説明

コーティングされた眼鏡レンズの加工方法及びその加工装置

【課題】コーティングされた眼鏡レンズの限られたエリア内でレンズのベース材料の除去を伴うことなしにコーティングを除去する方法と、前述の方法を実装するのに好適な装置を提供する。
【解決手段】個々の眼鏡レンズ2の加工エリアは、その形状、サイズ、及びレンズ2における場所によって予め決定され、加工エリア内のレンズ2のコーティングはレーザービーム30の照射により局所的に除去される。レンズ2用の少なくとも1つのマウントを含むホルダ、レーザービーム30を生成するレーザーヘッド54を含むレーザービーム装置、ホルダ及びレーザーヘッド54を基準プレーン内において移動する位置決め装置62、レーザービーム装置及び位置決め装置62用の制御手段68により、レーザー出力、レーザーヘッド54と少なくとも1つのレンズ2の間の相対的な位置、レーザービーム30のスキャニング動作は制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーティングされた眼鏡レンズを加工する方法及びその加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2つの眼鏡レンズ、ブリッジ、2つの智(lug)、並びに、そのそれぞれが2つの智のいずれかにヒンジ接続された2つのテンプルを有するリムレス眼鏡が知られている。ブリッジは、サドルブリッジ又は2つのパッドと一体で形成されるか、あるいは、2つのパッド又はサドルブリッジを支持している。このようなリムレス眼鏡は、眼鏡レンズの上部エッジ及び/又は下部エッジに沿って延長すると共にブリッジを智に接続する取り付け部材を具備していない。その代わりに、智とブリッジの間における統合性は、その間に配設された眼鏡レンズによって保証されている。従って、智とブリッジを十分堅固に眼鏡レンズに機械的に接続する必要がある。
【0003】
まず、レンズ内の智及び/又はブリッジの取り付け位置に少なくとも1つの貫通孔を形成することにより、一方において、智及びブリッジと、他方において、個々の眼鏡レンズの間の接続を確立することが既に知られている。智又はブリッジをレンズと共にねじ留め又はリベット固定するべく、ねじ又はリベットを貫通孔に挿入可能である。また、智又はブリッジと固定する部品、例えばピンは眼鏡レンズの貫通孔内において接着されるか又はかぎ状に固定されて提供することが知られている。これらの接続方法は、貫通孔をレンズ内に形成しなければならないという欠点を有する。例えば、穿孔によって貫通孔を形成する際には、眼鏡レンズが破損するリスクが存在し、この結果、このようなリムレス眼鏡の製造の際には、相当量の廃棄物が発生することになる。さらには、貫通孔は、構造的な弱化、眼鏡レンズ内の微細な亀裂を引き起こし、かつ、ねじ又はリベットによって印加された圧力がレンズ内に張力を生成し、この結果、眼鏡の使用の際の破損のリスクが増大することになる。
【0004】
リムレス眼鏡の場合に、ブリッジ及び/又は智を、その正面又は背面において眼鏡レンズに接着接合することが既に提案されている。ブリッジ及び智をレンズに接合することにより、レンズ内における貫通孔の形成が不要となり、かつ、これを不要とすることが可能であり、この結果、例えば、穿孔による眼鏡レンズ内の貫通孔の形成と関係した欠点が回避される。
【0005】
永久的に堅固に接着接合された結合部を得ることが不可能であり、かつ、接着接合された結合部は、しばしば、破損するため、智及びブリッジをレンズの正面又は背面に接着接合してリムレス眼鏡を製造するこれまでの努力は、効を奏してはいない。
【0006】
眼鏡レンズは、通常、レンズ表面の引掻き耐性及び/又は撥塵性及び/又は特定の反射特性を保証するためのコーティングを、その正面及びその背面上に具備する。本発明者らは、このコーティングが、不良な接着接合された結合部の基本的な原因の1つであることを見出した。さらには、本発明者らは、接着接合する前に、接着接合された結合部のための結合表面のエリア内においてコーティングを除去した場合に、永久的に堅固な接着接合された結合部を得ることが可能であることを見出した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許公報第5,805,259号(US 5 805 259A)
【特許文献2】ドイツ特許公報第102005006980号(DE 102005006980 A1)
【特許文献3】フランス特許公報第2,624,278号(FR 2 624 278 A1)
【特許文献4】フランス特許公報第2,793,040号(FR 2 793 040 A1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の根底にある目的は、レンズをブリッジ及び智の留め具に接着接合するための結合表面を提供するべく、コーティングされた眼鏡レンズの限られたエリア内におけるコーティングの除去を可能にする適切な方法を提供することにある。予め設定されたエリア内においてコーティングを正確に除去することが可能となり、かつ、さらには、レンズの相当量のベース材料の除去を伴うことなしに、コーティングをその厚さの全体において除去することが可能となる。さらには、本発明の根底にある目的は、前述の方法を実装するのに好適な装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の第1の目的は、本発明によれば、請求項1に定義された方法によって実現される。本発明によれば、個々の眼鏡レンズについて、2つの加工エリアを、その形状、サイズ、及びレンズにおける場所によって予め決定し、かつ、2つの既定の加工エリア内において、レンズ上のコーティングをレーザービームの照射によって局所的に除去する。
【0010】
前述の第2の目的は、本発明によれば、請求項10に定義された装置によって実現される。この装置は、眼鏡レンズ用の少なくとも1つのマウントを含むホルダと、レーザービームを生成するレーザーヘッドを含むレーザービーム装置であって、レーザーヘッドが少なくとも1つの眼鏡レンズを加工するのに適したものとなり、この結果、そのコーティングの局所的な除去による少なくとも1つのレンズの加工のために十分なものとなるように、レーザービームのレーザー出力を制御可能とするレーザービーム装置と、ホルダ及びレーザーヘッドを相互の関係において基準プレーン内において移動させる位置決め装置と、レーザービーム装置及び位置決め装置用の制御手段とを有し、この場合に、レーザー出力、レーザーヘッドと少なくとも1つのレンズの間の相対的な位置、並びに、レーザービームのスキャニング動作が制御手段によって制御可能である。
【0011】
本発明の有利なさらなる拡張は、従属請求項に定義されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明による方法及び装置により、コーティングされた眼鏡レンズは、リムレス眼鏡のブリッジ及び智に対するレンズの信頼性の高い接着接合を事後的に可能にする結合表面を眼鏡レンズに形成するべく、加工される。この方法においては、個々の眼鏡レンズについて、2つの加工エリアが、その形状、サイズ、及びレンズにおける場所によって予め決定され、2つの予め決定された加工エリア内において、レンズのコーティングはレーザービームの照射によって局所的に除去される。本装置は、レンズ用の少なくとも1つのマウントを含むホルダ、レーザービームを生成するレーザーヘッドを含むレーザービーム装置、ホルダ及びレーザーヘッドを相互の関係において基準プレーン内において移動させる位置決め装置、並びに、レーザービーム装置及び位置決め装置用の制御手段により、優れており、この場合に、レーザー出力、レーザーヘッドと少なくとも1つのレンズの間の相対的な位置、並びに、レーザービームのスキャニング動作は、制御手段によって制御可能である。
