説明

コンロ梱包用のサイドパッド

【課題】コンロ本体(91)の後面(a)に当接する矩形筒(20)の内部に内部補強体(21)が設けられた後面緩衝体(2)と、コンロ本体(91)の底面(b)に当接する底面緩衝体(3)と、コンロ本体(91)の側面(c)に当接する側面緩衝体(4)が一枚の段ボール紙で折り曲げられて形成されている、コンロ梱包用のサイドパッドに於いて、梱包製品を誤って後面側へ落下させても、破損し難くする。
【解決手段】前記矩形筒(20)は、前記底面緩衝体(3)又は側面緩衝体(4)に繋がる帯板部を長手方向に順次折り曲げることにより、上面板、底面板、及び一対の前後板を具備する筒状に形成したものであり、前記内部補強体(21)は、前記帯板部の短辺部または長辺部に繋がった複数の補強板が前記矩形筒(20)内の上部に、前記上面板と平行に折り込まれたものであり、前記複数の補強板は前記折り込まれた状態で前記上面板の前後幅と同じ前後幅を有すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスコンロの梱包用緩衝材として使用されるサイドパッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図7は、従来のサイドパッドを用いた梱包構造を示す分解斜視図であり、サイドパッド(1)は、コンロ本体(91)の左右両側部に沿って配設される。
このものでは、コンロ天板(90)は、天板ケース(60)に収納された状態でコンロ本体(91)の上に載置され、五徳(93)や汁受皿(94)等の付属部品は、小物収納ケース(61)に形成された各区画室に収納されてコンロ天板(90)上に載置される。コンロ本体(91)は左右両側からサイドパッド(1)(1)で挟みつけられると共に前面底部に前下パッド(65)が添設される。また、サイドパッド(1)(1)の左右両側に平面コ字状の外周カバー(62)(62)が外嵌され、上下から上下ケース(63)(64)が被せられる。最後に、全体を図示しない締結バンドで捲回固定した後、シュリンクフィルムで被覆される。
【0003】
図8は、前記梱包構造に使用される従来のサイドパッド(1)の斜視図である。
このものは、コンロ本体(91)の後面(a),底面(b),及び側面(c)の夫々に各別に当接する、後面緩衝体(2),底面緩衝体(3),及び側面緩衝体(4)を一枚の段ボール紙で折り曲げて形成したものである。
【0004】
後面緩衝体(2)は、矩形筒(20)内に、中央屈曲部(21a)から後方へ向けて上下に広がる傾斜板(21c)(21c)を備えた「く字状」断面の内部補強体(21)が充填されたもので、中央屈曲部(21a)は矩形筒(20)の前面板(20c)の上下方向の中程に当接している。又、内部補強体(21)の後端の自由端部(21b)(21b)は、矩形筒(20)の後部上下のコーナ部に夫々当接している。
【0005】
底面緩衝体(3)は、段ボール紙を多層状態に折り畳んだもので、側面緩衝体(4)は、段ボール紙を左右に扁平な矩形筒状に折り曲げたものである。
コンロ梱包時には、図8に示す構成の左右対称な一組のサイドパッド(1)(1)を準備し、コンロ本体(91)の底面(b)の左右端近傍を底面緩衝体(3)上に載置する。このとき、コンロ本体(91)の左右の側面(c)にはサイドパッド(1)の側面緩衝体(4)の内側面(40)が当接すると共に、コンロ本体(91)の後面(a)には後面緩衝体(2)の前面板(20c)が当接する。
【0006】
これにより、運送時等にコンロ本体(91)に作用する衝撃が、底面緩衝体(3),側面緩衝体(4)、及び、後面緩衝体(2)で吸収され、コンロ本体(91)が破損し難くなる。
又、サイドパッド(1)は、一枚の段ボール紙を折り曲げて形成したものであるから、複数の独立部品を組み合わせてサイドパッド(1)を作る場合に比べ、部品点数が少なくて済む。従って、梱包材の生産効率が高く、又、保管の煩雑化を防止することができる利点がある。
【特許文献1】特開2005−313977号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来のサイドパッド(1)を用いて梱包した梱包製品を、誤って後面側へ落下させた場合、後面緩衝体(2)が破損し易く、コンロ本体(91)の後部の保護が不完全になるという問題があった。
