文字キー6a,6bが配列されており、文字キー6a,6bの種別を表すキー表示部7が、対応する文字キー6a,6bの近傍にそれぞれ設置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータに文字や記号などのデータを入力し、あるいはコンピュータ画面に表示されたポインタ等の操作を行うために用いるコンピュータ用入力装置に係り、特に、足の指先で容易に操作することが可能なコンピュータ用入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータの本体にデータを入力したり、コンピュータの表示装置の画面に表示されたポインタ(データの入力可能位置等を示す印)を操作したりする場合、通常、文字や記号を入力するキー、設定を行うキー及び機能を選択するキーを備えたキーボードと呼ばれる入力装置が用いられる。ところが、現在使用されているキーボードの多くは、手の指先による操作を前提として設計されているため、個々のキーの大きさは足の指よりも小さく、また、キーの数も多い。従って、手に障害があって足の指先での操作を余儀なくされている作業者にとって、キーの操作は極めて困難なものとなっていた。また、一文字を入力するために複数のキーを操作する必要がある場合には、入力に長い時間を要するという課題があった。
【0003】
このような課題に対処するものとして、例えば、特許文献1には「足踏み操作式パソコン入力装置」という名称で、足踏み操作式のスイッチを利用してキーボードの各種のキー操作を行う入力装置に関する発明が開示されている。
特許文献1に記載された発明は、足踏み板と、この足踏み板を支持する可動軸と、可動軸の下部に対して接触可能に配置される複数個のスイッチとを備えるものである。
このような構造によれば、足踏み板の踏み加減を調節することにより可動軸を介して所望のスイッチを操作することができる。
【0004】
また、特許文献2には、「足踏キーボード」という名称で、足で踏み付けることによってコンピュータ等に指令を与えるように構成されたキーボードに関する発明が開示されている。
特許文献2に開示された発明は、ファンクションキーのうち使用頻度の高いものに足踏キーを並列接続した構造となっている。
このような構造によれば、使用頻度の高いファンクションキーを指で操作する必要がないため、タイピングのリズムを取り易い。従って、キー入力作業を容易に行うことができる。
【0005】
さらに、特許文献3には、「日本語入力用のキーボード」という名称で、日本語入力用のキーボードにおいて特定の種類のキーを足で操作できるように構成されたキーボードに関する発明が開示されている。
特許文献3に開示された発明は、入力された文字列を仮名漢字混じりの文字列に変換し、変換された文字列を確定する作業を足で行うフット変換キー及びフット確定キーを備えるものである。
このような構造によれば、日本語入力作業を手による文字入力作業と足による変換作業及び確定作業とに分担して能率よく行うことができる。
【0006】
特許文献4には、「キーボード装置」という名称で、複数の言語を入力する場合でもホームポジションから両手を離さずにブラインドタッチでキー入力を行うことができるキーボードに関する発明が開示されている。
特許文献4に開示された発明は、英語や日本語など複数の言語の入力を一つのキーボードを用いて行うものであり、入力する言語をフットペダルの操作によって切り替える構造となっている。
このような構造によれば、例えば、ローマ字入力と仮名文字入力とを切り替える際に、キーボード上のキーを操作する必要がない。従って、両手をホームポジションから移動させることなく、ブラインドタッチによるキー入力を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−322176号公報
【特許文献2】特開昭61−4322号公報
【特許文献3】特開2007−140840号公報
【特許文献4】特開2000−259322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、コンピュータの表示装置の画面上でポインタを移動させる場合、特許文献1に開示された発明では、ポインタの移動方向に対応する足踏みスイッチを個別に操作する必要がある。従って、マウスを手で操作する場合とは異なり、ポインタを表示装置の画面上でスムーズに移動させることができないという課題があった。また、文字入力を行う場合には、2基の足踏みスイッチに設けられている16個の接点を使用するため、操作が煩雑であり、キー入力の作業に時間がかかるという課題があった。さらに、文字の入力とポインタ操作を同時に行うことができないという課題もあった。
【0009】
また、特許文献2乃至特許文献4に開示された発明では、いずれも足元の操作で文字の入力を行うことができないという課題があった。
【0010】
