説明

コーティング組成物を改善するための接着促進添加剤および方法

1つ以上の活性水素含有官能基を更に含有するシロキサンの、2つ以上のアクリレート基によるマイケル付加生成物;複数のアルコキシシラン部分を有する高分子量付加物;少なくとも1つの末端不飽和および複数のアルコキシシリル基を含む化合物;珪素、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、またはこれらの任意の組合せから選択される元素を含む有機金属化合物;から選択される、コーティング組成物の性能を改善するための少なくとも1種の作用剤を含むコーティング組成物のための添加剤および方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本件は、仮出願第60/870,641号(2006年12月19日出願)の出願日の利益を主張し、その内容の全部を引用により本明細書に組み入れる。
【0002】
発明の分野
本発明は、コーティング組成物接着促進添加剤に関し、特に、窓用途用等の透明パネル基材に適用される組成物において使用するための接着促進添加剤に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
自動車窓用途の分野において、透明基材に対する強く耐久性のある結合が必要な多くの用途がある。これらの中でもブラックアウト用途、基材マーキングおよび/またはパターニングの用途、結合用途等がある。特許文献、例えば国際公開第WO2005/003048号;第WO2005/040055号;第WO2005/052071号;第WO2003/062310号;第WO1993/012935号;第WO2003/106579号;第WO1999/0311191号;第WO2006/093671号パンフレット、米国出願公開第20060025496号明細書、;米国出願公開第20060191625号明細書;米国出願公開第20050045103号明細書;JP第61−287476号;EP第1013726号;EP第377444号;EP第106628号;ならびに米国特許第6,598,426号;第6,500,877号;第6,126,737号;第5,368,943号;および第4,963,614号(これらの全部は参照により本明細書に組み入れる)に例示されるように、これらの目的のために種々の手法が調べられてきた。
【0004】
組成物の1つ以上の特性(接着強度、耐摩耗性、または耐水性等)を改善するために、1種以上の含有成分用に基材に加えまたは基材として市販で入手可能なコーティング組成物(例えば、ペイント、インク、接着剤、プライマー等)中に組み入れることができる接着促進添加剤を有することは魅力的である。接着促進添加剤を、基材に加えまたは基材として、2成分(例えば、コーティング組成物および別個の接着促進剤、多くの印刷組成物で一般的なもの)コーティング組成物の1種以上の含有成分用に、組成物がこれに代えて1成分コーティング組成物であることを可能にするために採用することも魅力的である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の要約
本発明は、概略的には、コーティング組成物の特性を改善するための接着促進添加剤に関する。
【0006】
1つの特定の側面において、本発明は、エポキシ、アクリル、ポリウレタン、ポリアクリレート、またはこれらの任意の組合せから選択される少なくとも1種のレジン、着色剤、接着促進添加剤(少なくとも1つの末端不飽和および1つ以上のシリル化基を含むもの等);および酸部分を含む化合物(カルボン酸、ホスホン酸、スルホン酸、メルカプト酸またはこれらの組合せによるもの等)を含むコーティング組成物(および特には印刷インク組成物)を対象とする。望ましくは、組成物はフリーラジカル反応で硬化するもの(熱、放射線または熱と放射線との組合せで開始するもの等)である。本発明は、前記の含有成分を混合すること、得られる混合物を基材(例えばガラス基材、プラスチック)に適用すること、および混合物を基材上で硬化させることも意図する。
【0007】
別の側面において、本発明は、コーティング組成物の性能を改善するための少なくとも1種の作用剤(agent)であって:1つ以上の活性水素含有官能基を更に含有するシロキサンの、2つ以上のアクリレート基によるマイケル付加生成物;少なくとも1つの末端不飽和および1つ以上のシリル化基を含むもの;複数のアルコキシシラン部分を含む高分子量付加物;珪素、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、またはこれらの任意の組合せから選択される元素を含む有機金属化合物から選択されるものを含む、添加剤を対象とする。
【0008】
1つの具体的な側面において、接着促進添加剤としては、アクリレート化アミノシラン付加物が挙げられる。本発明における方法および物品は、接着促進添加剤(および場合により更に得られるコーティング組成物)が顔料または色素を含んでもよいことを意図する。上記の他の変形もまた、以下の詳細な説明を検討して認められるように意図される。本発明は種々の利点(例えば、高温燃焼ステップの回避(例えば本発明は、コーティングまたは基材を約600℃超、より具体的には約400℃超、および更により具体的には約250℃超、または物質を分解、融解または他のもの等により劣化させる別の温度の燃焼ステップに供する必要性を回避する)、基材との接触直前に組成物成分を混合する必要性を回避することによるステップの考えられる低減、基材に適用される追加的なセラミックコーティングのための特別な高温操作ステップの回避、コーティング組成物の適用後にプラスチック基材を熱変形させる能力、またはこれらの任意の組合せ、のうち1つ以上)を与える可能性を有することが分かるであろう。得られる物品は、1つ以上の特定の点(例えば、結合強度、耐候性(例えば、耐水性等)、耐摩耗性またはこれらの任意の組合せのうち1つ以上)で優れた長期性能を示すことができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
詳細な説明
本明細書で用いる全ての質量部は、列挙される物質または組成物の100質量部基準である。コーティング組成物の場合、これは、質量がコーティング組成物全体の100質量部基準であることを意味する。本明細書で列挙する量の濃縮または希釈を採用できることが認められよう。一般的に、列挙される含有成分の相対比率は同じ状態のままである。よって、例として、30質量部の成分A、および10質量部の成分Bの教示については、当業者は、このような教示が、成分Aおよび成分Bを相対比3:1で用いることの教示も構成することを理解するであろう。
【0010】
本発明は、概略的には、コーティング組成物を実現するためにベース組成物中に組込むための接着促進添加剤組成物を対象とする。本発明のコーティング組成物は、1成分組成物または複数成分組成物(例えば、接着促進剤と架橋するレジンバインダーを含むもの等の2成分組成物)としてパッケージされることができ、そして、1つの特定の側面において、組成物は、硬化性レジンをベース組成物の一部として含み、その中に接着促進添加剤が組込まれる。例えば、レジンは、1つ以上のフリーラジカル反応、例えば化学的に、放射線によって(例えば、紫外光等の化学線への曝露によって)または両者で開始される反応によって硬化(例えば架橋)できる。任意に、または代替として、レジンは電子ビーム露光で硬化することもできる。
【0011】
本発明の接着促進添加剤は、任意の多くのコーティング組成物における用途を有する。例としては、幾つかの好ましい用途として、本発明の接着促進添加剤をベース組成物と混合すること,例えば、透明基材(ガラス、プラスチックまたはこれらの組合せ等)をコーティングするのに好適なスクリーン印刷インク、より具体的には紫外線硬化スクリーン印刷インク、および更により具体的には、紫外線硬化スクリーン印刷インク(例えば1成分インク)が挙げられる。無論、他の用途もまた可能であり、これらに限定するものではないが、ペイント、ペースト、プライマー、接着剤、またはこれらの任意の組合せの、1種類以上の基材(例えば、ガラス、プラスチックまたは任意の他の固体)のためのものが挙げられる。自動車用途に加えて、本発明は、他の用途,例えばパッケージ(例えばボトルまたは他の容器)、ラベル、建築窓または他のものにおいても採用できる。
【0012】
必須ではないが、コーティング組成物は、レジンの1種以上の溶媒中の分散液の形状であることができ、ここで任意のこのような溶媒は、組成物を硬化させるためのプロセスの一部として蒸発させることができる。例えば、組成物は水系、有機系または他のものであることができる。1側面において、組成物は、望ましくは、ほぼ非毒性である。コーティング組成物は、ペースト、液体または更に固体(例えばフィルムまたは粉末)の形状であることができる。
【0013】
多くの用途のために、コーティング組成物は、一般的に、当該分野で開示される、コーティング組成物において通常採用される含有成分,例えば顔料および/または色素、フィラー、光安定剤、硬化剤、界面活性剤、分散剤、消泡剤、スリップ添加剤、レベリング剤、希釈剤、増粘剤またはチキソ剤、軟化剤、接着促進剤、可塑剤、光開始剤、触媒またはこれらの任意の組合せのうち1種以上を含むことができる。顔料は、有機、無機またはこれらの組合せであることができる。顔料を含む粒子は、平均粒子サイズ0.01〜25ミクロンを有することができる。顔料の種々の例は、本明細書に列挙する特許に開示されており、例えば米国特許第5,554,217号明細書(参照により組入れる)の顔料が挙げられる。1種以上の好適なワックスを採用できる。
【0014】
採用する場合、フィラーの例としては、限定するものではないが、アルミナ(例えばアルファアルミナ)、シリカ(例えばヒュームドシリカまたは石英ガラス)、マイカ、カオリン、タルク、硫酸バリウム、カーバイド、硫酸カリウム、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、シリケート、クレー、二酸化チタン、ジルコニア、炭化ホウ素、炭化珪素、酸化セリウム、ガラス、珪灰石、ダイヤモンド、窒化アルミニウム、窒化珪素、酸化イットリウム、二ホウ化チタン、脂肪酸の金属塩、またはこれらの任意の組合せを挙げることができる。他のフィラー,例えば同時係属出願第11/472,119号(2006年6月20日出願)(第60/692,318号(2005年6月20日出願)の優先権を主張)にBaikerikarらによって教示される(参照により組入れる)ものを採用できる。好ましいフィラーは、表面ヒドロキシルを含むことができ、粒子サイズ約10ミクロン以下、および最も好ましくは5ミクロン以下、または両者を有する。採用される場合、フィラーは、表面硬さおよび耐摩耗性を向上させるのに十分な量、ならびに均一な分散体を得ることができるような量で存在できる。例えば、フィラーは、コーティングの約5質量部から約60質量部という少なさで存在でき、または他には、同時係属出願第11/472,119号(2006年6月20日出願)(第60/692,318号(2005年6月20日出願)の優先権を主張)にBaikerikarらによって開示される(参照により組入れる)通りである。
【0015】
本発明の特定の側面において、含有成分は、組成物のレジンが架橋でき、場合によっては更に相互貫入ネットワークを形成するために架橋できるように選択される。例えば、架橋としては、コーティング組成物のレジンと、既に組成物中または系中に存在する任意の接着促進剤、本発明の接着促進添加剤組成物または両者の組合せとの架橋を挙げることができる。複数成分組成物系について、含有成分は、系の成分の任意のものまたは全てにおいて存在できる。例えば、レジンがある1つの成分中に存在しつつ接着促進剤が他の中に存在することができる。
【0016】
コーティング組成物のベース組成物(これに本発明の接着促進添加剤が混合される)としては、一般的には、当該分野で開示されるレジン,例えば(限定しないが)米国特許第5,554,217号明細書(参照により組入れる)に開示されるものが挙げられ、そして従って、ポリアクリレート、セルロースエーテル、セルロースエステル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリアミド、ポリシクロアミド、ポリイミド、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、ハロゲン化ポリビニル、ポリテトラフルオロエチレン、(メタ)アクリルポリマー、ゴム、シリコーンポリマー、フェノール/ホルムアルデヒドレジン、メラミン/ホルムアルデヒドレジン、ウレア/ホルムアルデヒドレジン、エポキシレジン、ジエンゴムおよびこれらの任意の組合せ(例えばコポリマー、ブレンドまたは他のもの)からなる群から選択される1種以上のポリマー物質が挙げられる。望ましくは、レジンは、エポキシ、(メタ)アクリル、ポリウレタン、ポリアクリレート、またはこれらの任意の組合せから選択される1種以上のレジンから選択される。
【0017】
市販で入手可能なベース組成物(これに本発明の接着促進添加剤が混合されることができる)の例としては、限定するものではないが、紫外線硬化性スクリーン印刷組成物(Nazdar(例えば、Powerprint(登録商標)Plus 1800シリーズで)、Marabu(例えば、称号ULTRAGLASS UVGOで)、またはRuco(9XX UVインクシリーズ、例えば935UVで)により提供される)が挙げられる。好適な組成物の他の例としては、国際公開WO2005/003048号;第WO2005/040055号;第WO2005/052071号;第WO2003/062310号;第WO1993/012935号;第WO2003/106579号;第WO1999/0311191号;第WO2006/093671号;米国出願公開第20060025496号;米国出願公開第20060191625号;米国出願公開第20050045103号;JP61−287476号;EP1013726号;EP377444号;EP106628号;ならびに米国特許第6,797,746号;第6,598,426号;第6,500,877号;第6,126,737号;第5,368,943号;および第4,963,614号(これらの全部を参照により本明細書に組入れる)に開示されるものが挙げられる。
【0018】
1つの特定の手法は、本発明の接着促進添加剤を黒色コーティング組成物に組込むことを意図する。しかし、コーティング組成物中に何らかの他の色を組込むこともまた意図される。本発明の接着促進添加剤は、組成物の含有成分もしくは成分または両者の代わりに使用される上記の組成物の1つに添加できる。加えて、接着促進添加剤は、ベース組成物のうち1つの性能を、例えば含有成分の1種以上の濃度をその存在レベルから他のレベルに変えることによって調整するために使用できる。
【0019】