【0013】
以下、本発明の特徴及びその有利な効果を、実施例により、かつ、図面を参照することにより、詳細に説明することとする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の方法及び装置を適用して製造したリムレス眼鏡の斜視図である。
【図2】図1の眼鏡の左側レンズの正面図である。
【図3】図2とは異なる形状の左側眼鏡レンズの正面図である。
【図4】眼鏡レンズの加工エリアを切り抜いた拡大図である。
【図5】図4のA−Bにおける概略断面図である。
【図6】レンズクランプと接続状態にある眼鏡レンズの側面図である。
【図7】本発明の第1実施例の装置の概略斜視図である。
【図8】レーザービームによって実行されるスキャニング動作を示すための眼鏡レンズ、レーザーヘッド、レーザーヘッドによって照射されたレーザービームの第1概略図である。
【図9】レーザービームによって実行されるスキャニング動作を示すための眼鏡レンズ、レーザーヘッド、レーザーヘッドによって照射されたレーザービームの第2概略図である。
【図10】第1実施例の装置の要素を示した概略ブロック図である。
【図11】第1実施例の装置における基準座標系及び同装置内に配設された眼鏡レンズの模式図である。
【図12】加工時の眼鏡レンズの切り抜き部分の概略断面図である。
【図13】レーザービームの入射角度に応じたレーザー出力の制御を示す図表である。
【図14】本発明の第2実施例の装置の概略斜視図である。
【図15】第2実施例の装置の要素を示した概略ブロック図である。
【図16】本発明の第2実施例による方法工程のブロック図である。
【図17】眼鏡レンズの輪郭が計測される際の上面図である。
【図18】図17の眼鏡レンズを矢印Cの方向にて観察した際の側面図である。
【図19】眼鏡レンズの曲率が計測される際の側面図である。
【図20】眼鏡レンズの加工エリアが加工される際の平面図である。
【図21】図20の眼鏡レンズを矢印Eの方向にて観察した際の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下においては、まず、図1ないし図3により、本発明による方法及び本発明による装置を適用可能である製造の際のリムレス眼鏡の一実施例を説明することとする。
【0016】
図1は、斜め正面からの斜視図においてリムレス眼鏡を示している。眼鏡は、左側眼鏡レンズ2、右側眼鏡レンズ4、及び2つのレンズの間に配設されたブリッジ6を有する。2つのレンズ2及び4のそれぞれは、図1において可視状態にある正面(前面)3と、その幾何学的及び光学的中心との関係においてレンズを半径方向において外側に向かって限定する周辺エッジ5とを具備する。ブリッジ6は、2つのレンズ2及び4の間に配設され、かつ、これらを相互に接続する細長い部材である。ブリッジは、本体8と、そのそれぞれがブリッジ6の一端に配設され、かつ、それぞれがレンズ2及び4の正面3に接合される2つの留め具18とを有する。パッド部材10はブリッジ6に取り付けられており、これは、着用者の鼻において眼鏡を支持するべく機能する。
【0017】
眼鏡は左側の智(lug)12及び右側の智14をさらに有する。左側の智12及び右側の智14は、テンプル15を図1に示されたその開放位置から2つのレンズ2及び4に実質的に平行に延長する位置に旋回(swivel)させることができるように、個々のテンプル15にヒンジにより接続される。
【0018】
2つの智12及び14のそれぞれは、本体16と、テンプル15とは反対側の智12又は14の端部に配設された留め具18とを有する。2つの智12及び14の留め具18は、ブリッジ6とは反対側のレンズ2又は4の個々のエッジ部分のレンズの正面3に接合される。
【0019】
ブリッジ6及び智12及び14の留め具18は、通常、例えば、Bayer AG Bayer Polymers社からTexin DP7−3007という名称で市販されている脂肪族の熱可塑性ポリエーテルポリウレタンなどの射出成型可能なプラスチック材料から構成される。ブリッジ6の本体8及び智12及び14の本体16は、金属材料又は射出成型可能なプラスチック材料から構成され、かつ、個々の留め具18に堅固に接続される。このために、個々の本体8及び16の図示されてはいない自由端部は、それぞれ、割り当てられた留め具18内に挿入され、かつ、そこで、嵌合(form fit)及び/又は摩擦(force fit)及び/又は接着接合により、しっかりと固定される。代替肢として、留め具と個々の本体の間の堅固な接続は、ボディの自由端部に射出成型によって留め具を装着することにより、実現することも可能である。この説明対象の実施例から外れるが、個々の本体及び1つ又は複数の留め具を同一材料から一体で製造することも可能である。
【0020】
レンズ用のベース材料としては、通常の眼鏡レンズの材料が用いられる。これらは、特に、CR39という名称の下に眼鏡レンズ材料として知られているポリカーボネート及びアリルジグリコールカーボネートなどのプラスチックを含む。
【0021】
2つの眼鏡レンズ2及び4のそれぞれはコーティングされたレンズである。これは、その正面(前面)及びその背面(後面)上にコーティングを具備することを意味しており、この場合に、正面上及び背面上のコーティングは、異なるものであってよい。個々のコーティングは、通常、複数のレイヤから構成される。コーティングの1つのレイヤは、例えば、いわゆる、レンズ表面の引掻き耐性を確保するためのハードレイヤであってよい。ハードレイヤ上には、反射防止レイヤを提供可能であり、この反射防止レイヤも、複数のレイヤから構成可能である。反射防止レイヤは、正反射を抑制するためのものである。代替肢として、高い反射率が望ましい場合には、反射レイヤを適用可能である。コーティングの最上層のレイヤは、例えば、疎水性及び疎油性を具備し、かつ、塵が付着することを防止する撥塵レイヤである。コーティングの厚さの合計は、通常、1μm未満〜数マイクロメートルの範囲内にある。
【0022】
コーティングされたレンズ2及び4は、いわゆる、レンズ形状を具備する。レンズ形状とは、通常、その正面又は背面からレンズの同じところを観察した際のレンズの輪郭の幾何学的な形状である。図2はその正面3から観察された際の図1の眼鏡の左側レンズ2を示している。レンズ2はその輪郭20によって半径方向において外側に向かって限定されており、この輪郭20は図2においてレンズのエッジ5と一致している。
【0023】
レンズは、一般に、円形の輪郭を具備したレンズブランクから出発し、所望の輪郭20及び所望のレンズ形状を具備したレンズが得られるだけの量の材料をレンズブランクから切削及び/又は研磨により除去することによって製造される。
【0024】
眼鏡レンズ2及び4のそれぞれは、基準線(中心線)22{datum line(Mittellinie)}及びレンズ垂直線24を具備する(図2を参照されたい)。基準線22は、レンズの幾何学的中心Mを通過し、かつ、完成した眼鏡の2つのレンズの幾何学的中心を接続している。レンズ垂直線24は、レンズの幾何学的中心Mにおいて基準線22と垂直に交差(直交)している。基準線22及びレンズ垂直線24はレンズにマーキング可能な(但し、マーキングは必須ではない)補助ラインであり、個々の線のマーカーはもはや不要になった際に除去可能であり、完成した眼鏡においては、もはや不可視状態となる。基準線22及びレンズ垂直線24はレンズ座標系を規定しており、レンズの表面上及びエッジにおけるそれぞれの地点の場所はこの座標系によって規定される。幾何学的中心の代わりに、レンズにおいて規定される異なる地点がレンズ座標系の原点として機能することも可能である。
【0025】
