説明

コージェネレーションシステム

【課題】 省エネルギー効果の低減を抑制可能なコージェネレーションシステムを提供する。
【解決手段】 燃料電池システム1は、電力及び熱を発生させる燃料電池ユニット10と、燃料電池ユニット10で発生した熱により温められた湯を貯える貯湯ユニット20と、貯湯ユニット20を制御する制御部30と、を備え、所定の施設Mに電力及び湯を供給する。制御部30は、施設Mの利用者が入浴すると想定される入浴想定時刻、及び入浴時に使用されると想定される使用想定湯量を示す情報を取得すると共に、使用想定湯量を貯湯ユニット20の貯湯槽22に貯めるために必要な貯湯時間を算出する。そして、制御部30は、入浴想定時刻から少なくとも貯湯時間だけ遡った所定の時刻に、貯湯ユニット20の貯湯槽22から施設Mの浴槽Bへ湯を供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の施設に電力及び湯を供給するコージェネレーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコージェネレーションシステムとして、電力及び熱を発生させる発電ユニットと、発電ユニットで発生した熱により温められた湯を貯える貯湯ユニットと、を備え、貯湯ユニットに貯えられた湯を給湯や暖房機器に用いるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−064753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来のコージェネレーションシステムでは、例えば貯湯ユニットから電力の配給先の施設の浴槽に湯を供給して湯張りした後に、他の用途で湯を使用しようとすると、貯湯ユニットに予め貯えられた湯量では足りずに、温水ヒータ等を用いて湯を別途生成する必要が生じる。その結果、従来の燃料電池システムでは、省エネルギー効果が低減してしまう。
【0005】
そこで、本発明は、省エネルギー効果の低減を抑制可能なコージェネレーションシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係るコージェネレーションシステムは、所定の施設に電力及び湯を供給するコージェネレーションシステムであって、電力及び熱を発生させる発電ユニットと、発電ユニットで発生した熱により温められた湯を貯える貯湯ユニットと、少なくとも貯湯ユニットを制御する制御部と、を備え、制御部は、施設の利用者が入浴すると想定される入浴想定時刻を示す情報、及び入浴時に使用されると想定される使用想定湯量を示す情報を取得すると共に、使用想定湯量を貯湯ユニットに貯えるために必要な貯湯時間を算出し、入浴想定時刻から少なくとも貯湯時間だけ遡った所定の時刻に、貯湯ユニットから所定の施設の浴槽に湯を供給する、ことを特徴とする。
【0007】
このコージェネレーションシステムは、入浴想定時刻から少なくとも貯湯時間だけ遡った時刻に、貯湯ユニットから浴槽へ湯を供給して湯張りを行う。このため、実際に湯が使用される入浴予定時刻には、浴槽への湯張りが完了しており、尚且つ貯湯ユニットに十分な湯量が貯えられていることとなる。したがって、入浴時に湯を使用する際に、湯切れが発生し難く、温水ヒータ等で別途生成する湯量が少なくて済む。その結果、省エネルギー効果の低減を抑制することができる。
【0008】
本発明に係るコージェネレーションシステムにおいては、当該コージェネレーションシステムを省エネモードで運転するか否かの選択を利用者から受け付ける選択受付手段をさらに備え、制御部は、当該コージェネレーションシステムを省エネモードで運転するという選択を選択受付手段が受け付けた場合、入浴想定時刻を示す情報及び使用想定湯量を示す情報を取得すると共に、貯湯時間を算出し、所定の時刻に貯湯ユニットから浴槽に湯を供給する、ことが好ましい。この場合、当該コージェネレーションシステムを省エネモードで運転するか否かを利用者が選択することができる。
【0009】