一般的に、本発明の方法は、得られるコーティング組成物を実現するために、接着促進添加剤組成物を提供すること、および接着促進添加剤組成物をベース組成物(またはその1種以上の含有成分)と、任意に熱の存在下で混合することを意図する。得られるコーティング組成物は、任意に1成分組成物としてパッケージでき、または接着促進添加剤は、離れた位置(例えば、基材に適用する点)でベース組成物と混合するために別個にパッケージできる。得られるコーティング組成物を基材と接触させ、そして硬化(例えば化学物質、湿度、熱、空気、放射線またはこれらの任意の組合せに曝露することによって)させる。耐久性硬化を実現するために、得られるコーティング組成物を1つ以上の第2の硬化ステップ(例えば、化学物質、空気、熱、放射線、またはこれらの任意の組合せに曝露すること)に供することができる。例えば、幾つかの態様において、組成物は、紫外線によって、そしてこれと同時またはその後に熱(例えば約100℃超、約120〜約170℃、およびより具体的には約140〜約160℃)によって硬化させることが意図される。任意に、または代替として、組成物は、電子ビーム照射で硬化させることもできる。
【0020】
基材に適用される際、得られるコーティング組成物は、任意の好適な表面仕上げを有することができ、よって真珠光沢仕上げ、メタリック仕上げ、マット仕上げ、グロス仕上げ、セミグロス仕上げ、マルチクロム仕上げ、テクスチャー、またはこれらの任意の組合せを実現するための1種以上の含有成分を含むことができる。
【0021】
本明細書の基材は、1つの特定の側面において、その体積の少なくとも一部に亘って透明である(すなわち光学的に透明である)ことができる。例えば、本発明は、窓または他のパネル(例えば、自動車の風防、バックライト、サイドライト、ライトレンズ、ミラー、サンルーフ、ゲージレンズ等)の少なくとも一部をコーティングするために特に有用であるため、典型的には、基材は、少なくとも1つの表面を通じて、そして特に両方の対向表面を通じ、表面の面積の少なくとも約25%に亘って、およびより具体的には少なくとも主要部(例えば表面の面積の少なくとも約60%、75%または更に90%)が透明なパネルであることができる。従って、本明細書の基材は、実質的に非晶質の材料、および特に非晶質のセラミック(ガラス等)、プラスチックまたはこれらの組合せから形成できる。好適な基材物質の限定しない例としては、ポリ(メタ)アクリレート、ポリカーボネート、ビニル、ポリエステル(例えば、配向ポリエステル)、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリアミド、ガラス、これらの任意の組合せ(例えばラミネートガラス)等が挙げられる。特定の例において、基材は、ガラス、ポリ(メタ)アクリレート、ポリカーボネートまたはこれらの任意の組合せから選択される物質を含むかまたは更には本質的にそれからなる。例示的な物質は、米国特許第7,129,444号明細書第11−12欄(参照により組入れる)にも記載されている。
【0022】
本明細書の基材は、典型的には、少なくとも1つの表面(その上に、得られる組成物が適用されるもの)を含むことができる。表面は、任意に、コーティングの基材に対する結合強度を改善するために、例えばプライマー、フレームスプレー、コロナ処理、プラズマ処理、または幾つかの他の表面処理によって処理できる。しかし、1つの具体例において、外側表面は実質的にいずれの表面処理も有さない。よって、適用時に、コーティング組成物は基材と直接密接に、そして特にはいずれの中間層も実質的に不存在下で接触する。無論、組成物を基材に適用した後に、組成物および基材の一方または両方の一部または全部に亘って、更なる層(例えば、シリコーン、アクリル、ポリウレタン、または他のものを、保護オーバー層を実現するために)を適用することも可能であり、例えば米国特許第7,129,444号の第12−14欄(参照により組入れる)に開示されている。
【0023】
本発明のコーティング組成物は、フリット(例えば、同時係属出願第11/472,119号(2006年6月20日出願)(第60/692,318号(2005年6月20日出願)の優先権を主張)にBaikerikarらによって教示される(参照により組入れる)種類のフリット)の上に、下におよび/または隣接して採用することも可能である。
【0024】
適用時に、本発明のコーティング組成物は、一般的に厚み最大約250ミクロン以上を有することができる。より一般的にはこれは約150ミクロン未満、約100ミクロン未満または更に約50ミクロン未満(例えば、約10〜約30ミクロンまたはそれ未満)であることができる。
【0025】
幾つかの用途は、本発明のコーティング組成物で基材の実質的に全表面をコーティングすることを要求するが、通常コーティング組成物は、予定パターンに従って(例えば、実質的に基材の端部沿い、基材の外周周辺等に)基材に選択的に適用することになる。例えば、1つの手法は、コーティングを基材の端部から内向きに中心部分に向かって幅約2,5,8または更に12cm以上で適用することである。コーティング組成物は、一定または変化する幅、高さ、長さまたは他の寸法の線分を含む1以上の線、カーブ、ドットまたは他の幾何学形状を規定するために適用することも可能である。例えば、コーティング組成物はフリットパターンを有するように形成できる。
【0026】
本発明の特定の側面について、コーティング組成物は、基材に液体、ペースト、固体(例えば粉末もしくはフィルムとして)またはこれらの組合せとして適用できるものである。その後、これを硬化させ、そして基材への結合もさせ、一方、自動車用途について一般的な環境中で有利に採用できるような概略耐摩耗性、熱安定性および光安定性の組成物を与える。
【0027】
示すように、本発明の得られるコーティング組成物は、好ましくは特定の接着促進添加剤、および特に同時係属出願第11/472,119号(2006年6月20日出願)(第60/692,318号(2005年6月20日出願)の優先権を主張)にBaikerikarらによって記載される(参照により組入れる)接着促進剤を含むことができる。具体的な態様において、全用途に必要ではないが、接着促進添加剤は、組成物のガラス、コートされたプラスチックおよび/またはイソシアネートもしくはシロキシ官能性接着剤への結合を向上させることができる。
【0028】
一般的に、接着促進添加剤は、基材の少なくとも1つの表面上の基と反応、結合および/または連結(associate)して互いに結合できる少なくとも1つの基を有する物質を含むことができる。1つの限定しない態様において、接着促進添加剤は、少なくとも2つの表面の界面(ここで該表面は同様または異種の表面であることができる)で分子ブリッジとしての機能を果たす助けとなることができる。
【0029】
接着促進添加剤は、任意の多くの反応によって合成できる。よって、接着促進添加剤は、少なくとも1つの末端不飽和(例えばアクリレート)を含む第1の化合物と、1つ以上のシリル化基(例えば複数のアルコキシシリル基)を含む第2の化合物との反応によって製造できる。例として、接着促進添加剤は、珪素とメルカプト基、アミノ基、エポキシ基、ヒドロキシル基、スルホエチル基、イソシアネート基、(メタ)アクリレート基またはこれらの任意の組合せの少なくとも1つから選択される部分とを含む第1の化合物と、イソシアネート基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、メルカプト基、エポキシ基、アセトアセトキシ基、(メタ)アクリレート基、およびアミノ基またはこれらの任意の組合せの少なくとも1種から選択される部分を含む第2の化合物との反応生成物であることができる。より具体的な例として、接着促進添加剤を製造するために、以下の合成反応:
a.メルカプトシラン+イソシアネート官能性アクリレートもしくはメタクリレート(例えば、−SHと−NCOとの間の反応を含むように);
b.アミノシラン+イソシアネート官能性アクリレートもしくはメタクリレート(例えば、−NHもしくは−NH2と−NCOとの間の反応を含むように);
c.イソシアネートシラン+ヒドロキシル官能性アクリレートもしくはメタクリレート(例えば、−NCOと−OHとの間の反応を含むように);
d.エポキシシラン+アミン官能性アクリレートもしくはメタクリレート(例えば、エポキシとアミンとの間の反応を含むように);
e.エポキシシラン+カルボン酸官能性アクリレートもしくはメタクリレート(例えば、エポキシと−COOHとの間の反応を含むように);
f.メルカプト酸+イソシアネート官能性アクリレートもしくはメタクリレート(例えば、−NCOと、−SHもしくは−COOHの一方/両方との間の反応を含むように);
g.アミノシラン+カルボン酸官能性アクリレートもしくはメタクリレートのマイケル付加(例えば、末端二重結合とアミンとの間の反応を含み;従って、生成物が、同一分子中に、末端アクリレートとともに、アルコキシシリルおよび−COOH官能基の両者を含むように);
h.アミノシラン+エポキシ官能性(メタ)アクリレートもしくはメタクリレート,例えばグリシジルメタクリレート(例えば、エポキシとアミンとの間の反応を含むように);
i.イソシアネートシラン+アミンアクリレートもしくはメタクリレート(例えば、−NHもしくは−NH2と−NCOとの反応を含むように);
j.2−スルホエチルアクリレートもしくはメタクリレート+イソシアネートシラン(例えば、−SO2OHと−NCOとの間の反応を含むように);
k.ヒドロキシシラン+イソシアネート官能性アクリレートもしくはメタクリレート(例えば、−NCOと−OHとの間の反応を含むように);
l.メルカプトシラン+エポキシ官能性(メタ)アクリレート,例えばグリシジルメタクリレート(例えば、−SHとエポキシとの間の反応を含むように);
m.エポキシシラン+ヒドロキシル官能性(メタ)アクリレート(例えば、エポキシと−OHとの間の反応を含むように);
n.ヒドロキシシラン+エポキシ官能性(メタ)アクリレート(例えば、−OHとエポキシとの間の反応を含むように);
o.イソシアネートシラン+アセトアセトキシ官能性(メタ)アクリレート(例えば、−NCOと、アセトアセトキシ官能性の活性メチレン基との間の反応を含むように)
p.アミノシラン+アセトアセトキシ官能性(メタ)アクリレート(例えば、アミンと、アセトアセトキシ官能性のカルボキシル基との間の反応を含むように);
q.メタ(アクリレート)シラン+アセトアセトキシ官能性(メタ)アクリレート(例えば、シラン由来の不飽和と、アセトアセトキシ官能性の活性メチレン基との間のマイケル反応を含むように);
r.ヒドロキシルシラン+カルボン酸官能性(メタ)アクリレート(例えば、ヒドロキシルとカルボン酸との反応を含むように);
s.アミノシラン+ポリアクリレート(例えば、アミンとアクリレートとの間のマイケル反応を含むように);または
t.アミノシラン+アクリロイルもしくはメタクリロイルクロリド(例えば、アミンと塩素との間の反応を含むことによってアミドを形成するように);
u.アミノシラン+カルボン酸官能性(メタ)アクリレート(例えば、アミンとカルボン酸との間の反応を含むことによってアミドを形成するように);または
v.上記の任意の組合せ
のうち1つ以上を好適に採用できる。
【0030】
接着促進添加剤は、別の限定しない態様において、1種以上のモノマー、オリゴマーおよび/またはポリマーを含むことができる。このような物質としては、限定するものではないが、有機金属,例えばシラン、チタネート、ジルコネート、アルミネート、金属含有化合物、ジルコニウムアルミネート、これらの加水分解物およびこれらの混合物が挙げられる。好ましくは、このような接着促進剤は、チタンまたは珪素を含み、そして最も好ましくはシロキシ(シリコーンおよび酸素)結合を含む。好ましくは、珪素含有接着促進添加剤としては、ポリシロキサン,例えば、米国特許第5,502,045号第2欄第8〜20行および第3欄第3〜54行に開示されるもの(参照により本明細書に組入れる);米国特許第6,306,924号第2欄第26〜39行および第3欄第24〜42行に開示される(関係部分を参照により本明細書に組入れる)テトラオルトシリケート;および多官能シラン,例えばMahdiら,米国特許第6,355,127号第21欄第44行〜第22欄第38行に開示される(関係部分を参照により本明細書に組入れる)またはこれらのシランと他の中間体との反応生成物が挙げられる。シランカップリング剤の限定しない例としては:ビニルトリアセトキシシラン,ビニルトリメトキシシラン,ビニルトリエトキシシラン,ビニルトリ(2−メトキシエトキシ)シラン,ビニルトリフェノキシシラン,ビニルトリイソプロポキシシラン,ビニルトリ−t−ブトキシシラン,ジビニルジエトキシシラン,γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン,アリルトリエトキシシラン,アリルトリメトキシシラン,(3−アクリロキシプロピル)ジメチルメトキシシラン,(3−アクリロキシプロピル)−メチルジメトキシシラン,(3−アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン,(メタクリロキシ−メチル)ジメチルエトキシシラン,メタクリロキシメチルトリエトキシシラン,メタクリル−オキシメチルトリメトキシシラン,メタアクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン,メタクリル−オキシプロピルトリメトキシシラン,スチリルエチルトリメトキシシラン,メルカプトメチル−メチルジエトキシシラン,3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン,3−メルカプトプロピル−トリエトキシシラン,3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン,およびアミノシラン,例えばアミノプロピルトリメトキシシラン,ビス(トリメトキシシリル)プロピルアミン,もしくはビス(トリエトキシシリル)プロピルアミン;これらの少なくとも部分加水分解物またはこれらの混合物が挙げられる。本発明の接着促進添加剤として有用なチタネート、ジルコネートまたはジルコアルミネート物質としては、Wuら,米国特許第6,649,016号第7欄,第23行〜第8欄,第53行(関係部分を参照により本明細書に組入れる)に記載されるものが挙げられる。好ましいチタン物質としては、TYZOR名でDuPontから市販で入手可能のもの、またはテトラ(2,2ジアリルオキシメチル)ブチル,ジ(ジトリデシル)ホスフィトチタネート(KR55として,Kenrich Petrochemicals,Inc.から市販で入手可能);ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリネオデカノニルチタネート;ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリ(ドデシル)ベンゼン−スルホニルチタネート;ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリ(ジオクチル)ホスファトチタネート;ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリ(ジオクチル)ピロ−ホスファトチタネート;ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリ(N−エチレンジアミノ)エチルチタネート;ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリ(m−アミノ)フェニルチタネート;ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリヒドロキシカプロイルチタネート;イソプロピルジメチルアクリルイソステロイルチタネート;テトライソプロピル(ジオクチル)ホスフィトチタネート;これらの少なくとも部分加水分解物またはこれらの混合物が挙げられる。