説明

コンベアの方向変換用ローラ及びコンベアの方向変換用テーブル

【課題】昇降装置を使用せず、重量物でも方向変換が円滑に行え、粉塵対策も万全であり、メンテナンスが容易で、導入費用も安価なコンベアの方向変換用ローラ及びコンベアの方向変換用テーブル。
【解決手段】球の両側を平行に切除した形状の2個のローラ1,2の枢軸12,22が直交し、正面視にて2個のローラの射影の外形線が仮想円に沿うように構成されているコンベアの方向変換用ローラ及び該方向変換用ローラを複数個行列させたコンベアの方向変換用テーブル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベアの方向変換用ローラ及び該方向変換用ローラを複数個組み込んだコンベアの方向変換用テーブルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ローラコンベア装置あるいはベルトコンベア装置あるいはチェーンコンベア装置にて、搬送方向の変換が必要となる際には、従来、搬送方向と45°の角度をなす枢軸を有する小ローラを複数並列した方向変換用テーブルを用いたり、あるいは球状の回動方向が自在の特殊なローラを用いた方向変換用テーブルを用いたりした。また、搬送物が重い場合には、なんらかの手段で搬送物をリフトアップして新たな方向に搬送させるコンベア装置に乗せ変えるメカニズムを有する方向変換装置が多く用いられてきた。
【0003】
下記特許文献1〜11のうち、文献2、3、6、10は搬送方向と45°の角度をなす枢軸を有する小ローラを複数並列した方向変換用テーブルを用いるものであり、文献1、4、5、7、8、9、11はなんらかの手段で搬送物をリフトアップして新たな方向に搬送させるコンベア装置に乗せ変えるメカニズムを有するものである。
【0004】
また、球状の回動方向が自在の特殊なローラを用いる例を図11に示す。図11aは球状の回動方向が自在の特殊なローラRQを行列させた方向変換用テーブルTQを示しているが、図11aにて、例えば搬送対象物Gが通常の構成のローラコンベアQAを方向Aqにて搬送されてきた場合、方向変換用テーブルTQに載ると、人力あるいは機械力によって方向Bqに方向を変換され、ローラコンベアQBに載せられて方向Bqに搬送されていく。この際、方向変換用テーブルTQに行列されたローラRQが円滑な方向変換にあたって大きな影響力を持つように構成されている。
【0005】
図11bはローラRQの構成の詳細を示したものであるが、ローラRQは基台BQに穿設された半球状の孔HQに嵌設されており、筐体CQ、蓋体DQ、鋼球QL、複数の小鋼球QSから構成されている。すなわち、筐体CQが孔HQに嵌設され、中心に鋼球QLが配され、鋼球QLを複数の小鋼球QS、QS、……が支承している。また、鋼球QLの上部3分の1程度は蓋体DQの中央に穿設された円孔DHQより上方に露出されている。
【0006】
このような構成によりローラRQにおいては鋼球QLがいかなる方向にも回動自在となるので、図11aにおいて搬送対象物GがローラコンベアQA上を方向Aqで搬送されてきても、搬送対象物Gの方向を方向Bqに変換してローラコンベアQBに送り出すことが円滑に行えるのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−58437号公報
【特許文献2】特開平6−219522号公報
【特許文献3】特開平8−244939号公報
【特許文献4】特開平9−175643号公報
【特許文献5】特開平10−175728号公報
【特許文献6】特開平10−206217号公報
【特許文献7】特開2001−19307号公報
【特許文献8】特開2001−88936号公報
【特許文献9】特開2001−130879号公報
【特許文献10】特開2001−192117号公報
【特許文献11】特開2003−112821号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上に掲げた先行技術においては、以下のような問題点が存した。
まず、文献2、3、6、10に挙げられている搬送方向と45°の角度をなす枢軸を有する小ローラを複数行列した方向変換用テーブルを用いる方法においては、方向変換用テーブル上で搬送対象物の搬送方向を変換する際に、搬送方向と45°の角度をなす枢軸を有する小ローラの回転方向は常に一定であるので、どうしても搬送対象物の底部との間に摩擦が生じ、方向変換が円滑に進まない。搬送対象物が数十kg程度のごく軽いものであれば問題も軽微であるが、搬送対象物の重量が重くなるにしたがい抵抗感が増して、方向変換が円滑におこなわれなくなるという問題があった。
【0009】
またさらに、搬送方向と45°の角度をなす枢軸により回転されるものであるために、搬送対象物の底部との間に摩擦によりメカニズムに余分な負担がかかり、耐久性に乏しいという問題もあった。このように、多くの問題があるため、搬送方向と45°の角度をなす枢軸を有する小ローラを複数行列させた方向変換用テーブルを用いる方法は、今ではあまり使われなくなっているのが現状である。
【0010】
次に、文献1、4、5、7、8、9、11において用いられているようなリフトアップのための昇降機構としては、油圧式、カム式、空気室膨張式等各種のものがある。この方法の場合は、搬送対象物が100kgを超えるような重量物でも、一旦リフトアップしてしまうので、方向変換時に抵抗が生じるようなことはないが、別の問題点がいろいろ指摘されてきた。
【0011】