前述のように、留め具18は、個々のレンズ2及び/又は4の正面3上に配設されており、このために、これらは、リムレス眼鏡の製造の際に正面3に接着接合される。代替肢として、留め具18は、個々の眼鏡レンズの背面に接着接合することも可能である。以下においては、留め具18が眼鏡レンズ2及び/又は4の正面3に接着接合されるものと仮定しており、この場合に、以下の説明は、留め具18がレンズの背面に接着接合されるケースにも、必要な変更を加えることにより、適用される。さらには、正面又は背面に対する留め具18の接着接合は、個々の留め具18の眼鏡レンズのエッジ5に対するさらなる接合を排除するものではない。
【0026】
眼鏡レンズに対して接着接合されるそれぞれの留め具は、結合表面を具備する。レンズは、接合対象の留め具のそれぞれに、形状及びサイズ(大きさ)において留め具の結合表面に対して相補的である結合表面を含む。リムレス眼鏡の製造の際には、個々の留め具は、その結合表面により、レンズに装着され、かつ、結合表面の間に導入された接着剤により、あるいは、両面に接着レイヤが提供されると共に結合表面の間に配設された接着フィルムにより、レンズに接着接合される。
【0027】
レンズの結合表面は、レンズのベース材料が結合表面のエリア内において露出するように、形成対象の結合表面のエリア内のコーティングをその厚さの全体において除去することにより形成される。これは、留め具とレンズの間の永久的に堅固な接着接合を実現するための処理である。眼鏡レンズに施されたコーティングは、レンズにおけるその場所と、その形状及びサイズとの関連において、レンズに形成される結合表面の形状及びサイズ、並びに、場所に対応して一致するエリア内において除去される。以下においては、このエリアを加工エリアと呼ぶこととする。
【0028】
図2には、加工エリア26及び加工エリア28が、ハッチング領域(斜線部)として示されている。加工エリア26内には、眼鏡の左側の智用の留め具が装着される結合表面26が形成され、かつ、加工エリア28内には、ブリッジの留め具のいずれかのものが装着される結合表面が形成される。
【0029】
眼鏡レンズのレンズ形状と、つまり、その輪郭20は、着用者又は眼鏡製造者によって選択された眼鏡デザインによって予め決定される。レンズにおける加工エリア26及び28の場所も、選択された眼鏡デザインによって予め決定される。眼鏡製造者は、留め具の結合表面の形状及びサイズに応じて、加工エリア26及び28の形状及びサイズを予め決定する。レンズにおける加工エリアの場所は、例えば、加工エリア内の基準点Rの座標a及びbにより、レンズ座標系において予め決定可能であり、図2では加工エリア26について示されている。この場合には、加工エリアの形状及びサイズは、基準点Rからの加工エリアの輪郭27の地点の(基準線の方向、かつ、レンズ垂直線24の方向における)距離によって予め決定される(図4を参照されたい)。あるいはこの代わりに、加工エリアの形状、サイズ、及び場所は、レンズ座標系において加工エリアの輪郭27を規定することによって予め決定することも可能である。
【0030】
図2に示されたレンズ2においては、加工エリア26及び28のそれぞれは、レンズのエッジ5に向かって延長している。もしくは、レンズのエッジ5から特定の距離のところに加工エリア26及び28を配置することも可能である。
【0031】
眼鏡レンズにさまざまな異なるレンズ形状が存在することは既に知られており、新しいレンズ形状も将来開発されるであろう。本発明は任意のレンズ形状を具備した眼鏡レンズに適用可能であるが、この場合、レンズが本発明の方法に従って加工されるとき、さらには、本発明の装置を用いて加工される時点において、レンズの形状は予め決定される。図3は、図2に類似した図において、図2のレンズとは異なるレンズ形状を具備したレンズを示しており、図3に示されたレンズ形状は、多数の可能な予め設定可能なレンズ形状の中の一例に過ぎない。
【0032】
本発明によれば、レンズにおけるコーティングは、レーザービームの照射により、加工エリア内において局所的に除去される。これが図4及び図5に概略的に示されており、図4は、その正面3から観察された際のレンズ2の加工エリア26を切り抜き拡大した図として示している。以下に詳述されるレーザービーム装置によって生成されたレーザービーム30は、少なくとも加工エリア26内においてレンズ上へ照射するように、レンズ2上に導入される。レーザービーム30及びレンズ2は、レンズ2におけるレーザービーム30の入射地点が、例えば、真っ直ぐなライン32として掃引(走査){sweep over(ueberstreichen)}されるように、スキャニング速度vにおいて相互の関係させながら変位及び/又は移動される。このために、図5において、レーザービーム30は、好ましくは、レンズ2が静止状態に留まっている状態において、自身に対して平行に変位される。同様に、さらなるライン34及び36が、レーザービーム30の入射の地点によって掃引され、この結果、最終的に加工エリア全体のレーザービーム30による掃引が完了する。以下においては、ラインを掃引すると共に1つのラインから別のものに移行するのに必要なレーザービーム30とレンズ2の間の相対的な移動をスキャニング動作(スキャニングモーション){scanning motion(Scanbewegung)}と呼ぶこととする。
【0033】
レーザービーム30は、小さな断面エリアを具備し、かつ、好ましくは、いわゆる、平行ビーム、すなわち、互いに平行な光線から構成されたビームである。レーザー出力、すなわち、レーザービーム30の出力は、電力密度(出力密度){power density(Leistungsdichte)}、すなわち、単位時間及び単位表面積当たりに入射地点において照射されるエネルギーの量が、スキャニング速度vを考慮した場合に、コーティングをその厚さの全体において破壊し、かつ、これにより、コーティングの被除去部分33、35、及び37、並びに、さらなる被除去部分を除去するのに十分なものになるように、設定される。レーザービーム30は、コーティングの除去が加工エリア26に限定されるように、加工エリア26において掃引される際にのみ、出力される。
【0034】
以下においては、図6ないし図13を参照し、本発明による方法及び本発明による装置の第1実施例を説明する。
【0035】
図4及び図5において前述した方式による加工の対象であるそれぞれの眼鏡レンズは、加工のために、レンズクランプ38に着脱可能に取り付けられる(図6を参照されたい)。これは、レンズのレンズ形状を形成する際にレンズを操作するべくレンズを着脱可能に取り付けたレンズクランプであってよい。レンズクランプ38はピン40を含み、かつ、通常、ピン40の軸42は、レンズの幾何学的中心Mを通じて、すなわち、基準線22とレンズ垂直線24の交差点を通じて延長するようにレンズ2に取り付けられる。図6において、眼鏡レンズ2は、その正面3によってレンズクランプ38に取り付けられている。
【0036】
図7の斜視図に概略的に示された本発明の第1実施例による装置は、ハウジング44を有し、この内部には、眼鏡レンズ用のホルダ46が配置される。ホルダ46は、1つ又は複数のレンズを保持するべく機能し、この結果、加工の際に、必要な方式により、レーザービームを個々のレンズ上に照射し、かつ、個々のレンズ上において掃引可能である。ホルダ46は、眼鏡レンズ用の少なくとも1つのマウントを含む。図示の実施例において、ホルダ46は、第1マウント48、第2マウント50、及び第3マウント52を含むロッドであり、これらのマウントのそれぞれは、ロッドの部位と、その部位内に形成されたピンホールによって形成されており、このピンホール内には、レンズクランプ38のピン40が挿入可能である。
【0037】
図示の実施例においては、図7に示され、かつ、互いに垂直である座標軸X及びYを具備した2次元基準座標系が装置に割り当てられている。これらの座標軸X及びYは、基準プレーンを規定している。マウント48、50、52は、自身に配設された個別のレンズを、その光学軸(図示されてはいない)が実質的に基準プレーンに対して垂直に延長するように保持する。
