説明

コーティング組成物及びそれを使用した物品

【課題】配線、電気接点、電線等の導電部を封止して、嵩張らず、耐久性があり、しかも高度な防水機能を備えている交通信号機や照明装置を提供するのに有用な、耐水性、絶縁性、耐紫外線分解性に優れるコーティング組成物を提供することを提供すること。
【解決手段】溶剤に可溶であり、かつその分子量が10,000以上であるフッ素ポリマーと、該フッ素ポリマーを溶解した溶媒とから実質的に構成されるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーティング組成物とその使用に関し、さらに詳しく述べると、溶剤に可溶なフッ素ポリマーからなる耐水性コーティング組成物と、それを塗布して配線、電気接点、電線等の導電部を封止した物品、例えば発光ダイオード(LED)装置や電子デバイスなどに関する。本発明のコーティング組成物は、特に耐水性、絶縁性、耐紫外線分解性に優れるため、主として屋外で使用される物品、例えば屋外広告装置、交通信号装置、電光表示装置、道路標識装置などで有利に使用することができる。
【背景技術】
【0002】
交通信号装置などにおいて、それらに装備される発光器具は、省エネルギーと維持管理費の低減のため、電球、蛍光灯からLEDに急速に移行しつつある。例えば、高い防水性能を維持できる大きくて強固なハウジングを使用できる交通信号機では、それらの発光器具の大半がすでにLEDを使用している。また、自動車の赤色尾灯も、同様にLEDを使用したものが増えつつある。これらの発光器具を装備した装置では、LEDそのものは小型のチップの形態をとるけれども、LEDチップを搭載するために大型の基台が必要であり、また、防水機能の確保のために大型の透明ハウジングあるいはカバーが必要である。さらに、今後、一般道路あるいは高速道路の照明や屋外照明等、夜通し点灯されるべき照明装置においてLEDを使用することが期待されるが、これらの点や上述の交通信号機の問題点などを考慮して、嵩張らず、耐久性があり、しかも高度な防水機能を備えている交通信号機や照明装置を提供することが非常に望ましい。
【0003】
また、このような課題を解決するため、発光器具として使用したLEDに防水機能を付与するためにLEDを防水塗料で封止することが考えられるが、汎用の防水塗料は、耐紫外線分解性に劣り、屋外での使用に制限がある。また、回路基板用の絶縁コート剤も市販されているが、このコート剤は、耐紫外線分解性に加えて耐熱性にも劣り、例えば照明装置に使用した場合に発熱に耐え得ないと言う問題がある。また、このコート剤は、耐水性はあるものの、耐油性に乏しいので、汚染されやすい。
【0004】
従来の技術を具体的に検討すると、LEDに防水機能を付与するためのものではないが、特許文献1は、屋上、ベランダ、浴槽等の建築物に防水性を付与するための水性塗膜防水材用フッ素系重合体含有上塗り塗料を記載している。この水系上塗り塗料は、酢酸ビニル系共重合体水系分散液(成分A)及びセメント質結合材(成分B)からなる塗膜防水層と、成分A、フッ素系重合体分散液(成分C)及び顔料からなる塗料塗膜層とを有する複合防水層である。しかし、この上塗り塗料の場合、塗料塗膜層のみでは所期の作用効果を達成することができず、また、フッ素系重合体の水性分散液を使用しているため、LEDのような水分によって性能が劣化され得るものには適していない。
【0005】
また、同じくLEDに防水機能を付与するためのものではないが、特許文献2及び3は、焼付塗料やその他の塗料において防水性を発現させるため、有機溶剤に溶解可能な含フッ素共重合体を使用することを記載している。しかし、これらの含フッ素共重合体の場合、塗膜強度を得るために反応触媒を併用することが必要であるので、塗料の調製が煩雑となるばかりでなく、併用される反応触媒が電気回路等の特性に悪影響を及ぼし得るため、例えば電気回路等の絶縁目的には使用することができない。
【0006】
さらに、特許文献4は、自動車ボディ、食器類などの塗装に有用な、低分子量四フッ化エチレン樹脂の粒子とバインダ樹脂とからなることを特徴とする液体はっ水性塗料を記載している。しかし、この塗料の塗膜は、はっ水性はもたらすものの、防水性を保証することができず、よって、過酷な条件で屋外で使用するためにはさらなる改良が必要である。
【0007】
さらにまた、特許文献5は、LEDに防水機能を付与するためのものではないが、発光部を保護層により密封してなるEL発光素子において、保護層が、発光部の全周にわたってコーティングされたフッ素系モノマーからなる防水コート層と、その防水コート層を覆っているテフロン(登録商標)あるいはシリコンチューブからなる防水フィルム層とからなることを特徴とするEL発光素子を記載している。しかし、防水コート層をフッ素系モノマーから形成しなければならないので、成膜時の原料の取扱いが難しいばかりでなく、保護層そのものが2層構造であるために成膜工程が複雑かつ煩雑である。
【0008】
【特許文献1】特開平6−116531号公報(要約書、特許請求の範囲、段落0022、0042)
