説明

コンベヤのアキューム量検出方法および装置

【課題】びん等の容器が溢れた状態でアキューム量を検出するのではなく、搬送される容器間に余裕があってもアキューム量が検出できて、アキューム量に応じたコンベヤの運転制御ができ、また、びん等の容器への傷付きを押えることができるコンベヤのアキューム量検出方法および装置を提供する。
【解決手段】びん等の容器Pをチェーン等の搬送体で搬送するコンベヤライン10におけるコンベヤ11のアキューム量検出方法において、前記チェーン等の搬送体を支持するレール2に貼付したひずみゲージ3によってレール2のひずみ量を検出することにより、コンベヤ11上の容器Pのアキューム量を推定するようにしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、びん、缶等の容器を搬送するコンベヤラインにおけるコンベヤのアキューム量の検出方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
びん、缶等の容器を搬送するコンベヤラインにおいては、該当するコンベヤ上の搬送容器が後続のコンベヤの停止等により満杯状態になった場合に、該当コンベヤでセンサにより満杯検知をして該当コンベヤおよびその前後のコンベヤの速度変更或いは停止等の運転制御をするようにしている。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−92436号公報(図1、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1によれば、びん供給コンベヤのアキューム量検知は、びんコンベヤ上で溢れてきたびんをびんコンベヤに設けたリミットスイッチで検知して、その信号を制御装置に送り、該制御装置からの制御でコンベヤ速度の変更或いは停止をするとしている。
しかしながら、前記特許文献1の技術では、アキューム量検知のためのリミットスイッチの位置が固定されるため、びん品種の変更の際にアキューム量を変えて運転したい場合には、リミットスイッチの位置を変える必要がある。また、前記溢れたびんがブリッジ状態になった場合には、溢れたびんを検出すべきリミットスイッチの検出範囲でびんが無いポケットが出来てしまうことがあり、このような時にはびんの溢れの検出が遅れてしまうという恐れがある。さらに、溢れたびんが互いに擦れ合ってびんが傷付くという恐れがある。
【0005】
本発明は、びん等の容器が溢れた状態でアキューム量を検出するのではなく、搬送される容器間に余裕があってもアキューム量が検出できて、アキューム量に応じたコンベヤの運転制御ができ、また、びん等の容器への傷付きを押えることができるコンベヤのアキューム量検出方法および装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題に対し、本発明は以下の手段により解決を図る。
(1)第1の手段のコンベヤのアキューム量検出方法は、びん等の容器をチェーン等の搬送体で搬送するコンベヤラインにおけるコンベヤのアキューム量検出方法において、前記チェーン等の搬送体を支持するレールに貼付したひずみゲージによって前記レールのひずみ量を検出することにより、前記コンベヤ上の容器のアキューム量を推定するようにしたことを特徴とする。
【0007】
(2)第2の手段のコンベヤのアキューム量検出方法は、前記第1の手段のコンベヤのアキューム量検出方法において、前記ひずみゲージからの信号を制御装置に入力し、該制御装置で演算した前記容器のアキューム量の推定値をもとに、前記制御装置から指令して前記コンベヤラインの運転を制御するようにしたことを特徴とする。
【0008】
(3)第3の手段のコンベヤのアキューム量検出方法は、前記第2の手段のコンベヤのアキューム量検出方法において、前記ひずみゲージで検出したひずみ量をもとに前記制御装置でモニタリングさせることにより、前記レールの摩耗量、前記チェーンの伸び量等を推定するようにしたことを特徴とする。
【0009】
(4)第4の手段のコンベヤのアキューム量検出方法は、前記第3のの手段のコンベヤのアキューム量検出方法において、前記レールの摩耗量、前記チェーンの伸び量等の推定値をもとに、前記レール、前記チェーン等の部品の交換時期情報を出力する等の故障診断を行うようにしたことを特徴とする。
【0010】
(5)第5の手段のコンベヤのアキューム量検出装置は、前記チェーン等の搬送体を支持するレールに貼付したひずみゲージと、該ひずみゲージで検出した前記レールのひずみ量の信号を処理する制御装置で構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1および請求項5に係わる本発明は、びん等の容器をチェーン等の搬送体で搬送するコンベヤラインにおけるコンベヤのアキューム量検出方法および装置において、前記チェーン等の搬送体を支持するレールに貼付したひずみゲージによって前記レールのひずみ量を検出することにより、前記コンベヤ上の容器のアキューム量を推定するようにしたことによって、コンベヤ上の容器が溢れた状態でなくてもコンベヤ上の容器のアキューム量を時々刻々検出することができ、しかも、コンベヤ上の容器が溢れていないために容器が互いに擦れ合ってできる傷が発生しないという効果を有する。