また、本発明に係るコージェネレーションシステムにおいては、制御部は、入浴想定時刻を示す情報及び使用想定湯量を示す情報の少なくとも一方を、利用者の過去の入浴実績に基づいて取得することができる。この場合、入浴想定時刻や使用想定湯量を、利用者がその都度設定する必要がない。
【0010】
或いは、本発明に係るコージェネレーションシステムにおいては、入浴想定時刻を示す情報及び使用想定湯量を示す情報の少なくとも一方の入力を利用者から受け付けて、受け付けた当該情報を制御部へ送信する第1の入力受付手段をさらに備え、制御部は、入浴想定時刻を示す情報及び使用想定湯量を示す情報の少なくとも一方を、第1の入力受付手段から受信することにより取得することができる。この場合、入浴想定時刻や使用想定湯量を、利用者が所望する通りに設定することができる。
【0011】
また、本発明に係るコージェネレーションシステムにおいては、制御部は、利用者が入浴する際に設定すると想定される想定温度を示す情報をさらに取得し、浴槽に供給された湯が入浴想定時刻に想定温度となるように、想定温度よりも高い温度の湯を貯湯ユニットから浴槽に供給する、ことが好ましい。この場合、入浴想定時刻において追い炊き等の必要が生じ難いため、一層省エネルギー効果の低減を抑制することができる。
【0012】
また、本発明に係るコージェネレーションシステムにおいては、制御部は、想定温度を示す情報を、利用者の過去の入浴実績に基づいて取得することができる。この場合、想定温度を、利用者がその都度設定する必要がない。
【0013】
或いは、本発明に係るコージェネレーションシステムにおいては、想定温度を示す情報の入力を利用者から受け付けて、受け付けた当該情報を制御部へ送信する第2の入力受付手段をさらに備え、制御部は、想定温度を示す情報を、第2の入力受付手段から受信することにより取得することができる。この場合、想定温度を、利用者が所望する通りに設定することができる。
【0014】
また、本発明に係るコージェネレーションシステムにおいては、制御部は、浴槽に湯を供給する前に、浴槽の排水栓が閉止されていることの確認を利用者に促すための情報を、利用者に提供する、ことが好ましい。この場合、浴槽の排水栓が閉止されていない状態で、貯湯ユニットから浴槽に湯が供給されることを防止することができる。
【0015】
さらに、本発明に係るコージェネレーションシステムにおいては、制御部は、貯湯ユニットから浴槽に湯が供給されているとき、その旨を利用者に報知したり、貯湯ユニットから浴槽への湯の供給が完了したとき、その旨を利用者に報知したりすることが好ましい。この場合、貯湯ユニットから浴槽に湯が供給されていることや、貯湯ユニットから浴槽への湯の供給が完了したことを、利用者が認識することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、省エネルギー効果の低減を抑制可能なコージェネレーションシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るコージェネレーションシステムの第1実施形態を示す構成図である。
【図2】図1に示される燃料電池システムの制御方法を示すフローチャートである。
【図3】図1に示される制御部で用いられる重み係数を示す図表である。
【図4】貯湯槽の蓄熱量の時間変化を示すグラフである。
【図5】本発明に係るコージェネレーションシステムの第2実施形態を示す構成図である。
【図6】図5に示される燃料電池システムの制御方法を示すフローチャートである。
【図7】図5に示される燃料電池システムの他の制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るコージェネレーションシステムの好適な実施形態としての燃料電池システムについて、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[第1実施形態]
【0019】
図1に示されるように、燃料電池システム1は、電力及び熱を発生させる燃料電池ユニット(発電ユニット)10と、燃料電池ユニット10で発生した熱により温められた湯を貯える貯湯ユニット20と、貯湯ユニット20を制御する制御部30と、を備えている。このような燃料電池システム1は、所定の施設Mに電力及び湯を供給する。