【特許文献2】特開昭57−34107号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】特開昭57−34108号公報(特許請求の範囲)
【特許文献4】特開平8−217993号公報(要約書、特許請求の範囲、段落0018)
【特許文献5】特開平5−152067号公報(要約書、特許請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、従来の技術における上述のような問題点に鑑みて、配線、電気接点、電線等の導電部を封止して、嵩張らず、耐久性があり、しかも高度な防水機能を備えている交通信号機や照明装置を提供するのに有用な、耐水性、絶縁性、耐紫外線分解性に優れるコーティング組成物を提供することにある。
【0010】
また、本発明の目的は、本発明のコーティング組成物を塗布して配線、電気接点、電線等の導電部を封止した物品、特に主として屋外で使用される物品、例えば屋外広告装置、交通信号装置、電光表示装置、道路標識装置などのLED装置やその他の電子デバイスを提供することにある。
【0011】
本発明のこれらの目的やその他の目的は、以下の詳細な説明から容易に理解することができるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、1つの面において、溶剤に可溶なフッ素ポリマーと、該フッ素ポリマーを溶解した溶媒とから実質的に構成されることを特徴とするコーティング組成物にある。本発明のコーティング組成物は、好ましくは塗布によって成膜して所定の厚さを有するコーティング(塗膜)を得ることができ、その際の塗布は、得られる塗膜の性能に応じて、1回塗りであってもよく、2回以上の重ね塗りであってもよい。
【0013】
また、本発明は、そのもう1つの面において、物品と、該物品に含まれる導電部を少なくとも封止した本発明のコーティング組成物から形成された被覆層とを含むことを特徴とする物品にある。物品の導電部は、通常、本発明のコーティング組成物で封止される前、物品から露出されている。
【0014】
さらに、本発明は、
1個もしくはそれ以上のLED素子を備えたLED装置であって、LED素子と該LED素子に接続された導電部とが少なくとも本発明のコーティング組成物から形成された被覆層で封止されているLED装置、
機能素子を表面実装したフレキシブルな回路基板であって、該回路基板の機能素子と該機能素子に接続された導電部とが少なくとも本発明のコーティング組成物から形成されたフレキシブルな回路基板、
1個もしくはそれ以上の機能素子を搭載した電子デバイスであって、電子デバイスの機能素子と該機能素子に接続された導電部とが少なくとも本発明のコーティング組成物から形成された被覆層で封止されている電子デバイス、
露出された電線が少なくとも本発明のコーティング組成物から形成された被覆層で封止されている被覆された電線、
その他にある。
【0015】
ここで、「導電部」とは、それを本願明細書において使用した場合、以下の説明から容易に理解することができるように、本発明の物品を構成するのに用いられる任意の電気的接続手段を包含する。適当な電気的接続手段の例として、以下に列挙するものに限定されるものではないが、電気回路、電気配線、導体ワイヤ、フリップチップ、バンプ等の電気接点、その他を挙げることができる。本発明ではまた、アンテナ(空中線)なども「導電部」として定義する。
【0016】
また、「機能素子」とは、それを本願明細書において使用した場合、電子デバイスやその他の装置において能動的あるいは受動的に機能しうる任意の部品、構成要素等を包含する。能動素子の典型的な例として、以下に列挙するものに限定されるものではないが、LEDチップ等の発光素子、ICチップ、LSIチップ等の半導体素子、キャパシタ(コンデンサ)、リアクタ、インダクタ、レジスタ、その他を挙げることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電気回路、電気配線、電気接点、電線等の導電部を封止する際に、封止層(本発明では、「被覆層」という)を容易に成膜することができ、しかも得られる封止物品に対して、その被覆層の物性に由来して優れた耐水性、絶縁性、耐久性、特に耐紫外線分解性などを付与することのできるコーティング組成物を提供することができる。
【0018】
また、このコーティング組成物は、フッ素ポリマーを溶媒に溶解しただけのものであるので、調製が容易であるばかりでなく、刷毛塗り、浸漬塗布等の簡単な塗布手段で塗布できる。よって、このコーティング組成物は、例えばLEDチップを表面実装した回路基板やLSIチップを搭載した半導体基板のような表面凹凸を有する媒体に対しても容易に塗布することができ、また、その塗布回数の変更を通じて任意の厚さの塗膜を形成することができる。
【0019】
さらに、例えばLED装置の場合、塗膜の厚さを調整することで、発光のタイプを任意に調整することができる。例えば、コーティング組成物は本来透明であるので、被覆層を薄膜で形成したり1回塗りで形成したりした場合には、一般的に被覆層から直射光を放出させることができ、また、これとは対照的に、被覆層を厚膜で形成したり複数回塗りで形成したりした場合には、一般的に拡散光を放出させることができる。特にLEDは点光源であり、そのままで照明に使用するのは難しいが、本発明のコーティング組成物を多層塗布層として形成することにより、耐水性や屋外耐候性の向上とともに、光拡散効果を実現することができ、照明用途を導くことができる。