好ましいジルコニウム物質としては、ジルコンアルミネートが挙げられる。ジルコネート物質の限定しない例としては、テトラ(2,2ジアリルオキシメチル)ブチル,ジ(ジトリデシル)ホスフィトジルコネート(KZ55としてKenrich Petrochemicals,Inc.から市販で入手可能);ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリネオデカノイルジルコネート;ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリ(ドデシル)ベンゼン−スルホニルジルコネート;ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリ(ジオクチル)ホスファトジルコネート;ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリ(ジオクチル)−ピロホスファトジルコネートネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリ(N−エチレンジアミノ)エチルジルコネート;ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリ(m−アミノ)フェニルジルコネート;ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリメタクリルジルコネート;ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリアクリルジルコネート;ジネオペンチル(ジアリル)オキシ,ジパラアミノベンゾイルジルコネート;ジネオペンチル(ジアリル)オキシ,ジ(3−メルカプト)プロピオン酸ジルコネート;これらの少なくとも部分加水分解物またはこれらの混合物が挙げられる。一般的に接着促進添加剤は、コーティングのガラス、プラスチックまたはコートされたプラスチックに対する耐久性の結合を実現するのに、そして好ましくはイソシアネートまたはシロキシ官能性接着剤に対する耐久性の結合を形成するのに十分な量で存在する。使用される接着促進添加剤が少なすぎる場合には、コーティングが示すガラス、プラスチック、コートされたプラスチックおよび/または接着剤に対する接着は乏しくなる。使用される接着促進剤が多すぎる場合には、コーティング組成物が不安定になる場合がある。本明細書において「不安定」とは組成物が所望の硬化条件に曝露される前に硬化する場合があることを意味する。例として、限定するものではないが、本発明の接着促進添加剤は、組成物の質量基準で好ましくは約1質量部以上、より好ましくは約6質量部以上、および最も好ましくは約8質量部以上、そして好ましくは約10質量部以上の量で存在する。接着促進剤は、組成物の質量基準で好ましくは約30質量部以下、およびより好ましくは約20質量部以下の量で存在する。
【0031】
好ましい態様において、組成物は、2種のシラン接着促進添加剤のうち一方または両方を含む。1つ目はポリシロキサンおよびテトラオルトシリケートの群から選択され、2つ目は多官能シランの群から選択される。
【0032】
好ましいテトラアルキルオルトシリケートは、以下の式:
【0033】
【化1】

【0034】
(式中、AはSiであり、そしてXは、別個に各々の出現において、テトラ置換化合物から水存在下で加水分解できる加水分解性基である。)
で示される。加水分解性基の例としては、これらに限定するものではないが、ハロゲン(例えば、塩素、フッ素および臭素)、ホルミルオキシ、アセトキシ、プロピオニルオキシ、バレリルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、ナフトイルオキシ、トルイルオキシ、マレオイルオキシ、アルコキシ、アルキルチオ、ビニルオキシ、アリルオキシ、ビニルエーテルオキシ、メタクリロキシおよびアクリロキシが挙げられる。本発明のこれらおよび他の基は、IUPAC命名法(1969)に従って規定される。好ましくは、加水分解性基Xは、独立にアルコキシ基またはエチレン性不飽和含有基である。好ましくは、アルコキシ基はC1〜C6アルコキシである。加水分解時に、C1〜C6アルコキシ基は揮発性アルコールを形成し、これはコーティング組成物から蒸発によって脱出させることができる。このようなC1〜C6アルコキシ基の例としては、これらに限定するものではないが、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシおよびtert−ブトキシが挙げられる。最も好ましくは、アルコキシ基はメトキシおよびエトキシである。加水分解性基がエチレン性不飽和を含有する場合、エチレン性不飽和は、コーティング組成物中の他のエチレン性不飽和化合物と反応できる。エチレン性不飽和を含有するこのような加水分解性基としては、これらに限定するものではないが、ビニルオキシ、アリルオキシ、ビニルエーテルオキシ、メタクリロキシおよびアクリロキシが挙げられる。Xは各々の場合で同じでも異なってもよいことが意図される。好ましくは、テトラ置換化合物は、コーティング組成物に容易に添加できるように液体である。これに代えて、テトラ置換化合物は、コーティング組成物中に可溶な固体であることができる。本発明の組成物は、1種のテトラ置換化合物を含有することができ、またはこれは複数種のテトラ置換化合物の混合物を含有することができる。テトラメトキシシランおよびテトラエトキシシランは、それぞれテトラメチルオルトシリケートおよびテトラエチルオルトシリケートとして、Aldrich Chemical Company,Milwaukee,WisconsinまたはSilbond Corporation から商標SILBONDで購入できる。好ましいテトラアルキルオルトシリケートは下式で示される。
【0035】
本発明において有用な好ましいポリシロキサンは、好ましくは以下の式:
【0036】
【化2】

【0037】
(式中、YおよびZは、独立に、ハロゲン、アミノ、アルキルおよびアルコキシからなる群から選択され;nは1以上であり;そして各Xは前述で規定した通りである。)
で示される。本明細書で用いる用語「アルキル」は、炭素原子の1価の直鎖または分岐鎖の基を意味するものとし、これに限定するものではないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tertブチル等が挙げられる。本明細書で用いる用語「アルコキシ」は、酸素原子を介して分子の残部に付いているアルキル基を意味するものとし、これらに限定するものではないが、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ等が挙げられる。好ましくは、アルコキシ基のアルキル部分は低級アルキル基である。本明細書で用いる用語「低級アルキル基」は、分岐または非分岐の、環状または非環状の、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基を包括的に意味するものとする。低級アルキル基の幾つかの例としては、これらに限定するものではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチルおよびシクロヘキシルが挙げられる。最も好ましくは、各アルキル基はメチルまたはエチルである。本明細書で用いる用語「低級アルコキシ基」は、酸素原子を介して分子の残部に付いているアルキル基であって該アルキル基が低級アルキル基であるものを意味するものとする。
【0038】
シロキサン主鎖は直鎖または分岐鎖であることができることが意図される。分岐構造は、幾つかのXがアルコキシ基であり幾つかのXがシロキサン基である場合に生じる。各アルコキシ基が同じでも異なってもよいこともまた意図される。好ましくは、ポリ(シロキサン)は、ポリマーコーティング組成物に容易に添加できるように液体である。これに代えて、ポリ(シロキサン)は、ポリマーコーティング組成物中に可溶な固体であることができる。本発明の組成物は、1種のポリ(シロキサン)を含有でき、または複数種のポリ(シロキサン)の混合物を含有できる。
【0039】
多官能シランは、シラン官能性、および、エポキシ、アミノ、ビニル、イソシアネート、イソシアヌレート、メルカプト、アクリレート、メタクリレート、ヒドロキシル、アリル基等を含む第2の官能基を含む化合物を含む。コートされた表面(例えばクリアコートまたは顔料コーティングでコートされたもの)の接着のために好ましい接着促進剤としては、例えば、アミノアルコキシシラン,(メタ)アクリレートアルコキシシラン,ヒドロキシルアルコキシシラン,アリルアルコキシシラン,ビニルアルコキシシラン,イソシアナトアルコキシシラン,エポキシアルコキシシラン,メルカプトアルコキシシラン,およびイソシアヌレート官能性アルコキシシランが挙げられる。より好ましい多官能シランとしては、ガンマ−グリシドオキシ−プロピルトリメトキシシラン,ガンマ−アミノプロピルトリメトキシシラン,ガンマ−イソシアナト−プロピルトリメトキシシラン,n−ベータ−(アミノエチル)ガンマ−アミノプロピル−トリメトキシシラン,n−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン,3−アミノプロピルメチル−ジメトキシシラン,3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン,ビス−(ガンマ−トリメトキシシリル−プロピルアミン),ビス(トリエトキシシリル)プロピルアミン,n−フェニル−ガンマ−アミノプロピル−トリメトキシシラン,ガンマ−イソシアナトプロピル−メチルジメトキシシラン,ガンマ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン,ベータ(3,4−エポキシ−シクロヘキシル)エチル−トリエトキシシラン,ガンマ−グリシドオキシプロピルメチルジメトキシシラン,トリス(ガンマ−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート,3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン,3−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン,ビニルトリエトキシシラン,またはビニルトリメトキシシランが挙げられる。
【0040】
別の好ましい態様において、接着促進添加剤は、1つ以上の活性水素含有官能基を更に含有するシロキサンの、2つ以上のアクリレート基によるマイケル付加生成物である。反応生成物は、好ましくは3つ以上、およびより好ましくは6つ以上のシロキシ基を有する。反応生成物は、好ましくは活性水素原子を有さない。反応生成物は、好ましくは、フリーラジカル存在下で反応できる少なくとも1つの不飽和基も有する。好ましくは、アクリレート含有反応物質は、ジまたはポリアクリレート由来のアルコキシル化ポリオールであり、例えば、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート,プロポキシル化グリセリルトリアクリレート、または他のポリアクリレート,例えばヘキサンジオールジアクリレート,トリプロピレングリコールジアクリレート,ジプロピレングリコールジアクリレート,シクロヘキサンジメタノールジアクリレート,アルコキシル化シクロヘキサンジメタノールジアクリレート,ノナンジオールジアクリレート,トリシクロデカンジメタノールジアクリレート,シス/トランス1,3/1,4シクロヘキサンジメタノールジアクリレート,ブタンジオールジアクリレート,ブチレングリコールジアクリレート,ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート等である。マイケル付加生成物は、反応物質を約30℃から約60℃、好ましくは約55℃の高温で、例えば活性水素原子を有する全ての官能基が反応するのに十分な時間反応させることにより調製し、全アミンは3級アミンである。好ましくは、反応物質は、高温で約72時間超反応させる。マイケル付加生成物上のアルコキシ基の性質は、本発明のコーティング組成物の硬化速度に影響を与える。メトキシ基はより速く加水分解するため、シロキシ基上にメトキシ基が見出される場合には硬化反応はより速く進む。より高級のアルコキシ基が存在する場合、反応はより遅くなる。全体の反応速度、および従って作業時間は、接着促進添加剤上のアルコキシ基の相対量および存在するメトキシ基の高級アルコキシ基に対する比を調整することにより調整できる。1種以上の添加剤(例えば触媒)を、接着促進剤の合成のための反応時間加速のために採用できることが認められよう。例えば、限定しないが、3級アミンを(例えば約0.1〜約3質量部の量で)、組成物がマイケル付加生成物,例えば1,8−ジアゾビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(Aldrichから称号DBUで入手可能)を用いる場合に採用できる。
【0041】
別の態様において、接着促進添加剤は、複数のアルコキシシラン部分を有する高分子量付加物である。好ましくは、付加物は3以上、およびより好ましくは6以上のアルコキシシラン部分を有する。好ましくは、付加物は、数平均分子量約500Da以上、およびより好ましくは1,000Da以上を有する。付加物は、好ましくは、反応性水素含有部分を含有しない。好ましい態様において、付加物は、エポキシシランの反応生成物,例えばガンマプロピルトリメトキシエポキシシランまたはガンマプロピルトリエトキシエポキシシランであって、活性水素含有部分と比べて過剰のエポキシ当量が存在する条件下で反応性水素含有部分を有する1つ以上のシランを有するものである。好ましくは、エポキシ部分の活性水素含有部分に対する当量比は約1.1以上;およびより好ましくは約1.12以上である。好ましくは、エポキシ当量の活性水素含有部分に対する当量比は約1.14以下である。好ましい活性水素含有部分はアミンおよびメルカプトであり、アミンが最も好ましい。エポキシシラン活性水素含有シラン反応生成物は、その後、脂肪族ジ−またはポリイソシアネート,例えばテトラメチレンジイソシアネート(TMDI)の反応生成物および活性水素官能基含有シラン,例えばアミノシランまたはメルカプトシランと反応する。2つの反応生成物は、得られる付加物が活性水素原子またはイソシアネート基を含まないような十分な比での反応である。得られる付加物は、コーティング組成物の基材および接着剤系に対する長期接着を向上させるのに十分な量でコーティング組成物に添加する。好ましくは、高分子量アルコキシシラン含有付加物が、約1質量部以上およびより好ましくは約5質量部以上の量で存在する。高分子量アルコキシシラン含有付加物は、好ましくは、約15質量部以下およびより好ましくは約10質量部以下の量で存在する。高分子量アルコキシシラン付加物は、好ましくは、前記した反応性希釈剤と混合して本発明のコーティング組成物に添加する。好ましい態様において、接着促進添加剤は、アルコキシシラン基を含有するマイケル付加生成物と高分子量アルコキシシラン付加物との混合物を含み、好ましくは2種の付加物が、約1対約15の比、およびより好ましくは約1対約5の比で用いられる。