【0020】
燃料電池ユニット10は、改質装置12と燃料電池スタック14とを有している。改質装置12は、改質触媒を有する改質器(不図示)と、改質触媒を加熱する加熱装置(例えばバーナ等)(不図示)とを有しており、加熱装置により加熱された改質触媒で原燃料及び水を改質して改質ガスを生成する。そして、改質装置11は、生成した改質ガスを燃料電池スタック14へ供給する。
【0021】
なお、原燃料は、脱硫装置(不図示)において硫黄分が除去された後に、改質装置12に導入される。原燃料としては、天然ガス、LPG(液化石油ガス)、都市ガス等の炭化水素系気体燃料や、灯油等の炭化水素系液体燃料が気化されたものを用いることができる。
【0022】
燃料電池スタック14は、例えばPEFC(Polymer Electrolyte Fuel Cell)と称されるセルが、複数層積層されたものである。各セルは、高分子膜である電解質が燃料極と酸化剤極との間に配置されて構成されている。燃料電池スタック14においては、燃料極側には改質装置12によって生成された改質ガスが導入され、酸化剤極側には酸素含有ガス(例えば空気や純酸素等)が導入される。
【0023】
このように燃料電池スタック14は、改質ガスと酸素含有ガスとを用いて発電を行い、得られた電力を、パワーコンディショナー(不図示)等を介して施設Mへ供給する。なお、燃料電池スタック14の燃料極側に導入された改質ガスのオフガスは、改質装置12のバーナに供給されて再利用される。
【0024】
貯湯ユニット20は貯湯槽22を有している。貯湯槽22には、燃料電池ユニット10で発生した熱を回収するための水が貯えられている。貯湯槽22は、その容量が、例えば137Lのものや200Lのものとすることができる。貯湯槽22には、貯湯槽22に貯えられた水を循環させるための循環ライン24と、貯湯槽22の底部から貯湯槽22内に水(例えば水道水)を導入するための水導入ライン25とが接続されている。循環ライン24は、一端が貯湯槽22の底部に接続されており、他端が貯湯槽22の頂部に接続されている。
【0025】
循環ライン24には、改質装置12及び燃料電池スタック14等で発生する熱と循環ライン24を流通する水との熱交換により、当該水を加熱するための熱交換部26が設けられている。したがって、貯湯槽22の底部から排出された水は、循環ライン24を流通する際に熱交換部26により温められ、湯として貯湯槽22の頂部へ導入される。貯湯槽22の頂部に導入された湯は、水導入ライン25により貯湯槽22の底部に新たな水が導入されることにより、この水に押し出されるようにして貯湯槽22の頂部から導出される。このとき水導入ライン25から貯湯槽22に導入される水は、熱交換部26により温められた湯よりも温度が低い。
【0026】
その結果、貯湯槽22の頂部(上部)には温度の比較的高い湯が貯えられ、貯湯槽22の低部(下部)には温度の比較的低い水が貯えられることとなる。なお、貯湯槽22に貯えられた全ての水が、熱交換部26により昇温され得る最高の温度(例えば65℃)となると、それ以上蓄熱できない所謂満蓄の状態となる。
【0027】
制御部30は、施設Mの利用者が入浴すると想定される入浴想定時刻を示す情報、及びその入浴時に使用されると想定される使用想定湯量を示す情報を取得する。また、制御部30は、使用想定湯量を貯えるために必要な貯湯時間を算出する。そして、制御部30は、入浴想定時刻から少なくとも貯湯時間だけ遡った所定の時刻に、貯湯ユニット20の貯湯槽22から浴槽Bへ湯を強制的に供給して湯張りを行う。
【0028】
このように、制御部30が、入浴想定時刻、及び使用想定湯量を示す情報を取得すると共に貯湯時間を算出し、入浴想定時刻から少なくとも貯湯時間だけ遡った所定の時刻に、貯湯ユニット20の貯湯槽22から浴槽Bへ湯を強制的に供給して湯張りを行うモードを省エネモードとする。
【0029】
なお、制御部30は、CPU、ROM、RAM及び入出力ポート等を有するコンピュータシステムとして構成されており、CPUが所定のプログラムを実行することにより、上記のような貯湯ユニット20の制御処理を行う。