【0020】
さらにまた、得られる被覆層は優れた耐水性、絶縁性、耐久性、特に耐紫外線分解性などを有しているので、これらの優れた特性を生かした各種の物品、例えば屋外広告装置、交通信号装置、電光表示装置、道路標識装置などのLED装置やその他の電子デバイス、照明装置、被覆電線などを提供することができる。これらの物品は、屋外で過酷な条件、例えば紫外線や風雨に長期間にわたってさらされたとしても、その優れた特性を長期間にわたって安定に保持することができる。例えば、本発明の物品は、通常、特性の劣化や破損を伴わずに約10年間にわたって使用し続けることができるであろう。もちろん、本発明のコーティング組成物はフッ素ポリマーをベースとしているので、そのフッ素ポリマーに由来するその他の良好な特性、例えば耐熱性、耐油性(耐汚染性)なども、得られる物品に反映させることができる。
【0021】
さらに加えて、本発明の物品は、水中での使用に至らないまでも、非常に優れた耐水性(日本工業規格C0920(IEC60529相当)によるJIS保護等級で規定して7等級(防浸形)もしくはそれ以上;水深15cmから1mで30分間にわたって水中に没しても有害な影響を生じる量の水の浸入がないレベル)を有しているので、水中使用に近い条件下での使用が可能となる。例えば、LEDのような直流の電源を必要とするものでは、交流電源を必要とする従来の発光器具(電球、蛍光灯)に比べて水に対する耐性、すなわち、耐水性が重要である。なぜなら、交流電源を使用した場合には、水により多少絶縁が破壊されたとしても、水を電気分解し、酸素と水素を多量に発生することはない。これに対して、直流電源を使用した場合には、LEDを点灯させ得るような低電圧の適用下でも、水の存在によって酸素と水素が発生せしめられる恐れがあり、さらには、LEDの接続に使用されている例えば銅、鉛、錫などの配線がイオン化し、水中に溶解していく傾向がある。ところが、本発明のコーティング組成物は耐水性に顕著に優れているので、例えばLEDに適用して、そのLEDを屋外や、水がかかり易いところ、湿度の高いところ、結露の発生可能性のあるところなどに配置したとしても、LEDの劣化や使用不能が生じることはない。また、このような特徴に本発明のコーティング組成物の耐久性、特の耐紫外線分解性が加わることで、LEDはもちろんのこと、本発明のその他の物品においても、今後の市場の拡大が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は、コーティング組成物と、それを塗布して配線、電気接点、電線等の導電部を封止した物品、例えばLED装置や各種の電子デバイスやアンテナなどにある。以下、本発明をその好ましい実施態様について説明する。
【0023】
本発明は、第1に、溶剤に可溶なフッ素ポリマーと、該フッ素ポリマーを溶解した溶媒とから実質的に構成されることを特徴とするコーティング組成物にある。本発明で主成分として使用されるフッ素ポリマーは、その分子構造やその分子中に含まれるフッ素原子などに由来して、本発明の実施に有用ないろいろな特性を示すことができる。フッ素ポリマーは、例えば、実質的に透明であり、光の透過に対して悪影響を及ぼすことがない。また、フッ素ポリマーは、それに特有の特性として、耐水性、絶縁性、耐紫外線分解性を含む耐久性、耐熱性、耐油性(耐汚染性)などを有している。さらに、本発明のフッ素ポリマーは、溶剤に容易に溶解することができるので、塗布によって容易に適用できるなどの効果がある。特に本発明のフッ素ポリマーは、温度を高めた状態において溶剤に溶解することは不要であるので、取扱い性が格段に向上するばかりでなく、フッ素ポリマーの使途が拡大する。さらに加えて、従来の技術では、フッ素樹脂コーティングを形成するためにはコーティング組成物中に反応触媒、架橋剤などの添加剤を配合して膜強度を高めたり架橋構造を導入するなどの処置が必要であったけれども、本発明の実施においては、フッ素ポリマーと反応を引き起こすかもしくはその反応に関与し得る特別な添加剤を配合する必要がない。
【0024】
本発明の実施において、フッ素ポリマーは、上述のような優れた特性を有し、かつそれらの特性が得られるコーティング組成物や物品において十分に発揮されるのであれば、特に限定されるものではなく、広範なフッ素系樹脂及びフッ素系ゴムを包含する。また、フッ素ポリマーの分子量は、広い範囲で変更することができるが、通常、約10,000もしくはそれ以上である。フッ素ポリマーの分子量は、好ましくは、約50,000〜約200,000の範囲であり、さらに好ましくは、約50,000〜約150,000の範囲である。フッ素ポリマーの分子量がこのように高分子量であると、上記した特性がより良好に発現されるからである。
【0025】