その問題点の一つは、リフトアップとダウンのために大きなパワーを要するという点である。また、リフトダウン時の高さの精密な調整が必要で、高さが少しでも狂うと乗り換え先のローラコンベアとの間に段差が生じてここで搬送対象物が引っかかったり揺れたりする。この高さの精密な調整は、搬送対象物の重量が重くなればなるほど難しくなり、最悪の場合には乗り換え不能となってラインが停止してしまう事態さえ招く。搬送対象物の重量にもよるが、高さの狂いが2mmを超えると揺動がひじょうに激しくなり、3mmを超えると搬送自体が停止されてしまうケースもある。昇降機構は、新しいうちは高さ調整の精度が保持されるが、時間がたつにつれ精度が落ち、徐々に搬送対象物の揺動が激しくなり、限界を超えるとついに停止してしまうので、修理やメンテナンスが常に必要である。
【0012】
しかしながら、昇降機構は方向変換テーブルの真下にセットされるので、故障した場合には方向変換テーブル自体の分解撤去が必要となり修理に多大な手間がかかる。その間は当然ラインを停止しなければならないので、作業が大幅に阻害されることとなってしまう。この事情はメンテナンスの際も同様で、現場における大きな課題となっていた。あるいは、このような装置は、設置費と維持費が嵩み、費用的に割高になるので、採算面からの問題も無視できない。
【0013】
次に、図11a、図11bに示すような球状の回動方向が自在の特殊なローラRQを並列した方向変換用テーブルTQを使用する場合には、稀に以下のような問題が発生する。すなわち、搬送対象物Gが極端に重い場合には、図11cに示すように荷重GQによって鋼球QLの下方への沈み込みが発生し、複数の小鋼球QS、QS、……が上方にせり上げられて鋼球QLの自在な回動能力が大幅に制限されることとなる。鋼球QLが円滑に回動しなくなると搬送対象物Gとの間に大きな摩擦力が発生して、方向変換用テーブルTQ自体の機能が喪失される結果となる。
【0014】
また、方向変換用テーブルTQの場合には、搬送対象物Gの重量にかかわらず、防塵が完全にできない点も大きな問題である。すなわち、搬送対象物Gは殆どの場合、なんらかの形で粉塵を発生させるが、これらの粉塵が蓋体DQと鋼球QLの間の僅かな間隙nからローラRQの内部に入り込み、内部に貯留される。この貯留された粉塵が鋼球QLと小鋼球QS、QS、……の円滑な転動を阻害するばかりか、粉塵の成分によっては鋼球QLや小鋼球QS、QS、……を腐食させる可能性もある。ローラRQの内部に入り込んだ粉塵を除去するためには分解掃除が必要で、多大な手間がかかる結果となる。また、小鋼球QS、QS、……には通常、耐食鋼は用いられないので、防錆上の問題もあった。
【0015】
以上、従来技術における問題点を列挙した。以上より、発明が解決しようとする課題は次のとおりである。
<課題1>
方向変換用テーブルにおける昇降機構を使用せず、しかも重量物であっても方向変換が円滑に行える構成のコンベアの方向変換用ローラ及びコンベアの方向変換用テーブルを開発する。
<課題2>
粉塵が発生する現場にても、メカニズムの内部に貯留されないような構成のコンベアの方向変換用ローラ及びコンベアの方向変換用テーブルを開発する。
<課題3>
メンテナンスが容易な構成のコンベアの方向変換用ローラ及びコンベアの方向変換用テーブルを開発する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、下記に示す解決手段を提供するものである。
<解決手段1>
球の対向する両側を平行に切断除去した形状のローラを2個有し、該2個のローラは同一形状、同一寸法であり、第1のローラは2枚の円形面の夫々の中心を結ぶ軸線に沿って設けられた枢軸を中心に回動し、第2のローラも2枚の円形面の夫々の中心を結ぶ軸線に沿って設けられた枢軸を中心に回動し、第1のローラと第2のローラの中心が完全に重なるように見る方向を正面視として、第1のローラと第2のローラは夫々の枢軸が正面視にて直交するように枠体に装着されており、且つ正面視にて第1のローラと第2のローラの射影の外形線が1個の仮想円に沿うように構成されていることを特徴とするコンベアの方向変換用ローラ。
<解決手段2>
第1のローラの本体と第1のローラの枢軸の間に防塵シールを有するボールベアリングを介し、第2のローラの本体と第2のローラの枢軸の間に防塵シールを有するボールベアリングを介したことを特徴とする解決手段1に記載のコンベアの方向変換用ローラ。
<解決手段3>
第1のローラの本体と第1のローラの枢軸の間に介される防塵シールを有するボールベアリング及び第2のローラの本体と第2のローラの枢軸の間に介される防塵シールを有するボールベアリングが夫々JIS60系のボールベアリングであることを特徴とする解決手段2に記載のコンベアの方向変換用ローラ。
<解決手段4>
解決手段1あるいは解決手段2あるいは解決手段3に記載のコンベアの方向変換用ローラを取付用枠体を介して架台に複数個装着し、正面視にて第1のローラの中心と第2のローラの中心を結ぶ線を枢軸としてコンベアの方向変換用ローラの枠体を取付用枠体に対して回動自在としたことを特徴とする、コンベアの方向変換用テーブル。
<解決手段5>
解決手段1あるいは解決手段2あるいは解決手段3に記載のコンベアの方向変換用ローラを駆動用取付用枠体を介して架台に複数個装着し、駆動源からの動力を動力伝達手段を介して第1のローラと第2のローラが装着されているコンベアの方向変換用ローラの枠体の枢軸すなわち正面視にて第1のローラの中心と第2のローラの中心を結ぶ線である枢軸に伝達してコンベアの方向変換用ローラの枠体を該枢軸を中心として回転できるように構成したことを特徴とするコンベアの方向変換用テーブル。
【発明の効果】
【0017】
本発明の解決手段1〜5の発明によれば、方向変換用ローラの枠体を正面視にて第1のローラの中心と第2のローラの中心を結ぶ線を枢軸として回動させた場合に、方向変換用ローラ自体の最高部位の高さが略一定となり、搬送対象物を一定の高さで支承しつつ、搬送対象物を方向変換用ローラ自体の回動方向にも、それと直角をなす第1のローラと第2のローラの回動方向あるいは回転方向にも円滑に搬送することが可能である。