【0030】
次に、図2を参照して、燃料電池システム1の制御方法について説明する。図2に示されるように、まず、制御部30は、施設Mの利用者が入浴すると想定される入浴想定時刻を示す情報を取得する(ステップS1)。
【0031】
入浴想定時刻を示す情報は、施設Mの利用者の過去の入浴実績に基づいて(所謂学習機能によって)取得することができる。この場合、制御部30は、施設Mの利用者が過去に入浴した時刻を示すデータに対して所定の重み係数を乗じたデータに基づいて、当該入浴想定時刻を算出する。
【0032】
重み係数は、例えば、図3の表に示されるように設定することができる。図3に示されるように、当該制御を実施する日(実施日)の1日前に利用者が入浴した時刻を示すデータに対する重み係数は「8」であり、実施日の2日前に利用者が入浴した時刻を示すデータに対する重み係数は「6」である。このように、重み係数は、実施日に近くなるにつれて大きくなる。これは、実施日により近い日の利用者の一日のスケジュールのほうが、実施日における利用者の一日のスケジュールに近似している場合が多いので、実施日に近い日のデータがより正確なデータであると考えられるためである。
【0033】
一方で、実施日の7日前に利用者が入浴した時刻を示すデータに対する重み係数は「10」と大きい値となっている。これは、利用者の一日のスケジュールが曜日毎に概ね決定する場合が多いため、実施日と同じ曜日である7日前のデータがより正確なデータであると考えられるためである。同様にして、14日前及び21日前についての重み係数も、比較的大きな値となっている。このように重み係数を設定することにより、利用者の希望に則した入浴想定時刻を得ることができる。
【0034】
続いて、制御部30は、入浴時に使用されると想定される使用想定湯量を示す情報を取得する(ステップS2)。使用想定湯量は、例えば、シャワーで使用される湯量や、追加の湯張りに使用される湯量や、入浴とは異なる用途(炊事等)で使用される湯量を含む。
【0035】
続いて、制御部30は、利用者が入浴する際に設定すると想定される想定温度を示す情報を取得する(ステップS3)。これらのステップS1〜S3は、どのような順序で実行されてもよい。
【0036】
続いて、制御部30は、ステップS3で取得した使用想定湯量を貯湯槽22に貯えるために必要な貯湯時間を算出する(ステップS4)。貯湯時間は、例えば次のようにして算出することができる。
【0037】
即ち、燃料電池スタック14の発電量が1892Wであり、発電量の約半分である945Wが廃熱回収可能であるとすると、一分間に約0.5417Lの40℃の湯が貯められる。したがって、例えば、想定温度が40℃で使用想定湯量が137Lであったとすると、約252.9分、即ち約4.2時間で貯湯槽22に使用想定湯量が貯まることとなるから、貯湯時間はおよそ4.2時間となる。
【0038】
続いて、制御部30は、現在の時刻が、貯湯槽22から浴槽Bへ給湯を開始する時刻(給湯開始時刻)か否かの判定を行う(ステップS5)。給湯開始時刻は、ステップS2で取得した入浴想定時刻から、ステップS4で算出した貯湯時間だけ少なくとも遡った所定の時刻である。具体的には、例えば入浴想定時刻が21時であり、貯湯時間が4時間であった場合には、給湯開始時刻は、21時から4時間遡った17時とすることができる。
【0039】
ステップS5の判定の結果、現在の時刻が給湯開始時刻でない場合には、所定の時間間隔をもってステップS5の判定を繰り返す。一方、ステップS5の判定の結果、現在の時刻が概ね給湯開始時刻であった場合、制御部30は、貯湯ユニット20の貯湯槽22から浴槽Bへ湯を強制的に供給して湯張りを行う(ステップS6)。このとき、浴槽Bへ供給された湯が入浴想定時刻に概ね想定温度となるように(即ち、入浴想定時刻までの間に冷める分を予め見越して)、想定温度よりも高い温度の湯を浴槽Bへ供給する。
【0040】