本発明の実施に使用することのできるフッ素ポリマーは、以下に列挙するものに限定されるわけではないが、FEVE系、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)系、THV系などのフッ素ポリマーを包含する。これらのフッ素ポリマーは、単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0026】
FEVE系フッ素ポリマーは、例えば、フルオロオレフィン、シクロヘキシルビニルエーテル、アルキルビニルエーテル及びヒドロキシアルキルビニルエーテルを必須の構成成分として含むフッ素含有共重合体である。かかる共重合体において、フルオロオレフィン、シクロヘキシルビニルエーテル、アルキルビニルエーテル及びヒドロキシアルキルビニルエーテルは、それぞれ、40〜60モル%、5〜45モル%、3〜15モル%及び0〜30モル%である。フルオロオレフィンとしては、パーハロオレフィン、特にクロロトリフルオロエチレン又はテトラフルオロエチレンが使用される。また、フルオロオレフィン、シクロヘキシルビニルエーテル及びグリシジルビニルエーテルを必須の構成成分として含むフッ素含有共重合体もFEVE系フッ素ポリマーの例である。
【0027】
PVDF系フッ素ポリマーは、それがゴム(エラストマー)系である場合、例えば、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン及びプロピレンの共重合体からなるフッ素ゴム、フッ化ビニリデン及びヘキサフルオロプロピレンの共重合体からなるフッ素ゴム、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン及びテトラフルオロエチレンの共重合体からなるフッ素ゴムなどを包含する。また、それが溶剤に可溶な樹脂系である場合、PVDF系ポリマーは、フッ化ブニリデン重合体、フッ化ビニリデンテトラフルオロエチレン共重合体などを包含する。
【0028】
本発明の実施にとりわけ有用なフッ素ポリマーは、THV系フッ素ポリマー、特に、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)及びビニリデンフルオライド(VdF)を少なくとも含む多元系フッ素ポリマーである。かかる多元系フッ素ポリマーは、典型的には、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)及びビニリデンフルオライド(VdF)からなる二元系フッ素ポリマーや、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)及びビニリデンフルオライド(VdF)からなる三元系フッ素ポリマーである。このようなTHV系フッ素ポリマーは、溶剤に特に容易に可溶であり、耐水性、絶縁性、耐紫外線分解性といった上述の特性に特に優れているばかりか、回路基板のような凹凸のある表面にも、刷毛や浸漬等の簡単な方法で塗布でき、かつ塗り重ね等により厚い塗膜も容易に形成することができる。
【0029】
上述の二元系もしくは三元系フッ素ポリマーにおいて、そのフッ素ポリマーのTFE、HFPおよびVdFの組成比は、広い範囲で変更することができる。しかし、フッ素ポリマーを物品の封止を目的として使用する場合には、流動性がよく、加工性がよく、そして水分等の透過性が低いものが望まれ、また、このためには、適度な結晶性と融点を有するものが好ましい。また、例えばLEDに使用する場合、LEDから放出される光の強度を維持するために光透過性も重要である。このような観点から、組成比でみて、TFEを約36〜72重量%、HFPを約0〜56重量%、そしてVdFを約30〜65重量%で含むフッ素ポリマーが最適である。このような組成比を外れて、TFEの含有量が増加すると、乳白色となり、透明性が低下する。また、このような最適組成比をもったフッ素ポリマーは、PTFEに近い耐薬品性を維持し、しかも、フッ素ゴムでは得られない30%前後の結晶性をもった低物質透過性を有し、さらには柔軟性を有するという利点がある。すなわち、かかるフッ素ポリマーは、柔軟性があるので、例えばそれをフレキシブルな回路基板に適用した場合に、その変形に容易に追従することができ、クラックなどの欠陥を発生することもないので、小型化し、構成部品の配置などが複雑化している電子デバイスの製造に有利に使用することができる。
【0030】
参考までに、テトラフルオロエチレン(TFE)36〜72重量%、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)0〜56重量%、ビニリデンフルオライド(VdF)8〜45重量%の組成比からなるTHV系フッ素ポリマーと、汎用のフッ素樹脂との特性を比較すると、次の通りである。
【0031】
【表1】

【0032】
注)評価基準: 優>良>可>不可
PTFE:ポリテトラフルオロエチレン
PFA:パーフルオロアルキル変性PTFE
FEP:テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体
PVdF:ポリビニリデンフルオライド
ETFE:エチレンとテトラフルオロエチレンとの共重合体
【0033】