本発明は、このような従来の事情に対処してなされたものであり、コンピュータの表示装置の画面に表示されたポインタの移動やコンピュータの本体に対する文字等のデータの入力作業を足の指先による操作で容易に行うことが可能なコンピュータ用入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、表示装置を備えたコンピュータにデータを入力するコンピュータ用入力装置において、データ入力キーが設けられた第1のキーボードと、表示装置の画面上でポインタを移動させるポインタ操作キーが設けられた第2のキーボードとを備え、第1のキーボード及び第2のキーボードは,少なくとも1つの端縁が平面視して円弧状をなすとともに,この端縁の中心に向かって徐々に厚さが薄くなるように上面が傾斜して形成され、データ入力キーは上記端縁に沿うように第1のキーボードの上面に複数個配列されることを特徴とするものである。
このような構造のコンピュータ用入力装置において、データ入力キーやポインタ操作キーを操作する場合、端縁の円弧の中心に位置するように踵を設置し、この踵を軸にして弧を描くように指先側を動かすだけで良い。すなわち、キーを操作する度に足を宙に浮かせるような動作を行う必要がない。従って、足が疲れ難い。また、第1のキーボード及び第2のキーボードにおいて操作者に近い側の端縁が円弧状をなしていることから、指先側が弧を描くように足を動かした場合に、端縁と接触するおそれがない。この場合、足の可動範囲が広くなるため、キーボードの操作性が向上する。さらに、操作者から見て手前側が低くなるように第1のキーボード及び第2のキーボードの上面が傾斜していることから、前後方向に各種のキーが複数列配置されており、そのうちの一つのキーを操作する場合に、他のキーが邪魔になり難いという作用を有する。
【0012】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のコンピュータ用入力装置において、ポインタ操作キーは前記第2のキーボードの上面に対して凹状に設けられることを特徴とするものである。
このような構造のコンピュータ用入力装置においては、操作者から見てポインタ操作キーの前後方向に他のキーが配置されている場合でも、ポインタ操作キーが他のキーを操作する際に邪魔になり難いという作用を有する。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のコンピュータ用入力装置において、表示装置の画面上においてポインタの位置を確定させるクリックボタンを備え、このクリックボタンは第2のキーボードの上面の端縁とポインタ操作キーの間に設けられることを特徴とするものである。
このような構造のコンピュータ用入力装置においては、ポインタ操作キーとクリックボタンが片足によって同時に、かつ容易に操作されるという作用を有する。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のコンピュータ用入力装置において、表示装置の画面上においてポインタの位置を確定させるクリックボタンを備え、このクリックボタンは第1のキーボードの上面に設けられることを特徴とするものである。
このような構造のコンピュータ用入力装置においては、クリックボタンの操作と、ポインタ操作キーの操作を片足ずつで分担して行うことになるため、ポインタの操作に集中し易いという作用を有する。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のコンピュータ用入力装置において、第1のキーボード及び第2のキーボードのうち少なくともいずれか一方の映像を表示装置に表示可能に取り込む撮像手段を備えたことを特徴とするものである。
このような構造のコンピュータ用入力装置においては、第1のキーボード又は第2のキーボードに設けられた各種のキーやボタンに対する操作者の足の位置が、視覚によって容易に把握されるという作用を有する。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明の請求項1記載のコンピュータ用入力装置においては、キーの押し間違いを防いでデータの入力作業の効率化を図ることができる。また、足が疲れ難いため、データの入力作業を長時間行うことが可能である。
【0017】
本発明の請求項2記載のコンピュータ用入力装置においては、ポインタ操作キーの操作ミスを防いで、表示装置の画面上におけるポインタの操作を正確に、かつ、効率よく行うことができる。
【0018】
本発明の請求項3記載のコンピュータ用入力装置においては、ポインタ操作キーを足の親指等で操作しつつ、同時に足の裏等でクリックボタンを押下することが可能となる。すなわち、従来の手で操作するマウスに特有の「左クリックボタンを押下した状態のまま、表示装置の画面上でポイントを移動させる」という操作を、足によっても容易に実現することができる。
【0019】
本発明の請求項4記載のコンピュータ用入力装置においては、ポインタの操作ミスを少なくするとともに、ポインタを操作する作業によって片足のみに疲労が蓄積しないようにすることができる。