次に、図4を参照して貯湯槽22及び従来の燃料電池システムの貯湯層(以下、貯湯層Aと称する)における蓄熱量の変化について説明する。ここで、貯湯槽22及び貯湯槽Aの容量は137Lである。図4に示されるように、燃料電池システム1及び従来の燃料電池システムの運転が開始されると、貯湯槽22及び貯湯槽Aの蓄熱量(貯えられた湯の量)は、徐々に上昇していく。そして、時刻T1において、施設Mで熱需要(湯の需要)が発生すると、貯湯槽22及び貯湯槽Aの蓄熱量は一旦減少する。
【0041】
その後、施設Mでの熱需要がなくなると、貯湯槽22及び貯湯槽Aの蓄熱量は再び上昇する。そして、燃料電池システム1では、給湯開始時刻である時刻T2において、貯湯槽22から施設Mの浴槽Bへの湯の供給が行われ、貯湯槽22の蓄熱量は減少する。一方、従来の燃料電池システムでは、この時刻T2に湯の供給が行われないので、貯湯槽Aの蓄熱量はそのまま上昇する。
【0042】
その後、時刻T3において、貯湯層Aはそれ以上蓄熱できない満蓄の状態となる。その後、入浴想定時刻である時刻T4において、施設Mの利用者が入浴を開始することにより、施設Mで大きな熱需要が発生し、貯湯槽22及び貯湯槽Aの蓄熱量は急激に減少する。
【0043】
このとき、比較例の燃料電池システムでは、浴槽Bの湯張りのための湯と、それ以外の目的で使用される湯とに相当する熱量が必要となるので、貯湯槽Aの蓄熱量は、時刻T5においてゼロとなっている(貯湯槽Aの湯切れが発生している)。
【0044】
これに対して、燃料電池システム1では、浴槽Bの湯張りが既に完了しているので、貯湯槽22の蓄熱量の減少が、湯張り以外の目的で使用される湯の熱量の分だけで済むうえに、時刻T2からT4の間に十分な熱量が貯湯槽22に蓄えられているため、貯湯槽22の蓄熱量はゼロになっていない(貯湯槽22の湯切れが発生していない)。
【0045】
以上説明したように、本実施形態に係る燃料電池システム1は、制御部30が、入浴想定時刻から少なくとも貯湯時間だけ遡った給湯開始時刻に、貯湯ユニット20の貯湯槽22から浴槽Bへ湯を供給して湯張りを行う。このため、実際に湯が使用される入浴予定時刻には、浴槽Bへの湯張りが完了しており、尚且つ貯湯ユニット20の貯湯槽22に十分な湯量が貯えられていることとなる。したがって、施設Mの利用者が入浴時に湯を使用する際に、貯湯槽22の湯切れが発生し難く、温水ヒータ(不図示)等により別途生成する湯量が少なくて済む。その結果、省エネルギー効果の低減を抑制することができる。
【0046】
また、燃料電池システム1においては、入浴開始時刻から貯湯時間だけ遡った給湯開始時刻に、制御部30が貯湯槽22の湯を強制的に浴槽Bに供給すると共に冷水を貯湯槽22へ供給することで、貯湯槽22の蓄熱量が下がる。このため、燃料電池システム1によれば、従来の燃料電池システムに比べて少ない容量の貯湯槽22であっても、満蓄となる頻度を低く抑えることができる。その結果、省エネルギー効果が向上されることに加えて、貯湯槽22の小型化が可能となる。
【0047】
さらに、燃料電池システム1においては、制御部30が、浴槽Bに供給された湯が入浴想定時刻に想定温度となるように想定温度よりも高い温度の湯を浴槽Bへ供給するので、給湯開始時刻から入浴予定時刻までの間に浴槽Bの湯の温度が下がっても、追い炊き等の必要がなく、したがって一層省エネルギー効果の低減を抑制することができる。
【0048】
なお、制御部30は、使用想定湯量や想定温度を示す情報についても、入浴想定時刻を示す情報と同様にして、施設Mの利用者の過去の入浴実績に基づいて取得することができる。
[第2実施形態]
【0049】
図5に示されるように、燃料電池システム1Aは、第1実施形態に係る燃料電池システム1に対して、施設Mの利用者が使用可能なリモコン(選択受付手段、第1の入力受付手段、第2の入力受付手段)40をさらに備える点で異なっている。
【0050】
リモコン40は、燃料電池システム1Aを省エネモードで運転するか否かの選択を、施設Mの利用者から受け付けて、その選択の結果を示す情報を制御部30へ送信する。また、リモコン40は、必要に応じて、入浴想定時刻を示す情報や使用想定湯量を示す情報や想定温度を示す情報の入力を施設Mの利用者から受け付けて、受け付けた当該情報を制御部30へ送信する。
【0051】