THV系フッ素ポリマーは、例えばダイニオン社(Dyneon)からTHVシリーズとして商業的に入手可能である。現在入手可能なTHVの一例を示すと、THV220、THV415、THV500などを挙げることができる。本発明には、THV220がとりわけ有用であり、その特性は、例えば、融点が122℃、ガラス転移点が5℃、難燃性がV−0(UL−94による)、水透過性が17.7g/m・24H、屈折率が1.36である。なお、これらのTHV系フッ素ポリマーの諸特性は、ダイニオン社の技術資料に詳細に記載されている。
【0034】
本発明のコーティング組成物は、上記したフッ素ポリマーの適当量を溶剤に溶解したものである。本発明の実施において使用する溶剤は、フッ素ポリマーを容易に溶解することができ、かつ得られるコーティング組成物や物品の特性に悪影響がでない限り、特に限定されるものではない。適当な溶剤は、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、フラン系溶剤、極性溶媒などである。これらの溶剤は、単独で使用してもよく、2種類以上の溶剤を任意に組み合わせて使用してもよい。
【0035】
使用可能な溶剤を列挙すると、ケトン系溶剤としては、例えば、アセトン(ジメチルケトン)、MEK(メチルエチルケトン)、ジエチルケトン、MIBK(メチルイソブチルケトン)などがある。エステル系溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどがある。フラン系溶剤としては、例えば、THF(テロラヒドロフラン)などがある。極性溶媒としては、例えば、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)などがある。なお、これらの溶剤は特に、THV系フッ素ポリマーの溶解に好適である。
【0036】
さらに、例えばPVDF系フッ素ポリマーの溶解に好適な溶剤として、例えばNMP(N−メチル−2−ピロリドン)、DMAC(ジメチルアセトアミド)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)等の極性溶媒や例えば酢酸ブチル、MIBK(メチルイソブチルケトン)及びトルエンの混合溶媒などを挙げることができる。
【0037】
フッ素ポリマーをこれらの溶剤に溶解するに当たって、フッ素ポリマーの量は、フッ素ポリマー及び溶剤の種類、コーティング組成物の詳細などに応じて広い範囲で変更することができる。通常、フッ素ポリマーは、コーティング組成物の全量を基準にして約25重量%以下の量で使用することができ、好ましくは、約5〜20重量%の量で使用することができ、さらに好ましくは、約10〜15重量%の量で使用することができる。フッ素ポリマーの使用量が1重量%を下回ると、塗布に好適な粘度をもった塗布溶液を得ることができないばかりか、たとえ塗膜が得られても、フッ素ポリマーに由来する諸特性をその塗膜が呈示することができない。反対に、フッ素ポリマーの使用量が20重量%を上回ると、塗布に好適な粘度をもった塗布溶液を得ることができないばかりか、たとえ塗膜が得られても、強度やその他の特性が劣ったものしか得ることができない。
【0038】
本発明のコーティング組成物は、実質的にはフッ素ポリマーと溶剤の2成分からなるが、必要に応じて、得られるコーティング組成物の調製を補助したり、得られる組成物に対して追加の特性を付与したりするため、フッ素ポリマー溶液の調製に一般的に使用されている添加剤を含有してもよい。適当な添加剤として、例えば、界面活性剤、色材、光拡散剤などを挙げることができる。
【0039】
本発明のコーティング組成物は、フッ素ポリマー及び任意の添加剤を溶剤に添加し、攪拌するだけで簡単に溶解することができる。また、得られたコーティング溶液は、適度な粘度を有しているので、そのまま、刷毛塗り、浸漬塗布、噴霧塗布などの常用の技法を使用して塗布対象の物品の表面に塗布することができる。また、場合によっては、ポッティングなどの技法によって所定の部位に滴下し、封止部を形成してもよい。コーティング溶液の塗布は、塗膜に求められている特性等に応じて、1回塗りであってもよく、2回以上の重ね塗りであってもよい。塗布の完了後、得られた塗膜を乾燥して硬化させるが、乾燥作業は、常温で放置するだけでよいが、必要に応じて、ヒーターやオーブンを使用して乾燥を加速してもよい。
【0040】
乾燥後の塗膜、すなわち物品表面を覆った被覆層(あるいは封止層)の厚さは、コーティング溶液の塗布量や塗布回数に応じて変動する。本発明の場合、被覆層の厚さは、通常、少なくとも約10μmである。このような薄い被覆層は、コーティング溶液の1回塗りで得ることができ、耐水性などを示す一方で、極めて良好な光透過性を示すことができる。被覆層の厚さは、コーティング溶液の塗り回数が増加するとともに増加し、その結果、多層構造に由来する白濁化が起こり、光源からの光を拡散させることができる。被覆層の厚さは、好ましくは、約50μm以上であり、光を拡散させない場合では、好ましくは、約60〜100μmの範囲である。
【0041】
