説明

コーティング系及びコーティング系を製造するためのコーティング方法

本発明は、基材(100)の表面に、特に鍛造用の型の表面に、表面コーティングを形成するためのコーティング系(1)に関し、ここで、コーティング系は、(VMeα(Nβの組成の少なくとも1つの表面コーティングを含み、式中、コーティングに存在する原子V、Me、M、Xに対して、(a+b+c+d)=α、α=100%であり、コーティングに存在する原子N、C、Oに対して、(u+v+w)=β、β=100%であり、コーティングにおける全原子の合計(α+β)=100原子%であり、ここで、40≦α≦80原子%であり、Meは、化学元素の周期律表のZr、Hf、Nb、Ta、Mo、W、Ni、Cu、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Smからなる化学元素の群からの少なくとも1種の元素であり、Mは、Ti、Crからなる化学元素の群からの少なくとも1種の元素であり、Xは、化学元素の周期律表のS、Se、Si、Bからなる化学元素の群からの少なくとも1種の元素であり、式中、0≦u≦100、0≦v≦100、及び0≦w≦80である。本発明によれば、50≦a≦99、1≦b≦50、0≦c≦50、及び0≦d≦20である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材上に、特に工具(tool)の、殊に成形(shaping)工具の表面に、表面を形成するための層系(layer system)に関し、また、個々のカテゴリーの独立請求項のプリアンブルに記載の層系の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
効率的な工具及び部品(component)の製造は、通常、それらの表面のコーティングによって実現される。コーティングされるこのような基材の重要な部類には、工具が、中でも特に、成形工具が含まれるが、切削工具及び部品もまた含まれ、とりわけ、あり得る全ての具体例における機械の全ての摩耗パーツ(wear part)が含まれる。コーティングされる典型的な基材材料は、とりわけ、工具鋼及び硬金属(hard metal)であるが、他のあり得る全ての基材材料でもある。
【0003】
これに関連して、これらの材料のコーティングにおける知られている問題は、どちらも、500℃辺りの空気ですでに大きな酸化速度を有すること、及び比較的低い温度(HSSで約550℃、硬金属で650℃)ですでに軟化することである。しかし、擦りによる摩耗に加えて、加工される材料の汚れ(smearing)もまた、面倒な影響を及ぼすという、成形での嫌な要因もまた存在する。この理由で、工具表面には、擦りの過程及び汚れの両方をかなり低減できる、適切な保護層が設けられる。
【0004】
これに関連して、先行技術で知られている硬質材料層は、PVD法又はCVD法によって堆積されるTiN、TiNC、CrNなどの従来の化合物に基づいていることが多い。このような層は、大きな負荷を受ける工具では、制限付きでのみ使用され得る。したがって、これらの知られた硬質層は、その特有の物質的性質のために、とりわけ温度負荷能力に関して、使用範囲に限界を有する。他方、硬度は、高温で顕著に低下する;他方、酸化は、比較的低い温度ですでに始まり、これは、結果的に作業温度での層の摩耗を増加させ得る。
【0005】
1000℃までの範囲における耐酸化性を有し、また硬度に関して特性が向上した、本質的に2つの部類の層が、この問題に対処するために開発されている。
【0006】
1つの部類の層は、AlTiN及びAlCrNなど、Alを含むベース層に関し、要求に応じて、さらなる元素が合金として付加できる。この部類の典型的な化合物は、AlTiXNCO型の化合物であり、式中、Xは、例えばCr、又は他の金属である。このタイプの層は、切削過程及び成形の両方における、擦りによる摩耗に関連して性能の向上を示す。これは、作業温度での硬度の増加、及び耐酸化性の増加の両方の明白な変化から推定できる。
【0007】
コーティングされる工具(主に、切削工具)の性能を高めるために、先行技術において取られる別の経路は、機能層としての仕上げ層と組み合わせた担体層としての通常の硬質材料層の組合せからなる。TiSiNなどのMeSiXNCO(X=さらなる金属又はB)型のSi(約1〜20at%;at%は、本出願の枠内では「原子パーセント」を表す)を含む層が、さらに大きく向上した温度負荷を可能にする仕上げ層として、ここで特に挙げられなければならない。これらの層は、通常、焼入鋼(hardened steel)のドライ切削に用いられる。潜在性能もまた、確かに、これらの層に期待されている。