次に、図6を参照して、燃料電池システム1Aの制御方法について説明する。図6に示されるように、まず、リモコン40は、燃料電池システム1Aを省エネモードで運転するか否かの選択を施設Mの利用者から受け付け、その選択の結果を示す情報を制御部30へ送信する(ステップS11)。
【0052】
続いて、制御部30は、リモコン40から送信される情報に基づいて、施設Mの利用者が省エネモードでの燃料電池システム1Aの運転を選択したか否かの判定を行う(ステップS12)。
【0053】
ステップS12の判定の結果、施設Mの利用者が省エネモードでの燃料電池システム1Aの運転を選択した場合、制御部30は、浴槽Bの排水栓が閉止されていることの確認を施設Mの利用者に促すための情報を、リモコン40を介して施設Mの利用者に提供する(ステップS13)。
【0054】
この情報の提供は、例えば、浴槽Bの排水栓が閉止されていることの確認を施設Mの利用者に促すためのメッセージをリモコン40の表示画面に表示させることにより行われてもよいし、当該メッセージを示す音声をリモコン40のスピーカから流すことにより行われてもよいし、所定の電子音や音楽をリモコン40のスピーカから流すことにより行われてもよい。
【0055】
続いて、制御部30は、ステップS1と同様に、施設Mの利用者が入浴すると想定される入浴想定時刻を示す情報を取得する(ステップS14)。続いて、入浴時に使用されると想定される使用想定湯量を示す情報を取得し(ステップS15)、利用者が入浴する際に設定すると想定される想定温度を示す情報を取得する(ステップS16)。これらのステップS14〜S16は、どのような順序で実行されてもよい。
【0056】
続いて、制御部30は、ステップS4と同様に、ステップS15で取得した使用想定湯量を貯湯槽22に貯えるために必要な貯湯時間を算出する(ステップS17)。
【0057】
続いて、制御部30は、ステップS5と同様に、現在の時刻が給湯開始時刻か否かの判定を行う(ステップS18)。この判定の結果、現在の時刻が給湯開始時刻でない場合には、所定の時間間隔をもってこの判定を繰り返す。
【0058】
一方、ステップS18の判定の結果、現在の時刻が概ね給湯開始時刻であった場合、制御部30は、ステップS6と同様に、貯湯ユニット20の貯湯槽22から浴槽Bへ湯を強制的に供給して、湯張りを行う(ステップS19)。
【0059】
このとき、制御部30は、貯湯ユニット20の貯湯槽22から浴槽Bへの湯の供給が行われている旨を、リモコン40を介して施設Mの利用者に報知する(ステップS20)。この報知は、貯湯ユニット20から浴槽Bへの温水の供給が行われていることを示すメッセージ(例えば「強制給湯中」等)をリモコン40の表示画面に表示させることにより行われてもよいし、当該メッセージを示す音声をリモコン40のスピーカから流すことにより行われてもよいし、所定の電子音や音楽をリモコン40のスピーカから流すことにより行われてもよい。
【0060】
一方、ステップS12の判定の結果、施設Mの利用者が省エネモードでの燃料電池システム1Aの運転を選択しなかった場合、処理を終了する。
【0061】
次に、図7を参照して、燃料電池システム1Aの他の制御方法について説明する。図7に示されるように、まず、リモコン40は、施設Mの利用者から入浴想定時刻を示す情報の入力を受け付け、受け付けた情報を制御部30へ送信する(ステップS31)。つまり、施設Mの利用者が入浴したい時刻をリモコン40に入力することにより、入力された情報が制御部30へ送信されて入浴の予約が行われる。
【0062】
続いて、制御部30は、ステップS13と同様に、浴槽Bの排水栓が閉止されていることの確認を施設Mの利用者に促すための情報を、リモコン40を介して施設Mの利用者に提供する(ステップS32)。
【0063】
続いて、制御部30は、リモコン40からの情報を受信することにより、入浴想定時刻を示す情報を取得する(即ち、入浴想定時刻を示す情報を利用者の入力により取得する)(ステップS33)。続いて、使用想定湯量を示す情報を取得し(ステップS34)、想定温度を示す情報を取得する(ステップS35)。
【0064】