【0018】
またこの場合、搬送対象物に働く力は、方向変換用ローラ自体の回動方向か方向変換用ローラ自体の枢軸と直角をなす枢軸を有する第1のローラと第2のローラの回動方向かのいずれかとすることができる。すなわち、解決手段4の発明にては人力で方向変換を行うので、方向変換用ローラ自体の回動方向か方向変換用ローラ自体の枢軸と直角をなす枢軸を有する第1のローラと第2のローラの回動方向かのいずれかとすることができる。あるいはまた、解決手段5の発明にては、搬送対象物を検知するセンサーと駆動源の作動をリンクさせることにより方向変換用ローラ自体の回動方向か方向変換用ローラ自体の枢軸と直角をなす枢軸を有する第1のローラと第2のローラの回動方向かのいずれかとすることができる。いずれの場合にてもその中間の方向の力は働かないので、搬送対象物は中間の方向の力による余分な抵抗力を受けることがなく円滑に方向変換が可能となる。
【0019】
またこの場合、第1のローラと第2のローラの大きさを自在に設定可能であるので搬送対象物の重量にあわせた第1のローラと第2のローラの大きさを選択することによって、重量の大きな搬送対象物であっても昇降装置を用いることなく円滑な方向変換が可能となる。この場合、第1のローラと第2のローラの大きさを直径76mmとすれば、方向変換用ローラの装着個数にもよるが3トンくらいまでの重さの搬送対象物でも円滑に方向変換が可能である。なおその場合、搬送対象物に働く力は、方向変換用ローラ自体の回動方向か方向変換用ローラ自体の枢軸と直角をなす枢軸を有する第1のローラと第2のローラの回動方向かのいずれかとなるので、搬送対象物の重量から受ける抵抗は非常に小さなものとなる。
【0020】
さらに、本発明の解決手段2あるいは解決手段3の発明によれば、球状の回動方向が自在の特殊なローラを用いる例のように、ボールベアリングの内部に粉塵が侵入する怖れがないので、粉塵を発生させる搬送対象物であっても支障なく方向変換を行うことが可能であり、粉塵が内部に貯留されることによる腐食等の心配もあり得ない。また、本発明の解決手段3の発明によれば、ボールベアリング内部に錆が発生する怖れもない。
【0021】
さらに、本発明の解決手段4あるいは解決手段5の発明においては、昇降装置を使用していないので、余分な駆動力を必要とせず、常に一定の高さを保持して方向変換ができるので、搬送対象物が引っかかって停止させられたり、あるいは搬送対象物に不必要な揺動を発生させることもない。また、メンテナンスも簡単であり、費用的にも昇降装置を使用した場合よりはるかに安価である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】(a)本発明の実施例1のコンベアの方向変換用ローラの平面図である。(b)本発明の実施例1のコンベアの方向変換用ローラの底面図である。(c)本発明の実施例1のコンベアの方向変換用ローラの正面図である。(d)本発明の実施例1のコンベアの方向変換用ローラの背面図である。
【図2】(a)本発明の実施例1のコンベアの方向変換用ローラの外観斜視図である。(b)本発明の実施例1のコンベアの方向変換用ローラの枠体の外観斜視図である。
【図3】(a)本発明の実施例1のコンベアの方向変換用ローラの第1のローラの横断面図である。 (b)本発明の実施例1のコンベアの方向変換用ローラの第2のローラの縦断面図である。
【図4】(a)本発明の実施例1のコンベアの方向変換用ローラに取付用枠体を装着した状態を表す平面図である。 (b)本発明の実施例1のコンベアの方向変換用ローラに取付用枠体を装着した状態を表す左側面図である。
【図5】(a)本発明の実施例1のコンベアの方向変換用ローラに駆動用取付用枠体を装着した状態を表す平面図である。 (b)本発明の実施例1のコンベアの方向変換用ローラに駆動用取付用枠体を装着した状態を表す左側面図である。
【図6】(a)本発明の実施例1のコンベアの方向変換用ローラに駆動用取付用枠体を装着した状態を表す背面図である。 (b)図6aの一部を拡大して表示した拡大図である。
【図7】(a)本発明の実施例1のコンベアの方向変換用ローラに取付用枠体を装着したものを複数個行列させてコンベアの方向変換用テーブルを構成した状態の平面図である。 (b)本発明の実施例1のコンベアの方向変換用ローラに取付用枠体を装着したものを複数個行列させてコンベアの方向変換用テーブルを構成した状態の正面図である。
【図8】(a)本発明の実施例1のコンベアの方向変換用ローラに駆動用取付用枠体を装着したものを複数個行列させてコンベアの方向変換用テーブルを構成した状態の平面図である。 (b)本発明の実施例1のコンベアの方向変換用ローラに駆動用取付用枠体を装着したものを複数個行列させてコンベアの方向変換用テーブルを構成した状態の正面図である。
【図9】(a)本発明の実施例1のコンベアの方向変換用ローラの作用を説明するための説明図である。(b)本発明の実施例1のコンベアの方向変換用ローラの作用を説明するための説明図である。(c)本発明の実施例1のコンベアの方向変換用ローラの作用を説明するための説明図である。(d)本発明の実施例1のコンベアの方向変換用ローラの作用を説明するための説明図である。
【図10】(a)本発明の実施例1のコンベアの方向変換用ローラの作用を説明するための説明図である。 (b)本発明の実施例1のコンベアの方向変換用ローラの作用を説明するための説明図である。 (c)本発明の実施例1のコンベアの方向変換用ローラの作用を説明するための説明図である。(d)本発明の実施例1のコンベアの方向変換用ローラの作用を説明するための説明図である。 (e)本発明の実施例1のコンベアの方向変換用ローラの作用を説明するための説明図である。(f)本発明の実施例1のコンベアの方向変換用ローラの作用を説明するための説明図である。(g)本発明の実施例1のコンベアの方向変換用ローラの作用を説明するための説明図である。(h)本発明の実施例1のコンベアの方向変換用ローラの作用を説明するための説明図である。