【0008】
後の段落において言及される硬質層の系は、特に切削工具に適用される系である。
【0009】
さらに、例えば、特に旋盤加工(turning)において、高温での摩耗過程に対処することができるように、切削インサートへのCVD法によって、Alなどの酸化物セラミック層をカットオフする(cut off)ことが知られている。
【0010】
さらに、BCなどのホウ素系の層、又は立方晶BN層もまた、研究段階にある。しかし、立方晶BNは、製造が極端に複雑であるという決定的な不都合を有する。これは、とりわけ、層の成長そのものにおける難しさに起因するが、層内の大きな内部応力にもまた起因する。
【0011】
しかし、以前の全ての試みにもかかわらず、硬度、内部圧縮応力及び耐久性などの機械的特性、摩擦だけでなく比較的高い温度での接着傾向などのトライボロジー的特性、耐酸化性、相安定性及び他の特性への、とりわけまた成形の間に現れる高い表面圧力での、かつてない高い要求を満たすPVD又はCVDコーティングを提供することは、部分的に可能であるにすぎなかった。
【0012】
大きな負荷を受ける成形工具を成功裏に処理する既知の解決策は、TD法(Toyota拡散法)である。これに関連して、この塩浴法は、VCに基づく拡散層を生成させるために、約870℃から約1030℃までの温度範囲で実施される。したがって、この方法は、工具鋼の典型的な焼戻し(tempering)温度(通常、500と560℃の間)より高い処理温度で行われる。塩浴法の知られている不都合、例えば、処理の後に必要とされる洗い処理は、これ以上詳細に考察されるべきでない。
【0013】
さらに、PVD法によってVCN層を堆積させることが知られている。特許出願特開2005−046975(JP20005046975A)は、切削工具に直接付けられるVNCからなる下層からなる、工具のための層を記載する。次に、さらなる摩耗防止層が堆積される。
【0014】
VN及びTiNの酸化挙動が、表面科学(Surface Science) 601(2007)1153−1159、A.グレイザー(A.Glaser)ら、「窒化バナジウム及び窒化チタンコーティングの酸化(Oxidation of vanadium nitride and titanium nitride coatings)」において調べられている。そこで、VNは、比較的低い温度で、閉じた均一な酸化層をすでに形成することが見出されている。
【0015】
トライボロジー的な経験によれば、酸化層は、加工中の物品の材料(例えば、シート状金属板)とコーティングされた工具との間の接着過程(汚れ)を防止する、又は少なくとも低減することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、本発明の目的は、基材用の、特に工具、殊に成形工具、又は摩耗パーツ用の、改善されたコーティングを提供することであり、このコーティングは、先行技術で知られている問題を克服し、特に、明確なトライボロジー的効果及び相安定性を有する酸化挙動、改善された機械的特性(とりわけ、但しこれらだけではないが、硬度及び内部圧縮応力に関して)を有し、また、このコーティングは、用いられる鋼の焼戻し温度を超えない温度で堆積できる。
【0017】
本発明のさらなる目的は、このような改善されたコーティングの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
これらの目的を果たす本発明の主題は、個々の独立請求項の特質によって特徴付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】a−c 本発明によるコーティング系表面の、キャップ(cap)による仕上げの、50倍での画像である。
【図2】2層系の実施形態である。
【図3】2層系の実施形態である。
【図4】2層系の実施形態である。
【図5】3層以上の系の実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
従属請求項は、本発明の特に利点のある実施形態に関する。
【0021】
