説明

コンベヤベルト及びコンベヤベルトの製造方法

【課題】ゴム磁石付きコンベヤベルトにおけるゴム磁石とゴムベルトとの界面での剥離やゴム磁石のゴム物性の低下を抑制する。
【解決手段】本発明によるコンベヤベルトの製造方法は、ベルトモニタリング用の被検出体としてのゴム磁石3が埋め込まれたコンベヤベルトの製造方法において、磁性粉を混入したゴムを未加硫状態で着磁してゴム磁石7を形成し、この未加硫のゴム磁石7をゴムベルト40に埋め込んで未加硫のゴム磁石7とゴムベルト40とを一緒に加硫したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム磁石付きコンベヤベルトの製造方法などに関する。
【背景技術】
【0002】
ベルトモニタリング用の被検出体としてのゴム磁石が埋設されたゴム磁石付きコンベヤベルトが知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなコンベヤベルトの製造方法は次のとおりであった。まず、磁性粉を混入したゴムを加硫した後に着磁することによってゴム磁石を形成する。その後、ゴムベルトに上記ゴム磁石を埋め込んでから当該ゴムベルトとゴム磁石とを一緒に加硫することによって、ゴム磁石付きのコンベヤベルトが形成される。
【特許文献1】特開2005−106761号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来は、ゴム磁石とゴムベルトとを一緒に加硫する工程において、既に1度加硫したゴム磁石と未加硫のゴムベルトとを一緒に加硫しているので、ゴム磁石とゴムベルトとの界面での接着性能が悪くなり、ゴム磁石とゴムベルトとの界面での剥離が生じるといった問題がある。また、ゴム磁石を形成するゴムの加硫を2度行うことになるため、ゴム磁石のゴムが過加硫状態となり、ゴム磁石のゴム物性が低下するといった課題があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、ゴム磁石付きコンベヤベルトにおけるゴム磁石とゴムベルトとの界面での剥離やゴム磁石のゴム物性の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によるコンベヤベルトは、ベルトモニタリング用の被検出体としてのゴム磁石が埋め込まれたコンベヤベルトにおいて、磁性粉を混入したゴムを未加硫状態で着磁して形成した未加硫のゴム磁石がゴムベルトに埋め込まれた状態で未加硫のゴム磁石とゴムベルトとが一緒に加硫されて形成されたことを特徴とする。
本発明によるコンベヤベルトの製造方法は、ベルトモニタリング用の被検出体としてのゴム磁石が埋め込まれたコンベヤベルトの製造方法において、磁性粉を混入したゴムを未加硫状態で着磁してゴム磁石を形成し、この未加硫のゴム磁石をゴムベルトに埋め込んで未加硫のゴム磁石とゴムベルトとを一緒に加硫したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、ゴム磁石とゴムベルトとの界面での剥離の問題やゴム磁石のゴム物性の低下の問題の少ないコンベヤベルトを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1乃至図4は最良の形態を示し、図1はコンベヤベルトの製造方法を示し、図2は未加硫ゴム磁石が埋め込まれた状態のゴムベルトの断面を示し、図3はゴム磁石付きゴムベルトの断面を示し、図4はコンベヤベルトを示す。
【0007】
コンベヤベルト1の構造を説明する。図4に示すように、コンベヤベルト1は、ゴム磁石3を埋め込んだゴム磁石付きゴムベルト2が無端状に形成されたものである。ゴム磁石3は、ベルトモニタリング用の被検出体として機能する。
【0008】
ゴム磁石付きゴムベルト2のゴムベルト30(図3参照)は、例えば、上面または下面を形成するカバーゴム4;5と、芯体を含む補強ゴム6とにより構成される。補強ゴム6はカバーゴム4とカバーゴム5との間に設けられる。即ち、ゴムベルト30は、補強ゴム6により形成された補強ゴム層とカバーゴム4;5により形成されたカバーゴム層とを備える。
【0009】
コンベヤベルト1の製造方法を説明する。
まず、磁性粉を混入したゴムを未加硫状態で着磁したゴム磁石7(以下、未加硫ゴム磁石7という)を形成しておく。