即ち、上記従来のサイドパッド(1)では、後面緩衝体(2)を構成する矩形筒(20)の前後の圧縮強度は、矩形筒(20)を構成する上面板(20a)及び底面板(20b)と、「く字状」に折り曲げられた内部補強体(21)で確保されている。ところが、「く字状」に形成された内部補強体(21)の中央屈曲部(21a)の後方は空間になっているから、中央屈曲部(21a)に後ろ向きの力が作用した場合には、上下の傾斜板(21c)(21c)が座屈を起こし易く、後面緩衝体(2)が前後に圧縮されて破損し易い。そして、後面緩衝体(2)が破損すると、コンロ本体(91)の後部の保護が不完全になるのである。
【0008】
又、上記従来のものでは、後面緩衝体(2)を構成する矩形筒(20)の前面板(20c)の上部近傍は、内部補強体(21)で支えられていないから、前面板(20c)の上部近傍に落下衝撃が作用し易い形状のコンロ本体(91)の場合は、矩形筒(20)が圧縮変形しやすく、後面緩衝体(2)が破損を受け易い。
【0009】
本発明はかかる点に鑑みて成されたもので、
『コンロ本体(91)の後面(a)に当接する矩形筒(20)の内部に内部補強体(21)が設けられた後面緩衝体(2)と、前記コンロ本体(91)の底面(b)に当接する底面緩衝体(3)と、前記コンロ本体(91)の側面(c)に当接する側面緩衝体(4)が一枚の段ボール紙で折り曲げられて形成されている、コンロ梱包用のサイドパッド』に於いて、梱包製品を誤って後面側へ落下させても、破損し難いコンロ梱包用のサイドパッドを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
1.請求項1に係る発明
上記課題を解決する為の請求項1に係る発明の解決手段は、
『前記矩形筒(20)は、前記底面緩衝体(3)又は側面緩衝体(4)に繋がる帯板部を長手方向に順次折り曲げることにより、上面板、底面板、及び一対の前後板を具備する筒状に形成されており、
前記内部補強体(21)は、前記帯板部の短辺部または長辺部に繋がった複数の補強板が前記矩形筒(20)内の上部に、前記上面板と平行に折り込まれたものであり、
前記複数の補強板は前記折り込まれた状態で前記上面板の前後幅と同じ前後幅を有する』ことである。
上記解決手段によれば、梱包製品を誤ってコンロ後面側へ落下させた場合にコンロ本体(91)から後面緩衝体(2)に作用する衝撃は、矩形筒(20)の上面板で受け止められるだけでなく、更に、矩形筒(20)内の上部に折り込まれた複数の補強板で受け止められる。この場合、前記複数の補強板は、矩形筒(20)の上面板と平行になっており、落下時の衝撃が補強板に対して平行に作用する。従って、図8に示す中央屈曲部(21a)の後方が空間になっている従来の「く字状」の内部補強体(21)の傾斜板(21c)(21c)に比べ、本発明の内部補強体(21)を構成する補強板は座屈し難くい。
【0011】
又、内部補強体(21)を構成する補強板は、矩形筒(20)内の上部に設けられている。従って、コンロ本体(91)の後面下部が前方にカットされて後面緩衝体(2)に当接しない場合でも、コンロ本体(91)の後面(a)のその上方部分が内部補強体(21)の配設された矩形筒(20)上部に当接する。従って、かかる条件下において、梱包製品を誤って後面側へ落下させた場合でも、コンロ(91)から作用する衝撃が内部補強体(21)で確実に受け止められる。
【0012】
2.請求項2に係る発明
請求項1に係る発明に於いて、
『前記段ボール紙は、直線状の溝部と山部が交互に平行に繰り返す波形の中芯の表裏にライナが貼り付けられた構成であり、
前記矩形筒(20)内で上下に並んだ複数の補強板のうち、何れかの補強板と前記上面板(202)に於ける前記直線状溝部は、平面視において格子状に交差している』ものとすることができる。
このものでは、直線状の溝部群が、平面視において全体として格子状に交差しているから、前後及び左右の何れの方向からの衝撃に対しても変形強度が高い構造になる。
【0013】
3.請求項3に係る発明
請求項1又は2に係る発明に於いて、
『前記内部補強体(21)は、前記帯板部の短辺部または長辺部に繋がった長板部を長手方向に向けて順次折り返すことにより上下に平行な前記複数の補強板が形成されたものである』ものでは、長板部を一方向に曲げるだけで内部補強体(21)が構成されるから、該内部補強体(21)の形成作業が容易である。
【0014】
4.請求項4に係る発明
請求項1〜3に係る発明に於いて、
『前記内部補強体(21)は、前記矩形筒(20)内に折り込まれた前記段ボール紙の構成壁の一部で下方から支持されている』ものでは、矩形筒(20)内に折り込まれた段ボール紙の構成壁の一部で下方から支持された内部補強体(21)が、矩形筒(20)内の上部で安定し、運送時の振動等で下方に落下するのが防止される。
【発明の効果】