【0042】
(i)少なくとも1つの末端不飽和(好ましくはアクリレート基)、および(ii)3〜6のアルコキシシリル基(更なるアルコキシシリル基が好ましい)を含有する更なる接着促進剤
本発明の接着促進添加剤は、同時係属出願第11/472,119号(2006年6月20日出願)(第60/692,318号(2005年6月20日出願)の優先権を主張)にBaikerikarらによって教示される(参照により組入れる)、少なくとも1つの酸性部分を含む化合物を含むかまたはこれとの組合せで採用する。好ましくは、酸性部分は、強酸基である酸基を有する。酸の例としては、カルボン酸基、リン酸基、メルカプト酸基、硫酸基、スルホン酸基または硫黄を含有する他の酸の基のうち1つ以上が挙げられる。好ましい酸基は、カルボン酸基およびリン酸基(例えばホスフェート酸)である。最も好ましい酸基はカルボン酸基である。更に、酸が不飽和(例えばアクリレート基、メタクリレート基、ビニル基、またはアリル基による二重結合)を含有することによってコーティング中に存在する他のアクリレートと相互反応できることが好ましい。中でも酸含有化合物の好ましい分類は、酸性官能性アクリレートまたは(メタ)アクリレートであり、メタクリル酸、アクリル酸、アクリレート化ホスフェート酸エステル、モノ−2−(メタクリロキシ)エチルマレエートまたはリン酸モノアクリレート、マレイン酸、イタコン酸、ビニルホスホン酸、2−スルホエチルメタクリレート、ベータ−カルボキシエチルアクリレート、3−ブテン酸、4−ペンテン酸、アクリルアミドグリコール酸、クロトン酸、チグリン酸、2−(トリフルオロメチル)アクリル酸、ジメチルアクリル酸、ウンデシレン酸、これらの混合物等が挙げられる。酸は、ガラスまたはコートされたプラスチックおよび/または接着剤に対する結合を向上させるのに十分な量で存在する。反応性酸含有化合物は、組成物中に、コーティング組成物基準で約1質量部以上およびより好ましくは約4質量部以上の量で存在する。反応性酸化合物は、好ましくは、組成物中に、コーティングの約10質量部以下、およびより好ましくは約8質量部以下の量で存在する。一般的に、接着促進添加剤は、酸とともに、添加剤:酸の質量比が約1:1から約10:1(例えば約2:1から約5:1、およびより具体的には約3:1)で用いることができる。
【0043】
組成物は、フィルム形成性レジンの硬化を硬化条件下で開始させることが可能な触媒または開始剤も更に含むことができる。好ましくは、このような硬化条件は、フリーラジカルまたはカチオンを形成させるのに十分である。好ましい触媒または開始剤としては、フリーラジカルの形成によってフリーラジカル重合を開始させるかもしくはカチオンを生成する光開始剤、またはフリーラジカルを生成するかまたは熱への曝露時にカチオンを形成もしくは放出する熱開始剤が挙げられる。化学線に対する対応する感受性を有する光開始剤系は、通常、本発明の化合物を含有する配合物中に組入れられ、そして照射時に重合を開始させることが可能な反応性種の形成を招来する。1つの好ましい態様において、開始剤は、照射露光時にフリーラジカル重合を開始させる化合物である。光開始剤の例としては、アルファアミノケトン、アルファヒドロキシケトン、ホスフィンオキサイド、フェニルグリオキサレート、チオキサントン、ベンゾフェノン、ベンゾインエーテル、オキシムエステル、ベンジルケタール、アミン共力剤、マレイミド、これらの混合物等が挙げられる。好ましい光開始剤としては、以下のカテゴリの化合物:ホスフィンオキサイド、ケトンおよびその誘導体、ベンゾフェノン、カルボシアニンおよびメチン、多環芳香族炭化水素(例えばアントラセン等)、ならびに染料(例えばキサンテン、サフラニンおよびアクリジン)が挙げられる。より一般的には、これらは本質的に以下の主要なカテゴリ:カルボニル基を含有する化合物(例えばペンタンジオン、ベンジル、ピペラナール、ベンゾインおよびそのハロゲン化誘導体、ベンゾインエーテル、アントラキノンおよびその誘導体、p,p’−ジメチルアミノベンゾフェン、ベンゾフェノン等);硫黄またはセレニウムを含有する化合物(例えば、ジ−およびポリスルフィド、キサントゲン酸塩、メルカプタン、ジチオカルバメート、チオケトン、ベータ−ナフトセレナゾリン);パーオキサイド;窒素を含有する化合物(例えばアゾニトリル、ジアゾ化合物、ジアジド、アクリジン誘導体、フェナジン、キノキサリン、キナゾリンおよびオキシムエステル,例えば、1−フェニル1,2−プロパンジオン2−[0−(ベンゾイル)オキシム];ハロゲン化化合物(例えば、ハロゲン化ケトンまたはアルデヒド、ハロゲン化メチルアリール、ハロゲン化スルホニルまたはジハロゲン化スルホニル);ホスフィン酸化物および光開始剤染料(例えば、ジアゾニウム塩、アゾキシベンゼンおよび誘導体、ローダミン、エオシン、フルオレセイン、アクリフラビン等)のうちの1つに属する化学物質である。一般的な光開始剤としては、2,2−ジエトキシアセトフェノン,ジメトキシフェニルアセトフェノン,フェニルベンゾイン,ベンゾフェノン,置換ベンゾフェノン,ホスフィンオキサイド等が挙げられる。ベンゾフェノンおよび同様の化合物を光開始剤として用いる場合、共力剤(例えば3級アミンまたはポリマーアミン(例えば2級または1級アミン末端のポリ(プロピレンオキサイド)ポリオール))が、光吸収エネルギーの重合開始フリーラジカルへの変換を向上させるために採用されることが当業者に理解される。
【0044】
光開始剤は、不飽和を含有する分子または開始剤部に、光によって伝達されるエネルギーを供給する。不飽和系または光開始剤によって、光増感剤は、組成物の重合または架橋を開始させるフリーラジカルまたはイオンを生成する。公知の光開始剤との混合物,例えばカンファーキノン;ベンゾフェノン;ベンゾフェノン誘導体(例えば1−[4−(4−ベンゾイル−フェニルスルファニル)−フェニル]2−メチル−2−(トルエン−4−スルホニル)−プロパン−1−オン);アセトフェノン、アセトフェノン誘導体,例えばα−ヒドロキシシクロアルキルフェニルケトンまたはジアルコキシアセトフェノン;α−ヒドロキシ−またはα−アミノ−アセトフェノン,例えば、オリゴ−[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)−フェニル]−プロパノン];2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパノン、2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−フェニル]−2−メチル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルホリニル)−プロパン−1−オン,2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン,2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−ブタン−1−オン,2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン,2−メチル−1−(4−メチルスルファニル−フェニル)−2−モルホリン−4−イル−プロパン−1−オン;4−アロイル−1,3−ジオキソラン;ベンゾインアルキルエーテルおよびベンジルケタール,例えば,ベンジルジメチルケタール,フェニルグリオキサレートおよびその誘導体,例えばメチルベンゾイルホルメート;二量体フェニルグリオキサレート,例えばオキソ−フェニル−酢酸2−[2−(2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ)−エトキシ]−エチルエステル;パーエステル,例えばベンゾフェノン−テトラカルボン酸パーエステル、例えばEP126 541(US4,777,191およびUS4,970,244 参照により本明細書に組入れる)に記載されるもの;モノアシルホスフィンオキサイド,例えば(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ジフェニル−ホスフィンオキサイドまたはフェニル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ホスフィン酸エチルエステル,ビスアシルホスフィンオキサイド,例えばビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−(2,4,4−トリメチル−ペント−1−イル)ホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニル−ホスフィンオキサイドまたはビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−(2,4−ジペントキシフェニル)ホスフィンオキサイド、トリサチルホスフィンオキサイド;ハロメチルトリアジン,例えば2−[2−(4−メトキシ−フェニル)−ビニル]−4,6−ビス−トリクロロメチル−[1,3,5]トリアジン,2−(4−メトキシ−フェニル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−[1,3,5]トリアジン,2−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−[1,3,5]トリアジン,2−メチル−4,6−ビス−トリクロロメチル−[1,3,5]トリアジン;ヘキサアリールビスイミダゾール/共開始剤系,例えばオルト−クロロヘキサフェニル−ビスイミダゾールを2−メルカプトベンズチアゾールとともに;フェロセニウム化合物またはチタノセン,例えばジシクロペンタジエニルビス(2,6−ジフルオロ−3−ピロロ−フェニル)チタニウム;ボレート光開始剤またはO−アシルオキシム光開始剤,例えばGB2,339,571(US6,596,445 参照により本明細書に組入れる)に記載されるもの;との混合物を用いることも可能である。
【0045】
熱フリーラジカル開始剤,例えばベンゾイルパーオキサイド(他の好適なパーオキサイドは、米国特許第4,950,581号第19欄第17−25行に記載されている)(参照により本明細書に組入れる)またはカチオン性開始剤,例えば芳香族のスルホニウム、ホスホニウムまたはヨードニウム塩(例えば米国特許第4,950,581号第18欄第60行〜第19欄第10行(参照により本明細書に組入れる)に記載されるもの)を添加することも可能である。ヨードニウム塩の例は、(4−イソブチル−フェニル)−4−メチルフェニル−ヨードニウムヘキサフルオロホスフェートである。マレイミド誘導体,例えば米国特許第6,153,662号または第6,150,431号(両者は参照により本明細書に組入れる)に記載されるものもまた存在できる。言及できる例は、N−(2−トリフルオロメチル−フェニル)マレイミドおよびN−(2−tert−ブチルフェニル)マレイミドである。
【0046】
中でも光開始剤の好ましい分類は、アルファアミノケトン、ベンゾフェノン、ホスフィンオキサイド、アルファヒドロキシケトン、これらの混合物等であり、ホスフィンオキサイドが最も好ましい。中でも好ましい光開始剤は、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン(Ciba GeigyからIRGACURE 184で入手可能), オリゴマー性アルファヒドロキシケトン,例えばESACURE ONEまたはKIP 150(Lambertiより),2−ベンジル2−N−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン(Ciba GeigyからIRGACURE 369または IRGACURE 379で入手可能),およびホスフィンオキサイド(BASFからLUCIRIN TPO,LUCIRIN TPO−L,LUCIRIN TPO−XLで,またはIRGACURE 819,IRGACURE 2100でCibaから入手可能),これらの混合物,例えばSARCURE(商標)SR 1135(Sartomerから)またはESCACURE KTO 46もしくはTZT(Lambertiから)(これはアルファヒドロキシケトンベンゾフェノン誘導体とホスフィンオキサイドとの混合物である)等である。好ましくは、触媒または開始剤は、コーティング組成物の質量基準で約0.1質量部以上、より好ましくは約1質量部以上、更により好ましくは約2質量部以上および最も好ましくは約4質量部以上で存在する。好ましくは、触媒または開始剤は、コーティング組成物の質量基準で約20質量部以下、より好ましくは約12質量部以下、更により好ましくは約10質量部以下、および最も好ましくは約8質量部以下の量で存在できる。
【0047】
本発明の1つの具体的な側面において、本発明のコーティング組成物は、2つの機構で硬化する。第1に、これらは不飽和部分のフリーラジカル重合またはカチオン重合の結果として硬化する。更に、これらはシラノール縮合によって硬化する。シラノール縮合は、環境中の湿度への曝露時に進行する。米国出願第11/472,119号(2006年6月20日出願)(第60/692,318号(2005年6月20日出願)の優先権を主張)(参照により組入れる)にBaikerikarらによって記載されるように、シラノール縮合は、酸、塩基または有機金属触媒によって触媒される。本発明の組成物は、一般的に、酸含有化合物を含有し、そして反応を触媒するアミンを含有してもよい。これに代えて、好適な湿度硬化触媒を添加できる。
【0048】
コーティング組成物は、1種以上の他の含有成分,例えば、米国出願第11/472,119号(2006年6月20日出願)(第60/692,318号(2005年6月20日出願)の優先権を主張)(参照により組入れる)にBaikerikarらによって記載されるものを更に含むことができる。例えば、中でも、コーティング組成物中に含まれることができる追加の任意含有成分は、顔料、色素、分散剤または固体粒子の分散体を液体媒体中で安定化させてボイドを有さない連続フィルムの形成を促進する界面活性剤、基材の濡れおよびコーティングの外観を改善するために存在する表面活性剤であり、発泡または気泡の形成を防止し、かつ組成物の接着特性に負の影響を与えない消泡剤および/または脱気剤も使用でき、硬化条件への曝露前の重合を防止するための重合阻害剤、耐水性および/または組成物の基材に対する接着を改善する化合物またはポリマー、硬度および耐摩耗性を改善する目的のコロイダルシリカアクリレート、組成物の柔軟性および接着を改善するために軟化剤またはゴム強化剤、またはこれらの任意の組合せも使用できる。