【0038】
第1実施例による装置はレーザービーム装置をさらに有する。レーザービーム装置とは、本明細書及び請求項においては、表面を計測及び/又は加工するべく、表面を掃引可能である制御された方式によってレーザービームを生成及び放出する装置を意味している。レーザービーム装置は、レーザーヘッド54を有し、この内部には、(図示されてはいない)レーザー光源及びレーザー光学系を含むレーザーが配設される。レーザーは、制御された方式によってレーザー光を生成し、この光が、レーザー光学系によってレーザービーム30に形成される。レーザーヘッド54は、レーザービーム30を、好ましくは、基準プレーンに対して垂直の方向において照射する。さらには、レーザービーム装置は、後述の制御手段内に統合された装置及び制御電子回路をも含む。
【0039】
レーザーヘッド54は第1カートリッジ56に配置され、かつ、この第1カートリッジによって支持されている。第1カートリッジ56は、第1カートリッジを支持及びガイドする第2カートリッジ58に配置される。図示の実施例においては、第1カートリッジ56は、第2カートリッジ58において、座標軸Xの方向である第1方向において移動可能である。第2カートリッジ58は、ハウジング44に固定されると共に座標軸Yの方向において延長するレール60により、支持及びガイドされる。第2カートリッジ58との関係において第1カートリッジ56を移動させ、かつ、ハウジング44との関係においてレール60上において第2カートリッジを移動させるべく、図示されてはいない作動装置(アクチュエーティングドライバ)が用いられる。2つのカートリッジ56及び58、レール60、並びに、図示されてはいない作動装置は、位置決め装置62の要素であり、これにより、一方においては、レーザービーム装置のレーザーヘッド54と、他方においては、そのマウント48、50、及び52を含むホルダ46は、基準プレーン内において相互の関係において任意の所望の位置に移動可能である。図示の実施例において、これは、装置内において静止状態にあるホルダ46との関係において、座標軸X及びYによって定義された基準プレーン内においてレーザーヘッド54を移動又は位置変化させることにより、実行される。
【0040】
位置決め装置62は、第1カートリッジに配置された図示されてはいない微細調節手段をさらに包含可能であり、これにより、図7の交差した二重矢印64によって示されているように、レーザーヘッドを座標軸X及びYの方向において第1カートリッジ56との関係において移動及び位置変化させることができる。
【0041】
位置決め装置62は、マウント48、50、及び52に配置された眼鏡レンズの上方において、レーザーヘッド54を任意の所望の位置に移動させるべく機能する。図4及び図5において基本的に前述された方式によってレンズを加工するのに必要なスキャニング動作、すなわち、レーザービーム30とレンズ2の間の相対的な移動は、レーザーヘッド54自体がスキャニング速度vにおいてスキャニング動作を実行するように、加工エリアの上方においてレーザーヘッド54を位置決め装置62によって全体的に移動させることにより、実行可能である。これが図8(A)に概略的に示されている。代替肢として、レーザービーム30のスキャニング動作は、レーザーヘッド54内に統合されたビーム偏向手段66によって実行することも可能である(図8(B)を参照されたい)。この場合には、レーザーヘッドは、加工エリアの上方において静止状態にあり、かつ、ビーム偏向手段66が、スキャニング速度vにおいて、レーザービーム30を自身に対して平行に変位(位置変化)させる。これが図8(B)に概略的に示されている。
【0042】
図7に示された前述の実施例においては、レーザーヘッド54は、位置決め装置62に配置されており、かつ、この位置決め装置は、レーザーヘッド54を、ホルダ46に配設されたレンズとの関係において、任意の所望の位置に移動させるべく機能する。この実施例の変形においては、レーザービーム装置のレーザーヘッド54を固定状態においてハウジング44に又はこの内部に取り付けると共に、ホルダ46を位置決め装置62に配置することにより、位置決め装置が、ホルダ及びホルダに配設されたレンズをレーザーヘッド54との関係において任意の所望の位置に移動させるべく機能するようにすることができる。この変更された実施例においては、スキャニング動作は、図9に概略的に示されているように、レーザーヘッドが移動しない状態において、それぞれのレンズ2をスキャニング速度vにおいて移動させることにより、実行可能である。本発明による方法及び本発明による装置のさらに後述される第2実施例も、同様に変更可能である。以下においては、これらの変更に関するさらなる説明を省略するが、以下の説明は、必要な変更を加えることにより、変更済みの実施例にも適用可能である。
【0043】
第1実施例による装置は、図10に示された制御手段68をさらに有する。位置決め装置62及びレーザービーム装置は、制御手段68によって制御される。特に、装置の基準座標系におけるレーザーヘッド54の位置、レーザーヘッド54によって照射されるレーザービーム30の出力、及びレーザービーム30のスキャニング動作は制御手段68によって制御される。
【0044】
制御手段68と、レーザーヘッド54及び位置決め装置62との間のやり取りが図10に概略的に示されている。制御手段68は、プロセッサPと、プロセッサPが必要とするアルゴリズム及びデータを記憶するメモリMとを有する。位置信号PSが制御手段68に伝送され、制御手段68は、これに基づいて、基準座標系におけるレーザービーム30の実際の位置を算出する。レーザービームが基準プレーンに対して垂直に照射される際、レーザービーム30の位置は、同時に、基準座標系において、マウントの中の1つに配置されたレンズ上におけるレーザービーム30の入射地点の位置であり、レーザービームは、基準プレーンに対して垂直に照射されることが好ましい。制御手段68は、位置信号PSを位置決め装置62から受信するか、あるいは、レーザービーム30のスキャニング動作がレーザーヘッド54内に組み込まれたビーム偏向手段66によって生成される際には、位置信号PSを位置決め装置62及びレーザーヘッド54から受信する。
【0045】
制御手段68は、位置決め装置62と、適宜、レーザーヘッド54に位置制御信号PCSを伝送し、これに基づいて、位置決め装置62あるいはビーム偏向手段66は、位置制御信号PCSによって規定された基準座標系内の位置にレーザービーム30を配置する。位置制御信号PCSは、時間と共に変化可能であることから、加工エリア内におけるレーザービーム30のスキャニング動作も位置制御信号PCSによって制御される。さらには、制御手段68は、ビーム制御信号BCSをも伝送し、これに応じて、レーザーヘッド54は、レーザーヘッド54からのレーザービーム30のパワーを調節する。
【0046】
前述の装置によって眼鏡レンズを加工するべく、レーザーヘッドがマウントの上方に位置決めされた際、レンズの正面がレーザーヘッド54に対向するように、レンズは装置のマウント48、50、及び52の中の1つに配置される。図2に示されたレンズ形状を具備したレンズは、例えば、レンズクランプ38のピン40を第1マウント48のピンホール内に挿入することにより、眼鏡レンズの基準線22及びレンズ垂直線24が、それぞれ、座標軸X及び座標軸Yに平行に整列(align(ausrichten))された状態において、第1マウント48に配置される(図11を参照されたい)。レンズクランプ38のピン40の軸42がレンズの幾何学的中心Mを通って、つまり、レンズ座標系の原点を通って延長している際には、レンズの幾何学的中心Mは、第1マウント48のピンホールの軸上となる装置の基準座標系内に配置される。基準座標系内におけるピンホールの軸の位置は既知であり、座標x1及びy1によって規定される(図11を参照されたい)。同様に、さらなるレンズをマウント50及び52に配置可能である。例えば、第2マウント50には、図3のレンズ形状を具備したレンズが配置される。