【0012】
請求項2に係わる本発明は、前記請求項1に記載するコンベヤのアキューム量検出方法において、前記ひずみゲージからの信号を制御装置に入力し、該制御装置で演算した前記容器のアキューム量の推定値をもとに、前記制御装置から指令して前記コンベヤラインの運転を制御するようにしたことにより、びん等の容器のアキューム量に応じて前記コンベヤラインの搬送速度変更等の運転制御が容易に、かつ、効果的にできるともに、びん等の容器の品種を変えた場合に該品種に応じたアキューム量の設定で前記コンベヤラインの運転制御ができるという効果を有する。
【0013】
請求項3に係わる本発明は、前記請求項2に記載するコンベヤのアキューム量検出方法において、前記ひずみゲージで検出したひずみ量をもとに前記制御装置でモニタリングさせるようにしたことにより、前記レールの摩耗量、前記チェーンの伸び量等を容易に推定できるという効果を有する。
【0014】
また、請求項4に係わる本発明は、前記請求項3に記載するコンベヤのアキューム量検出方法において、前記レールの摩耗量、前記チェーンの伸び量等の推定値をもとに、前記レール、前記チェーン等の部品の交換時期情報を出力する等の故障診断を行うようにしたことにより、コンベヤのメンテナンスを容易に、かつ、効果的に行うことができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態に係わるコンベヤのアキューム量検出装置を取り入れたコンベヤラインの平面図で、部分省略図としてある。
【図2】図1のA−A断面図で、容器等一部を省略した図としてある。
【図3】図2のB−B断面図で、拡大図としてある。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施の形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
(発明の実施の形態)
【0017】
本発明の実施の形態を図1から図3に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係わるコンベヤのアキューム量検出装置を取り入れたコンベヤラインの平面図で、部分省略図としてある。
図2は、図1のA−A断面図で、容器等一部を省略した図としてある。
図3は、図2のB−B断面図で、拡大図としてある。
図において、コンベヤライン10は、制御装置5からの指令でそれぞれ搬送速度を制御されるコンベヤ11a、コンベヤ11、コンベヤ11b等から成り、容器Pを矢印6の方向へ搬送するようになっており、コンベヤ11は、4組のトッププレート12が図示しない駆動装置により回転する駆動ローラ14と従動ローラ15に懸架されたチェーン12cに所定ピッチ毎で取り付けられて容器Pを搬送するようになっている。前記トッププレート12はレール2またはレール2aに支持されて摺動するようになっている。
【0018】
また前記コンベヤ11aも、前記コンベヤ11と同様に、トッププレート12aが図示しない駆動装置により回転する駆動ローラ14aと図示しない従動ローラに懸架された図示しないチェーンに所定ピッチ毎で取り付けられて、容器Pを搬送するようになっており、前記コンベヤ11bも、同様にトッププレート12bが図示しない駆動ローラと従動ローラ15bに懸架された図示しないチェーンに所定ピッチ毎で取り付けられて、容器Pを搬送するようになっている。なお、前記トッププレート12aおよび前記トッププレート12bも、前記トッププレート12と同様に図示しないレールに支持されて摺動するようになっている。
なお、容器Pがコンベヤ11aからコンベヤ11へ、また、コンベヤ11からコンベヤ11bへ移送される際に、それぞれ渡し板16a、渡し板16bの上を容器Pが後続の容器Pに押されながら摺動して渡されるようになっている。
【0019】
コンベヤのアキューム量検出装置1は、前記トッププレート12を支持するレール2の下面にひずみゲージ3が貼付されて、前記トッププレート12上で搬送される容器Pの重量によって前記レール2が撓むことにより発生するひずみを検出して、その信号を制御装置5に送るように構成されている。
【0020】
次に、本発明の実施の形態に係わるコンベヤ間のアキューム量検出装置1の作用を説明する。