【0015】
本発明は次の特有の効果を有する。
本発明の内部補強体(21)を構成する補強板は、従来の内部補強体(21)を構成する既述傾斜板(21c)(21c)に比べて、前記落下時の衝撃に対して座屈し難いから、後面緩衝体(2)の強度向上が図れ、破損しにくいコンロ梱包用のサイドパッドが提供できる。
又、既述したように、コンロ本体(91)の後面下部が前方にカットされて後面緩衝体(2)に当接しない場合でも、コンロ(91)から作用する衝撃が内部補強体(21)で確実に受け止められるから、かかる場合でも、後面緩衝体(2)が損傷し難くなる。
【0016】
請求項2に係る発明では、既述したように、前後及び左右の何れの方向からの衝撃に対しても内部補強体(21)の変形強度が高くなるから、前後及び左右の何れの方向に衝撃に対しても後面緩衝体(2)が破損しにくい。
【0017】
請求項3に係る発明では、既述したように、内部補強体(21)の形成作業が容易である。
請求項4に係る発明では、内部補強体(21)が前記段ボール紙の構成壁の一部で下方から支持される。従って、既述したように、内部補強体(21)が、運送時の振動等で矩形筒(20)の下部に落下するのが防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について添付図面を参照しながら説明する。
[梱包構造]
本発明の実施の形態は、システムキッチンのカウンタートップに設置されるドロップインコンロの梱包構造に実施したもので、図1は、ドロップインコンロの梱包構造の分解斜視図である。
この実施の形態で梱包されるコンロは、同図に示すように、中央にグリル部(95)が備えられ且つ3つのガスバーナ(9a)(9b)(9c)が内蔵されたコンロ本体(91)の上端から、システムキッチンのカウンタートップに形成された開口の周縁に支持させるための外周フランジ(96)を張り出させた、所謂、ドロップインコンロであり、外周フランジ(96)の上面には、コンロ天板(90)が載置されて使用される。
【0019】
コンロ天板(90)は、外周フランジ(96)に略一致する大きさ形状に構成されていると共に、ガスバーナ(9a)(9b)(9c)を露出させるための3つのバーナ用開口(90a)(90b)(90c)を有している。
又、使用時に組み付けられる五徳(93a)(93b)(93c)や、排気ガード(85)や、汁受け皿(94a)(94b)(94c)、更に、その他の附属部品(84)も一括して梱包される。
【0020】
次に、図1に示す梱包構造の概略を説明する。
まず、コンロ本体(91)の左右両側部を保護するサイドパッド(1)(1)(本発明の対象)と、コンロ本体(91)の前方に配設される前パッド(98)と共に、コンロ本体(91)を外箱(97)内に収納する。そして、その上から、外周フランジ(96)の前方に配設され且つ外箱(97)内においてコンロ天板(90)を前後方向に位置決めする前上パッド(86)と共に、コンロ天板(90)を、本体カバー(99)を介して、外周フランジ(96)の上面に載置させる。
【0021】
コンロ天板(90)上に保護シート(89)を被覆させた後、コンロ天板(90)のバーナ用開口(90a)(90b)(90c)の各々に、各々に合った大きさの汁受け皿(94a)(94b)(94c),五徳パッド(88a)(88b)(88c)、五徳(93a)(93b)(93c)を、順に載置し、五徳(93a)(93b)(93c)の上から、天面パッド(87)を五徳(93a)(93b)(93c)に直接接触するように載置する。
【0022】
前上パッド(86)と、天面パッド(87)には、排気ガード(85)や、エンドピースカバー等の附属部品(84)を収納するための収納室(83)が設けられており、各収納室(83)にそれぞれ排気ガード(85)や附属部品(84)等を収納した後、外箱(97)の上方開放端に連設されている4枚のフラップ(99a)(99b)(99c)(99d)を順に内側に折り畳んで、外箱(97)を閉塞させることにより、ドロップインコンロの梱包が完了する。
【0023】
[サイドパッド(1)の構造]
次に、本発明の実施の形態に係るコンロ梱包用のサイドパッド(1)の構造を説明する。
図2は、本発明の実施の形態に係るサイドパッド(1)の斜視図であり、コンロ本体(91)の右側の外箱(97)内に充填されるものを表している。従って、コンロ本体(91)の左側の外箱(97)内に充填されるサイドパッド(1)は、図2のものと左右対称に構成されている。
【0024】