本発明のコーティング組成物は、光透過性又は光拡散性、耐水性、絶縁性、耐紫外線分解性、溶液塗布性などの顕著な特性を有するので、各種の物品にコーティング、具体的には被覆層、封止層などを形成するために使用することができる。特に好適な物品は、表面領域あるいは露出部に被覆層、封止層などを形成されるべき部分、典型的には導電部を備えているような物品である。すなわち、本発明のコーティング組成物は、物品に塗布して、該物品に含まれる導電部を少なくとも封止するために用いることができる。露出した導電部(上記したように、電気回路、配線、アンテナ等)を水分、紫外線やその他の周囲の悪影響から保護できるので、導電部及びそれを備えた物品の特性を長期間にわたって安定に保持することができるばかりでなく、コーティング組成物のみで十分な耐水性などを確保できるので、ハウジング、フードなどの使用を排除して、物品の小型化を図ることができる。
【0042】
本発明はまた、物品と、該物品に含まれる導電部を少なくとも封止した本発明のコーティング組成物から形成された被覆層とを含むことを特徴とする物品にある。本発明による物品は、導電部を備えた広範囲の物品を包含し得るが、その典型例は、以下に列挙するものに限定されないが、
LED装置であり、該装置のLED素子と該LED素子に接続された導電部とが少なくとも本発明の被覆層で封止されているもの、
機能素子を表面実装したリジッド又はフレキシブルな回路基板(プリント配線板などともいう)であり、該回路基板の機能素子と該機能素子に接続された導電部とが少なくとも本発明の被覆層で封止されているもの、
機能素子を搭載した電子デバイスであり、該デバイスの機能素子と該機能素子に接続された導電部とが少なくとも本発明の被覆層で封止されているもの、
被覆された電線であり、該電線の露出された電線が少なくとも本発明の被覆層で封止されているもの
アンテナなどの、本発明の被覆層で覆われているもの
などを包含する。
【0043】
用途についてさらに具体的に説明すると、以下に列挙するものに限定されないが、LED装置は、例えば、交通信号機(例えば、道路信号機、鉄道信号機、シグナルランプ付き工事看板等)、電光表示板(例えば、昇降式大型電光表示板、おしらせ板、車載標識、リングライト等)、道路標識(方向板、デルタフラッシュ、渋滞表示板、トンネル走行ガイダンスライト等)や、屋外広告媒体(例えば、大型LEDテレビ、広告灯、ポールサイン、内照式電飾看板、チャンネル文字、エッジライト等)、車載用ライトなどを包含する。
【0044】
また、回路基板は、例えば紙フェノール樹脂、ガラスエポキシ樹脂、フッ素樹脂(PTFE等)などからなるリジッドなプリント基板やポリイミド樹脂や炭化水素系樹脂(PE、PP等)からなるフレキシブルなプリント基板であって、その表面にLEDチップや半導体チップなどを搭載したものをなど包含する。補足して説明すると、フレキシブルなプリント基板において、その基材は、通常、フレキシブルなフィルムからなり、ポリイミド樹脂の他、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、炭化水素系樹脂などから形成することができる。また、基材上の配線、回路、接点等の導電部は、プリント基板の作製に一般的に採用されているものと同様な手法で任意のパターンで形成することができる。例えば配線などの配線パターン層は、銅、ニッケル、金、銀、アルミニウムなどの導体金属やその合金からめっき、蒸着、インクジェット印刷などの技法を使用して形成することができる。また、フィルム基材の全面に導体フィルムを貼付した後、それを選択的にエッチングすることによって配線パターン層を形成してもよい。必要ならば、はんだ付けなどの技法を使用して配線パターン層を形成してもよい。
【0045】
図1〜図3は、それぞれ、LEDチップを搭載した回路基板からなるリニアライトの一例を示したものである。なお、それぞれの図面の平面図(A)において、被覆層5は、その配置状態の理解を助けるため、特別に斜線を付して示されている。
【0046】
図1は、ガラスエポキシ樹脂からなる回路基板1の表面にLEDチップ3を搭載したリニアライトを示したものである。LEDチップ3は、白色発光が可能である。回路基板1の表面では銅配線2が露出しており、被覆されたリード線6がこれに接続され、かつはんだ4で固定されている。露出した配線2や配線2とリード線6の接続部、そしてLEDチップ3は、その全体を覆うように被覆層5で封止されている。被覆層5は、本発明のコーティング組成物をドロップ法によりスポット的に滴下し、硬化させることによって容易に形成することができる。図示の例では、回路基板1の表面のうち最低限被覆しなければならない部分に限って、本発明のコーティング組成物が適用されている。回路基板1に対するコーティング組成物の密着力は非常に良好であり、使用中に被覆層5が剥がれることはない。
【0047】
図2は、図1に示した回路基板1の一変形例を示したものである。図示の回路基板1の場合には、本発明のコーティング組成物の適用領域が拡大されて、回路基板1のLEDチップ3を搭載した面の全体に広がっている。本例の場合、例えば噴霧塗布(スプレー法)によってコーティング組成物を適用することができる。回路基板1の片面全体にコーティング組成物を被覆したことで、回路基板1の耐水性、絶縁性、耐久性などをさらに改善することができる。回路基板1に対するコーティング組成物の密着力は非常に良好であり、使用中に被覆層5が剥がれることはない。