【0049】
本発明のコーティング組成物は、添加される顔料または色素を実質的に有さないことが意図される。しかし、添加される場合には、本発明において有用な顔料または色素は、有機または無機であることができる。好ましい無機顔料としては、黒色酸化鉄、酸化亜鉛、酸化セリウム、チタニア(TiO2)、および赤外(IR)反射顔料,例えばクロミウムグリーン−ブラックヘマタイトが挙げられ、一方、好ましい有機顔料としては、カーボンブラック、フタロシアニン、アントラキノン、ペリレン、カルバゾール、モノアゾ−およびジアゾベンズイミダゾロン、イソインドリノン、モノアゾナフトール、ジアリリドピラゾロン、ローダミン、インジゴ、キナクリドン、ジアゾピラントロン、ジニトラニリン、ピラゾロン、ジアニシジン、ピラントロン、テトラクロロイソインドリノン、ジオキサジン、モノアゾアクリリド、アントラピリミジン、およびこれらの混合物が挙げられる。本発明の組成物において有用な市販の顔料の列挙は、米国出願公開第2002/0086914号(関係部分を参照により本明細書に組入れる)に開示されている。好ましい顔料としては、カーボンブラックまたは黒色酸化鉄または黒色IR反射顔料が挙げられる。採用される場合には、顔料または色素は、コーティングの約1〜約15質量部の任意の好適な量(例えば、約1,2,3,4,5,8,12または更に15質量部)で存在できる。
【0050】
採用される場合、本発明に従って使用できる分散剤の例としては、アニオン性界面活性剤,例えばリグノスルホネート、ジアルキルスルホサクシネート、スルフェート化またはスルホネート化された脂肪酸または脂肪酸の脂肪酸エステル、エチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドと飽和もしくは不飽和の脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪族アミン、脂環式アルコール、または無機酸素含有酸もしくは多塩基カルボン酸で末端部分においてエステル化された脂肪族−芳香族炭化水素との反応生成物が挙げられる。有用な分散剤としては、以下の非イオン性界面活性剤:エチレンオキサイドの、高級脂肪酸、飽和もしくは不飽和の脂肪族アルコール、脂肪族アミン、メルカプタン、脂肪酸アミド、脂肪酸アルキロールアミドもしくは脂肪族アミンとの、またはアルキルフェノールもしくはアルキルチオフェノールとの付加生成物の分類によるエチレンオキサイド付加物であって、言及される化合物のモル当たり5〜100モルのエチレンオキサイドが使用されるもの、さらにエチレンオキサイド−プロピレンオキサイドブロックポリマーおよびエチレン−ジアミン−エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド付加物が挙げられる。これらとしては:8〜20個の炭素原子を有する飽和および/または不飽和の脂肪族アルコールと、アルコールのモル当たり20〜100モルのエチレンオキサイドとの反応生成物、好ましくは飽和直鎖C16〜C18アルコールとアルコールのモル当たり25〜80mol,特に25molのエチレンオキサイドとの反応生成物;8〜20個の炭素原子を有する飽和および/または不飽和の脂肪酸と、酸のモル当たり5〜20molのエチレンオキサイドとの反応生成物;7〜12個の炭素原子を有するアルキルフェノールと、フェノール性ヒドロキシ基のモル当たり5〜25molのエチレンオキサイドとの反応生成物、好ましくはモノ−またはジアルキルフェノールとフェノール性ヒドロキシル基のモル当たり10〜20molのエチレンオキサイドとの反応生成物;20個以下の炭素原子を有する飽和および/または不飽和の脂肪酸アミドと、酸アミドのモル当たり5〜20molのエチレンオキサイドとの反応生成物、好ましくはオレイン酸アミドと酸アミドのモル当たり8〜15molのエチレンオキサイドとの反応生成物;8〜20個の炭素原子を有する飽和および/または不飽和の脂肪族アミンと、アミンのモル当たり5〜20molのエチレンオキサイドとの反応生成物、好ましくはオレイルアミンとアミンのモル当たり8〜15molのエチレンオキサイドとの反応生成物;エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドブロックポリマーであって10〜80パーセントのエチレンオキサイドを有し分子量1,000〜80,000のもの;エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドのエチレンジアミン付加物;が挙げられる。分散剤の別の有用な分類は、ポリマー分散剤および保護コロイドであり、両親媒性コポリマー、ブロックコポリマーまたはグラフトもしくは櫛型ポリマー,特にアクリル酸、メタクリル酸またはこれらの塩を基にするもの、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリル酸、アミノアルキル(メタ)アクリル酸またはその塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)またはその塩、無水マレイン酸またはその塩、(メタ)アクリルアミドまたは置換(メタ)アクリルアミド、ビニル複素環,例えばビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、更に両親媒性ポリマーであって(ポリエチレンオキサイド)PEOまたはEO/PO(エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド)コポリマーのセグメントを含むものが挙げられる。好適な保護コロイドの例は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンまたはそのコポリマーである。合成モノマー(特にカルボキシル基を有するモノマー)のコポリマー,例えば2−ビニルピロリドンと3−ビニルプロピオン酸とのコポリマーもしくはマレイン酸コポリマーおよびそれらの塩も好適である。
【0051】
最も好ましい分散剤および界面活性剤としては、ポリマーアミド超分散剤(Noveonから商標SOLSPERSE 32000および39000で入手可能)、およびポリプロピレンオキサイド系アンモニウム塩,例えばジエチルポリプロポキシメチルアンモニウムクロリド(Degussaから商標および称号VARIQUAT CC−59で入手可能)、およびジエチルポリプロポキシ2−ヒドロキシアンモニウムホスフェート(Degussaから商標および称号VARIQUAT CC−42NSで入手可能)、およびリン酸エステル,例えばRHODAFAC RS−610およびRE 610(Rhodiaから入手可能)、または不飽和リン酸エステル,例えばMAXEMUL 6106および6112(Uniqemaから入手可能)等が挙げられる。
【0052】
採用される場合、分散剤は、米国出願第11/472,119号(2006年6月20日出願)(第60/692,318号(2005年6月20日出願)の優先権を主張)にBaikerikarらによる教示(参照により組入れる)と同じように、任意の好適な量で使用できる。例えば、任意の分散剤および/または界面活性剤は、組成物の質量基準で約0.5質量部以上、および最も好ましくは約1.0質量部以上の量で採用できる。分散剤および/または界面活性剤は、コーティング組成物の質量基準で、好ましくは約10質量部以下、および最も好ましくは約5質量部以下の量で使用する。
【0053】
採用される場合、基材の濡れおよびコーティングの外観を改善するための表面活性剤のために、基材の濡れおよびコーティングの外観を改善するのに有用な任意の表面活性剤を使用できる。例としては、コート間接着への影響が制限された表面活性剤,例えば低シリコーン量のポリジメチルシロキサン、シリコーンアクリレート、シリコーン不含有湿潤剤/界面活性剤、これらの混合物等が挙げられる。より好ましい表面活性剤としては、低シリコーン量のポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、シリコーンアクリレート、およびコート間接着に影響しない、シリコーン不含有湿潤剤、種々の有機官能基(例えばカルボン酸、アミン、ヒドロキシル、アクリレート、メタクリレート、ビニル、エポキシ、イソシアネート、ホスホン酸等)を有するシロキサン、これらの混合物等が挙げられる。1つの具体的な表面活性剤としては、1種以上のシリコーンアクリレート,例えばTego Chemie(Degussa)から商標および称号TEGO RAD 2100,2200N,2250,2300,および2500で入手可能なもの、もしくはBYK UV 3500シリーズ(3500,3510,3530,3570)(BYK Chemieから入手可能)、または種々の有機官能基を有するシロキサンであってSILMERシリーズでSiltech Corporationから入手可能なもの、または1種以上のポリアクリレート,例えばModaflow(UCBより)が挙げられる。表面活性剤は、組成物中に、コーティングの表面外観、基材の濡れおよびレベリングを改善するのに十分な量で存在する。好ましくは、表面活性剤は、組成物の質量基準で、約0.05質量部以上、更により好ましくは約0.1質量部以上、および最も好ましくは約0.2質量部以上で存在する。表面活性剤は、コーティング組成物の質量基準で、好ましくは、約2質量部以下、より好ましくは約1質量部以下で存在する。
【0054】
発泡または気泡の形成を防止し、かつ組成物の接着特性に負の影響を与えない任意の消泡剤および/または脱気剤を使用できる。好ましい消泡剤はシリコーン消泡剤、シリコーン不含有消泡剤、ポリアクリレート消泡剤、これらの混合物等である。より好ましい消泡剤としては、FOAM BLAST(商標)20F,FOAM BLAST(商標)30およびFOAM BLAST(商標)550ポリアクリレート消泡剤(Lubrizolから入手可能);TEGO AIREX(商標)920ポリアクリレート消泡剤およびTEGO AIREX(商標)980(Degussaより),SILMER ACR Di−OおよびACR Mo−8ポリジメチルシロキサンアクリレートコポリマー(Siltech Corporationより)またはFOAMEX N(商標)シリコーン系消泡剤(Degussaから入手可能)またはBYK 1790シリコーン不含有消泡剤(BYK Chemieより)が挙げられる。消泡剤/脱気剤は、本発明の組成物中に、気泡および/または泡の形成を防止するのに十分な量,例えばコーティング組成物の質量基準で約0.05質量部以上、およびより好ましくは約0.1質量部以上の量で存在する。消泡剤/脱気剤を、組成物の質量基準で約1.0質量部以下の量で採用することも可能である。
【0055】
組成物中に含有される官能基の重合を防止する任意の重合阻害剤を使用できる。フリーラジカルに曝露された際に官能基が重合する場合には、ハイドロキノン、フェノチアジン(最も好ましい)、これらの混合物等を使用できる。重合阻害剤の具体例としては、4−メトキシフェノール(MEHQ)、ハイドロキノン(HQ)、2,6−Di−tert−ブチル−4−メチルフェノール,すなわちブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、フェノチアジン、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル,例えばXENOXYL(Aveciaから入手可能)、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−1−オキサイド(TEMPO),IRGASTAB UV 10(Cibaより),ADDITIVE(商標)01−468もしくはGENORAD(商標)16(Rahnから入手可能)が挙げられる。好ましくは、重合阻害剤は、コーティング組成物の質量基準で、約0.01質量部以上、より好ましくは約0.05質量部以上の量、および最も好ましくは約0.1質量部以上の量で存在する。好ましくは、重合阻害剤は、コーティング組成物の質量基準で、約2質量部以下、およびより好ましくは約1質量部以下の量で存在する。
【0056】
中でも、耐水性および/または組成物の基材に対する接着性を改善するための化合物は、ポリブタジエンアクリレート、フッ素化アクリレートまたはフルオロシラン、シリル化ポリマー(例えば、イソシアナトシランとヒドロキシ官能性アクリレートとの、またはアミノシランと多官能アクリレートとの反応生成物)である。耐候性を改善するために、以下の成分:ヒンダードアミン光安定剤,例えばTINUVIN(商標)123,152,292,もしくは5100(Ciba Geigyより)またはSANDUVOR(商標)TB−02もしくは3058(Clariantより)、紫外線吸収剤または紫外線安定剤,例えばTINUVIN(商標)400,479,R600,R796もしくは1130(Ciba Geigyから入手可能),SANDUVOR(商標)PR−31(Clariantから入手可能)またはHOMBITEC(商標)RM 300(Sachtlebenから入手可能)を添加できる。組成物は、酸化防止剤,例えばIRGANOX(商標)1035もしくは1076(Ciba Geigyより)またはETHANOX(商標)376およびETHAFOS(商標)368(Albemarleより)を更に含むことができる。組成物は、組成物の加水分解安定性を改善するために湿気捕捉剤も含むことができる。組成物の機能に影響しない当該分野で公知の任意の湿気捕捉剤を使用できる。中でも好ましい湿気捕捉剤は、ビニルトリメトキシシラン、オリゴマービニルトリメトキシシラン(例えばDYNASYLAN 6490,Degussaより)、トリエチルオルト−ホルメート、トリエチルオルトアセテートおよびモレキュラーシーブ粉末,例えばSYLOSIV(商標)(Grace Davisonより)である。
【0057】
中でも好ましいコロイダルシリカアクリレートは、アクリレート中シリカナノ粒子分散体,例えばイソボルニルアクリレート,ヘキサンジオールジアクリレート,トリプロピレングリコールジアクリレート,プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート,プロポキシル化グリセリルトリアクリレート,トリメチロールプロパントリアクリレート,エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート,環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート,ヒドロキシ官能性アクリレート(すなわちヒドロキシエチル(メタ)アクリレート),アルコキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート,またはアクリレートオリゴマーである。このような分散体は、ClariantからHIGHLINK NANOで、そしてHanse−ChemieからNANOCRYLで入手可能である。アクリレートモノマー中のコロイダルアルミナナノ粒子分散体,例えばNANODUR(Nanophase Technologiesより)またはNANOBYK(BYK−Chemieより)もまた使用できる。加えて、アクリレートモノマー中のポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレンまたはポリプロピレンワックス分散体,例えば