【0020】
本発明の請求項5記載のコンピュータ用入力装置においては、キーやボタンの押し間違いを少なくして、データ入力作業の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態に係るコンピュータ用入力装置の実施例1の外観斜視図である。
【図2】(a)及び(b)はそれぞれ実施例1のコンピュータ用入力装置の文字入力用キーボード及びポインタ操作用キーボードの外観図である。
【図3】(a)乃至(c)は実施例1の文字入力用キーボード及びポインタ操作用キーボードについて操作時の状態を模式的に示した図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るコンピュータ用入力装置の実施例2の外観斜視図である。
【図5】(a)及び(b)はそれぞれ実施例2のコンピュータ用入力装置の文字入力用キーボード及びポインタ操作用キーボードの外観図である。
【図6】(a)及び(b)は実施例2のポインタ操作用キーボードについて操作時の状態を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施の形態に係るコンピュータ用入力装置について図1乃至図6を用いて具体的に説明する。
【実施例1】
【0023】
実施例1のコンピュータ用入力装置について図1乃至図3を参照しながら説明する(特に、請求項1乃至請求項3に対応)。
図1は本発明の実施の形態に係るコンピュータ用入力装置の実施例1の外観斜視図である。図2(a)及び(b)はそれぞれ実施例1のコンピュータ用入力装置の文字入力用キーボード及びポインタ操作用キーボードの外観図である。また、図3(a)乃至(c)は実施例1の文字入力用キーボード及びポインタ操作用キーボードについて操作時の状態を模式的に示した図である。なお、図3(a)及び(b)は図2(a)をA方向から見た状態に、また、図3(c)は図2(b)をA方向から見た状態にほぼ対応している。
図1に示すように、本実施例のコンピュータ用入力装置は、コンピュータ本体1に文字や記号等のデータを入力する文字入力用キーボード4と、表示装置2の画面に表示されたポインタの位置を移動させるポインタ操作用キーボード5とを備えている。そして、文字入力用キーボード4及びポインタ操作用キーボード5は、机3の上に置かれたコンピュータ本体1に無線接続されており、平面視した場合に輪郭の一部をなす2本の同心円弧の中心が操作者側に向くように机3の脚元に設置されている。
【0024】
図2(a)に示すように、文字入力用キーボード4の上面4aには、平面視した場合に輪郭の一部をなす2本の円弧4b,4cに沿って12個の円形の文字キー6a,6bが配列されており、文字キー6a,6bの種別を表すキー表示部7が、対応する文字キー6a,6bの近傍にそれぞれ設置されている。すなわち、操作時に足の指等で文字キー6a,6bが隠された状態でもキー表示部7により、その種別が特定可能となっている。また、操作者から見て向かって右側の端部近傍には、略矩形状のスペースキー8a及びエンターキー8bが設けられている。なお、文字キー6a,6bとスペースキー8a及びエンターキー8bは上面4aに対して凸状に設けられている。
【0025】
円弧4bに沿って配列された7個の文字キー6aには、五十音の「あ」行から「ま」行までの各行の文字、「1」から「7」までの数字、「@」の記号及び「A」から「S」までのアルファベットが3文字又は4文字ずつ、操作者側から見て時計回りにそれぞれ割り当てられている。また、円弧4cに沿って配列された5個の文字キー6aには、五十音の「や」行から「わ」行までの各行の文字と記号「*」及び記号「#」、「T」から「Z」までのアルファベットが3文字又は4文字ずつ、「8」「9」「0」の数字及び「絵/記号」が操作者側から見て時計回りにそれぞれ割り当てられている。
【0026】
図2(b)に示すように、ポインタ操作用キーボード5の上面5aには、操作者から見て向かって左側に選定キー9aが配置され、選定キー9aの右側にはポインタ操作キー9bが配置されている。さらに、操作者から見てポインタ操作キー9bの手前側には、左クリックボタン9c及び右クリックボタン9dが配置されている。なお、選定キー9a、左クリックボタン9c及び右クリックボタン9dは上面5aに対して凸状に設けられ、ポインタ操作キー9bは上面5aに対して凹状に設けられている。また、ポインタ操作用キーボード5の上面5aを平面視した場合、2本の円弧5b,5cによって輪郭の一部が構成されており、これらの円弧5b,5cに沿うように選定キー9a、ポインタ操作キー9b、左クリックボタン9c及び右クリックボタン9dが形成されている。
【0027】