こうして、本発明は、基材の表面に、特に工具の表面に、殊に成形工具の表面に、表面層を形成するための層系に関し、ここで、層系は、(VMeα(Nβの組成の少なくとも第1表面層を含み、式中、該層に存在する原子V、Me、M、Xに関して、(a+b+c+d)=α、α=100%であり、該層に存在する原子N、C、Oに関して、(u+v+w)=β、β=100%であり、該層における全原子の合計(α+β)=100at%であり、ここで40≦α≦80at%が適用され、そしてMeは、化学元素の周期律表のZr、Hf、Nb、Ta、Mo、W、Ni、Cu、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Smを含む化学元素の群からの少なくとも1種の元素であり、Mは、Ti、Crを含む化学元素の群からの少なくとも1種の元素であり、かつXは、化学元素の周期律表のS、Se、Si、Bを含む化学元素の群からの少なくとも1種の元素であり、式中、0≦u≦100、0≦v≦100、かつ0≦w≦80である。本発明によれば、50≦a≦99、1≦b≦50、0≦c≦50、かつ0≦d≦20である。
【0022】
本発明による層系の好ましい実施形態において、層に存在する40≦α≦80の原子V、Me、M、Xの添え字αに、特に、45≦α≦55が適用される。
【0023】
本発明のさらに特定の実施形態を見ると、80≦aが適用でき、並びに/又は、c=0、及びd=0、及びv=0、及びw=0であり、Meは、必ずしもそうではないが、好ましくは、元素Zrである。
【0024】
別の実施形態において、バナジウムの割合は、a=80、又はa=84、又はa=88、又は例えばa=97によって与えられ得る。
【0025】
表面層は、特に、(V95Me(Nβの組成を有し、式中、u=30、v=65、w=5であり、かつMeは好ましくはNiであり、かつ好ましくはα=55at%である。
【0026】
さらなる実施形態において、表面層は、(V96Meα(Nβの組成を有していてもよく、式中、u=65、v=25、w=10であり、かつMeは好ましくはCeであり、かつ好ましくはα=50at%である。
【0027】
第3の実施形態において、表面層は、例えば、(V75Me1510αβの組成を有し、式中、Meは好ましくはMoであり、及び/又は、Xは好ましくはSであり、かつ好ましくはα=52at%である。
【0028】
第4の実施形態において、表面層は、(V75Me1510α(Nβの組成を有していてもよく、式中、u=25、v=70、w=5であり、Mは好ましくはMoであり、並びに/又は、Xは好ましくは、等割合(equal parts)のSi及びBである。
【0029】
本発明の別の実施形態は、表面層が、(V75Me1510α(Nβの組成を有し、式中、u=25、v=70、w=5であり、かつMeが好ましくはMoであり、及び/又は、Mが好ましくはCrであり、かつαが好ましくは52at%である層系に関する。
【0030】
本発明によれば、表面層は、また、(V96Zrα(Nβの組成を有することができ、式中、u=0、v=100、w=0であり、ここでαは好ましくは40at%である。
【0031】
本発明によれば、表面層は、また、(V98Zrα(Nβの組成を有することができ、式中、u=100、v=0、w=0であり、ここでαは好ましくは50at%である。
【0032】
40≦α≦60、特に、45≦α≦55の関係が、好ましくは、α≒50が、パラメータαに特に有利に適用される。
【0033】
これに関連して、本発明はまた、さらなる部分層(これは、特に基材の表面に直接付けられる接着層である)が、前記表面層と基材との間に設けられる層系にも関する。
【0034】
特定の実施形態における部分層は、V97Zrの組成の接着層、及び/又はV80Zr20の組成の接着層である。
【0035】
本発明の別の実施形態において、部分層は、(Al55Ti45γδの組成を有し、式中、γ+δ=100at%、40≦γ≦60であり、好ましくは、γ≒50であり、この部分層は、特に、接着層、殊に、基材に直接付けられる接着層である。
【0036】
さらなる実施形態は、(Al69Cr29MgSiγδの組成の部分層に関し、式中、γ+δ=100at%、40≦γ≦60であり、好ましくは、γ≒50であり、この部分層は、特に、接着層、殊に、基材に直接付けられる接着層である。
【0037】