EVERGLIDE もしくはS−390もしくはSSTシリーズ(Shamrock Technologiesによる製品)、またはポリアミド粒子,例えばORGASOL(Arkemaより)を、耐スクラッチ性およびスリップを更に改善するために使用できる。これに代えて、ワックスを粉末形状で添加できる。ワックス分散体は、好ましくは、約0.5質量部以上、および好ましくは約1質量部以上の量で存在する。ワックス分散体は、約10質量部以下の量で存在する。
【0058】
軟化剤の例は、熱可塑性アクリルビーズレジン,例えばELVACITE(商標)熱可塑性アクリルビーズレジン(Lucite (Ineos Resins)より)またはHYCAR液体ブタジエンレジン(Noveonより)である。
【0059】
得られる本発明のコーティング組成物(または接着促進添加剤)は、1種以上の補助レジンを含有でき、これらに限定するものではないが、既に開示した1種以上の追加または代替のフィルム形成性レジンであって、重合可能な少なくとも1つの官能基、ならびに/またはこのようなフィルム形成性レジンおよび/もしくは前述で既に開示した任意のフィルム形成性レジンと反応可能な1種以上の反応性希釈剤を有するものが挙げられる。補助フィルム形成性レジンの例としては、同時係属出願第11/472,119号(2006年6月20日出願)(第60/692,318号(2005年6月20日出願)の優先権を主張)にBaikerikarらによって教示される(参照により組入れる)フィルム形成性レジンが挙げられる。
【0060】
補助フィルム形成性レジンは、フリーラジカルに曝露された際に重合する官能基,例えばビニル、アクリレート、スチレン、ジエン、メタクリレート、アリル、チオレン、ビニルエーテル、不飽和エステル、イミド、N−ビニル、アクリルアミド含有部分、これらの混合物等を含有できる。より好ましい態様において、フィルム形成性レジン上の官能基は、アクリルおよび/またはメタクリル部分である。多くの態様において、フィルム形成性レジンは、記載される官能基を有するオリゴマーまたはプレポリマーである。中でもオリゴマーおよびプレポリマーの好ましい種類はウレタンアクリレート,例えば脂肪族および芳香族のウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、メラミンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、シリコーンアクリレート、樹状アクリレート、ポリブタジエンアクリレート、アミンアクリレート、アクリルアクリレート、金属アクリレート(すなわち亜鉛含有アクリレート)、アミドアクリレート、塩素化ポリエステルアクリレート、アリルオリゴマー、無水物/カルボン酸含有芳香族酸アクリレート/メタクリレート半エステルオリゴマー、超分岐アクリレート、イミド/エステル/アミド含有アクリレート自己開始オリゴマー(例えば光開始剤を少量用いるかまたは実質的に用いないオリゴマー)、アクリレート化フェノキシオリゴマー、アクリルアミドメチル置換セルロースエステル、二官能アクリレート化オリゴマー(すなわち、アクリレートと、ヒドロキシル、イソシアネート、カルボン酸、無水物またはエポキシ基のいずれかとを含有する)、およびスピロオルトカーボネートエステルまたはこれらの混合物である。オリゴマーおよびプレポリマーの1つの具体的な分類としては、脂肪族ウレタンアクリレートが挙げられ、この市販例としては、Cytec Surface Specialtiesから商標EBECRY、および称号244,264,265,284N,1290,4833,4866,8210,8301,8402,8405,8807,5129および8411で入手可能なもの;Sartomerから称号CN985B88,964,944B85,963B80,CN929,CN996,CN968,CN980,CN981,CN982B90,CN983,CN991;CN2920,CN2921,CN2922,CN9001,CN9006,CN9008,CN9009,CN9010で入手可能なもの;GENOMER4302および4316ならびにUA00−022,Rahnより入手可能;PHOTOMER 6892および6008,Cognisから入手可能;NK OLIGO(商標)U24AおよびU−15HA(商標),Kowaから入手可能;が挙げられる。脂肪族ウレタンアクリレートの追加的な供給者としては、BRシリーズの脂肪族ウレタンアクリレート,例えばBR144または970(Bomar Specialtiesから入手可能)またはLAROMERシリーズの脂肪族ウレタンアクリレート,例えばLAROMER LR 8987(BASFより)が挙げられる。
【0061】
補助フィルム形成性レジンは、任意の好適な量(例えば、コーティング組成物の質量基準で約10質量部以上およびより好ましくは約15質量部以上、または、総レジン量が約10質量部以上およびより好ましくは約15質量部以上となるように)で存在できる。好ましくは、フィルム形成性レジン(または総レジン量)は、組成物中に、コーティング組成物の質量基準で、コーティングの約70質量部以下、およびより好ましくは約60質量部以下、より好ましくは約50質量部以下および最も好ましくは40質量部以下の量で存在する。
【0062】
組成物は、任意に、反応性希釈剤を、所望の粘度を実現するのに十分な量で更に含むことができる。反応性希釈剤は、モノ官能性または多官能性のものであることができ、この用語は、同時係属出願第11/472,119号(2006年6月20日出願)(第60/692,318号(2005年6月20日出願)の優先権を主張)にBaikerikarらによって記載される(参照により組入れる)。好ましくは、反応性希釈剤は、フリーラジカルに曝露された際に重合する不飽和化合物またはカチオン反応機構を介して反応する化合物を有する。反応性希釈剤中に使用できる官能基の例としては、ビニル、アクリレート、スチレン、ジエン、メタクリレート、アリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、脂環式エポキシド、アルファエポキシド、アクリロニトリル、およびメタクリロニトリル含有部分、これらの組合せ等が挙げられる。好ましい官能基は、フリーラジカルに曝露された際に重合する官能基である。中でも、フリーラジカルに曝露された際に重合する好ましい官能基は、ビニル、アクリレート、スチレン、ジエン、メタクリレート、およびアリル含有部分、これらの組合せ等である。有用なモノ官能性反応性希釈剤の代表的な例としては、スチレン、アルファ−メチルスチレン、置換スチレン、ビニルエステル、ビニルエーテル、N−ビニル−2−ピロリドン、(メタ)アクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド、オクチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエトキシレート(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ベータ−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジヒドロジシクロペンタジエニルアクリレート、脂環式エポキシド、アルファ−エポキシド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、無水マレイン酸、イタコン酸、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルホルムアミド、ステアリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシ官能性カプロラクトンエステル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシイソプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシイソブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、これらの組合せ等が挙げられる。1つの好ましい態様において、反応性希釈剤は、モノ官能性アクリレートである。中でも好ましいモノ官能性アクリレートは、2−(2−オキシ)エチルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、ヒドロキシルエチルアクリレート、他の長鎖アルキルアクリレート、イソボルニルアクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、モノ官能性脂肪族ウレタンアクリレート、これらの混合物等である。より好ましい態様において、反応性希釈剤はポリアクリレートである。ポリアクリレート反応性希釈剤の例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシル−エチル)イソシアヌレートトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、およびアルコキシル化ポリオール由来ジまたはポリアクリレート,例えばプロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレートまたはプロポキシル化グリセロールトリアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、これらの組合せ等が挙げられる。好ましい反応性希釈剤は、ジアクリレート,例えば1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、シス/トランス1,3/1,4シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、アルコキシル化シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート等である。より好ましい反応性希釈剤としては、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート, プロポキシル化グリセリルトリアクリレートおよびトリプロピレングリコールジアクリレート、およびシス/トランス1,3/1,4シクロヘキサンジメタノールジアクリレートが挙げられる。中でも最も好ましいモノ官能性アクリレートモノマーは、イソボルニルアクリレートである。
【0063】
好ましくは、反応性希釈剤は、コーティング組成物の質量基準で、約2質量部以上、より好ましくは約5質量部以上、および更により好ましくは約10質量部以上の量で存在する。反応性希釈剤は、好ましくは、コーティング組成物の質量基準で、約30質量部以下、より好ましくは約25質量部以下、および更により好ましくは約20質量部以下の量で存在する。
【0064】
好ましい態様において、反応性希釈剤の混合物、例えばモノ官能性、二官能性、および三官能性の希釈剤のブレンドを使用できる。好ましくは、このような場合、2より大きい官能性の任意の反応性希釈剤が、コーティングの約1質量部以上、より好ましくは約3質量部以上、および最も好ましくは約4質量部以上の量で存在する。好ましくは、2より大きい官能性の反応性希釈剤は、コーティングの約15質量部以下、およびより好ましくは約12質量部以下、および最も好ましくは約10質量部以下の量で存在する。
【0065】
得られるコーティング組成物は、好ましくは、基材への適用のために加工できるようにする粘度を有する。使用できる具体的な粘度は、適用方法によって決定付けられる。例えば、スクリーン印刷用の配合物は、インクジェット印刷用に用いる配合物よりも大幅に高い粘度が必要である。例えば、組成物をスクリーン印刷で適用する場合、コーティング組成物は、典型的には、粘度約2,000センチポイズ以上、およびより好ましくは約5,000センチポイズ以上を有する。好ましくは、コーティング組成物は、粘度50,000センチポイズ以下を有する。コーティング組成物をインクジェット印刷で適用する場合、組成物は、粘度5センチポイズ以上を有する。好ましくは、コーティング組成物は、粘度50センチポイズ以下を有する。コーティング組成物をスプレーによって基材上に適用する場合、組成物は、粘度5センチポイズ以上を有する。好ましくは、コーティング組成物は、粘度100センチポイズ以下を有する。
【0066】
本発明のコーティング組成物は、当該分野で開示されている技術を用いて含有成分を接触させ、そしてブレンドすることにより製造できる。1つの好ましい手法において、安定な均一分散体が得られるような条件下で物質を接触させる。物質はほぼ室温(約20〜25℃)から約60℃、および好ましくは室温で接触させることができる。成分は、空気中でブレンドでき、そして好ましくは乾燥環境中でブレンドすることによって組成物の加水分解安定性を改善できる。好ましくは、物質は、約60分間以上、より好ましくは約90分間以上ブレンドする。好ましくは、物質は、約240分間以下、およびより好ましくは約180分間以下の間ブレンドする。コーティング組成物は、任意に、粉砕ステップに供されてもよい。この粉砕は、このような粉砕を行なうために当業者に公知の任意の設備(すなわち、ボールミル、水平または垂直メディアミル、サンドミルまたはペブルミル等)において行なわれる。好ましくは、組成物は乾燥環境中に貯蔵する。
【0067】
コーティング組成物は、当該分野で開示される任意の手段,例えばブラシ、ローラー、表面上へのスプレー、インクジェット印刷、スクリーン印刷等を用いて、ガラスまたはコートされたプラスチックに適用できる。これは、当該分野で開示されるロボット適用装置(例えば、少なくとも2軸の動作を有するもの)を用いて適用できる。基材の表面へのコーティング組成物の適用後、これを重合条件,例えば触媒または開始剤にフリーラジカルの形成およびフリーラジカル重合を開始させる1つ以上の操作に曝露する。好ましい態様において、触媒または開始剤は光開始剤であり、そして重合は、組成物を放射線,例えば紫外線または電子ビームに曝露することによって開始させる。放射線官能基の架橋を実現するために用いるエネルギー源は、化学線(例えば、スペクトルの紫外領域または可視領域の波長を有する放射線)、加速粒子(例えば、電子ビーム放射線)、熱(例えば熱または赤外線)等であることができる。好ましくは、エネルギー源は、化学線または加速粒子である。このようなエネルギー源は架橋の開始および速度に亘って優れた制御を与えるからである。加えて、化学線および加速粒子は、比較的低温で架橋させるために使用できる。好適な化学線源としては、水銀ランプ、無電極ランプ、キセノンランプ、カーボンアークランプ、タングステンフィラメントランプ、レーザー、電子ビームエネルギー、日光等が挙げられる。紫外線,特にキセノンランプ、中圧水銀ランプまたは無電極ランプによるものは最も好ましい。