上流のコンベヤ11aからコンベヤ11に搬送されてきた容器Pは、コンベヤ11においてトッププレート12上で搬送される際に、該トッププレート12を支持しているレール2が該トッププレート12上の容器Pの重量によって撓むことによりひずみゲージ3が前記レール2のひずみを検出して、そのひずみ量の信号を制御装置5へ送り込む。
なお、前記ひずみゲージ3が3組のレール2の下面に貼付されているので、3組のひずみゲージ3で検出したひずみ量の信号が制御装置5に送り込まれる。
【0021】
前記ひずみゲージ3のひずみ量は前記トッププレート12上の容器Pの全個数即ち全重量により変化するが、前記3組のひずみゲージ3のひずみ量をもとに前記トッププレート12上の容器Pのアキューム量が前記制御装置5で演算されて、該演算により推定されたアキューム量が予め設定された値になった場合に前記制御装置5からの指令により上流のコンベヤ11aの運転が停止される。
【0022】
前記上流のコンベヤ11aの運転停止後、前記コンベヤ11の運転より前記コンベヤ11上の容器Pの個数が減少して、アキューム量が予め設定された下限値になった場合に、前記制御装置5からの指令により上流のコンベヤ11aの運転が再開され、以下同様にアキューム量による上流のコンベヤ11aの運転制御が繰り返される。
【0023】
前記説明のように、コンベヤ11上の容器Pのアキューム量が前記ひずみゲージ3のひずみ量検出による前記制御装置5での演算によって推定されるので、従来のように、コンベヤ11上で溢れた容器Pをリミットスイッチで検出してアキューム満杯検出をしなくてもすむため、コンベヤ11上の容器Pのアキューム量が予め設定しておいた値になった場合に上流のコンベヤの運転を減速或いは停止する等、コンベヤラインの運転制御が自在にできるとともに、従来発生していたコンベヤ上で溢れた容器同志の衝突、擦れ合い等による容器の傷付きを防止できる。
【0024】
また、前記ひずみゲージ3のひずみ量検出による前記制御装置5でのモニタリングにより、前記レールの摩耗量或いは前記チェーンの伸び量等を推定することができ、さらに、前記推定した前記レールの摩耗量或いは前記チェーンの伸び量等をもとに前記レール或いは前記チェーンの交換時期情報を出力する等の故障診断を行うことができる。
【0025】
上記説明のように、本発明によるコンベヤのアキューム量検出方法および装置によれば、コンベヤのアキューム量検出を合理的、効果的に行うことができるばかりでなく、レールの摩耗量或いはチェーンの伸び量等の推定、さらに、レール或いはチェーン等の故障診断まで行うことができるという幅広い効果がある。
【符号の説明】
【0026】
1 (コンベヤの)アキューム量検出装置
2 (コンベヤの)レール
3 ひずみゲージ
5 制御装置
10 コンベヤライン
11、11a、11b コンベヤ
12、12a、12b トッププレート(コンベヤ)
12c チェーン
14、14a 駆動ローラ
15、15b 従動ローラ
P 容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
びん等の容器をチェーン等の搬送体で搬送するコンベヤラインにおけるコンベヤのアキューム量検出方法において、前記チェーン等の搬送体を支持するレールに貼付したひずみゲージによって前記レールのひずみ量を検出することにより、前記コンベヤ上の容器のアキューム量を推定するようにしたことを特徴とするコンベヤのアキューム量検出方法。
【請求項2】
請求項1に記載するコンベヤのアキューム量検出方法において、前記ひずみゲージからの信号を制御装置に入力し、該制御装置で演算した前記容器のアキューム量の推定値をもとに、前記制御装置から指令して前記コンベヤラインの運転を制御するようにしたことを特徴とするコンベヤのアキューム量検出方法。
【請求項3】
請求項2に記載するコンベヤのアキューム量検出方法において、前記ひずみゲージで検出したひずみ量をもとに前記制御装置でモニタリングさせることにより、前記レールの摩耗量、前記チェーンの伸び量等を推定するようにしたことを特徴とするコンベヤのアキューム量検出方法。
【請求項4】
請求項3に記載するコンベヤのアキューム量検出方法において、前記レールの摩耗量、前記チェーンの伸び量等の推定値をもとに、前記レール、前記チェーン等の部品の交換時期情報を出力する等の故障診断を行うようにしたことを特徴とするコンベヤのアキューム量検出方法。
【請求項5】
びん等の容器をチェーン等の搬送体で搬送するコンベヤのアキューム量検出装置において、前記チェーン等の搬送体を支持するレールに貼付したひずみゲージと、該ひずみゲージで検出した前記レールのひずみ量の信号を処理する制御装置で構成したことを特徴とするコンベヤのアキューム量検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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