【図11】(a)従来のコンベアの方向変換用テーブルのうち、球状の回動方向が自在の特殊なローラを使用した方向変換用テーブルの一例を説明するための説明図である。(b)図11aに用いられている球状の回動方向が自在の特殊なローラの構成を説明するための説明図である。(c)図11bにて球状の回動方向が自在の特殊なローラに大きな負荷がかけられた状態を説明するための説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明を実施するための最良の形態を、以下に、図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0024】
<実施例1の構成>
本発明の実施例1のコンベアの方向変換用ローラAは、図1〜図2に見るように球の対向する両側を平行に切断除去した形状のローラ1(第1のローラ)、ローラ2(第2のローラ)を有し、ローラ1、2は同一形状、同一寸法であり、ローラ1は2枚の円形面の夫々の円形の中心を結ぶ軸線1xに沿って設けられた枢軸12を中心に回動し、ローラ2も2枚の円形面の夫々の円形の中心を結ぶ軸線2xに沿って設けられた枢軸22を中心に回動し、ローラ1とローラ2は夫々の枢軸12、22が正面視(図1c)にて直交するように枠体3に装着されており、且つ正面視(図1c)にてローラ1とローラ2の射影の外形線がローラ1とローラ2の中心を結ぶ線分Cを中心とする仮想円Oに沿うように構成されている。
【0025】
枠体3は、図2bに示すように長方形状の支承板31a、31bからなる前部枠体31、長方形状の支承板32a、32bからなる後部枠体32、前部枠体31と後部枠体32を連結する環状の中間リング33、のすべてが一体として構成され、前部枠体31の正面には前部リング34が前部枠体31と一体に固着され、後部枠体32の背面には後部リング35が後部枠体32と一体に固着され、前部リング34の中央には円柱状の前部回転軸36が正面側に突設されるように嵌設固着され、後部リング35の中央には円柱状の後部回転軸37が背面側に突設されるように嵌設固着されている。枠体3は、金属製でも、硬質プラスチック製でも良い。
【0026】
図3aにローラ1の構成の詳細を示す。ローラ1は本体11がボールベアリング13A、13Bを介して枢軸12に回動自在に枢着されて構成されており、枢軸12は一端を前部枠体31の支承板31aに固着され、他端を前部枠体31の支承板31bに固着されている。したがって、図2aに見るようにローラ1の球状に膨出された胴部は支承板31a、31bの間に構成される窓部W1a、W1bから突出された状態にある。なお、ローラ1は金属製でも硬質プラスチック製でも良く、金属と硬質プラスチックを組み合わせて製作されても良い。実施例1のコンベアの方向変換用ローラAにおいては、ローラ1は金属製であり、ボールベアリング13A、13Bには、防塵作用及び防錆作用の点で高度の信頼性を有するJIS60系のボールベアリングを用いている。
【0027】
図3bにローラ2の構成の詳細を示す。ローラ2は本体21がボールベアリング23A、23Bを介して枢軸22に回動自在に枢着されて構成されており、枢軸22は一端を前部枠体32の支承板32aに固着され、他端を前部枠体32の支承板32bに固着されている。したがって、図2bに見るようにローラ2の球状に膨出された胴部は支承板32a、32bの間に構成される窓部W2a、W2bから突出された状態にある。なお、ローラ2は金属製でも硬質プラスチック製でも良く、金属と硬質プラスチックを組み合わせて製作されても良い。実施例1のコンベアの方向変換用ローラAにおいては、ローラ1は金属製であり、ボールベアリング23A、23Bには、防塵作用及び防錆作用の点で高度の信頼性を有するJIS60系のボールベアリングを用いている。
【0028】
実施例1のコンベアの方向変換用ローラAは、取付用枠体4に装着されて使用されることができる。図4には取付用枠体4に装着された状態を示す。取付用枠体4は前方支承部41、後方支承部42、前方支承部41と後方支承部42の間隔を調整固定するためのスペーサ43から構成されている。
【0029】
前方支承部41は左側面視が逆L字状の板状で、前板411と下板412が一体として構成されている。前板411の上部には円孔411aが穿設されており、円孔411aにはボールベアリング411bを介して方向変換用ローラAの枠体3の前部回転軸36が回動自在に嵌設されている。また、前板411の下部には円孔411cが穿設され、円孔411cにはスペーサ43の前端部が螺着され、下板412はボルトナットBNによって基台B1に螺着されている。
【0030】
後方支承部42は左側面視がL字状の板状で、後板421と下板422が一体として構成されている。後板421の上部には円孔421aが穿設されており、円孔421aにはボールベアリング421bを介して方向変換用ローラAの枠体3の後部回転軸37が回動自在に嵌設されている。また、後板421の下部には円孔421cが穿設され、円孔421cにはスペーサ43の後端部が螺着され、下板422はボルトナットBNによって基台B1に螺着されている。
【0031】