【0047】
前述の方式により、個々の眼鏡レンズはマウントの中の1つに割り当てられる。レンズは、その既定のレンズ形状を具備する。さらに、このレンズについて、2つの加工エリアが、形状、サイズ、及びレンズにおける場所に応じて、レンズ座標系内において予め決定される。それぞれのレンズごとに、割り当てられたマウントを識別するレンズデータと、少なくともレンズ座標系における2つの加工エリアの場所を識別するデータは、制御手段68に入力される。図10においては、これらは、「マウント」及び「加工エリア」という入力である。これらの入力に基づいて、制御手段68は、それぞれのレンズごとに、基準座標系における加工エリアの場所を算出する。第1マウント52に配設されたレンズにおける加工エリア26の場所の座標は、例えば、(x1+a)及び(y1−b)によって算出され、パラメータx1、y1、a、及びbは、以上において既に説明済みの意味を具備する。
【0048】
さらに、制御手段68は、それぞれの加工エリアごとに、その輪郭27を基準座標系において算出する(図4を参照されたい)。この演算は、メモリM内に保存された加工エリアの形状及びサイズに関するデータにより、あるいは、個々のマウント又は個々の眼鏡レンズについて「加工エリア」という入力によって制御手段68に入力されたデータに基づいて、実行される。
【0049】
前述の演算に基づいて、制御手段68は、レーザーヘッド54が個々の加工エリアの上方において基準座標系内において位置決め装置62によって位置決めされ、かつ、レーザービームが加工エリアの全体において図4、図5、図8(A)、及び図8(B)において既に前述されたスキャニング動作を実行するように、位置制御信号PCSを規定する。
【0050】
最も単純なケースとして、制御手段68は、加工エリア内のレーザービーム30の入射地点における電力密度が対象となる照射地点におけるすべての入射角度及びレンズタイプについてコーティングを除去するために十分なものになるように、ビーム制御信号BCSを介してレーザー出力を制御する。この目的に必要とされるレーザー出力は、スキャニング速度vを考慮した予備的な試験によって決定される。この場合には、レンズのベース材料及びコーティングの構造、すなわち、コーティング層の材料組成、厚さ、及びコーティング層の順序は、レンズタイプと称される。
【0051】
好ましくは、レーザー出力は、個々のレンズタイプに応じて制御される。このために、個々のコーティングを除去するために必要とされるレーザー出力は、対象となるそれぞれのレンズタイプごとに、対象となる加工エリア内におけるその全ての厚さに基づくすべての入射角度を通じて、予備試験によって確定される。これにより、レンズタイプは必要とされるレーザー出力に割り当てられる。レンズタイプとレーザー出力のデータの組み合わせは制御手段68のメモリMのデータテーブル内に保存される。この場合、制御手段68には、それぞれのマウントごとに、加工エリアを識別するデータに加えて、レンズタイプを識別するデータが入力される(図10の「レンズタイプ」の入力)。次いで、ビーム制御信号BCSを介して、制御手段68は、入力されたレンズタイプ及びこのレンズタイプについて前述のデータテーブル内に保存されているレーザー出力の望ましい値に応じて、個々のマウントの加工エリア内におけるレーザー出力を制御する。これにより、コーティングが加工エリア内においてその厚さの全体において除去されると共にレンズのベース材料がまったく又はわずかにしか除去されないように、眼鏡レンズの個々のレンズタイプ、特に、コーティング構造に対するレンズ出力の適合調整が実現される。
【0052】
加工エリア内における電力密度の変動を回避するべく、レーザー出力は、後述するように、好ましくは、加工エリア内におけるレーザービームの入射角度に基づいて制御される。この制御は、前述のレンズタイプに応じたレーザー出力の制御に加えて、あるいは、この代わりに、実行可能である。
【0053】
通常、それぞれの眼鏡レンズは、湾曲した正面及び湾曲した背面を具備する。曲率の尺度は、例えば、正面及び/又は背面の全体的な曲率半径、あるいは、非球面のレンズ表面の場合には、局所的な曲率半径である。入射角度αは、基準座標系内のレンズにおける入射地点の位置に応じて変化する(図12を参照されたい)。加工の際にレーザー出力が一定であれば、電力密度は、入射角度αがゼロに等しい場合に入射地点において最大となり、入射角度αが増大すると電力密度は低下する。従って、レーザー出力が一定に留まっている場合、電力密度は、スキャニング動作を通じて基準座標系内のレーザービームが入射地点の位置に応じて変化する。これにもかかわらず、加工エリア内の電力密度を実質的に一定に維持するべく、レーザービームの出力は入射地点における入射角度に応じて制御される。このために、眼鏡レンズの曲率を識別するデータがそれぞれのマウントごとに制御手段68に入力される(図10の「曲率」の入力)。マウントに割り当てられた加工エリア及び曲率に関する入力に基づいて、制御手段は、基準座標系内における加工エリア内のレーザービーム30の入射地点のそれぞれの位置ごとに、入射角度αを算出し、次いで、これから、加工エリア内において一定の電力密度を得るために必要とされるレーザービームの出力を演算する。この出力は、(1/cosα)に実質的に比例している。このレーザー出力の演算結果に基づいて、制御手段68は、スキャニングヘッド54に伝送されるビーム制御信号BCSを決定する。
【0054】
この結果、レンズ表面の曲率と、これによって加工エリア内におけるスキャニング動作の際に発生するレーザービームの入射角度の変動にもかかわらず、電力密度が加工エリアの全体において実質的に一定に留まり、従って、加工エリアの全体においてコーティングが同一の深さで除去することが実現される。これが図13の図表(グラフ)に概略的に示されており、この図には、算出されたレーザー出力P及び電力密度Dが、入射地点における入射角度αに応じて示されている。レーザー出力は(1/cosα)に比例して値P0から増大しており、電力密度Dは、その厚さの全体においてコーティングを除去するのに必要とされる値Dtを常に具備している。P0は、入射角度α=0の場合にDtに割り当てられたレーザー出力である。
【0055】
以下においては、図14ないし図21を参照し、本発明による方法及び本発明による装置の第2実施例を説明する。第1実施例の要素に等しい又は対応する本発明による装置の第2実施例の要素は、第1実施例と同一の参照符号によって表記される。第1実施例との関係における前述の要素の説明は、以下に矛盾する内容が記述されていない限り、必要な変更を加えることにより、第2実施例にも適用される。
【0056】
図14の斜視図に概略的に示されている第2実施例による装置は、そのホルダ46及びそのレーザーヘッド54の設計、制御手段68の追加機能において、第1実施例による装置と異なっている。図15は、図10に類似した図において、第2実施例の制御手段68と、制御手段とレーザーヘッド54、位置決め装置62、及びホルダ46との間のやり取りを概略的に示している。
【0057】