部分層は、有利には、また、(Al60Cr30MgSiγδの組成を有することができ、式中、γ+δ=100at%、40≦γ≦60であり、好ましくは、γ≒50であり、この部分層は、特に、接着層、殊に、基材に直接付けられる接着層である。
【0038】
別の場合において、部分層は、(Al91CrMgSiγδの組成を有し、式中、γ+δ=100at%、40≦γ≦60であり、好ましくは、γ≒50であり、この部分層は、特に、接着層、殊に、基材に直接付けられる接着層である。
【0039】
これに関連して、本発明はまた、他の化学組成を有するさらなる部分層も含む。こうして、部分層は、また、TiN及び/又はCrの部分層、特に接着層、殊に、基材に直接付けられる接着層であり得る。
【0040】
層全体の特性を最適化するために、部分層は、当業者に知られている勾配層、例えば、基材表面から出発してCr含量が増加するTiCrN、又は多層コーティング、例えば、部分層における層の並びとしてCr/CrNからなり得る。
【0041】
本発明の層系及び/又は部分層及び/又は表面層は、例えば、1500と3500の間のHK0.025硬度、特に、1900と3100の間のHK0.025硬度、殊に、2100と2900の間のHK硬度を有し得る。
【0042】
層系及び/又は部分層及び/又は表面層の厚さは、有利には、0.01μmと100μmの間、特に、0.1μmと8μmの間であることができ、好ましくは、0.2μmと7.5mmの間であり、層系は、0.2μmと10μmの間、特に、0.5μmと5μmの間、好ましくは、0.5μmと1.5μmの間の表面粗さRzを有し、及び/又は、層系及び/又は部分層及び/又は表面層の接着強度は、HF1からHF3の範囲にあり、特にHF2、好ましくはHF1である。
【0043】
本発明は、さらに、本発明の層系の製造のためにコーティング方法に関し、このコーティング方法は、PVD法、好ましくは、アーク法などのアークコーティング法、スパッタリング法、又はアークコーティング法とスパッタリング法を組み合わせた方法である。
【0044】
本発明のよりよい理解のために、表1は、アークPVDによって堆積された、比較例VN(例A)、VNC(例B)、及び本発明による例を示す。コーティングされるパーツへの接着性を落とすことなく、VN、VNCに基づく純粋なPVD層の硬度を、したがってまた耐摩耗性を、向上させることが、本発明の目的であった。V原子をZr又は他の金属によって部分置換することによって、ここでより詳しく見ると、窒化物層の例1及び例2の場合におけるZr置換において、比較例Aに対して、硬度が、約10%増加した。
【0045】
次の表は、本発明による表面層の、選ばれたいくつかの実施形態を示す。
【表1】

【0046】
本発明の層系の適用分野は、特に、成形工具、殊に半成形(half−shaping)及び高温成形用のもの、成形金型(molding tool)、殊にアルミニウムダイカスト用のもの、切削工具、殊にステンレス鋼に用いるものであるが、またプラスチック加工用の工具、及びエンジン又はモーター部材(element)、殊にピストンリング、或いはタービン部材及びポンプ部材、殊に可動パーツでもある。
【0047】
成形工具の場合の、本発明による層系の製造のための特に好ましい方法が、以下に記載される。
例:工具試験及び成形工具
工具鋼:DIN 1.2379
1.工具は、プラズマ窒化され、窒化硬化深さは約100μmであった
2.工具を研磨
3.加熱/イオン洗浄
400℃に加熱
10分間、Arを用いるAEGDイオン洗浄、200V
3分間、VZrを用いる金属イオン衝撃(bombardment)、1000V
4.コーティング、200V
−200nmのVZr層
−7.1μmのVZrN層、窒素反応ガス5Pa
5.結果は、HFクラス1
6.層を、0.9μmのRまで研磨
適用例
成形される材料:HSS(JIS:SAPH400)
材料の厚さ:2〜3mm
プレス能力:3000t
耐久性試験の結果
PVDコーティング(CrN):1000ストローク
CVDコーティング(TiC):4000ストローク
例1によるVZrNコーティング:7,200ストローク
(試験の状態−さらに継続可能)
【0048】
本発明の好ましいさらなる実施形態が図に記載されている。
【0049】
図1(これは、部分図1a〜1cを含む)には、コーティングされた基板100の表面の画像が見られ、表面は、それ自体は知られている方法でキャップによって研磨されている。図1aは、50倍の倍率での仕上げを示し、図1b及び1cは、それぞれの表面部分を500倍の倍率で示す。