以下にスペーサ43の構成を述べる。スペーサ43は長大なボルト431とナット432の組み合わせで、ボルト431の頭部431aは図4bにては背面に位置し、ナット432は正面に位置しているが、これは逆でもよい。ボルト431の軸部431bは円筒形状のスリーブ433に挿通されているが、スリーブ433の長さは図4bに見るように方向変換用ローラAの前部回転軸36が嵌着されているボールベアリング411bと後部回転軸37が嵌着されているボールベアリング421bとの間の距離となるように調整されているので、ボルト431とナット432を締めこむことにより、前方支承部41の前板411と後方支承部42の後板421の間の距離がスリーブ433の長さ、すなわちボールベアリング411bとボールベアリング421bとの間の距離として固定されるようになっている。
【0032】
なお、スリーブ433の長さを変化させることにより、前方支承部41の前板411と後方支承部42の後板421の間の距離を自在に調整することが可能となる。図4bにては、ボルト431の軸部431bの長さを最大限に用いた状態を示しているが、前方支承部41の前板411と後方支承部42の後板421の間の距離をさらに開きたい場合には、ボルト431をさらに長いものに交換すればよい。
【0033】
なお、前方支承部41の前板411と後方支承部42の後板421の間の距離を調整する意味については以下のとおりである。すなわち、方向変換用ローラAのサイズは、主として耐荷重によって決まってくるので、搬送対象物が重いものであればより大きなサイズの方向変換用ローラAを使用しなければならない。この際、方向変換用ローラAのサイズに合わせて取付用枠体4を用意するということになると取付用枠体4の種類が増えて合理的ではないので、どのようなサイズの方向変換用ローラAにも適用できる汎用性のある取付用枠体4の構成を考えた結果、全体を前方支承部41と後方支承部42に分割し、スペーサ43にて連結するという構成となった。このような構成であれば、前方支承部41と後方支承部42は汎用性を有し、スリーブ433の長さ及びボルト431の長さを変化させるだけで広範囲のサイズの方向変換用ローラAに適用できるので、非常に合理的である。
【0034】
方向変換用ローラAを、取付用枠体4を介して基台B1に複数個行列させ、方向変換用テーブルT1とした状態を図7aに示す。図7aにては、左右方向に7基、奥行き方向に4基、計28基を装着した状態を示している。図7aにては方向変換用ローラAの長手方向を奥行き方向に合わせて装着しているが、方向変換用ローラAの長手方向を左右方向に合わせて装着することも可能である。なお、ここでいう「行列」とは、左右方向にも奥行き方向にも方向変換用ローラAを並べることを指すものとする。左右方向にのみ、あるいは奥行き方向にのみ並べる場合には「並列」という言葉を使用する。
【0035】
図7aにて、方向変換用テーブルT1の正面にはローラコンベアRAが配され、方向変換用テーブルT1の左方にはローラコンベアRBが配されている。ローラコンベアRA、RBは通常のローラコンベアであり、ローラコンベアRAにては各ローラArの長手方向は左右方向となり、ローラコンベアRBにては各ローラBrの長手方向は奥行き方向となっている。
【0036】
また、図7bに明らかなように、ローラコンベアRAの各ローラArの最高点、ローラコンベアRBの各ローラBrの最高点、そして方向変換用ローラAの最高点はすべて同一水平面L上にあるように構成されている。なお、GRは搬送対象物Gの落下防止用ガードである。
【0037】
次に、図5には、方向変換用ローラASが駆動用取付用枠体5に装着された状態を示す。方向変換用ローラASは、方向変換用ローラAの後部回転軸37をより長さの長い後部回転軸38に付け替えただけのもので、後部回転軸38以外の構成は方向変換用ローラAと同一であるので後部回転軸38を除いては同一の符号を付してある。後部回転軸37を後部回転軸38に付け替える理由は、後に述べる駆動機構6のスプロケット61を装着するためである。
【0038】
駆動用取付用枠体5は前方支承部51、後方支承部52、前方支承部51と後方支承部52の間隔を調整固定するためのスペーサ53からなり、後方支承部52の後方には駆動機構6が配置されている。なお、駆動用取付用枠体5は複数の方向変換用ローラASを装着する構成であるが、図5には、1基の方向変換用ローラASを装着した部分のみを示している。複数の方向変換用ローラASを装着した状態は図6aに示されているとおりである。
【0039】
前方支承部51は左側面視が逆コ字状の板状で、前板511と上板512、下板513が一体として構成されている。前板511の上部には円孔511aが穿設されており、円孔511aにはボールベアリング511bを介して方向変換用ローラASの枠体3の前部回転軸36が回動自在に嵌設されている。また、前板511の下部にはスペーサ53の前端部が螺着され、下板512はボルトナットBNによって基台B2に螺着されている。
【0040】
後方支承部52は左側面視がコ字状の板状で、後板521と上板522、下板523が一体として構成されている。後板521の上部には円孔521aが穿設されており、円孔521aにはボールベアリング521bを介して方向変換用ローラASの枠体3の後部回転軸38が回動自在に嵌設されている。また、後板521の下部にはスペーサ53の後端部が螺着され、下板523はボルトナットBNによって基台B2に螺着されている。
【0041】
駆動機構6は、後方支承部52の背面に格納されており、方向変換用ローラASの後部回転軸38の後端に固着されたスプロケット61とチェーン62、スプロケット63から構成されている。なお、c1は駆動機構6のカバーである。この構成が各々の方向変換用ローラASに対する駆動機構6の一般的な構成であるが、方向変換用ローラASを複数個並列させた方向変換用ローラユニットAU(図6a参照)においては、モータMの回転軸MXに固着されたスプロケット64と端部における調整用のスプロケット65が加わる。また、駆動機構6の一部の拡大図を図6bに示す。