サイドパッド(1)は、既述従来のものと同様、コンロ本体(91)の後面(a),底面(b),及び側面(c)の夫々に各別に当接する、後面緩衝体(2),底面緩衝体(3),及び側面緩衝体(4)を備えており、後面緩衝体(2),底面緩衝体(3),及び側面緩衝体(4)は、図3に示す一枚のブランクシート(5)を折り曲げて形成したものである。ブランクシート(5)は、波形の中芯(51)の表裏にライナ(52)(52)が貼り付けられた構成で、中芯(51)の表裏にて交互に繰り返す平行な直線状の溝部(510)と山部(511)は図3に於いて上下に延びている。
【0025】
後面緩衝体(2)は、図2に示すように、一方に開放する矩形筒(20)内の上部に内部補強体(21)が折り込まれた構成で、矩形筒(20)は、図3に於いて上下に長い帯板部(200)を長手方向に順次折り曲げて筒状にしたものである(図2,図4(ロ)参照)。
【0026】
図3に示すように、帯板部(200)は、矩形筒(20)の前板(201)に対応する前板相当部(201a),矩形筒(20)の上面板(202)に対応する上面板相当部(202a)のほか、後板(203)に対応する後板相当部(203a),底面板(204)に対応する底面板相当部(204a),前板(201)の裏面の前裏板(205)に対応する前裏板相当部(205a)が一方向に繋がった構成である。尚、前板相当部(201a)の自由端に突設された差込片(201b)は、矩形筒(20)の組み立て時に、底面板相当部(204a)と前裏板相当部(205a)の境界部に形成された差込スリット(204b)に差し込むもので、該差込により、矩形筒(20)の形状が安定される。後板相当部(203a)にも、組み立てられた矩形筒(20)の形状を安定させる為の折返片(203b)が設けられている。
【0027】
帯板部(200)で矩形筒(20)を組み立てるときは、前板相当部(201a),上面板相当部(202a),後板相当部(203a),底面板相当部(204a)等を順次直角に折り、図4の(イ)(ロ)(ハ)に示すように、内部補強体(21)(後述する)を内部に巻き込むように折り曲げて、矩形筒(20)を形成する。
【0028】
次に、矩形筒(20)内に差し込まれる内部補強体(21)について説明する。
図3に示すように、帯板部(200)の下端に配設された前裏板相当部(205a)の下側には、内部補強体(21)を構成する第1補強板(210)となる第1補強板相当部(210a)が連設されており、第1補強板相当部(210a)は、図4(イ)(ロ)の順序で、矩形筒(20)内に上面板(202)と平行に折り込まれて第1補強板(210)となる。
【0029】
又、帯板部(200)には、図3に示すように、前板相当部(201a)及び上面板相当部(202a)と平行な、第2〜第4補強板相当部(211a)(212b)(213a)(既述発明特定事項たる「長板部」に対応する。)が連設されている。これら第2〜第4補強板相当部(211a)(212b)(213a)を先端から順次巻き込むように折り畳むと共に、前述のように、折り畳まれる帯板部(200)(矩形筒(20)を形成する板)で包囲すると、図4(イ)(ロ)に示すように、第2〜第4補強板(211)(212)(213)が構成される。そして、これら第2〜第4補強板(211)(212)(213)と、第3補強板(212)の下面に重なる第1補強板(210)の前後幅L2(図4(ロ)参照)は、矩形筒(20)の上面板(202)の前後幅L1と同一寸法に設定されている。
【0030】
尚、第1〜第4補強板(210)〜(213)が、内部補強体(21)を構成する既述発明特定事項たる補強板に対応している。尚、図4(ロ)から明らかなように、第2〜第4補強板(211)(212)(213)が矩形筒(20)内に折り込まれると、第2〜第4補強板(211)(212)(213)を構成する段ボール紙の中芯(51)の直線状の溝部(510)(510)と、矩形筒(20)の上面板(202)の中芯(51)の直線状の溝部(510)(510)は相互に垂直な方向に延びた状態になる。従って、後面緩衝体(2)の組み立てが完了した時には、第2〜第4補強板(211)(212)(213)に於ける前記直線状の溝部(510)(510)と、矩形筒(20)の上面板(202)の溝部(510)(510)は、平面視に於いて格子状に交差する。又、図4(ロ)に示すように、第1補強板(210)に於ける前記直線状の溝部(510)(510)と、第2〜第4補強板(211)(212)(213)に於ける直線状の溝部(510)(510)も、平面視に於いて格子状に交差する。
【0031】