次に、例えば、図1に示すように、カバーゴム4を巻いた巻枠8から巻き出されたカバーゴム4と補強ゴム6を巻いた巻枠9から巻き出された補強ゴム6とカバーゴム5を巻いた巻枠10から巻き出されたカバーゴム5とが重ねられた状態で圧着ローラ11;11に通された後に、これらカバーゴム4と補強ゴム6とカバーゴム5とが互いに圧着されて形成されたゴムベルトが加硫機12に送られて加硫されるゴムベルト製造工程において、カバーゴム4と補強ゴム6とカバーゴム5とが圧着ローラ11;11により圧着される前に、カバーゴム4、補強ゴム6、カバーゴム5のいずれかの上に未加硫ゴム磁石7が設置された後に、カバーゴム4と補強ゴム6とカバーゴム5とが圧着ローラ11;11に通されることによって、図2に示すような、未加硫ゴム磁石7が埋め込まれた状態のゴムベルト20が形成される。
そして、ゴムベルト20が加硫機12に送られ、加硫機12による加硫加工によって、未加硫ゴム磁石7とゴムベルト20の未加硫ゴムベルト40(図2参照)とが一緒に加硫される。
以上により、図3に示すような、加硫によりゴム磁石3とゴムベルト30とが良好に接着されたゴム磁石付きゴムベルト2が製造される。ゴム磁石付きゴムベルト2は巻枠16で巻き取られる(図1参照)。
このように形成されたゴム磁石付きゴムベルト2が帯状となるように任意の長さに切断され、その帯状のゴム磁石付きゴムベルト2の一端と他端とが繋なぎ合わされて無端状のコンベヤベルト1が形成される(図4参照)。
【0010】
最良の形態によれば、磁性粉を混入したゴムを未加硫状態で着磁して未加硫ゴム磁石7を形成した後に、未加硫ゴムベルト40と未加硫ゴム磁石7とを一緒に1回だけ加硫したので、ゴム磁石3とゴムベルト30との界面での接着状態が良好となり、また、ゴム磁石3のゴムも過加硫状態とならない。従って、ゴム磁石3とゴムベルト30との界面での剥離の問題やゴム磁石3のゴム物性の低下の問題の少ないコンベヤベルト1を得ることができる。
【0011】
尚、未加硫ゴム磁石7の設置作業は、専用のロボット、あるいは、作業員による手作業によって行う。
また、ゴム磁石3の配置形態は特に制限されない。例えば、ゴム磁石3がゴムベルト30の長手方向に所定間隔で配置されたコンベヤベルト1や、ゴム磁石3がゴムベルト30の幅方向に所定間隔で配置されたコンベヤベルト1とすればよい。
【産業上の利用可能性】
【0012】
本発明のコンベヤベルト1は、コンベヤベルト1の磨耗検出、コンベヤベルト1の蛇行検出などのコンベヤベルト1の性状を検出するためのベルトモニタリングシステムに使用される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】コンベヤベルトの製造方法を示す図(最良の形態)。
【図2】未加硫ゴム磁石が埋め込まれたゴムベルトを示す断面図(最良の形態)。
【図3】ゴム磁石付きゴムベルトを示す断面図(最良の形態)。
【図4】コンベヤベルトを示す図(最良の形態)。
【符号の説明】
【0014】
1 コンベヤベルト、2 ゴム磁石付きゴムベルト、3 ゴム磁石、
7 未加硫ゴム磁石、40 未加硫ゴムベルト。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトモニタリング用の被検出体としてのゴム磁石が埋め込まれたコンベヤベルトにおいて、磁性粉を混入したゴムを未加硫状態で着磁して形成した未加硫のゴム磁石がゴムベルトに埋め込まれた状態で未加硫のゴム磁石とゴムベルトとが一緒に加硫されて形成されたことを特徴とするコンベヤベルト。
【請求項2】
ベルトモニタリング用の被検出体としてのゴム磁石が埋め込まれたコンベヤベルトの製造方法において、磁性粉を混入したゴムを未加硫状態で着磁してゴム磁石を形成し、この未加硫のゴム磁石をゴムベルトに埋め込んで未加硫のゴム磁石とゴムベルトとを一緒に加硫したことを特徴とするコンベヤベルトの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−222469(P2009−222469A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−65344(P2008−65344)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】