選定キー9aは、文字入力用キーボード4を使用する際の設定を変更する場合に用いられる。具体的には、選定キー9aを押下するごとに、「文字を入力するモード」から「数字を入力するモード」に、さらに「アルファベット又は記号を入力するモード」に、そして再び「文字を入力するモード」へと入力モードが順次切り替わるように構成されている。また、ポインタ操作キー9bは表示装置2の画面上でポインタを移動させる場合に用いられる。なお、左クリックボタン9c及び右クリックボタン9dは、従来技術のマウスにおける左右のクリックボタンと同じ機能を有している。すなわち、表示装置2の画面上にポインタが表示されている状態で右クリックボタン9dを押下すると、選択可能な複数のコマンドの候補が画面に表示される。また、足の親指等の腹でポインタ操作キー9bの表面をなぞることにより、表示装置2の画面上でポインタを選択したいコマンドの位置まで移動させた後、左クリックボタン9cを押下すると、そのコマンドが選択されて実行される。
【0028】
文字入力用キーボード4は操作するキーの種類が多いため、例えば、操作者が右利きの場合には、右足10で操作することが望ましい。具体的には、踵10aが円弧4b,4cの中心と略一致するように右足10の位置を調整して配置し、床面に接地させた踵10aを軸にして指先側が弧を描くように足首を回転させ、所定のキーを親指等の腹で押下するのである。
このとき、ポインタ操作用キーボード5は左足11で操作することが望ましい。すなわち、踵11aが円弧5b,5cの中心と略一致するように左足11の位置を調整し、床面に接地した踵11aを軸にして指先側が弧を描くように足首を回転させ、所定のキーを親指等の腹で押下するのである。
【0029】
文字入力用キーボード4を用いて文字を入力する場合には、文字を入力するモードにおいて、7個の文字キー6a及び3個の文字キー6bのうち、例えば、「あ」行の5文字が割り当てられたキーを押下する。これにより、まず、「あ」の文字が入力可能な文字として表示装置2の画面に表示される。そして、キーを押下するごとに、表示される文字が「あ→い→う→え→お→あ→い→…」と順次切り替わる。従って、所望の文字が表示されるまで文字キー6a,6bを押下し続け、最後に、エンターキー8bを押下して入力可能な文字を選択する。この作業を繰り返すことにより、所定の数の平仮名が表示装置2の画面に表示される。この状態で、スペースキー8aを押下すると、変換可能な複数の漢字の候補が表示される。そこで、ポインタ操作キー9bを操作して適切な候補を選択した後、エンターキー8bを押下する。これにより、変換候補が確定されるとともに、その変換された漢字がコンピュータ本体1に入力される。なお、平仮名が表示装置2の画面に表示された状態で、スペースキー8aを押下せずに、再度エンターキー8bを押下すると、平仮名は漢字に変換されずに直接、コンピュータ本体1に入力される。
【0030】
アルファベットを入力する場合には、アルファベットを入力するモードにおいて、6個の文字キー6a及び2個の文字キー6bのうち、例えば、「A」から「C」までの3文字が割り当てられたキーを押下する。これにより、まず、「A」の文字が入力可能な文字として表示装置2の画面に表示され、続いて、キーを押下するごとに表示される文字が「A→B→C→A→B→…」と順次切り替わる。従って、所望の文字が表示されるまで文字キー6a,6bを押下し続けて、最後に、エンターキー8bを押下して入力可能な文字を選択する。その後、再度エンターキー8bを押下すると、選択されたアルファベットがコンピュータ本体1に入力される。
【0031】
また、数字や記号を入力する場合には、数字又は記号を入力するモードにおいて、7個の文字キー6a及び5個の文字キー6bのうち、入力したい数字や記号が割り当てられたキーを押下する。これにより、対応する数字や記号が表示装置2の画面に表示される。そして、この状態で、再度エンターキー8bを押下すると、画面に表示された数字や記号がコンピュータ本体1に入力される。
なお、数字又は記号を入力するモードにおいて、「絵/記号」が割り当てられた文字キー6bを押下すると、他の文字キー6a,6bには割り当てられていない複数の記号や絵文字が選択候補として表示装置2の画面に表示される。そこで、ポインタ操作キー9bを操作して適切な候補を選択した後、エンターキー8bを押下する。これにより、その記号や絵文字がコンピュータ本体1に入力される。
【0032】
上記構造のコンピュータ用入力装置においては、文字入力用キーボード4及びポインタ操作用キーボード5に設けられる各種のキーが円弧状に配列されているため、押下するキーを選択する際に、踵10a,11aを接地した状態のまま、弧を描くように指先側のみを動かすだけで良い。この場合、キーを操作する度に足を宙に浮かせる動作を行う必要がないため、足が疲れ難い。従って、データの入力作業を長時間行うことができる。また、操作するキーの数が少ないため、キーの選択に要する時間が短縮される。さらに、文字入力用キーボード4及びポインタ操作用キーボード5において操作者に近い側の端縁が円弧4c,5cをなしており、指先側が弧を描くように足を動かした場合でも端縁と接触するおそれがない。この場合、足の可動範囲が広くなるため、キーボードの操作性が向上する。