第2実施例による装置のホルダ46は、ハウジング44内においてその長手方向の軸を中心として旋回する互いに平行に延長した複数のロッド70、72、及び74を有する。ロッド70、72、及び74のそれぞれは、眼鏡レンズ用の複数の並置されたマウントを含み、図14には、この中のロッド72におけるマウント48、50、及び52のみがそれぞれの参照符号によって識別されている。この実施例においては、マウントのそれぞれは、ロッド70、72、及び74の中の1つの部材と、この部材内に形成されたピンホールによって形成されており、ピンホール内には、レンズクランプ38のピン40が挿入可能である。第1実施例の場合と同様に、例えば、図2に示されているレンズ形状を具備した眼鏡レンズがマウント48に配設され、そして、図3に示されているレンズ形状を具備したレンズがマウント50に配設されている。さらに眼鏡レンズをその他のすべてのマウントに配置可能である。ロッド70、72、及び74が、図14に示されたそれぞれの位置を採用した場合、それぞれのマウントは、レンズの光学軸OA(図18及び図19を参照されたい)が基準プレーンに対して実質的に垂直に延長するように、そのマウントに配設された個々のレンズを保持する。ロッド70、72、及び74及びそれぞれのマウントを図14に示された位置から回転(rotate)又は旋回(swivel)させることにより、これらは、基準プレーンとの関係において予め設定可能な方向に個々のレンズの光学軸OAを直線上に揃えることが可能である。ロッド70、72、及び74と、各マウントは、図示されてはいない作動装置(アクチュエーティングドライバ)を利用して回転又は旋回される。このために、制御手段68は、マウントの望ましい位置を予め決定するマウント制御信号RCSをホルダ46に伝送する。ホルダ46は、マウントの実際の位置に対応したマウント信号RSを制御手段68に伝送する(図15を参照されたい)。
【0058】
第2実施例による装置のレーザーヘッド54は、レーザービーム30を生成及び照射する能力を有するレーザーと、必要に応じて、レーザーヘッド54内に統合されたビーム偏向手段66に加えて、反射したレーザー光を検出する能力を有するセンサ76を含むという事実において、第1実施例による装置のレーザーヘッド54と異なっている(図15を参照されたい)。センサ76によって検出された反射したレーザー光に起因して、レーザーヘッド54は、センサ信号SSを制御手段68に伝送する。
【0059】
制御手段68は、レーザービーム30を用い線状あるいはラスター点としてレンズ2上を掃引することにより、レンズ2の形状を検出及び/又は計測できるように、センサ信号SSから、レーザーヘッド54と、例えば、眼鏡レンズ2などの対象物におけるレーザービーム30の入射地点の間の距離を、パルス試験や位相試験などの既知の方法によって検出する。
【0060】
さらに、制御手段68は、センサ信号SSから、反射したレーザービームの強度を確定し、かつ、反射したレーザービームの強度と照射したレーザービーム30の強度の比率に基づいて個々の入射地点における反射率を確定する。
【0061】
前述のレンズ形状を計測する際、及びレンズの表面の反射率を決定する際には、レーザーヘッド54は、計測モードにおいて動作する。さらには、レーザーヘッド54は、図4、図5、図8(A)、及び図8(B)において前述した方式によって個々の加工エリア内においてそのスキャニング動作を実行することにより、コーティングを除去する加工モードとしても動作可能である。レーザー出力は、自明ながら、計測モードにおいては装置が損傷することなく、かつ、レンズが加工されることもない小さな値となるように制御される。加工モードにおいては、レーザービームの出力は、加工エリア内におけるコーティングの局所的な除去によってレンズを加工するために十分な大きな値となるように制御される。
【0062】
前述の第2実施例による装置のレーザーヘッド54は、計測モード及び加工モードの両方に適しており、すなわち、計測及び加工は、同一のレーザーヘッド54によって実行される。代替肢として、1つは、計測モードに好適であって、計測モードを実行するのみであり、もう1つは、加工モードに好適であって、加工モードを実行するのみである2つのレーザーヘッドを備えることも可能である。
【0063】
第2実施例による装置及び方法は、それぞれのマウント用の個々のデータを制御手段68に入力する第1実施例とは対照的に、この装置及びこの方法においては、個々の眼鏡レンズのレンズ形状を自動的に検出して、このレンズ形状に加工エリアを割り当て、レンズタイプを自動的に判定して、このレンズタイプに必要な電力密度を割り当て、曲率を自動的に計測し、相応して、十分なものとなるようにレーザー出力を規定するという事実において優れている。従って、第2実施例においては、第1実施例との関連において説明した「マウント」、「加工エリア」、「レンズタイプ」、及び「曲率」という入力を実行する必要がない。以下、これについて詳細に説明することとする。
【0064】
第2実施例による装置によって眼鏡レンズを加工するべく、眼鏡レンズを装置のマウントに配置するが、これは、マウントのピンホールに挿入されたレンズクランプ38を利用して実行される。以下の説明は、個々のレンズ2が、その正面により、レンズクランプ38に着脱可能に取り付けられるということを前提としている。それぞれのレンズは、特定のレンズを特定のマウントに配置しなければならないという制約を伴うことなしに、かつ、どのレンズがどのマウントに配置されたのかを知ることを要することなしに、マウントの中の任意ものに配設可能である。
【0065】
装置内に、かつ、そのマウントにレンズを配置した後に、図16のブロックダイアグラム(方法工程のブロック図)に示されている以下のステップが実行される。
【0066】
まず、ステップS1において、マウントの中の1つの上方に、そして、そこに配置されたレンズの上方に、レーザーヘッド54が位置決めされる。次いで、眼鏡レンズの光学軸が基準プレーンとの関係において実質的に垂直に延長し、かつ、レンズ面の背面がレーザーヘッド54に対向するように、ロッド70、72、及び74と、それぞれのマウントが、図14に示されている位置を選択した状態において、レーザーヘッド54は計測モードにおいて操作される。図17はこの位置におけるレンズ2の平面図であり、図18は図17の矢印Cの方向において観察した際のこのレンズの側面図を示している。計測モードにおいては、レーザーヘッド54から照射されたレーザービーム30は、ライン80及び82に沿ってマウントのエリア上において掃引される。制御手段68は、このようにして生成されたセンサ信号SS及び位置信号PSから、基準座標系内におけるレンズ2のエッジ5の地点の場所を検出し、最終的に、その全体的な輪郭20を計測する。図16のブロック図には、これがステップS2の輪郭計測として示されている。輪郭20を計測することにより、制御手段68は、第1に、その上方にレーザーヘッドが配置されているマウントにレンズが載置されているかどうかを自動的に検出する。第2に、制御手段68は、輪郭20を計測することにより、レンズ2がどのような輪郭20を具備しているのかを自動的に検出する。第3に、制御手段68は、輪郭を計測することにより、レンズ2のエッジ5及びその幾何学的中心が実際に基準座標系内においてどこに位置しているのかを自動的に検出する。これは、後から加工エリア内においてレーザービームを位置決めする際にも加工エリアにおいて加工する際にも考慮される。これにより、レンズクランプに対するレンズの誤った固定及び/又は「マウント」の入力の際及び「加工エリア」の入力の際の誤りによって発生してしまう障害の防止が可能である。
【0067】
制御手段68のメモリM内にはデータテーブルが設定されており、このデータテーブル内に加工対象となるそれぞれのレンズ形状に割り当てられた加工エリアがレンズ座標系内における場所、形状、及びサイズに従って保存(記憶、蓄積)されている。ステップS3において、制御手段68は、計測された輪郭20をメモリMのデータテーブル内に保存されたレンズ形状と比較し、これにより、計測されたレンズがどのレンズ形状を具備しているのかを検出し、かつ、このレンズ形状について、メモリMから、場所、サイズ、及び形状に従って割り当てられた加工エリアを読み取る。加工エリアに関するこれらのデータと、基準座標系内におけるレンズの表面上及びエッジにおけるすべての地点の輪郭計測から判明した場所に基づいて、制御手段68は、レーザーヘッド54が基準座標系内において個々の加工エリアの上方に位置決め装置62によって位置決めされ、かつ、レーザービームが加工エリアの全体において前述の図4、図5、図8(A)、及び図8(B)において既に説明済みのスキャニング動作を実行するように、位置制御信号PCSを設定する。