【0042】
駆動機構6は、各々の方向変換用ローラASの位置にては、図5a、図5b、図6に示すように、方向変換用ローラASの後部回転軸38の後端に固着されたスプロケット61とスプロケット63の両方をチェーン62の上行部分が駆動させるように配されている。スプロケット63は、回転軸63Xがボールベアリング63Bを介して駆動用取付用枠体5の後部支承板52の後板521に穿設された円孔521cに回動自在に装着されており、スプロケット61の近傍でチェーン62の上行部分を若干持ち上げ、スプロケット61に送られるチェーン62の上行部分を緊張させる役割を果たすものである。
【0043】
駆動機構6の全体は、図6aに見るように、モータMの回転軸MXに固着されたスプロケット64を右端とし、最左端の方向変換用ローラASの近傍のスプロケット63を左端として、各々の方向変換用ローラASの位置にてチェーン62の上行部分がスプロケット63により緊張させられて後部回転軸38の後端に固着されたスプロケット61を回転させるという構成になっており、これによりモータMの駆動力が各々の方向変換用ローラASに伝達されて各々の方向変換用ローラASは図6のβで示す回転方向に回転させられる。なお、X1はスプロケット63の回転方向、X2はモータ軸MXに装着されたスプロケット64の回転方向、X3はチェーン62の上行部分の駆動方向、X4はチェーン62の下行部分の駆動方向、X5はスプロケット65の回転方向を示す。スプロケット65は、装着部分の構成は特に図示しないが、駆動用取付用枠体5の後部支承板52の後板521にボールベアリング(図示せず)を介して回動自在に装着されている。
【0044】
方向変換用ローラASを、駆動用取付用枠体5に複数個並列させた方向変換用ローラユニットAUを、さらに複数個基台B2に並列させ、方向変換用テーブルT2とした状態を図8aに示す。図8aにては、方向変換用ローラASを7基並列させて方向変換用ローラユニットAUとなし、さらに方向変換用ローラユニットAUを4基並列させて方向変換用テーブルT2を構成している。したがって、方向変換用テーブルT2に含まれる方向変換用ローラASは合計28基である。なお、図8aにては方向変換用ローラASの長手方向を奥行き方向に合わせて装着しているが、方向変換用ローラASの長手方向を左右方向に合わせて装着することも可能である。
【0045】
なお、図8aに明らかなように、方向変換用テーブルT2の背面右方には駆動源としてモータMが装着されており、モータMから長く前方に延伸された回転軸MXに各方向変換用ローラユニットAUのスプロケット64が固着され、チェーン62(図6参照)が巻回されている。各方向変換用ローラユニットAUと駆動機構6の構成は先述のとおりである。
【0046】
図8aにて、方向変換用テーブルT2の正面にはローラコンベアRAが配され、方向変換用テーブルT2の左方にはローラコンベアRBが配されている。ローラコンベアRA、RBは通常のローラコンベアであり、ローラコンベアRAにては各ローラArの長手方向は左右方向となり、ローラコンベアRBにては各ローラBrの長手方向は奥行き方向となっている。
【0047】
また、図8bに明らかなように、ローラコンベアRAの各ローラArの最高点、ローラコンベアRBの各ローラBrの最高点、そして夫々の方向変換用ローラASの最高点はすべて同一水平面L上にあるように構成されている。なお、GRは搬送対象物Gの落下防止用ガードである。
【0048】
また、図8aにて、S1は搬送対象物Gが十分に方向変換用テーブルT2に進入したことを検知する第1センサ、S2は、搬送対象物Gが方向変換用テーブルT2から離脱させられたことを検知する第2センサである。第1センサS1、第2センサS2は、機械式のものでも、光電感知式のものでも良い。あるいは別の方式でも、搬送対象物Gの進入と離脱を検知できるものであればいかなる構成のものでも構わない。
【0049】
<実施例1の作用>
はじめに、実施例1の方向変換用ローラAを複数個行列させた方向変換用テーブルT1の作用を述べる。方向変換用テーブルT1において、図7a、図7bに見るように、搬送対象物Gは、ローラコンベアRAに搬送されて方向Y1に進行し、方向変換用テーブルT1に進入する。すると、各々の方向変換用ローラAに装着されているローラ1とローラ2は、搬送対象物Gに押されて図10a〜図10dのα方向に回転する。したがって、搬送対象物Gは方向変換用ローラAからの余分な抵抗を受けることなく方向変換用テーブルT1に進入することができる。
【0050】
この際、図10aと図10cはローラ1とローラ2の夫々の端部が搬送対象物Gに接触している状態で搬送対象物Gが載置された場合を示し、この場合にはローラ1とローラ2は両方ともα方向に回転する。また、図10bはローラ1のみが搬送対象物Gに接触している状態を示し、この場合にはローラ1のみがα方向に回転する。また、図10dはローラ2のみが搬送対象物Gに接触している状態を示し、この場合にはローラ2のみがα方向に回転する。
【0051】
これらいずれの場合にても、搬送対象物Gの揺動は無視しえる程度である。すなわち、図9aに示すように、ローラ1のみが搬送対象物Gに接触している状態、図9bに示すように、ローラ1とローラ2の夫々の端部P1、P2が搬送対象物Gに接触している状態、図9cに示すように、ローラ2のみが搬送対象物Gに接触している状態のいずれにおいても、ローラ1あるいはローラ2の回転の中心を通る線分Cを含む水平面Lcから搬送対象物Gの底面Gbまでの距離D1は一定である。これは、ローラ1とローラ2の射影の外形線がローラ1とローラ2の中心を通る線分Cを中心とする1個の仮想円Oに沿うように構成されていることによる。
【0052】