【0033】
さらに、文字入力用キーボード4及びポインタ操作用キーボード5は、文字キー6aと円弧4c又はポインタ操作キー9bと円弧5cの距離が足の裏の長さよりも短く、かつ、円弧4b,4cあるいは円弧5b,5cに対して直交する平面による切断面の形状が円弧4c,5c側を頂点とする三角形をなすように形成されている。そして、文字キー6a,6bの高さ(上面4aから突出する高さ)は略等しくなっている。この場合、図3(a)及び(b)に示すように、踵10aを床面12に接地させた状態で右足10の親指10bで文字キー6a,6bを押下した場合に、円弧4cを形成する上面4aの端縁が足の裏10cに接触することがなく、また、文字キー6aを押下する場合でも誤って文字キー6bを押下するおそれがない。これにより、キーの押し間違いを防いでデータの入力作業の効率化を図ることができる。
【0034】
また、ポインタ操作用キーボード5では、左クリックボタン9c及び右クリックボタン9dが上面5aに対して凸状に設けられ、上面5aに対して凹状に設けられたポインタ操作キー9bが左クリックボタン9c及び右クリックボタン9dの前方に配置されている。従って、図3(c)に示すように、ポインタ操作キー9bを親指11b等で操作する際に、同時に足の裏11cで左クリックボタン9cを押下することが可能となる。すなわち、従来の手で操作するマウスに特有の「左クリックボタンを押下した状態のまま、表示装置の画面上でポイントを移動させる」という操作を、足によっても容易に実現することが可能である。
【0035】
このように、文字入力用キーボード4及びポインタ操作用キーボード5は操作者から見て手前側が低くなるように上面4a,5aが傾斜していることから、前後方向に複数列配置された各種のキーのうち、一つのキーを操作する場合に、他のキーが邪魔になり難いという作用を有する。同様に、ポインタ操作キー9bは上面5aに対して凹状に形成されているため、操作者から見て前後方向に配列された他のキーを操作する際に邪魔になり難いという作用を有する。これにより、ポインタ操作キー9bの操作ミスを防いで、表示装置2の画面上におけるポインタの操作を正確に、かつ、効率よく行うことが可能となっている。
【実施例2】
【0036】
実施例2のコンピュータ用入力装置について図4乃至図6を用いて説明する(特に、請求項4及び請求項5に対応)。
図4は本発明の実施の形態に係るコンピュータ用入力装置の実施例2の外観斜視図である。図5(a)及び(b)はそれぞれ実施例2のコンピュータ用入力装置の文字入力用キーボード及びポインタ操作用キーボードの外観図である。また、図6(a)及び(b)は実施例2のポインタ操作用キーボードについて操作時の状態を模式的に示した図である。なお、図3(a)及び(b)は図5(b)をA方向から見た状態にほぼ対応している。また、図1乃至図3に示した構成要素については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0037】
図4及び図5に示すように、本実施例のコンピュータ用入力装置は、実施例1のコンピュータ用入力装置において、文字入力用キーボード4及びポインタ操作用キーボード5を撮像するカメラ13と,このカメラ13によって取り込まれた映像を電気信号に変換してコンピュータ本体1に送るデータ処理部(図示せず)とからなる撮像手段を備え、文字入力用キーボード4に左クリックボタン9c及び右クリックボタン9dが設けられるとともに、ポインタ操作用キーボード5にスペースキー8a及びエンターキー8bが設けられ、スペースキー8a及びエンターキー8bの操作者に近い側にポインタ操作キー9bが配置されたことを特徴としている。そして、文字入力用キーボード4及びポインタ操作用キーボード5の映像が、撮像手段からコンピュータ本体1に送られて表示装置2の画面に表示されるように構成されている。なお、データ処理部ではカメラ13によって取り込まれた映像から左足10及び右足11の輪郭のみを抽出するような画像処理が行われる。従って、表示装置2の画面には、文字入力用キーボード4及びポインタ操作用キーボード5と、左足10及び右足11の輪郭のみの映像が表示される。
【0038】
このような構造のコンピュータ用入力装置においては、文字入力用キーボード4及びポインタ操作用キーボード5に設けられた各種のキー及びボタンに対する操作者の足の位置が、視覚によって容易に把握されるという作用を有する。これにより、キーやボタンの押し間違いを少なくして、データ入力作業の効率化を図ることができる。