【0068】
本発明の接着促進添加剤を含むコーティング組成物でコートできる基材としては、組成物を受入れるための任意の好適な基材を挙げることができる。基材は、コートされる部分の一部または全部に亘って表面処理されていてもされていなくてもよい。基材は、金属、セラミック、プラスチック、またはこれらの任意の組合せであることができる。基材は任意の形状,例えばシート、フィルム、箔、板、棒、竿、ワイヤ、布または他のものであることができる。基材は中実または多孔質であることができる。基材は織られていても織られていなくてもよい。基材は、平滑表面仕上げ、粗化表面仕上げ、またはこれらの組合せを、コートされる部分の一部または全部に亘って有することができる。本明細書の基材は、1つの特定の態様において、その体積の少なくとも一部に亘って透明(すなわち、光学的に透明)であることができる。例えば、本発明は窓または他のパネル(例えば、自動車の風防、バックライト、サイドライト、ライトレンズ、ミラー、サンルーフ、ゲージレンズ等)への被包のために特に有用であるため、典型的には、基材は、少なくとも1つの表面を通じて、そして特に両方の対向表面を通じ、表面の面積の少なくとも約25%に亘って、およびより具体的には少なくとも主要部(例えば表面の面積の少なくとも約60%、75%または更に90%)が透明なパネルであることができる。
【0069】
特定の態様において、本明細書の基材は、一般的に、実質的に非晶質の材料、および特に非晶質のセラミック(ガラス等)、プラスチックまたはこれらの組合せから形成できる。好適な基材物質の限定しない例としては、ポリ(メタ)アクリレート、ポリカーボネート、ビニル、ポリエステル(例えば、配向ポリエステル)、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリアミド、ガラス、これらの任意の組合せ(例えばラミネートガラス)等が挙げられる。特定の例において、基材は、ガラス、ポリ(メタ)アクリレート、ポリカーボネートまたはこれらの任意の組合せから選択される物質を含むかまたは更には本質的にそれからなる。例示的な物質は、米国特許第7,129,444号明細書第11−12欄(参照により組入れる)にも記載されている。
【0070】
本明細書の基材は、典型的には、少なくとも1つの表面(その上に、コーティング組成物が適用されるもの)を含む。表面は、任意に、コーティングの基材に対する結合強度を改善するために、例えばプライマー、フレームスプレー、コロナ処理、プラズマ処理、または幾つかの他の表面処理によって処理できる。しかし、1つの具体例において、外側表面は実質的にいずれの表面処理も有さない。よって、適用時に、コーティング組成物は基材と直接密接に、そして特にはいずれの中間層も実質的に不存在下で接触する。無論、組成物を基材に適用した後に、組成物および基材の一方または両方の一部または全部に亘って、更なる層(例えば、シリコーン、アクリル、ポリウレタン、または他のものを、保護オーバー層を実現するために)を適用することも可能であり、例えば米国特許第7,129,444号の第12−14欄(参照により組入れる)に開示されている。本発明のコーティング組成物は、フリット(例えば、同時係属出願第11/472,119号(2006年6月20日出願)(第60/692,318号(2005年6月20日出願)の優先権を主張)にBaikerikarらによって教示される(参照により組入れる)種類のフリット)の上に、下におよび/または隣接して採用することも可能である。
【0071】
適用時に、本発明のコーティング組成物は、一般的に厚み最大約250ミクロン以上を有する。より一般的にはこれは約150ミクロン未満、約100ミクロン未満または更に約50ミクロン未満(例えば、約10〜約30ミクロンまたはそれ未満)である。
【0072】
幾つかの用途は、本発明のコーティング組成物で基材の実質的に全表面をコーティングすることを要求するが、通常コーティング組成物は、予定パターンに従って(例えば、実質的に基材の端部沿い、基材の外周周辺、基材の内側または中心部または他に)基材に選択的に(例えば、スクリーン印刷、インクジェット印刷または他の適用技術によって)適用することになる。例えば、1つの手法は、コーティングを基材の端部から内向きに中心部分に向かって幅約2,5,8または更に12cm以上で適用することである。コーティング組成物は、一定または変化する幅、高さ、長さまたは他の寸法の線分を含む1以上の線、カーブ、ドットまたは他の幾何学形状を規定するために適用することも可能である。例えば、コーティング組成物はフリットパターンを有するように形成できる。
【0073】
更に、コーティング組成物に加え、本発明は、任意にフリット(例えば、セラミックフリット)を包含することが意図される。そのようなものとして、コーティング組成物はフリットに代えてまたはこれとの組合せで利用できると認められる。例えば、コーティング組成物、フリット、またはこれらの組合せは、光の透過をブロックしてこれが接着剤(これは構造体中に窓を結合する)に達することを防止できる。外周のこのようなコーティング、フリットまたはこれらの組合せは、窓の外周周辺に配置されるトリム部品を隠すこともできる。
【0074】
本発明の特定の側面について、コーティング組成物は、基材に液体、ペースト、固体またはこれらの任意の組合せとして適用できるものである。その後、これを硬化させ、そして基材への結合もさせ、一方、自動車および他の用途について一般的な環境中で有利に採用できるような概略耐摩耗性、熱安定性および光安定性の組成物を与える。
【0075】
具体的な態様において、本発明は、ガラス、または表面上に配置された本発明の硬化コーティング組成物を有する耐摩耗性コートプラスチックの上に採用される。ガラスまたはプラスチックは、平坦、または例えばカーブした表面を規定するために成形されたものであることができる。本発明の一側面は、コーティング組成物を基材に適用した後基材を成形することを意図する。任意に、または代替として、コーティング組成物を、コーティング組成物の適用前に成形された基材上に適用する。ガラスまたは本発明のコーティングでコートされたプラスチックは、任意の用途(これのためにガラスまたはコートプラスチックを用いることが当業者に公知である)に使用できる。好ましくは、ガラスまたはコートプラスチックは、窓として使用され、コーティングは窓の外周に見出される。一側面において本発明のコーティング組成物は、光の透過をブロックしてこれが接着剤(これは構造体中に窓を結合する)に達することを防止するように窓の外周周辺に適用される。外周のこのようなコーティングはまた、窓の外周周辺に配置されるトリム部品を隠す。従来のセラミックフリットを外周、または同時係属出願第11/472,119号(2006年6月20日出願)(第60/692,318号(2005年6月20日出願)の優先権を主張)にBaikerikarらによって開示される(参照により組入れる)種類の有機フリットの上に採用することも可能である。従って、外周フリットとして使用するために、望ましくは、任意のこのようなコーティングの紫外線透過性は、コーティングが曝露される光の約1パーセント以下、そしてより好ましくは約0.5パーセント以下を示す。
【0076】
1つの好ましい態様において、本明細書の基材は、カーブしたガラスであり、そしてより好ましくは、ガラスは本発明のコーティング組成物の適用前に予成形されている。好ましくは、硬化したコーティング組成物は、ASTM D1044試験に従った500サイクル後にコーティングが光透過性1パーセント未満を維持しているような耐摩耗性を示す。好ましくは、コーティングは、ASTM D1044試験に従って測定した場合に、耐摩耗性約(デルタ)ΔパーセントT<1パーセント、より好ましくは約(デルタ)ΔパーセントT<0.75パーセント、および最も好ましくは約(デルタ)ΔパーセントT<0.5パーセントを示す。基材がプラスチック基材であることも可能である。コーティング組成物の適用後、基材を加熱して(例えば熱形成によって)変形させる。
【0077】
本発明の組立品は所定の位置(例えば自動車車両の開放部)に接着剤を用いて固定できる。例えば、接着剤ビーズを組立品の外周周辺に位置させることができる。窓の外周周辺に位置する接着剤ビーズは窓を構造体中に結合するのに有用な任意の公知の接着剤ビーズであることができる。一態様において、接着剤は、湿気に曝露された際に硬化する、イソシアネート官能性、シロキシ官能性、またはイソシアネート官能性とシロキシ官能性との官能性の組合せの接着剤であることができる。本発明の系は、非多孔質表面,例えば金属、コートされたプラスチックおよび/またはガラスに結合させるために設計される任意のイソシアネート官能性接着剤を利用できる。有用な接着剤系の例は、米国特許第4,374,237号,米国特許第4,687,533号,米国特許第4,780,520号,米国特許第5,063,269号,米国特許第5,623,044号,米国特許第5,603,798号,米国特許第5,852,137号,米国特許第5,976,305号,米国特許第5,852,137号,米国特許第6,512,033号(関係部分を参照により本明細書に組入れる)に開示されている。本発明において使用できる市販の接着剤の例は、BETASEAL(商標)15630N,15625N,15845N接着剤(The Dow Chemical Companyから入手可能)、EFBOND(商標)風防接着剤(Eftecから入手可能),WS 151(商標),WS212(商標)接着剤(Yokohama Rubber Companyから入手可能),およびSIKAFLEX(商標)接着剤(Sika Corporationから入手可能)である。
【0078】
接着剤は、ポリマー成分(例えば、イソシアネート末端プレポリマーまたは他のポリマー)の1種以上を基にすることができ、これは顔料、触媒(例えば、モルホリン、4,4’−(オキシジ−2,1−エタンジイル)ビス(DMDEE)を含む触媒)、または他の含有成分(例えば、フィラー,例えばクレー、1種以上のシラン(例えばエポキシシラン))を含んでもよく、そしてOEM接着剤、アフターマーケット接着剤、他のもの、またはこれらの任意の組合せとして採用されることが意図される。従って、変性シリコーン(MS)ポリマー系接着剤,例えばKaneka接着剤を利用できる。Kaneka接着剤の1つの種類としては、SAX 400ポリマー、Siliquest(A−1170)、カーボンブラック、U220 スズ触媒、UV&熱安定剤パッケージ等または他のものの1種以上を挙げることができる。
【0079】
別の接着剤,例えばBetaseal U−418(HV)を用いることができ、イソシアネート末端プレポリマー、カーボンブラック、DMDEE触媒等、他のものおよびこれらの組合せ、のうち1種以上の混合物から形成される。加えて、別の接着剤,例えばBetaseal Expressを用いることができ、そしてイソシアネート末端プレポリマー、カーボンブラックおよびクレー、DMDEE/Bismuth Octiate、0.25%Silquest A−187(エポキシシラン)等、他のものおよびこれらの組合せのうち1種以上の混合物から形成される。更に、別の接着剤,例えばBetaseal Oneを用いることができ、そしてイソシアネート末端プレポリマー、ポリエステル系プレポリマー、カーボンブラックおよびクレー、DMDEE/Bismuth Octiate、0.25%Silquest A−187(エポキシシラン)等、他のものおよびこれらの組合せのうち1種以上の混合物から形成される。
【0080】
コーティング組成物は、コーティング組成物の適用とこれへの接着剤の適用との間の経過時間として規定されるオープンタイムを有してもよいことが意図され、短いオープンタイムまたは両者の組合せであることができる。典型的には、必須ではないが、コーティング組成物の硬化後、接着剤の適用の前には少なくとも7日あることが好ましい。
【0081】
例として、表1は、Aftermarket Repair Glass(ARG)結合接着剤による、1年経ったコートガラスのオープンタイムについてのQuick Knife Adhesion(QKA)試験の予測結果を示す。ガラス基材をコーティング組成物と接触させて硬化させる。1年のオープンタイム後、接着剤をコートガラス基材に適用する。より具体的には、表1の一側面において、1年経ったコートガラス基材のドライワイプを、接着剤の適用前に行なう。接着剤の適用後に接着剤が約7日間で室温にて硬化した時点で、接着結合したガラス基材上でQKA試験を行なって予測値を得る。表1の別の側面において、1年経ったコートガラス基材のドライワイプを、接着剤の適用前に行なう。接着剤の適用後に接着剤が約7日間で室温にて硬化した時点で、接着結合したガラス基材を38℃で湿度100%に14日間曝露する。接着結合させた基材上でQKA試験を行なって予測値を得る。表1の別の側面において、1年経ったコートガラス基材のイソプロパノール(IPA)ワイプを、接着剤の適用前に行なう。接着剤の適用後に接着剤が約7日間で室温にて硬化した時点で、接着結合したガラス基材上でQKA試験を行なって予測値を得る。表1の更に別の側面において、1年経ったコートガラス基材のIPAワイプを、接着剤の適用前に行なう。接着剤の適用後に接着剤が約7日間で室温にて硬化した時点で、接着結合したガラス基材を38℃で湿度100%に14日間曝露する。接着結合させたガラス基材上でQKA試験を行なって予測値を得る。3種の異なる接着剤,Betaseal One,Betaseal Express,およびBetaseal 369Nを用いて試験を繰り返す。本明細書で議論するように、部品破壊の予測結果を以下の表中に、コーティングに対する接着剤の凝集破壊(CF)、基材に対するプライマーまたはコーティングの破壊(PF)、および接着破壊(AF)のうち1つ以上のパーセントとして示す。
【0082】
【表1】

【0083】