ここで、制御部30は、使用想定湯量及び想定温度を示す情報を、学習機能によって取得してもよいし、施設Mの利用者からの入力を受け付けたリモコン40から受信することにより取得してもよい。
【0065】
続いて、制御部30は、ステップS17と同様にして貯湯時間を算出し(ステップS36)、ステップS18と同様に現在の時刻が給湯開始時刻か否かの判定を行う(ステップS37)。この判定の結果、現在の時刻が給湯開始時刻でない場合には、所定の時間間隔をもってこの判定を繰り返す。
【0066】
一方、ステップS37の判定の結果、現在の時刻が概ね給湯開始時刻であった場合、制御部30は、ステップS19と同様に、貯湯ユニット20の貯湯槽22から浴槽Bへ湯を強制的に供給して湯張りを行う(ステップS38)。このとき、制御部30は、ステップS20と同様に、貯湯ユニット20の貯湯槽22から浴槽Bへの湯の供給が行われている旨を、リモコン40を介して施設Mの利用者に報知する(ステップS39)。
【0067】
以上説明したように、本実施形態に係る燃料電池システム1Aによれば、施設Mの利用者が、リモコン40を介して、燃料電池システム1Aを省エネモードで運転するか否かを選択することができる。或いは、本実施形態に係る燃料電池システム1Aによれば、施設Mの利用者が、リモコン40を介して入浴の予約を行うことができる。
【0068】
また、燃料電池システム1Aによれば、省エネモードでの運転が選択された場合、及び、入浴の予約が行われた場合、浴槽Bの排水栓が閉止されていることの確認が施設Mの利用者に促されるので、浴槽Bの排水栓が閉止されていない状態で貯湯ユニット20から浴槽Bに湯が供給されることを防止することができる。
【0069】
なお、燃料電池システム1Aは、貯湯ユニット20から浴槽Bへの湯の供給が完了したときに(湯張りが完了したときに)、その旨を施設Mの利用者に報知してもよい。この報知は、浴槽Bの湯張りが完了したことを示すメッセージをリモコン40の表示画面に表示させることにより行われてもよいし、当該メッセージを示す音声をリモコン40のスピーカから流すことにより行われてもよいし、所定の電子音や音楽をリモコン40のスピーカから流すことにより行われてもよい。
【0070】
また、燃料電池システム1Aにおいては、リモコン40は、例えば、制御部30との間で無線通信可能な任意の多機能端末とすることができる。
【0071】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した各実施形態において、燃料電池としてPEFCを用いるものとしたが、これに限らず、例えばSOFC(Solid Oxide Fuel Cells)を用いることもできる。
【0072】
また、制御部30は、貯湯ユニット20の貯湯槽22から施設Mの浴槽Bへ湯を供給する前の任意のタイミングで、浴槽Bの排水栓が閉止されていることの確認を施設Mの利用者に促すための情報を施設Mの利用者に提供することができる。
【0073】
また、制御部30は、入浴想定時刻を示す情報、使用想定湯量を示す情報及び想定温度を示す情報のうちの少なくとも一つを、利用者の過去の入浴実績に基づいて取得する態様とすることができる。或いは、制御部30は、入浴想定時刻を示す情報、使用想定湯量を示す情報及び想定温度を示す情報のうちの少なくとも一つを、リモコン40から受信することにより取得する態様とすることができる。
【0074】
また、本発明は、燃料電池システムに限らず、貯湯槽を有するコージェネレーションシステム全般に適用することができる。
【0075】
さらに、図2,6,7における「開始」及び「終了」は、それぞれ、各図に示された一連の処理の開始及び終了を示しており、燃料電池システム1及び燃料電池システム1Aの起動及び停止を示すものではない。
【符号の説明】
【0076】
1,1A…燃料電池システム、10…燃料電池ユニット、20…貯湯ユニット、30…制御部、40…リモコン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の施設に電力及び湯を供給するコージェネレーションシステムであって、
電力及び熱を発生させる発電ユニットと、
前記発電ユニットで発生した熱により温められた湯を貯える貯湯ユニットと、