又、帯板部(200)には、図3に示すように、底面板相当部(204a)と前裏板相当部(205a)と第1補強板相当部(210a)に平行な、外底面板相当部(22a),基端板(230a),中継板(231a),先端板(232a)から成る支持部材相当部(23a)が連設されており、図4(ロ)(ハ)に示すように、外底面板相当部(22a)は矩形筒(20)の底面板(204)の下面に重ねられて外底面板(22)となり、支持部材相当部(23a)は矩形筒(20)内に折り込まれて内部補強体(21)を下方から支持する為の支持部材(23)になる。このため、支持部材(23)の先端板(232a)は、矩形筒(20)内に折り込まれた第1補強板(210)の下面に当接する。そして、矩形筒(20)内に折り込まれた支持部材(23)は、後板(203)に形成された切起し片(203b)で脱出阻止状態に固定される。尚、本実施の形態では、支持部材(23)が、内部補強体(21)を下方から支持する為に矩形筒(20)に折り込まれた既述発明特定事項たる「段ボール紙の構成壁の一部」に対応する。
【0032】
図2,4に示すように、後面緩衝体(2)から前方に突出する底面緩衝体(3)は、図3の底面緩衝体相当部(3a)を構成する第1〜第5折返片(30a)〜(30e)を図4(ニ)(ホ)の順序で折り畳むことにより形成される。即ち、第5折返片(30e)の上に第4折返片(30d)及び第3折返片(30c)が重なるように折り畳むと共に、第3,第4折返片(30c)(30d)の間に第1,第2折返片(30a)(30b)を積層状態に折り込む。これにより、図4(ホ)に示すように、底面緩衝体(3)が形成される。尚、第3,4,5折返片(30c)(30d)(30e)の夫々の中央部には、後述する側面緩衝体(4)を組み立て状態に固定するための差込片(55)を差し込む差込スリット(31a)(31b)(31c)が開設されている。
【0033】
図2,4に示すように、底面緩衝体(3)から起立する側面緩衝体(4)は、図3の第1起立板(50a),頂部板(50b)及び第2起立板(50c)を図4の(ホ)(ヘ)の順序で折り畳むことにより形成される。即ち、図4(ホ)に示すように、第1起立板(50a)に形成された補強用切起し(53a)(53b)を底面緩衝体(3)上に屈曲起立させ、その後、補強用切起し(53a)(53b)の周縁に沿って頂部板(50b)と第2起立板(50c)を折り曲げ、最後に、第2起立板(50c)の先端の折返片(54a)(54b)を内側に折り返すと共に、差込片(55)を底面緩衝体(3)の差込スリット(31a)に差し込むと、図4(へ)に示すように、側面緩衝体(4)が組み立てられる。
以上により、サイドパッド(1)が完成する。
【0034】
[サイドパッド(1)の作用]
このものでは、前述した手順(図1参照)に従って梱包を完了させると、図5,6の想像線で示すように、コンロ本体(91)の底面(b)がサイドパッド(1)の底面緩衝体(3)に載置されると共に、コンロ本体(91)の側面(c)が側面緩衝体(4)に沿った状態になる。これにより、運送時等に生じる上下方向の衝撃が底面緩衝体(3)で吸収されると共に、コンロ本体(91)の側面(c)が側面緩衝体(4)で保護される。
この梱包完成状態では、図5に示すように、後面緩衝体(2)を構成する矩形筒(20)内の上部に位置する内部補強体(21)の前方の前板(201)表面に、コンロ本体(91)の後面(a)が当接する。
【0035】
従って、梱包製品を誤ってコンロ後面側へ落下させた場合の衝撃は、後面緩衝体(2)を構成する矩形筒(20)の上面板(202)で受け止められるだけでなく、更に、矩形筒(20)内の上部に折り込まれた第1〜第4補強板(210)(211)(212)(213)で受け止められる。この場合、第1〜第4補強板(210)(211)(212)(213)は、上面板(202)と平行になっており、落下時の衝撃が第1〜第4補強板(210)(211)(212)(213)に対して平行に作用する。従って、図8に示す中央屈曲部(21a)の後方が空間になっている従来の「く字状」の内部補強体(21)の傾斜板(21c)(21c)に比べ、第1〜第4補強板(210)(211)(212)(213)は座屈し難くなり、後面緩衝体(2)の損傷防止が図れる。
【0036】
又、後面緩衝体(2)の内部補強体(21)は、矩形筒(20)内の上部に設けられているから、コンロ本体(91)の後面(a)の下部が前方にカット(910)されて後面緩衝体(2)に当接しない場合(図5参照)でも、コンロ本体(91)の後面(a)の上部が内部補強体(21)の配設部たる矩形筒(20)上部に当接する。従って、梱包製品を誤って後面側へ落下させた際にコンロ本体(91)から作用する衝撃が内部補強体(21)で確実に受け止められ、この点からも後面緩衝体(2)が損傷しにくくなる。