【0050】
図1aにおける中央の円形部分2は、基材100の自由に研磨された表面部分であり、もはやコーティングは存在しない。円形の環3は、本発明による表面コーティングの研磨された部分1,10である。外側部分1、11は、研磨されていない表面部分である。表面部分の本質的な物理的パラメータは、図に記載されている。層の接着強度は、HF1である。
【0051】
図2から5は、化学量論的及び非化学量論的であり得る、2つ以上の部分層4を有する実施形態を示す。層系又は部分層のそれぞれの化学組成が記載されている。
【0052】
図4は、V97at%Zr3at%の所定のカソード組成による、本発明に従う試験例を示す。
【0053】
図5は、可能な様々なボトム層を有する、成形工具に通常使用され得る層系を示し、ボトム層の可能な組成が図5に記載されている。これに関連して、可能な様々なボトム層4の組成が、概略的に示されている。これに関連して、縁取られたAl層は、特に、熱伝導率の低さに基づいて、良好な断熱特性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材(100)の表面に、特に成形工具の表面に、表面層を形成するための層系であって、(VMeα(Nβの組成の少なくとも1つの第1表面層を含み、式中、該層に存在する原子V、Me、M、Xに関して、(a+b+c+d)=α、α=100%であり、該層に存在する原子N、C、Oに関して、(u+v+w)=β、β=100%であり、該層における全原子の合計(α+β)=100at%であり、ここで40≦α≦80at%が適用され、そしてMeは、化学元素の周期律表の
−Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、W、Ni、Cu、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm
を含む化学元素の群からの少なくとも1種の元素であり、
は、
−Ti、Cr
を含む化学元素の群からの少なくとも1種の元素であり、かつ
は、化学元素の周期律表の
−S、Se、Si、B
を含む化学元素の群からの少なくとも1種の元素であり、
式中、0≦u≦100、0≦v≦100、かつ0≦w≦80であって、
50≦a≦99、1≦b≦50、0≦c≦50、かつ0≦d≦20
であることを特徴とする上記層系。
【請求項2】
40≦α≦80、特に、45≦α≦55である、請求項1に記載の層系。
【請求項3】
80≦aである、請求項1又は2に記載の層系。
【請求項4】
c=0、かつd=0、かつv=0、かつw=0である、請求項1から3までのいずれか一項に記載の層系。
【請求項5】
Meが元素Zrである、請求項1から4までのいずれか一項に記載の層系。
【請求項6】
a=80である、請求項4又は5に記載の層系。
【請求項7】
a=84である、請求項4又は5に記載の層系。
【請求項8】
a=88である、請求項4又は5に記載の層系。
【請求項9】
a=97である、請求項4又は5に記載の層系。
【請求項10】
前記表面層が、(V95Meα(Nβの組成を有し、式中、u=30、v=65、w=5であり、かつMeが好ましくはNiである、請求項1から3までのいずれか一項に記載の層系。
【請求項11】
前記表面層が、(V96Meα(Nβの組成を有し、式中、u=65、v=25、w=10であり、かつMeが好ましくはCeである、請求項1から3までのいずれか一項に記載の層系。
【請求項12】
前記表面層が、(V75Me1510αβの組成を有し、かつMeが好ましくはMoであり、及び/又は、Xが好ましくはSである、請求項1から3までのいずれか一項に記載の層系。
【請求項13】
前記表面層が、(V75Me1510α(Nβの組成を有し、式中、u=25、v=70、w=5であり、かつMが好ましくはMoであり、並びに/又は、Xが好ましくは等割合のSi及びBである、請求項1から3までのいずれか一項に記載の層系。
【請求項14】
前記表面層が、(V75Me1510α(Nβの組成を有し、式中、u=25、v=70、w=5であり、かつMが好ましくはMoであり、及び/又は、Mが好ましくはCであり、かつαが52at%である、請求項1から3までのいずれか一項に記載の層系。
【請求項15】