【0048】
図3は、図1に示した回路基板1のもう1つの変形例を示したものである。図示の回路基板1の場合には、本発明のコーティング組成物を回路基板1の全面に一様に塗布して被覆層5を形成している。本例の場合、例えば浸漬塗布(ディップ法)によってコーティング組成物を適用することができる。回路基板1の全面全体にコーティング組成物を被覆したことで、回路基板1の耐水性、絶縁性、耐久性などをより一層改善することができ、回路基板1の使途を一段と広げることができる。回路基板1に対するコーティング組成物の密着力は非常に良好であり、使用中に被覆層5が剥がれることはない。
【0049】
さらに加えて、図示しないが、本発明のコーティング組成物は、電線の露出部を保護あるいは封止するためにも使用することができる。すなわち、電線は、通常、塩化ビニル樹脂などで被覆した状態で提供され、必要個所において被覆を剥離して、内部の電線が露出された状態で使用されるけれども、その露出された電線を外部の影響から保護するため、露出された電線を本発明のコーティング組成物で被覆し、保護することができる。同様に、各種のアンテナ(空中線)の表面保護に本発明のコーティング組成物を被覆したときも、アンテナの優れた特性を腐食などの欠陥を伴わずに保持した状態で、長期にわたって使用し続けることができる。
【実施例】
【0050】
引き続いて、本発明をその実施例を参照して説明する。なお、本発明は、これらの実施例によって限定されるものでないことは言うまでもない。
【0051】
実施例1
テスト用回路基板の作製と絶縁性の評価
幅47mm×長さ72mm×厚さ1.5mmの(1)ガラスエポキシ樹脂及び(2)紙フェノール樹脂を基材1として用意した。この基板1の表面には、図4に示すように、2本の銅配線(幅1.5mm×長さ63mm×厚さ0.05mm)2が、一部にはんだめっきを施し、エッチングすることによって形成されている。それぞれの銅配線2の一方の端面に、リード線6を鉛はんだ4により取り付けた。LEDチップ搭載前のテスト用回路基板(比較例)が得られた。
【0052】
次いで、テスト用回路基板(比較例)において、その銅配線2の実質的に全体を覆うように(図4を参照されたい)、本発明のコーティング組成物5を噴霧塗布し、乾燥により硬化させた。本例で使用したコーティング組成物は、10gのフッ素樹脂(商品名「THV220A」、ダイニオン社製)を40gの酢酸エチルに溶解したものである。2本の銅配線2を厚さ100μmの被覆層5で覆ったテスト用回路基板(本発明例)が得られた。
【0053】
それぞれのテスト用回路基板を水を入れたビーカーに入れ、図4にWで示す位置まで沈めた。浸漬状態を60分間以上にわたって保持した後、水中で、回路基板上の短絡していない2本の配線間の抵抗を測定した。抵抗の測定は、電気配線を通常試験するのに用いられるIEC61010の安全規格に準拠した測定器、共立電気計器社製の「KEW MATE MODEL 2000」(商品名)を使用して実施した。下記の第1表に記載のような測定結果が得られた。
【0054】
【表2】

【0055】
上記第1表に記載の測定結果から理解できるように、本発明のコーティング組成物を塗布して被覆層を形成した場合には十分な絶縁性を確保できるのに反して、比較例のように被覆層を形成しなかった場合には、絶縁性を得ることができない。
【0056】
また、それぞれのテスト用回路基板に対して、実際の使用を仮定して、水中で、LEDの電源と同じ5V程度の電流をリード線を介して流したところ、比較例の場合、数分間の経過後に酸素と水素の気泡を発生し始めた。10分間以上が経過すると、基板の銅配線やはんだなどが溶解するのが目視により確認されたので、その時点で評価試験を中止した。本発明例の場合、このような不具合を認めることはなかった。
【0057】
実施例2
LED搭載回路基板の作製と点灯試験
前記実施例1に記載のようにしてテスト用回路基板(比較例)を作製した後、2本の銅配線2を跨ぐようにしてLEDチップ(商品名「E1S02−3G」、豊田合成社製)3を取り付け、鉛はんだ4で固定した。LEDチップ3の搭載後、回路基板の銅配線2の実質的に全体を覆うように(図4を参照されたい)、本発明のコーティング組成物5を噴霧塗布し、乾燥により硬化させた。本例で使用したコーティング組成物は、実施例1に同じく、10gのフッ素ポリマー(商品名「THV220A」、ダイニオン社製)を40gの酢酸エチルに溶解したものである。2本の銅配線2を厚さ100μmの被覆層5で覆ったLED搭載回路基板(本発明例)が得られた。
【0058】