ただ、厳密にいうなら、図9bに示すようなローラ1とローラ2の夫々の端部P1、P2が搬送対象物Gに接触している状態にては、水平面Lcから搬送対象物Gの底面Gbまでの距離D2は距離D1よりは僅かに小となる。この差分Δdは、第1のローラ1の端部p1と第2のローラ2の端部p2が中心Cに対してなす角度θとの関係から、以下の様に計算できる。
Δd=D1−D2
D2=D1×cosθ/2
ゆえに、Δd=D1−(D1×cosθ/2)
【0053】
この値を計算すると、
θ=2°の場合で、Δd≒0.00015×D1
θ=4°の場合で、Δd≒0.00061×D1
θ=6°の場合で、Δd≒0.00137×D1
θ=8°の場合で、Δd≒0.00244×D1
θ=10°の場合で、Δd≒0.00381×D1
θ=12°の場合で、Δd≒0.00548×D1
θ=14°の場合で、Δd≒0.00745×D1
θ=16°の場合で、Δd≒0.00973×D1
ということで角度θを16°以下に設定すれば、差分Δdは距離D1の1%以下に抑えられるということになる。
【0054】
したがって、角度θを十分に小さくしておけば、図9bに示すように、搬送対象物Gの底面Gbは、ローラ1とローラ2の位置にかかわらず略一定の高さで支承されるということは明らかである。実際には、角度θの値が16°(差分Δdが距離D1の1%近くの値)になると、搬送対象物Gの重量にもよるが、円滑な搬送に支障をきたす場合がかなり多くなるので、角度θの値は10°以下、望むらくは6°以下、さらに望むらくは3°以下に設定するのが良い。
【0055】
搬送対象物Gが方向変換用テーブルT1に十分に進入した状態において、人力あるいは機械的な力で図7aにおけるY3方向の力を加えてやると、搬送対象物Gは今度は各々の方向変換用ローラA全体を図10e〜図10hのβ方向に回転させながらY2方向に搬送される。この際、ローラ1、ローラ2自身は夫々の枢軸12,22を中心に回動することはなく、枠体3(図1、図2参照)が前部回転軸36、後部回転軸37を枢軸として回転される結果、ローラ1、ローラ2も全体がβ方向に回転されるものである。
【0056】
なお、図7において、方向Y3の力を人力によって加える場合には、方向変換を自在に行えることに加え、搬送対象物Gの向きの変換、すなわち正面を背面にしたり、左右両側面のいずれかにしたりという向きの変換なども自在に行うことができる。また、Y1方向の搬送力が強すぎて搬送対象物Gが方向変換用テーブルT1上で停止しなかった場合には、ガイドGRに衝突して停止される。ただし、Y1方向の搬送力は、搬送対象物Gが方向変換用テーブルT1上で停止するように調整してあるので、搬送対象物GがガイドGRに衝突するような事態は滅多に起こらない。
【0057】
次に、実施例1の方向変換用ローラASを複数個行列させた方向変換用テーブルT2の作用を述べる。方向変換用テーブルT2において、図8aに見るように、搬送対象物Gは、ローラコンベアRAに搬送されて方向Y1に進行し、方向変換用テーブルT2に進入する。この時点では、方向変換用ローラASは駆動されていないので、各々の方向変換用ローラAに装着されているローラ1とローラ2は、搬送対象物Gに押されて図10a〜図10dのα方向に回動する。したがって、搬送対象物Gは方向変換用ローラASからの余分な抵抗を受けることなく方向変換用テーブルT2に進入することができる。この点は、方向変換用テーブルT1の場合と全く同様である。また、図9bにおける角度θの設定に関しても方向変換用テーブルT1の場合と全く同様のことが当てはまる。
【0058】
搬送対象物Gが方向変換用テーブルT2に十分に進入した状態において第1センサS1が搬送対象物Gの進入を検知すると、モータMが起動されて回転軸MXが回転し、回転軸MXに固着されているスプロケット64がチェーン62を図6aのX3(上行部分)、X4(下行部分)方向に駆動させ、これにより、各々の方向変換用ローラASが駆動されて、各々の方向変換用ローラASの枠体3とローラー1、ローラ2の全体は図6a、図8bのβ方向に回転させられる。
【0059】
図10e〜図10fに見るように、この回転力によって、搬送対象物GはY2方向へと搬送される。この際、ローラ1、ローラ2自身は夫々の枢軸12,22を中心に回動することはなく、枠体3(図5参照)が前部回転軸36、後部回転軸38を枢軸として回転される結果、ローラ1、ローラ2も全体がβ方向に回転されるものである。
【0060】
なお、Y1方向の搬送力が強すぎて搬送対象物Gが方向変換用テーブルT2上で停止しなかった場合には、ガイドGRに衝突して停止される。ただし、Y1方向の搬送力は、搬送対象物Gが方向変換用テーブルT2上で停止するように調整してあるので、搬送対象物GがガイドGRに衝突するような事態は滅多に起こらない。この点は、方向変換用テーブルT1の場合と全く同様である。
【0061】
搬送対象物GがY2方向に搬送されて、搬送対象物Gの右端が第2のセンサS2を通過すると(図8a参照)、第2のセンサS2から送られた離脱情報がモータMに伝達され、モータMは停止される。すると、回転軸MXの回転が停まり、チェーン62の駆動も停止され、各々の方向変換用ローラASのβ方向への回転も停止される。搬送対象物GはローラコンベアRBに受け渡されてY2方向に搬送されていき、方向変換用テーブルT2は次の搬送対象物Gを受け入れるためのスタンバイ状態となる。
【0062】