本発明の組成物は、任意の種々の用途において採用でき、例えば、これらに限定するものではないが、既に、および米国出願第11/472,119号(2006年6月20日出願)(第60/692,318号(2005年6月20日出願)の優先権を主張)にてBaikerikarらによって(従ってこの内容は参照によりその全部を組入れる)、扱われるものが挙げられる。例えば、透明基材(例えば、窓、および具体的にはガラス、プラスチックまたはこれらの組合せから形成されたパネル)を含む自動車車両の用途の範囲では、組成物は、被包されたパネル組立品,例えば共同米国仮出願第60/870,643号(2006年12月19日出願),表題“Encapsulated Panel Assemblies and Methods for Making Same”および米国出願第 (整理番号1062−070)(2007年12月18日出願),表題“Encapsulated Panel Assemblies and Methods for Making Same”(従ってこれらの内容は参照によりその全部を組入れる)に開示されるものの一部として採用できる。よって、一般的に、基材は、透明部分を実質的に接合する(および更に少なくとも部分的に包囲できる)被包ジョイントを含むことができる。よって基材は、1つ以上の追加的な当該分野で開示される層(例えば、摩耗に耐えるため、紫外線に耐えるため、破壊時の破片を収容するため、加熱のため、アンテナとして使用するため、またはこれらの任意の組合せのもの)を更に含んでもよい。ヒーター、アンテナおよび/または別の導電性要素を形成するために基材を処理する1つの手法の例は、共同米国仮出願第60/870,639号(2006年12月19日出願),表題“Improved Composites And Methods For Conductive Transparent Substrates”および米国出願第 (整理番号1062−069)(2007年12月18日出願),表題“Improved Composites and Methods for Conductive Transparent Substrates”(従ってこれらの内容は参照によりその全部を組入れる)に開示されている。更に、基材は、米国仮出願第61/014,547号(2007年12月18日出願)にBaikehkarらによって表題“Protective Coating For Window Glass Having Enhanced Adhesion To Glass Bonding Adhesives” (従ってこれらの内容は参照によりその全部を組入れる)で記載されるコーティング組成物も含むことができる。
【0084】
本発明の別の側面は、基材(この上にコーティング組成物を含むもの)をリサイクルするステップも意図する。コーティング組成物を基材から除去してコーティング組成物(またはその構成成分)を再生でき、基材材料を再生でき、または両者であることができる。
【0085】

マイケル付加物を、同時係属中の米国特許出願第11/472,119号(2006年6月20日出願)(第60/692,318号(2005年6月20日出願)の優先権を主張)(Baikerikarらによる)(参照により組入れる)の例15および33に従って、0.03molのビス[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]アミン、DYNASYLAN(商標)1122,Degussaを0.03molのプロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレートモノマー(SR(商標)9003,Sartomer)にガラス瓶中で添加し、ボルテックスミキサーで1分間混合することにより調製する。得られる溶液を55℃で少なくとも3日間加熱して、反応を完了させ、アミノシランをアクリレートにグラフトさせる。得られるマイケル付加生成物をC−13NMRおよびGPCによって確認する。
【0086】
マイケル付加生成物を約15質量部の量で、約5質量部の量のアクリル酸、約80質量部のNAZDAR 1852と混合する。混合物を基材に適用し、キセノンUVランプに曝露することにより硬化させ、続いて7日間、相対湿度50%で室温硬化させる。得られるコート基材を、ASTM D3363に従った鉛筆硬度試験;ASTM D3359に従ったクロスハッチ/テープ剥離接着試験;同時係属米国出願第11/472,119号(2006年6月20日出願)(第60/692,318号(2005年6月20日出願)の優先権を主張)にBaikerikarらによって記載される(参照により組入れる)クイックナイフ接着試験(QKA)、および90℃水浸漬試験(5日間)に供する。接着剤が必要な接着試験のために、種々の市販で入手可能な接着剤、称号BETASEAL(登録商標)(例えば、グレード15625,15630,および61355)(Dow Chemicalより)を用いる。マイケル付加生成物の混合物、特に、上記反応生成物を、第2の反応生成物,具体的には上記される反応生成物(第1の反応生成物)のビス[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]アミンに代えてビス[(3−(トリメトキシシリル)−プロピル]アミンで調製されるものとの組合せで含む混合物(例えば、約3000rpmで約5分間のスピード混合により形成されるもの)が採用される場合には良好な結果も得られる。
【0087】
表2は、種々のアフターマーケット接着剤の90℃の水浸漬クイックナイフ接着(QKA)試験の予測結果を示す。
【0088】
【表2】

【0089】
例として、表3は、1成分Dow UV硬化性コーティングである本発明の一態様の組成物を、相対濃度で用いる4種の異なる市販で入手可能な2成分系の組成物との比較で与える。
【0090】
【表3】

【0091】
表4は、1成分系の予測結果を、表3に示す4種の異なる市販で入手可能な2成分系との比較で示す。
【0092】
【表4】

【0093】
表5は、表3および4に示す市販で入手可能なコーティング組成物(例えばNazdar 1852)の1つ、本発明の接着促進剤(例えばマイケル付加物)およびアクリル酸を用いた系の組成物を与える。
【0094】
【表5】

【0095】
更に、本発明の教示に従った接着促進剤と組合せて表3および4のNazdar 1852を含む系の予測値を表5中に示す。表5の結果は、表3および4のNazdarUV硬化2成分系と比べた場合、鉛筆硬度、クロスハッチ、接着および水浸漬試験における改善を示すと考えられる。表5の予測値は、アクリル酸と反応することに起因し得られる組成物のゲル化作用をもたらす場合がある化合物を実質的に含まない種々のコーティング組成物において実現できると考えられる。
【0096】
本明細書で与えられる説明および例示は、当該分野の他の当業者に本発明の原理および実際の適用を紹介することを意図する。当業者は、本発明を多くの形態で適合させおよび適用でき、特定の用途の要求に最も好適となろう。従って、記載される本発明の具体的な態様は本発明を網羅または限定するようには意図していない。従って、本発明の範囲は、以上の記載を参照して決定すべきでなく、添付の特許請求の範囲、更にこのような特許請求の範囲が与える均等の全範囲を参照して決定すべきである。特許出願および公開公報を含む全ての論文および文献の開示は参照により全ての趣旨で組入れる。アクリルもしくは(メタ)アクリル(または誘導体の用語,例えば「アクリレート」)の意味は、メタ−アクリルおよびアクリル(および対応する誘導体の用語)を意図する。本明細書で議論する含有成分は、得られる組成物の一部を形成できる。しかし、これらは、接着促進添加剤の一部も形成できる。例えば、接着促進添加剤は、得られる組成物を形成するために含有成分を混合物中に送達するためのビヒクルであることが可能である。本発明は、コーティング組成物を改善するためのキットも意図し、このキットは、本明細書に記載する接着促進添加剤、ならびに任意にベース組成物および/または本明細書で教示するような1種以上の他の含有成分を含むか、更には実質的にそれらからなる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.a)1つ以上の活性水素含有官能基を更に含有するシロキサンの、2つ以上のアクリレート基によるマイケル付加生成物;b)複数のアルコキシシラン部分を有する高分子量付加物;c)少なくとも1つの末端不飽和および複数のアルコキシシリル基を含む化合物;ならびにd)珪素、チタン、ジルコニウム、アルミニウムから選択される元素を含む有機金属化合物、から選択されるかまたはe)これらの任意の組合せである、コーティング組成物の性能を改善するための作用剤を含む、コーティング組成物用の添加剤。
【請求項2】
酸部分を含む化合物を更に含む、請求項1に記載の添加剤。
【請求項3】
酸部分が、カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸、またはこれらの任意の組合せによる、請求項1または2に記載の添加剤。
【請求項4】
作用剤がアクリレート化アミノシラン付加物である、請求項1〜3のいずれかに記載の添加剤。
【請求項5】
組成物が熱、放射線または熱と放射線との組合せによって硬化可能な1成分印刷インクである、請求項1〜4のいずれかに記載の添加剤。
【請求項6】
いずれのセラミック相も実質的に有さない、請求項1〜5のいずれかに記載の添加剤。
【請求項7】
基材がガラス、プラスチック、コートされたプラスチック、金属、またはこれらの任意の組合せである、請求項1〜5のいずれかに記載の添加剤。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の添加剤を、1成分コーティング組成物を形成するためにコーティング組成物と混合するステップを含む、コーティング組成物の性能を改善する方法。
【請求項9】
コーティング組成物を請求項1〜8のいずれかに記載の添加剤と混合してコーティング混合物を形成するステップ、該コーティング混合物を基材に適用するステップ、および適用された混合物を硬化させるステップを含む、基材をコートする方法。
【請求項10】
硬化のステップが、適用された混合物を紫外線に曝露することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
基材がガラス、プラスチック、コートされたプラスチック、金属、またはこれらの任意の組合せである、請求項8〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
請求項8〜11のいずれかに記載の方法によって製造される物品。
【請求項13】
a.エポキシ、アクリル、ポリウレタン、またはこれらの任意の組合せから選択されるレジン;
b.着色剤;
c.アクリレート化アミノシラン付加物を含む添加剤;および
d.カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸またはこれらの任意の組合せ
を含む、コーティング組成物。
【請求項14】
組成物がフリーラジカル反応によって硬化し、付加物が、(i)ビス[3−(トリメトキシシリル)−プロピル]アミン、ビス[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]アミンまたはこれらの混合物;および(ii)ポリアクリレートモノマー;の反応生成物である、請求項13に記載のコーティング組成物。
【請求項15】
ポリアクリレートモノマーが、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレートモノマーである、請求項14に記載のコーティング組成物。
【請求項16】
組成物が光開始剤を含む、請求項13または14に記載のコーティング組成物。
【請求項17】
着色剤が黒である、請求項13〜16のいずれかに記載のコーティング組成物。
【請求項18】
組成物が印刷インクである、請求項13〜17のいずれかに記載のコーティング組成物。
【請求項19】
組成物が1成分組成物として用いられる、請求項13〜18のいずれかに記載のコーティング組成物。
【請求項20】
フィラーを更に含む、請求項13〜19のいずれかに記載のコーティング組成物。
【請求項21】
カルボン酸が、アクリル酸またはメタクリル酸である、請求項13〜20のいずれかに記載のコーティング組成物。
【請求項22】
付加物が、酸の質量部当たり付加物約10質量部以下の比で存在する、請求項13〜21のいずれかに記載のコーティング組成物。
【請求項23】
基材と、請求項13〜22のいずれかに記載の組成物とを接触させることを含む、基材をコーティングする方法。
【請求項24】
a.少なくとも1種のレジン、少なくとも1種の着色剤、少なくとも1種の接着促進添加剤アクリレート化アミノシラン付加物、少なくとも1種のカルボン酸、および光開始剤を混合してコーティング混合物を形成するステップ;
b.該混合物を基材に適用するステップ;ならびに
c.該混合物を基材上で硬化させるステップ
を含む、コーティング組成物の性能を改善する方法。
【請求項25】
硬化のステップが、紫外線によるものであり、そして付加物が、(i)ビス[3−(トリメトキシシリル)−プロピル]アミン、ビス[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]アミンまたはこれらの混合物;および(ii)ポリアクリレートモノマー;の反応生成物である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
ポリアクリレートモノマーが、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレートモノマーである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
基材がガラス、プラスチック、コートされたプラスチック、金属、またはこれらの組合せから選択される、請求項24または25に記載の方法。
【請求項28】
着色剤が黒である、請求項24〜27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
コーティング混合物が印刷インクである、請求項24〜28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
混合ステップを、コーティング混合物をパッケージ内に1成分組成物として組込む前に行なう、請求項24〜29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
基材が、自動車車両、ビルまたは両者において使用するための透明基材である、請求項24〜30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
カルボン酸が、アクリル酸またはメタクリル酸である、請求項24〜31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
付加物が、酸の質量部当たり付加物約10質量部以下の比で存在する、請求項24〜32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
硬化のステップが、適用された混合物を紫外線、電子ビームまたは両者に暴露することを含む、請求項24〜33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
請求項24〜34のいずれかに記載の方法に従って製造される物品。
【請求項36】
a)ベース組成物;および
b)請求項1〜5のいずれかに記載の接着促進添加剤;
を含む、コーティング組成物を製造するためのキット。

【公表番号】特表2010−513699(P2010−513699A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−543144(P2009−543144)
【出願日】平成19年12月18日(2007.12.18)
【国際出願番号】PCT/US2007/087949
【国際公開番号】WO2008/077045
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】