【0037】
又、図4(ロ)から明らかなように、後面緩衝体(2)を構成する矩形筒(20)の上面板(202)及び第1補強板(210)の中芯(51)に形成された直線状の溝部(510)(510)と、第2〜第4補強板(211)(212)(213)の中芯に形成された直線状の溝部(510)(510)は垂直に交差しており、直線状の溝部(510)(510)群が平面視に於いて格子状に配列されている。従って、内部補強体(21)は、前後及び左右の何れの方向からの衝撃に対しても変形強度が高い構造になる。従って、梱包製品が誤って落下した場合に、後面緩衝体(2)に対して前後及び左右の何れの方向に衝撃が作用しても、後面緩衝体(2)が破損しにくい。
尚、上記実施の形態では、所謂、本発明のサイドパッド(1)をドロップインコンロの梱包に適用される場合を例示的に説明したが、上記サイドパッド(1)はテーブルコンロ等の梱包にも適用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施の形態を説明する梱包構造の分解斜視図
【図2】サイドパッド(1)の一部切欠の斜視図
【図3】ブランクシート(5)の平面図
【図4】サイドパッド(1)の組み立て順序を説明する図
【図5】サイドパッド(1)にコンロ本体(91)が載置された状態を示す図
【図6】サイドパッド(1)にコンロ本体(91)が載置された状態を示す図
【図7】従来例の説明図
【図8】従来例の説明図
【符号の説明】
【0039】
(2)・・・後面緩衝体
(3)・・・底面緩衝体
(4)・・・側面緩衝体
(20)・・・矩形筒
(21)・・・内部補強体
(91)・・・コンロ本体
(a)・・・後面
(b)・・・底面
(c)・・・側面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンロ本体(91)の後面(a)に当接する矩形筒(20)の内部に内部補強体(21)が設けられた後面緩衝体(2)と、前記コンロ本体(91)の底面(b)に当接する底面緩衝体(3)と、前記コンロ本体(91)の側面(c)に当接する側面緩衝体(4)が一枚の段ボール紙で折り曲げられて形成されている、コンロ梱包用のサイドパッドに於いて、
前記矩形筒(20)は、前記底面緩衝体(3)又は側面緩衝体(4)に繋がる帯板部を長手方向に順次折り曲げることにより、上面板、底面板、及び一対の前後板を具備する筒状に形成されており、
前記内部補強体(21)は、前記帯板部の短辺部または長辺部に繋がった複数の補強板が前記矩形筒(20)内の上部に、前記上面板と平行に折り込まれたものであり、
前記複数の補強板は前記折り込まれた状態で前記上面板の前後幅と同じ前後幅を有する、コンロ梱包用のサイドパッド。
【請求項2】
請求項1に記載のコンロ梱包用のサイドパッドに於いて、
前記段ボール紙は、直線状の溝部と山部が交互に平行に繰り返す波形の中芯の表裏にライナが貼り付けられた構成であり、
前記矩形筒(20)内で上下に並んだ複数の補強板のうち、何れかの補強板と前記上面板(202)に於ける前記直線状溝部は、平面視において格子状に交差している、コンロ梱包用のサイドパッド。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のコンロ梱包用のサイドパッドに於いて、
前記内部補強体(21)は、前記帯板部の短辺部または長辺部に繋がった長板部を長手方向に向けて順次折り返すことにより上下に平行な前記複数の補強板が形成されたものである、コンロ梱包用のサイドパッド。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れかに記載のコンロ梱包用のサイドパッドに於いて、
前記内部補強体(21)は、前記矩形筒(20)内に折り込まれた前記段ボール紙の構成壁の一部で下方から支持されている、コンロ梱包用のサイドパッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−161303(P2007−161303A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−360189(P2005−360189)
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【出願人】(501198604)セッツカートン株式会社 (1)
【Fターム(参考)】