【0068】
輪郭20の計測の際にセンサ76によって伝送されるセンサ信号SS、又は輪郭計測とは独立したレンズ表面のスキャニングの際に生成されるセンサ信号SSに基づいて、制御手段68は、ステップS4において、レンズの最大反射率を計測する。予備試験において、それぞれのレンズタイプごとにどのような最大反射率を具備しているのかが判定(識別:ermitteln)されており、かつ、予備試験において、その厚さの全体において個々のコーティングを除去するために、スキャニング速度vを考慮し、どの程度の電力密度が必要であるのかがさらに判定(識別)されている。最大反射率及び割り当てられた必要な電力密度に関するデータは、制御手段68のメモリM内に保存(記憶、蓄積)される。保存されている最大反射率と計測された最大反射率の比較により、制御手段68は、その最大反射率の計測を実行したレンズのレンズタイプを検出し、かつ、ステップS5において、制御手段68は、前述のレンズタイプに合わせて割り当てられた必要とされる電力密度をメモリから読み取る。この電力密度は、加工エリア内において加工する際のレーザー出力を制御するビーム制御信号BCSを決定するための基礎として利用される。このように最大反射率の計測を通じて必要とされる電力密度は制御手段68により自動検出され、「レンズタイプ」という入力は不要となり、かつ、「レンズタイプ」の入力の誤りに起因した加工障害も回避される。
【0069】
さらなるステップS6において、その上部に加工エリアが配置されるレンズ2の表面の曲率が計測される。図15ないし図21においては、これは、レンズをレンズクランプ38に着脱自在に固定されているレンズ2の正面3である。好ましくは、レンズの曲率は、正面3の曲率に基づいて、90°未満の入射角度で入射するように、レーザービーム30がその光学軸OAが基準プレーンに実質的に平行に、かつ、レーザービーム30の方向に実質的に垂直の直線状となる状態において、計測される。このために、ロッド70、72、及び74と、それぞれのマウントは、図19に概略的に示されたレーザービーム30との関係におけるレンズの位置が結果的に得られるように、約90°だけ、図14、図17、及び図18に示されたそれぞれの位置から回転される。ステップS6における曲率の計測の際には、レーザーヘッド54は、計測モードにおいて動作し、この場合、レーザーヘッドは、ラインごとに、レンズ2の表面上、すなわち、その正面3上を掃引する。制御手段68は、このようにして供給されたセンサ信号SSに基づいて、レンズの正面3の曲率を検出する。このレンズの曲率の自動的な検出により、「曲率」という入力は不要であり、かつ、「曲率」という入力の誤りに起因した加工障害も回避可能となる。
【0070】
加工モードにおける加工エリアの加工は、レンズの光学軸が基準プレーンに実質的に垂直となる直線上に揃えられるように、ロッド70、72、及び74と、それぞれのマウントが図19に示された位置からさらに約90°だけ回転又は旋回された後に実施され、この場合に、レンズの正面3は上方を向き、かつ、レーザーヘッド54に対向している。レンズがこの位置となる状況は図20及び図21において概略的に示されており、図20はロッド72に配設されたレンズ2の平面図を示しており、図21は図20の矢印Eの方向における側面図を示している。そのマウントとレンズ2を含むロッド72は、合計で180°だけ、図17及び図18に示された位置から回転されているため、レンズ2は、正面3上に配置される加工エリア26及び28がレーザーヘッド54と対向し、かつ、レーザービーム30を加工エリア上に導入(照射)できるように、ロッド72の下方に配置されている。
【0071】
既に、ステップS3において、形状、サイズ、及び基準座標系における場所に応じた加工エリアの決定は完了している。ステップS5において、レンズタイプを考慮した必要な電力密度の決定が完了している。制御手段68は、ステップS6において計測された曲率に基づいて、図12及び図13において既に説明したように、加工エリア26及び28内における入射地点のそれぞれの位置について、レーザービームの入射角度を算出する。ステップS7において、制御手段68は、入射地点のそれぞれの位置について、ステップS5において確定されたものと同一の電力密度により、入射地点のすべての位置において加工エリア内の加工を実行するべく、計測した曲率に基づいて算出したレーザービームの入射角度を考慮し、必要なレーザービームの出力を算出する。ステップS8において、加工モードでは、図4及び図5にて既に前述したように、このレーザー出力により、加工エリア26及び28内においてコーティングを除去する。
【0072】
以上においては、ステップS4がステップS2の後に実行され、かつ、ステップS6がステップS4の後に実行されるものとして説明した。これに変えて、これらのステップを任意のその他の順序において実行することも可能である。ステップS1ないしS8は、マウントのそれぞれについて実行されるが、これは、最初に実行されたステップS2、ステップS4、及びステップS6のそれぞれにおいて、レンズが個々のマウントに配置されていると判断された場合にのみである。さらには、前記ステップS2、S4、及びS6がその他のマウントの中の1つで実行される前に、1つのマウントにおいてすべてのステップS1ないしS8を実行する必要はない。むしろ、はじめにステップS2、S4、及びS6のそれぞれをすべてのマウントにおいて実行可能であり、ステップS2、S4、及びS6の異なる2つの中から1つの処理がすべてのマウントにおいて実行されるとすぐに、最終的にステップS2、S4、及びS6の残りの1つの処理もすべてのマウントにおいて実行される。従って、ステップS8は、ステップS2ないしS7が事前にすべてのマウントについて実行された後に、すべてのマウントにおいて連続的に実行可能である。
【0073】
前述の方法の第2実施例においては、輪郭が計測され(ステップS2)、反射率が計測され(ステップS4)、かつ、曲率が計測されている(ステップS6)。これは、実行することが好ましいものの、本発明において必ずしも必須ではない。むしろ、これらの個々のステップのそれぞれは、たとえこれらのステップの他のものが実行されない場合があるとしても、眼鏡レンズの加工において既に有効性を有している。
【符号の説明】
【0074】
2 左側眼鏡レンズ
4 右側眼鏡レンズ
6 ブリッジ
12 左側の智
14 右側の智
18 留め具
20 輪郭
26,28 加工エリア
30 レーザービーム
44 ハウジング
46 ホルダ
48,50,52 マウント
54 レーザーヘッド
56 第1カートリッジ
58 第2カートリッジ
62 位置決め装置
68 制御手段
70,72,74 ロッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティングされた眼鏡レンズを加工する方法において、
a)前記個々のレンズ(2)について、2つの加工エリア(26,28)を、その形状、サイズ、及び前記レンズにおける場所によって予め決定する工程と、
b)前記2つの予め決定された加工エリア(26,28)内において、レーザービーム(30)の照射によって前記レンズ(2)上の前記コーティングを局所的に除去する工程と、
を有するコーティングされた眼鏡レンズの加工方法。
【請求項2】
前記工程b)において、前記コーティンされたレンズ(2)の表面上への前記レーザービーム(30)の入射角度(α)に応じてレーザー出力が制御されることを特徴とする請求項1に記載のコーティングされた眼鏡レンズの加工方法。