少なくとも前記貯湯ユニットを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記施設の利用者が入浴すると想定される入浴想定時刻を示す情報、及び入浴時に使用されると想定される使用想定湯量を示す情報を取得すると共に、前記使用想定湯量を前記貯湯ユニットに貯えるために必要な貯湯時間を算出し、前記入浴想定時刻から少なくとも前記貯湯時間だけ遡った所定の時刻に、前記貯湯ユニットから前記所定の施設の浴槽に湯を供給する、ことを特徴とするコージェネレーションシステム。
【請求項2】
当該コージェネレーションシステムを省エネモードで運転するか否かの選択を前記利用者から受け付ける選択受付手段をさらに備え、
前記制御部は、当該コージェネレーションシステムを省エネモードで運転するという選択を前記選択受付手段が受け付けた場合、前記入浴想定時刻を示す情報及び前記使用想定湯量を示す情報を取得すると共に、前記貯湯時間を算出し、前記所定の時刻に前記貯湯ユニットから前記浴槽に湯を供給する、ことを特徴とする請求項1記載のコージェネレーションシステム。
【請求項3】
前記制御部は、前記入浴想定時刻を示す情報及び前記使用想定湯量を示す情報の少なくとも一方を、前記利用者の過去の入浴実績に基づいて取得する、ことを特徴とする請求項1又は2記載のコージェネレーションシステム。
【請求項4】
前記入浴想定時刻を示す情報及び前記使用想定湯量を示す情報の少なくとも一方の入力を前記利用者から受け付けて、受け付けた当該情報を前記制御部へ送信する第1の入力受付手段をさらに備え、
前記制御部は、前記入浴想定時刻を示す情報及び前記使用想定湯量を示す情報の少なくとも一方を、前記第1の入力受付手段から受信することにより取得する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のコージェネレーションシステム。
【請求項5】
前記制御部は、前記利用者が入浴する際に設定すると想定される想定温度を示す情報をさらに取得し、前記浴槽に供給された湯が前記入浴想定時刻に前記想定温度となるように、前記想定温度よりも高い温度の湯を前記貯湯ユニットから前記浴槽に供給する、ことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項記載のコージェネレーションシステム。
【請求項6】
前記制御部は、前記想定温度を示す情報を、前記利用者の過去の入浴実績に基づいて取得する、ことを特徴とする請求項5に記載のコージェネレーションシステム。
【請求項7】
前記想定温度を示す情報の入力を前記利用者から受け付けて、受け付けた当該情報を前記制御部へ送信する第2の入力受付手段をさらに備え、
前記制御部は、前記想定温度を示す情報を、前記第2の入力受付手段から受信することにより取得する、ことを特徴とする請求項5に記載のコージェネレーションシステム。
【請求項8】
前記制御部は、前記浴槽に湯を供給する前に、前記浴槽の排水栓が閉止されていることの確認を前記利用者に促すための情報を、前記利用者に提供する、ことを特徴とする請求項1〜7の何れか一項記載のコージェネレーションシステム。
【請求項9】
前記制御部は、前記貯湯ユニットから前記浴槽に湯が供給されているとき、その旨を前記利用者に報知する、ことを特徴とする請求項1〜8の何れか一項記載のコージェネレーションシステム。
【請求項10】
前記制御部は、前記貯湯ユニットから前記浴槽への湯の供給が完了したとき、その旨を前記利用者に報知する、ことを特徴とする請求項1〜9の何れか一項記載のコージェネレーションシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−189227(P2012−189227A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−50435(P2011−50435)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(308013252)株式会社ENEOSセルテック (67)
【Fターム(参考)】