前記表面層が、(V96Zrα(Nβの組成を有し、式中、u=0、v=100、w=0であり、かつαが40at%に等しい、請求項1から3までのいずれか一項に記載の層系。
【請求項16】
40≦α≦60、特に、45≦α≦55、好ましくは、a≒50である、請求項1から15までのいずれか一項に記載の層系。
【請求項17】
特に前記基材の表面に直接付けられる接着層である、さらなる部分層が、前記表面層と前記基材との間に設けられる、請求項1から16までのいずれか一項に記載の層系。
【請求項18】
前記部分層が、V97Zrの組成の接着層である、請求項17に記載の層系。
【請求項19】
前記部分層が、V80Zr20の組成の接着層である、請求項17又は18に記載の層系。
【請求項20】
前記部分層が、(Al55Ti45γδ(式中、γ+δ=100at%、かつ40≦γ≦60であり、好ましくは、γ≒50である)の組成であり、かつ特に、接着層、殊に、前記基材に直接付けられる接着層である、請求項17から19までのいずれか一項に記載の層系。
【請求項21】
前記部分層が、(Al69Cr29MgSiγδ(式中、γ+δ=100at%、かつ40≦γ≦60であり、好ましくは、γ≒50である)の組成であり、かつ特に、接着層、殊に、前記基材に直接付けられる接着層である、請求項17から20までのいずれか一項に記載の層系。
【請求項22】
前記部分層が、(Al60Cr30MgSiγδ(式中、γ+δ=100at%、かつ40≦γ≦60であり、好ましくは、γ≒50である)の組成であり、かつ特に、接着層、殊に、前記基材に直接付けられる接着層である、請求項17から21までのいずれか一項に記載の層系。
【請求項23】
前記部分層が、(Cr91NiAlSiγδ(式中、γ+δ=100at%、かつ40≦γ≦60であり、好ましくは、γ≒50である)の組成であり、かつ特に、接着層、殊に、前記基材に直接付けられる接着層である、請求項17から22までのいずれか一項に記載の層系。
【請求項24】
前記部分層が、TiN部分層であり、特に接着層、殊に、前記基材に直接付けられる接着層である、請求項17から23までのいずれか一項に記載の層系。
【請求項25】
前記部分層が、Cr部分層であり、特に接着層、殊に、前記基材に直接付けられる接着層である、請求項17から24までのいずれか一項に記載の層系。
【請求項26】
前記層系及び/又は前記部分層及び/又は前記表面層の硬度が、1500と3500の間のHK0.025硬度、殊に、1000と3100の間のHK0.025硬度、特に、2100と2900の間のHK0.025硬度を有する、請求項1から25までのいずれか一項に記載の層系。
【請求項27】
前記層系及び/又は前記部分層及び/又は前記表面層の厚さが、0.01μmと100μmの間、殊に、0.1μmと8μmの間であり、好ましくは、0.2μmと7.5μmの間である、請求項1から26までのいずれか一項に記載の層厚。
【請求項28】
前記表面層が、0.2μmと10μmの間、特に、0.5μmと5μmの間、好ましくは、0.5μmと1.5μmの間の表面粗さRを有する、請求項1から27までのいずれか一項に記載の層系。
【請求項29】
前記層系及び/又は前記部分層及び/又は前記表面層の接着強度が、HF1からHF3、特にHF2であり、好ましくはHF1である、請求項1から28までのいずれか一項に記載の層系。
【請求項30】
請求項1から29までのいずれか一項に記載の層系(1)の製造のためのコーティング系であって、PVD法、好ましくは、アーク法などのアークコーティング法、スパッタリング法、又はアークコーティング法とスパッタリング法を組み合わせた方法である上記コーティング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−519231(P2012−519231A)
【公表日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−551419(P2011−551419)
【出願日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際出願番号】PCT/EP2009/058322
【国際公開番号】WO2010/097124
【国際公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(508190746)スルザー メタプラス ゲーエムベーハー (8)
【Fターム(参考)】