方向変換用ローラAとそれを行列させた方向変換用テーブルT1の作用、及び方向変換用ローラASとそれを行列させた方向変換用テーブルT2の作用は、以上に述べたとおりである。以上に述べた例は、いずれも搬送方向を90°変換させる例であったが、これ以外にも、直線状のローラコンベアの途中から搬送対象物を割り込ませるためのT字状に設計されたローラコンベアにおいても、T字の縦棒と横棒の合わさる部分に本発明の方向変換用ローラと方向変換用テーブルを用いることができるし、その他様々な構成にて用いることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上に説明してきたように、本発明の方向変換用ローラと方向変換用テーブルは、従来の方向変換用ローラと方向変換用テーブルとは全く異なった発想の元に開発されたものであって、従来のコンベアシステムのネックとなっていた方向変換における課題をすべて解決し、かつ耐久性に優れ、メンテナンスも楽で、導入費用も安価であるので、各種工場や貨物等の取り扱い現場において、画期的な成果を齎すものであると期待されるものである。
【符号の説明】
【0064】
1 ローラ
11 本体
12 枢軸
13A ボールベアリング
13B ボールベアリング
1x 軸線
2 ローラ
21 本体
22 枢軸
23A ボールベアリング
23B ボールベアリング
2x 軸線
3 枠体
31 前部枠体
31a 支承板
31b 支承板
32 後部枠体
32a 支承板
32b 支承板
33 中間リング
34 前部リング
35 後部リング
36 前部回転軸
37 後部回転軸
38 後部回転軸
4 取付用枠体
41 前方支承部
411 前板
411a 円孔
411b ボールベアリング
411c 円孔
412 下板
42 後方支承部
421 後板
421a 円孔
421b ボールベアリング
421c 円孔
422 下板
43 スペーサ
431 ボルト
431a 頭部
431b 軸部
433 スリーブ
432 ナット
5 駆動用取付用枠体
51 前方支承部
511 前板
511a 円孔
511b ボールベアリング
512 上板
513 下板
52 後方支承部
521 後板
521a 円孔
521b ボールベアリング
521c 円孔
522 上板
523 下板
53 スペーサ
6 駆動機構
61 スプロケット
62 チェーン
63 スプロケット
63B ボールベアリング
63X 回転軸
64 スプロケット
65 スプロケット
A 方向転換用ローラ
AS 方向転換用ローラ
AU 方向転換用ローラユニット
Ar ローラ
B1 基台
B2 基台
BN ボルトナット
Br ローラ
C 線分
D1 距離
D2 距離
DQ 蓋体
DHQ 円孔
G 搬送対象物
GQ 荷重
GR ガード
Gb 底面
L 水平面
Lc 水平面
M モータ
MX 回転軸
O 仮想円
QA ローラコンベア
QB ローラコンベア
QL 鋼球
QS 小鋼球
RA ローラコンベア
RB ローラコンベア
RQ ローラ
S1 第1センサ
S2 第2センサ
T1 方向変換用テーブル
T2 方向変換用テーブル
TQ 方向変換用テーブル
W1a 窓部
W1b 窓部
W2a 窓部
W2b 窓部
X1 方向
X2 方向
X3 方向
X4 方向
X5 方向
Y1 方向
Y2 方向
Y3 方向
c1 カバー
n 間隙
p1 端部
p2 端部
Δd 差分
α 方向
β 方向
θ 角度









【特許請求の範囲】
【請求項1】
球の対向する両側を平行に切断除去した形状のローラを2個有し、該2個のローラは同一形状、同一寸法であり、第1のローラは2枚の円形面の夫々の中心を結ぶ軸線に沿って設けられた枢軸を中心に回動し、第2のローラも2枚の円形面の夫々の中心を結ぶ軸線に沿って設けられた枢軸を中心に回動し、第1のローラと第2のローラの中心が完全に重なるように見る方向を正面視として、第1のローラと第2のローラは夫々の枢軸が正面視にて直交するように枠体に装着されており、且つ正面視にて第1のローラと第2のローラの射影の外形線が1個の仮想円に沿うように構成されていることを特徴とするコンベアの方向変換用ローラ。
【請求項2】
第1のローラの本体と第1のローラの枢軸の間に防塵シールを有するボールベアリングを介し、第2のローラの本体と第2のローラの枢軸の間に防塵シールを有するボールベアリングを介したことを特徴とする請求項1に記載のコンベアの方向変換用ローラ。
【請求項3】
第1のローラの本体と第1のローラの枢軸の間に介される防塵シールを有するボールベアリング及び第2のローラの本体と第2のローラの枢軸の間に介される防塵シールを有するボールベアリングが夫々JIS60系のボールベアリングであることを特徴とする請求項2に記載のコンベアの方向変換用ローラ。
【請求項4】
請求項1あるいは請求項2あるいは請求項3に記載のコンベアの方向変換用ローラを取付用枠体を介して架台に複数個装着し、正面視にて第1のローラの中心と第2のローラの中心を結ぶ線を枢軸としてコンベアの方向変換用ローラの枠体を取付用枠体に対して回動自在としたことを特徴とする、コンベアの方向変換用テーブル。
【請求項5】
請求項1あるいは請求項2あるいは請求項3に記載のコンベアの方向変換用ローラを駆動用取付用枠体を介して架台に複数個装着し、駆動源からの動力を動力伝達手段を介して第1のローラと第2のローラが装着されているコンベアの方向変換用ローラの枠体の枢軸すなわち正面視にて第1のローラの中心と第2のローラの中心を結ぶ線である枢軸に伝達してコンベアの方向変換用ローラの枠体を該枢軸を中心として回転できるように構成したことを特徴とするコンベアの方向変換用テーブル。




















【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2011−251806(P2011−251806A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126829(P2010−126829)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(598052403)
【Fターム(参考)】