【請求項3】
前記工程b)において、前記レンズ(2)の材質及び前記コーティングの構造に応じて前記レーザー出力が制御されることを特徴とする請求項1又は2に記載のコーティングされた眼鏡レンズの加工方法。
【請求項4】
前記レンズ(2)の輪郭(20)がレーザービーム装置により計測され、かつ、該装置によりそのレンズ形状が検出されることを特徴とする請求項1に記載のコーティングされた眼鏡レンズの加工方法。
【請求項5】
前記加工エリア(26,28)の前記予め決定された場所は、複数の異なる予め設定可能なレンズ形状のそれぞれについて割り当てられ、かつ、前記工程b)において、前記加工は前記レンズ形状の検出に応じて割り当てられた前記場所を具備している前記加工エリア(26,28)内において実行されることを特徴とする請求項4に記載のコーティングされた眼鏡レンズの加工方法。
【請求項6】
前記レンズ(2)の表面の反射率がレーザービーム装置によって計測されることを特徴とする請求項1、4、又は5のいずれか1項に記載のコーティングされた眼鏡レンズの加工方法。
【請求項7】
複数の眼鏡レンズそれぞれのベース材料及び/又はコーティングの構造に関する予備試験において、前記反射率が検出されると共に前記コーティングを除去するために必要とされる前記レーザービーム(30)の電力密度が決定され、前記反射率及び前記電力密度の割り当てが取得可能となり、前記工程b)において、前記反射率の計測結果に応じて割り当てられた前記電力密度が得られるように前記レーザービーム(30)の出力が制御されることを特徴とする請求項6に記載のコーティングされた眼鏡レンズの加工方法。
【請求項8】
前記工程b)において加工される前記レンズ(2)の前記表面の曲率が、レーザービーム装置によって計測されることを特徴とする請求項1又は4ないし7のいずれか1項に記載のコーティングされた眼鏡レンズの加工方法。
【請求項9】
前記加工エリア(26,28)内の前記レンズ(2)の前記表面上における前記レーザービーム(30)の前記入射角度(α)は前記計測された曲率に基づいて決定され、かつ、前記工程b)において、前記レーザービーム(30)の出力は、前記決定された入射角度(α)を考慮して、実質的に等しい電力密度が結果的に前記加工エリア(26,28)の全体内において得られるように制御されることを特徴とする請求項8に記載のコーティングされた眼鏡レンズの加工方法。
【請求項10】
コーティングされた眼鏡レンズを加工する装置において、
レンズ(2)用の少なくとも1つのマウント(48,50,52)を含むホルダ(46)と、
レーザービーム(30)を生成するレーザーヘッド(54)を含むレーザービーム装置であって、前記レーザーヘッド(54)が前記少なくとも1つのレンズを加工するのに適したものとなり、この結果、そのコーティングの局所的な除去によって前記少なくとも1つの眼鏡レンズ(2)を加工するのに十分なものになるように、前記レーザービーム(30)の前記レーザー出力を制御可能であるレーザービーム装置と、
前記ホルダ(46)と前記レーザーヘッド(54)とを相互に関連させて基準プレーン内において移動させる位置決め装置(62)と、
前記レーザー出力、前記レーザーヘッド(54)と前記少なくとも1つのレンズ(2)の間の相対的な位置、並びに、前記レーザービーム(30)のスキャニング動作を制御可能とする前記レーザービーム装置及び前記位置決め装置(62)用の制御手段(68)と、
を有するコーティングされた眼鏡レンズの加工装置。
【請求項11】
前記ホルダ(46)の前記少なくとも1つのマウント(48,50,52)は、前記基準プレーンとの関係で異なる前記マウントに配設された前記レンズの光学軸(OA)を直線上に揃えることができるように、旋回することを特徴とする請求項10に記載のコーティングされた眼鏡レンズの加工装置。
【請求項12】
前記ホルダ(46)が、個々のレンズ(2)用の複数のマウント(48,50,52)を具備することを特徴とする請求項10又は11に記載のコーティングされた眼鏡レンズの加工装置。
【請求項13】
前記ホルダ(46)は互いに平行に延長する複数のロッド(70,72,74)を含み、このそれぞれには複数のマウント(48,50,52)が備えられていることを特徴とする請求項12に記載のコーティングされた眼鏡レンズの加工装置。
【請求項14】
前記位置決め装置(62)は、前記レーザーヘッド(54)を支持する第1カートリッジ(56)と、前記第1カートリッジ(56)を第1方向に移動可能とする第2カートリッジ(58)と、前記第2カートリッジ(58)を前記第1方向と異なる第2方向に移動可能とするレール(60)と、を有することを特徴とする請求項10ないし13のいずれか1項に記載のコーティングされた眼鏡レンズの加工装置。
【請求項15】
前記レーザービーム装置は、前記少なくとも1つのレンズ(2)を加工するのに適した前記レーザーヘッド(54)に加え、前記少なくとも1つのレンズ(2)の形状を計測するのに適した第2レーザーヘッドを有することを特徴とする請求項10ないし14のいずれか1項に記載のコーティングされた眼鏡レンズの加工装置。
【請求項16】
前記レーザービーム装置は、前記少なくとも1つのレンズ(2)の形状の計測と前記レンズ(2)の加工の両方に適した1つの単一レーザーヘッド(54)を有することを特徴とする請求項10ないし14のいずれか1項に記載のコーティングされた眼鏡レンズの加工装置。
【請求項17】
前記第2レーザーヘッド及び/又は前記単一レーザーヘッド(54)は、レーザービーム又は前記レーザービーム(30)を生成及び照射する能力を有するレーザーと、反射したレーザー光を検出して対応するセンサ信号(SS)を出力する能力を有するセンサ(76)と、を含むことを特徴とする請求項15又は16に記載のコーティングされた眼鏡レンズの加工装置。
【請求項18】
前記制御手段(68)は、前記センサ信号(SS)に基づいて前記レンズ(2)のレンズ形状を検出できるように構成されていることを特徴とする請求項17に記載のコーティングされた眼鏡レンズの加工装置。
【請求項19】
前記制御手段(68)は、複数の異なるレンズ形状及び前記レンズ形状に割り当てられた前記レンズ(2)における加工エリア(26,28)の位置を予め設定可能に保存することができるメモリ(M)を含むことを特徴とする請求項18に記載のコーティングされた眼鏡レンズの加工装置。
【請求項20】
前記制御手段(68)は、前記センサ信号(SS)に基づいて前記レンズ(2)の表面の反射率を決定するように構成されていることを特徴とする請求項17ないし19のいずれか1項に記載のコーティングされた眼鏡レンズの加工装置。
【請求項21】
前記制御手段(68)は、前記レンズ(2)のベース材料及び/又はそのコーティングの構造に関連しこれらを区別して該レンズ(2)の前記反射率を記憶するメモリ(M)を含むことを特徴とする請求項20に記載のコーティングされた眼鏡レンズの加工装置。
【請求項22】
前記制御手段(68)は、センサ信号(SS)に基づいて、前記レーザービーム(30)の照射から反射される前記レーザーによって前記レンズ(2)の前記表面の曲率を決定できるように構成されることを特徴とする請求項17ないし21のいずれか1項に記載のコーティングされた眼鏡レンズの加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2009−233747(P2009−233747A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−55007(P2009−55007)
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【出願人】(508221707)
【氏名又は名称原語表記】Wilhelm ANGER
【Fターム(参考)】