また、本実施例のコンピュータ用入力装置では、ポインタ操作用キーボード5の上面5aに対して凹状に設けられるポインタ操作キー9bが、上面5aに対して凸状に設けられるスペースキー8a及びエンターキー8bの手前側に配置されている。そのため、図6(a)及び(b)に示すように、踵11aを床面12に接地した状態でスペースキー8a又はエンターキー8bとポインタ操作キー9bを親指11b等で操作した場合でも、誤って他のキーを押下してしまうおそれがない。これにより、データ入力作業の効率が向上する。また、足が疲れ難いため、同一の作業を長時間継続することが可能である。さらに、左クリックボタン9c及び右クリックボタン9dの操作と、ポインタ操作キー9bの操作を右足10と左足11でそれぞれ分担して行うことになるため、操作者はポインタの操作に集中し易いという作用を有する。これにより、ポインタの操作ミスを少なくすることが可能となる。また、ポインタの操作を行う際に、片方の足に疲労が集中するおそれがないため、足が疲れ難い。従って、ポインタの操作を長時間連続して行うことができる。なお、左クリックボタンを押下した状態のまま、画面上のポイントを移動させるという操作についても、踵11aを床面12に接地した状態のままで行うことができる。
【0039】
なお、本発明のコンピュータ用入力装置は、上記実施例に示した構造に限定されるものではない。例えば、文字入力用キーボード4及びポインタ操作用キーボード5を左右逆に配置して、文字入力用キーボード4を左足11で操作し、ポインタ操作用キーボード5を右足10で操作するようにしても良い。また、文字入力用キーボード4及びポインタ操作用キーボード5をコンピュータ本体1にケーブルを介して接続することもできる。さらに、文字入力用キーボード4及びポインタ操作用キーボード5の操作者から遠い側の端縁は、必ずしも円弧状でなくとも良い。加えて、左クリックボタン9c及び右クリックボタン9dを文字入力用キーボード4及びポインタ操作用キーボード5の両方に設けても良い。また、撮像手段によって文字入力用キーボード4とポインタ操作用キーボード5のどちらか一方のみの映像を取り込んで表示装置2の画面に表示させる構造とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
請求項1乃至請求項6に記載された発明は、コンピュータに限らず、例えば、タイプライターなどのようにキーを押下することにより文字を入力する装置全般に対して適用可能である。
【符号の説明】
【0041】
1…コンピュータ本体 2…表示装置 3…机 4…文字入力用キーボード 4a…上面 4b,4c…円弧 5…ポインタ操作用キーボード 5a…上面 5b,5c…円弧 6a,6b…文字キー 7…キー表示部 8a…スペースキー 8b…エンターキー 9a…選定キー 9b…ポインタ操作キー 9c…左クリックボタン 9d…右クリックボタン 10…右足 10a…踵 10b…親指 10c…足の裏 11…左足 11a…踵 11b…親指 11c…足の裏 12…床面 13…カメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置を備えたコンピュータにデータを入力するコンピュータ用入力装置において、
データ入力キーが設けられた第1のキーボードと、
前記表示装置の画面上でポインタを移動させるポインタ操作キーが設けられた第2のキーボードとを備え、
前記第1のキーボード及び前記第2のキーボードは,少なくとも1つの端縁が平面視して円弧状をなすとともに,この端縁の中心に向かって徐々に厚さが薄くなるように上面が傾斜して形成され、
前記データ入力キーは前記端縁に沿うように前記第1のキーボードの前記上面に複数個配列されることを特徴とするコンピュータ用入力装置。
【請求項2】
前記ポインタ操作キーは前記第2のキーボードの上面に対して凹状に設けられることを特徴とする請求項1記載のコンピュータ用入力装置。
【請求項3】
前記表示装置の画面上において前記ポインタの位置を確定させるクリックボタンを備え、
このクリックボタンは前記第2のキーボードの上面の前記端縁と前記ポインタ操作キーの間に設けられることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンピュータ用入力装置。
【請求項4】
前記表示装置の画面上において前記ポインタの位置を確定させるクリックボタンを備え、
このクリックボタンは前記第1のキーボードの上面に設けられることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンピュータ用入力装置。
【請求項5】
前記第1のキーボード及び前記第2のキーボードのうち少なくともいずれか一方の映像を前記表示装置に表示可能に取り込む撮像手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のコンピュータ用入力装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−262560(P2010−262560A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−114257(P2009−114257)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【出願人】(309013303)
【Fターム(参考)】