LED搭載回路基板を水を入れたビーカーに入れ、図4にWで示す位置まで沈めた。回路基板を水没させた状態で通電し、LEDを8時間以上にわたって点灯し続けた。点灯は中断されることなく継続され、その間、酸素や水素の発生も認められなかった。また、図3に示すように、LEDリニアライト(商品名「白色LED基板ユニットNP−00014」、シバザキ社製)に本発明のコーティング組成物を浸漬塗布し、平均膜厚70μmの回路基板を下端が水面から1mのところに水没させた状態で通電し、LEDを2時間以上にわたって点灯し続けた。このことから、本例のLED搭載回路基板は、JIS保護等級(日本工業規格C0920による)で規定して7等級(防浸形)以上の耐水性があることがわかる。
【0059】
実施例3
LED搭載回路基板の作製と点灯試験
前記実施例2に記載の手法によってLED搭載回路基板を作製した。しかし、本例の場合、フッ素樹脂(商品名「THV220A」)を酢酸エチルに溶解して得たコーティング組成物を回路基板に噴霧塗布することに代えて繰り返し刷毛塗りした。2本の銅配線2を厚さ500μmの被覆層5で覆ったLED搭載回路基板(本発明例)が得られた。
【0060】
LED搭載回路基板を水を入れたビーカーに入れ、図4にWで示す位置まで沈めた。回路基板を水没させた状態で通電し、LEDを8時間以上にわたって点灯し続けた。LEDからの光は、クリア光から拡散光に変化していたが、点灯は中断されることなく継続され、その間、酸素や水素の発生も認められなかった。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】LEDチップを搭載した本発明の回路基板の一例を示した平面図(A)及び断面図(B)である。
【図2】LEDチップを搭載した本発明の回路基板のもう1つの例を示した平面図(A)及び断面図(B)である。
【図3】LEDチップを搭載した本発明の回路基板のさらにもう1つの例を示した平面図(A)及び断面図(B)である。
【図4】実施例において作製されたLEDチップ搭載回路基板の斜視図である。
【符号の説明】
【0062】
1 回路基板
2 配線
3 LEDチップ
4 はんだ
5 被覆層
6 リード線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶剤に可溶であり、かつその分子量が10,000以上であるフッ素ポリマーと、該フッ素ポリマーを溶解した溶媒とから実質的に構成されることを特徴とするコーティング組成物。
【請求項2】
前記フッ素ポリマーと反応を引き起こすかもしくはその反応に関与し得る添加剤を含有しない、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
前記フッ素ポリマーは、FEVE系フッ素ポリマー、PVDF系フッ素ポリマー又はTHV系フッ素ポリマーあるいはその混合物である、請求項1又は2に記載のコーティング組成物。
【請求項4】
前記フッ素ポリマーは、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)及びビニリデンフルオライド(VdF)を少なくとも含む多元系フッ素ポリマーである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項5】
前記フッ素ポリマーは、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)及びビニリデンフルオライド(VdF)からなる三元系フッ素ポリマーからなる、請求項1〜4のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項6】
物品に塗布して、該物品に含まれる導電部を少なくとも封止するために用いられる、請求項1〜5のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項7】
物品と、該物品に含まれる導電部を少なくとも封止した、請求項1〜5のいずれか1項に記載のコーティング組成物から形成された被覆層とを含むことを特徴とする物品。
【請求項8】
前記導電部は、前記物品から露出した部位である、請求項7に記載の物品。
【請求項9】
前記物品はLED装置であり、該装置のLED素子と該LED素子に接続された導電部とが少なくとも前記被覆層で封止されている、請求項7又は8に記載の物品。
【請求項10】
前記物品は、機能素子を表面実装したフレキシブルな回路基板であり、該回路基板の機能素子と該機能素子に接続された導電部とが少なくとも前記被覆層で封止されている、請求項7又は8に記載の物品。
【請求項11】
前記物品は、機能素子を搭載した電子デバイスであり、該デバイスの機能素子と該機能素子に接続された導電部とが少なくとも前記被覆層で封止されている、請求項7又は8に記載の物品。
【請求項12】
前記物品は被覆された電線又はアンテナであり、該電線又はアンテナの露出された金属部分が少なくとも前記被覆層で封止されている、請求項7又は8に記載の物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−231072(P2007−231072A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−52440(P2006−52440)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】